JP2000119454A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2000119454A
JP2000119454A JP10314110A JP31411098A JP2000119454A JP 2000119454 A JP2000119454 A JP 2000119454A JP 10314110 A JP10314110 A JP 10314110A JP 31411098 A JP31411098 A JP 31411098A JP 2000119454 A JP2000119454 A JP 2000119454A
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inorganic filler
weight
thermoplastic resin
resin composition
polyphenylene ether
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JP10314110A
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Yoshihiro Kurasawa
義博 倉沢
Kiyoji Takagi
喜代次 高木
Hiroshi Nakajima
大士 中島
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度と耐熱性に優れ、且つウエルド強
度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜7
0重量部とポリオレフィン樹脂30〜90重量部との合
計100重量部に対して、無機充填材1〜100重量部
を含む熱可塑性樹脂組成物において、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂が分散相をポリオレフィン樹脂が連続相を
形成し、該無機充填材の75重量%以上がポリフェニレ
ンエーテル系樹脂中に存在する熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関し、詳しくは、機械的強度、耐熱性に優れ、且つ
ウエルド強度に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は、難燃
性、耐熱性、寸法安定性、非吸湿性及び電気特性などに
優れたエンジニアリングプラスチックスとして知られて
いるが、溶融流動性が劣り成形加工が困難である為、一
般にポリスチレン樹脂とのブレンド物として使用されて
おり、電気、電子部品や自動車用部品、OA機器の部品
等に使われている。
【0003】しかしながら、このブレンド物は非晶性樹
脂同士の組み合わせであり、ポリフェニレンエーテル樹
脂と同様、耐薬品性が不十分であるという欠点を有す
る。一方、ポリオレフィン樹脂は、成形加工性、耐薬品
性、機械的強度に優れ、低比重で安価なプラスチックス
として、自動車部品や電気・電子機器部品、家電製品等
の分野で使用されているが、耐熱性が不十分である。
【0004】そこで、この二つの樹脂を混ぜ合わせ、互
いの短所を補い、長所を引き出せば、成形性、機械的強
度、耐熱性、耐薬品性、コストに優れた樹脂となり、よ
り広い分野での利用が可能となり、その工業的意味は非
常に大きいものといえることが考えられる。しかしなが
らポリフェニレンエーテル樹脂とポリオレフィン樹脂は
相溶性が悪く、ただ混ぜただけでは機械的強度が低く実
用には耐え難い材料である。そこで両者の相溶性を向上
させ、機械的強度を改良することを目的として様々な改
良がなされており、例えば、特開昭63−225642
号公報には、部分水素添加ブロック共重合体を用いるこ
とが開示されている。
【0005】しかしながら、こうした材料は、両者の相
溶性は改良され、機械的強度は改善されているものの、
ウエルド強度が低いといった欠点は残されたままであっ
た。実際の射出成形品にあっては、ウエルドは殆どの場
合に発生する為、ウエルド強度が低いことは大きな欠点
となり、実用上問題を生じる。また、ブロー成形におい
ては、ピンチオフといわれる、射出成形のウエルドに相
当する部分が発生する為、この部分の強度が問題となっ
てくる。更に、成形品の後加工においても、例えば熱溶
着を行う場合にも、ウエルド強度の低い材料は溶着強度
も低く、実用上問題を生じるケースが多かった。
【0006】こうした問題を解決する為に、例えば、特
開平2−103243号公報には、ポリフェニレンエー
テル樹脂とポリオレフィン樹脂からなる組成物にエポキ
シ基含有ポリオレフィンを添加することが開示され、特
開平3−185060号公報には、同一分子鎖内にアル
ケニル芳香族化合物重合連鎖と脂肪族炭化水素連鎖を併
せ持つ重合体及びエステル基含有エチレン共重合体を配
合することが開示されているが、いずれの場合も、剛
性、強度といった機械的性質や耐熱性が低下するという
問題があり、機械的強度、耐熱性に優れ、且つウエルド
強度に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることは困難であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
フェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン樹脂のブレ
ンド物からなり、機械的強度と耐熱性に優れ、且つウエ
ルド強度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を解
決するためになされたものであり、その要旨は、ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂10〜70重量部とポリオレフ
ィン樹脂30〜90重量部との合計100重量部に対し
て、無機充填材1〜100重量部を含む熱可塑性樹脂組
成物において、ポリフェニレンエーテル系樹脂が分散相
をポリオレフィン樹脂が連続相を形成し、該無機充填材
の75重量%以上がポリフェニレンエーテル系樹脂中に
存在することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存す
る。
