JPH07316423A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

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JPH07316423A
JPH07316423A JP10703294A JP10703294A JPH07316423A JP H07316423 A JPH07316423 A JP H07316423A JP 10703294 A JP10703294 A JP 10703294A JP 10703294 A JP10703294 A JP 10703294A JP H07316423 A JPH07316423 A JP H07316423A
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之彦 浅野
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清 鶴澤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 樹脂組成物全体に対して、ポリアミド(A)
が30〜80重量%、変性ポリオレフィン(B)が1〜
30重量%、および未変性ポリオレフィン(C)が19
〜69重量%からなり、成分(A)がマトリックス相を
形成する一方、成分(B)と成分(C)がコアーシェル
型粒子構造の分散相を呈する樹脂組成物であって、か
つ、成分(B)がα、β−不飽和カルボン酸およびその
誘導体で変性された、23℃における引張弾性率が20
0MPa以下のエチレン−α−オレフィン共重合体であ
り、そして、成分(C)が結晶性ポリプロピレン系樹脂
であるポリアミド樹脂組成物。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、低吸水性、寸法安定
性、軽量性、剛性、靱性などの機械特性に優れ、かつ、
成形加工性に優れたポリアミド樹脂組成物であり、機械
部品、自動車部品、電気・電子部品などの広い分野で使
用でき、特に自動車用電装部品に好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミドとポリオレ
フィンからなる低吸水性、寸法安定性、剛性、靭性およ
び成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物、特にポリアミド
樹脂組成物に関する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
機械部品、自動車部品、電気・電子部品など広い分野に
使用できる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】ポリアミド樹脂は、機
械的特性、耐熱性、耐薬品性および成形性をバランスよ
く備えているため、電気・電子部品および自動車部品な
どに広く用いられている。しかしながら、ポリアミド樹
脂は、吸湿性のため、吸湿により寸法変化および曲げ強
さ、弾性率などの機械的性質の大きな低下を来たし、寸
法精度が必要とされる部品などには、その使用範囲を大
きく制約されることが多い状況にあり、その改善が望ま
れている。
【0003】一方、ポリプロピレンは、軽量性、低吸水
性であり、成形時の流動性に優れ、かつ、低価格である
ことから自動車部品および電気部品に多く用いられてい
る。しかしながら、耐熱性、強度、剛性が不十分なこ
と、さらに結晶性に起因する成形時の収縮率が大きく成
形品の寸法精度に劣るため、その使用範囲が制約されて
いる。
【0004】従来、ポリアミドの吸水による寸法変化を
改善するために、ポリアミド主鎖に芳香族のジカルボン
酸あるいはジアミン、あるいはそれらの塩からなるモノ
マー単位を共重合により導入する方法、あるいは、低吸
水性のポリマーをブレンドする方法が開示されている。
この場合、ブレンドに用いられる低吸水性ポリマーとし
ては、不飽和カルボン酸およびその誘導体で変性された
ポリプロピレン、ポリエチレン、およびそれらの共重合
体からなる結晶性樹脂あるいはゴムが知られている。
【0005】例えば、特公昭42−12546号公報に
は、ポリアミド50〜99重量%と、不飽和カルボン酸
とオレフィンの共重合体50〜1重量%とよりなる相溶
性の改善された熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
これらの樹脂組成物は、機械的性質において特に破断特
性が優れているものの、開示されている樹脂組成物で
は、低吸水性と剛性および耐熱性との兼備が不十分であ
る。
【0006】特公昭45−30945号公報には、オレ
フィン系ポリマーと、ポリアミドおよび/またはポリエ
ステルと、酸、エステル、アミド、酸無水物およびエポ
キシ基の少なくとも1個で変性したポリオレフィンとか
らなる分散性の良好な繊維に適した樹脂組成物の製造方
法が開示されている。しかし、得られる樹脂組成物は、
射出成形品および押出成形品に適用した場合は、成形時
の収縮率が大きく、成形品の寸法精度に劣るとともに、
耐衝撃性が不十分であるなどの問題がある。
【0007】特開昭60−262853号公報には、ポ
リアミドと変性エチレン−プロピレンブロックコポリマ
ーからなる低吸水化ポリアミド樹脂組成物が開示されて
いる。この樹脂組成物は、剛性および耐熱性を著しく損
なうことなくポリアミドの低吸水化がある程度図られて
いるものの、低吸水化レベルは不十分な状況にある。
【0008】特開昭62−223250号公報には、結
晶性ポリオレフィンを、ポリアミドおよび不飽和カルボ
ン酸誘導体と混練することにより得られる変性ポリオレ
フィンを、さらにポリアミドおよびポリオレフィンとと
もに混練することにより、低吸水性、引張り強さおよび
表面光沢に優れた樹脂組成物が開示されている。しかし
ながら、この樹脂組成物は、剛性と耐衝撃性の両立が不
十分な状況にある。
【0009】特開昭62−223251号公報には、前
