JPH0912872A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0912872A
JPH0912872A JP7162194A JP16219495A JPH0912872A JP H0912872 A JPH0912872 A JP H0912872A JP 7162194 A JP7162194 A JP 7162194A JP 16219495 A JP16219495 A JP 16219495A JP H0912872 A JPH0912872 A JP H0912872A
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JP7162194A
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Yukihiko Asano
之彦 浅野
Kazuhiro Doi
一弘 土井
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、樹脂組成物全体に対して、ポリア
ミド樹脂(A)40〜75重量部、α、β−不飽和カル
ボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリフェニレ
ンエーテル重合体(B)5〜30重量部、芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)1〜30重量
部、およびエチレン・α−オレフィン系共重合体(D)
1〜30重量部からなり、成分(A)がマトリックス相
を形成し、成分(B)、(C)および(D)が、成分
(C)を中間相とし、成分(B)の一次分散相(シェル
相)の中に成分(D)の二次分散相(コア相)が包含さ
れたコア−シェル型粒子構造の分散相を形成する組成物
である熱可塑性樹脂組成物に関する。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、良好な機械的強度、
耐熱性などのバランスを有し、かつ、成形加工性に優れ
るとともに、吸水時の剛性低下を少なくしており、電気
・電子部品、自動車部品、機械部品などの広い分野に使
用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種機械的特性、耐溶
剤性、低吸水性および寸法安定性に優れ、低比重(軽量
性)かつ成形加工に好適な熱可塑性樹脂組成物に関す
る。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電器・電子部品、
自動車部品、機械部品などの幅広い分野に使用できる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】ポリアリールエーテ
ル、特にポリフェニレンエーテル系重合体は、優れた耐
熱性を有するエンジニアリングプラスチックとして知ら
れており、有用な高分子材料である。しかし、ポリフェ
ニレンエーテル系重合体単独では耐衝撃性、耐溶剤性に
著しく劣るなどの問題点があることもよく知られてい
る。そこで従来、ポリアリールエーテル重合体に少なく
とも1種以上の他の樹脂成分をブレンドすることによ
り、これら各樹脂成分のそれぞれが本来有する優れた特
性を兼ね備えた新しい材料を生み出そうとする検討が盛
んに行われており、数多くの検討例が報告されている。
【0003】例えば、特公昭45−997号公報や特開
昭62−270654号公報は、ポリフェニレンエーテ
ル重合体とポリアミド樹脂の組成物を記載している。し
かしながら、これらアリールエーテル系樹脂とポリアミ
ド樹脂の組成物は、主として自動車外装部品用として利
用されているが、溶融粘度が高く、したがって、成形時
の流動性に劣ることから、薄肉成形を必要とする部品に
は使用できない。さらに、吸水性が大きく、吸水時の寸
法変化と弾性率の低下が大きいことから、その改善が求
められている。
【0004】また、特開平2−284955号公報に
は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル重合体お
よび変性ポリオレフィン系重合体からなる耐溶剤性、耐
衝撃性、成形性に優れた組成物が開示されている。しか
しながら、この技術においては、組成物の低吸水性を維
持するためには組成物全体100重量部に対しポリアミ
ド樹脂を40重量部以上用いることができず、そのため
機械的強度が不十分である。
【0005】また、特開平2−656号公報、特開平2
−305854号公報および特開平6−184436号
公報は、ポリアミド樹脂をマトリックスとし、スチレン
系エラストマーを包含したポリフェニレンエーテル重合
体および変性ポリオレフィンが分散している構造を有す
る組成物について開示しているが、吸水時の弾性率保持
に劣り、成形時の流動性と機械的強度のバランスとの両
立が困難であり、その改善が課題となっている。さら
に、特開昭60−137961号公報は、ポリアミド樹
脂と、スチレン系共重合体、芳香族ポリエステル、ポリ
カーボネートを含むポリフェニレンエーテル重合体を
α、β−不飽和カルボン酸およびこれらの誘導体で変性
した変性芳香族系ポリマーと、エチレン共重合体または
エチレン共重合体をα、β−不飽和カルボン酸およびこ
れらの誘導体で変性した変性エチレン共重合体とを、そ
れぞれ特定割合で溶融混練して得られる樹脂組成物を開
示している。しかし、この樹脂組成物においても、成形
時の流動性と機械的強度のバランスとの両立に、なお課
題が残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな従来技術に伴う問題点を解消しようとするものであ
り、ポリアミド樹脂の有する機械的強度、耐熱性、耐溶
剤性および成形性と、ポリアリールエーテル重合体の有
する機械的強度、耐熱性、軽量性、低吸水性、成形時の
低反り性および寸法安定性と、エチレン・α−オレフィ
ン系共重合体の有する軽量性、低吸水性、成形時の低反
り性、寸法安定性および耐衝撃性をバランスよく兼ね備
え、さらに、従来のこれらの樹脂組成物では達成が困難
であった吸水時の弾性率低下の小さい熱可塑性樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を満足する優れた樹脂組成物を得るべく鋭意検討した結
果、ポリアミド樹脂と、変性ポリフェニレンエーテル重
合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体ならびに特
定の化学構造を有する芳香族ビニル−脂肪族炭化水素共
重合体を特定割合で混合することにより、ポリアミド樹
脂をマトリックス相とする一方、変性ポリフェニレンエ
ーテル重合体、エチレン・α−オレフィン系共重合体お
よび芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体を、
一次分散相に二次分散相が包含されたコア−シェル型粒
子構造とし、かつ、これによって、上述したような優れ
た性質を持つ熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出
し、本発明に到達した。
【0008】本発明は、ポリアミド樹脂(A)、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリ
フェニレンエーテル重合体(以下、単に「変性ポリフェ
ニレン重合体」という)(B)、芳香族ビニル化合物−
脂肪族炭化水素共重合体(C)およびエチレン・α−オ
レフィン系共重合体(D)からなる樹脂組成物におい
て、該樹脂組成物全体に対して、ポリアミド樹脂(A)
が40〜75重量部、変性ポリフェニレンエーテル重合
体(B)が5〜30重量部、芳香族ビニル化合物−脂肪
族炭化水素共重合体(C)が1〜30重量部、ならびに
エチレン・α−オレフィン系共重合体(D)が1〜30
重量部(ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)
および成分(D)の合計は100重量部)からなり、ポ
リアミド樹脂(A)がマトリックス相を形成する一方、
変性ポリフェニレンエーテル重合体(B)、芳香族ビニ
ル化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)およびエチレ
ン・α−オレフィン系共重合体(D)が、成分(B)を
シェル相とし、成分(C)を中間相とし、そして成分
(D)をコア相とするコア−シェル型粒子構造の分散相
を呈する組成物であることを特徴とする熱可塑性樹脂組
成物、さらには、該組成物において、前記芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)が水添または非
水添スチレン・ブタジエン共重合体、あるいは、水添ま
たは非水添スチレン・イソプレン共重合体であることを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0009】すなわち、本発明において、前述の課題を
解決する手段は、ポリアミド樹脂をマトリックス相(連
続相)とする一方、変性ポリフェニレンエーテル重合体
を一次分散相(シェル相)、そして芳香族ビニル化合物
−脂肪族炭化水素共重合体を相溶化剤(中間相)とし
て、エチレン・α−オレフィン系共重合体を変性ポリフ
ェニレンエーテル重合体中にさらに分散した二次分散相
(コア相)とした組織構造、いわゆるコア−シェル構造
を有する複合粒子型分散構造を持った樹脂組成物にする
ことにあり、これにより、本発明は達成される。
【0010】以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用されるポリアミド樹脂(A)は、ジアミン
とジカルボン酸の重縮合、ω−アミノカルボン酸の自己
縮合、ラクタム類の開環重合などによって得られ、十分
な分子量を有するものである。上記ジアミンの具体例と
しては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジア
ミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、
5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビスアミノ
メチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシク
ロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、
p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミ
ン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン
などの脂肪族、脂環族および芳香族ジアミンが挙げられ
る。上記ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪
族、脂環族および芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ま
た、ω−アミノカルボン酸としては、具体的には、ε−
アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−
アミノドデカン酸などが挙げられる。そして、上記ラク
タム類としては、具体的には、ε−カプロラクタム、エ
ナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられ
る。本発明においては、これらのジアミンおよびジカル
ボン酸、またはω−アミノカルボン酸、あるいはラクタ
ム類は、単独あるいは二種以上の混合物の形で重縮合な
どに供され、このようにして得られるポリアミドホモポ
リマー、コポリマー、および、これらのホモポリマーお
よび/またはコポリマーの混合物のいずれも使用するこ
とができる。
【0011】特に、本発明で有用に用いられるポリアミ
ド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン4,
6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナ
イロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6/6,
6、ナイロン6/6,12、ナイロン6,MXD(MX
Dはm−キシリレンジアミン成分を表わす)、ナイロン
6,T(Tはテレフタル酸成分を表わす)、ナイロン
6,I(Iはイソフタル酸成分を表わす)などが挙げら
れるが、本発明の範囲を限定するものではない。しか
し、本発明では、これらポリアミド樹脂の中でも成形
性、機械的特性のバランスおよびコストの点からは、ナ
イロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン6/6,6、ナイロン6,T、ナイロン
6,Iなどの使用が好ましい。特に好ましくは、ナイロ
ン6、ナイロン6,6およびこれらの共重合体、ならび
にそれらの混合物である。また、本発明で使用される前
記のポリアミド樹脂の数平均分子量については、特に制
限はなく、通常10000〜50000、好ましくは1
3000〜30000の範囲内にあるものを任意に用い
ることができる。ポリアミド樹脂の数平均分子量が10
000より小さいと、最終的に得られる熱可塑性樹脂組
成物の機械的特性が悪くなるし、50000より大きい
と、この熱可塑性樹脂の溶融粘度が高くなり、成形加工
性が悪くなるなどいずれの場合も好ましくない。また、
ポリアミド樹脂の数平均分子量が10000を越え13
000未満のものや30000を越え50000未満の
ものでは、それぞれ前述したような好ましくない現象が
発現することがある。
【0012】本発明において(B)成分として用いられ
る変性ポリフェニレンエーテル重合体とは、ポリフェニ
レンエーテル重合体の分子鎖中に、後述する特定の変性
剤を後述の変性方法によりグラフト反応せしめて得られ
るものである。ここにいうポリフェニレンエーテル重合
体とは、下記一般式(I)
【0013】
【化1】
【0014】(ただし式中、R1 、R2 、R3 およびR
4 は、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、な
らびにハロゲン原子とフェニル環の間に少なくとも2個
の炭素原子を有するハロアルキル基およびハロアルコキ
シ基で、かつ、第3級α−炭素を含まないものから選ん
だ一価置換基を示し、R1 〜R4 は互いに同じでも異な
っていてもよく、また、nは、重合度を表わす整数であ
る。)で表わされるポリフェニレンエーテル(以下、
「PPE」と略記する)である。これらのPPEは、上
記一般式(I)で表わされる重合体の一種単独でも、二
種以上が組み合わさった共重合体でもよい。単独重合体
の好ましい具体例としては、上記一般式(I)におい
て、R1 およびR4 が水素もしくは炭素原子数1〜4の
アルキル基であり、R2 およびR3 が炭素原子数1〜4
のアルキル基であるPPEであり、例えば、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)
エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−
フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6
−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エー
テル、ポリ(2,3,6−トリエチル−1,4−フェニ
レン)エーテル、ポリ(2,3−ジメチル−6−エチル
−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3−ジメ
チル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルな
どが挙げられる。また、PPE共重合体としては、上記
ポリフェニレンエーテル繰り返し単位中にポリ(2,
3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテルな
どのアルキル三置換フェノール誘導体の繰り返し単位を
一部含有する共重合体を挙げることができる。また、こ
れらのPPEにスチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、クロルスチレンなどのスチレン系化合物をグ
ラフトさせたPPE共重合体を用いてもよい。また、当
業界で周知のごとく、市販品としてのスチレン系重合体
を含んだPPE系重合体を用いてもよい。
【0015】本発明においては、上記PPE単独重合体
やPPE共重合体の中でも、前記一般式(I)におい
て、R1 が水素もしくはメチル基、R2 およびR3 がメ
チル基、そしてR4 が水素であるポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6
−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル、およ
び、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ
ーテルの繰り返し単位中にポリ(2,3,6−トリメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルの繰り返し単位を一
部含有する共重合体が特に好ましく使用される。本発明
では、これらのPPE重合体の25℃のクロロホルム中
で測定した極限粘度[η]は、0.2〜1.0dl/
g、好ましくは0.3〜0.7dl/gであることが望
ましい。この極限粘度[η]が0.2dl/gより小さ
いと、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性改善効果が
十分ではない。また、1.0dl/gより大きいと、得
られる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が低下する。な
お、これらの好ましくない現象の発生を確実に防止する
ためには、使用されるPPE重合体は、上述の好ましい
範囲内にある極限粘度[η]を有するものであるべきで
ある。
【0016】上述したPPE重合体の変性剤は、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体である。α、β−
不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、
メタクリル酸、メチルメタクリル酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、フラン酸、ペンテン酸、ビニル酢酸、アン
ゲリカ酸などの一塩基性不飽和カルボン酸、マレイン
酸、クロロマレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、エンドシス−ビシクロ
〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸(商品名:ナジック酸)などの二塩基性不飽和カルボ
ン酸、クエン酸、アコニット酸などの三塩基性不飽和カ
ルボン酸などが挙げられる。また、α、β−不飽和カル
ボン酸の誘導体としては、前記一塩基性、二塩基性もし
くは三塩基性不飽和カルボン酸の誘導体、例えば酸ハラ
イド、アミド、イミド、無水物、塩(ナトリウム塩、亜
鉛塩など)およびエステルなどが挙げられ、具体的に
は、塩化マレニル、アクリルアミド、マレイミド、N−
フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
グルタコン酸、無水シトラコン酸、エンドシス−ビシク
ロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(商品名:無水ナジック酸)、無水アコニッ
ト酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、シトラ
コン酸ジブチル、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレート、ジグリシジルマレエートなどが用いら
れる。これらの中で、好ましいものは、アクリル酸、メ
タクリル酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
