JP5465092B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
(2)前記(1)に記載の定着装置を備え、前記定着装置により記録材上のトナー像を定着させることを特徴とする画像形成装置。
図1(a)は、実施例1の定着器(定着装置)を備えるプリンタ(画像形成装置)の構成を示す概略図である。プリンタ100は、プリンタ100に着脱可能なトナーカートリッジ101を備える。またプリンタ100は、静電担持体である感光ドラム102、感光ドラム102上を走査するレーザビーム106を発射する光源としての半導体レーザ103、スキャナモータ104により回転する回転多面鏡105を備える。帯電ローラ107は感光ドラム102上を一様に帯電する。現像器108は感光ドラム102上に形成された静電潜像をトナーにより現像する。転写ローラ109は現像器108により現像されたトナー像を所定の記録用紙(以下、単に用紙という)Sに転写する。定着装置である定着器110の定着ヒータ111は用紙Sに転写されたトナーを熱で融着する。定着フィルム123と加圧ローラ124は、用紙Sを搬送しながら用紙S上(記録材上)のトナーを用紙Sに加熱加圧定着させる。給紙カセット112は用紙Sを格納し、矢印Aの方向からプリンタ100に装着する。給紙ローラ113は1回転することにより、給紙カセット112から用紙Sを給紙し、搬送路に送り出す。フィードローラ114、リタードローラ115は給紙ローラ113によりピックアップされた用紙Sが用紙束である場合に用紙Sを1枚に分離して搬送路に送り出すためのローラ対である。フィードリタードローラ対116は給紙カセット112から給紙された用紙Sを画像形成部へ搬送する。転写前ローラ117は搬送された用紙Sを感光ドラム102へ送り込む。トップセンサ118は給紙された用紙Sに対し、感光ドラム102への画像書き込み(記録/印字)と用紙搬送の同期をとるとともに、給紙された用紙Sの搬送方向の長さを測定する。定着センサ119は定着後の用紙Sの有無を検出する。搬送ローラ120は定着後の用紙Sを排紙搬送路へ排出する。排紙ローラ121は排紙用紙を積載する排紙トレイ122へ用紙Sを排出する。
図1(b)は、本実施例の回路構成のブロック図である。プリンタコントローラ201は、不図示のホストコンピュータ等の外部機器から送られる画像コードデータをプリンタの印字に必要なビットデータに展開するとともに、プリンタ内部情報を読み取りそれを表示する。エンジンコントローラ202はプリンタ100の各部をプリンタコントローラ201の指示に従ってプリント動作制御するとともに、プリンタコントローラ201へプリンタ内部情報を報知する。エンジンコントローラ202は、CPU202a及びASIC回路202bから構成され(図3参照)、CPU202aにはファームウェアを搭載している。高圧制御部203は帯電、現像、転写等各工程における各高圧出力制御をエンジンコントローラ202の指示に従って行う。光学系制御部204はスキャナモータ104の駆動/停止、レーザビーム106の点灯をエンジンコントローラ202の指示に従って制御する。定着器制御部205は定着ヒータ111への通電の駆動/停止をエンジンコントローラ202の指示に従って行う。センサ入力部206は、トップセンサ118、定着センサ119、不図示の紙面位置センサの紙有無状態、後述する温度検出素子により検出される温度状態をエンジンコントローラ202へ報知する。用紙搬送制御部207は、エンジンコントローラ202の指示にしたがい、用紙搬送のためにモータ/ローラ等の駆動/停止を行う。用紙搬送制御部207は、給紙ローラ113、フィードリタードローラ対116、転写前ローラ117、感光ドラム102、定着フィルム123、加圧ローラ124、搬送ローラ120、排紙ローラ121の駆動/停止の制御も行う。
図2(a)は、本実施例の定着器110の断面模型図である。定着器110は例えば特開平04−044075号公報等に記載のエンドレスフィルム(円筒状フィルム)を用いた加圧ローラ駆動タイプのフィルム加熱方式の加熱装置である。定着器110は、加熱手段としての定着ヒータ111、定着ヒータ111を固定保持させた半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するヒータホルダ303を備える。また、定着器110は、定着ヒータ111を取り付けたヒータホルダ303にルーズに外嵌した円筒状の薄耐熱フィルム(以下、定着フィルム)123を備える。さらに、定着器110は、定着フィルム123を挟んで定着ヒータ111と相互圧接して定着ニップ部Nを形成する回転自在な加圧体としての加圧ローラ124等を備える。