記樹脂組成物に、さらに、低結晶性エチレン−α−オレ
フィン共重合体を加えてなる耐衝撃性に優れた樹脂組成
物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物で
は、吸水性は改善されているものの剛性レベルが低く、
低吸水性と機械的性質の両立が不十分な状況にある。
【0010】また、前記特開昭62−223250号公
報には、結晶性ポリオレフィンとポリアミドからなる樹
脂組成物において不飽和カルボン酸変性結晶化ポリオレ
フィンを一部使用した樹脂組成物が開示されている。し
かしながら、この樹脂組成物においても、低吸水性と剛
性、耐衝撃性との兼備が不十分であり、課題を残してい
る。
【0011】特開平1−51458号公報には、ポリア
ミド樹脂と不飽和カルボン酸変性結晶性ポリプロピレン
と不飽和カルボン酸変性エチレン−α−オレフィン共重
合体とからなる吸水寸法変化が小さく、剛性、耐衝撃性
の優れたポリアミド樹脂組成物が開示されている。しか
しながら、ポリアミド成分の多い組成物では、機械的性
質が優れているものの、吸水性の改善が不十分であり、
低吸水化と機械的性質の両立は依然として十分達成され
ているとは言えない。
【0012】特開昭64−87652号公報には、一部
変性した結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体
とポリアミドおよび変性エチレン−α−オレフィン共重
合体ゴムとからなる耐衝撃性の優れたポリプロピレン樹
脂組成物が開示されている。しかしながら、これらは、
ポリプロピレンをマトリックスとし、ポリアミドを分散
相とするものであり、ポリプロピレンに比べて、耐熱性
および機械的特性の向上が図られているものの、ポリア
ミドの特性に対しては大幅に剛性および耐熱性が低下し
たものに留まっている。
【0013】特開平1−146942号公報には、不飽
和カルボン酸、または、その誘導体でグラフト変性され
た変性ポリオレフィン共重合体40〜60重量%と、ポ
リアミド60〜40重量%とよりなる組成物において、
MFRが2.0g/10分以下の比較的高分子量の変性
ポリオレフィンを用いることにより、剛性、耐水性、ウ
ェルド強度の優れた樹脂組成物が得られることが開示さ
れている。しかしながら、これらの樹脂組成物では、耐
衝撃性の改善効果が見られず、成形収縮率が高く、成形
における寸法安定性に乏しいとともに、溶融流動性が十
分でないという課題を残している。
【0014】特開平3−91560号公報には、ポリア
ミド100重量部に対し、変性ポリオレフィン1〜10
0重量部およびポリプロピレン樹脂5〜250重量部か
らなるポリアミドと変性ポリオレフィンとポリプロピレ
ン樹脂との混合物に対して、有機耐熱安定剤0.01〜
3.0重量部および特定のカーボンブラック0.1〜
5.0重量部を配合してなる耐熱老化性に優れたポリア
ミド樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この
樹脂組成物では、耐衝撃性および成形時寸法安定性が十
分でないという課題を残している。
【0015】特開平3−109452号公報には、ポリ
プロピレンとポリアミドからなる成形材料において、成
形材料100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂10
〜89.9重量部、ポリアミド10〜89.9重量部、
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン0.1〜5重量
部、衝撃改良材0〜30重量部および強化材0〜60重
量部からなる樹脂組成物は、優れた靱性、剛性および熱
変形安定性を示すことが開示されている。しかしなが
ら、この樹脂組成物においても、成形時の溶融流動性、
軽量性が十分でなく、課題を残している。
【0016】特開平3−115342号公報には、ポリ
プロピレン94〜50重量%、変性ポリオレフィン1〜
40重量%およびポリアミド5〜40重量%からなり、
用いるポリアミドに対するポリプロピレンの溶融粘度比
が1以上であるポリプロピレン樹脂組成物が開示されて
いる。しかしながら、この樹脂組成物は、ポリプロピレ
ンに比べて耐熱性が改善されているものの、成形時の寸
法安定性、および、靱性の改善レベルが十分でない。
【0017】特開平3−146552号公報には、ポリ
アミド40〜80重量%、変性ポリオレフィン1〜40
重量%およびポリプロピレン20〜60重量%からなる
樹脂組成物において、成形温度における剪断速度350
0sec-1の溶融粘度比ηPP/ηPAを0.75以上とす
ることにより、優れた塗装性を示すことが開示されてい
る。しかしながら、この樹脂組成物においても、耐衝撃
性や成形時の寸法安定性が十分でない。
【0018】特開平3−207735号公報には、ポリ
アミド、ポリオレフィンおよび変性ポリオレフィンから
なる樹脂組成物において、引張降伏強度が300kg/
cm 2 以上の変性ポリオレフィンを用いることにより、
機械的特性、特にウェルド強度に優れた樹脂成形品が得
られることが開示されている。しかしながら、この樹脂
組成物においては、成形時の固化に伴う収縮率が大き
く、成形品の寸法安定性および靱性が不十分である。
【0019】特公昭55−44108号公報には、エチ
レン、カルボニル化合物、α、β−不飽和カルボン酸お
よびその誘導体、不飽和エポキシド、カルボン酸および
その誘導体、アクリル酸エステル、芳香族側鎖を有する
単量体、不飽和炭素−炭素単量体のうち、少なくとも1
個以上の残基を有するポリマーが、ポリアミドマトリッ
クス樹脂中で分離した粒子中に共存する多相熱可塑性樹
脂組成物が開示されている。しかしながら、この組成物
は、耐衝撃性および曲げ弾性率に優れる一方、低吸水化
が不十分であり、機械的特性と吸水寸法安定性の兼備が
実現されていない。
【0020】特開昭55−9661号公報には、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.05〜1.
