JP5305982B2 - 通電制御装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒータへの通電を制御する通電制御装置、特に、電子写真プロセスにおいて用いられる定着部への通電を制御する画像形成装置に関するものである。
電子写真複写機において、紙等の記録材に画像を定着させる方法として熱ローラ方式が幅広く用いられている。図2は、熱ローラ方式を利用した定着装置を示す断面図である。記録紙Pの一方の面には、感光体上形成されたトナー像が転写されている。このトナー像は、記録紙Pが定着ロール202と加圧ロール203との間を、矢印A方向に沿って通過する際に、加熱・加圧されることにより記録紙Pに定着される。定着ロール202は、円筒ロール202aと円筒ロール202a内に配置された熱源としてのハロゲンヒータ202bとを有する。熱ローラ方式は、一般的に定着ローラの熱容量を大きくし、定着ローラへの蓄熱を行っておく事で安定した定着動作を行う。しかしながら、熱容量が大きい為に定着ローラの温度が所望の温度に達するまでに多大な時間を要する。更に、画像形成動作の待機時においても定着ローラの温度を一定に保つ為に電力を消費するという問題があった。
この待ち時間を短縮する手法として、特許文献1のようなフィルム加熱式の加熱装置が用いられている。フィルム加熱式の定着装置では、熱源としてセラミックヒータ等の面状ヒータ(以下面状ヒータ)を用いている。
上記のようなセラミックヒータを使用した定着装置はヒータ上を摺動するフィルムを直接記録紙に押し当てる形で定着動作を行う為、ヒータの温度が記録材の定着温度に与える影響が大きい。このことからヒータの温度リップルを少なくする為、細かな時間単位においてヒータ温度を安定させる必要がある。細かな時間単位の制御手法としては、一般的に単位時間あたりのヒータへの通電比率を制御する方法が取られている。この通電比率を制御する制御手法としては、商用電源の交流電圧(50Hz)の1半波を単位時間として例えば20半波(200ms)間の通電比率を調整する手法が行われている。この調整手法では、20半波全てを通電した状態を100%とした場合、10%刻みで通電比率を変化させた通電パターンテーブルを用いている。さらに定着温度を一定に保つ為に、200msごとにヒータ温度の検知結果と目標の定着温度とを比較して必要となる通電量を算出し、次の200msにおける通電パターンを決定する。
しかしながら、比較的高速にヒータへの通電量を変化させることによって、フリッカの発生が問題となることがあった。フリッカとは、電化製品での電力消費によって発生する電源電圧変動によって、同じ電源ラインに接続された照明がちらつく状態である。
このような抵抗体ヒータを用いたフィルム加熱式のフリッカに対する解決方法として、特許文献2,3に記載のものがある。特許文献2によれば、二本の抵抗体ヒータに対して単位時間あたりの通電量を均等化し、2つのヒータの抵抗値の差をつけることにより、通電パターンの種類に応じて電源電圧降下量の差異を少なくしている。特許文献3によれば、ヒータの温度範囲に対してそれぞれヒータ制御パターンを割り当て、そのパターンを順次切り替える事によって電源電圧変動を抑制している。
特開昭63−313182号公報 特開2006−72235号公報 特開2002−50450号公報
フリッカの発生量はEC市場(欧州)においてはIECの規格に基づいて規制がなされている。IEC61000−3−3規格によれば、フリッカはフリッカメータを用いて測定を行い、その値はPst値で表され、Pst=1.00以下でなければならないとされている。さらに、Pst値は電源電圧変動量及び8.8Hzを中心としたフリッカメータ応答特性によって算出される。このときの応答特性とは人間のフリッカ知覚しきい値基準に相当しており、つまりは8.8Hzに近いほど人間がちらつきを認識しやすい。
画像形成装置に使用される加熱装置おいては消費電力が1000W程度と比較的大きく、また定着ヒータの温度制御のために周期的に通電量を変化させることからフリッカを発生させやすい。
加熱装置への電力供給は通常、交流電源である商用電源から行われている。このとき電源に対して悪影響を与えない為に、単位時間(交流電源において全波)における正側と負側の通電比率を等しく(正負対称)とする必要がある。また、定着温度を一定の温度範囲内に保つ為に一定の単位時間ごとに通電パターンを選択する。また、正負対象を保つ為に通電パターンは、正の半波と負の半波とを一組としてヒータの通電/非通電状態を切り替えたものとなっている。このことからヒータ通電周波数は商用電源周波数である50Hzを中心に低次及び高次へと分布をしている。さらに、ヒータ通電パターン切り替えは商用電源の複数の半波を使用したタイミングで行われる為に50Hzよりも低周波で行われる。特許文献2,3では、このような低周波での通電パターンの切り替えを行うことによって、フリッカ感度が高くなってしまうことは考慮されていなかった。