加圧ローラ124は駆動手段である不図示のモータにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ124の回転による加圧ローラ124の外面と定着フィルム123との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着フィルム123に回転力が作用する。そして、定着フィルム123が、その内面が定着ヒータ111の下向き面に密着して摺動しながらヒータホルダ303の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。定着フィルム123と定着ヒータ111との界面に摺動性のグリースを塗布してもよい。定着ヒータ111はセラミックヒータ(セラミック面発ヒータ)である。この定着ヒータ111については後述する。加圧ローラ124が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム123が従動回転状態になる。また定着ヒータ111に通電がなされ、定着ヒータ111が昇温して所定の温度に立ち上り温度制御された状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム123と加圧ローラ124との間に未定着トナー像Tを担持した用紙Sが導入される。定着ニップ部Nにおいて用紙Sのトナー像担持面側が定着フィルム123の外面に密着して定着フィルム123と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、定着ヒータ111の熱が定着フィルム123を介して用紙Sに付与され、用紙S上の未定着トナー像Tが用紙S上に加熱及び加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した用紙Sは定着フィルム123から曲率分離される。
図3は、定着ヒータ111の駆動制御回路図である。プリンタ100の交流電源401からACフィルタ402、リレー418を介して定着器110の定着ヒータ111のヒータ301へ電力供給することにより、ヒータ301は発熱する。ヒータ301への電力の供給は、トライアック403の通電、遮断により制御を行う。抵抗404、405はトライアック403のためのバイアス抵抗でフォトトライアックカプラ406は、一次、二次間の沿面距離を確保するためのデバイスである。フォトトライアックカプラ406の発光ダイオードに通電することによりトライアック403をオンする。抵抗407はフォトトライアックカプラ406の電流を制限するための抵抗であり、トランジスタ408によりフォトトライアックカプラ406をオン/オフする。トランジスタ408は抵抗409を介してエンジンコントローラ202からのON信号に従って動作する。また、ACフィルタ402を介して交流電源401は、ゼロクロス検出回路417に入力される。ゼロクロス検出回路417では、商用電源電圧がある閾値以下の電圧になっていることをエンジンコントローラ202に対してパルス信号(以下、ZEROX信号という)として送出する。エンジンコントローラ202はZEROX信号のパルスのエッジを検知し、位相制御又は波数制御によりトライアック403をオン/オフする。
次に、ハードウェア回路による安全回路について説明する。過昇温防止素子304もハードウェア回路による安全回路の1つであるが、これは最終手段であり、一度作動すると、その後に正常動作させることができない。そのため、最終手段より前に働くよう、別途安全回路を設けている。例えば、最終手段としての過昇温防止素子304のサーモスイッチが250℃で作動するのに対して、200℃に到達したことをもって通電を50%に制限するといった安全回路を設けて、250℃への到達を防止する。200℃の温度閾値への到達を検出する手段として、コンパレータ429の反転入力に温度検知素子311からの電圧を入力し、非反転入力に200℃に相当する基準電圧Verrを入力させ、比較結果をTHERR信号として出力する。抵抗428は電流制限抵抗である。温度検知素子311をNTC(Negative Temperature coefficient)サーミスタとした場合、温度が200℃より高ければTHERR信号がハイレベルとなる。温度が200℃より低ければTHERR信号がローレベルとなる。このTHERR信号をエンジンコントローラ202のASIC回路202bへ入力する。