5重量%グラフトさせた変性エチレン系共重合体とポリ
アミドとを、2/3:1〜6:1の比で含んでなる柔軟
性を有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。しか
しながら、この熱可塑性樹脂組成物においては、柔軟性
および耐衝撃性は改善されているものの、剛性および破
断時の伸びの低下を来たしている。
【0021】特開昭54−123158号公報には、不
飽和カルボン酸付加ポリオレフィン樹脂を含むポリオレ
フィン樹脂と窒素含有樹脂および充填剤とからなる機械
的強度、耐熱性および塗装性に優れたポリオレフィン樹
脂組成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組
成物は、曲げ強さ、熱変形温度および塗装性は改善され
るものの、剛性、靱性、軽量性および寸法安定性の兼備
に課題を残している。
【0022】特開昭59−232135号公報には、変
性ポリオレフィン、ポリアミドおよび結晶性ポリオレフ
ィンからなり、オレフィン単位量が全体の70重量%以
上である染色性の優れたポリオレフィン樹脂組成物が開
示されている。しかしながら、このポリオレフィン樹脂
組成物は、ポリオレフィンを主成分とするものであるか
ら、射出成形品に適用された場合、強度、剛性、耐熱性
などの特性は改善されるものの、その改善レベルはなお
十分ではない。
【0023】特開昭60−118735号公報には、ポ
リアミドと変性ポリオレフィンからなる機械的特性およ
び低吸水性を併せ有する樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、開示された樹脂組成物では、剛性および
低吸水性のバランスが必ずしも十分でない。
【0024】特開昭57−8246号公報には、ポリア
ミドと、結晶化度40%以上のポリオレフィンと、結晶
化度35%以下のエチレン−α−オレフィン共重合体を
α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体で変性した
ポリオレフィンからなる樹脂組成物が開示されている。
この樹脂組成物では、耐衝撃性および外観が改善されて
いるものの、剛性と低吸水性のバランスが十分でない。
【0025】特開昭59−149940号公報および特
開昭60−110740号公報には、ポリプロピレンと
ポリアミドおよび変性プロピレン−α−オレフィン共重
合体を加えてなる剛性、耐衝撃性、光沢、耐熱性に優れ
たプロピレン重合体組成物が開示されている。しかしな
がら、開示された樹脂組成物は、ポリプロピレンをマト
リックスとするものであるから、曲げ弾性率で示される
剛性は、ポリアミドのそれに比べかなり低いものに留ま
るものになっている。
【0026】以上述べたように、従来公知のポリアミド
樹脂組成物は、ポリアミドの有する機械的強度、耐熱性
および成形性と、ポリオレフィンの有する軽量性および
低吸水性とをバランスよく備えているとはいえず、これ
らポリアミドの有する特性とポリオレフィンの有する特
性を兼ね備えているとともに、さらに、両樹脂に不足し
ている、成形時の低反り性、寸法安定性および耐衝撃性
を備えている、高度に特性バランスに優れた熱可塑性樹
脂組成物が、さらに求められている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミド
の有する機械的強度、耐熱性および成形性と、ポリオレ
フィンの有する軽量性および低吸水性とをバランスよく
備え、さらに、両樹脂に不足している、成形時の低反り
性、寸法安定性および耐衝撃性を備えた熱可塑性樹脂組
成物、特にポリアミド樹脂組成物を提供することを目的
とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂
と、特定範囲の共重合組成および、特定の引張弾性率を
有する変性エチレン−α−オレフィン共重合体と、さら
に、未変性のポリオレフィン樹脂とを特定割合で配合す
ることにより、上述の目的を満足する樹脂組成物が得ら
れることを見出し、本発明に到達した。
【0029】すなわち、本発明は、ポリアミド(A)、
変性ポリオレフィン(B)および未変性ポリオレフィン
(C)からなる樹脂組成物において、該樹脂組成物全体
に対して、ポリアミド(A)が30〜80重量%、変性
ポリオレフィン(B)が1〜30重量%、および未変性
ポリオレフィン(C)が19〜69重量%(ただし、
(A)と(B)と(C)の合計は100重量%)からな
り、かつ、変性ポリオレフィン(B)がα、β−不飽和
カルボン酸無水物で変性された、23℃における引張弾
性率が200MPa以下のエチレン−α−オレフィン共
重合体であり、そして、未変性ポリオレフィン(C)が
結晶性ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする熱
可塑性樹脂組成物である。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述した
ように、ポリアミドの有する機械的強度、耐熱性および
成形性と、ポリオレフィンの有する軽量性および低吸水
性とをバランスよく備え、さらに、両樹脂に不足してい
る、成形時の低反り性、寸法安定性および耐衝撃性を兼
ね備えたポリアミド樹脂組成物である。
【0031】そこで、本発明において、上記課題を達成
する手段としては、熱可塑性ポリアミドと、前記特定の
引張弾性率を有する、α、β−不飽和カルボン酸無水物
変性エチレン−プロピレン共重合体ゴムと、さらに、未
変性の結晶性ポリオレフィンとを前記特定の割合で配合
してなる樹脂組成物において、前記ポリアミドを連続相
(マトリックス相)と成し、前記変性エチレン−プロピ
レン共重合体ゴムと、さらに、前記未変性の結晶性ポリ
オレフィンからなるポリオレフィン成分はコアーシェル
型の複合粒子分散相を形成させることによるのである。
【0032】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の樹脂組成物に用いられるポリアミド(A)として
