JP5457000B2 - 鋼材の表面処理方法およびそれによって得られた鋼材ならびに金型 - Google Patents

鋼材の表面処理方法およびそれによって得られた鋼材ならびに金型 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材にショットピーニング処理をした後、フッ化処理および窒化処理を実施する表面処理方法およびそれによって得られる耐摩耗性と疲労特性に優れた鋼材ならびに金型に関するものである。
各種鋼材の耐摩耗性や耐久性を向上させるため、その表面部にNやCを侵入させ、表面硬度や表面圧縮応力を向上させる方法として、ガス窒化処理、塩浴窒化処理、イオン窒化処理、ガスもしくは塩浴浸硫窒化処理や浸炭処理、浸炭窒化処理など、各種表面硬化処理が適用されてきている。それらの中でも、鋼の変態点以下で処理をすることによって歪の少ない処理が可能な窒化処理が各種機械部品などに幅広く利用されている。また、従来の窒化処理は主に表面硬化による耐摩耗性の向上を目的として実施されてきたが、被処理品の疲労特性を改善する目的でも窒化処理の採用および採用に向けた研究が進められてきている(例えば、下記の特許文献1、2、3)。
一方、被処理品表面にショット材を衝突させることでその表面部に圧縮応力を発生させ、機械部品等(例えば、下記の特許文献4、5)や各種金型(例えば、下記の特許文献6、7)の疲労特性や耐久性等を向上させる方法としてショットピーニングを利用する方法も多く開示されている。
また窒化処理とショットピーニングを複合化させることで、例えば高負荷環境で使用される歯車の耐久性をさらに向上させる方法(例えば、下記の特許文献8、9)や、高温で使用される鋳造やダイカスト金型の長寿命化を図るための方法(例えば、下記の特許文献10、11)についても開示されている。
これらの中でも、高温で使用される金型については、耐摩耗性を有することはもちろんのこと、温度幅の大きいヒートサイクルが繰り返し負荷されることによるヒートクラックの発生、進展といった耐熱疲労特性が寿命を大きく左右することから、その向上策が特に重要な課題となっている。
特許第3430685号 特開平11−72159 特開平10−30632 特開平8−41533 特開平10−100069 特開平10−217122 特開2003−191166 特開2006−131922 特開2006−299324 特開2002−60845 特許第3857213号
これらのうち、例えば金型に関する特許文献6では、金型表面の粗さを小さくすることおよびその表面で圧縮応力が最大となるようにショットピーニングを実施することにより、いわゆるかじりやクラックの発生を抑制し金型寿命を向上させようとするものである。ただし、高温で使用される場合や被加工材の塑性流動に伴い、その表面が高温となる金型として使用した際に、ショットピーニングにより導入した歪による圧縮応力は短時間で大きく低下してしまう。このため、大きな温度上昇を件わない状況でなければ使用できず、金型の寿命向上方法としては十分なものではない。
また、同様に金型の寿命向上方法である特許文献7では、ショットピーニングを適用する金型の熱処理として、窒化処理等の表面改質が含まれる旨の記述がされている(段落0016)。しかしながら、その具体的な内容については全く開示されておらず、窒化処理の方法や条件とショットピーニングの組み合わせを最適化して疲労特性を向上させるという技術思想については全く開示されていない。
一方、特許文献8は、歯車に対し歪の小さい窒化処理の適用を図る一例であり、負荷される面圧が高い歯車では、窒化処理によって表面に形成した靭性の低い窒素化合物層が剥離することによって様々な問題が生じるため、その窒素化合物層をショットピーニングによって除去し、表面に靭性と比較的高いN濃度を有する拡散層を露出させるものである。この方法によれば、露出した窒素拡散層にもピーニング効果による高い圧縮応力を発生させ、上記歯車の耐久性を向上させることも可能であると考えられるが、この方法は窒化処理の際に形成する化合物層をポーラス化することによってショットピーニングによる除去を容易にしなければならない。また、たとえポーラス化した化合物層であってもショットピーニング処理で完全に除去することは非常に困難であり、実施できたとしても極めて生産性の悪い方法である。このように、せっかく形成した窒化処理層である化合物層をわざわざ除去するためにショットピーニングが行われているに過ぎず、窒化処理の方法や条件とショットピーニングの組み合わせを最適化して疲労特性を向上させるものではない。
