JP7078220B2 - 金属製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は金属製品の製造方法に関する。
従来、鋼等から成る金属材料を、ダイヤモンド工具等の工具を用いて機械加工し、金属製品を製造する技術が知られている。この技術において、工具の摩耗が早いという問題があった。非特許文献1には、金属材料の表面を、従来の方法でガス窒化処理し、ダイヤモンド工具を用いて機械加工することで、ダイヤモンド工具の摩耗を低減する技術が開示されている。
E.Brinksmeier,R.Glabe,J.Osmer,「ダイヤモンド工具を用いた金型の超精密切削」(Ultra-Precision Diamond Cutting of Steel Molds)、Annals of CIRP Vol.55/1/2006
非特許文献1記載の技術では、機械加工後における金属製品の表面粗さが大きくなってしまう。本開示の一局面は、機械加工後における金属製品の表面粗さを低減できる金属製品の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様は、金属材料の少なくとも表面に、アトム窒化法により、以下の(a)及び/又は(b)の条件の下で、所定の原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層を形成した後、固溶体層を機械加工する金属製品の製造方法である。
(a)アトム窒化法を10Pa以下の圧力で行うこと。
(b)アトム窒化法において、プラズマの電位を基準とする金属材料の電位は-300~300Vであること。
本開示の一態様である金属製品の製造方法によれば、機械加工後における金属製品の表面粗さを低減できる。
本開示の別の態様は、金属材料を機械加工する金属製品の製造方法であって、金属材料の少なくとも表面に、アトム窒化法により、以下の(a)及び/又は(b)の条件の下で、所定の原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層が形成されており、固溶体層を機械加工する金属製品の製造方法である。
(a)アトム窒化法を10Pa以下の圧力で行うこと。
(b)アトム窒化法において、プラズマの電位を基準とする金属材料の電位は-300~300Vであること。
本開示の別の態様である金属製品の製造方法によれば、機械加工後における金属製品の表面粗さを低減できる。
図1Aは加工ワーク101の構成を表す平面図であり、図1Bは、図1AにおけるIB-IB断面での断面図である。 窒化処理装置1の構成を表す説明図である。 処理後ワーク101A、101Rの表面形状を表す三次元光学プロファイラーの測定結果である。 図4Aは、処理後ワーク101Aの深さ方向での元素分布を表す電子線マイクロアナライザーの測定結果であり、図4Bは、処理後ワーク101Rの深さ方向での元素分布を表す電子線マイクロアナライザーの測定結果である。 処理後ワーク101A、101Rの深さ方向での硬度分布を表す硬度計の測定結果である。 金属製品M1~M4の表面粗さRtを表すグラフである。 製造方法P2、P4において使用した切削工具の切れ刃近傍の逃げ面の表面粗さを表す三次元光学プロファイラーの測定結果である。 窒化処理装置201の構成を表す説明図である。 表面に固溶体層303を備える金属材料301の構成を表す断面図である。
本開示の実施形態を説明する。
1.金属材料
金属材料として、例えば鉄、ステンレスが挙げられる。鉄として、例えば、鋼材が挙げられる。金属材料は、鉄、ステンレス以外の金属から成るものであってもよい。鉄以外の金属として、例えば、タングステン、コバルト、ニッケルが挙げられる。また、金属材料は、2種以上の金属の合金であってもよい。
2.固溶体層
固溶体層は、金属材料内に所定の原子が侵入型固溶原子として存在する層である。金属材料の少なくとも表面に固溶体層を形成することができる。所定の原子として、例えば、炭素原子、水素原子、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。所定の原子として、窒素原子が好ましい。所定の原子が窒素原子である場合、機械加工後における金属製品の表面粗さを一層低減できる。例えば、図9に示すように、金属材料301は、表面に固溶体層303を備える。
