JP2008073706A - 疲労強度に優れた金型およびその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疲労強度の向上した金型および金型の加工方法を提供する。
【解決手段】表面の残留応力が0MPa超〜1000MPaの圧縮応力であり、表面から深さ0.2mmの位置で表面に平行な方向の残留応力が300MPa以上降伏応力以下の圧縮応力であり、かつ粗度の最大高さが10μm以下であることを特徴とする疲労強度に優れた金型。
【選択図】なし

Description

本発明は自動車、家電製品、建設機械等の製造に用いられる金属やプラスチックなどを加工する金型およびその金型の加工方法に関するものである。
金属やプラスチック等をプレス成形したり鍛造したりする金型は、使用中に大きな応力が繰返し作用するため、疲労亀裂を生じて破壊する場合があり、耐疲労特性を向上させる方法が切望されている。
このような金属の疲労問題に対して、塑性加工などの処理後、問題となる箇所に超音波衝撃処理を行う方法が特許文献1に開示されている。
また、金型部材の加工方法に関してはいくつかの方法が開示されており、押出ダイスの表面を放電加工した後、加工変質層を研磨する方法が特許文献2に、ホビングにより製造された金型のワーク面にショットピーニングを施した後に放電加工、あるいは機械加工仕上げする方法が特許文献3に、金型の表面の溶融残存層をワイヤ放電研削法によって加工されたツールにより除去する方法が特許文献4にそれぞれ開示されている。
また、さらに押出金型の表面を電解研磨に加工した後、窒化処理する方法が特許文献5に、押出金型のベアリング面を放電加工して表面を鏡面仕上げした後にPVD、CVDなどの耐摩耗性皮膜を形成する方法が特許文献6にそれぞれ記載されている。
また、金型の長寿命化のために、キャビティ面の圧縮残留応力が1000MPaより大きく、かつ最大高さが16μm以下で、キャビティ面の表層に窒化層を有する鋼材からなる鋳造用金型が特許文献7に、耐熱亀裂性と耐酸化性を両立させ、長寿命の金型を提供するために、表面から深さ10μmまでの部分の圧縮残留応力の平均値が0.2〜1.5GPaの関係を満たす窒化処理層が表面に形成された鋼材の表面上に被膜を有する金型が特許文献8に開示されている。
特開2003−113418号公報 特開平11−123444号公報 特開平8−300066号公報 特開2003−285116号公報 特開平9−41123号公報 特開平10−156424号公報 特開2004−148362号公報 特開平11−197762号公報
開示技術のうち、特許文献1では超音波衝撃処理を行った後は品質保証検査を行うこと、および超音波衝撃処理後には金属内部応力や表面応力を変化させるプロセスを行わない方法が開示されているが、衝撃塑性加工後に表面を除去していないので、大きな応力が繰り返し作用する金型の疲労強度を向上させることが出来ないという問題がある。
また特許文献2では放電加工された金型の表面を研磨する方法が開示されているが、金型の表面を衝撃塑性加工していないので、同様に金型の疲労強度を向上させることが出来ないという問題がある。
また、特許文献3に記載された発明は、金型にショットピーニングを施した後、放電加工あるいは機械加工仕上げを施す方法が開示されているが、放電加工あるいは機械加工仕上げの深さを規定していないため、同様に金型の疲労強度を十分に向上させることが出来ないという問題がある。
加えて特許文献4では、金型の表面に生じている溶融残留層を、ワイヤ放電研削法により製作されたツールを用いた研削加工や超音波加工により除去する方法が記載されているが、研削加工等の前に金型の表面を衝撃塑性加工していないので、同様に金型の疲労強度を向上させることが出来ないという問題がある。
また特許文献5では、押出金型を放電加工によって加工した後、表面を電解研磨によって均一にし、次いで窒化処理する方法が記載されているが、金型の表面を衝撃塑性加工後に表面を除去していないので、同様に金型の疲労強度を向上させることが出来ないという問題がある。