は、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−また
は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス
(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−
キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族および芳香族
などのジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸などの脂肪族、脂環族および芳香族などのジカ
ルボン酸との重縮合によって得られるポリアミド、ε−
カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムか
ら得られるポリアミド、あるいは、これらの成分からな
る共重合ポリアミド、これらポリアミドおよび/または
共重合ポリアミドの混合物などが例示される。
【0033】具体的には、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイ
ロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/6
6、ナイロン66/610、ナイロン6/9、ナイロン
6/11、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナ
イロン6/612、ナイロン6/66/610、ナイロ
ン6/66/12、ナイロン6T(T:テレフタル酸成
分)、ナイロン6I(I:イソフタル酸成分)、ナイロ
ン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン66/6T、
ナイロン66/6Iなどが挙げられる。これらのうち成
形性、機械的物性バランスおよびコストの点からは、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン6/66、ナイロン6T、ナイロン66/
6Tなどの使用が好ましい。特に好ましくは、ナイロン
6、ナイロン66、および、これらの共重合体、ならび
にそれらの混合物である。また、前記成分(A)として
用いるポリアミドの分子量としては、特に限定されるも
のではないが、98%硫酸溶液中におけるポリマー濃度
1g/dlで測定された相対粘度が1.0以上、好まし
くは2.0〜4.0のものが好ましい。ポリアミドの相
対粘度が2.0未満では、最終的に得られるポリアミド
樹脂組成物の機械的強度が低下することがあり、1.0
未満になると、このポリアミド樹脂組成物の機械的強度
の低下が顕著である。また、ポリアミドの相対粘度が
4.0を越えると、このポリアミド樹脂組成物の溶融粘
度が高くなり、成形性の低下などが生じる。
【0034】本発明の樹脂組成物の成分(B)として用
いられる変性ポリオレフィンは、α、β−不飽和カルボ
ン酸あるいはその誘導体で変性されたポリ−α−オレフ
ィンであり、後述するα−オレフィンから選ばれる少な
くとも2種以上の単量体を共重合して得られる、引張弾
性率が200MPa以下のα−オレフィン共重合体を、
α、β−不飽和カルボン酸あるいはその誘導体で変性さ
せたものである。ここで用いられるα、β−不飽和カル
ボン酸あるいはその誘導体としては、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの一塩基性
カルボン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シ
トラコン酸などの二塩基性カルボン酸、および、これら
の酸無水物あるいは塩である。好ましくは、アクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸お
よびこれらの亜鉛塩やナトリウム塩であり、特に好まし
くは無水マレイン酸および無水イタコン酸である。
【0035】変性ポリオレフィン(B)中における、上
記α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体の含有量
は、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%
が特に好ましい。α、β−不飽和カルボン酸およびその
誘導体の含有量が上記範囲よりも低すぎると、ポリアミ
ドとポリオレフィン相の密着性が不十分であり、得られ
る樹脂組成物の組織構造が不安定になるとともに、機械
的強度が低くなる。また、上記範囲よりも高すぎると、
得られる樹脂組成物において溶融流動性の低下を来た
す。ポリオレフィンの変性方法としては、ポリオレフィ
ンの溶融状態あるいは溶液状態において、ポリオレフィ
ンと上記α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体
を、ラジカル開始剤(ヒドロペルオキシド、ジアルキル
ペルオキシド、ペルオキシエステルなどの有機過酸化物
など、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベン
ゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、シクロヘ
キサノンペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエ
ートなど)とともに、加熱攪拌する方法が挙げられる。
【0036】本発明の変性ポリオレフィン(B)、すな
わち、変性エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を
構成するα−オレフィン成分単位としては、炭素原子数
2以上、特に2〜18程度のα−オレフィンであり、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−