また特許文献9では、窒化処理によって形成した窒素化合物層を水素や酸素を含む雰囲気で加熱することにより分解させることによって、ショットピーニングを実施した場合でも、靭性の低い化合物層が分解しているためその表面にクラックや欠け、剥離といった問題を生じさせない方法が開示されている。しかしながら、せっかく形成した窒化処理層である化合物層をわざわざ除去するために加熱分解工程を実施せねばならず、それだけ工程が多くなって生産性によくない。また、窒素化合物層を加熱分解する段階で、下地の拡散層部分でも脱窒や脱炭が発生することによる圧縮応力の大きな低下が起こってしまう。このため、その後その表面にショットピーニングを適用し圧縮応力を高めた場合であっても、十分な強度が得られない。このように、窒化処理の方法や条件とショットピーニングの組み合わせを最適化して疲労特性を向上させるものではない。
一方、特許文献10では、熱間で使用されるダイカスト金型の寿命向上策として、窒化処理およびショットピーニング処理を行い、金型として使用を開始した後、発生した表面の残留圧縮応力が大きく低下する前に再度上記の窒化処理を実施する方法について開示されている。また、金型の使用により表面の残留圧縮応力が大きく低下する前に再処理を実施することも開示されている。ところが、試験片であれば頻繁に表面圧縮応力を測定して再処理を行なうタイミングを最適化することも可能であるが、実際の金型では、特に重量物の金型で実施することは極めて困難であり、そのタイミングを逸してショットピーニングでは取り除けない大きなヒートクラックを発生させてしまう可能性も高い。このように、実際の金型に適用するには決して容易な方法ではない。
また、特許文献11では、鍛造用金型について、ショットピーニングと浸硫窒化を行い、その表面に1000Mpaを超える圧縮残留応力を発生させる方法が開示されている。ここで、ヒートクラックの発生は単に表面の圧縮応力さえ高ければ発生しないというものではなく、例えばその表面部に窒素拡散層を含めた硬度の高い硬化層を厚く形成させてしまうと、その表面部の靭性が低下してヒートクラックの発生や進展を十分に抑制できない。しかしながら、上記特許文献11では、ショットピーニングと浸硫窒化を単純に組み合わせただけであり、窒化処理の方法や条件とショットピーニングの組み合わせを最適化して疲労特性を向上させるという技術思想については全く開示されていない。
すなわち、ショットピーニングも窒化処理もその表面に圧縮応力を発生させる点では同じであるが、ショットピーニングが与える歪による圧縮応力は、高温化で歪の開放を件って解消されてしまう。したがって、各種金型のように表面温度が上昇したり、歯車のように相手材との接触面が高面圧となったりする場合には、その表面に高い繰り返し応力や熱が負荷されて圧縮応力が開放されてしまう。このため、熱間金型等の耐熱疲労特性すなわちヒートクラックの発生および進展防止策として長時間寄与するものではない。
これに対し、表面からNやCを侵入させる窒化処理は、その金属格子間等にNやC、特に鋼材中への固溶量の多いNが侵入することによって圧縮応力が発生する。さらに、例えば金型用鋼に含まれNとの化合物を形成しやすいCr等と微細な硬質窒化物が窒素拡散層中に分散析出され、さらに圧縮応力が高まる。また、それらの析出物の分解温度も高く、熱が負荷された場合にも圧縮応力の低下や耐摩耗性の低下が小さい。このため、特に高温金型の寿命向上にとって極めて重要な役割を果たす。
しかしながら、上述したように、単に表面部に硬度の高い硬化層や窒素化合物層を厚く形成させても、逆にクラックの発生や進展を助長することとなり、金型寿命の向上という点から見れば十分なものではない。
以上のことから、単にショットピーニングの適用によって常温の圧縮応力を高めるのではなく、その表面部が高温になった場合であっても圧縮応力の低下が極小化できるよう、クラック発生起点である表面部にNを高濃度で侵入させるとともに、窒素化合物層や高硬度の拡散層厚さを制御することが可能な表面処理方法を開発する必要があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、高濃度のNを有しかつ硬度や窒素化合物層厚さが抑制された窒化層を形成させ、耐摩耗性と疲労特性に優れた特性が得られる鋼材の表面処理方法およびそれによって得られた鋼材ならびに金型を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の鋼材の表面処理方法は、
処理前の鋼材表面にショットピーニング処理を行なう第1のショットピーニング工程と、
上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理工程と、
上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行う窒化処理工程とを行うことにより、