【0009】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポ
リフェニレンエーテル、およびポリフェニレンエーテル
とスチレン系樹脂の混合物などが挙げられる。ポリフェ
ニレンエーテルとしては、下記一般式(1)で示される
構造を有する単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】式(1)中、Q1は、各々、ハロゲン原
子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基、ア
ミノアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オ
キシ基を表し、Q2は、各々、水素原子、ハロゲン原
子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基、ハ
ロアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキ
シ基を表し、mは10以上の数を表す。
【0012】Q1及びQ2の第一級アルキル基の例として
は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−
ブチル、n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、
n−ヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−若
しくは4−メチルペンチルおよびヘプチル等が挙げられ
る。第二級アルキル基の例としては、好ましくは、イソ
プロピル、sec−ブチルおよび1−エチルプロピル等
が挙げられる。多くの場合、Q1はアルキル基又はフェ
ニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であり、Q2
水素原子である。
【0013】ポリフェニレンエーテルとしては、単独重
合体および共重合体が挙げられる。ポリフェニレンエー
テルの単独重合体としては、例えば、2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンエ−テル単位からなる重合体が挙
げられる。共重合体としては、例えば、上記単位と2,
3,6―トリメチル―1,4―フェニレンエ−テル単位
との組合せからなるランダム共重合体が挙げられる。多
くのポリフェニレンエーテルの単独重合体又はランダム
共重合体が、特許及び文献に記載されている。例えば、
分子量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を改良
する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルもまた
好適である。
【0014】ポリフェニレンエーテルの固有粘度は、ク
ロロホルム中30℃での測定で、好ましくは0.2〜
0.8dl/gである。固有粘度が0.2dl/g未満
であると樹脂組成物の耐衝撃性が不足し、0.8dl/
gを越えると成形性が不充分である。ポリフェニレンエ
ーテルの固有粘度は、より好ましくは0.2〜0.7d
l/gであり、最も好ましくは0.25〜0.6dl/
gである。
【0015】本発明におけるスチレン系樹脂としては、
スチレンを含有する単量体を重合してなる重合体や共重
合体が挙げられ、具体例としては、ポリスチレン、ゴム
強化ポリスチレン等が挙げられる。スチレン系樹脂の割
合は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂の合計
を100重量%したとき、好ましくは0〜80重量%で
ある。スチレン系樹脂が80重量%を越えると耐熱性が
低下しやすい。スチレン系樹脂の割合は、ポリフェニレ
ンエーテルとスチレン系樹脂の合計を100重量%した
とき、より好ましくは0〜70重量%であり、最も好ま
しくは10〜60重量%である。
【0016】本発明におけるポリオレフィン樹脂として
は、α−オレフィンの単独重合体もしくはランダム、ブ
ロック等の共重合体、及びα−オレフィンと他のコモノ
マーとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンと他の
コモノマーとの共重合体におけるα−オレフィンの割合
は、好ましくは50重量%以上である。α−オレフィン
としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、
3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙
げられる。
【0017】コモノマーとしては、ブタジエン、イソプ
レン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン4
−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン、等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、酢酸ビニル、メタクリル酸メチルマレイン酸イミ
ド等の不飽和酸及びその誘導体、スチレン、α−メチル
スチレン等のアルケニル芳香族化合物等が挙げられ、こ
れらは単独もしくは2種類以上組み合わせて用いること
もできる。
【0018】ポリオレフィン樹脂としては、非晶性のポ
リオレフィン樹脂や結晶性のポリオレフィン樹脂を用い
ることができるが、好ましくは結晶性のポリオレフィン
樹脂である。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、好
ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブ
テン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリ3−メチル
ブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが挙げら
れ、より好ましくは、結晶性ポリプロピレンが挙げられ
る。
【0019】ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート
(MFR)は、230℃、2.16Kg荷重での測定
で、好ましくは0.01〜300である。MFRが0.