また、特許文献6ではアルミ押出金型のベアリング面を放電加工した後、ベアリング面を鏡面仕上げする方法が記載されているが、表面を衝撃塑性加工後に表面を除去していないので、同様に金型の疲労強度を向上させることが出来ないという問題がある。
また、特許文献7に記載された発明は、キャビティ面に圧縮残留応力が1000MPaより大きく、かつ最大高さが16μm以下である窒化層を有する金型であるが、圧縮残留応力が1000MPaより大きいため、後述するように、金型の十分な疲労強度が得られないという問題がある。
また、特許文献8に記載された発明は、圧縮残留応力が0.2〜1.5GPaである窒化処理層が表面に形成された金型であるが、本発明のように表層から0.2mmの位置での圧縮残留応力を規定しておらず、さらに表面粗さの指標の一つである最大高さを規定していないため、金型の十分な疲労強度が得られないという問題がある。
本発明は、疲労強度に優れた金型およびその加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、
(1)表面の残留応力が0MPa超〜1000MPaの圧縮応力であり、表面から深さ
0.2mmの位置で表面に平行な方向の残留応力が300MPa以上〜降伏応力以 下の圧縮応力であり、かつ粗度の最大高さが10μm以下であることを特徴とする 疲労強度に優れた金型、
(2)前記(1)記載の金型の加工方法であって、金型を衝撃塑性加工した後に当該衝撃 塑性加工処理部の表面を厚さが0.3mm以上、1.0mm未満の範囲で除去する ことを特徴とする疲労強度に優れた金型の加工方法、
(3)前記衝撃塑性加工処理部の表面の除去方法が、エメリー紙による研磨、電解研磨、 ワイヤ放電加工のいずれか1種以上であることを特徴とする上記(2)に記載の疲 労強度に優れた金型の加工方法、
(4)衝撃塑性加工方法が、ハンマピーニングおよび/又は超音波衝撃処理あることを特 徴とする上記(2)または(3)に記載の疲労強度に優れた金型の加工方法、
(5)前記衝撃塑性加工処理部の表面除去後に、窒化処理、PVD処理、CVD処理のい ずれかを施すことを特徴とする上記(2)〜(4)の何れかに記載の疲労強度に優 れた金型の加工方法、
(6)前記衝撃塑性加工処理部の表面除去後に、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタ ン、炭化バナジウムのいずれか1種以上の皮膜を施すことを特徴とする上記(2) 〜(5)の何れかに記載の疲労強度に優れた金型の加工方法、
にある。
本発明の疲労強度に優れた金型および金型の加工方法は、金型の形状・寸法精度を確保しながら金型表面に大きな圧縮残留応力を残すことができるため、疲労強度の向上が著しく、金型の種類・形状によらず高い疲労強度を得ることが可能であり、その工業的意味は大きい。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者は、プレス成形や鍛造などに用いられる金型が、使用中に繰り返し荷重を受けることによってクラックが生じる課題に対応するため、金型の疲労強度向上方法の検討を行った。その結果、金型を含む金属部材の疲労強度向上には、表層部に圧縮残留応力を付与することが極めて有効であること、そのためには表層にショットピーニングや超音波衝撃処理などの衝撃塑性加工処理を施すことが有効であることが判明した。しかしながら、衝撃塑性加工処理を施すと、図2に示すように表層に圧縮残留応力4は得られるが、金型3の表面1は衝撃塑性加工装置7の先端工具による圧痕2が残存すること、そして金型3は寸法や凹凸などの表面状態が異なるとプレス成形や鍛造される製品の寸法精度が悪化したり製品にキズが生じたりするなどの問題が生じるため、金型3の寸法や表面状態を変えることが難しいことも同時に判明した。