無水イタコン酸および無水ナジック酸であり、さらに好
ましいものは、クエン酸および無水マレイン酸である。
【0017】変性ポリフェニレンエーテル重合体(B)
中における、変性剤としての上記α、β−不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体の濃度は、0.05〜1.5重量
%、好ましくは0.1〜1.3重量%である。変性剤の
濃度が上記範囲よりも低すぎると、ポリアミド樹脂とポ
リフェニレンエーテル重合体相の密着性が不十分であ
り、得られる熱可塑性樹脂組成物の組織構造が不安定に
なるとともに、機械的強度などが不足するので好ましく
ない。また、上記範囲よりも高すぎると、それ以上の相
溶化効果が望めないだけでなく、得られる熱可塑性樹脂
組成物において溶融流動性の低下を来たし、成形加工性
が損なわれるので好ましくない。前記変性剤の濃度が
0.05重量%を越え0.1重量%未満の範囲にある場
合や1.3重量%を越え1.5重量%未満の範囲にある
場合は、それぞれ上述の好ましくない現象が発現するこ
とがある。PPE重合体の変性方法としては、特に制限
されるものではなく、例えば、前記のPPE重合体に前
記変性剤を、溶融状態でグラフト反応させる方法、ある
いは溶液状態でグラフト反応させる方法、あるいはまた
スラリー状態でグラフト反応させる方法などの従来公知
の種々の方法を採用することができる。そして、前記P
PE重合体に前記変性剤を溶融状態でグラフト反応させ
る方法としては、具体的には、前記PPE重合体と前記
変性剤としてのα、β−不飽和カルボン酸またはその誘
導体とを、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機な
どを用いて200〜350℃の温度で10秒〜30分間
溶融混練し、グラフト反応させる方法が挙げられる。ま
た、前記PPE重合体に前記変性剤を溶液状態でグラフ
ト反応させる方法としては、具体的には、前記PPE重
合体をベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、テト
ラリンなどの溶媒で溶解し、得られた溶液に、前記変性
剤としてのα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
を添加し、加熱攪拌してグラフト反応させる方法が挙げ
られる。しかし、本発明では、前者の、押出機を用いて
前記PPE重合体と前記α、β−不飽和カルボン酸また
はその誘導体を溶融状態でグラフト反応させる方法が最
も簡便で効率的である。
【0018】また、上記のPPE重合体の変性に際し
て、所望により有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカ
ル開始剤を存在させると、前記PPE重合体と前記変性
剤のα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とを効
率よくグラフト反応させることができる。前記ラジカル
開始剤の有機過酸化物の例としては、ベンゾイルパーオ
キシド、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチル
パーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、
クメンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサン、2,5
−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルパーオキシ
ヘキシン−3などを好適に挙げることができる。そし
て、前記ラジカル開始剤のアゾ化合物としては、具体的
には、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソ
ブチレートなどを好適に挙げることができる。これらの
ラジカル開始剤は、好適にはPPE重合体100重量部
に対して5〜30重量部の範囲内で使用されるが、ラジ
カル開始剤の種類および使用量とも上記に限定されるも
のではない。なお、本発明で使用される変性ポリフェニ
レンエーテル重合体(B)は、該成分(B)中における
前記変性剤の含有量が最終的に前述の濃度の範囲となる
ような量であれば、上述のようにしてグラフト変性され
た変性ポリフェニレンエーテル重合体と、未変性のポリ
フェニレンエーテル重合体との混合物を用いることもで
きる。
【0019】次に、本発明で用いる芳香族ビニル化合物
−脂肪族炭化水素共重合体(C)は、水添または非水添
スチレン・ブタジエン共重合体、あるいは、水添または
非水添スチレン・イソプレン共重合体である。そして、
水添または非水添スチレン・ブタジエン共重合体として
は、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン
・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物またはスチ
レン・ブタジエンランダム共重合体の水素添加物が使用
される。また、水添または非水添スチレン・イソプレン
共重合体としては、スチレン・イソプレンブロック共重
合体またはスチレン・イソプレンブロック共重合体の水
素添加物が使用される。上記水添スチレン・ブタジエン
共重合体もしくは水添スチレン・イソプレン共重合体
は、当業界で既知の方法、例えば、米国特許第3431
323号明細書などに示された方法により水素添加する
ことによって得られるもの、あるいは、市販のものから
適宜選んで使用することができる。本発明において、上
述した芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体
(C)の数平均分子量は、20000〜250000の
範囲であり、好ましくは30000〜200000の範
囲であることが必要である。芳香族ビニル化合物−脂肪
族炭化水素共重合体成分(C)の数平均分子量が200
00未満の場合は、前記変性ポリフェニレンエーテル重
合体(B)との相溶性が不十分となり、得られる熱可塑
性樹脂組成物において、後述の目的とする組織構造、す
なわち、二次分散相が一次分散相に包含された、いわゆ
るコア−シェル構造を有する複合粒子型分散構造が得ら
れない。また、この数平均分子量が250000を越え
る場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的特性が
悪くなる。得られる熱可塑性樹脂組成物においてこれら
の好ましくない現象の発現防止を確かなものとするため
には、前記成分(C)としては、その数平均分子量が上
述の好ましい範囲内にあるものを使用すべきである。
【0020】また、本発明で用いるエチレン・α−オレ
フィン系共重合体(D)は、エチレンと、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ド
デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オ
クタデセンなどの炭素原子数3以上、特に3〜18のα
−オレフィンの1種または2種以上の混合物とのブロッ
クまたはランダム共重合体、あるいは、エチレンおよび
これらのα−オレフィン成分のほかに、少量の1,4−
ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノル
ボルネンなどの非共役ジエン成分がランダム重合してい
る三元共重合体などである。具体的には、エチレン・プ
ロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エ
チレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン
・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレ
ン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ブ
テン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1−
ブテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プ
ロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン
・1−ブデン・エチリデンノルボルネン共重合体などが
挙げられる。本発明では、これらの中でも、エチレン・
プロピレンのランダム共重合体、およびエチレン・プロ
ピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プ
ロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体などのエチ
レン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体を好まし
く用いることができる。
【0021】そして、これらの共重合体の共重合組成と
しては、エチレン単位が30〜85モル%、好ましくは
45〜85モル%である。エチレン含量が、これらの共
重合体組成全体に対して30モル%より低い場合は、前
記芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体成分
(C)と上述のエチレン・α−オレフィン系共重合体成
分(D)との親和性が不十分で、組織構造が不安定とな
るとともに、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度
が低くなる。エチレン含量が上記共重合体組成全体に対
して85モル%より高い場合には、得られる熱可塑性樹
脂組成物に対する耐衝撃性の改良効果が小さくなるとと
もに、成形固化時の収縮が大きくなり、熱可塑性樹脂組
成物成形品の寸法安定性が低くなる。なお、これらの好
ましくない現象の発生を確実に抑えるためには、エチレ
ン含量は前述の好ましい範囲にするのがよい。さらに、
これらのエチレン・α−オレフィン系共重合体(D)
の、ASTMD1238に準じて測定したMFR(メル
トフローレート)(230℃、荷重2.16kg)は
0.1〜60g/10分の範囲であり、好ましくは0.
