JP2022139959A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御すること。【解決手段】筒状の定着フィルム51と、定着フィルム51の外周面に当接し、定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53と、発熱体42a、42bを有するヒータ40と、を有し、定着ニップ部Nにおいてヒータ40の熱により用紙P上のトナー像を用紙Pに定着する定着装置50と、定着ニップ部Nに搬送される用紙Pが通過する定着ニップ部Nの領域を通紙部、定着ニップ部Nに搬送される用紙Pが通過しない定着ニップ部Nの領域を非通紙部とした場合、非通紙部に対応する発熱体42a、42bに供給される積算電力量を算出するCPU94と、を備え、CPU94は、算出した積算電力量に基づいて、用紙Pが定着ニップ部Nを通過した後の定着ニップ部Nを均熱化するための動作を決定する(S100~S109)。【選択図】図9

Description

本発明は、定着装置を備える画像形成装置に関する。
レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置では、記録材に転写されたトナー像を定着させるために定着装置を備えている。フィルム加熱方式の定着装置は、定着フィルムと定着フィルムと接触する加圧ローラとで構成され、定着フィルム内にはヒータ基板を有している。フィルム加熱方式の定着装置は熱容量が低いので、ヒータ基板に電力を供給すれば、短時間で定着フィルムなどの部品を所定の温度状態に到達させることができる。そのため、フィルム加熱方式の定着装置は、FPOT(ファーストプリントアウトタイム)が短い利点を備えた定着装置である。
一方、搬送方向に直交する方向の長さである用紙幅の小さい記録材を連続して、定着装置を通過させる場合、定着フィルムや加圧ローラの記録材が通過しない領域である非通紙部は、記録材が通過する領域である通紙部に比べ、より高い温度に到達する。このような状態で、用紙幅の大きい記録材が定着装置を通過すると、記録材が定着フィルムの非通紙部の領域で加熱過多の状態となり、ホットオフセットなどの画像不良が生じるおそれがある。
例えば、特許文献1では、ホットオフセットの発生を回避する手法が提案されている。特許文献1に示された画像形成装置では、定着装置を通過する用紙幅の小さい記録材の枚数をカウントし、カウント値が一定数を超えた場合には、用紙幅の小さい記録材が通過した後に定着装置を冷却するために、加圧ローラの回転時間を増加させる。これにより、定着装置の定着部材の非通紙部の温度が下がり、小サイズの記録材が通過した後に大サイズの記録材が定着装置を通過してもホットオフセットの発生を回避することができる。
特開平11-73055号公報
しかしながら、上述した特許文献1に提案された手法では、記録材の坪量(単位面積あたりの重量)や記録材の用紙幅の変化に柔軟に対応できない場合がある。例えば、記録材の坪量が大きい(記録材が重い)場合には、発熱源であるヒータに供給される電力量は大きくなると共に、記録材が通過しないヒータの非通紙部に供給される電力量も大きくなるため、非通紙部の温度が上昇するスピードも速くなる。また、ヒータの非通紙部に供給される電力量が大きくなることにより、定着部材(定着フィルム)の非通紙部の温度も上昇する。一方、記録材の坪量が小さい(記録材が軽い)場合には、発熱源であるヒータに供給される電力量は小さく、記録材が通過しない非通紙部に供給される電力量も小さくなるため、非通紙部の温度が上昇するスピードは遅くなる。また、記録材の用紙幅が小さい場合には、記録材が通過しない非通紙部に供給される電力量は大きくなり、非通紙部の温度上昇スピードは速くなる。一方、記録材の用紙幅が大きい場合には、非通紙部に供給される電力量は小さくなり、非通紙部の温度上昇スピードも遅くなる。
上述した特許文献1の画像形成装置では、定着装置を通過する記録材の枚数が増えるほど定着装置の定着部材(定着フィルム)を冷却するために、定着部材と当接する加圧ローラの回転時間を増加させている。ところが、この手法では、記録材の坪量や幅の違いによる非通紙部の温度上昇スピードの違いには対応することができない。そのため、非通紙部の温度上昇スピードが速すぎると、ホットオフセットが生じるおそれがあり、一方、温度上昇スピードが遅すぎると、定着部材(定着フィルム)を冷却するための加圧ローラの回転時間が必要以上に長くなるという課題がある。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
(1)筒状のフィルムと、前記フィルムの外周面に当接し、ニップ部を形成する加圧ローラと、発熱体を有するヒータと、を有し、前記ニップ部において前記ヒータの熱により記録材上のトナー像を記録材に定着する定着装置と、前記ニップ部に搬送される記録材が通過する前記ニップ部の領域を第1領域、前記ニップ部に搬送される記録材が通過しない前記ニップ部の領域を第2領域とした場合、前記第2領域に対応する発熱体に供給される積算電力量を算出する制御手段と、を備え、前記制御手段は、算出した前記積算電力量に基づいて、記録材が前記ニップ部を通過した後の前記ニップ部を均熱化するための動作を決定することを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することができる。
実施例1~4の画像形成装置の構成を示す断面図 実施例1~4の画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図 実施例1~4の定着装置の構成を示す断面図 実施例1のヒータの構成を説明する図、ヒータの電力供給経路を説明する図 実施例1のヒータと用紙の位置関係を説明する図 実施例1の非通紙部の昇温値と昇温時間、非通紙部の積算電力量と昇温時間の関係を示す図 実施例1の関係式1と関係式2を説明するグラフ 実施例1の関係式3を説明するグラフ 実施例1の定着装置の冷却化の制御シーケンスを示すフローチャート 実施例2の電力供給経路を説明する図、及び電力供給量と制御信号の関係を説明する図 実施例3のヒータの構成を説明する図、及びヒータの電力供給経路を説明する図 実施例3の発熱体と用紙の位置関係を説明する図 実施例3の電力供給量と制御信号の関係を説明する図 実施例3の非通紙部の積算電力量と昇温時間の関係を示す図、及び関係式3を説明する図 実施例4の関係式4を説明する図 実施例4の定着装置の冷却化の制御シーケンスを示すフローチャート
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施例において、記録材を定着装置の定着ニップ部に通すことを、通紙するという。また、発熱体が発熱している領域で、記録材が通紙していない領域を非通紙領域(又は非通紙部)といい、記録材が通紙している領域を通紙領域(又は通紙部)という。更に、非通紙領域が通紙領域に比べて温度が高くなってしまう現象を、非通紙部昇温という。
[画像形成装置の全体構成]
図1は実施例1の定着装置を搭載した一例の画像形成装置である、インライン方式のカラー画像形成装置の構成を示す断面図である。図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置の構成を説明する。なお、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。また、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
第1ステーションで、像担持体である感光ドラム1aは、OPC感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層等からなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低く略絶縁されている。帯電手段である帯電ローラ2aは感光ドラム1aに当接し、感光ドラム1aの回転に伴い、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧又は交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面とのニップ部から、感光ドラム1aの回転方向の上流側及び下流側の微小な空気ギャップにおいて放電が発生することにより感光ドラム1aが帯電される。クリーニングユニット3aは、後述する転写後に感光ドラム1a上に残ったトナーをクリーニングするユニットである。現像手段である現像ユニット8aは非磁性一成分トナー5aを格納し、現像ローラ4a、現像剤塗布ブレード7aを有している。感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置に対して着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aに収容されている。
露光手段である露光装置11aは、レーザ光を回転多面鏡によって反射させ、感光ドラム1a上を走査するスキャナユニット又はLED(発光ダイオード)アレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電高電圧電源20aに接続されている。現像ローラ4aは、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像高電圧電源21aに接続されている。1次転写ローラ10aは、1次転写ローラ10aへの電圧供給手段である1次転写高電圧電源22aに接続されている。以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成を有している。他のステーションについて、第1ステーションと同一の機能を有する部品は同一の符号を付し、符号の添え字にステーションごとにb、c、dを付している。なお、以下の説明において、特定のステーションについて説明する場合を除き、添え字a、b、c、dを省略する。
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ15、テンションローラ14、補助ローラ19の3本のローラにより支持されている。テンションローラ14のみバネ(不図示)で中間転写ベルト13を張る方向の力が加えられており、中間転写ベルト13に適当なテンション力が維持されるようになっている。2次転写対向ローラ15はメインモータ(不図示)からの回転駆動を受けて回転し、外周に巻かれた中間転写ベルト13が回動する。中間転写ベルト13は感光ドラム1a~1d(例えば、図1では反時計回り方向に回転)に対して矢印方向(例えば、図1では時計回り方向)に略同速度で移動する。また、1次転写ローラ10は中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と対向する位置に配置されて、中間転写ベルト13の移動に伴い従動回転する。中間転写ベルト13を挟んで感光ドラム1と1次転写ローラ10とが当接している位置を1次転写位置という。補助ローラ19、テンションローラ14及び2次転写対向ローラ15は電気的に接地されている。なお、第2~第4ステーションも1次転写ローラ10b~10dは第1ステーションの1次転写ローラ10aと同様の構成を有しているので、説明を省略する。