固溶体層は、例えば、所定の原子を含む希薄気体内に金属材料を設置しておき、その希薄気体に電子ビームを照射して励起する方法で形成できる。
固溶体層は、所定の原子の化合物(以下では特定化合物とする)を実質的に含まないことが好ましい。この特定化合物とは、所定の原子と、金属材料に含まれる金属との化合物である。特定化合物として、例えば、鉄の窒化物等が挙げられる。所定の原子の化合物を実質的に含まない場合、機械加工後における金属製品の表面粗さを一層低減できる。
実質的に含まないとは、金属製品のうち、固溶体層が形成された表面をXRDにより分析したとき、金属製品の主成分である金属と所定の原子との特定化合物の量が検出限界以下であることを意味する。固溶体層は、特定化合物を含まないことが特に好ましい。
所定の原子が窒素である場合、例えば、窒化処理により固溶体層を形成できる。窒化処理の方法として、例えば、アトム窒化法が挙げられる。アトム窒化法は、窒素原子を含むプラズマを用いて、窒素原子を金属材料の表面から侵入・拡散させる方法である。アトム窒化法を用いる場合、固溶体層が窒素と金属との特定化合物を含むことを抑制できる。
窒素原子を含むプラズマを発生する方法として、例えば、電子ビーム励起プラズマ法、又はマイクロ波励起プラズマ法が挙げられる。電子ビーム励起プラズマ法は、窒素を含むガスに電子ビームを照射してプラズマを生成する方法である。マイクロ波励起プラズマ法は、窒素を含むガスにマイクロ波を照射してプラズマを生成する方法である。窒素を含むガスとして、例えば、窒素のみから成るガス、窒素を主成分としさらに水素等を含むガス等が挙げられる。電子ビーム励起プラズマ法、又はマイクロ波励起プラズマ法によれば、
プラズマ中で高濃度の窒素原子を発生させることができる。
アトム窒化法において、金属材料の電位の方がプラズマの電位より低く、それらの電位差が50V以下であることが好ましい。この場合、金属材料の表面に化合物層が一層形成され難くなる。プラズマの電位を基準とする金属材料の電位をバイアス電圧とする。バイアス電圧は、-300~300Vであることが好ましい。バイアス電圧が、-300~300Vであることを以下では(b)条件とする。
バイアス電圧は、-200V以上であることがより好ましく、-100V以上であることがさらに好ましく、-50V以上であることが特に好ましい。バイアス電圧は、200V以下であることがより好ましく、100V以下であることがよりさらに好ましく、50V以下であることが特に好ましい。前記(b)条件の下でアトム窒化法を行うと、固溶体層が含む特定化合物の量を抑制できる。
また、バイアス電圧は、-5~-10Vの範囲内であることがさらに好ましい。この範囲内であることにより、プラズマ中に含まれる電子が金属材料へ流入することを抑制できる。
アトム窒化法を行うときの圧力は、10Pa以下であることが好ましく、1Pa以下であることがより好ましい。アトム窒化法を行うときの圧力が10Pa以下であることを以下では(a)条件とする。前記(a)条件の下でアトム窒化法を行うと、固溶体層が含む特定化合物の量を抑制できる。前記(a)及び(b)の条件の下でアトム窒化法を行うと、固溶体層が含む特定化合物の量を一層抑制できる。
窒化処理において、例えば、プラズマ中に含まれる電子が金属材料へ流入することを抑制することができる。プラズマ中に含まれる電子が金属材料へ流入することを抑制する方法として、例えば、金属材料の付近に磁場を印加する方法がある。この磁場の方向は、金属材料の表面と平行な方向が好ましい。