2〜50g/10分の範囲である。MFRが0.1g/
10分より小さい場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物
の成形加工性が悪くなるし、60g/10分を越える
と、前記ポリアミド樹脂成分(A)の溶融粘度に比較し
て前記エチレン・α−オレフィン系共重合体成分(D)
の溶融粘度が低くなりすぎ、前記成分(A)が連続相を
形成するのが困難となり、目的とする、二次分散相が一
次分散相に包含されたようなコア−シェル構造が得られ
なくなるなど、いずれの場合も好ましくない。また、M
FRが0.1〜0.2g/10分の範囲内や50〜60
g/10分の範囲内では、それぞれ、前述の好ましくな
い現象が発現する傾向がある。
【0022】ところで、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、ポリアミド樹脂(A)をマトリックス相(連続相)
とすることが必要である。ポリアミド樹脂成分(A)が
連続相を形成することにより、得られる熱可塑性樹脂組
成物の特性において、機械的特性や、耐熱性および耐薬
品性などにおける優れたポリアミド樹脂の特性を生かす
ことができる。ポリアミド樹脂成分(A)が不連続相を
形成すると、得られる樹脂組成物の機械的特性や耐熱性
は低くなり、本発明の目的を達成することができない。
【0023】一方、本発明の熱可塑性樹脂組成物におい
て、前記ポリアミド樹脂成分(A)のマトリックス相中
に、前記の変性ポリフェニレンエーテル重合体成分
(B)、芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体
成分(C)およびエチレン・α−オレフィン系共重合体
成分(D)がそれぞれ独立に分散する場合や、前記成分
(B)と前記成分(C)とは前記成分(B)の中に前記
成分(C)が包含されたコア−シェル構造を有する分散
相を形成するが、前記成分(D)は前記成分(A)のマ
トリックス相中に独立分散相を形成する場合などは、得
られる熱可塑性樹脂組成物は、その機械的特性において
満足のいくものではない。したがって、本発明の熱可塑
性樹脂組成物では、前述したように、前記の成分
(B)、成分(C)および成分(D)で形成される分散
相は、二次分散相である前記成分(D)が一次分散相で
ある前記成分(B)中に包含された、いわゆるコア−シ
ェル構造を有する複合粒子型分散構造を呈することが必
要不可欠である。すなわち、該コア−シェル構造におい
て、前記変性ポリフェニレンエーテル重合体成分(B)
がシェル相を、そして前記芳香族ビニル化合物−脂肪族
炭化水素共重合体成分(C)が中間相を形成することに
より、前記エチレン・α−オレフィン系共重合体成分
(D)がコア相となり、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性
および成形時の流動性と、軽量性、低吸水性、成形時の
低反り性および寸法安定性とをバランスよく兼ね備え、
さらに、吸水時の弾性率低下の小さい本発明の目的を満
足する熱可塑性樹脂組成物を得ることができるのであ
る。本発明において、分散相を形成する前記の成分
(B)、成分(C)および成分(D)として、いずれも
前記ポリアミド樹脂成分(A)と親和性を有する極性基
で変性されたものを用いた場合、また、例えば特開平6
−184436号公報に例示される熱可塑性樹脂組成物
のように、分散相を形成する前記成分(B)として未変
性のポリフェニレンエーテル重合体を用い、さらに、熱
可塑性樹脂組成物の製造に際して、前記の成分(A)、
成分(C)および成分(D)、ならびに該未変性のポリ
フェニレンエーテル重合体を、前述した濃度範囲となる
ような量のα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
とともに溶融混練した場合、分散相を形成する前記成分
(B)、成分(C)および成分(D)は、前記ポリアミ
ド樹脂成分(A)のマトリックス相中で、個別に分散す
るようになり、上記のコア−シェル構造の優位性を得る
ことができない。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物における前記
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)
の配合割合は、ポリアミド樹脂成分〔成分(A)〕が4
0〜75重量部、好ましくは40〜65重量部、変性ポ
リフェニレンエーテル重合体成分〔成分(B)〕が5〜
30重量部、好ましくは10〜30重量部、芳香族ビニ
ル化合物−脂肪族炭化水素共重合体成分〔成分(C)〕
が1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、および
エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分(D)〕が
1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部(ただし、
成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)の合
計は100重量部)である。
【0025】成分(A)の配合割合が75重量部を越え
るようになると、得られる熱可塑性樹脂組成物の吸水性
の改良効果が不十分で、吸湿による成形品の寸法変化の
増大や、弾性率の低下を来たすので好ましくない。ま
た、成分(A)の配合割合が40重量部未満になると、
ポリアミド樹脂(A)相の連続性が低下し、機械的強
度、耐熱性の低下および成形加工性の低下を来たし、好
ましくない。
【0026】また、成分(B)の配合割合が5重量部未
満になると、ポリアミド樹脂成分(A)と芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体成分(C)およびエチ
レン・α−オレフィン系共重合体成分(D)との相溶性
が悪くなり、目的とするコア−シェル構造を有する複合
粒子型分散構造が得られなくなるとともに、得られる熱
可塑性樹脂組成物の機械的強度、耐熱性、低吸水性、成
形時の低反り性、寸法安定性などが悪くなるので好まし
くない。一方、成分(B)の配合割合が30重量部を越
えるようになると、得られる熱可塑性樹脂組成物におい
て、成形時の流動性が著しく悪くなり、好ましくない。
【0027】本発明において、成分(C)の配合割合が
1重量部未満になると、コア−シェル構造を有する複合
粒子型分散構造の形成が達成できず、目的とする、物性
バランスの取れた熱可塑性樹脂組成物が得られない。ま
た、成分(C)の配合割合が、30重量部を越えると、
機械的強度と弾性率の低下を来たし、適当でない。
【0028】さらに、本発明において、成分(D)の配
合割合が1重量部未満になると、得られる熱可塑性樹脂
組成物の軽量性や低吸水性が悪くなり、30重量部を越
えるようになると、該樹脂組成物の機械的強度および弾
性率の低下を来たすので、いずれの場合も好ましくな
い。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物における前記の
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)
の配合割合がそれぞれ前述した範囲を外れる場合の、そ
れぞれ上述したような好ましくない現象を確実に抑える
ためには、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)お
よび成分(D)の配合割合は、それぞれ、上述の好まし
い範囲にすべきである。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、特に限定されるものではなく、当業界で公知の種々
の方法が用いられる。例えば、前述したような配合割合
で、前記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および
成分(D)を室温で予備混合した後、これら各成分の溶
融が十分に進行し、かつ、分解しない温度として、24
0℃以上、好ましくは260℃〜320℃の温度で溶融
混練する方法を用いることができる。溶融混練温度が3
20℃を越えると、樹脂の架橋反応や分解が起こりやす
くなる。予備混合は、通常の混合に使用されるヘンシェ
ルミキサーなどの高速回転混合機およびコーンブレンダ
ー、タンブラーなどの低速回転混合機などの使用によっ
て行うことができる。また、溶融混練は、単軸あるいは