次に、図1に示す画像形成装置の画像形成動作について説明する。画像形成装置は待機状態時に印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートする。感光ドラム1や中間転写ベルト13等はメインモータ(不図示)によって所定のプロセススピードで図中矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電高電圧電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電され、続いて露光装置11aから照射された走査ビーム12aによって画像情報に基づいた静電潜像が形成される。現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像ローラ4aに塗布される。そして、現像ローラ4aには、現像高電圧電源21aにより所定の現像電圧が印加される。感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像ローラ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーが付着することによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(例えば、Y(イエロー))のトナー像が形成される。他の色M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各ステーション(プロセスカートリッジ9b~9d)も同様に動作する。各色の1次転写位置間の距離に応じたタイミングでコントローラ(不図示)からの書き出し信号を遅らせながら、露光装置11からの走査ビーム12による静電潜像が各感光ドラム1a~1d上に形成される。それぞれの1次転写ローラ10a~10dにはトナーと逆極性の直流高電圧が印加される。これにより、感光ドラム1a~1d上のトナー像が、順に中間転写ベルト13に転写されて(以下、1次転写という)、中間転写ベルト13上に多重トナー像が形成される。
その後、トナー像の作像に合わせて、カセット16に積載されている記録材である用紙Pは、給紙ソレノイド(不図示)によって回転駆動される給紙ローラ17により給送(ピックアップ)される。給送された用紙Pは搬送ローラ(不図示)によりレジストレーションローラ(以下、レジストローラという)18に搬送される。用紙Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期して、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25との当接部である転写ニップ部へ搬送される。2次転写ローラ25には2次転写高電圧電源26により、トナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して用紙P上(記録材上)に転写される(以下、2次転写という)。一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留したトナーは、クリーニングユニット27によって清掃される。2次転写が終了した後の用紙Pは、定着手段である定着装置50へと搬送され、トナー像が定着された用紙Pは画像形成物(プリント、コピー)として排出トレー30に排出される。なお、定着装置50の定着フィルム51、ニップ形成部材52、加圧ローラ53、ヒータ40については後述する。
[画像形成装置の制御ブロック図]
図2は画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図であり、この図を参照しながら画像形成装置の印刷動作について説明する。ホストコンピュータであるPC110は、画像形成装置の内部にあるビデオコントローラ91に対して、印刷画像の画像データや印刷情報を含んだ印刷指令を送信する。
ビデオコントローラ91は、PC110から受信した画像データを露光データに変換し、エンジンコントローラ92内にある露光制御装置93に転送するとともに、印刷指令をCPU94に送信する。露光制御装置93はCPU94により制御され、露光データに応じてレーザ光のオンオフを行う露光装置11の制御を行う。制御手段であるCPU94は、ビデオコントローラ91から印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートさせる。
エンジンコントローラ92には、CPU94、メモリ95等が搭載されている。CPU94は、メモリ95に予め格納されたプログラムに従って動作する。また、CPU94は、時間を測定するタイマを有しており、メモリ95には後述する定着装置50を制御する各種情報が格納されている。高電圧電源96は、上述した帯電高電圧電源20、現像高電圧電源21、1次転写高電圧電源22、2次転写高電圧電源26から構成される。また、定着電力制御装置97は、供給制御部である双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56、電力を供給する発熱体を排他的に選択する切替部としての発熱体切替装置552(図11参照)等から構成される。定着電力制御装置97は、定着装置50において電力供給する発熱体を選択し、供給する電力量を決定する。
駆動装置98はメインモータ99、定着モータ100等から構成される。また、センサ101は定着装置50の温度を検知する温度検知手段である定着温度センサ60、用紙Pの幅を検知する紙幅センサ102、電圧計58、電流計59等からなり、センサ101の検知結果はCPU94に送信される。CPU94は画像形成装置内のセンサ101の検知結果を取得し、検知結果に基づいて、露光装置11、高電圧電源96、定着電力制御装置97、駆動装置98を制御する。これにより、CPU94は、静電潜像の形成、現像されたトナー像の用紙Pへの転写、転写されたトナー像の用紙Pへの定着等を行い、PC110から受信した画像データがトナー像として用紙P上に印刷される画像形成工程の制御を行う。なお、本発明が適用される画像形成装置は、図1で説明した構成の画像形成装置に限定されるものではなく、異なる幅の用紙Pを印刷することが可能で、後述するヒータ40を有する定着装置50を備える画像形成装置であればよい。
[定着装置の構成]
図3は、本実施例の画像形成装置に使用する定着装置50の構成を示す図である。図3(a)は、定着装置50の構成を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す定着装置50を長手方向の中央で切断したときの断面図である。
定着装置50は、円筒状の定着フィルム51、定着フィルム51と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53、定着フィルム51を加熱するヒータ40、ヒータ40を保持するニップ形成部材52と、長手方向の強度を保持するステー55とで構成される。
定着フィルム51は、膜厚50μmのポリイミド基材の上に、膜厚200μmのシリコーンゴム層、その上に膜厚20μmのPFA離型層が構成されている。加圧ローラ53は外径13mmのSUM芯金、その上に膜厚3.5mmのシリコーンゴム弾性層、更にその上に膜厚40μmのPFA離型層で構成されている。駆動源(不図示)によって加圧ローラ53を回転させることにより、定着フィルム51は加圧ローラ53の駆動を受け、従動回転する。加熱部材であるヒータ40は定着フィルム51の内部空間に配置されて、ニップ形成部材52に保持され、定着フィルム51の内周面とヒータ40の表面とが接触する。ステー55の両端はニップ形成部材52を加圧し、その加圧力はニップ形成部材52、定着フィルム51を介して、加圧ローラ53が受ける。これにより、定着フィルム51の外周面と加圧ローラ53とが押圧接触する定着ニップ部Nが形成され、定着フィルム51は加圧ローラ53とヒータ40により挟持される。定着ニップ部Nに用紙Pが図中、用紙搬送方向から通紙される。ニップ形成部材52は剛性・耐熱性・断熱性を有する必要があるため、液晶ポリマーで形成されている。
ヒータ40の裏面(定着フィルム51と対向する面の反対側)の長手方向の中央部には、温度検知手段である定着温度センサ60(ここではサーミスタを使用)と安全素子であるサーモスイッチ(不図示)が接触配置されている。本実施例の定着温度センサ60はチップ抵抗式のサーミスタである(以下、サーミスタ60という)。上述したCPU94は、サーミスタ60の抵抗値を検知し、抵抗値の検知結果に基づいて、ヒータ40の温度制御を行う。また、サーミスタ60は過剰昇温も検知可能である。ヒータ40の長手方向の両端部には、それぞれサーミスタが配置されており、長手方向の各端部のヒータ40のヒータ温度を検知することができる。また、サーモスイッチはバイメタルサーモスイッチであり、ヒータ40とサーモスイッチとは電気的に接続されており、サーモスイッチがヒータ40の過剰昇温を検知すると、サーモスイッチ内部のバイメタルが動作し、ヒータ40への電力供給が遮断される。
[ヒータの構成]
図4(a)は、本実施例のヒータ40の構成を説明する図である。図4(a)において、上側の右図は、ヒータ40を加圧ローラ53側から見たときの上面図であり、左図は、右図に示すヒータ40を長手方向の中央部で切断したときの断面図である。一方、下図は、上側の右図に示すヒータ40を短手方向の中央部で切断したときの断面図である。
ヒータ40は、アルミナなどで形成された板状のセラミック基板41の上に、銀とパラジウムが主成分の発熱体42a、42b、発熱体42a、42bよりも抵抗値の低い導電経路43、及び電力供給用の接点44a、44bが形成された構成となっている。接点44a、44b以外の領域は、絶縁性のガラス45でコーティングされている。電力供給用の接点44aと接点44bとの間に電圧を印加すると、セラミック基板41上の発熱体42a、42bが発熱する。セラミック基板41の寸法は厚さt=1mm、幅w=7.0mm、長さl=280mmである。発熱体42a、42bは、長手方向の長さが222mmの同一寸法で、セラミック基板41の短手方向に並列に配置されている。発熱体42a、42bの抵抗値は21Ωであり、発熱体42a、42bは並列に接続されているので、2つの発熱体42a、42bの合成抵抗値は10.5Ωになる。上述したように、発熱体42a、42b、及び導電経路43はガラス45で被覆され、絶縁性が保持されている。セラミック基板41を介してヒータ40の温度を検知するサーミスタ60はセラミック基板41の長手方向中央部に配置されている。CPU94は、サーミスタ60によるヒータ40の温度の検知結果に基づいて、発熱体42a、42bに供給する電力量を制御する。