鋼材の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層を10μm以上形成し、
上記窒化処理工程を行った鋼材表面にさらにショットピーニング処理を行う第2のショットピーニング工程を行うことを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の鋼材は、処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、
表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされたことを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の金型は、鋼材からなり、
処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、
少なくとも成形面の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされたことを要旨とする。
すなわち、本発明の表面処理方法は、まず、鋼材表面に第1のショットピーニング処理を実施し、その表層部の格子に歪を導入して粒内欠陥を増加させ、表層部の粒内にNやCの侵入型元素を浸透しやすくする。また、鋼材表面の厚い酸化皮膜をある程度除去するとともに微小凹凸を形成し、微小凹凸が形成された表面上に新たな酸化皮膜を形成させる。ついで、フッ化処理により、微小凹凸の上に形成された新たな酸化皮膜を除去してフッ化物膜を形成させる。つぎに、窒化処理により、フッ化物膜を還元して表面を活性化させてNやCを拡散浸透させる。このとき、上記第1のショットピーニング処理により表層部の粒内欠陥が増加されるとともに、表面には凹凸が形成されているため、表面および粒内ともに格子欠陥が増加させたところに活性な表面を露呈してNやCを拡散浸透させることから、表層部へのNやCの浸透濃度を十分に高くすることができる。これにより、鋼材の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層を10μm以上形成するのである。
また、上記窒化処理工程を行った鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うため、窒化処理による熱付加で低減した格子歪を再度増加させることによって、過飽和に固溶したNをより安定化させることができる。すなわち、窒化処理を実施した後は、高温で保持されたことによって第1のショットピーニング処理で導入した歪が解消しながら、そこにNやCが侵入することになる。したがって、侵入したNやCはいわばかなり過飽和な状態で表層部に侵入した状態となっており、また結晶粒界に濃縮した状態となっている可能性がある。このため、結晶粒界の脆化が生じて破壊の起点となることを防ぐため、再度第2のショットピーニング処理を行って歪を導入し、特に結晶粒界に濃縮したNやCを分散して、表面部の圧縮応力が均一安定化させる、より強靭な表面状態とすることができる。さらに、その第2のショットピーニング条件を表面硬さが大きく上昇しないように調整した場合には、700〜1000Mpaの圧縮残留応力が長時間維持されるとともに、クラックの発生しづらい表面層を形成せしめることができる。
このように、本発明では、ショットピーニング処理後に窒化処理したものや、フッ化処理後に窒化処理したものよりも、その表面部に高濃度のNを固溶させることが可能となるのである。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
また、本発明の鋼材は、処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされている。
このため、ショットピーニング処理後に窒化処理したものや、フッ化処理後に窒化処理したものよりも、その表面部に高濃度のNを固溶させることが可能となるのである。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。このように、耐摩耗性に優れるだけではなく、例えば繰り返し高い応力が負荷された場合においてもその表面部の圧縮残留応力が低下しづらいことから、耐かじり性や耐久性に優れた鋼材となる。
また、本発明の金型は、鋼材からなり、処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、少なくとも成形面の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされている。