デセン、1−ペンテンなどを例示することができ、これ
らの1種または2種以上の混合物である。そして、成分
(B)として用いられる変性ポリオレフィン共重合体の
変性前の共重合組成としては、プロピレン単位が30〜
80モル%、好ましくは40〜75モル%、特に好まし
くは45〜75モル%である。プロピレン含量がこの範
囲より低い場合は、該成分(B)と後述する成分(C)
との親和性が不十分で、組織構造が不安定となるととも
に、得られる樹脂組成物の機械的強度が低くなる。プロ
ピレン含量がこの範囲より高い場合には、耐衝撃性の改
良効果が小さくなるとともに、成形固化時の収縮が大き
くなり、ポリアミド樹脂組成物成形品の寸法安定性が低
くなる。なお、これらの好ましくない現象の発生を確実
に抑えるためには、プロピレン含量は前述の好ましい範
囲、さらには特に好ましい範囲にするのがよい。
【0037】さらに、成分(B)は、分子鎖に沿ったモ
ノマー単位の配列においてプロピレン単位が3個連続し
て存在する確率が0.1〜0.5であることが好まし
い。この範囲を逸脱する場合は、得られる樹脂組成物の
引張強度および耐衝撃性が改良されない場合があるので
好ましくない。また、成分(B)は、室温で柔軟性のも
のが適しており、ASTM D638に従って測定され
る、23℃における引張弾性率が200MPa以下のも
のが好ましい。引張弾性率がこれより高いと、得られる
樹脂組成物の耐衝撃性が低くなるとともに、成形収縮率
や成形時の反りの改善効果が十分でない場合がある。
【0038】次に、本発明のポリアミド樹脂組成物の成
分(C)として用いられる未変性のポリオレフィンは、
結晶性ポリオレフィンであり、特には結晶性ポリプロピ
レン系樹脂である。さらには、用いられる成分(C)
の、ASTM D790に従って測定される、23℃に
おける曲げ弾性率が1GPa以上、好ましくは1.5G
Pa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が1GPa
未満の場合、得られる樹脂組成物の剛性が低くなり、本
発明の目的を達成することができない。
【0039】上記成分(C)の結晶性ポリプロピレン系
樹脂としては、プロピレン単独重合体が適当であるが、
これに限定されるものではなく、プロピレンと20モル
%以下のエチレン、1−ブテンなどのα−オレフィンと
のブロックあるいはランダム共重合体であってもよい。
さらに、上記成分(C)の分子量の目安としては、AS
TM D1238に従って測定される、荷重2.16k
g、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が
1g/10min以上、好ましくは10〜100g/1
0minである。さらに好ましくは10〜50g/10
minであることが望ましい。MFRが1g/10mi
nより小さい場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物中に
おけるポリオレフィン分散相のサイズが大きくなり、耐
衝撃性などの破壊特性が低くなるので好ましくない。な
お、MFRが1〜10g/10minの範囲では、この
好ましくない現象が発現する傾向がある。また、MFR
が100g/10minを越えると、成分(A)の溶融
粘度に比較して成分(C)の溶融粘度が低くなりすぎ、
成分(A)が連続相を形成するのが困難となり、得られ
る樹脂組成物の機械的強度を低下させることになるし、
50〜100g/10minの範囲では、その傾向が見
られるようになる。
【0040】本発明のポリアミド樹脂組成物においては
さらにまた、前記成分(C)は、極性基あるいは反応性
基で変性されていないことが必要である。前記成分
(C)がポリアミドと反応する残基あるいは親和性のあ
る残基で変性されていると、得られる樹脂組成物におい
て、ポリオレフィン相はコアーシェル型分散構造を形成
せず、後述するポリオレフィンコアーシェル構造の有利
な特性が得られない。
【0041】ところで、本発明の樹脂組成物は、ポリア
ミド(A)をマトリックス相とすることが不可欠であ
る。ポリアミド成分(A)が連続相を形成することによ
り、耐熱性および機械的特性における優れたポリアミド
の特性を、得られる樹脂組成物の特性に大きく反映させ
ることができ、弾性率、耐熱性および破壊強度の優れた
樹脂組成物を得ることができる。ポリアミド成分(A)
が不連続相を形成すると、得られる樹脂組成物の機械的
特性や耐熱性は低くなり、本発明の目的を達することが
できない。
【0042】一方、本発明の樹脂組成物において、前記
の成分(B)および成分(C)で形成される分散相は、
コアーシェル構造を有する複合粒子型分散構造を呈する
ことが必要である。該コアーシェル構造において、変性
ポリオレフィン成分(B)がシェル相を、そして、未変
性ポリオレフィン成分、すなわち未変性ポリプロピレン
成分(C)がコア相を形成することにより、曲げ弾性
率、引張および曲げ強度、および耐衝撃性などの機械特
性に優れ、かつ、溶融粘度が低く、成形時の流動性に優
れた本発明の目的を満足する樹脂組成物を得ることがで
きる。両ポリオレフィン成分として、いずれもポリアミ
ドと親和性を有する極性基で変性されたものを用いた場
合、それぞれのポリオレフィンは、ポリアミドマトリッ
クス相中で、個別に分散し、上記のコアーシェル構造の
優位性を得ることができない。
【0043】本発明の樹脂組成物における前記成分
(A)、成分(B)および成分(C)の配合割合は、ポ
リアミド(成分A)が30〜80重量%、変性ポリオレ
フィン(成分B)が1〜30重量%、および、未変性ポ
リオレフィン(成分C)が19〜69重量%(ただし、
成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計は10
0重量%)である。なお、前記成分(B)の配合割合
は、好ましくは3〜20重量%であり、さらに好ましく
は5〜15重量%である。そして、前記成分(C)の好