図4(b)は、本実施例のヒータ40に電力を供給する電力供給経路を説明する模式図である。図4(b)に示すように、ヒータ40の発熱体42a、42bには、電力供給用の接点44a、44bを介して交流電源57(図中、ACで表示)から電力が供給される。また、電力供給経路には、発熱体42a、42bに印加された電圧を測定する電圧検知手段である電圧計58(図中、Vで表示)、発熱体42a、42bに流れる電流値を測定する電流検知手段である電流計59(図中、Aで表示)が配置されている。スイッチであるトライアック56は交流電源57から発熱体42a、42bへの電力供給路の接続/切断を行う。CPU94は、定着ニップ部Nが所定の温度となるように、サーミスタ60により検知されるヒータ40の温度情報を用いてPI制御を行い、トライアック56のオン/オフ時間の比率(デューティ)を算出する。そして、CPU94は、算出したデューティに基づいてトライアック56を制御する。
本発明の目的は、定着部材である定着フィルム51の非通紙部における温度を精度よく算出することにより、小サイズの用紙Pを通紙した後の加圧ローラ53の冷却化時間を非通紙部の温度に応じて短くする。更に、小サイズの用紙Pを通紙した後に大サイズの用紙Pを通紙した際のホットオフセットの発生を防止する。そのため、本実施例では、ヒータ40の非通紙部に供給した積算電力量を算出し、算出した積算電力量から定着フィルム51の非通紙部の温度を算出する。定着フィルム51の非通紙部の温度を精度よく算出することにより、小サイズの用紙Pを通紙した後の加圧ローラ53の冷却化時間を必要最小限の時間に設定することができる。以下では、本実施例の具体的な定着部材の温度算出手法について説明する。
[ヒータの通紙部、非通紙部に供給される電力量]
図5は、図4(b)を用いて、ヒータ40と通紙される小サイズの用紙P(図中、小サイズ用紙と表示)の位置関係を説明する図である。図5では、小サイズの用紙Pの幅方向の中央は、ヒータ40の発熱体42a、42bの長手方向(図中左右方向)の中央を通過するように通紙されるものとする。図5に示す発熱体42a、42bにおいて、用紙Pが通紙される通紙部の領域を領域A、領域Aの両側の用紙Pが通紙されない非通紙部のうち、一方の非通紙部を領域B(図中左側の非通紙部)、もう一方の非通紙部を領域C(図中、右側の非通紙部)とする。また、ヒータ40の発熱体42a、42bの長手方向の長さをH、小サイズの用紙Pの用紙幅(幅方向の長さ)をha、非通紙部である領域Bの長手方向の幅をhb、領域Cの長手方向の幅をhcとする。上述したように、用紙Pはヒータ40の発熱体42a、42bの長手方向の中央を通紙されるため、領域Bの幅hbと領域Cの幅hcは同じ長さである。用紙幅haは、PC110から送信される印刷情報に含まれる、用紙Pの用紙サイズ情報に基づいて決定してもよいし、画像形成装置が備える紙幅センサ102による検知結果に基づいて、用紙Pの用紙幅haを決定してもよい。
また、本実施例では、電圧計58により測定された発熱体42a、42bに印加される電圧情報、及び電流計59により測定された発熱体42a、42bに流れる電流情報に基づいて、ヒータ40の発熱体42a、42bに供給された電力量が算出される。交流電源57からヒータ40の発熱体42a、42bに供給された電力量をWSとし、発熱体42、42bの通紙部である領域Aに供給された電力量をWSa、非通紙部である領域B、領域Cに供給され電力量を、それぞれWSb、WScとする。電力量WSは、電力量WS=電力量WSa+電力量WSb+電力量WScにより算出することができる。通紙域である領域Aの電力量WSaは、電力量WSa=(電力量WS×用紙幅ha/発熱体の長さH)の算出式により算出することができる。また、非通紙部である領域Bにおける電力量WSbは、電力量WSb=(電力量WS×領域幅hb/発熱体の長さH)の算出式により算出される。同様に、非通紙部である領域Cにおける電力量WScは、電力量WSc=(電力量WS×領域幅hc/発熱体の長さH)の算出式により算出される。なお、領域幅hb、hcは同じ長さであり、(発熱体の長さH-用紙幅ha)/2により算出される。
本実施例では、ヒータ40の発熱体の非通紙部に供給された電力量を積算し、積算された電力量から、定着部材の非通紙部の上昇した温度(以下、昇温値という)を算出する。交流電源57からヒータ40に供給した積算電力量をIWS、非通紙部の領域Bの積算電力量をIWSb、非通紙部の領域Cの積算電力量をIWScとする。本実施例では、領域Bと領域Cの領域幅hb、hcは同じ長さであるため、領域Bに供給される電力量と領域Cに供給される電力量は同一となる。そのため、以下では、領域Bにおける積算電力量を算出し、領域Bにおける昇温値の算出についての説明を行い、領域Cについての説明は省略する。
[定着部材の非通紙部の昇温値と積算電力量の推移]
最初に、用紙幅の異なる用紙を3種類用意して連続通紙試験を行い、そのときの定着部材の非通紙部における昇温値(最大値)と非通紙部の積算電力量IWSbを求め、領域Bの積算電力量IWSbと非通紙部の昇温値との間に相関関係があるかどうか確認した。連続通紙試験の通紙条件は、以下のとおりである。3種類の用紙L、M、Nの用紙幅haは、それぞれ210mm、205mm、200mmであり、用紙L、M、Nの搬送方向の長さ、坪量は、いずれも297mm、128g/mである。連続通紙試験では、ヒータ40に接触配置されているサーミスタ60の検知温度が200℃に保持されるように温度制御を実行し、用紙の搬送速度を200mm/sec、各用紙の給送間隔を0.2秒とした。なお、ここでの定着部材は、定着装置50の定着フィルム51である。
図6(a)は、用紙L、M、Nを定着装置50の定着ニップ部Nに連続して通紙した際の、定着フィルム51の非通紙部の領域における表面温度の昇温値の推移を示すグラフである。図6(a)において、縦軸は定着フィルム51の非通紙部における表面温度の昇温値(単位:℃)を示し、横軸は時間(単位:sec(秒))を示す。また、図中の実線のグラフは、用紙Lを連続通紙したときの温度変化を示し、二点鎖線のグラフは用紙Mを連続通紙したときの温度変化を示し、破線のグラフは用紙Nを連続通紙したときの温度変化を示している。
図中、黒丸で示すポイントは、用紙L、M、Nを連続通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が200℃となった時間を示している。図6(a)において、用紙Lを通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が200℃となった時間TL200は26秒である。同様に、用紙M、用紙Nを通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が200℃となった時間TM200、TN200は、それぞれ17秒、12秒であった。図6(a)に示すように、用紙幅の最も小さい用紙Nは、定着フィルム51の昇温スピードが速く、定着フィルム51の昇温値は、3種類の用紙の中で、最も高い温度で飽和している。
図6(b)は、用紙L、M、Nを定着装置50の定着ニップ部Nに連続して通紙した際の、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbの推移を示すグラフである。図6(b)において、縦軸は発熱体42a、42bの非通紙部である領域Bに供給された積算電力量IWSb(単位:W・S)を示し、横軸は時間(単位:sec(秒))を示す。また、図中の実線のグラフは用紙Lを連続通紙したときの積算電力量IWSbの変化を示し、二点鎖線のグラフは用紙Mを連続通紙したときの積算電力量IWSbの変化を示し、破線のグラフは用紙Nを連続通紙したときの積算電力量IWSbの変化を示している。上述したように、非通紙部の領域Bにおける電力量WSbは、電力量WSb=(電力量WS×領域幅hb/発熱体の長さH)の算出式により算出される。そして、領域Bにおける積算電力量IWSbは、算出された電力量WSbを積算することにより求められる。
図6(a)で説明したように、用紙L、M、Nを連続通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が200℃となった時間は、それぞれ26秒、17秒、12秒であった。図6(b)において、用紙L、M、Nを連続通紙して、それぞれ26秒、17秒、12秒が経過したときの領域Bにおける積算電力量IWSbは、用紙L、M、Nについて、それぞれ220(W・S)、220(W・S)、215(W・S)であった。すなわち、用紙L、M、Nが連続通紙されて、定着フィルム51の非通紙部の領域の表面温度が200℃に到達するまでに、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bに供給される積算電力量IWSbは、ほぼ同一の値であった。
また、定着フィルム51の非通紙部の領域の表面温度が190℃、180℃の場合の、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bに供給される積算電力量IWSbとの相関関係についても上述した連続通紙試験を行い、相関関係の有無について確認した。図6(a)に示すように、用紙L、M、Nを連続通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が190℃となった時間は、それぞれ19秒、12秒、9秒であった。そして、図6(b)において、用紙L、M、Nを連続通紙して、それぞれ19秒、12秒、9秒が経過したときの領域Bにおける積算電力量IWSbは、用紙L、M、Nについて、それぞれ165(W・S)、170(W・S)、170(W・S)であった。また、図6(a)に示すように、用紙L、M、Nを連続通紙したときに定着フィルム51の非通紙部の昇温値が180℃となった時間は、それぞれ14秒、9秒、6秒であった。そして、図6(b)において、用紙L、M、Nを連続通紙して、それぞれ14秒、9秒、6秒が経過したときの領域Bにおける積算電力量IWSbは、用紙L、M、Nについて、それぞれ130(W・S)、135(W・S)、130(W・S)であった。その結果、定着フィルム51の非通紙部に対応する領域の表面温度が190℃、180℃の場合も、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bに供給される積算電力量IWSbと相関関係が強いことが確認された。