図4(a)に交流電源401の電源波形、ZEROX信号及び一制御周期の8半波に番号を付した半波番号(以下、半波Noとする)を示す。図4(b)〜(d)は、このような状況におけるヒータ301の電力制御方式である位相制御、波数制御及び位相波数組み合わせ制御についての制御説明図である。従来からある制御方法を補足説明する図でもある。本実施例では、一制御周期を8半波とし、ヒータ301に投入電力75%で通電する場合の制御例を示す。表1のように、出力したい75%の投入電力に対して、8半波ごとに投入電力を決定し、一制御周期8半波全体の平均として75%電力を出力する。同じ投入電力でも制御方式によって半波ごとの投入電力の制御が異なるため、それぞれ、図を用いて説明する。
図5は、ハードウェア回路による安全回路の動作について説明する図である。ここで従来の問題点についても補足説明する。THERR信号は、図3で説明したように温度検知素子311により検知した温度が200℃より高い(温度が高く通電制限が必要な場合)とハイレベル、200℃より低いとローレベルとなる。また、分周回路202cによって、ZEROX信号の2分周信号(デューティ(Duty)50%)を作成する。そして、THERR信号とZEROX信号の2分周信号をエンジンコントローラ202のASIC回路202bによりMASK信号に加工して出力する。具体的には、ZEROX信号の2分周信号の立ち上りエッジにて、THERR信号がハイレベルであればMASK信号をハイレベルとして出力し、THERR信号がローレベルであればMASK信号をローレベルとして出力する。また、ZEROX信号の2分周信号の立ち下りエッジにて、THERR信号に無関係にMASK信号をローレベルとして出力する。図3でMASK信号がハイレベルである場合には、ヒータ301への通電を行わないため、温度が高い場合には、ZEROX信号の2分周単位で、デューティ50%にハードウェア的に通電制限する。このため、図4(d)で示した位相波数組み合わせ制御による75%電力制御時には、エンジンコントローラ202のCPU202aに搭載したファームウェアがON信号にて通電しようとしても、安全回路によって通電が遮断される。すなわち、図5に示すように、3半波目(電源波形C〜D区間(半波No.3))と4半波目(電源波形D〜E区間(半波No.4))は、CPU202aがON信号を出力してもMASK信号による安全回路によって通電が遮断される。8半波全体の一制御周期単位で見ると、3半波目と4半波目が通電されないため、奇数番目の正半波と偶数番目の負半波にて同じ投入電力が対にならなくなり、正負対称にならない。
図6は、本実施例において安全回路が動作した場合でも正負対称となる制御方法を説明する図である。図5で安全回路が動作したときの条件を、本実施例の制御によって正負対称となるようにしたものが図6である。エンジンコントローラ202のCPU202aにMASK信号を入力しておき、CPU202aに搭載したファームウェアは、ゼロクロスポイントにてMASK信号のレベルを確認する。CPU202aは、MASK信号がローレベルであるならば安全回路が働いていないので半波の通電パターンをON信号に出力する。一方、MASK信号がハイレベルであるならば安全回路が働いているのでON信号をオフのままにして通電しない。ゼロクロスポイントにて、MASK信号のハイレベルが解除されてローレベルになってから続きの半波の通電パターンをON信号に出力し、一制御周期を伸ばす。図6に示すように、MASK信号がハイレベルになっている3半波目(電源波形C〜D区間で「×印」を記載した部分)と4半波目(電源波形D〜E区間で「×印」を記載した部分)ではON信号をオフして通電させない。そして、MASK信号がローレベルに解除された5半波目(電源波形E〜F区間(半波No.3))からを、2半波目(半波No.2)の続きとなる3半波目のパターンからの出力再開とする。すなわち、このケースでは一制御周期を10半波に伸ばして全8半波パターンを出力する。この結果、新しい10半波の一制御周期単位では、正負対称制御になっており、非対称制御の禁止という要請を満たすことができる。本実施例では、図4(d)の位相波数組み合わせ制御の例で示したが、図4(c)の波数制御においても、図5のように一制御周期内の3半波目と4半波目に安全回路の通電制限が入ると正負対称制御にならなくなる。このため、図4(c)の波数制御においても図6のように制御することで正負対称制御にでき、本実施例の制御は波数制御でも有効である。