01未満であると成形性が不足し、300を越えると機
械的強度が不充分である。ポリオレフィン樹脂のメルト
フローレート(MFR)は、より好ましくは0.01〜
100であり、最も好ましくは0.01〜50である。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるポリ
フェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン樹脂と重量
比率は、10/90〜70/30である。ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂が10重量部未満であると、耐熱性、
剛性が不充分であり、ポリプリピレン樹脂が30重量部
未満であると、成形性が不充分である。ポリフェニレン
エーテル系樹脂とポリオレフィン樹脂と重量比率は、好
ましくは15/85〜65/35であり、より好ましく
は20/80〜60/40である。
【0021】ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリオレ
フィン樹脂とは、熱可塑性樹脂組成物においてポリフェ
ニレンエーテル系樹脂が分散相を形成しポリオレフィン
樹脂が連続相を形成する。ポリフェニレンエーテル系樹
脂が分散相を形成しポリオレフィン樹脂が連続相を形成
することで、成形性や耐薬品性が改良される。
【0022】ポリフェニレンエーテル系樹脂が分散相を
形成し、ポリオレフィン樹脂がマトリックスを形成する
為には、ポリフェニレンエーテル系樹脂の溶融粘度ηa
と、ポリオレフィン樹脂の溶融粘度ηbの溶融粘度比ηa
/ηbが大きい方が好ましいが、ηa/ηbが大きすぎる
と衝撃強度が低下しやすい。溶融粘度比ηa/ηbは、2
80℃、剪断速度100sec-1での測定で、好ましく
は0.3〜100である。溶融粘度比ηa/ηbが0.3
未満であるとポリオレフィン樹脂がマトリックスを形成
しにくく、溶融粘度比ηa/ηbが100を越えると、衝
撃強度が低下する。溶融粘度比ηa/ηbは、280℃、
剪断速度100sec-1での測定で、より好ましくは
0.5〜50であり、最も好ましくは1〜30である。
【0023】本発明における無機充填材としては、熱可
塑性樹脂において一般に用いられる充填材であればよ
く、特に限定されるものではない。無機充填材として
は、好ましくは、粒状の無機充填材、板状の無機充填
材、繊維状の無機充填材などが挙げられる。粒状無機充
填材の例としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ガラ
スビーズ等が挙げられる。板状無機充填材としては、層
状ケイ酸塩(例えばタルク、マイカ、クレー)、ガラス
フレーク、グラファイト等が挙げられる。繊維状無機充
填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ワラ
ストナイト、チタン酸カリウムウイスカー、ケイ酸カル
シウムウイスカー、硫酸マグネシウムウイスカー、炭酸
カルシウムウイスカー、酸化チタンウイスカー、酸化亜
鉛ウイスカー等が挙げられる。
【0024】粒状無機充填材の粒径は、好ましくは0.
05〜20μmであり、更に好ましくは0.1〜10μ
mである。板状無機充填材の粒径は、好ましくは0.0
5〜20μmであり、更に好ましくは0.1〜10μm
である。繊維状無機充填材のの短径は、好ましくは0.
05〜5μmであり、更に好ましくは0.1〜2μmで
ある。無機充填材の粒径あるいは短径が大きすぎると、
耐衝撃性が低下しやすく、ポリフェニレンエーテル系樹
脂の分散相中に存在しにくくなり、小さすぎるものは製
造が困難である。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物における無機
充填材の割合は、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリ
オレフィン樹脂との合計量を100重量部に対し、1〜
100重量部である。無機充填材が1重量部未満である
と、機械的強度の向上が不十分かつ、ウエルド強度の改
良効果が不充分であり、100重量部を越えると耐衝撃
性が低下し成形外観も悪くなる。無機充填材の割合は、
ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン樹脂と
の合計量を100重量部に対し、好ましくは3〜80重
量部であり、より好ましくは5〜60重量部である。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
無機充填材の75重量%以上がポリフェニレンエーテル
系樹脂中に存在する。熱可塑性樹脂組成物における無機
充填材の存在場所は、走査型又は透過型電子顕微鏡等で
成形品やペレットのモルフォロジー観察をすることによ
って確認することができる。無機充填材の存在場所の定
量は、1,000〜50,000倍の倍率で得られた電
子顕微鏡写真を目視観察によって、あるいは画像処理に
よって、無機充填材の各樹脂相への存在個数を1,00
0個以上数え、個数平均での各相への存在割合を算出す
ることによって求めることができる。また、両相の界面
に存在し判別のつきにくいものについては各相へ0.5