図7(a)は、上述した連続通紙試験の結果に基づいて、定着フィルム51の非通紙部の昇温値と発熱体42a、42bの非通紙部に供給された積算電力量IWSbとの関係を示すグラフである。図7(a)の縦軸(Y軸)は定着フィルム51の非通紙部の昇温値(単位:℃)を示し、横軸(X軸)は発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bに供給された積算電力量(単位:W・S)を示している。図7(a)のグラフは、定着フィルム51の非通紙部の昇温値が180℃、190℃、200℃のときの発熱体42a、42bの非通紙部に供給された積算電力量IWSbをプロットした点を通る近似式を表す直線を示している。図7(a)に示す直線を示す式を関係式1(第1の算出式)と定義すると、関係式1は、Y=0.23X+150で表される。なお、関係式1を用いて、発熱体42a、42bの非通紙部に供給された積算電力量IWSbと、定着フィルム51の非通紙部の昇温値とを対応づけた表を作成し、積算電力量IWSbから定着フィルム51の非通紙部の昇温値を算出するようにしてもよい。
また、図6(a)に示す定着フィルム51の非通紙部の昇温値のグラフにおいて、用紙L、M、Nに対応する定着フィルム51の非通紙部の昇温値が、それぞれ、ある温度に収束するように飽和していることがわかる。具体的には、用紙L、M、Nの定着フィルム51の非通紙部の昇温値は、それぞれ210℃、230℃、255℃で飽和している。ここでは、この温度を飽和昇温値(飽和温度)と定義する。次に、飽和昇温値を算出する方法について説明する。
図6(b)は、用紙L、M、Nを連続通紙した際の、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbの推移を示すグラフである。ここで、図6(b)に示す用紙L、M、Nのグラフを、縦軸に示す積算電力量をYとし、横軸に示す時間をXとした一次の近似式で示したときの、Xの変化量に対するYの変化量の比率(変化率)、すなわち、一次の近似式の傾きαを求める。用紙L、M、Nにおける傾きαは、それぞれ7.2、10.2、13.3であった。なお、ここでは、用紙L、M、Nが定着装置50の定着装置50の定着ニップ部Nに通紙される時間が4秒以降のグラフの傾きを算出している。したがって、図6(b)に示す用紙L、M、Nの積算電力量yを示す一次式は、それぞれ、y=7.2x、y=10.2x、y=13.3xで近似される。
図7(b)は、上述した連続通紙試験の結果に基づいて、定着フィルム51の非通紙部の飽和昇温値と、図6(b)のグラフから算出した傾きαとの関係を示すグラフである。図7(b)の縦軸(Y軸)は定着フィルム51の非通紙部の飽和昇温値(単位:℃)を示し、横軸(X軸)は図6(b)に示すグラフの傾き、すなわち通紙時間に対する発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbの変化量を示している。図7(b)のグラフは、飽和昇温値が210℃、230℃、255℃の用紙L、M、Nの図6(b)のグラフで算出された傾きαをプロットした点を通る近似式を表す直線を示しており、傾きαと飽和昇温値との間に相関関係があることが確認できる。図7(b)に示した傾きα(X)と飽和昇温値(Y)の関係を示す式を関係式2(第2の算出式)と定義すると、関係式2はY=7.4X+156で表される。
[ヒータの非通紙部における積算電力量と定着フィルムの非通紙部の昇温値との関係]
次に、図7(a)に示したヒータ40の発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbと、定着フィルム51の非通紙部の昇温値との関係を示す関係式1をベースに、上述した飽和昇温値を考慮した関係式3の算出方法について説明する。ここでは、図7(a)で示した関係式1において、関係式1により算出した非通紙部の昇温値が上述した飽和昇温値より高い場合には、関係式1より算出される非通紙部昇温値を飽和昇温値に置き換える関係式3を作成する。具体例として、用紙幅が207mmの用紙Pを例に説明する。用紙幅が207mmの用紙Pを通紙した際の傾きαは11である。そして、上述した関係式2に傾きα=11(すなわち、X=11)を代入することにより、飽和昇温値Yは238℃(≒7.4℃×11+156℃)と算出される。更に、関係式1において、非通紙部昇温値が238℃より高くなる積算電力量に対応する非通紙部昇温値を全て飽和昇温値である238℃に置き換える。これにより、最終的な発熱体42a、42bの非通紙部の積算電力量と定着フィルム51の非通紙部の昇温値との関係は、図8に示すグラフのように表すことができる。
図8は、発熱体42a、42bの非通紙部に供給された積算電力量と定着フィルム51の非通紙部の昇温値との関係を示すグラフである。図8において、縦軸(Y軸)は定着フィルム51の非通紙部の昇温値(単位:℃)を示し、横軸(X軸)は発熱体42a、42bの非通紙部に供給された積算電力量を示している。図8に示すグラフを表す関係式3は、非通紙部の積算電力量をX、非通紙部の昇温値をYとしたときに、Xの値が0~383までは、関係式1のY=0.23X+150を用いてYの値を算出し、Xの値が383を超える場合は、Y=238とする。関係式3と印刷終了後の発熱体42a、42bの非通紙部の積算電力量とにより、印刷終了後の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を算出することができる。
[非通紙部の昇温値に応じた定着装置の冷却化時間]
次に、定着フィルム51の非通紙部の昇温値に対する冷却化時間について説明する。冷却化時間(冷却時間ともいう)とは、用紙幅の狭い小サイズ用紙を通紙することによって、定着装置50の定着フィルム51の高温状態の非通紙部の温度を所定の温度まで低下させるための時間(均熱化するための動作を実行する期間)である。また、所定の温度とは、次に印刷する用紙Pの用紙幅が直前に印刷した用紙Pの用紙幅よりも広い場合でもホットオフセットが生じない温度のことである。定着フィルム51の非通紙部の温度を所定の温度まで低下させて均熱化することにより、小サイズ用紙を通紙した後に、幅の広い大サイズ紙を通紙してもホットオフセットの発生を抑制することができる。本実施例では、小サイズ用紙を通紙した後の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を算出し、算出された昇温値に応じて、定着フィルム51の非通紙部の温度を低下させるための冷却化時間を決定する。冷却化時間は、定着フィルム51の非通紙部の昇温値が高いほど長くし、低いほど短くするように決定する。なお、冷却化時間では、定着装置50の加圧ローラ53は回転させた状態でもよいし、回転させずに停止させた状態でもよい。
[定着装置の冷却化の制御シーケンス]
図9は、上述した定着装置50の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を低下させる冷却化の制御シーケンスを示すフローチャートである。図9に示す処理は、用紙Pへの印刷が行われる際に起動され、CPU94により実行される。なお、CPU94は、ヒータ40の発熱体42a、42bへの電力供給を制御することにより、定着装置50の定着フィルム51の温度制御を行うが、図9のフローチャートに示す処理とは別の処理にて実行されるものとする。また、メモリ95には、発熱体42a、42bの長手方向の長さ情報、上述した関係式1、関係式2が予め格納されているものとする。更に、メモリ95には、定着フィルム51の非通紙部の昇温値と定着フィルム51の非通紙部の温度を所定の温度に低下させるための冷却化時間とを対応づけたテーブルが格納されているものとする。
画像形成装置では、ビデオコントローラ91は、PC110から印刷指令を受信すると、CPU94に用紙Pの情報等を含む印刷指令を送信し、ビデオコントローラ91から印刷指令を受信したCPU94は、用紙Pの印刷動作を開始する。なお、PC110からの印刷指令による印刷ジョブは、同じ用紙サイズの用紙Pに対する印刷ジョブとする。
ステップ(以下、Sという)100では、CPU94は、ビデオコントローラ91から受信した印刷指令に含まれる用紙Pの情報から用紙幅haと、メモリ95から発熱体42a、42bの長手方向の長さ情報Hを取得する。S101では、CPU94は、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbを0に設定する。
S102では、CPU94は、電圧計58により測定された発熱体42a、42bに印加される電圧情報、及び電流計59により測定された発熱体42a、42bに流れる電流情報を取得する。S103では、CPU94は、S102で取得した電圧情報、電流情報に基づいて、発熱体42a、42bに供給される電力量WS(=電圧×電流)を算出する。そして、CPU94は、算出した電力量WS、用紙Pの用紙幅ha、及び発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bの長手方向の長さ(発熱体の長さH-用紙幅ha)/2を用いて、上述した非通紙部の電力量WSbを算出する。更に、CPU94は、発熱体42a、42bの非通紙部の領域Bの積算電力量IWSbの値に算出した電力量WSbを加算して、積算電力量IWSbの値を更新し、更新した積算電力量IWSbをメモリ95に保存する。S104では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、印刷ジョブが終了していないと判断した場合には処理をS102に戻し、印刷ジョブが終了したと判断した場合には処理をS105に進める。
S105では、CPU94は、更新する毎にメモリ95に保存されている積算電力量IWSbを読み出し、時間推移に伴う積算電力量IWSbの変化量を示す傾きαを算出する。S106では、CPU94は、メモリ95から上述した関係式2を読み出し、読み出した関係式2に、S105で算出した傾きαを代入して、用紙Pに対する定着フィルム51の非通紙部の飽和昇温値を算出する。
S107では、CPU94は、S106で算出した飽和昇温値と、メモリ95から読み出した関係式1(非通紙部積算電力量と非通紙部昇温値)を用いて、飽和昇温値より高い非通紙部昇温値のすべて飽和昇温値に置き換えた、上述した関係式3を生成する。S108では、CPU94は、メモリ95に保存された印刷ジョブ終了時の積算電力量IWSbを読み出し、読み出した積算電力量IWSbをS107で生成した関係式3に代入して、印刷ジョブ終了時の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を算出する。
S109では、CPU94は、メモリ95に格納された定着フィルム51の非通紙部の昇温値と定着フィルム51の冷却化時間とを対応づけたテーブルから、S108で算出した定着フィルム51の非通紙部の昇温値に対応する冷却化時間を取得する。S110では、CPU94は、定着装置50の加圧ローラ53を停止させて、タイマをリセットしスタートさせる。S111では、CPU94は、タイマを参照して、タイマ値が冷却化時間を経過したかどうか判断する。CPU94はタイマ値が冷却化時間を経過していないと判断した場合には処理をS111に戻し、タイマ値が冷却化時間を経過していると判断した場合には処理を終了する。