このため、ショットピーニング処理後に窒化処理したものや、フッ化処理後に窒化処理したものよりも、その表面部に高濃度のNを固溶させることが可能となるのである。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い金型となる。このように、耐摩耗性に優れるだけではなく、例えば繰り返し高い応力が負荷された場合においてもその表面部の圧縮残留応力が低下しづらいことから、耐かじり性や耐久性に優れた金型となる。例えば、熱間で使用される金型に適用することによって、特に耐熱疲労特性、すなわち耐ヒートクラック性に優れた高寿命の金型となる。
本発明において、上記窒化処理工程において、上記窒化処理層として、窒素化合物層を形成せずに、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層10μm以上形成する場合には、
その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を十分な厚みで形成させ、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
本発明において、上記窒化処理工程において、上記窒化処理層として、5μm以下の窒素化合物層と、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層を10μm以上形成する場合には、
その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を十分な厚みで形成させるとともに、厚すぎない窒素化合物層を形成させ、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
本発明において、上記窒化処理層の表面の圧縮残留応力を700〜1000MPaとする場合には、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
また、本発明において、例えばダイカスト金型のようにヒートサイクルが繰り返し長時間負荷されることによって、本発明の表面処理の効果が薄れ、ヒートクラック等が発生し始めるようなときには、再度本発明の表面処理を実施することによって、さらにその寿命を延長せしめることが可能となる。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明が対象とする鋼材は、炭素鋼、低合金鋼、高合金鋼、構造用圧延鋼、高張力鋼、機械構造用鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、軸受鋼、ばね鋼、肌焼鋼、窒化鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼等、各種の鋼材を適用することができる。
本発明の鋼材の表面処理方法は、処理前の鋼材表面にショットピーニング処理を行なうショットピーニング工程と、上記ショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理工程と、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行う窒化処理工程とを行う。
第1工程としてショットピーニング工程は、鋼材の表面に鋼球等のショット材を打ち付けるもので、処理を行うことによって鋼材表面および表層部に歪を発生させる。
このときのショットピーニング条件は、適用する鋼材の硬さや使用用途によって変更する必要があるが、例えば高温で使用されるダイカスト金型等では、その表面部の硬度を高くし過ぎないことが必要であり、また、後に説明する窒化処理工程で実施される窒化処理時に硬度および濃度の高い窒素拡散層が厚く形成され過ぎないようにする必要がある。このため、ショットピーニングによって導入される歪の深さが深くなり過ぎないよう30〜200μm、より好ましくは50〜100μm程度のショット材を用いて、20〜100m/sec程度の速度での投射となるように実施することが好ましい。
このとき、上記の理由により径の小さいショット材を使用することが望ましく、インペラーを用いた投射方法よりもエアーを用いた投射方法を用いることが好適である。上記の場合0.2〜0.4MPaでの噴射圧力での投射とすることができる。
上記ショットピーニング処理により、鋼材の表層部の格子に歪を導入して粒内欠陥を増加させ、表層部の粒内にNやCの侵入型元素を浸透しやすくする。また、鋼材表面の厚い酸化皮膜をある程度除去するとともにその表面に微小凹凸を形成し、上記微小凹凸が形成された表面上に新たな酸化皮膜を形成させる。
上記ショットピーニング処理を実施した後、第2工程としてフッ化処理を実施する。