二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシン
グロールなどの通常の溶融混練加工機を使用して行うこ
とができる。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その成
形加工性および物性を損なわない範囲で、繊維状、粉末
状、フレーク状あるいはマット状などの各種形状の強化
剤や充填剤を添加配合することができる。これら強化剤
および充填剤の具体例としては、ガラス繊維、アスベス
ト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、
窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊
維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チタン、銅、真
鍮、マグネシウムなどの無機質および金属繊維、および
ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セ
ルロースなどの有機質繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、
錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金、銀などの金
属粉末、ヒュームドシリカ、珪酸アルミニウム、珪酸カ
ルシウム、珪酸、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミ
ニウム、ガラスビーズ、カーボンブラック、石英粉末、
タルク、マイカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸
化カルシウム、硫酸マグネシウム、チタン酸カリウム、
ケイソウ土などが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。また、繊維状物質の場合は、平均繊維直径
が0.1〜30μm、繊維長/繊維直径の比が10以上
のものが好ましく使用される。さらに、これらの強化剤
および充填剤は、公知のシランカップリング剤やチタネ
ート系カップリング剤などで表面処理されたものでもよ
い。
【0031】前記強化剤および充填剤の使用量は、本発
明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して1〜30
0重量部、好ましくは10〜250重量部である。使用
量が1重量部未満では、強化剤および添加剤の添加効果
が認められず、300重量部を越えると、熱可塑性樹脂
組成物の成形加工性や機械的特性の低下が生じるので、
いずれの場合も好ましくない。なお、これらの強化剤や
充填剤は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0032】さらにまた、本発明の熱可塑性樹脂組成物
には、必要に応じて、ヒンダードフェノール、ハイドロ
キノン、チオエーテル、ホスファイト、アミン類および
これらの置換体や銅化合物などの酸化防止剤、有機スズ
系、鉛系、金属石ケン系などの熱安定剤、レゾルシノー
ル、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノ
ンなどの紫外線安定剤、ステアリン酸およびその塩、ス
テアリルアルコールなどの離型剤、赤リン、酸化スズ、
水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハ
イドロタルサイトなどの無機難燃剤、ハロゲン系、リン
酸エステル系、メラミンあるいはシアヌル酸系の有機難
燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ポリアルキレングリコー
ル、アルキルベタインなどの帯電防止剤、その他結晶化
促進剤、染料、顔料などの添加剤を1種類以上添加する
ことが可能である。
【0033】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲内で、適量のポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、
エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物重合体、ポリ1
−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどのポリオ
レフィン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラ
ストマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドな
どの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、
尿素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化
性樹脂などを添加することができる。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の成
分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の
4成分の他に、必要により添加する、前述したような添
加剤を所定量配合してなる樹脂組成物であるが、その配
合の順序については特に制限はなく、これら各樹脂成分
と添加剤など他の成分とを同時に配合してもよく、ある
いは、これら各樹脂成分のうち2〜3種の樹脂成分をあ
らかじめ配合して混合物とし、その後に残る樹脂成分
と、添加剤など他の成分との配合を実施する方法をとっ
てもよい。あるいはまた、前記成分(A)、成分
(B)、成分(C)および成分(D)の各樹脂成分を先
ず配合して混合物を製造した後、添加剤など他の成分を
配合してもよい。
【0035】上述のようにして得られた本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形および押出成形な
どにより各種用途の成形品に加工することができる。
【0036】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、その要
旨を越えない限り、これら実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下の各実施例および比較例において、成
形したテストピースの機械的性質の測定は、下記に準じ
て行った。 (1)射出圧力:射出成形によるテストピースの成形に
際して、射出圧を測定することにより求めた。 (2)アイゾット衝撃強度(Izod):ASTM D
256 (3)引張特性(引張強度および引張破断伸び):AS
TM D638 (4)曲げ弾性率:ASTM D790
【0037】(5)吸水性(吸水時曲げ弾性率) ASTM 1号試験片(厚さ1/8インチ)を作製し、
温度23℃の水中に24時間静置し、吸水時の曲げ弾性
率測定(ASTM D790に従って測定)に供した。
【0038】(6)荷重たわみ温度:ASTM D64
8、荷重4.6kg/cm2
【0039】また、以下の各実施例および比較例におい
て得られた熱可塑性樹脂組成物の構成成分としては、下
記の原料を使用した。 (1)ポリアミド樹脂〔成分(A)〕 数平均分子量15000のナイロン66(PA)を使用
した。 (2)変性ポリフェニレンエーテル重合体〔成分
(B)〕 変性前のポリフェニレンエーテルとして、2,6−キシ
レノールを単独重合することによって得られた、ポリマ
ー濃度0.5重量%のクロロホルム溶液中の25℃での
相対粘度が0.45のものを用いた。この、ポリフェニ
レンエーテル(PPE)と、無水マレイン酸を280℃
で溶融混練することにより、あらかじめ無水マレイン酸
変性ポリフェニレンエーテル重合体(MAH−PPE)
を準備した。なお、このMAH−PPEは、無水マレイ
ン酸濃度を、無水マレイン酸とPPEの混合物により、
まえもって作成しておいた赤外吸収スペクトルの検量線
より求めた結果、無水マレイン酸が0.2重量%含まれ
るのであった。 (3)芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体
〔成分(C)〕 (a)水添スチレン・イソプレンブロック共重合体:ク
ラレ社製SEPSトリブロック共重合体SEPTON2
023(SEPS)を用いた。 (b)スチレン・ブタジエントリブロック共重合体:日