なお、ここでは、冷却化時間には、定着フィルム51の非通紙部の温度を低下させるために加圧ローラ53の回転を停止させる処理を行った。例えば、冷却化時間には、定着フィルム51の非通紙部の温度を低下させるために加圧ローラ53を回転させ、冷却化時間が経過した後、加圧ローラ53の回転を停止させる処理を行うようにしてもよい。
また、本実施例では、同じサイズの用紙Pに印刷を行う印刷ジョブを例に説明した。例えば、異なるサイズの複数の用紙Pに印刷を行う印刷ジョブの場合には、用紙サイズが変更されると、加圧ローラ53の冷却化処理を行い、冷却化処理が終了すると、次の用紙Pの印刷を行うようにしてもよい。
上述したように、本実施例では、発熱体の非通紙部の積算電力量と非通紙部の飽和昇温値に基づいて、定着部材の非通紙部の昇温値を精度よく算出することで、小サイズの用紙を通紙した後の定着装置の冷却化時間を短くしている。そして、定着部材の温度に応じて適切に定着部材の冷却化を実行することにより、小サイズの用紙を通紙した後に大サイズの用紙を通紙してもホットオフセットの発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することができる。
実施例1では、ヒータの発熱体の非通紙部の領域の電力量を、電圧計と電流計で測定した電圧情報、電流情報に基づいて算出する例について説明した。実施例2では、電圧計及び電流計が設けられていない定着装置におけるヒータの発熱体の非通紙部の領域の電力量算出方法について説明する。
[ヒータの構成]
図10(a)は、本実施例のヒータ40に電力を供給する電力供給経路を示す模式図である。図10(a)では、実施例1の図5と比べて、電圧計58及び電流計59が設けられていない点が異なる。なお、画像形成装置のその他の構成については、実施例1と同様であり、同じ部材には実施例1と同じ符号を用いることにより、ここでの説明は省略する。
本実施例では、メモリ95は、ヒータ40の目標温度とサーミスタ60が検知したヒータ40の温度との温度差と、ヒータ40に印加すべき電圧とを対応づけた印加電圧テーブルを有している。また、メモリ95は、ヒータ40に印加すべき電圧とトライアック56をオンする制御信号を出力するタイミング、出力間隔を対応づけた制御信号テーブルも有している。CPU94は、周期的にサーミスタ60によるヒータ40の温度検知結果に基づいて、ヒータ40の目標温度との温度差を検知し、印加電圧テーブルより検知した温度差に応じた印加電圧を取得する。更に、CPU94は、制御信号テーブルより、取得した印加電圧に応じたトライアック56の制御信号の出力タイミングを決定し、出力タイミングに応じてトライアック56に制御信号を出力する。なお、本実施例では、CPU94は、制御信号を、交流電源57の交流電圧波形における半波周期(半周期毎)で出力するものとする。トライアック56は、CPU94から制御信号が出力されると、交流電圧波形の半周期の間、オン状態となり、交流電源57からの交流電圧がヒータ40に供給される。
[交流電圧とトライアックの制御信号との関係]
図10(b)は、交流電源57の交流電圧とトライアック56を駆動する制御信号との関係を説明する図である。図10(b)において、下側の図は、CPU94から出力されるトライアック56の制御信号を示しており、制御信号が出力された交流電圧の半周期だけトライアック56がオン状態となる。上側の図は、ヒータ40に供給される交流電源57からの交流電圧(図中、AC電圧と記載)の波形を示しており、制御信号が出力された半周期だけヒータ40に交流電圧が供給される。なお、図中のハッチング部分は交流電圧がヒータ40に交流電圧が供給されている状態を示している。交流電源57は電圧が100V、電源周波数が50Hzで、ヒータ40の発熱体42a、42bの合成抵抗は10.5Ωとする。すると、ヒータ40に供給される1秒間当たりの最大電力量WSは、WS=V/R=100(V)×100(V)/10.5(Ω)≒952[W]である。50Hzは1秒間に50周期(=100半波)であり、1半波は1(秒)/100(回)=0.01秒である。したがって、1半波毎のヒータ40に供給される電力量は、(100(V)×100(V)/10.5(Ω))×0.01(秒)=9.52[W・S]となる。
本実施例では、CPU94は、トライアック56に制御信号を出力する都度、電力量9.52[W・S]を積算電力量IWSに加算する。ヒータ40の非通紙部の領域Bにおける積算電力量IWSbは、実施例1で説明した積算電力量IWSb=hb/H×IWSの計算式によって算出することができる。ヒータ40の非通紙部の積算電力量を算出した後、非通紙部の飽和昇温値、関係式3、非通紙部の昇温値などの算出方法については、実施例1と同じであるため、ここでの説明は省略する。
なお、本実施例では、発熱体42a、42bの合成抵抗値を10.5Ω、交流電源57の交流電圧値を100Vとして電力量を計算した。発熱体42a、42bの抵抗値のばらつきは±7%と小さくため、電力量の測定精度に対する影響は小さい。一方、交流電源57の電源電圧値のばらつきは使用環境によって変化するため、電力量の測定精度に対する影響はあり得る。ヒータ40の非通紙部における積算電力量を過少に算出してはならないため、交流電源57の電源電圧値は想定する最大電圧値とすることが望ましい。発熱体42a、42bの抵抗値、及び交流電源57の電源電圧値の情報は、予めメモリ95に格納しておき、CPU94は必要に応じて参照するようにすればよい。
また、実施例1の図9に示すフローチャートは実施例2についても適応可能である。図9では、S102の処理で、CPU94は、電圧計58、電流計59で測定された電圧情報、電流情報を取得し、S103の処理では、取得した電圧情報、電流情報を用いて電力量を算出し、積算電力量を更新していた。実施例2の場合には、実施例1と異なり、電圧計58及び電流計59が設けられていない。
そこで、図9のフローチャートを実施例2に適用するためには、S102、S103の処理を次のように変更すればよい。S102の処理では、CPU94は、トライアック56に制御信号を出力するかどうか判断し、制御信号を出力する場合には処理をS103に進め、制御信号を出力しない場合には、処理をS104に進める。また、S103の処理では、CPU94は、積算電力量IWSbに、交流電圧の半波周期の間にヒータ40の非通紙部の領域Bに供給される電力量9.52[W・S]を加算し、更新した積算電力量IWSbをメモリ95に保存する。
または、S103の処理では、トライアック56ン制御信号が出力された回数をカウントしておき、S104の処理で印刷ジョブが終了したと判断した場合に、電力量9.52[W・S]にカウント値を乗ずることにより積算電力量を算出するようにしてもよい。
上述したように、本実施例では、トライアック56の制御信号を出力する毎に交流電源57から電源周波数の半波周期にヒータ40に供給される電力量を積算することにより、非通紙部の積算電力量を算出する。そして、実施例1と同様に、発熱体の非通紙部の積算電力量と非通紙部の飽和昇温値に基づいて、定着部材の非通紙部の昇温値を精度よく算出することで、小サイズの用紙を通紙した後の定着装置の冷却化時間を短くすることができる。そして、定着部材の温度に応じて適切に定着部材の冷却化を実行することにより、小サイズの用紙を通紙した後に大サイズの用紙を通紙してもホットオフセットの発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することができる。
実施例1、2のヒータは、1種類の発熱体だけを備えていた。実施例3のヒータは複数の発熱体を備えており、発熱体の使用比率を変更することにより発熱体の非通紙部に供給される電力量を制御する方法について説明する。
[ヒータの構成]
図11(a)は、本実施例のヒータ54の構成を説明する図である。ヒータ54は、Al2O3材のヒータ基板549(厚さt=1mm、幅w=6.3mm、長さl=280mm)上に、銀とパラジウムが主成分の導電材を使用した発熱体、銀が主成分の導通経路、及び電力供給用の接点を有している。なお、幅wは図中短手方向の長さ、長さlは図中長手方向の長さを示す。ヒータ54は、長手方向の長さが最大の発熱体541、542、次に長手方向の長さが長い発熱体543、そして、最も長手方向の長さが短い発熱体544を有している。発熱体541、542の寸法は、厚さt=10μm、幅w=0.7mm、長さl=222mmであり、A4サイズの用紙の用紙幅210mmに対応している。また、発熱体543の寸法は、厚さt=10μm、幅w=0.7mm、長さl=188mmであり、B5サイズの用紙の用紙幅182mmに対応している。そして、発熱体544の寸法は、厚さt=10μm、幅w=0.7mm、長さl=154mmであり、A5サイズの用紙の用紙幅148.5mmに対応している。
発熱体541、542(第1の発熱体)の一端は、それぞれ電力供給用の接点545に電気的に接続され、他端は、それぞれ電力供給用の接点546に電気的に接続されている。また、発熱体543(第2の発熱体)の一端は電力供給用の接点547に接続され、他端は電力供給用の接点546に電気的に接続されている。そして、発熱体544(第2の発熱体)の一端は電力供給用の接点547に接続され、他端は電力供給用の接点548に電気的に接続されている。
発熱体541、542の電気抵抗はいずれも21Ωであり、電力供給用の接点545、546間における発熱体541、542の合成抵抗値は10.5Ωである。また、発熱体543の抵抗値は24Ωであり、発熱体544の抵抗値は28Ωである。各発熱体541、542、543、544の図中短手方向の間隔は、いずれも0.7mmである。
[発熱体の配置]
次に、各発熱体541、542、543、544のヒータ基板549上の配置について説明する。第1の発熱体である発熱体541、542は、交流電源57からの電力供給量が最大の発熱体であり、定着装置50を短時間で通紙可能な状態に加熱することができる。発熱体541、542は短時間で加熱可能であるが、最大電圧を印加したときのヒータ基板549の熱ムラが大きく、ヒータ基板549にひずみが生じる可能性がある。そこで、本実施例では、2つの発熱体541、542を並列に配置し、1箇所に電力を集中させない構成とした。また、発熱体541、542をヒータ基板549の短手方向の中央に対して対称に配置し、ヒータ基板549の熱ムラを低減する構成とした。
一方、第2の発熱体である発熱体543、第3の発熱体である発熱体544は、ヒータ54のサイズアップを抑えるために、それぞれ1つずつとしている。また、発熱体543、544は、発熱体541、542に比べて長手方向の長さが短く、ヒータ基板549の熱ムラに不利な構成となっているため、交流電源57からの電力供給量を小さくすることにより、ヒータ基板549の熱ムラを低減させる構成としている。
[電力供給経路の制御]