これらの相反する状況の解決手段を鋭意検討した結果、金型を最終寸法・形状に仕上げる前に金型の表層に衝撃塑性加工処理を施し、その後、衝撃塑性加工処理部の圧痕を除去して仕上げる方法を発明するに至った。すなわち、まず金型の疲労破壊が問題となる箇所について、図1(a)に示すように最終仕上げで除去する厚さ6だけ残しておき、その部分に衝撃塑性加工処理を施す。これにより表層には圧縮残留応力4が付与されるが、表面1には衝撃塑性加工装置7の先端工具による圧痕2が残存した状態になる。続いて図1(b)に示すように圧痕を含む表層6を除去して所定の寸法に仕上げることにより、圧縮残留応力4’は再配分されて残存し、表面1’も表面性状を確保できる。この場合、圧縮残留応力が存在していた表層の部分が除去されるので、引張残留応力5と釣り合う圧縮残留応力4’が新たに再配分されることになる。このように衝撃塑性加工処理によって表層に圧縮残留応力を導入しておきながら圧痕2を除去する程度まで加工して仕上げることにより、引き続き圧縮残留応力4’を表層に残しつつ、金型の寸法精度確保や、表層の仕上げ状態を確保できることを見出した。金型は高い寸法精度が要求されることから、通常は金型加工中の変形を防止するため残留応力の無い金型用材料が要求されるが、本発明のように最終寸法・形状に仕上げる前に、衝撃塑性加工処理により表層に残留応力を付与することにより、金型の寸法・形状を高精度に維持することが可能となる。
この方法により金型の疲労寿命を十分に向上させるには、表面及び表面近傍の残留応力と表面粗度の両方を制御することが必要であるとの知見に至った。
まず、表面除去後に金型の表面及び表面近傍に残存させる圧縮残留応力を検討したところ、表面では0MPa超〜1000MPaの圧縮残留応力で、かつ表面から深さ0.2mmの位置での金型表面に平行な方向の圧縮残留応力が300MPa以上降伏応力以下であれば、十分な疲労強度を有することが判明した。疲労強度を向上させるためには厚さ方向の深い位置まで圧縮残留応力を存在させることが必要であり、そのためには表面よりもむしろある程度深い位置での圧縮残留応力のピーク値を示す残留応力分布を与える必要がある。
この分布形態を検討した結果、まず表面では1000MPa以下の圧縮残留応力であることが必要であり、1000MPaより大きくなると、表面から板厚方向に向かって漸減する分布となり十分な疲労寿命向上が得られなくなる。下限値は特に規定するものではなく0MPa超の圧縮残留応力であれば良いが、ある程度大きな圧縮残留応力であることが好ましく、300MPa以上であることが特に好ましい。
また表面から深さ0.2mmの位置での圧縮残留応力が300MPaより小さいとやはり深さ方向に十分大きな圧縮残留応力が分布していないことを示し、これも十分な疲労寿命向上が得られない。上限値はこれも特に規定するものではなく、大きければ大きいほど良いが、概ね材料の降伏応力を超えることは無く、降伏応力が上限値となるので、表面から深さ0.2mmの位置での圧縮残留応力は、300MPa以上、降伏応力レベル以下の範囲のときに十分な疲労強度を示すことが判明した。
また残留応力と同様に重要な表面粗度についても検討したところ、JIS B0601−2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」における、基準長さにおける最大高さRzが10μm以下の場合に、疲労強度向上が大きいことが判明した。表面粗度は表面の微小な領域の応力集中に影響を及ぼし、表面粗度が大きいほど、すなわち最大高さが大きいほど微小な切り欠きとなって表層の応力集中を大きくし、疲労強度を低下させる。最大高さが10μmより大きい場合には、表層の応力集中が大きいために、上述のように大きな圧縮残留応力が分布していても十分な疲労強度向上が見込めなくなる。最大高さの下限値は特に規定するものではなく、小さければ小さいほど良い。
次に、本発明の金型を得るための加工方法について説明する。
本発明の金型を得るための、表面を除去する厚さ6について検討したところ、表面及び表面近傍に十分な圧縮残留応力を残すためには表面から0.3mm以上、1.0mm未満の厚さを除去することが好ましいことが判明した。0.3mm未満だと表面の圧痕が残存している可能性があり、成形品などの表面性状に影響を及ぼす。また1.0mm以上を除去すると、表面には圧縮残留応力は残存するが、その大きさは小さくなり、十分な疲労強度向上が得られない可能性があるためである。なお、衝撃塑性加工を受けた表面は衝撃塑性加工装置7の先端工具による圧痕が残存して凹凸が著しいため、除去する厚み6は最も凹みの大きい位置(窪みの最深部)8から除去完了面1’までの厚さと定義する。
