JP4788149B2 - ポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂からなる樹脂組成物において、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂がナノメートルオーダーで分散したポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、非強化ポリアミド樹脂と同等の機械的強度を有しながら、耐熱性が大幅に改善され、更に従来技術で作製した組成物よりも靱性に大幅に優れるポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。
ポリアミド樹脂は、機械的特性、靭性に優れるなど、エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などの用途に広く使用されている。しかしナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミド樹脂は、ガラス転移温度が約50℃と低いため、自動車エンジン周り部品のような高温環境下での剛性(耐熱性)に関しては十分に満足できるものではなかった。
このようなポリアミド樹脂の欠点を補うために、高いガラス転移温度を有した非晶性樹脂をポリアミド樹脂に複合した樹脂組成物が提案されている。その代表例としてポリフェニレンエーテル樹脂(以下PPE樹脂と略す)をポリアミド樹脂に複合した樹脂組成物が提案されており、特許文献1にはポリアミド樹脂中にPPE樹脂が0.01〜10μmで分散した、耐熱性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が提案されている。しかしながら実施例でのPPE分散粒径は0.5μm以上と大きく、耐熱性の面で未だ不十分なものである。また引張伸びに代表される靭性に関しても、PPE分散粒径が大きいために非強化ポリアミド樹脂と比較すると大きく低下してしまう。
また特許文献2にはポリアミド樹脂中に、PPE樹脂、少なくとも2個のスチレン系ポリマーブロックと少なくとも2個のオレフィン系エラストマーブロックとより成る水添ブロック共重合体が1.2μm以下で分散した樹脂組成物が提案されている。(C)成分のゴム状重合体をアロイ化することにより靭性、耐衝撃性が大幅に改良されているが、室温における強度、剛性が低くなっている。
特開昭63−183954号公報(特許請求の範囲) 特開2004−256827号公報(特許請求の範囲)
本発明はポリアミド樹脂中にガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂を特定の分散状態(ナノメートルオーダー)で分散させることにより、非強化ポリアミド樹脂と同等の機械的強度を有しながら、耐熱性が大幅に改善され、更に従来技術で作製した組成物よりも靭性に大幅に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
(1)150℃以上の融点を有するポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の合計100重量%として、ポリアミド樹脂(a)50〜99重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)50〜1重量%から構成される樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂(a)と前記ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)を配合して、樹脂を可塑化する可塑化部と可塑化された溶融樹脂を溶融混練する混練部からなるシリンダー構成を有する二軸押出機に供給して、可塑化部のシリンダー温度をポリアミド樹脂(a)の融点〜融点+20℃の温度とし、混練部のシリンダー温度を100〜150℃として、樹脂温度を260℃〜350℃に制御しつつ0.3kWh/kg以上の混練エネルギーを付与して得るポリアミド樹脂組成物の製造方法、
(2)得られるポリアミド樹脂組成物が、該樹脂組成物中に電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において、ポリアミド樹脂(a)が連続相、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)が分散相を形成し、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)が1〜300nmの分散粒径で分散していることを特徴とする前記(1)記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
(3)得られるポリアミド樹脂組成物が、ポリアミド樹脂(a)の融点〜融点+40℃の温度で30分間溶融滞留させ、水浴にて冷却した樹脂組成物中に分散しているガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の分散粒径が1〜300nmであることを特徴とする前記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
(4)ポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の合計100重量%として、ポリアミド樹脂(a)70〜95重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)30〜5重量%から構成される樹脂組成物の製造方法であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
)前記ポリフェニレンエーテル樹脂が、α、β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体で変性したポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
)ポリアミド樹脂(a)の末端アミノ基濃度が3×10−5mol/g以上であることを特徴とする前記(1)〜()いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