本合成ゴム社製TR2400(SBS)を用いた。 (c)水添スチレン・ブタジエントリブロック共重合
体:シェル化学社製KratonG−1651(SEB
S)を用いた。 (d)水添スチレン・ブタジエンランダム共重合体:日
本合成ゴム社製DYNARON 1910P(H−SB
R)を用いた。 (4)エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分
(D)〕 230℃、荷重2.16kgにおけるMFR(メルトフ
ローレート)が0.4g/10分のエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体(EPR)を用いた。 (5)無水マレイン酸変性エチレン・α−オレフィン系
共重合体〔成分(D)〕 上記第(4)項のエチレン・プロピレンランダム共重合
体を、ラジカル開始剤の共存下で、無水マレイン酸と溶
融混練することによって得られた、無水マレイン酸濃度
が0.1重量%の無水マレイン酸変性エチレン・プロピ
レンランダム共重合体(MAH−EPR)を用いた。
【0040】実施例1〜4 各実施例において、芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水
素共重合体〔成分(C)〕として水添スチレン・イソプ
レンブロック共重合体(以下、「SEPS」と略記す
る)を、そして、エチレン・α−オレフィン系共重合体
〔成分(D)〕としてエチレン・プロピレンランダム共
重合体(以下、「EPR」と略記する)をそれぞれ用
い、ポリアミド樹脂〔成分(A)〕、変性ポリフェニレ
ンエーテル重合体〔成分(B)〕、上記成分(C)およ
び上記成分(D)の各構成成分を、それぞれ表1に示す
配合割合で、タンブラーを用いて予備混合した。次い
で、この混合物を日本製鋼所社製TEX30型二軸押出
機に供給し、280℃のシリンダー温度にて溶融混練し
た後、該押出機のダイスより押し出された溶融樹脂を水
槽にて冷却後、ストランドカッターによりペレット化し
た。
【0041】続いて、このようにして得られた熱可塑性
樹脂組成物のペレットを、120℃で8時間真空乾燥さ
せた後、FANUC社製AUTOSHOT−C30A型
射出成型機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度
80℃、射出速度100mm/secの条件で、それぞ
れテストピースを成形した。そこで、このようにして成
形された各テストピースについて、機械的性質の測定を
行った。実施例1〜4において、上述のようにして得ら
れた熱可塑性樹脂組成物の組成(すなわち、各構成成分
の配合割合、以下の各実施例および比較例において同
じ)およびその物性の測定結果を、それぞれ、表1に示
す。また、各実施例において、上記ペレットの透過型電
子顕微鏡写真による観察の結果、得られた熱可塑性樹脂
組成物は、分散相がコア−シェル型粒子構造であること
が確認された。
【0042】
【表1】
【0043】比較例1〜4 エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分(D)〕
を、EPRに代えて無水マレイン酸変性エチレン・プロ
ピレンランダム共重合体(以下、「MAH−EPR」と
略記する)としたこと以外は、比較例1においては実施
例1と、比較例2においては実施例2と、比較例3にお
いては実施例3と、そして、比較例4においては実施例
4と全く同様の操作を行った。比較例1〜4において、
得られた熱可塑性樹脂組成物の組成およびその物性の測
定結果を、それぞれ、表2に示す。各比較例とも、得ら
れた熱可塑性樹脂組成物は、実施例1〜4の場合と比べ
て、アイゾット衝撃強度および吸水時曲げ弾性率が著し
く劣るものであった。また、各比較例とも、ペレットの
透過型電子顕微鏡写真による観察の結果、得られた熱可
塑性樹脂組成物は、分散相がコア−シェル型粒子構造を
呈していないものであることが判った。
【0044】
【表2】
【0045】実施例5〜7 芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体〔成分
(C)〕として、水添スチレン・イソプレントリブロッ
ク共重合体(以下、「SEPS」と略記する)の代わり
に、スチレン・ブタジエントリブロック共重合体(SB
S)(実施例5の場合)、水添スチレン・ブタジエント
リブロック共重合体(SEBS)(実施例6の場合)お
よび水添スチレン・ブタジエンランダム共重合体(H−
SBR)(実施例7の場合)をそれぞれ用いたこと以外
は、実施例1と全く同様の操作を行った。各実施例にお
いて、得られた熱可塑性樹脂組成物の組成およびその物
性の測定結果を、それぞれ、表3に示す。また、各実施
例において、ペレットの透過型電子顕微鏡写真による観
察の結果、得られた熱可塑性樹脂組成物は、分散相がコ
ア−シェル型粒子構造であることが確認された。
【0046】比較例5〜7 エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分(D)〕と
して、EPRの代わりにMAH−EPRを用いたこと以
外は、比較例5においては実施例5と、比較例6におい
ては実施例6と、そして、比較例7においては実施例7
と全く同様の操作を行った。比較例5〜7において、得
られた熱可塑性樹脂組成物の組成およびその物性の測定
結果を、それぞれ、表3に示す。各比較例とも、得られ
た熱可塑性樹脂組成物は、実施例5〜7の場合と比べ
て、アイゾット衝撃強度および吸水時曲げ弾性率が著し
く劣るものであった。また、各比較例とも、ペレットの
透過型電子顕微鏡写真による観察の結果、得られた熱可
塑性樹脂組成物は、分散相がコア−シェル型粒子構造を
呈していないものであることが判った。
【0047】
【表3】
【0048】実施例8 ポリアミド樹脂〔成分(A)〕の配合量を50重量部に
変えて60重量部としたこと、および、エチレン・α−
オレフィン系共重合体〔成分(D)〕としてのEPRの
配合量を20重量部に変えて10重量部としたこと以外
は、実施例1と全く同様の操作を行った。得られた熱可
塑性樹脂組成物の組成およびその物性の測定結果を表4
に示す。また、ペレットの透過型電子顕微鏡写真による
観察の結果、得られた熱可塑性樹脂組成物は、分散相が
コア−シェル型粒子構造であることが確認された。
【0049】実施例9 ポリアミド樹脂〔成分(A)〕の配合量を50重量部に
変えて40重量部としたこと、変性ポリフェニレンエー
テル重合体〔成分(B)〕の配合量を20重量部に変え
て25重量部としたこと、芳香族ビニル化合物−脂肪族
炭化水素共重合体〔成分(C)〕としてのSEPSの配
合量を10重量部に変えて20重量部としたこと、およ
び、エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分
(D)〕としてのEPRの配合量を20重量部に変えて
15重量部としたこと以外は、実施例1と全く同様の操
作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物の組成および
その物性の測定結果を表4に示す。また、ペレットの透
過型電子顕微鏡写真による観察の結果、得られた熱可塑
性樹脂組成物は、分散相がコア−シェル型粒子構造であ
ることが確認された。
【0050】比較例8および9 エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分(D)〕と
して、EPRの代わりにMAH−EPRを用いたこと以
外は、比較例8においては実施例8と、そして、比較例
9においては実施例9と全く同様の操作を行った。比較
例8および9において、得られた熱可塑性樹脂組成物の
組成およびその物性の測定結果を、それぞれ、表4に示
す。各比較例とも、得られた熱可塑性樹脂組成物は、実
施例8および9の場合と比べて、アイゾット衝撃強度お
よび吸水時曲げ弾性率がかなり劣るものであった。ま
た、各比較例とも、ペレットの透過型電子顕微鏡写真に
よる観察の結果、得られた熱可塑性樹脂組成物は、分散
相がコア−シェル型粒子構造を呈していないものである
ことが判った。
【0051】比較例10 変性ポリフェニレンエーテル重合体〔成分(B)〕とし
ての無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル重合体
(以下、「MAH−PPE」と略記する)の配合量を2
0重量部に変えて25重量部としたこと、芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体〔成分(C)〕として