上記ショットピーニング処理によって、その処理前に被処理材表面に形成されていた酸化膜はある程度除去されている場合が多いが、ショットピーニング時に表面温度が上昇し、再度新たな酸化皮膜が形成される場合が多い。その新たな酸化皮膜がNやCの侵入を阻害するため、上記微小凹凸の上に形成された新たな酸化皮膜を除去してフッ化物膜を形成させる。
このとき、フッ化処理に使用するガスとしては、フッ素ガスやフッ素化合物ガスを含むガスであれば特に限定されるものではないが、常温安定性等取り扱い性に優れるNFガスを含有するガス、より具体的にはNFガスを1000〜100000ppm含有するNガスがより好適に用いられ、200〜500℃で1〜180分保持することで実施することができる。ただし、このフッ化処理時に第1工程のショットピーニング処理で表面部に導入された歪が解消されることを極力回避するため、できるだけ低温で実施するのが好ましく、200〜350℃程度で実施することが好ましい。
なお、ショットピーニング処理で形成される酸化皮膜は、常温で自然に形成されるものよりも厚く強固なものである場合があり、さらに極表層部は強加工組織となっている場合があるため、上記のフッ化物膜厚さとしては少なくとも0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上形成し、NやCが侵入しやすくなるよう実施することが好ましい。
つぎに、第3工程として窒化処理を実施する。
この窒化処理方法としては、様々な方法を選択することが可能であるが、ガス窒化処理、ガス軟窒化処理、ガス侵硫窒化処理等、ガス雰囲気を使用するものが上記第2工程のフッ化処理工程の効果を発揮させやすいため好適に用いられる。
すなわち、上記置換されたフッ化物膜は還元雰囲気に曝されると容易に還元除去される性質を有するため、活性なHを解離、生成しやすいNHガスを含むガスを用いる窒化処理方法が好適に利用できる。なお窒化処理を行なう温度、時間等については処理を行なう材質、要求される性能等によって異なるため特に限定されるものではないが、例えば熱間で使用する金型鋼であれば500〜600℃の温度で60〜600分保持する条件が望ましい。このとき、表面に形成する鉄窒化物層は延性に乏しくクラックの発生起点となりやすいことから、雰囲気のNHガス濃度の調整や、Hガスを含有するガス等を添加するなどして、その厚さを0〜5μmの範囲内とすることができる。
上記第1〜第3工程を実施すること、すなわちショットピーニング処理による表面部への歪の導入とフッ化処理による強固な酸化皮膜の除去、および窒化処理時の表面活性化による複合効果により、従来実施されてきたショットピーニング処理工程と窒化処理工程、またはフッ化処理工程と窒化処理工程のみを実施する場合よりも、その表面部は高濃度のNやCを侵入させることが可能になるのである。
このようにすることにより、鋼材の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層を10μm以上形成する。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
上記窒化処理層として、窒素化合物層を形成せずに、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層10μm以上形成する場合には、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を十分な厚みで形成させ、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
上記窒化処理層として、5μm以下の窒素化合物層と、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層を10μm以上形成する場合には、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を十分な厚みで形成させるとともに、厚すぎない窒素化合物層を形成させ、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
上記窒化処理層の表面の圧縮残留応力を700〜1000MPaとする場合には、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。