図7は、エンジンコントローラ202における一制御周期単位のヒータ通電制御を示すフローチャートである。エンジンコントローラ202のCPU202aは印刷を開始すると、ステップ(以下、Sとする)801で定着目標温度と温度検知素子311により検知された検知温度の出力であるTH信号とに基づきPI制御によって投入電力を決定する。S802でCPU202aは、一制御周期内の全8半波の出力パターンの、どの番号の半波を出力させるかを意味する半波カウンタNを1(1半波目(半波No.1))に設定する(Nに1を代入する)。S803でCPU202aは、ゼロクロス検出回路417により出力されたZEROX信号によりゼロクロスポイントを待つ。S803でCPU202aはゼロクロスポイントになったと判断したら、S804でASIC回路202bにより出力された安全回路のMASK信号がハイレベルかどうかを判断する。S804でCPU202aは、MASK信号がローレベルであると判断すると、S805で1半波目の通電パターンをON信号にて通電する。S806でCPU202aは、一制御周期の全8半波の出力が終了していない、すなわちN=8でないと判断すると、S807で次の半波を出力できるように半波カウンタNに1を加算する(N=N+1)。そしてCPU202aは再びS803の処理に戻り、次のゼロクロスポイントを待つ。
図8は、本実施例の定着ヒータ111の駆動制御回路図である。実施例1の図3と同じ回路の部分については説明を省略し、実施例1と異なるハードウェア回路による安全回路について説明する。実施例1では、温度検知素子311の検知結果であるTH信号(温度信号)と基準温度に相当する基準電圧とをコンパレータ429で比較することにより、THERR信号をエンジンコントローラ202に出力し、安全回路による通電遮断の制御を行った。本実施例では回転数検知手段として加圧ローラ124の回転信号(以下に説明するFG信号)によって加圧ローラ124が回転しているかどうかを示すMTRSTOP信号を出力し、これにより安全回路による通電遮断の制御を行う。定着モータ430は、加圧ローラ124を回転させており、回転に伴いモータ回転検知FG信号(以下、単にFG信号という)を出力する。定着モータ430が出力するFG信号を、Dフリップフロップ431に入力して1/2に分周し、FET432のゲートに供給する。FET432のスイッチング動作により、コンデンサ434に矩形波Vaが印加される。本実施例では矩形波Vaは24V振幅を有する。矩形波Vaはダイオード435を介して、オペアンプ441の反転入力に供給される。オペアンプ441と抵抗439とコンデンサ440とで積分回路を構成し、供給された矩形波は直流信号に変換されて、オペアンプ441から出力される。オペアンプ441の出力電圧Vbは、オペアンプ441の非反転入力電圧をVc(抵抗437と抵抗438で決まる)、コンデンサ434の静電容量をC434、抵抗439の抵抗値をR439、FG信号の周波数をfとすると、次式のようになる。
Vb=Vc−(24−Vc)×C434×R439×f/2
図9は、ハードウェア回路による安全回路の動作と正負対称となる制御方法を説明する図である。この図により従来からの問題も補足説明する。MTRSTOP信号は、図8で説明したように定着モータ430が所定回転数以下又は回転停止(通電制限が必要な状態)である場合ハイレベル、所定回転数以上で回転していればローレベルである。前述したように、分周回路202cによりZEROX信号の2分周信号、4分周信号及びこれらの論理積である負論理デューティ75%信号を出力する。MTRSTOP信号と負論理デューティ75%信号を、エンジンコントローラ202のASIC回路202bによりMASK信号に加工して出力する。具体的には、負論理デューティ75%信号の立ち上りエッジにて、MTRSTOP信号がハイレベルであればMASK信号をハイレベルとして出力し、MTRSTOP信号がローレベルであればMASK信号をローレベルとして出力する。また、負論理デューティ75%信号の立ち下りエッジにて、MTRSTOP信号に無関係に、MASK信号をローレベルとして出力する。MASK信号がハイレベルの場合には、ヒータ301への通電を行わないため、定着モータ430が所定回転数以下又は回転停止の場合には、デューティ75%にハードウェア的に通電制限する。このため、実施例1で説明した図4(c)の位相波数組み合わせ制御による75%電力制御時には、図9のヒータ電流に示すようになる。すなわち、エンジンコントローラ202のCPU202aに搭載したファームウェアがON信号にて通電しようとしても、7半波目(電源波形G〜H区間の×印)と8半波目(電源波形H〜I区間の×印)はMASK信号による安全回路によって通電が遮断される。このままでは、一制御周期単位である8半波全体で見ると、7半波目と8半波目が通電されないため、奇数番目の正半波と偶数番目の負半波にて同じ投入電力が対にならなくなり、正負対称にならない。このため、非対称制御の禁止という要請を満たせなくなる。