次に、各発熱体に電力を供給する電力供給経路の制御について説明する。図11(b)は、交流電源57からヒータ54に電力を供給する電力供給経路を説明する模式図である。図11(b)において、交流電源57の一端は、トライアック550、551の一端と接続され、他端はヒータ54の電力供給用の接点546、及び発熱体切替装置552であるC接点リレー(以下、リレー552という)に接続されている。トライアック550の他端は、ヒータ54の電力供給用の接点545と接続されている。一方、トライアック551の他端は、リレー552、及びヒータ54の電力供給用の接点548と接続されている。スイッチであるリレー552は、3つの接点、すなわち、トライアック551の他端と接続された接点、交流電源57の他端と接続された接点、及びヒータ54の電力供給用の接点547と接続された接点の3つの接点を有している。リレー552の接点547と接続された接点は、CPU94から出力されるリレー制御信号により、トライアック551の他端と接続された接点、又は交流電源57の他端と接続された接点と接続される。
図11(b)に示すように、本実施例の電力供給経路の構成は、実施例1の図4(b)に示す電力供給経路の構成と比べ、トライアックが1個から2個になっている点、リレー552が追加されている点、電圧計58及び電流計59が削除されている点が異なる。その他の画像形成装置の構成は実施例1と同様であり、同じ部材には同じ符号を用いることにより、ここでの説明は省略する。
発熱体541、542に交流電源57から電力を供給する場合には、CPU94はトライアック550に制御信号を出力してトライアック550をオンし、ヒータ54の接点545と接点546との間に交流電圧を印加させる。発熱体543に交流電源57から電力を供給する場合には、CPU94はトライアック551に制御信号を出力してトライアック551をオンし、ヒータ54の接点547と接点546との間に交流電圧を印加させる。なお、このとき、CPU94は、リレー552にリレー制御信号を出力しないため、リレー552では、ヒータ54の接点547と接続された接点とトライアック551と接続された接点とが接続されている。発熱体544に交流電源57から電力を供給する場合には、CPU94はリレー制御信号を出力し、リレー552は、ヒータ54の接点547と接続された接点と交流電源57と接続された接点とを接続する。そして、CPU94は、リレー552の接続を切り替えた後、トライアック551に制御信号を出力してトライアック551をオンし、ヒータ54の接点547と接点548との間に交流電圧を印加させる。
上述したように、発熱体541、542の合成抵抗値は10.5Ωであり、発熱体543、544の抵抗値は、それぞれ24Ω、28Ωである。例えば、交流電源57の供給可能な最大電圧を120V(ボルト)とすると、発熱体541、542における最大電流値は11.43A(アンペア)となり、発熱体543における最大電流値は5A、発熱体544における最大電流値は4.29Aとなる。家庭用の交流電圧線の供給可能な電流値は一般的には15A以下であり、複数の発熱体(例えば発熱体541、542と発熱体543)に同時に交流電圧を印加すると、電流値が15Aを超える可能性がある。そのため、本実施例では、いずれか1つの発熱体に交流電圧を印加する(電力供給を行う)場合には、他の2つの発熱体には交流電源57からの交流電圧を印加しない制御とする。すなわち、CPU94は、図11(b)に示すトライアック550に制御信号を出力している間は、トライアック551には制御信号を出力しない。これにより、トライアック550、551が同時にオン状態とはならないので、複数の発熱体に交流電源57の交流電圧が印加されることはない。
[ヒータの電力供給制御]
次に、ヒータ54への電力供給制御について説明する。例えばB5サイズの用紙を通紙する場合は、交流電源57から電力供給を行う発熱体として、発熱体541、542と、B5サイズの用紙幅と長手方向の長さが近しい発熱体543を使用する。また、A5サイズの用紙を通紙する場合は、交流電源57から電力供給を行う発熱体として、発熱体541、542と、A5サイズの用紙幅と長手方向の長さが近しい発熱体544を使用する。
CPU94は、サーミスタ60によるヒータ54の温度検知結果に基づいてヒータ54の目標温度との温度差を検知し、実施例2で説明した印加電圧テーブルより検知した温度差に応じた印加電圧を取得する。更に、CPU94は、実施例2で説明した制御信号テーブルより、取得した印加電圧に応じたトライアック550、551の制御信号の出力タイミングを決定し、出力タイミングに応じてトライアック550、551のどちら一方に制御信号を出力する。CPU94は、どちらの発熱体に電力供給を行うかは、予め定められている発熱体の使用比率を参照して、決定する。例えば、発熱体541、542の使用比率が30%、発熱体543の使用比率が70%の場合は、0.3秒間は発熱体541、542に電力供給を行い、0.7秒間は発熱体543に電力供給を行うといった使用時間比で、電力供給の制御が行われる。
ところで、用紙を通紙する際の定着装置50の状態として、ヒータ54が加熱されておらず冷えた状態と、ヒータ54が加熱されて温まっている状態の2つの状態がある。定着装置50が冷えた状態の場合には、通紙する用紙の他に、電力供給を行って加熱する必要がある部材があり、より大きい電力量をヒータ54に供給して、発熱体541、542によりヒータ54全体を温める(加熱する)必要がある。一方、定着装置50が温まっている状態であれば、冷えた状態に比べてそれほど高い電力量を供給する必要はないが、発熱体543、544は上述したように電力供給量は小さい。そのため、定着装置50が冷えた状態と温まっている状態とでは、発熱体541、542の使用比率を変更する必要がある。すなわち、CPU94は、定着装置50が冷えた状態では電力供給量の大きい発熱体541、542の使用比率を高くし、定着装置50が温まっている状態ではヒータ54の非通紙部への電力供給量を削減するために、発熱体543、544の使用比率を高くする。
定着装置50が冷えた状態か、温まっている状態かの判断は、ヒータ基板549に接触配置しているサーミスタ60による検知温度に基づいて行われる。サーミスタ60による検知温度が高いほど、定着装置50は温まっている状態である。本実施例では、サーミスタ60の検知温度を4つの温度区分に分け、それぞれ暖気レベル1、2、3、4と定義して、暖気レベルが大きいほど、定着装置50がより温まっている状態であることを示している。
表1は、定着装置50の暖気レベルの温度定義と、各暖気レベルに応じた発熱体541、542、543、544の使用比率を示した表である。表1において、定着装置暖気レベルは、暖気レベル1~4を示し、サーミスタ検知温度は、各暖気レベルに対応するサーミスタ60の検知温度の範囲を示している。例えば、サーミスタ60により検知されたヒータ54の温度が50℃未満の場合には、定着装置50の暖気レベルはレベル1となる。同様に、サーミスタ60により検知されたヒータ54の検知温度が、例えば80℃、120℃、155℃の場合には、それぞれ、暖気レベルはレベル2、レベル3、レベル4となる。また、発熱体の使用比率(単位:%)は、暖気レベルに対応した発熱体の使用比率を示している。左側の発熱体の使用比率は、B5サイズの用紙を通紙する場合に、定着装置50の暖気レベルに応じて使用する発熱体541、542と発熱体543の使用比率を示している。一方、右側の発熱体の使用比率は、A5サイズの用紙を通紙する場合に、定着装置50の暖気レベルに応じて使用する発熱体541、542と発熱体544の使用比率を示している。表1に示すように、暖気レベルが低く、定着装置50が温まっていない状態ほど、発熱体541、542の使用比率が高くなるように設定されている。
Figure 2022139959000002
[ヒータへの電力供給量の算出]
表1に示すように、B5サイズの用紙を通紙する場合には、発熱体541、542と発熱体543とが使用される。図12は、B5サイズの用紙と、発熱体541、542、発熱体543の大きさの関係を説明する図である。図12(a)は、発熱体541、542とB5サイズの用紙の位置関係を示しており、図12(b)は、発熱体543とB5サイズの用紙の位置関係を示している。図12(a)において、小サイズ用紙であるB5サイズの用紙の用紙幅haは182mmである。発熱体541、542の図中長手方向の長さは同じであり、長さH1は222mmである。また、発熱体541、542のB5サイズの用紙が通過しない非通紙領域の長さhb1、hc1はそれぞれ20mm(=(222mm-182mm)/2)である。また、図12(b)において、発熱体543の図中長手方向の長さH2は188mmであり、発熱体543のB5サイズの用紙が通過しない非通紙領域の長さhb2、hc2は、それぞれ3mm(=(188mm-182mm)/2)である。
ヒータ54の発熱体への電力供給量は、実施例2と同様に、CPU94がトライアック550、551に出力した制御信号の回数に基づいて電力量を積算する。例えば、発熱体541、542の合成抵抗値を10.5Ω、交流電源57の交流電圧を100V、電源周波数を50Hzとする。すると、電源周波数の1半波(0.01秒)あたりの電力量は、(100(V)×100(V)/10.5(Ω))×0.01(秒)=9.52[W・S]となる。一方、発熱体543の抵抗値を24Ω、交流電源57の交流電圧を100V、電源周波数を50Hzとすると、電源周波数の1半波あたりの電力量は、(100(V)×100(V)/24(Ω))×0.01(秒)=4.16[W・S]となる。
図13は、発熱体541、542と発熱体543の使用比率が50%:50%のときの、各発熱体に印加した交流電圧(AC電圧)波形と、トライアック550、551をオンする制御信号の関係を示した図である。図13では、交流電圧波形における8半波を制御単位としている。図13では、発熱体541、542に8半波分の時間である0.08秒(=0.01秒/半波×8半波)間、電力供給を行った後、電力供給先を発熱体543に切り替える。そして、次に発熱体543に8半波時間である0.08秒間、電力供給を行った後、再度、電力供給先を発熱体541、542に切り替えている。
CPU94は、発熱体541、542に交流電圧を印加するために、トライアック550に出力した制御信号の回数T1をカウントし、制御信号を出力する都度、電力量9.52[W・S]を発熱体541、542の積算電力量IWS1に加算する。発熱体541、542使用時の非通紙部の領域における積算電力量IWSb1は、IWSb1=積算電力量IWS1×(発熱体541、542の非通紙部の長さhb1/発熱体541、542の発熱体の長さH1)の式によって算出することができる。同様に、CPU94は、発熱体543に交流電圧を印加するために、トライアック551に出力した制御信号の回数T2をカウントし、制御信号を出力する都度、電力量4.16[W・S]を発熱体543の積算電力量IWS2に加算する。発熱体543使用時の非通紙部の領域における積算電力量IWSb2は、IWSb2=積算電力量IWS2×(発熱体543の非通紙部の長さhb2/発熱体543の発熱体の長さH2)の式によって算出することができる。そして、CPU94は、算出した発熱体541、542の非通紙部の積算電力量IWSb1と、発熱体543の非通紙部の積算電力量IWSb2を合算して、ヒータ54における非通紙部の積算電力量IWSbを算出する。