さらに、第3工程の窒化処理を実施した後は、高温で保持されたことによって第1工程すなわちショットピーニング処理で導入した歪が解消しながら、そこにNやCが侵入することになる。したがって、侵入したNやCはいわばかなり過飽和な状態で表層部に侵入した状態となっており、また結晶粒界に濃縮した状態となっている可能性がある。このため、結晶粒界の脆化が生じて破壊の起点となることを防ぐため、再ショットピーニング処理を行うことによる歪の導入を実施することが望ましい。これにより、特に結晶粒界に濃縮したNやCが分散され、表面部の圧縮応力が均一、安定化するため、第4工程として、上記窒化処理工程を行った後、さらに鋼材表面にショットピーニング処理を行うことができる。
上記第4工程で実施する再ショットピーニング条件については、上記の表層部の調整、安定化が目的であるとともに、その表面粗さを悪化させた場合にはクラックの起点となりやすいことから、好ましくは30〜100μm程度のショット材を用いて、第1工程と同様にエアーを用いた投射方法により0.2〜0.4MPaでの噴射圧力での投射とすることが好ましい。この場合、その表面の圧縮応力は第3工程の窒化処理後とほぼ同等で700〜1000MPaとなる。
このようにすることにより、窒化処理による熱付加で低減した格子歪を再度増加させることによって、過飽和に固溶したNをより安定化させることができる。すなわち、窒化処理を実施した後は、高温で保持されたことによってショットピーニング処理で導入した歪が解消しながら、そこにNやCが侵入することになる。したがって、侵入したNやCはいわばかなり過飽和な状態で表層部に侵入した状態となっており、また結晶粒界に濃縮した状態となっている可能性がある。このため、結晶粒界の脆化が生じて破壊の起点となることを防ぐため、再度ショットピーニング処理を行って歪を導入し、特に結晶粒界に濃縮したNやCを分散して、表面部の圧縮応力が均一安定化させる、より強靭な表面状態とすることができる。さらに、そのショットピーニング条件を表面硬さが大きく上昇しないように調整した場合には、700〜1000Mpaの圧縮残留応力が長時間維持されるとともに、クラックの発生しづらい表面層を形成せしめることができる。
上記第1〜第3工程もしくは第1〜第4工程を、例えば金型に適用した場合には、常温での耐摩耗性や耐かじり性に優れるだけでなく、高温で使用した場合にも表面圧縮応力の低下が小さいため、耐熱疲労特性に優れた高寿命の金型を得ることが可能になるのである。
また、例えばダイカスト金型のようにヒートサイクルが繰り返し長時間負荷されることによって、上記第1〜第3工程もしくは第1〜第4工程の表面処理の効果が薄れ、ヒートクラック等が発生し始める。このようなときには、再度第1〜第3工程もしくは第1〜第4工程の表面処理を実施することによって、さらにその寿命を延長せしめることが可能となる。
上述した表面処理を施した鋼材は、例えば、図1に示すように、その表面部に5μm以下の窒素化合物層1と、10μm以上30μm以下に制御された2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層2と、2質量%未満のN濃度を有する窒素拡散層3が、母材4上に形成されている。
このように、上記鋼材は、表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層2が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされている。このため、ショットピーニング処理後に窒化処理したものや、フッ化処理後に窒化処理したものよりも、その表面部に高濃度のNを固溶させることが可能となるのである。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い機械部品や金型等を構成することが可能となる。このように、耐摩耗性に優れるだけではなく、例えば繰り返し高い応力が負荷された場合においてもその表面部の圧縮残留応力が低下しづらいことから、耐かじり性や耐久性に優れた鋼材となる。
また、上述した表面処理を施した金型は、鋼材からなり、少なくとも成形面の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層2が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされている。このため、ショットピーニング処理後に窒化処理したものや、フッ化処理後に窒化処理したものよりも、その表面部に高濃度のNを固溶させることが可能となるのである。これにより、その表面部に従来よりも高濃度のNを拡散させた拡散層を形成させることが可能となり、特に高面圧が負荷される機械部品や高温で使用される金型等に適用することで、耐久性の高い金型となる。このように、耐摩耗性に優れるだけではなく、例えば繰り返し高い応力が負荷された場合においてもその表面部の圧縮残留応力が低下しづらいことから、耐かじり性や耐久性に優れた金型となる。例えば、熱間で使用される金型に適用することによって、特に耐熱疲労特性、すなわち耐ヒートクラック性に優れた高寿命の金型となる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。