上記の課題を解決するために、本発明の通電制御装置は、交流電源からの電力供給を受けて加熱される加熱手段と、前記加熱手段の温度を検知する温度検知手段と、前記加熱手段へ供給する交流の通電比率ごとに、通電と非通電のパターンを表わす通電パターンを記憶したメモリと、前記温度検知手段により検知された温度に基づいて前記交流電源から前記加熱手段への交流の通電比率を決定し、前記メモリを参照して前記加熱手段への通電パターンを決定する電力制御手段と、を有し、前記電力制御手段は、通電比率を変更する場合、通電比率の変更前の通電パターンに通電比率の変更後の通電パターンを連結させた連結通電パターンにおいて通電或いは非通電が所定周期連続するならば、当該連結通電パターンにおける通電或いは非通電が所定周期連続しないように通電比率の変更後の通電パターンを変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記の通電制御装置を用いた画像形成装置であり、シートにトナー像を形成する像形成手段と、前記シートに形成されたトナー像を当該シートに定着するために交流電源からの電力供給を受けて加熱される前記加熱手段を備えた定着手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、加熱装置への通電比率を変更した際のフリッカの発生を抑制することができる。
画像形成装置の構成を示す断面図。 定着器の一例を示す図。 定着器の一例を示す図。 ヒータ制御部を示す構成図。 ヒータへの通電テーブルを示す図。 ヒータへの通電波形を示す図。 ヒータへの通電波形を示す図。 通電パターンの切り替え判定処理を示すフローチャート。 通電比率から制御パターンを生成した図。 ヒータへの通電テーブルを示す図。 ヒータのオンオフの切り替えの周波数成分を示す図。 周波数分布に対する加重積算値を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した電子写真方式カラー画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1Y、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1M、シアン色の画像を形成する画像形成部1C、ブラック色の画像を形成する画像形成部1Bkの4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。これら4つの画像形成部1Y,1M,1C,1Bkは一定の間隔において一列に配置される。画像形成装置は画像形成部の下方に記録シートを給送するための給紙ユニット17、20を備え、更に、画像形成部の上方に定着ユニット16を備えている。
次に個々のユニットについて詳しく説明する。各画像形成部1Y,1M,1C,1Bkには、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)2a,2b,2c,2dが設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dの周囲には、一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写手段としての転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ配置されている。一次帯電器3a,3b,3c,3dと現像装置4a,4b,4c,4dとの間の下方には、レーザ露光装置7が設置されている。各感光ドラム2a,2b,2c,2dは、負帯電のOPC感光体でアルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(時計回り方向)に所定のプロセス速度で回転駆動される。一次帯電手段としての一次帯電器3a,3b,3c,3dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a,2b,2c,2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。レーザ露光装置7は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光素子、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成され、各感光ドラム2a〜2dに露光をする。この露光によって、各一次帯電器3a〜3dで帯電された各感光ドラム2a〜2dの表面に画像情報に応じた各色の静電潜像が形成される。レーザ露光装置7の詳細構成に関しては後述する。各現像装置4a〜4dは、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されていて、各感光ドラム2a〜2d上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。一次転写手段としての転写ローラ5a〜5dは、各一次転写部32a〜32dにて中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a〜2dに当接可能に配置されており、前記各感光ドラム上のトナー像を順次中間転写ベルト8上に転写し重ね合わせていく。