のSEPSの配合量を10重量部に変えて0重量部とし
たこと、すなわち、SEPSを配合しなかったこと、お
よび、エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分
(D)〕としてのEPRの配合量を20重量部に変えて
25重量部としたこと以外は、実施例1と全く同様の操
作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物の組成および
その物性の測定結果を表4に示す。この熱可塑性樹脂組
成物は、実施例1の場合と比べてアイゾット衝撃強度お
よび吸水時曲げ弾性率が著しく劣っていた。また、ペレ
ットの透過型顕微鏡写真による観察の結果、得られた熱
可塑性樹脂組成物は、分散相がコア−シェル型粒子構造
を呈していないものであることが判った。
【0052】比較例11 変性ポリフェニレンエーテル重合体〔成分(B)〕とし
てのMAH−PPEの配合量を20重量部に変えて40
重量部としたこと、および、エチレン・α−オレフィン
系共重合体〔成分(D)〕としてのEPRの配合量を2
0重量部に変えて0重量部としたこと、すなわち、EP
Rを配合しなかったこと以外は、実施例1と全く同様の
操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物の組成およ
びその物性の測定結果を表4に示す。この熱可塑性樹脂
組成物は、実施例1の場合と比べて、アイゾット衝撃強
度および吸水時曲げ弾性率が著しく劣るものであった。
また、ペレットの透過型顕微鏡写真による観察の結果、
得られた熱可塑性樹脂組成物は、分散相がコア−シェル
型粒子構造を呈していないものであることが判った。
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ポ
リアミド/ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に特定の
芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体/エチレ
ン・α−オレフィン系共重合体を特定の割合で加えるこ
とにより、良好な機械的強度、耐熱性などのバランスを
有し、かつ、成形加工性にも優れており、また、従来公
知のポリアミド系樹脂組成物では得られなかった、吸水
時の剛性低下を少なくした優れた熱可塑性樹脂組成物を
提供することができる。したがって、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、電気・電子部品、自動車部品、機械部品
など幅広い分野に使用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明は、ポリアミド樹脂(A)、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリ
フェニレンエーテル重合体(以下、単に「変性ポリフェ
ニレンエーテル重合体」という)(B)、芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)およびエチレン
・α−オレフィン系共重合体(D)からなる樹脂組成物
において、該樹脂組成物全体に対して、ポリアミド樹脂
(A)が40〜75重量部、変性ポリフェニレンエーテ
ル重合体(B)が5〜30重量部、芳香族ビニル化合物
−脂肪族炭化水素共重合体(C)が1〜30重量部、な
らびにエチレン・α−オレフィン系共重合体(D)が1
〜30重量部(ただし、成分(A)、成分(B)、成分
(C)および成分(D)の合計は100重量部)からな
り、ポリアミド樹脂(A)がマトリックス相を形成する
一方、変性ポリフェニレンエーテル重合体(B)、芳香
族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)および
エチレン・α−オレフィン系共重合体(D)が、成分
(B)をシェル相とし、成分(C)を中間相とし、そし
て成分(D)をコア相とするコア−シェル型粒子構造の
分散相を呈する組成物であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物、さらには、該組成物において、前記芳香族
ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)が水添ま
たは非水添スチレン・ブタジエン共重合体、あるいは水
添または非水添スチレン・イソプレン共重合体であるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関するものであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【化1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】また、以下の各実施例および比較例におい
て得られた熱可塑性樹脂組成物の構成成分としては、下
記の原料を使用した。 (1)ポリアミド樹脂〔成分(A)〕 数平均分子量15000のナイロン6,6(PA)を使
用した。 (2)変性ポリフェニレンエーテル重合体〔成分
(B)〕 変性前のポリフェニレンエーテルとして、2,6−キシ
レノールを単独重合することによって得られた、ポリマ
ー濃度0.5重量%のクロロホルム溶液中の25℃での
相対粘度が0.45のものを用いた。この、ポリフェニ
レンエーテル(PPE)と、無水マレイン酸を280℃
で溶融混練することにより、あらかじめ無水マレイン酸
変性ポリフェニレンエーテル重合体(MAH−PPE)
を準備した。なお、このMAH−PPEは、無水マレイ
ン酸濃度を、無水マレイン酸とPPEの混合物により、
まえもって作成しておいた赤外吸収スペクトルの検量線
より求めた結果、無水マレイン酸が0.2重量%含まれ
るものであった。 (3)芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体
〔成分(C)〕 (a)水添スチレン・イソプレンブロック共重合体:ク
ラレ社製SEPSトリブロック共重合体SEPTON2
023(SEPS)を用いた。 (b)スチレン・ブタジエンブロック共重合体:日本合
成ゴム社製SBSトリブロック共重合体TR2400
(SBS)を用いた。 (c)水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体:シ
ェル化学社製SEBSトリブロック共重合体Krato
nG−1651(SEBS)を用いた。 (d)水添スチレン・ブタジエンランダム共重合体:日
本合成ゴム社製DYNARON 1910P(H−SB
R)を用いた。 (4)エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分
(D)〕 230℃、荷重2.16kgにおけるMFR(メルトフ
ローレート)が0.4g/10分のエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体(EPR)を用いた。 (5)無水マレイン酸変性エチレン・α−オレフィン系
共重合体〔成分(D)〕 上記第(4)項のエチレン・プロピレンランダム共重合
体を、ラジカル開始剤の共存下で、無水マレイン酸と溶
融混練することによって得られた、無水マレイン酸濃度
が0.1重量%の無水マレイン酸変性エチレン・プロピ
レンランダム共重合体(MAH−EPR)を用いた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【表1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【表2】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【表3】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】
【表4】
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明は、ポリアミド樹脂(A)、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリ
フェニレンエーテル重合体(以下、単に「変性ポリフェ
ニレンエーテル重合体」という)(B)、芳香族ビニル
化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)およびエチレン
・α−オレフィン系共重合体(D)からなる樹脂組成物