個づつ加算するといった処理を施すことによって定量化
することができる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
無機充填材の80重量%以上がポリフェニレンエーテル
系樹脂中に存在することが好ましく、無機充填材の85
重量%以上がポリフェニレンエーテル系樹脂中に存在す
ることがより好ましい。無機充填材がポリフェニレンエ
ーテル系樹脂中に存在することでウエルド強度が改良さ
れる。
【0028】図−1は、実施例1の熱可塑性樹脂の走査
型顕微鏡による形態観察結果であり、図中、丸く分散相
を形成しているのがポリフェニレンエーテル系樹脂、連
続相を形成している部分がポリオレフィン樹脂、白く見
える部分が無機充填材の硫酸バリウムであり、無機充填
材がポリフェニレンエーテル樹脂中に存在することが確
認でき、無機充填材は、ポリフェニレンエーテル系樹脂
相に95%存在している。図−2は、比較例4の熱可塑
性樹脂の走査型顕微鏡による形態観察結果であり、図
中、丸く分散相を形成しているのがポリフェニレンエー
テル系樹脂、連続相を形成している部分がポリオレフィ
ン樹脂、白く見える部分が無機充填材の硫酸バリウムで
あり、無機充填材がポリオレフィン樹脂中に存在するこ
とが確認でき、無機充填材は、ポリオレフィン樹脂相中
に94%(ポリフェニレンエーテル系樹脂中に6%)存
在している。
【0029】無機充填材をポリフェニレンエーテル系樹
脂中に実質的に存在させる方法としては、無機充填材に
親和性又は反応性を示す官能基をポリフェニレンエーテ
ル系樹脂に導入する方法、ポリフェニレンエーテル系樹
脂に親和性または反応性を示す表面処理を無機充填材に
施す方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂と無機充填材
を予め溶融混練する方法等が挙げられるが特に限定され
るものではない。
【0030】本発明の樹脂組成物においては、ビニル芳
香族化合物−共役ジエン共重合体の水素添加物を含むこ
とが衝撃強度を向上させる為に好ましい。ビニル芳香族
化合物−共役ジエン共重合体の水素添加物におけるビニ
ル芳香族化合物に由来する繰り返し単位の占める割合
は、好ましくは50〜75重量%である。ビニル芳香族
化合物に由来する繰り返し単位の占める割合が50重量
%未満であると、剛性が低く、75重量%を越えると耐
衝撃性が低下する。ビニル芳香族化合物−共役ジエン共
重合体の水素添加物としては、好ましくは、ビニル芳香
族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体とか
らなるブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。
【0031】ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役
ジエン化合物重合体とからなるブロック共重合体として
は、ビニル芳香族化合物に由来する連鎖ブロックAと共
役ジエンに由来するブロックBを各々少なくとも一個有
する構造を持つビニル芳香族化合物ー共役ジエンブロッ
ク共重合体であり、ブロックAおよびBの配列は、線状
構造、或いは分技構造、テーパー構造をなすものを含
む。また、これらの構造のうちの一部にビニル芳香族化
合物と共役ジエンとのランダム共重合体部分に由来する
ランダム鎖を含んでいてもよい。これらのうちで線状構
造をなすものが好ましく、トリブロック構造をなすもの
がより好ましい。
【0032】ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役
ジエン化合物重合体とからなるブロック共重合体の水素
添加物としては、共役ジエンに由来するブロックBにお
ける脂肪族不飽和基が水素添加により減少したブロック
共重合体であり、水素添加されずに残存している不飽和
結合の割合は、好ましくは20%以下であり、より好ま
しくは10%以下である。また、水素添加していないブ
ロック共重合体と併用することもできる。
【0033】ビニル芳香族化合物としては、好ましく
は、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレ
ン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどが挙げられ、
更に好ましくは、スチレンなどが挙げられる。共役ジエ
ンとしては、好ましくは、1、3−ブタジエン、イソプ
レン、2−メチル−1、3ブタジエンなどが挙げられ
る。ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化
合物重合体とからなるブロック共重合体の具体例として
は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
等が挙げられ、これらは複数種使用してもよい。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物においてビニ
ル芳香族化合物−共役ジエン共重合体の水素添加物を含
有する場合、ビニル芳香族化合物−共役ジエン共重合体
の水素添加物の割合は、ポリフェニレンエーテル系樹脂
とポリオレフィン樹脂との合計量を100重量部に対