[ヒータの非通紙部における積算電力量と定着フィルムの非通紙部の昇温値との関係]
図14(a)は、定着装置50の暖気レベルが1(Lv1)(発熱体541、542と発熱体543の使用比率が50%:50%)のときの、ヒータ54の非通紙部の領域における積算電力量IWSbの時間推移を示すグラフである。図14(a)において、縦軸はヒータ54の非通紙部の領域における積算電力量IWSb(単位:W・S)を示し、横軸は時間(単位:sec(秒))を示している。発熱体の長さが異なるため、発熱体541、542の使用時と発熱体543の使用時におけるヒータ40の非通紙部の領域における電力量が異なる。また、上述したように、発熱体541、542と発熱体543を交互に使用するため、図14(a)に示すように、非通紙部の領域における積算電力量IWSbは階段状に推移していく。実施例1、2で説明したように、CPU94は、積算電力量の時間推移に基づいて、傾きαを算出し、図14(a)に示すグラフの傾きαは、14.9であった。実施例1で説明した図7(b)の関係式2であるY=7.4X+156を用いて、傾きαが14.9のときの飽和昇温値を算出すると、飽和昇温値は266℃(≒7.4℃×14.9+156℃)と算出される。
次に、実施例1の図7(a)の関係式1(Y=0.23X+150)において非通紙部の領域における昇温値が飽和昇温値より高い場合には、関係式1の非通紙部の領域における昇温値を、関係式2で算出した飽和昇温値に置き換える。図14(b)は、飽和昇温値を置き換えた後の、ヒータ54の非通紙部の積算電力量(単位:W・S)と定着フィルム51の非通紙部の昇温値(単位:℃)との関係を示す関係式3をグラフで示した図である。CPU94は、関係式3とプリント終了後のヒータ54の非通紙部の領域における積算電力量とに基づいて、プリント終了後の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を算出する。そして、CPU94は、実施例1、2と同様に、算出した定着フィルム51の非通紙部における昇温値から定着装置50の冷却化時間を決定し、定着装置50に冷却化動作を実行する。上述した説明は、B5サイズの用紙を通紙した場合の説明であったが、発熱体541、542と発熱体544を使用するA5サイズの用紙を通紙する場合においても、同様の手順で対応すればよい。なお、本実施例についても、実施例1の図9に示すフローチャートにおいて、発熱体の非通紙部の積算電力量を算出する処理を変更する必要があるが、図9のフローチャートを実施例3に適用することは可能である。
上述したように、本実施例では、ヒータ54が長さの異なる発熱体を複数有している場合でも、それぞれの発熱体の非通紙部の電力量に基づいて、ヒータ54全体の非通紙部の電力量を算出する。ヒータ54全体の非通紙部の電力量を算出することにより、実施例1、2と同様に、発熱体の非通紙部の積算電力量と非通紙部の飽和昇温値に基づいて、定着部材の非通紙部の昇温値を精度よく算出することができる。これにより、小サイズの用紙を通紙した後の定着装置の冷却化時間を短くすることができる。そして、定着部材の温度に応じて適切に定着部材の冷却化を実行することにより、小サイズの用紙を通紙した後に大サイズの用紙を通紙してもホットオフセットの発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することができる。
上述した実施例1~3では、ヒータの発熱体の非通紙部に供給される電力量に基づいて非通紙部の領域の昇温値を算出し、算出した昇温値に基づいて定着装置の冷却化時間を決定した。実施例4では、簡易な方法でヒータの発熱体の飽和昇温値を算出し、算出した飽和昇温値を非通紙部の領域の昇温値として定着装置の冷却化時間を決定する方法について説明する。なお、本実施例の画像形成装置や定着装置、ヒータの構成は実施例3と同様であり、同じ装置、部材には同じ符号を使用することにより、ここでの説明を省略する。
[B5用紙通紙時の発熱体の使用比率と飽和昇温値の関係]
B5サイズの用紙を使用して、発熱体541、542、発熱体543の使用比率と、定着フィルム51の非通紙部の領域における飽和昇温値との関係を確認する通紙試験を行った。発熱体541、542、発熱体543の使用比率は、上述した表1と同様、定着装置50の暖気レベル1~4に応じて、4種類とした。通紙試験では、坪量128g/mのB5サイズの用紙を使用し、ヒータ54に接触配置されたサーミスタ60の検知温度が200℃に保持されるように温度制御を実行し、用紙の搬送速度を200mm/sec、各用紙の給送間隔を0.2秒とした。
表2は、B5サイズの用紙の通紙試験の結果をまとめた表である。表2は定着装置50の暖気レベル(1~4)、B5用紙を通紙する場合の暖気レベルに対応した発熱体541、542、発熱体543の使用比率(単位:%)、定着フィルム51の非通紙部の領域の暖気レベルに応じた飽和昇温値(単位:℃)から構成されている。表2に示すように、暖気レベル1における発熱体541、542、発熱体543の使用比率は50%:50%であり、このときの飽和昇温値は227℃であった。同様に、暖気レベル2における発熱体541、542、発熱体543の使用比率は30%:70%であり、このときの飽和昇温値は211℃であった。また、暖気レベル3における発熱体541、542、発熱体543の使用比率は20%:80%であり、このときの飽和昇温値は203℃であった。そして、暖気レベル4における発熱体541、542、発熱体543の使用比率は10%:90%であり、このときの飽和昇温値は195℃であった。
Figure 2022139959000003
図15(a)は、表2に示す発熱体543の使用率と対応する飽和昇温値をプロットしたグラフであり、縦軸は定着フィルム51の飽和昇温値(単位:℃)、横軸は発熱体543の使用率(単位:%)を示している。図15(a)に示すように、発熱体543の使用率と飽和昇温値との相関関係が高いことがわかる。図15(a)にプロットされた点を結ぶ直線を、B5サイズの用紙を通紙した場合の関係式4と定義すると、関係式4は、発熱体543の使用率をX、飽和昇温値をYとすると、Y=-0.8X+267で表される。
[A5用紙通紙時の発熱体の使用比率と飽和昇温値の関係]
A5サイズの用紙についても、発熱体541、542、発熱体544の使用比率と、定着フィルム51の非通紙部の領域における飽和昇温値との関係を確認する通紙試験を行った。発熱体541、542、発熱体544の使用比率は、上述した表1と同様、定着装置50の暖気レベル1~4に応じて、4種類とした。通紙試験では、坪量128g/mのA5サイズの用紙を使用し、ヒータ54に接触配置されたサーミスタ60の検知温度が200℃に保持されるように温度制御を実行し、用紙の搬送速度を200mm/sec、各用紙の給送間隔を0.2秒とした。
表3は、A5サイズの用紙の通紙試験の結果をまとめた表である。表3は定着装置50の暖気レベル(1~4)、A5用紙を通紙する場合の暖気レベルに対応した発熱体541、542、発熱体544の使用比率(単位:%)、定着フィルム51の非通紙部の領域の暖気レベルに応じた飽和昇温値(単位:℃)から構成されている。表3に示すように、暖気レベル1における発熱体541、542、発熱体544の使用比率は50%:50%であり、このときの飽和昇温値は220℃であった。同様に、暖気レベル2における発熱体541、542、発熱体544の使用比率は30%:70%であり、このときの飽和昇温値は204℃であった。また、暖気レベル3における発熱体541、542、発熱体544の使用比率は20%:80%であり、このときの飽和昇温値は196℃であった。そして、暖気レベル4における発熱体541、542、発熱体544の使用比率は10%:90%であり、このときの飽和昇温値は185℃であった。
Figure 2022139959000004
図15(b)は、表3に示す発熱体544の使用率と対応する飽和昇温値をプロットしたグラフであり、縦軸は定着フィルム51の飽和昇温値(単位:℃)、横軸は発熱体544の使用率(単位:%)を示している。図15(b)に示すように、発熱体544の使用率と飽和昇温値との相関関係が高いことがわかる。図15(b)にプロットされた点を結ぶ直線を、A5サイズの用紙を通紙した場合の関係式4(第3の算出式)と定義すると、関係式4は、発熱体544の使用率をX、飽和昇温値をYとすると、Y=-0.86X+263.6で表される。
なお、その他のサイズの用紙についても、同様の方法により通紙試験を行い、それぞれの用紙に応じた関係式4を算出する。そして、算出された関係式は、B5サイズ、A5サイズの関係式4を含めて、メモリ95に格納される。そして、本実施例では、予めメモリ95に格納されている関係式4と、暖気レベルに応じた発熱体543、544の使用比率とに基づいて、定着フィルム51の非通紙部における飽和昇温値を算出する。そして、算出された飽和昇温値を定着フィルム51の非通紙部の昇温値とし、非通紙部の昇温値に対応する冷却化時間を決定する。
[定着装置の冷却化の制御シーケンス]
図16は、本実施例の定着装置50の定着フィルム51の非通紙部の昇温値を低下させる冷却化の制御シーケンスを示すフローチャートである。図16に示す処理は、用紙Pへの印刷が行われる際に起動され、CPU94により実行される。CPU94は、ヒータ54の発熱体541、542、543、544への電力供給を上述した表2、3に示す使用比率に基づいて制御することにより、定着装置50の定着フィルム51の温度制御を行う。なお、定着装置50の定着フィルム51の温度制御は、図16のフローチャートに示す処理とは別の処理にて実行されるものとする。また、メモリ95には、上述した表2、表3の情報、及び関係式4が予め格納されているものとする。更に、メモリ95には、定着フィルム51の非通紙部の昇温値と定着フィルム51の非通紙部の温度を所定の温度に低下させるための冷却化時間とを対応づけたテーブルが格納されているものとする。なお、PC110からの印刷指令による印刷ジョブは、同じ用紙サイズの用紙Pに対する印刷ジョブとする。
S200では、CPU94は、ビデオコントローラ91から受信した印刷指令に含まれる用紙Pの情報から用紙Pの種類情報(B5サイズ、A5サイズ等)を取得する。また、CPU94は、サーミスタ60が検知したヒータ40の温度に基づいて、定着装置50の暖気レベル(1~4)を決定する。S201では、CPU94は、S200で取得した用紙Pの種類情報と、S200で決定した定着装置50の暖気レベルとに基づいて、メモリ95に格納された表2又は表3より、発熱体の使用比率を取得する。例えば、印刷ジョブに使用する用紙がB5サイズの場合には、CPU94は、表2を用いて定着装置50の暖気レベルに対応する発熱体543の使用比率を取得する。同様に、印刷ジョブに使用する用紙がA5サイズの場合には、CPU94は、表3を用いて定着装置50の暖気レベルに対応する発熱体544の使用比率を取得する。