ドラムクリーナ装置6a〜6dは、クリーニングブレード等で構成され、各感光ドラム2a〜2d上の一次転写時の残留した転写残トナーを、各感光ドラム2a〜2dから掻き落としドラムの表面を清掃する。中間転写ベルト8は、各感光ドラム2a〜2dの上面側に配置されて、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11間に張架されている。二次転写対向ローラ10は、二次転写部34において、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。また中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。中間転写ベルト8に転写された画像は二次転写部34において、給紙ユニット17から搬送され記録シートに転写される。中間転写ベルト8の外側で、テンションローラ11の近傍には、中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置13が設置されている。以上に示したプロセスにより各トナーによる画像形成が行われる。
給紙ユニットは、記録シートPを収納する為のカセット17、手差しトレイ20を含む。更に、カセット内もしくは手差しトレイから記録シートPを一枚ずつ送り出す為のピックアップローラ(不図示)、各ピックアップローラから送り出された記録シートPをレジストレーションローラ19まで搬送する為の給紙ローラが設けられている。レジストレーションローラ19は、給紙されたシートを一旦停止させ、画像形成部の画像形成タイミングに合わせて記録シートPを二次転写ローラ12へ送り出す。
定着ユニット16は、内部にアルミナヒータなどの熱源を備えた定着フィルム16aと基板にフィルムをはさんで加圧される加圧ローラ16b(このローラに熱源を備える場合もある)から成る。この定着ユニットは、交流電源からの電力供給を受けて加熱される加熱手段として機能する。また、定着ユニット16の下流側には、定着ユニット16から排出された記録シートPを装置の外部に導き出すための外排紙ローラ21が配設される。
次に本実施形態に用いられるフィルム加熱式定着装置(以下定着装置)の構成を説明する。
図3は定着装置16の詳細を示す構成図である。301はセラミックヒータ、302は定着フィルム、303は加圧ローラ、311は板金、312はヒータの温度検知用のサーミスタ、313はサーミスタ312やヒータ301を取り付けるためのホルダ、314はセルフバイアス回路である。定着フィルム302は図1の定着フィルム16aに対応し、加圧ローラ303は図1のか圧ローラ16bに対応している。ヒータ301はセラミックに発熱パターンを印刷したヒータ(図8参照)で1秒間に50℃ほど温度上昇する極めて応答性の高いヒータである。定着フィルム302は金属を基材とし、その上に300μmほどのゴム層、さらにフッ素表面処理を施したフィルムで、熱容量が極めて小さく、ニップ部のみヒータの熱を伝える。加圧ローラ303は硬度60°程度のローラで定着フィルム302を摩擦駆動している。板金311は定着フィルム302を内側から加圧ローラ303に加圧しており、加圧力は180N程度である。サーミスタ312はヒータ中央に配置させるメインサーミスタとヒータ端部に配置されるサブサーミスタを有する。サブサーミスタは、B5サイズ等の小サイズ紙などを通紙した際の定着装置16の非通紙部の温度上昇を検知している。
記録紙Pのトナー像は、記録紙Pがフィルム302と加圧ローラ303との間を矢印の方向に沿って通過する際に、加熱・加圧(面発ヒータと加圧ローラで加圧)されることにより記録紙Pに定着される。ヒータ301は固定されているが、フィルム302は加圧ローラが回転することによりつれ回りするように構成されている。この構成による定着方法はヒータ301の熱がフィルムを介して記録紙Pへすぐに伝わるので、面状ヒータへ加熱を開始してからプリント可能になるまでの時間は短い。
次に上記定着装置16におけるヒータ301の通電制御を行う回路について説明する。
図4はヒータ301の駆動制御や故障検知を行う制御回路の構成を示す回路図である。同図(A)において、411は、この制御回路の動作を制御するためのCPUである。400−1,400−2はヒータ回路であり、それぞれ同じ構造である。ヒータ301は記録紙Pの搬送方向に沿って上流、下流に設けられた2本のヒータからなり、それぞれのヒータの駆動回路がヒータ回路400−1,400−2に対応する。同図(B)は、ヒータ回路400−1,400−2の詳細を示す回路であり、代表して一方のヒータ回路のみを表わしている。401は、本プリンタ全体に電力を供給する商用電源等の交流電源である。ヒータ301は交流電源401から電力を供給されることにより発熱する。404は、交流電源401からヒータ301への通電をオンオフするトライアックである。405,406は、トライアック404のためのバイアス抵抗である。407はフォトトライアックカプラであり、抵抗405,406間に直列接続されている。フォトトライアックカプラ407の発光ダイオードに通電することによりトライアック404がオンされる。また、フォトトライアックカプラ407は、電源の1次側と2次側との沿面距離を確保するためのデバイスとしての機能もある。408は、フォトトライアックカプラ407の電流を制限するための抵抗である。410は抵抗、409はフォトトライアックカプラ407の発光ダイオードへの通電を制御するトランジスタであり、CPU411からのオン信号によりオンし、発光ダイオードを発光させる。