し、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜3
5重量部、最も好ましくは3〜30重量部である。ビニ
ル芳香族化合物−共役ジエン共重合体を配合すること
で、衝撃強度が向上するが、40重量部を越えると耐熱
性、成形外観などが低下する。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
必要に応じ他の成分を配合することができる。他の成分
としては、例えば、熱可塑性樹脂に周知の酸化防止剤、
耐候性改良剤、増核剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、流動性
改良剤、有機充填剤、補強剤等が挙げられる。実用のた
めに、各種着色剤、およびそれらの分散剤なども周知の
ものが使用できる。
【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
難燃性を付与する為に難燃剤を添加することもできる。
難燃剤としては、周知の難燃剤を用いることができ、例
えば、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤
などが挙げられ、好ましくはこれらを併用系が挙げられ
る。難燃剤の配合量は目的とする難燃レベルを得るため
に必要とされる量であり、例えば、樹脂成分100重量
部に対して、1〜50重量部程度を配合すればよい。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法と
しては、各種混練機、例えば、一軸および多軸混練機、
バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグ
ラム等で、上記成分を混練した後、冷却固化する方法や
適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の炭化水素およびその誘導体に上
記成分を添加し、溶解する成分同志あるいは、溶解する
成分と不溶解成分を懸濁状態でまぜる溶液混合法等が用
いられる。工業的には、コストの点から、好ましくは溶
融混練法が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の
成形方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂
組成物について一般に用いられている成形法、例えば、
射出成形、中空成形、押し出し成形、シート成形、熱成
形、回転成形、積層成形等の成形方法が適用できる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。実施例等においては原料
は次に示すものを用いた。 (a)ポリフェニレンエーテル(PPE):ポリ−2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル、三菱ガス
化学社製、30℃クロロホルム中で測定した固有粘度は
0.40dl/g。 (b)ハイインパクトポリスチレン(HIPS):ゴム
強化ポリスチレン、三菱化学社製、HT478。
【0039】(c)ポリオレフィン樹脂(PP−1):
プロピレン単独重合体、MFR2g/10min。 (d)ポリオレフィン樹脂(PP−2):プロピレン−
エチレンブロック共重合体、MFR10g/10mi
n。 (e)ポリオレフィン樹脂(PP−3):無水マレイン
酸グラフト変性プロピレン単独重合体、MFR50g/
10min,無水マレイン酸グラフト率0.7重量%。 (f)ビニル芳香族化合物ー共役ジエンブロック共重合
体の水素添物(SEPS):クラレ社製 商品名:セプ
トン2104、スチレン−イソプレン−スチレン共重合
体の水素添加物、スチレン含量65重量%。
【0040】(g)無機充填材−1:平均粒子径0.2
μmの硫酸バリウム。 (h)無機充填材−2:平均粒子径1.3μmのタル
ク。 (i)無機充填材−3:平均短径0.3μmのケイ酸カ
ルシウムウイスカー。 (j)無機充填材−4:平均短径10μmのガラス繊
維。 (k)無機充填材−5:平均短径600μmのガラスフ
レーク。
【0041】(l)アイゾット衝撃試験:ASTM D
256に従い、切り欠き付きアイゾット衝撃試験を行っ
た。 (m)曲げ弾性率、曲げ降伏点強度:ASTM D79
0による曲げ試験法に従い三点曲げ試験を行った。 (n)熱変形温度:ASTM D648に従い、4.6
kg/cm2の条件で、荷重たわみ試験を行った。
【0042】(o)ウエルド強度:曲げ試験片を両端に
ゲートを設けて成形し、試験片中央部分にウエルドを発
生させた。この試験片をASTM D790により曲げ
試験を行い、降伏点強度を求めた。また、この降伏点強
度を、非ウエルドの曲げ降伏点強度で除し100倍し、
ウエルド強度保持率とした。 (p)各相中に存在する無機充填材の存在割合:射出成
形で得た成形片を切り出し、射出成形方向に、垂直に面
だし操作を行い、四酸化ルテニウムにより染色を行い、
これを走査型電子顕微鏡により観察し写真撮影した。得
られた倍率10,000倍の走査型電子顕微鏡写真を目
視で観察し、各相中に存在する無機充填材の存在割合を
個数平均で算出した(n=1,000)。ここで界面に
存在し、判別のつきにくいものに関しては、各相に0.