引き続いて、衝撃塑性加工を施した後の表面の除去方法について検討したところ、本発明では特に除去方法を限定するものでは無く、大きな熱やひずみを与えずに除去する方法であれば良いが、特にエメリー紙による研磨、電解研磨、ワイヤ放電加工のいずれか1種以上であれば、粗度の最大高さを9μm以下にできるので、さらに疲労強度を向上させることを見出した。また金型が円筒形の場合には、研削加工の一種であるホーン仕上げでも良く、また金型全体の表面の除去が可能な形状・寸法の場合にはバレル加工であっても差し支えない。もちろん上記以外の方法、例えばフライス盤などによる切削加工、エメリー紙以外の砥石による研削加工、砥粒を噴射する噴射する加工、化学研磨による加工、電子ビーム加工などを用いたり、これらを併用したりして衝撃塑性加工部の表面を除去することで疲労強度の向上は得られるが、エメリー紙による研磨、電解研磨、ワイヤ放電加工のいずれか1種以上を用いることで、衝撃塑性加工処理部に付与された圧縮残留応力を大きく低下させることなく表面を除去できることを見出した。
またさらに、衝撃塑性加工方法について検討したところ、ハンマピーニングおよび/又は超音波衝撃処理であれば、さらに疲労強度を向上させることを見出した。これら以外の衝撃塑性加工方法であるショットピーニングやニードルピーニングであっても衝撃塑性加工後に衝撃塑性加工処理部の表面を除去することで疲労強度の向上は得られるが、ハンマピーニングおよび/又は超音波衝撃処理を用いることで、表面よりさらに深い位置まで圧縮残留応力を付与することが出来、衝撃塑性加工処理部の表面除去後も大きな圧縮残留応力を残すことができることを見出した。
またさらに、衝撃塑性加工処理を施して表面除去後に窒化処理や耐摩耗性皮膜を形成することが、圧縮残留応力の低減防止にも効果があり、疲労寿命向上に有効であることを見出した。耐摩耗性皮膜の形成方法としては、特にPVD処理、CVD処理のいずれでも効果があることを確認した。また耐摩耗性被膜として特に限定するものでは無いが、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン又は炭化バナジウムの場合に大きな効果のあることを見出した。またこれらの被膜が複合された被膜であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
なお、超音波衝撃処理において付与する超音波は20〜32kHz、ピン振幅25〜35μmとし、塑性変形量(変形深さ)は20〜30μmとすることが好ましい。
尚、本発明において、金型とは金型用材料母材のみならずこれに溶接や塑性変形などの加工を加えた部分も含むものとする。
JIS G4404合金工具鋼鋼材SKD11を用いて図3に示すプレス成形金型を製造した。その際、表1に示す種々の衝撃塑性加工および表面削除を行った。表面削除後の耐摩耗性被膜処理として、窒化処理は真空チャンバ内にアンモニアガスおよび窒素ガスを充填して500℃で1時間保持することで表面を窒化させる方法、PVD処理としてはターゲットにTiを用いて3×10−3Torrの窒素ガス中でバイアス電圧−250Vで60分反応させる真空アーク蒸着法により窒化チタンを被覆させる方法、同じくターゲットにTiを用いて3×10−3Torrのアセチレンガスとアルゴンガスの混合ガス中でバイアス電圧−250Vで60分反応させる真空アーク蒸着法により炭窒化チタンを被覆させる方法、およびターゲットにバナジウムを用いて3×10−3Torrのメタンガス中でバイアス電圧−250Vで60分反応させる真空アーク蒸着法により炭化バナジウムを被覆させる方法を用いた。またCVD処理としては、真空チャンバ内を水素ガス気流中で1000℃まで昇温した後、ガス組成を塩化チタン1%、窒素39%、水素60%として500Torrの圧力下で60分反応させ、炭化チタンを被覆させる方法を用いた。