ヒータ301の温度はサーミスタ312によって検出される。サーミスタ312は温度の上昇に対して抵抗値が低下する特性(NTC特性)を有している。電源電圧Vccは抵抗412及びサーミスタ312によって分圧され、CPU411は分圧された電圧を検知することでヒータ301の温度を検出する。このサーミスタ312は加熱手段の一部であるヒータ301の温度を検知する検知手段として機能する。
次に図5を用いて定着装置16の制御方法を説明する。
図5は、ヒータを2本備えた構成の加熱装置(定着装置)を有する場合の通電テーブルを示す図である。この通電テーブルは、ROM414に格納されている。各ヒータへの通電比率を制御するために8つの半波の単位においてそれぞれの発熱体の通電/非通電のパターン、即ち、通電と非通電の順序を表わした通電パターンを定義したものである。第1半波〜第8半波の順に実行することで通電制御が行われる。図の一番左の列は通電比率(%)を表わしており、3列目以降の0は非通電、1は通電を表している。通電パターンは、通電比率が12.5%刻みで定められており、さらに各々の通電パターンは上流・下流の二本のヒータのそれぞれに対して定められている。それぞれのヒータへの電流波形はAC商用電源の全波において正負で対称となるように、第1半波と第2半波とで、通電、非通電が同じ状態になる様にしている。第3半波と第4半波、第5半波と第6半波、第7半波と第8半波の関係も同様に、通電、非通電が同じ状態になる。即ち、第n半波(nは自然数)と第n+1半波とは通電、非通電の状態が同じで、通電の場合は極性が異なる。CPU411は、サーミスタ312により検出した温度と目標温度とを比較し、温度変化に対する周知のPID制御によって通電比率を決定し、決定した通電比率に対応した通電パターンに従って各々のヒータへの通電を制御する。ROM414は、交流の通電比率ごとに、通電と非通電の順番を表わす通電パターンを記憶したメモリとして機能する。 図6はヒータへ通電される電流波形を示した波形図である。601,602は図5に示した通電テーブルに基づいて制御を行った場合にそれぞれのヒータに流れる電流波形を示している。603は両ヒータで使用される電流量の合計値を表している。それぞれのヒータへの電流波形はAC商用電源の全波において正負で対称となるように制御される。CPU411はサーミスタ312により検出した温度変化に基づいて通電比率を変更するが、通電パターンの変更判定は図に示した周期T(4半波)毎の通電パターン変更判定ポイント605で行われる。通電比率を変更するタイミングは、図に示した通電比率変更ポイント604で行われる。CPU411は、通電比率を例えば62.5%→50%→37.5%といったように段階的に通電比率を変更する事によってヒータの温度が目標温度となるように制御する。また、CPU411は、通電比率変更を行うかどうかを商用AC電源の波形を元にした周期Tごとの通電比率変更タイミングで判定する。変更を行わない場合には通電比率を変更せずに決定した通電パターンに従った通電を継続し、変更する場合には変更した通電比率に基づいた通電パターンにより制御を行う。このときの周期Tは商用AC電源の全波における正負対象を満たす為に、2半波を最小単位として2×n個を周期としている。本実施形態において周期Tは4半波である。CPU411は、交流の通電比率を決定し、メモリであるROM414を参照して加熱手段であるヒータ301への通電パターンを決定する電力制御手段として機能する。
このような通電比率の切り替えを行った結果、通電比率変更ポイント604の前後において連続的な非通電状態が発生する事がある。図7はその一例として37.5%→25%の制御切り替えを行ったときの波形である。701は上流ヒータに流れる電流、702は下流ヒータに流れる電流を表し、703は合計電流を表している。このとき通電比率の切り替えタイミングにおいて、703の合計電流値には6半波分の連続的な非通電状態が発生することになる。
これに対して通電比率が25%の場合の2つのヒータの合計電流が704に示すような通電パターンとなれば、ヒータへの通電と非通電の切り替え回数が増加し、切り替えの周波数が高い方向へシフトすることになる。703では通電比率が37.5%→25%の切り替えにおいて6半波オン(通電)→6半波オフ(非通電)→4半波オン(通電)といった制御が行われてしまうため、この状態では通電のオンオフの周波数が8.3Hzの周波数成分を有している。この周波数は人がフリッカを感じやすい周波数8.8Hzに近い値である。これに対して704のように通電パターンを組替えれば通電のオンオフの周波数が10Hzに遷移する。このように通電のオンオフの周波数がフリッカ感度の高い8.3Hz近傍から10Hzへと遷移した事でフリッカの低減が実現される。即ち、CPU411は、通電比率の変更前の所定周期分の通電パターンと通電比率の変更後の所定周期分の通電パターンとを比較して、変更後の通電比率に対応して決定した通電パターンを変更するか否かを判定する。具体的には、通電比率の変更の前後で通電或いは非通電が所定周期連続する場合に通電のオンオフの周波数が高くなる様に通電パターンを変更する。