固溶体層を形成した金属材料の表面硬度は、金属材料が鉄、又は主成分として鉄を含む合金である場合、例えば、700Hv以上であることが好ましく、1200~1500Hvであることが一層好ましい。固溶体層を備える金属材料の表面硬度は、金属材料が鉄、又は主成分として鉄を含む合金である場合、例えば、700Hv以上であることが好ましく、1200~1500Hvであることが一層好ましい。例えば、アトム窒化法を用いることにより、金属材料が鉄、又は主成分として鉄を含む合金である場合、金属材料の表面硬度を700Hv以上にすることができ、1200~1500Hvにすることができる。金属材料の表面硬度は、微小硬度計(ビッカース硬度計)を用いて測定した値である。表面硬度が700Hv以上である場合、金属材料を金型等にした際に傷付きにくい。
金属材料がタングステン合金である場合、固溶体層を形成した金属材料の表面硬度は、例えば、580Hv以上であることが好ましく、600Hv以上であることがより好ましい。表面硬度が580Hv以上である場合、金属材料を金型等にした際に傷付きにくい。
3.機械加工
機械加工において、例えば、高硬度の工具を用いることができる。高硬度の工具として、例えば、ダイヤモンド工具が挙げられる。機械加工として、例えば、切削加工が挙げられる。
本開示の金属製品の製造方法によれば、機械加工で用いるダイヤモンド工具の使用寿命を長くすることができる。その理由は以下のように推測できる。金属材料は固溶体層を有する。そのため、ダイヤモンド工具中の炭素は、金属材料中に拡散しにくく、金属と反応しにくい。その結果、機械加工で用いるダイヤモンド工具の摩耗が抑制され、工具の使用寿命が長くなる。
アトム窒化法により、前記(a)及び/又は前記(b)の条件の下で形成された窒素原子を侵入型固溶原子として含む固溶体層は、特定化合物を含みにくい。そのため、工具が鋭利な刃先を有する場合でも、その刃先に欠損が生じにくい。その結果、工具の使用寿命を長くすることができる。
また、特定化合物の粒子が切れ刃と共に移動することで仕上げ面にスクラッチ(切削方向の傷)を生成する現象が生じ難い。その結果、仕上げ面粗さが劣化し難い。
なお、上記のスクラッチの生成は、特定化合物の粒子のような硬質粒子を析出して硬化している材料を切削した場合にしばしば見られる現象である。例えば、神戸製鋼技報 Vol.39, No.4 (1989) p.39等に上記のスクラッチの生成が開示されている。
それに対し、ガス軟窒化の方法で窒化処理を行うと、特定化合物を生成し易い。この特定化合物が、工具の鋭利な刃先に欠損を生じさせることがある。その結果、工具の使用寿命が短くなる。また、特定化合物の粒子が切れ刃と共に移動することで仕上げ面にスクラッチを生成し易い。その結果、仕上げ面粗さが劣化し易い。
4.金属製品
本開示の金属製品の製造方法により製造する金属製品として、例えば、金型等が挙げられる。金属製品は、金型以外のものであってもよい。本開示の金属製品の製造方法により製造する金属製品の表面粗さは小さい。また、その金属製品の表面に虹面が生じにくい。その理由は以下のように推測される。本開示の金属製品の製造方法によれば、工具の切れ刀に筋状の損耗や欠損が生じにくい。また、特定化合物が切れ刃と共に移動することで仕上げ面にスクラッチを生成する現象が生じ難い。そのため、工具の切れ刃における筋状の損耗や欠損、またスクラッチに起因する虹面を抑制できる。
5.実施例1
(5-1)加工ワーク
図1に示す加工ワーク101を用意した。加工ワーク101の材質はSUS420J2である。加工ワーク101は金属材料に対応する。加工ワーク101は、中心に孔102が設けられた、直径50mmの円板状の基本形態を有する。
加工ワーク101は、その一方の面103に、突出部105を備える。突出部105は、面103におけるその他の部分よりも1mmだけ、加工ワーク101の厚み方向に突出した部分である。突出部105は、面103の外周部分に形成されている。ただし、面103のうち、孔102を中心とする、要の角度が50°の扇形の領域には、突出部105は形成されていない。面103の径方向における、突出部105の幅は10mmである。
(5-2)窒化処理装置1の構成
窒化処理装置1の構成を、図2に基づいて説明する。窒化処理装置1は、チャンバー3内に、カソード5、予備アノード7、アノード9、及び加速電極11を備えている。また、チャンバー3には、アルゴン導入口13、窒素導入口15、真空排気口17が設けられている。チャンバー3内において、カソード5と予備アノード7とに挟まれ、アルゴン導入口13に面している領域は、初期放電形成領域19である。また、チャンバー3内において、加速電極11よりも右側の部分であって、窒素導入口15、及び真空排気口17に面している部分は、反応室21である。