)得られるポリアミド樹脂組成物が、ASTM−D638に従って23℃にて引張試験を行った際の引張伸びが80%以上であることを特徴とする前記(1)〜()いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、非強化ポリアミド樹脂と同等の機械的強度を有しながら、耐熱性が大幅に改善され、更に従来技術で作製した組成物よりも靭性に大幅に優れるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。ここで得られたポリアミド樹脂組成物は、例えば高温疲労特性の要求される機械部品、ハウジング材、シートなど、耐熱性と靭性の必要とされる部品に好ましく使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はポリアミド樹脂(a)中にガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)がナノメートルオーダーで分散したポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、ポリアミド樹脂と同等の機械的強度を有しながら、耐熱性が大幅に改善され、更に従来技術で作製した組成物よりも靭性に大幅に優れるポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。
本発明で用いられるポリアミド樹脂(a)とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの混合物などが挙げられる。
とりわけ好ましいポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、またナイロン6T/66コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/12、およびナイロン6T/6コポリマーなどのヘキサメチレテレフタルアミド単位を有する共重合体を挙げることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を耐衝撃性、成形加工性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として、1.5〜7.0の範囲のものが好ましく、特に2.0〜6.0の範囲のポリアミド樹脂が好ましい。
これらポリアミドの樹脂の末端アミノ基濃度には特に制限がないが、3×10−5mol/g以上であるものが相溶性向上の点から好ましい。ここで言う末端アミノ基濃度とは85%フェノール−エタノール溶媒にサンプルを溶解、チモールブルーを指示薬として使用して、塩酸水溶液にて滴定することで測定できる。
また、本発明のポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2ーメルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
本発明で用いられるガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)とは、示差走査熱量計にて融点を示さず、ガラス転移温度が100℃以上を有するものであれば特に制限はない。具体的にはポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン共重合体、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。中でもポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。ここで言う融点とは、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で昇温した際に現れる吸熱ピーク温度と定義する。またガラス転移温度とは示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/minの昇温速度で昇温した場合に現れる階段状吸熱ピークの中点の温度と定義する。
前記したポリフェニレンエーテル樹脂は、次に示す一般式[1]を繰り返し単位とし、構成単位が一般式[1]の[a]及び[b]からなる単独重合体あるいは共重合体が使用できる。
Figure 0004788149
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6 は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5、R6は同時に水素ではない)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を含む。
本発明におけるポリフェニレンエーテル樹脂は、前記したポリフェニレンエーテル単独重合体または共重合体にスチレン系重合体あるいは他の重合体がグラフトしているものも含む。
本発明で好ましく用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、α、β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体で変性したポリフェニレンエーテル樹脂であることがポリアミド樹脂との相溶性向上の点から好ましい。α、β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体としては、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸が最も好ましい。変性ポリフェニレンエーテル樹脂の作製方法に特に制限はないが、代表的にはポリフェニレンエーテル樹脂100重量部とα、β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体0.1〜10重量部、ラジカル発生剤0.01〜1重量部をドライブレンドし、シリンダー温度320℃にて溶融混練することにより作製することができる。
本発明のポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)の配合割合は、ポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)の合計100重量%として、ポリアミド樹脂(a)50〜99重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)50〜1重量%であり、好ましくは、ポリアミド樹脂70〜95重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂30〜5重量%である。ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)が30〜5重量%である場合には、非晶性樹脂添加量が少ないため該組成物はポリアミド樹脂と同等の高靭性を有し、また分散する非晶性樹脂の粒径が小さくなり耐熱性も付与することができるため好ましい。ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)が1重量%未満では耐熱性の改良効果が得にくく、また50重量%を越えると機械的特性、靭性が大幅に低下するため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(a)が連続相、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)が分散相を形成し、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)が1〜300nmの範囲の分散粒径で分散している必要がある。ここで言う分散粒径とは、溶融混練して吐出後、即座に水浴にて冷却しカッティングして得たペレット(溶融混練後ペレット)の中心部から0.1μm以下(約80nm)の薄片をダンベル片の断面積方向に切削し、透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察した際の任意の100ヶの分散粒子について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それら100ヶの平均値の平均値を求めた数平均粒子径である。特に好ましい分散粒径の範囲は10〜150nmである。ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)の分散粒径が1〜300nmの範囲以外の場合には、本発明の課題である機械的特性に優れ、且つ耐熱性、靱性が大幅に改良されたポリアミド樹脂組成物を得ることができない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、溶融混練時の剪断下で相溶し、吐出後の非剪断下で相分離するスピノーダル分解により作製されるのではなく、溶融混練時の剪断下でも相溶しない非相溶状態から作製することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物における分散構造は安定であり、溶融滞留させた場合にも分散するガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の粒径に大きな変化がない。本発明のポリアミド樹脂組成物をメルトインデクサーに仕込み、ポリアミド樹脂の融点〜融点+40℃の温度で30分間溶融滞留させた後、溶融組成物を吐出し、水浴にて冷却したサンプルにおける非晶性樹脂の分散粒径が1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。このように本発明のポリアミド樹脂組成物は、溶融滞留後においても分散粒径に大きな変化がないため、長時間溶融滞留させた後に得た成形品においても溶融滞留させずに得た成形品と比較して機械特性が大幅に低下することはない。溶融滞留後のガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の分散粒径が1〜300nmの範囲以外の場合には、溶融滞留条件によっては本発明の課題である機械特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができなくなるため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ASTM−D638に従って23℃にて引張試験を行った際の引張伸びが80%以上であることが好ましく、120%以上であることが更に好ましい。引張伸びが80%未満の場合には、成形品、シート、フィルム、チューブに成形した際に靭性に乏しい材料しか得ることができないため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物にはポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)の相溶性を向上させる目的で相溶化剤を添加することができる。相溶化剤の具体的な例としては、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランなどの有機シラン化合物および多官能エポキシ化合物などが挙げられ、これらは2種以上同時に使用することもできる。ここで多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子中に2個以上含むものであり、液体または固体状のものを使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィンとアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸グリシジルエステルとの共重合体、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン等のビスフェノール−グリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系エポキシ化合物、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させたノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。好ましくはポリアミド樹脂、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の両方と反応性の高いビスフェノール−グリシジルエーテル系エポキシ化合物、エポキシ基を有する有機シラン化合物が用いられる。
相溶化剤の配合割合はポリアミド樹脂およびガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部以下の添加量においては十分な相溶性向上効果が得られず、10重量部を超える場合はポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が著しく増加し流動性が低下するため好ましくない。
更に本発明においては、熱安定性を保持するために、フェノール系、リン系化合物の中から選ばれた1種以上の酸化防止剤を含有せしめることが好ましい。かかる酸化防止剤の配合量は、耐熱改良効果の点から(a)および(b)の合計100重量部に対して、0.01重量部以上、特に0.02重量部以上であることが好ましく、成形時に発生するガス成分の観点からは、5重量部以下、特に1重量部以下であることが好ましい。また、フェノール系及びリン系酸化防止剤を併用して使用することは、特に耐熱性、熱安定性、流動性保持効果が大きく好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ、具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−t−ブチル−(5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