図10は、本実施例の定着器の構成図である。実施例1、2における図2の構成図と異なる部分を説明する。実施例1では定着ヒータ111が一つのヒータ301を有する構成であったが、本実施例の定着ヒータ111はヒータ301(メインヒータとも称する)とヒータ302(サブヒータとも称する)の2個のヒータを有する構成である。図10(c)で、L1は通紙可能な最大サイズ紙の通紙幅領域、L2は通紙可能な最小サイズ紙の通紙幅領域である。コネクタ309は定着ヒータ111の電極部306、307側に装着され、電極部306、307とヒータ駆動回路側とを電気的に連絡する。コネクタ310は定着ヒータ111の電極部308側に装着され、電極部308とヒータ駆動回路側とを電気的に連絡する。電極部308は2本のヒータ301、302に対する共通電極であり、ヒータ301、302の各一端部に対してそれぞれ分岐導電部材を介して導通させてある。定着器110は、保護層300上の中央部に、定着ヒータ111の中央部の温度を検知する温度検知素子311と過昇温防止素子304を備える。温度検知素子311と過昇温防止素子304は、用紙Sの中央搬送基準線Bに対して左右対称な位置であり、かつ通紙可能な最小サイズ紙の通紙幅領域L2よりも内側の位置に配設される。また、保護層300上の端部に、定着ヒータ111の端部の温度を検知する温度検知素子312、313を備える。温度検知素子312、313は、用紙Sの中央搬送基準Bに対して、左右対称な位置であり、かつ通紙可能な最大サイズ紙の通紙幅領域L1よりも内側の位置に配設される。
図11は、本実施例の定着ヒータ111の駆動制御回路図である。実施例1の図3と同じ回路の部分については説明を省略し、実施例1と異なるハードウェア回路による安全回路について説明する。本実施例ではヒータが2個となったため、実施例1のヒータ301を本実施例のメインヒータ301に置換えてON1信号で駆動するとともに、追加されたサブヒータ302に対しても同様のヒータ駆動回路(符号410〜416)を追加してON2信号にて駆動する。尚、メインヒータ301の駆動回路とサブヒータ302の駆動回路との違いは、MASK信号によるハードウェア回路の安全回路が働くのがメインヒータ301のみになっている点である。また、温度検出素子が実施例1では1個であったのに対して、本実施例では3個になっている。中央部の温度を測定する温度検知素子311の検知結果が実施例1と同様にエンジンコントローラ202へTH1信号として入力され、同様に端部の温度を測定する温度検知素子312及び313の検知結果がTH2及びTH3信号として入力される。尚、温度検知素子312、313によって検出される温度は、それぞれ抵抗424、425と、温度検知素子312、313との分圧として検出される。
次に、ハードウェア回路による安全回路について説明する。実施例1では温度検出素子が1個であったため、コンパレータ429により閾値温度200℃を超えた場合にTHERR信号をハイレベルとする構成とした。一方本実施例では温度検出素子が3個であり、それぞれの温度が1つでも閾値温度200℃を超えた場合にTHERR信号をハイレベルにするように、論理和回路450を備える構成とする。本実施例では、それぞれの温度閾値を200℃と同じにしてあるが、コンパレータ429、447、449の基準電圧Verrを温度検出素子ごとに変えることも可能である。尚、抵抗446、448は電流制限抵抗である。このTHERR信号をエンジンコントローラ202のASIC回路202bへ入力する。ASIC回路202bは、ZEROX信号の2分周信号に基づき、THERR信号がローレベル(200℃より低い)であればMASK信号を常にローレベルとして出力する。一方ASIC回路202bは、THERR信号がハイレベル(200℃より高い)であればMASK信号をZEROX信号の2分周信号(デューティ50%パルス信号)として出力する。よって、THERR信号がハイレベルであれば、MASK信号がデューティ50%パルスになり、ON1信号で100%通電しようとしても、メインヒータ301への通電が50%に制限される。この安全回路によって、いずれかの温度検知素子が200℃を超えた場合、メインヒータ301のみ通電を50%に制限する。本実施例では、例えばメインヒータ301を100%駆動したときに700W、サブヒータ302を100%駆動したときに300Wの電力とし、電力供給量が大きいメインヒータ301のみ50%に制限するだけで安全が確保できる例としている。もちろん、メインヒータ301とサブヒータ302を同時に、50%制限する構成でもよい。