(5-3)窒化処理装置1を用いる窒化処理方法
窒化処理装置1を用いて加工ワーク101に対し行う窒化処理方法を説明する。この窒化処理方法では、電子ビーム励起プラズマ法を用いる。まず、加工ワーク101を反応室21内に設置する。そして、窒化処理装置1内を十分な真空に排気した後、反応室21内
に、窒素導入口15から窒素ガスを導入する。
次に、アルゴン導入口13から、初期放電形成領域19にアルゴンガスを導入し、カソード5と予備アノード7間で放電を発生させる。その後、カソード5とアノード9間に放電を移行し、安定したアルゴンプラズマ27を生成する。このアルゴンプラズマ27から、加速電極11によって電子のみを加速することで電子ビーム29を生成し、その電子ビーム29を反応室21へ引き出す。
反応室21では、窒素ガスに電子ビーム29が照射され、窒素ガスが効率良く解離・電離して、窒素原子密度が高いプラズマ31が生成する。加工ワーク101は、プラズマ31の中に含まれる。プラズマ31により、加工ワーク101の表面が窒化処理され、窒素原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層が形成される。
なお、反応室21の温度は、窒化処理装置1が備える図示しないヒータにより、適切な温度に制御される。また、電子ビーム29のエネルギーは、加速電極11に印加する電圧により、任意に設定可能である。
窒化処理の動作条件は以下のようにした。
反応室21内の圧力:0.2Pa
電子ビーム29の加速電圧:80V
電子ビーム29の電流:8A
反応室21の温度:500℃
窒化処理の時間:5時間
バイアス電圧(プラズマ31の電位を基準とする加工ワーク101の電位):-50V
窒化処理の終了後、加工ワーク101を窒化処理装置1から取り出した。面103の表面硬度を、微小硬度計(ビッカース硬度計)を用いて測定した。測定の結果、表面硬度は1120Hvであった。この表面硬度は、窒化処理前の値である205Hvに比べて、顕著に向上していた。なお、以上のように窒化処理を行った後の加工ワーク101を、以下では、処理後ワーク101Aとする。処理後ワーク101Aは表面に固溶体層を備える。(5-4)ガス軟窒化の方法
加工ワーク101に対し行うガス軟窒化の方法を説明する。加工ワーク101を、アンモニア及び二酸化炭素を含む雰囲気中に置き、580℃で100分間処理する。その後、液体窒素を用いて加工ワーク101を冷却する。なお、以上のようにガス軟窒化を行った後の加工ワーク101を、以下では、処理後ワーク101Rとする。処理後ワーク101Rの表面には、鉄の窒化物から成る化合物層が形成されている。
(5-5)処理後ワーク101A、101Rの分析
処理後ワーク101A、101Rの表面を観察した。観察には、三次元光学プロファイラー(製品名:Zygo、NewView7300)を用いた。処理後ワーク101A、101Rの表面形状を図3に示す。図3に示す表面形状は、1本の走査線における断面プロファイルである。処理後ワーク101Aの表面形状は、処理後ワーク101Rの表面形状に比べて、平坦であった。
処理後ワーク101A、101Rの深さ方向での元素分布を測定した。測定には、電子線マイクロアナライザー(島津製作所、EPMA-1610)を用いた。処理後ワーク101Aの測定結果を図4Aに示し、処理後ワーク101Rの測定結果を図4Bに示す。処理後ワーク101A、101Rのいずれにおいても、表面付近で窒素の濃度が高くなっていた。
処理後ワーク101A、101Rの深さ方向での硬度分布を測定した。測定には、株式会社ミツトヨ製の硬度計を用いた。測定結果を図5に示す。処理後ワーク101A、10
1Rのいずれにおいても、表面付近での硬度が高くなっていた。処理後ワーク101Aにおける表面付近での硬度は700Hv以上であった。