比較のため本発明の範囲外の表面削除条件で製作した金型、ならびに全く衝撃塑性加工等を行わない金型も同時に製作した。衝撃塑性加工の条件は表2に示す条件で金型の内面に対して実施した。
これらの金型について表面および表面から0.2mmの深さまで電解研磨により穴を開けた位置での表面に平行な方向の残留応力をX線法により測定した。測定方法は日本材料学会 X線材料強度部門委員会/編、X線応力測定法標準(2002年版)鉄鋼編に準拠した。測定した残留応力を同じく表1に示す。またJIS B0633「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式及び手順」に準拠して表面粗さにおける最大高さRzを測定した。
次にこれらの金型を用いて1.2mm厚のJIS G3141冷延鋼板SPCCを材料にしてプレスを行い、割れの有無を目視により観察して金型寿命を判断した。そして金型寿命に達するまでのプレス回数を測定した。
各金型の寿命までのプレス回数を金型寿命として同じく表1に示す。
Figure 2008073706
Figure 2008073706
衝撃塑性加工処理別に見ると、まずNo.1〜No.11はハンマーピーニングを施した場合の実施例である。全く衝撃塑性加工処理を施さないNo.40〜42に比べると金型寿命は全て3.5倍以上の向上効果が認められる。また、ハンマーピーニング後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.35と比べると2.2倍以上の向上効果を示している。同じくハンマーピーニング後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.34は、ハンマーピーニング後の圧痕の除去が不十分な場合の比較例であり、プレス成形品に圧痕に起因するキズが発生したため、金型の寿命測定を中止した。No.1〜11のうち、本発明の(3)に係る発明であるNo.1〜9は、No.10、11よりも金型寿命が長く、さらにこのうち本発明の(5)および(6)に係る発明であるNo.2、4、5、7、8は特に寿命向上効果が著しく、約7倍の寿命向上効果を示している。
またNo.1〜11は全て表面の圧縮残留応力が1000MPa以下、表面より深さ0.2mmの位置の圧縮残留応力が300MPa以上、かつ表面の最大高さが10μm以下であり、本発明の(1)に係る発明である。このように本発明の方法および金型は寿命向上に有効であることがわかる。
次にNo.12〜No.22は超音波衝撃加工を施した場合の実施例である。全く衝撃塑性加工処理を施さないNo.40〜42に比べると金型寿命は全て4倍以上の向上効果が認められる。また、超音波衝撃加工後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.37と比べると2.5倍以上の向上効果を示している。同じく超音波衝撃加工後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.36は、超音波衝撃加工後の圧痕の除去が不十分な場合の比較例であり、プレス成形品に圧痕に起因するキズが発生したため、金型の寿命測定を中止した。No.12〜22のうち、本発明の(3)に係る発明であるNo.12〜20は、No.21、22よりも金型寿命が長く、さらにこのうち本発明の(5)および(6)に係る発明であるNo.13、14、16、18、19は特に寿命向上効果が著しく約8倍の寿命向上効果を示している。またNo.12〜22は全て表面の圧縮残留応力が1000MPa以下、表面より深さ0.2mmの位置の圧縮残留応力が300MPa以上、かつ表面の最大高さが10μm以下であり、本発明の(1)に係る発明である。このように本発明の方法および金型は寿命向上に有効であることがわかる。