S202では、CPU94は、S201で取得した使用比率の発熱体に対応した関係式4をメモリ95より読み出し、関係式4に該当の発熱体の使用比率を代入することで、定着フィルム51の飽和昇温値を算出する。S203では、CPU94は、印刷ジョブが終了したかどうか判断し、終了したと判断した場合には、処理をS204に進め、終了していないと判断した場合には処理をS203に戻す。
S204では、CPU94は、S202で算出した定着フィルム51の飽和昇温値を定着フィルム51の非通紙部の領域の昇温値に決定する。S205では、CPU94は、メモリ95に格納された定着フィルム51の非通紙部の昇温値と定着フィルム51の冷却化時間とを対応づけたテーブルから、S204で決定した定着フィルム51の非通紙部の昇温値に対応する冷却化時間を取得する。
S206では、CPU94は、定着装置50の加圧ローラ53を停止させ、タイマをリセットしスタートさせる。S207では、CPU94は、タイマを参照して、タイマ値が冷却化時間を経過したかどうか判断する。CPU94はタイマ値が冷却化時間を経過していないと判断した場合には処理をS207に戻し、タイマ値が冷却化時間を経過していると判断した場合には処理を終了する。なお、ここでは、冷却化時間には、定着フィルム51の非通紙部の温度を低下させるために加圧ローラ53の回転を停止させる処理を行った。例えば、冷却化時間には、定着フィルム51の非通紙部の温度を低下させるために加圧ローラ53を回転させ、冷却化時間が経過した後、加圧ローラ53の回転を停止させる処理を行うようにしてもよい。
上述したように、本実施例では、使用する用紙のサイズと定着装置の暖気レベルに基づいて決定した発熱体の使用比率で定着フィルム51の飽和昇温値を算出し、算出した飽和昇温値を非通紙部の昇温値としている。実施例4は、簡易な方法で定着フィルム51の非通紙部の昇温値を決定しているため、上述した実施例1~3に比べて、非通紙部の昇温値の精度は低下することになり、冷却化時間が長くなる。しかしながら、定着装置50の暖気レベルに応じた冷却化時間が確保されるため、ホットオフセットの発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の定着部材の非通紙部の温度に応じて、定着部材を冷却するための加圧ローラの回転時間を制御することができる。
40 ヒータ
42a、42b 発熱体
50 定着装置
51 定着フィルム
53 加圧ローラ
94 CPU

Claims (19)

  1. 筒状のフィルムと、
    前記フィルムの外周面に当接し、ニップ部を形成する加圧ローラと、
    発熱体を有するヒータと、
    を有し、前記ニップ部において前記ヒータの熱により記録材上のトナー像を記録材に定着する定着装置と、
    前記ニップ部に搬送される記録材が通過する前記ニップ部の領域を第1領域、前記ニップ部に搬送される記録材が通過しない前記ニップ部の領域を第2領域とした場合、前記第2領域に対応する発熱体に供給される積算電力量を算出する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、算出した前記積算電力量に基づいて、記録材が前記ニップ部を通過した後の前記ニップ部を均熱化するための動作を決定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ヒータは、交流電源から電力を供給されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記交流電源から前記ヒータへの電力供給路の接続又は切断を行うスイッチを備え、
    前記制御手段は、前記交流電源の電源周波数の半周期毎に、前記スイッチを制御する制御信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記交流電源から前記ヒータに印加される電圧を検知する電圧検知手段と、
    前記交流電源から前記ヒータに流れる電流を検知する電流検知手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記電圧検知手段により検知された電圧値と、前記電流検知手段により検知された電流値と、前記ニップ部を通過する記録材の搬送方向と直交する方向の長さと、前記ヒータの長手方向の長さとに、基づいて、前記発熱体の前記第2領域に供給される前記積算電力量を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記発熱体に供給される電力量は、前記電圧値と前記電流値とに基づいて算出されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は、前記電源周波数の半周期の間に前記発熱体に供給される電力量と、前記ヒータへの前記電力供給路を接続するために出力された前記制御信号の数と、前記ニップ部を通過する記録材の搬送方向と直交する方向の長さと、前記ヒータの長手方向の長さとに、基づいて、前記発熱体の前記第2領域に供給される前記積算電力量を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  7. 前記発熱体に供給される電力量は、前記交流電源の電圧値と、前記発熱体の抵抗値と、に基づいて算出されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記ヒータは、長手方向の長さが異なる複数の発熱体を有し、
    前記交流電源から前記複数の発熱体への電力供給路の接続又は切断を行う複数のスイッチを備え、
    前記制御手段は、前記交流電源の電源周波数の半周期毎に、前記ニップ部を通過する記録材の搬送方向と直交する方向の長さに応じて、複数の前記スイッチを制御する制御信号を出力して、前記複数の発熱体への電力供給を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、前記電源周波数の半周期において、2つ以上の前記発熱体への電力供給を行わないように前記複数のスイッチを制御することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 記録材の印刷が開始されるときの前記ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、
    前記制御手段は、前記温度検知手段により検知された前記ヒータの温度に基づいて、前記複数の発熱体のうち、第1の発熱体、及び前記長手方向の長さが前記第1の発熱体よりも短く、かつ前記ニップ部を通過する記録材の搬送方向と直交する方向の長さに近い第2の発熱体に電力供給を行う比率を決定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記第1の発熱体に電力供給を行う前記比率は、前記温度検知手段により検知された前記ヒータの温度が低いほど大きくなり、前記第2の発熱体に電力供給を行う前記比率は、前記温度検知手段により検知された前記ヒータの温度が高いほど大きくなることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記制御手段は、前記電源周波数の半周期の間に前記第1の発熱体に供給される電力量と、前記第1の発熱体への電力供給路を接続するために出力された前記制御信号の数と、前記電源周波数の半周期の間に前記第2の発熱体に供給される電力量と、前記第2の発熱体への電力供給路を接続するために出力された前記制御信号の数と、前記ニップ部を通過する記録材の搬送方向と直交する方向の長さと、前記第1の発熱体の前記長手方向の長さと、前記第2の発熱体の前記長手方向の長さと、に基づいて、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体の前記第2領域に供給される積算電力量を算出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記第1の発熱体に供給される電力量は、前記交流電源の電圧値と、前記第1の発熱体の抵抗値と、に基づいて算出され、
    前記第2の発熱体に供給される電力量は、前記交流電源の電圧値と、前記第2の発熱体の抵抗値と、に基づいて算出されることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記フィルムの前記第2領域の温度を算出する温度算出手段を備え、
    前記温度算出手段は、前記制御手段により算出された前記積算電力量から前記フィルムの前記第2領域の温度を算出する第1の算出式を有していることを特徴とする請求項5、請求項7、請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記温度算出手段は、前記制御手段により算出された前記積算電力量の時間あたりの変化率から前記フィルムの前記第2領域の飽和温度を算出する第2の算出式を有し、前記第1の算出式により算出した前記フィルムの前記第2領域の温度が前記第2の算出式により算出した前記飽和温度よりも高い場合には、前記飽和温度を前記フィルムの前記第2領域の温度とすることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 前記フィルムの前記第2領域の温度を算出する温度算出手段を備え、
    前記温度算出手段は、第1の発熱体、及び前記第2の発熱体に電力供給を行う前記比率から前記フィルムの前記第2領域の飽和温度を算出する第3の算出式を有し、前記第3の算出式により算出された前記飽和温度を前記フィルムの前記第2領域の温度とすることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  17. 前記制御手段は、前記フィルムの前記第2領域の温度と、前記フィルムの前記第2領域の温度を所定の温度に低下させるための前記フィルムの冷却時間と、を対応づけた情報を有し、前記情報と前記温度算出手段により算出された前記フィルムの前記第2領域の温度とに基づいて、前記フィルムの冷却時間を決定することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記制御手段は、前記均熱化するための動作を実行する期間、前記加圧ローラは停止させる、又は前記加圧ローラは駆動させることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  19. 前記ヒータは前記フィルムの内部空間に配置されており、前記ヒータと前記加圧ローラで前記フィルムを挟持しており、記録材上の画像は前記ニップ部で前記フィルムを介して加熱される請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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