5個づつ加算した。
【0043】〔実施例1〜4〕フィード口を上流側と下
流側に2個備えた二軸押出機(日本製鋼所製)を用い
て、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数250
rpmで、表−1に示した配合で、上流側フィード口か
らポリオレフィン以外の全成分を供給し、下流側フィー
ド口からポリオレフィンを供給して溶融混練し熱可塑性
樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を、射
出成形機(日本製鋼所製、型締め力55T)を用い、シ
リンダー温度260℃、金型温度40℃の条件で、射出
成形し、成形品を作成し、各種評価を行った。
【0044】
【表1】
【0045】〔比較例1〜3〕上流側フィード口から無
機充填材以外の全成分を供給し、下流側フィード口から
無機充填材を供給する以外は、実施例1と同様にして、
熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成
物を、実施例1と同様にして、射出成形し、成形品を作
成し、各種評価を行った。
【0046】〔比較例4〕表−1に示した配合のうち、
ポリオレフィンと無機充填材を二軸押出機(日本製鋼所
製)を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回
転数250rpmで、溶融混練し、中間組成物を得た。
次に、上流側フィード口からポリオレフィンおよび無機
充填材以外の全成分を供給し、下流側フィード口から中
間組成物を供給する以外は、実施例1と同様にして、熱
可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物
を、実施例1と同様にして、射出成形し、成形品を作成
し、各種評価を行った。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強
度、曲げ弾性率などの機械的強度、耐熱性に優れ、且つ
ウエルド強度にも優れており、ウエルド部が生じる射出
成形品、ブロー成形品、熱溶着品などにおいても強度低
下が少なく各種成形部品に利用でき、更に、成形加工
性、耐薬品性、電気特性等にも優れており、自動車、電
気電子分野、OA機器用部品等、多くの分野に有用あ
り、その工業的価値は非常に大きい。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の熱可塑性樹脂の形態を示す走査型
顕微鏡の写真(倍率10,000倍)である。
【図2】 比較例4の熱可塑性樹脂の形態を示す走査型
顕微鏡の写真(倍率10,000倍)である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/00 C08L 53/00 53/02 53/02 71/12 71/12 (72)発明者 高木 喜代次 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 中島 大士 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 BB032 BB052 BB102 BB122 BB142 BB152 BB172 CH07W DA016 DA066 DE106 DE136 DE186 DE236 DG046 DJ006 DJ016 DL006 FA046 FA086 FD016

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜7
    0重量部とポリオレフィン樹脂30〜90重量部との合
    計100重量部に対して、無機充填材1〜100重量部
    を含む熱可塑性樹脂組成物において、ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂が分散相をポリオレフィン樹脂が連続相を
    形成し、該無機充填材の75重量%以上がポリフェニレ
    ンエーテル系樹脂中に存在することを特徴とする熱可塑
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリフェニレンエーテル系樹脂10〜7
    0重量部とポリオレフィン樹脂30〜90重量部との合
    計100重量部に対して、ビニル芳香族化合物−共役ジ
    エン共重合体の水素添加物を1〜40重量部含むことを
    特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル芳香族化合物−共役ジエン共重合
    体の水素添加物におけるビニル芳香族化合物に由来する
    繰り返し単位の占める割合が50〜75重量%であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ビニル芳香族化合物−共役ジエン共重合
    体の水素添加物が、ビニル芳香族化合物重合体ブロック
    と共役ジエン化合物重合体とからなるブロック共重合体
    の水素添加物であることを特徴とする請求項2または3
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 無機充填材の80重量以上がポリフェニ
    レンエーテル系樹脂中に存在することを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 無機充填材が、粒状無機充填材、板状無
    機充填材、繊維状無機充填材から選ばれる1種類以上の
    無機充填材であることを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 粒状無機充填材の粒径が0.05〜10
    μmであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 板状無機充填材の粒径が0.05〜10
    μmであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 繊維状無機充填材の短径が0.05〜5
    μmであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
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