また、処理後ワーク101Aについて、X線回折を行った。処理後ワーク101Aには、鉄と窒素の化合物のピークは認められなかった。すなわち、処理後ワーク101Aには、鉄の窒化物から成る化合物層の存在は認められなかった。
(5-6)機械加工
処理後ワーク101A、101Rに対し、機械加工を行った。機械加工は、突出部105を所定の深さまで切削する加工である。処理後ワークの種類と、機械加工の条件との組み合わせを表1に示す。以下では、処理後ワークの種類と、機械加工の条件との組み合わせを製造方法とする。製造方法には、表1に示すP1~P4がある。なお、P4における切込み深さは、最後のパスでは2μmであり、その他のパスでは5μmである。
Figure 0007078220000001
使用した切削工具は全てにおいて共通であって、単結晶ダイヤの切削工具である。この切削工具のノーズ半径は1mmである。
表1における「第1の装置」は、株式会社ナガセインテグレックス製の超精密微細加工機(商品名:N2C-53US4N4)である。「第2の装置」は、株式会社不二越製の超精密5軸加工機(商品名:ASP01UPX)である。
使用したオイルミストは全ての製造方法において共通であって、フジBC技研株式会社製のBluebe LB10(商品名)である。
(5-7)金属製品及び工具の評価
製造方法P1~P4を実施した後のワークを、以下では、それぞれ金属製品M1~M4とする。製造方法P1~P4を実施した後のワークは工作物又は被削材に該当する。金属製品M1~M4の突出部105における表面粗さRtを測定した。測定には、三次元光学プロファイラー(製品名:Zygo、NewView7300)を用いた。測定結果を図6に示す。金属製品M1~M3における表面粗さRtは、金属製品M4における表面粗さRtよりも小さかった。
金属製品M1~M3では虹面は生じなかった。それに対し、金属製品M4では虹面が生じた。
製造方法P2、P4において使用した切削工具の切れ刃近傍の逃げ面の表面粗さを測定した。測定には、三次元光学プロファイラー(製品名:Zygo、NewView7300)を用いた。
測定結果を図7に示す。図7は逃げ面の表面粗さを表す。
製造方法P2において使用した切削工具の表面粗さは平坦であった。それに対し、製造方法P4において使用した切削工具の表面には、筋状の損耗が生じていた。この筋状の損耗が、金属製品M4で生じた虹面の原因であると推測される。
6.実施例2
(6-1)実施例1との相違点
前述した実施例1は、電子ビーム励起プラズマ法によりプラズマを発生させる。これに対し、実施例2では、マイクロ波励起プラズマ法によりプラズマを発生させる点で実施例1と相違する。
(6-2)窒化処理装置201の構成
窒化処理装置201の構成を、図8に基づいて説明する。窒化処理装置201は、チャンバー203内に、石英ガラス窓205、及び処理対象物ホルダー207を備えている。処理対象物ホルダー207は、その上面に、加工ワーク101を保持することができる。また、処理対象物ホルダー207は、図示しないヒータを内蔵しており、加工ワーク101を加熱することができる。さらに、チャンバー203には、マイクロ波を送り込むための導波路209、窒素導入口211、及び真空排気口213が設けられている。チャンバー203の内部は、反応室215である。
(6-3)窒化処理装置201を用いた窒化処理方法
窒化処理装置201を用いた窒化処理方法を説明する。まず、加工ワーク101を処理対象物ホルダー207に取り付け、反応室215内に設置する。加工ワーク101を500℃まで加熱し、次に、窒素導入口211から反応室215内に窒素ガスを導入する。次に、導波路209からマイクロ波を導入する。マイクロ波は、石英ガラス窓205を透過し、その下側表面で表面波プラズマを発生させる。その表面波プラズマが反応室215内の窒素ガスに作用して、反応室215内で、高濃度の窒素原子を含むプラズマが発生する。この高濃度の窒素原子を含むプラズマにより、加工ワーク101の表面が窒化処理される。
窒化処理装置201を用いた窒化処理方法によっても、加工ワーク101の表面に、窒素原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層を形成し、表面付近の硬度を高めることが可能である。また、窒化処理装置201を用いた窒化処理方法においても、鉄等の窒素化合物層を形成が抑制され、表面の粗さを増加させることはない。