において、該樹脂組成物全体に対して、ポリアミド樹脂
(A)が40〜75重量部、変性ポリフェニレンエーテ
ル重合体(B)が5〜30重量部、芳香族ビニル化合物
−脂肪族炭化水素共重合体(C)が1〜30重量部、な
らびにエチレン・α−オレフィン系共重合体(D)が1
〜30重量部(ただし、成分(A)、成分(B)、成分
(C)および成分(D)の合計は100重量部)からな
り、ポリアミド樹脂(A)がマトリックス相を形成する
一方、変性ポリフェニレンエーテル重合体(B)、芳香
族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)および
エチレン・α−オレフィン系共重合体(D)が、成分
(B)をシェル相とし、成分(C)を中間相とし、そし
て成分(D)をコア相とするコア−シェル型粒子構造の
分散相を呈する組成物であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物、さらには、該組成物において、前記芳香族
ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体(C)が水添ま
たは非水添スチレン・ブタジエン共重合体、あるいは水
添または非水添スチレン・イソプレン共重合体であるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関するものであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【化1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】また、以下の各実施例および比較例におい
て得られた熱可塑性樹脂組成物の構成成分としては、下
記の原料を使用した。 (1)ポリアミド樹脂〔成分(A)〕 数平均分子量15000のナイロン6,6(PA)を使
用した。 (2)変性ポリフェニレンエーテル重合体〔成分
(B)〕 変性前のポリフェニレンエーテルとして、2,6−キシ
レノールを単独重合することによって得られた、ポリマ
ー濃度0.5重量%のクロロホルム溶液中の25℃での
相対粘度が0.45のものを用いた。この、ポリフェニ
レンエーテル(PPE)と、無水マレイン酸を280℃
で溶融混練することにより、あらかじめ無水マレイン酸
変性ポリフェニレンエーテル重合体(MAH−PPE)
を準備した。なお、このMAH−PPEは、無水マレイ
ン酸濃度を、無水マレイン酸とPPEの混合物により、
まえもって作成しておいた赤外吸収スペクトルの検量線
より求めた結果、無水マレイン酸が0.2重量%含まれ
るものであった。 (3)芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共重合体
〔成分(C)〕 (a)水添スチレン・イソプレンブロック共重合体:ク
ラレ社製SEPSトリブロック共重合体SEPTON2
023(SEPS)を用いた。 (b)スチレン・ブタジエンブロック共重合体:日本合
成ゴム社製SBSトリブロック共重合体TR2400
(SBS)を用いた。 (c)水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体:シ
ェル化学社製SEBSトリブロック共重合体Krato
nG−1651(SEBS)を用いた。 (d)水添スチレン・ブタジエンランダム共重合体:日
本合成ゴム社製DYNARON 1910P(H−SB
R)を用いた。 (4)エチレン・α−オレフィン系共重合体〔成分
(D)〕 230℃、荷重2.16kgにおけるMFR(メルトフ
ローレート)が0.4g/10分のエチレン・プロピレ
ンランダム共重合体(EPR)を用いた。 (5)無水マレイン酸変性エチレン・α−オレフィン系
共重合体〔成分(D)〕 上記第(4)項のエチレン・プロピレンランダム共重合
体を、ラジカル開始剤の共存下で、無水マレイン酸と溶
融混練することによって得られた、無水マレイン酸濃度
が0.1重量%の無水マレイン酸変性エチレン・プロピ
レンランダム共重合体(MAH−EPR)を用いた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【表1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【表2】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【表3】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】
【表4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂(A)、α、β−不飽和
    カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリフェニレ
    ンエーテル重合体(B)、芳香族ビニル化合物−脂肪族
    炭化水素共重合体(C)およびエチレン・α−オレフィ
    ン系共重合体(D)からなる樹脂組成物において、該樹
    脂組成物全体に対して、前記成分(A)が40〜75重
    量部、前記成分(B)が5〜30重量部、前記成分
    (C)が1〜30重量部、ならびに前記成分(D)が1
    〜30重量部(ただし、成分(A)、成分(B)、成分
    (C)および成分(D)の合計は100重量部)からな
    り、前記成分(A)がマトリックス相を形成する一方、
    前記成分(B)、前記成分(C)および前記成分(D)
    が、成分(B)をシェル相とし、成分(C)を中間相と
    し、そして成分(D)をコア相とするコア−シェル型粒
    子構造の分散相を呈する組成物であることを特徴とする
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共
    重合体(C)が水添または非水添スチレン・ブタジエン
    共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ビニル化合物−脂肪族炭化水素共
    重合体(C)が水添または非水添スチレン・イソプレン
    共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
JP7162194A 1995-06-28 1995-06-28 熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH0912872A (ja)

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EP96304759A EP0751186A3 (en) 1995-06-28 1996-06-27 Thermoplastic resin composition
US08/671,196 US5710212A (en) 1995-06-28 1996-06-27 Thermoplastic resin composition

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7030190B2 (en) 2001-02-28 2006-04-18 Daicel-Degussa Ltd. Thermoplastic resin composition material and formed article comprising said material
JP2010509454A (ja) * 2006-11-13 2010-03-25 サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ ポリ(アリーレンエーテル)/ポリオレフィン組成物、方法、及び物品
JP2018507917A (ja) * 2015-07-14 2018-03-22 エルジー・ケム・リミテッド 変性ポリ(アリーレンエーテル)樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品
WO2020235662A1 (ja) * 2019-05-22 2020-11-26 株式会社クラレ 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び、成形品

Cited By (6)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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