ましい配合割合としては、19〜50重量%である。
【0044】成分(A)が80重量%を越えるようにな
ると、得られる樹脂組成物の吸水性の改良効果が不十分
で、吸湿による成形品の寸法変化が大きくなるので好ま
しくない。また、成分(A)の配合割合が30重量%未
満になると、ポリアミド相(成分A)の連続性が保持さ
れなくなり、機械的特性および耐熱性の低下を来たすの
で好ましくない。
【0045】さらに、本発明の樹脂組成物における成分
(B)の配合割合が1重量%未満では、ポリアミド成分
とポリオレフィン成分の相溶性が悪くなるとともに、耐
衝撃性が低くなり、成形時の収縮率が大きくなり、適当
でない。また、成分(B)の配合割合が30重量%を越
える場合には、得られる樹脂組成物の曲げ弾性率が低く
なり、本発明の目的を満足することができない。これ
ら、樹脂組成物中における成分(B)の配合割合が範囲
を外れる場合の好ましくない現象を確実に発生させない
ようにするには、成分(B)の配合割合は、前述の好ま
しい範囲、特に、前述のさらに好ましい範囲にすべきで
ある。
【0046】本発明の樹脂組成物における成分(C)、
つまり未変性ポリオレフィンの配合割合が69重量%を
越える場合には、成分(C)が連続相を形成し、本発明
の目的とする機械的特性および耐熱性を有する樹脂組成
物が得られない。一方、成分(C)の配合割合が19重
量%未満になると、得られる樹脂組成物において、目的
とするレベルの低吸水性と曲げ弾性率を得ることができ
ない。なお、成分(C)の配合割合においても、成分
(B)の場合と同様、上述の好ましくない現象の発生を
確実に抑えるためには、前述の好ましい範囲にすべきで
ある。
【0047】本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限
定されるものではなく、種々公知の方法が用いられ得
る。例えば、前述したような本発明の配合割合で成分
(A)、(B)および(C)を室温で予備混合した後、
これら各成分の溶融が十分に進行し、かつ、分解しない
温度として、220℃以上、好ましくは240〜300
℃の温度で、溶融混練する方法を適用することができ
る。予備混合は、通常の混合に使用されるヘンシェルミ
キサーなどの高速回転混合機およびコーンブレンダー、
タンブラーなどの低速回転混合機などの使用により行う
ことができる。また、溶融混練は、単軸あるいは二軸押
出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの通常の溶融
混練加工機を使用して行うことができる。
【0048】本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形性
および物性を損なわない範囲で繊維状、粉末状、フレー
ク状あるいはマット状などの各種形状の強化材や充填剤
を添加配合することができる。これら強化材および充填
剤の具体例としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭
素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ
繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊
維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、ステン
レス繊維、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう、マグ
ネシウムなどの無機質および金属繊維、およびポリアミ
ド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース
などの有機質繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、
ステンレス、アルミニウム、金、銀などの金属粉末、ヒ
ュームドシリカ、ケイ酸アルミニウム、ガラスビーズ、
カーボンブラック、石英粉末、タルク、酸化チタン、酸
化鉄、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシ
ウム、硫酸マグネシウム、ケイソウ土などが挙げられ
る。繊維状物質の場合は、平均繊維径が0.1〜30μ
m、繊維長/繊維径の比が10以上のものが好ましく使
用される。これらの強化材および充填剤は、公知のシラ
ンカップリング剤やチタネート系カップリング剤などで
表面処理されたものでもよい。
【0049】前記強化材および充填剤の使用量は、本発
明の樹脂組成物100重量部に対して1〜300重量
部、好ましくは10〜250重量部である。使用量が1
重量部未満では、強化材および充填剤の添加効果が認め
られず、300重量部を越えると、ポリアミド樹脂組成
物の成形性や機械的物性の低下が生じるので、いずれの
場合も好ましくない。なお、これらの強化材や充填剤
は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0050】さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物
に、必要に応じて、ヒンダードフェノール、ハイドロキ
ノン、チオエーテル、ホスファイト、アミン類およびこ
れらの置換体や銅化合物などの酸化防止剤や熱安定剤、
レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、
ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、ステアリン酸およ
びその塩、ステアリルアルコールなどの離型剤、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト
などの無機難燃剤、ハロゲン系、リン酸エステル系、メ
ラミンあるいはシアヌル酸系の有機難燃剤、三酸化アン
チモンなどの難燃助剤、ドデシルベンゼンスルフォン酸