(6-4)機械加工
窒化処理後の加工ワークに対し、実施例1と同様に機械加工を行い、金属製品を製造することができる。製造された金属製品における表面粗さRtは小さい。また、金属製品の表面に虹面は生じない。
7.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(7-1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
(7-2)実施例1、2において、窒化処理を行う場所と、機械加工を行う場所とは、異なっていてもよい。また、実施例1、2において、窒化処理を行う主体と、機械加工を行う主体とは異なっていてもよい。また、実施例1、2において、窒化処理の終了後、時間が経過してから、機械加工を行ってもよい。
(7-3)上述した金属製品の製造方法の他、金属製品、金属材料の加工方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
1…窒化処理装置、3…チャンバー、5…突出部、5…カソード、7…予備アノード、9…アノード、11…加速電極、13…アルゴン導入口、15…窒素導入口、17…真空排気口、19…初期放電形成領域、21…反応室、27…アルゴンプラズマ、29…電子ビーム、31…プラズマ、101…加工ワーク、101A…処理後ワーク、101R…処理後ワーク、102…孔、103…面、105…突出部、201…窒化処理装置、203…チャンバー、205…石英ガラス窓、207…処理対象物ホルダー、209…導波路、211…窒素導入口、213…真空排気口、215…反応室

Claims (7)

  1. 金属材料の少なくとも表面に、アトム窒化法により、以下の(a)及び/又は(b)の条件の下で、所定の原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層を形成した後、
    前記固溶体層を、工具を用いて切削加工する金属製品の製造方法。
    (a)アトム窒化法を10Pa以下の圧力で行うこと。
    (b)アトム窒化法において、プラズマの電位を基準とする前記金属材料の電位は-300~300Vであること。
  2. 請求項1に記載の金属製品の製造方法であって、
    前記金属材料は鉄を含み、前記固溶体層を形成した前記金属材料の表面硬度が700Hv以上である金属製品の製造方法。
  3. 金属材料を機械加工する金属製品の製造方法であって、
    前記金属材料の少なくとも表面に、アトム窒化法により、以下の(a)及び/又は(b)の条件の下で、所定の原子が侵入型固溶原子として存在する固溶体層が形成されており、
    前記固溶体層を、工具を用いて切削加工する金属製品の製造方法。
    (a)アトム窒化法を10Pa以下の圧力で行うこと。
    (b)アトム窒化法において、プラズマの電位を基準とする前記金属材料の電位は-300~300Vであること。
  4. 請求項3に記載の金属製品の製造方法であって、
    前記金属材料は鉄を含み、前記固溶体層を備える前記金属材料の表面硬度が700Hv以上である金属製品の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の金属製品の製造方法であって、
    前記固溶体層は、前記所定の原子の化合物を実質的に含まない金属製品の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の金属製品の製造方法であって、
    前記所定の原子は窒素原子である金属製品の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の金属製品の製造方法であって、
    前記工具はダイヤモンド工具である金属製品の製造方法。
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