図13は、本実施例において安全回路が動作した場合でも正負対称となる制御方法を説明する図である。図12で安全回路が動作したときの条件を、本実施例の制御によって正負対称にしたものが図13である。エンジンコントローラ202のCPU202aにMASK信号を入力し、CPU202aに搭載したファームウェアは、ゼロクロスポイントにてMASK信号のレベルを確認する。CPU202aは、MASK信号がローレベルであると判断すると安全回路が働いていないので半波の通電パターンをON1信号及びON2信号に出力する。一方、CPU202aは、MASK信号がハイレベルであると判断すると安全回路が働いているのでON1及びON2信号をオフのままにして通電しない。上述したとおりMASK信号はメインヒータ301のみ通電制限しており、サブヒータ302はON2信号で通電可能であるが、あえて、ここではメインヒータ301もサブヒータ302もオフにして通電させない。ゼロクロスポイントにて、MASK信号のハイレベルが解除されてローレベルになってから続きの半波の通電パターンをON1及びON2信号に出力し、一制御周期を伸ばす。図13に示したように、CPU202aは、MASK信号がハイレベルになっている3半波目(電源波形C〜D区間で「×印」を記載した部分)と4半波目(電源波形D〜E区間で「×印」を記載した部分)ではON1及びON2信号をオフして通電させない。CPU202aは、MASK信号がローレベルに解除された5半波目(電源波形E〜F区間(半波No.3))から続きとなる3半波目のパターンから出力再開し、このケースでは一制御周期の単位を8半波から10半波に伸ばして、全8半波パターンを出力する。この結果、一制御周期を10半波とする新しい一制御周期単位では、通電パターンが正負対称制御になっており、非対称制御の禁止という要請を満たすことができる。また、新しい10半波の一制御周期単位全体として、メインヒータ301の平均電力は60%で、サブヒータ302の平均電力は30%で、メインサブ比率はメイン100:サブ50の比率を満たしている。このため、前述したような端部昇温によるスループットダウンといった問題も解決できる。
一制御周期単位のヒータ通電制御を示すフローチャートは、実施例1や2と同じ図7で説明できる。S801に相当するステップでは、CPU202aは定着目標温度と検知温度TH1、TH2、TH3信号とに基づきPI制御によって投入電力を決定するとともに、用紙サイズからメインサブ比率を決定する。また、S805に相当するステップでは、N半波目の投入パターンでメインヒータ301とサブヒータ302をそれぞれ通電出力する。S808に相当するステップではメインヒータ301とサブヒータ302ともに通電しない。
図14は、ハードウェア回路による安全回路の動作と正負対称となる制御方法を説明する図である。実施例1で説明したように、本実施例でも、温度が高い場合には、MASK信号がハイレベルとなり、デューティ50%にハードウェア的に通電制限する。実施例1では、ZEROX信号の2分周信号デューティ50%信号をMASK信号としていたのに対し、本実施例ではZEROX信号の4分周信号デューティ50%信号をMASK信号とした点が異なる。図14は、投入電力75%の位相波数組み合わせ制御の投入例で、表1の位相波数組み合わせ制御に対して、表5のように改善を行った例である。
図15は、エンジンコントローラ202における制御周期単位のヒータ通電制御を示すフローチャートである。S1601〜S1603の処理は図7のS801〜S803と同じであるので説明を省略する。S1604でCPU202aは、分周回路202cから入力されたZEROX信号の4分周信号の立ち下りエッジかどうかを判断する。S1604でCPU202aは、ZEROX信号の4分周信号の立ち下りエッジでないと判断すると、S1605で通電をせずに次のゼロクロスポイントを待って、安全回路との同期がとれるのを待つ。S1604でCPU202aは、ZEROX信号の4分周信号の立ち下がりエッジであると判断し、立ち下りエッジで安全回路との同期がとれれば、S1606で1半波目の通電パターンをON信号にて通電する。通常、この同期取りは1回同期をとっておけばよい。S1607でCPU202aは、全8半波の出力が終了していないと判断すると、S1608で次の半波を出力できるように半波カウンタNに1を加算する。S1609でCPU202aは、ゼロクロスポイントごとにS1606の処理に戻る。すなわち、CPU202aは、MASK信号のレベルによらずゼロクロスポイントごとにON信号を出力する。ここで、安全回路が作動していれば通電は安全回路により遮断される。このように本実施例では、実施例1の図7のS804でCPU202aがMASK信号の信号レベルを判断していた処理を行わない点で異なる。S1610は図7のS809と同じである。
図16は、ハードウェア回路による安全回路の動作を説明する図である。実施例3で説明したように、本実施例でも温度が高い場合には、MASK信号がハイレベルとなり、デューティ50%にハード的に通電制限する。実施例3では、ZEROX信号の2分周信号デューティ50%信号をMASK信号としていたのに対し、本実施例ではZEROX信号の4分周信号デューティ50%信号をMASK信号とした点が異なる。本実施例での図16は、投入電力75%の位相波数組み合わせ制御の投入例で、表4の位相波数組み合わせ制御に対して、表6のように改善を行った例である。メインヒータ301とサブヒータ302、303の比率は、メイン100:サブ50である。