ナトリウム、ポリアルキレングリコールなどの帯電防止
剤、その他結晶化促進剤、染料、顔料などの添加剤を1
種類以上添加することが可能である。
【0051】また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、
本発明の目的を損なわない範囲で、適量のポリエチレ
ン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブ
テン共重合体、エチレン・4−メチレン−1−ペンテン
共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共
重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルなどのビニル
化合物重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−
ペンテンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミ
ドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサル
フォン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサル
ファイドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂な
どの熱硬化性樹脂を添加することができる。
【0052】本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記の
(A)、(B)および(C)の3成分の他に、必要によ
り添加する、前述したような添加剤を所定量配合してな
る樹脂組成物であるが、その配合の順序については特に
制限はなく、各成分を同時に配合してもよく、また、前
記(A)、(B)および(C)の成分を先ず配合して混
合物を製造した後、添加剤などの他の成分を配合しても
よい。
【0053】上述のようにして得られた本発明のポリア
ミド樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形および押出成形
などにより各種用途の成形品に加工することができる。
【0054】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はその要旨
を越えない限り、これら実施例に限定されるものではな
い。なお、以下の各実施例および比較例に記載する機械
的性質の測定は、下記に準じて行った。 (1)引張特性(引張強度および引張弾性率):AST
M D638 (2)曲げ弾性率:ASTM D790 (3)荷重たわみ温度:ASTM D648、荷重4.
6kg/cm2 (4)アイゾット衝撃強さ:ASTM D256
【0055】(5)溶融粘度 ノズル直径/長さ=1/10(mm/mm)のノズルを
装着したプランジャー式キャピラリーレオメーターを用
い、設定温度280℃、剪断速度240sec -1におい
て測定した。
【0056】(6)成形収縮率 ASTM 1号試験片(厚さ1/8インチ)を作製し、
流れ方向における成形試験片両端間の寸法と同方向の金
型内寸法との差の金型内寸法に対する割合を、流れ方向
の収縮率(%)として求めた。
【0057】(7)成形時反り 厚さ2mm、直径100mmの円板試験片を射出成形に
より作製し、三次元測定機を用いて、この試験片の直径
両端の最大反り量(mm)を測定した。
【0058】(8)吸水性 ASTM 4号試験片(厚さ1mm)の試験片を用い、
相対湿度90%、温度40℃の恒温恒湿器中に、190
時間静置し、成形後の絶対乾燥時(絶乾時)と吸水後の
重量から吸水重量増加率として、下記数式1により求め
た。
【0059】
【数1】
【0060】また、以下の各実施例および比較例におい
て用いられたポリアミド(成分A)、変性ポリオレフィ
ン(成分B)および未変性ポリオレフィン(成分C)の
諸物性は、下記の方法に従って測定した。 (a)相対粘度(ηr) JIS K6810に従い、98%硫酸溶液中のポリマ
ー濃度1g/dlの溶液中で25℃において測定した。
【0061】(b)プロピレン含量13 C−NMRスペクトルより、PPP、PPE、EP
E、PEP、EEP、EEE(ただし、EおよびPはそ
れぞれエチレン単位およびプロピレン単位を示す)各ト
ライアッドの連鎖分率からプロピレン単位の含有量を算
出し、モル分率で表わした。
【0062】(c)成分B中における3個のプロピレン
単位の連鎖分率13 C−NMRスペクトルより、PPP、PPE、EP
E、PEP、EEP、EEE(ただし、EおよびPはそ
れぞれエチレン単位およびプロピレン単位を示す)各ト
ライアッドの連鎖の総量に対するPPPの連鎖分率を算
出し、モル分率で表わした。
【0063】(d)無水マレイン酸変性量 1785cm-1および840cm-1での赤外吸収スペク
トルの吸光度比より算出した。
【0064】(e)X線結晶化度 厚さ0.5mmのプレスシートを用い、2θ=5〜35
°の範囲のX線回折強度曲線において、2θ=16°を
ピークとする滑らかな曲線により、結晶部と非晶部とに
分離し、結晶部の面積の割合を求めた。
【0065】(f)メルトフローレート(MFR) メルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に
従って、荷重2.16kg、230℃において測定し
た。
【0066】実施例1〜5 ポリアミド(成分A)として、ナイロン66(PA6
6、ηr=2.51)と、変性ポリオレフィン(成分
B)として、表1に示すプロピレン含量、3個のプロピ
レン単位の連鎖分率、変性基種および変性量、X線結晶
化度、MFRおよび引張弾性率を有する5種類のエチレ
ン・プロピレン共重合体ゴム(以下「EPR」と略記)
のうち、EPR1(プロピレン含量:75モル%、MF
R:35g/10min、無水マレイン酸変性量:1.