SCM420材を用いて30×30×5mmの形状とし、焼入れ、焼戻し処理を実施してHRC30前後に調質した後、その表面を#600まで湿式研磨し試験片を作製した。この試験片を用い、本発明例である(a)ショットピーニング処理→フッ化処理→窒化処理を実施した。また比較例として(b)ショットピーニング処理→窒化処理を実施したものと、(c)フッ化処理→窒化処理を実施したものも用意した。
なお、上記の各処理条件については、ショットピーニング処理条件は50〜100μmの概球形状のショット材を用いて0.3MPaの噴射圧力で実施した。また、フッ化処理は、300℃で60分実施することによって約0.5μm厚さのフッ化物膜を形成させ、窒化処理は、570℃で180分、NH/Hガス比率が0.2となる雰囲気で実施し、表面に窒素化合物層を形成させない条件とした。これらの試験片の表面部のN濃度を測定した結果を図2に示す。
図2の分析結果から、(b)の条件ではショットピーニング処理によって表面部に歪が導入されたにもかかわらず、そのN濃度はフッ化処理を実施した他のものよりも低い。これは表面の酸化皮膜の影響が大きいと考えられ、表面から侵入するNの絶対量が少ないため、その深さ方向のN濃度の低下度合も大きい。したがって、このサンプルの表面圧縮応力を例えば1000MPa程度に上昇させるためには、さらにショットピーニング等を実施する必要があるが、その場合には温度が上昇する使用環境ではその圧縮応力を長時間維持することは難しい。
また(c)の条件ではフッ化処理の効果によりNの浸透深さは比較的深いものとなっているが、その表面部のN濃度はそれほど高いものではない。
一方、本発明例の(a)の条件ではNの浸透深さが深いものとなっている上、その表面部のN濃度が他の条件よりも明らかに高い濃度となっていることが分かる。したがって、例えば高い面圧や曲げ応力等が繰り返し負荷されるような機械部品等に適用された場合であっても、耐かじり性や疲労特性を一層向上させることが可能となるものと考えられる。
SKD61材を用いてφ35×L30mmの形状とし、焼入れ、焼戻し処理を実施しHRC45前後に調質した後、図3に示す形状に研削加工し、ヒートサイクル試験片を作製した。この試験片を用い、本発明例である(d)ショットピーニング処理→フッ化処理→窒化処理→ショットピーニング処理を実施した。また、比較例として(e)ショットピーニング処理→窒化処理→ショットピーニング処理を実施したものも用意した。
なお、本発明例である(d)の各処理条件については、第1工程のショットピーニング処理条件は、50〜100μmの概球形状のショット材を用いて0.35MPaの噴射圧力とし、第4工程のショットピーニング処理条件は50〜100μmの概球形状のショット材を用いて0.3MPaの噴射圧力とした。また、第2工程であるフッ化処理条件は実施例1と同条件とし、第3工程である窒化処理条件は、フッ化処理終了後NHガスとRXガスが5:5となる比率で530℃まで昇温し、そのままの雰囲気組成で180分保持する方法で実施した。この第1〜第4工程実施後の表面圧縮応力は約920MPaであった。
ここでRXガスとはN、H、CO、CO等の混合ガスで、そのうち浸炭件のあるCOガスを約20〜25容量%含んだガスである。
一方、比較例(e)のショットピーニング処理条件は、窒化処理前後とも50〜100μmの概球形状のショット材を用いて0.45MPaの噴射圧力で実施した。また窒化処理条件はNHガス雰囲気中に530℃で300分保持する条件とした。このときの試験片の表面圧縮応力は約1240MPaであった。
また、比較例(f)として570℃で180分ガス浸硫窒化処理→ショットピーニング処理を実施した試験片(表面圧縮応力約1120MPa)も用意した。なお、ショットピーニング処理条件については、比較例(e)と同条件(ただし窒化処理後のみ)とした。
これらの試験片について、図3の符号5で示した外周部分に高周波加熱(650℃)−噴霧水冷却のヒートサイクルを300回繰り返し負荷する試験を実施し、試験後の表層部の断面観察によってヒートクラックの発生状態を調査した結果を図4に示す。
図4の結果から、比較例(f)ではその表面の圧縮応力が比較的高いにも関わらず、非常に深いヒートクラックが発生している。この試験片は約10μmの窒素化合物層が形成されていることもあり、このことから表面の圧縮応力が高い場合であっても、窒化方法が適正でなければヒートクラック抑制効果はほとんど無いか、もしくは逆効果であり、窒化処理条件との組み合わせについて十分考慮したものでなければ、耐久性を向上させることができないことが分かる。