図17は、安全回路が働いた場合の制御方法を説明する。エンジンコントローラ202のCPU202aに、MASK信号とともに、ZEROX信号の4分周信号を入力しておく。図11はCPU202aにMASK信号のみ入力する回路図だが、本実施例では分周回路202cからZEROX信号の4分周信号も接続するように変更する。CPU202aに搭載したファームウェアは、ゼロクロスポイントにてZEROX信号の4分周信号のレベルを確認し、ハイレベルからローレベルへの立ち下りを、一制御周期8半波の最初になるように同期取りを行う。CPU202aは、同期取りを行ったら、ゼロクロスポイントごとに8半波の通電パターンを出力する。但し、半波ごとの通電パターンを出力する際に、MASK信号を確認して、MASK信号がローレベルで安全回路が働いていない場合には通電パターンをON1信号及びON2信号で出力する。しかし、MASK信号がハイレベルで安全回路が働いている場合にはON1信号及びON2信号をオフにして通電をしないように制御する。図17に記載したように、MASK信号がハイレベルになっている5半波目から8半波目(電源波形E〜I区間)で安全回路によって通電されない場合には、次のようにする。すなわち、ON1信号及びON2信号をオフにして、メインヒータ301にもサブヒータ302、303にも通電させない。この結果、全8半波の一制御周期単位で見ると、正負対称制御になっているだけでなく、メインサブの通電比率もメイン100:サブ50にできる。
図18は、エンジンコントローラ202における一制御周期単位のヒータ通電制御を示すフローチャートである。実施例4の図15に対してS1901及びS1902を追加した点が異なる。S1601からS1605までは実施例4と同じであるので説明を省略する。S1901でCPU202aは、MASK信号のレベルを確認して、MASK信号がローレベルであると判断すると、S1606で1半波目の通電パターンをON1信号及びON2信号にて通電する。S1901でCPU202aは、MASK信号がハイレベルであると判断すると、S1902でON1信号及びON2信号とも通電しない。以降、S1607〜S1610までは実施例4と同じであるので、説明を省略する。
110 定着器
111 定着ヒータ
202 エンジンコントローラ
301 ヒータ
Claims (6)
- トナー像を加熱する発熱体を有する加熱手段と、交流電源から前記発熱体に供給する電力を制御する制御手段と、ハードウェア回路により前記交流電源から前記発熱体への電力の供給を制限する制限手段と、を備え、前記制御手段が、前記交流電源の複数のN半波(N:整数)からなる一制御周期内において正半波と負半波で供給する電力が対称となるよう制御する定着装置であって、
前記制御手段は、前記一制御周期内のM半波目(M:整数)に前記制限手段により前記交流電源から前記発熱体への電力の供給が制限された場合に、前記制限手段による電力の供給の制限が解除されたのちに、M半波目からN半波目までの(N−M+1)半波分の電力を供給するよう制御することを特徴とする定着装置。 - 前記発熱体の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制限手段は、前記温度検知手段により前記発熱体の温度が所定温度を超えたことを検知した場合に、前記交流電源から前記発熱体への電力の供給を制限することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加熱手段と圧接してニップ部を形成する加圧手段と、前記加圧手段の回転数を検知する回転数検知手段と、を備え、
前記制限手段は、前記回転数検知手段により前記加圧手段の回転数が所定回転数以下であることを検知した場合に、前記交流電源から前記発熱体への電力の供給を制限することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記制御手段は、前記一制御周期内において、波数制御により電力の供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記一制御周期内において、位相制御と波数制御の組み合わせにより電力の供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置を備え、
前記定着装置により記録材上のトナー像を定着させることを特徴とする画像形成装置。
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