0wt%、X線結晶化度:21%、引張弾性率:120
MPa)と、未変性ポリオレフィン(成分C)として、
表2に示すプロピレン含量、MFR、曲げ弾性率および
無水マレイン酸変性量を示す5種類の結晶性ポリプロピ
レン系樹脂(以下「PP」と略記)のうち、PP1(ホ
モPP、MFR:30g/10min、曲げ弾性率:
1.9GPa)とを、それぞれ表3に示す割合で、タン
ブラーを用いてドライブレンド後、30mmφ二軸押出
機を使用して280℃で溶融混練し、樹脂組成物を得
た。そして、得られた樹脂組成物を乾燥後、射出成形し
て物性測定用の試験片を作製した。得られた樹脂組成物
の物性を表3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】実施例6 成分BとしてEPR1に代えて表1に示すEPR2を用
いたこと、そして各成分の配合割合を、成分Aについて
は70重量%に変えて60重量%、成分Bについては1
0重量%に変えて15重量%、成分Cについては20重
量%に変えて25重量%としたことの他は、実施例1と
同様にして表4に示す物性の樹脂組成物を得た。
【0071】比較例1〜3 比較例1、2および3において、成分BとしてEPR1
に代えて、それぞれ、表1に示すEPR3、EPR4お
よびEPR5を用いた他は、実施例6と同様にして表4
に示す物性の樹脂組成物を得た。
【0072】
【表4】
【0073】実施例7および8 実施例7および8において、成分CとしてPP1に代え
て、それぞれ、表2に示すPP2(ホモPP)およびP
P3(ブロックPP)を用いた他は、実施例6と同様に
して表5に示す物性の樹脂組成物を得た。
【0074】比較例4および5 比較例4および5において、成分CとしてPP1に代え
て、それぞれ、表2に示すPP4(ランダムPP)およ
びPP5(無水マレイン酸変性PP)を用いた他は、実
施例6と同様にして表5に示す物性の樹脂組成物を得
た。
【0075】
【表5】
【0076】実施例9 成分Aの配合割合を70重量%に変えて50重量%、成
分Bの配合割合を10重量%に変えて5重量%、そして
成分Cの配合割合を20重量%に変えて45重量%とし
たことの他は、実施例1と同様にして表6に示す物性の
樹脂組成物を得た。
【0077】比較例6 成分Bの配合割合を10重量%に変えて50重量%と
し、そして成分Cを配合しなかったことの他は、実施例
9と同様にして表6に示す物性の樹脂組成物を得た。
【0078】比較例7 成分Bを配合しなかったこと、および、成分Cの配合割
合を45重量%に変えて50重量%としたことの他は、
実施例9と同様にして表6に示す樹脂組成物を得た。
【0079】比較例8 成分Aの配合割合を70重量%に変えて25重量%、お
よび、成分Cの配合割合を20重量%に変えて65重量
%とした以外は、実施例1と同様にして表6に示す物性
の樹脂組成物を得た。
【0080】
【表6】
【0081】実施例10〜13ならびに比較例9および
10 成分Aとして、ナイロン66に代えてナイロン6(PA
6、ηr=2.3)を用い、成分A、成分Bおよび成分
Cの配合割合を70重量%、10重量%および20重量
%に変えて、それぞれ、表7に示す配合割合とした他
は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた
樹脂組成物の物性を表7に示す。
【0082】
【表7】
【0083】
【発明の効果】ポリアミド、不飽和カルボン酸およびそ
の誘導体で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合
体と結晶性ポリプロピレン系樹脂とを特定の割合で配合
してなり、ポリアミドをマトリックス相とする本発明の
樹脂組成物は、従来公知のポリアミド系樹脂組成物に比
べて、低吸水性、寸法安定性、軽量性、剛性および靱性
などの機械特性に優れ、かつ、成形加工性に優れたポリ
アミド樹脂組成物であり、機械部品、自動車部品、電気
・電子部品などの広い分野で使用できる。特に自動車用
電装部品に好適に使用されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松富 豊 大阪府枚方市中宮北町3番10号 宇部興産 株式会社枚方研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド(A)、変性ポリオレフィン
    (B)および未変性ポリオレフィン(C)からなる樹脂
    組成物において、該樹脂組成物全体に対して、ポリアミ
    ド(A)が30〜80重量%、変性ポリオレフィン樹脂
    (B)が1〜30重量%、および未変性ポリオレフィン
    (C)が19〜69重量%(ただし、(A)と(B)と
    (C)の合計は100重量%)からなり、ポリアミド
    (A)がマトリックス相を形成する一方、変性ポリオレ
    フィン(B)と未変性ポリオレフィン(C)とがコアー
    シェル型粒子構造の分散相を呈する樹脂組成物であっ
    て、かつ、変性ポリオレフィン(B)がα、β−不飽和
    カルボン酸およびその誘導体で変性された、23℃にお
    ける引張弾性率が200MPa以下のエチレン−α−オ
    レフィン共重合体であり、そして、未変性ポリオレフィ
    ン(C)が結晶性ポリプロピレン系樹脂であることを特
    徴とするポリアミド樹脂組成物。
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