さらにNo.23〜No.33はショットピーニングを施した場合の実施例である。全く衝撃塑性加工処理を施さないNo.40〜42に比べると金型寿命は全て3倍以上の向上効果が認められる。また、ショットピーニング後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.39と比べると2.2倍以上の向上効果を示している。同じくショットピーニング後の表面除去厚さが本発明の範囲外であるNo.38は、ショットピーニング後の圧痕の除去が不十分な場合の比較例であり、プレス成形品に圧痕に起因するキズが発生したため、金型の寿命測定を中止した。No.23〜33のうち、本発明の(3)に係る発明であるNo.23〜31は、No.32、33よりも金型寿命が長く、さらにこのうち本発明の(5)および(6)に係る発明であるNo.24、26、27、29、30は特に寿命向上効果が著しく約5倍の寿命向上効果を示している。またNo.23〜33は全て表面の圧縮残留応力が1000MPa以下、表面より深さ0.2mmの位置の圧縮残留応力が300MPa以上、かつ表面の最大高さが10μm以下であり、本発明の(1)に係る発明である。このように本発明の方法および金型は寿命向上に有効であることがわかる。
このように本発明の方法および金型は、寿命向上に極めて有効であることが判明した。
(a)本発明の方法における衝撃塑性加工処理を適用した場合の金型表面の形状および残留応力の厚さ方向分布を示す図である。(b)本発明の方法における衝撃塑性加工処理後に表面を除去した場合の金型表面の形状および残留応力の厚さ方向分布を示す図である。 衝撃塑性加工処理を施した場合の金型表面の形状および残留応力の厚さ方向分布を示す図である。 本発明の実施例における試験用金型の断面形状の図である(数値の単位はmm)。
符号の説明
1 衝撃塑性加工処理を受けた金型の表面
1’表面除去後の金型の表面
2 衝撃塑性加工処理による圧痕
3 金型
4 衝撃塑性加工処理によって導入される表面に平行な方向の残留応力の厚さ方向分布における圧縮残留応力の部分
4’衝撃塑性加工処理後の表面除去したときの表面に平行な方向の残留応力の厚さ方向分布における圧縮残留応力の部分
5 衝撃塑性加工処理によって導入される表面に平行な方向の残留応力の厚さ方向分布における引張残留応力の部分
5’衝撃塑性加工処理後の表面除去したときの表面に平行な方向の残留応力の厚さ方向分布における引張残留応力の部分
6 衝撃塑性加工処理後に除去する表面の厚さ
7 衝撃塑性加工装置
8 衝撃塑性加工処理による凹みの最深部

Claims (6)

  1. 表面の残留応力が0MPa超〜1000MPaの圧縮応力であり、表面から深さ0.2mmの位置で表面に平行な方向の残留応力が300MPa以上〜降伏応力以下の圧縮応力であり、かつ粗度の最大高さが10μm以下であることを特徴とする疲労強度に優れた金型。
  2. 請求項1記載の金型の加工方法であって、金型を衝撃塑性加工した後に当該衝撃塑性加工処理部の表面を厚さが0.3mm以上、1.0mm未満の範囲で除去することを特徴とする疲労強度に優れた金型の加工方法。
  3. 前記衝撃塑性加工処理部の表面の除去方法が、エメリー紙による研磨、電解研磨、ワイヤ放電加工のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の疲労強度に優れた金型の加工方法。
  4. 衝撃塑性加工方法が、ハンマピーニングおよび/又は超音波衝撃処理であることを特徴とする請求項2または3に記載の疲労強度に優れた金型の加工方法。
  5. 前記衝撃塑性加工処理部の表面除去後に、窒化処理、PVD処理、CVD処理のいずれかを施すことを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の疲労強度に優れた金型の加工方法。
  6. 前記衝撃塑性加工処理部の表面除去後に、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化バナジウムのいずれか1種以上の皮膜を施すことを特徴とする請求項2ないし5の何れか1項に記載の疲労強度に優れた金型の加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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