中でも、エステル型高分子ヒンダードフェノールタイプが好ましく、具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが好ましく用いられる。
次にリン系酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジーブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。中でも、ポリアミド樹脂のコンパウンド中に酸化防止剤の揮発や分解を少なくするために、酸化防止剤の融点が高いものが好ましく用いられる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂以外の樹脂を添加することが可能である。但し、本発明のポリアミド樹脂組成物全体100重量部に対して30重量部を超えるとポリアミド樹脂本来の特徴が損なわれるため好ましくなく、特に20重量部以下の添加が好ましく使用される。
樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重宿合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも本発明のポリアミド樹脂組成物全体100重量部に対して20重量部を越えるとポリアミド樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量部以下、更に好ましくは1重量部以下の添加が良い。
本発明の方法により得られるポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して使用することも可能である。かかる充填材の具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これらの充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造に用いる混練機は、2軸の押出機であり、原料を供給してポリアミド樹脂の融点以上の加工温度で混練する方法である。本発明のモルホロジーおよび分散するガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の粒径を上述の如くコントロールするためには、押出時の混練エネルギー(吐出量あたりの押出機仕事量(kW/(kg/h)))を大きくすることが必要である。これによってガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂をポリアミド樹脂中に微分散化できる。混練エネルギーは、0.3以上であり、特に好ましくは0.5以上である。しかしながら、通常混練エネルギーを大きくするとせん断による発熱で樹脂温度が上昇し、ポリアミド樹脂の熱分解を引き起こし、目的の相分離構造を形成することが困難となる。そのため押出時の樹脂温度は260℃〜350℃にする必要があり、280℃〜340℃にすることが更に好ましい。このように混練エネルギーと樹脂温度を制御することにより、目的の樹脂相分離構造を形成することが可能となる。具体的には、通常2軸押出機のシリンダー構成は、投入された樹脂を可塑化する可塑化部と可塑化された溶融樹脂を溶融混練する混練部に分けることができるが、2軸押出機を使用して溶融混練する際のシリンダー温度について、可塑化部をポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度とし、混練部のシリンダー温度を発熱を抑えるために100〜150℃の範囲とすることで上記条件が達成できる。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
本発明の製造方法で得られるポリアミド樹脂組成物は、機械的特性、靭性、耐熱性にバランスして優れることから射出成形体用途に特に有用である。またその特徴を活かして、例えば高温疲労特性の要求される機械部品、ハウジング材、シートなど、耐熱性と靭性の必要とされる部品に好ましく使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。材料特性評価については下記の方法に従って行った。
[樹脂温度]2軸押出機において溶融混練する際に押出機ダイより吐出される溶融樹脂を温度計により測定した。
[分散粒径]分散するガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂の分散粒子径は以下の要領で測定した。サンプルから0.1μm以下(約80nm)の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で倍率1万倍にて観察して得られた写真から、任意のPPE樹脂分散粒子100ヶの分散部分について画像処理ソフト「Scion Image」を用いて、各々の粒子の最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それら100ヶの平均値の数平均値を求めた。測定は以下の3つの態様について行った。
溶融混練後ペレット:溶融混練して吐出後、即座に水浴にて冷却しカッティングして得たペレットの中心部
30分間溶融滞留後サンプル:溶融混練後ペレットを80℃で12時間真空乾燥したものをポリアミドの融点+35℃に設定したメルトインデクサー(東洋精機製)を用いて静置場にて溶融滞留させ、30分後に吐出し水浴にて冷却して得たサンプルの中心部
射出成形片:住友重機社製SG75H−MIVを使用し、シリンダー温度300℃、金型温度80℃により成形したASTM1号ダンベル片の中心部
[引張試験]射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度80℃)により調製したASTM1号ダンベルを用い、ASTM−D638に従って23℃にて引張試験を行い、強度、破断伸度を測定した。
[アイゾット衝撃試験]射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度80℃)により調製した1/8インチノッチ付き試験片を用い、ASTM−D256に従って23℃にて測定した。
[動的粘弾性]溶融混練後ペレットから溶融温度300℃、金型温度80℃により調整したプレスフィルムを用いて、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)により、窒素雰囲気下、2℃/分の昇温速度にて測定した。測定データにおける貯蔵弾性率を高温時の剛性を評価する指標とした。
[実施例1〜]、[比較例1〜4]