一方、比較例(e)ではその表面の窒素化合物層厚さは3〜5μm程度であるとともに、比較例(f)に対して明らかにヒートクラックの進展深さが浅くなっている。この両者の比較においては、十分に耐久性向上が図れる処理方法であるといえる。
しかし、本発明例(d)ではその表面の化合物層厚さが2〜3μm程度と比較例(e)に対してそれほど大きな差は無いものの、ヒートクラック試験の結果においては明らかにヒートクラックの本数も深さも抑制できていることが分かる。このヒートサイクル試験後の残留圧縮応力が比較例(e)の試験片では約410MPaと試験前の1240MPaから大きく減少しているのに対し、本発明例(d)の試験片では約760MPaと試験前の920MPaからの減少量が非常に小さい。すなわちショットピーニング処理とフッ化処理、窒化処理を複合化し、その処理条件を最適化することによって、非常に耐久性の高い表層を有する鋼材とすることができることが分かる。
これらの結果から本発明を鋼材に適用した場合、特に表面部のN濃度を大きく高めることが可能となることによって、その表面に繰り返し高い応力が負荷される過酷な環境で使用される場合においても、その耐久性や疲労特性を大幅に向上させることが可能となることがわかる。
本発明の処理方法およびその方法によって得られる鋼材は、その表面に繰り返し高い応力が負荷される場合においても、その表面部に形成させた窒化層が高い圧縮応力を長期間維持することができることから、各種歯車等の機械部品や熱間金型等に好適に利用することができる。
本発明例の表面層構造を示した模式図である。 本発明例および比較例の表面部のN濃度を測定した結果である。 ヒートサイクル試験片の断面図である。 本発明例および比較例のヒートサイクル試験後の断面観察結果である。
符号の説明
1 窒素化合物層
2 2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層
3 2質量%未満のN濃度を有する窒素拡散層
4 母材
5 ヒートサイクル試験の観察部位

Claims (6)

  1. 処理前の鋼材表面にショットピーニング処理を行なう第1のショットピーニング工程と、
    上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理工程と、
    上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行う窒化処理工程とを行うことにより、
    鋼材の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層を10μm以上形成し、
    上記窒化処理工程を行った鋼材表面にさらにショットピーニング処理を行う第2のショットピーニング工程を行うことを特徴とする鋼材の表面処理方法。
  2. 上記窒化処理工程において、上記窒化処理層として、窒素化合物層を形成せずに、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層10μm以上形成する請求項1記載の鋼材の表面処理方法。
  3. 上記窒化処理工程において、上記窒化処理層として、5μm以下の窒素化合物層と、2質量%以上のN濃度を有する窒素拡散層を10μm以上形成する請求項1記載の鋼材の表面処理方法。
  4. 上記窒化処理層の表面の圧縮残留応力を700〜1000MPaとする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼材の表面処理方法。
  5. 処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、
    表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされたことを特徴とする鋼材。
  6. 鋼材からなり、
    処理前の鋼材表面に第1のショットピーニング処理を行ない、上記第1のショットピーニング処理を行なった鋼材をフッ素含有雰囲気で加熱して表面の酸化皮膜を除去するとともにフッ化物膜を形成させるフッ化処理を行い、上記フッ化処理した鋼材に対して窒化処理を行い、上記窒化処理を行った後の鋼材表面にさらに第2のショットピーニング処理を行うことにより、
    少なくとも成形面の表層部に2質量%以上のN濃度を有する窒化処理層が10μm以上形成され、表面の圧縮残留応力が700〜1000MPaとされたことを特徴とする金型。
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