通電パターンの入れ替え方法を具体的に説明する。図5の通電テーブルにおいて、例えば4半波を一組としてパターン入れ替えを行う場合において、次に選択される4半波のパターンとその前周期の4半波を比較する事で通電パターンの入れ替えを行うか否かが決定される。
図8を用いて通電パターンの入れ替え判定処理を説明する。図8のフローチャートはCPU411がROM414に格納されたプログラムに基づいて実行する。
通電パターン変更ポイント604の次の4半波の通電パターンを決定する為にCPU411は変更ポイント604の直前の4半波(前4半波と称す)と切り替えタイミング604の直後の4半波(次4半波と称す)とを比較を行う。なお、前4半波の1番目〜4番目の半波をそれぞれ前第1半波〜前第4半波と称し、次4半波の1番目〜4番目の半波をそれぞれ次第1半波〜次第4半波と称す。まずCPU411は、変更ポイント604の直前の前第4半波と変更ポイント604の直後の次第1半波の通電量の比較を行う(ステップS901)。前述した様に、通電パターンの第n半波と第n+1半波は同じ通電状態で極性が異なるので、前第4半波と次第1半波の充電量を比較するということは、前第3半波・前第4半波と次第1半波・次第2半波の通電量を比較することになる。なお、通電量の比較は上流と下流のヒータの合計電流に対して行われる。両方のヒータが非通電であれば通電量を0とし、片方のヒータが通電であれば通電量を1とし、両方のヒータが通電であれば通電量を2とする。このとき前第4半波と次第1半波の通電量が等しければ、CPU411は、通電パターンの入れ替えを行う。即ち、CPU411は、変更ポイント604の直後の次4半波のうち、1番目及び2番目の半波(次第1半波、次第2半波)と3番目及び4番目の半波(次第3半波、次第4半波)の通電パターンを入れ替える処理を行う(S907)。つまり通電パターンテーブルで定義されているパターンの第3→第4→第1→第2半波の順に通電制御が行われる。
ステップS901でそれぞれの通電量が等しくない場合、CPU411は、前第4半波と次第4半波の通電量を比較する(ステップS902)。このとき、それぞれの通電量が等しければ、CPU411は、通電パターンの入れ替え処理を行わない事を決定し、そのままの通電パターンでヒータ301の制御を行うステップS908)。
次にS902でそれぞれの通電量が等しくない場合、CPU411は、前第1半波と次第4半波の通電量が等しいか否かを判定する(S903)。それぞれの通電量が等しければ、CPU411は、通電パターンの入れ替え処理を行い、等しくなければステップS904へと進む。
ステップS904では、CPU411は、前第1半波の通電量が次第4半波の通電量よりも大きいか否かを判定する。前第1半波の通電量が次第4半波の通電量よりも大きければ、ステップS906へ進み、大きくなければステップS905へ進む。
ステップS906では、CPU411は、前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも大きいか否かを判定する。前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも大きい場合、CPU411は通電パターンの入れ替えを行う。一方、前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも大きくない場合、CPU411は通電パターンの入れ替え処理を行わず、そのままの通電間パターンでヒータ301の制御を行う。
ステップS905では、CPU411は、前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも小さいか否かを判定する。前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも小さい場合、CPU411は通電パターンの入れ替えを行う。一方、前第4半波の通電量が次第1半波の通電量よりも小さくない場合、CPU411は、通電パターンの入れ替えを行わずに、そのままの通電パターンでヒータ301の制御を行う。このように、通電比率変更前の通電パターンと変更後の通電パターンにおける通電量を比較することは、通電と非通電の切り替えの周波数が所定値以下となるか否かを判断することになる。
図7の例では、通電比率変更前の前第4半波での通電量が0であり、通電比率変更後の次第1半波での通電量が0なので、ステップS901でYesとなり、ステップS907で通電パターンの入れ替えが行われる。
以上の処理によって、通電比率を維持したまま、通電/非通電の切り替え回数を増加させることができ、ヒータの通電パターンの持つ周波数成分はより高周波側へと遷移される。