下に示す各成分を表1に記載の各割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機で、シリンダー温度、スクリュー回転数を表1に示した条件に設定して溶融混練し、ダイから吐出されるガットは即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で12時間真空乾燥したペレットを用い、射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度80℃)により試験片を調製した。各サンプルの機械的特性、高温剛性を評価した結果は表1に示すとおりである。本実施例では比較例1〜4と比較して、靭性、耐熱性にバランスして優れるものであった。
溶融混練後ペレット、30分間溶融滞留後サンプル、及び射出成形片(溶融滞留2分)に関して、透過型電子顕微鏡を用いて分散する非晶性樹脂の分散粒径を測定した。本実施例では溶融混練後ペレット、30分間溶融滞留後サンプル共に非晶性樹脂が1〜300nmの粒径で分散しており、2分間溶融滞留させて作製した射出成形片においても、分散粒径は溶融混練後ペレットとほぼ同等の分散粒径であった。一方、比較例1〜4では目的の樹脂相分離構造が形成されていなかった。
[比較例5]
ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)の代わりにポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂を用いた以外は実施例1と同様の方法によりサンプルを調製し、評価を行った。サンプルの機械的特性、耐熱性を評価した結果を表1に示すが、本実施例と比較して、靭性、耐熱性のバランスに劣るものであった。
本実施例および比較例に用いたポリアミド樹脂(a)は以下の通りである。
(A−1):融点265℃、末端アミノ基濃度4.0×10−5mol/g、98%硫酸1g/dlでの相対粘度3.70のナイロン66樹脂。
(A−2):融点265℃、末端アミノ基濃度11.5×10−5mol/g、98%硫酸1g/dlでの相対粘度2.65のナイロン66樹脂。
(A−3):融点225℃、末端アミノ基濃度4.5×10−5mol/g、98%硫酸1g/dlでの相対粘度3.40のナイロン6樹脂。
同様に、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂(b)は以下の通りである。
(B−1):ガラス転移温度220℃、固有粘度が0.50dL/g(30℃、クロロホルム中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂(PPE樹脂)。
(B−2):前記(B−1)100重量部と無水マレイン酸1重量部とラジカル発生剤(パーヘキシン25B:日本油脂製)0.1重量部をドライブレンドし、シリンダー温度320℃にて溶融混練して得た変性PPE樹脂。
(B−3):ガラス転移温度214℃のポリエーテルイミド樹脂(GEプラスチックス社製:ウルテム1010)。
同様に、PPS樹脂は以下の通りである。
(C−1):融点280℃、MFR=100g/30分(315.5℃、5kg荷重)のPPS樹脂。
同様に、相溶化剤は以下の通りである。
(D−1):エポキシ当量875〜975、分子量1600のビスフェノールA型エポキシ樹脂。
Figure 0004788149

Claims (7)

  1. 150℃以上の融点を有するポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の合計100重量%として、ポリアミド樹脂(a)50〜99重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)50〜1重量%から構成される樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂(a)と前記ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)を配合して、樹脂を可塑化する可塑化部と可塑化された溶融樹脂を溶融混練する混練部からなるシリンダー構成を有する二軸押出機に供給して、可塑化部のシリンダー温度をポリアミド樹脂(a)の融点〜融点+20℃の温度とし、混練部のシリンダー温度を100〜150℃として、樹脂温度を260℃〜350℃に制御しつつ0.3kWh/kg以上の混練エネルギーを付与して得るポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  2. 得られるポリアミド樹脂組成物が、該樹脂組成物中に電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において、ポリアミド樹脂(a)が連続相、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)が分散相を形成し、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)が1〜300nmの分散粒径で分散していることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  3. 得られるポリアミド樹脂組成物が、ポリアミド樹脂(a)の融点〜融点+40℃の温度で30分間溶融滞留させ、水浴にて冷却した樹脂組成物中に分散しているガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の分散粒径が1〜300nmであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  4. ポリアミド樹脂(a)とガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)の合計100重量%として、ポリアミド樹脂(a)70〜95重量%、ガラス転移温度100℃以上を有する非晶性樹脂であるポリフェニレンエーテル樹脂またはポリエーテルイミド樹脂(b)30〜5重量%から構成される樹脂組成物の製造方法であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記ポリフェニレンエーテル樹脂が、α、β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体で変性したポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  6. ポリアミド樹脂(a)の末端アミノ基濃度が3×10 −5 mol/g以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  7. 得られるポリアミド樹脂組成物が、ASTM−D638に従って23℃にて引張試験を行った際の引張伸びが80%以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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