入れ替え判定処理は通電比率が変更された時だけでなく、4半波分ヒータを駆動するごとにも行なっても良い。即ち、通電比率が変更された後の4半波(第1〜第4半波)と更にその次の4半波(第5〜第8半波)とが比較され、この第5〜第8半波と次の周期の第1〜第4半波とが比較される。
また、別の手法として、テーブルの切り替えを利用した手法を示す。図10は制御順序を反転して得たテーブルである。具体的には図5のパターンを4半波ごとに区切り、各4半波に対して第1半波,第2半波と第3半波,第4半波の通電パターンの順番を入れ替えたパターンとしている。4半波毎で区切っているので、図5の第5半波,第6半波と第7半波,第8半波の通電パターンも入れ替っている。CPU411は、通電パターン変更判定として図5及び図10のテーブルを選択した場合の通電量の変化回数をそれぞれ算出し、算出結果から変化回数が多いほうのテーブルを選択することでフリッカを抑制した制御を行う事が出来る。
図9は通電比率から通電テーブルを生成した図である。図9では通電比率が50%の場合を示している。通電比率50%とするためには、次周期において通電期間が4半波分必要となる(901)。この4半波分の通電期間が連続しない様に、2半波ずつに分ける(904)。この様に、通電テーブルを有していない場合においても、通電比率に基づいて前通電パターンと非連続かつ、制御周期内において最大限高周波となるようなパターン902を生成することができる。
また、通電パターンの切り替え判定は、任意の周期Tで行っても良い。
また、通電パターンの周波数成分を用いて、フリッカ成分が最小となる通電パターンを選択する手法を用いても良い。図11は、通電による周波数分布とフリッカ閾値の関係を示した図である。定着動作によってヒータを通電/非通電切り替え動作させると商用電源の周波数である50Hz近傍までにおいて、ヒータ周波数成分1101の周波数分布が存在している。
さらに、1102のフリッカ閾値に示すように、フリッカは8.8Hzにおいて最も人的感度が高い。これらのことから次周期の通電パターンによって発生する周波数成分を測定し、さらにフリッカ閾値から通電パターンを評価することで最適な通電パターンを選択する事が可能となる。
図12は8.8Hzを中心として各周波数に対する重み付けを行ったものである。測定された周波数分布に対して図12に示す8.8Hzを1とし0.5Hz〜25Hzの範囲の周波数に対し重み付けを行ったものを各周波数に適用し、加重平均によって各通電パターンを適用した場合の評価値を算出する。この評価値が最も値の低いパターンを適用する事によってフリッカの少ない通電パターンを得る事が出来る。通電比率及び通電パターンの決定手法は上述した実施形態のものを使用することができる。
16 定着装置
301 定着ヒータ
401 交流電源
411 CPU
414 ROM

Claims (5)

  1. 交流電源からの電力供給を受けて加熱される加熱手段と、
    前記加熱手段の温度を検知する温度検知手段と、
    前記加熱手段へ供給する交流の通電比率ごとに、通電と非通電のパターンを表わす通電パターンを記憶したメモリと、
    前記温度検知手段により検知された温度に基づいて前記交流電源から前記加熱手段への交流の通電比率を決定し、前記メモリを参照して前記加熱手段への通電パターンを決定する電力制御手段と、を有し
    記電力制御手段は、通電比率を変更する場合、通電比率の変更前の通電パターンに通電比率の変更後の通電パターンを連結させた連結通電パターンにおいて通電或いは非通電が所定周期連続するならば、当該連結通電パターンにおける通電或いは非通電が所定周期連続しないように通電比率の変更後の通電パターンを変更することを特徴とする通電制御装置。
  2. 前記電力制御手段は、交流の2半波×n(nは自然数)の周期ごとに通電パターンの変更を行うことを特徴とする請求項1記載の通電制御装置。
  3. 前記電力制御手段は、通電比率の変更後の通電パターンにおいて、前記加熱手段を最初に通電とするタイミングと、前記加熱手段を最初に非通電とするタイミングとを入れ替えることを特徴とする請求項1に記載の通電制御装置。
  4. 前記メモリは、前記通電パターンにおける前記加熱手段を最初に通電するタイミングと、前記通電パターンにおける前記加熱手段を最初に非通電とするタイミングとを入れ替えた他のパターンを表す他の通電パターンを記憶しており、
    前記電力制御手段は、前記連結通電パターンにおける通電或いは非通電が所定周期連続するならば、前記メモリを参照して通電比率の変更後の通電パターンを当該通電比率に応じた他の通電パターンに変更することを特徴とする請求項1に記載の通電制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の通電制御装置を用いた画像形成装置であり、
    シートにトナー像を形成する像形成手段と、
    前記シートに形成されたトナー像を当該シートに定着するために交流電源からの電力供給を受けて加熱される前記加熱手段を備えた定着手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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