JP5454580B2 - 造粒体の製造方法およびガラス製品の製造方法 - Google Patents

造粒体の製造方法およびガラス製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、造粒体の製造方法およびガラス製品の製造方法に関し、特に、気中溶融法によるガラス製造において好適に用いられる優れた強度を有する造粒体の製造方法およびガラス製品の製造方法に関する。
ガラス製品は、一般に、ガラス溶融炉を用いてガラス原料を溶融ガラスとし、その後溶融ガラスを所定の形状に成形して固化することによって製造されている。しかし、ガラス溶融炉を用いて均質な溶融ガラスを得るには、極めて長期間にわたる溶融状態の保持が必要であり、膨大なエネルギー消費が避けられなかった。
この問題を解決するために、ガラス原料の混合物からなる微細粒子(造粒体)を高温の気相雰囲気中で加熱し溶かして溶融ガラス粒子とし、次いで溶融ガラス粒子を集積して液体相(ガラス融液)を形成する気中溶融法と呼ばれる技術を用いるガラス製品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
気中溶融法を用いてガラス製品を製造する場合、通常、造粒体を空気搬送する方法により、ガラス原料混合物からなる造粒体を溶融させる気中加熱装置に造粒体を供給している。
また、気中溶融法において用いられる造粒体は、スプレードライ造粒法(噴霧乾燥法)などを用いて製造できることが知られている(例えば、特許文献1)。
また、粒子の製造方法としては、スラリーを液滴として加熱雰囲気中に供給し、一次粒子の集合体を得、この集合体を溶融するとともに球形化し、固化させて二次粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−297239号公報 特開2007−99555号公報
伊勢田 徹、「NEDO先導研究"気中溶融法による革新的省エネルギーガラス溶解技術"の研究成果」NEW GLASS Vol.23 No.4 2008、P.42−45
しかしながら、従来の技術では、気中溶融法を用いてガラス製品を製造するに際し、ガラス原料混合物からなる造粒体を気中加熱装置の高温の気相雰囲気中に空気流などの気流で搬送すると、造粒体の一部が崩壊して多くの微粉が生成されてしまうという不都合があった。微粉は、気中加熱装置内や、造粒体を気流搬送する気流搬送装置内で舞い上がって飛び散りやすいため、気中加熱装置外に排出されやすい。このため、微粉を多く含む造粒体が気中加熱装置に供給されると、気中溶融法により得られる溶融ガラスの組成が変動してしまい、溶融ガラスの組成が不均一となってしまう。その結果、溶融ガラスを成形固化することによって得られるガラス製品のガラス組成も不均一になってしまう。
本発明は、上記課題を解決し、優れた強度を有し、気中加熱装置に気流搬送しても微粉が生成されにくく、気中溶融法によるガラス製造において好適に用いられるガラス原料の造粒体の製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、組成の均一な高品質なガラスからなるガラス製品の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、気中溶融法を用いて、成分として酸化ホウ素を含むガラスを製造するに際し、ホウ酸を含む所定のガラス原料が、水などのホウ酸を溶解しうる液状媒体中に分散されてなり、ホウ酸の少なくとも一部が液状媒体中に溶解されている原料スラリーを調製し、スプレードライ造粒法により原料スラリーに含まれる液状媒体を除去してガラス原料の造粒体を製造することで、造粒体の強度を向上させることができることを見出した。
また、本発明者は、さらに研究を重ね、原料スラリー中に含まれるホウ酸の含有量を原料スラリーの固形分に対して5〜30質量%の範囲にするとともに、原料スラリーのpHを6.6以上として、ホウ酸が液状媒体中に充分に溶解している状態の原料スラリーを調製することにより、気中加熱装置に気流搬送しても微粉が生成されにくく、気中溶融法によるガラス製造に用いる場合に充分な強度を有する造粒体が得られることを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は、上記の目的を達成するために以下の構成を採用した。
本発明のガラス原料造粒体の製造方法は、ホウ酸としてオルトホウ酸を含むガラス原料とホウ酸可溶性液状媒体とを含む原料スラリーであって、原料スラリー中のホウ酸量が原料スラリーの固形分に対して5〜30質量%であり、かつ原料スラリーのpHが6.6以上である、原料スラリーを調製する工程と、スプレードライ造粒法により前記原料スラリーからガラス原料造粒体を製造する工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明のガラス原料造粒体の製造方法は、ホウ酸を含むガラス原料とpH調整剤とホウ酸可溶性液状媒体とを含む原料スラリーであって、原料スラリー中のホウ酸量が原料スラリーの固形分に対して5〜30質量%であり、かつ原料スラリーのpHが7以上である、原料スラリーを調製する工程と、スプレードライ造粒法により前記原料スラリーからガラス原料造粒体を製造する工程と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明のガラス製品の製造方法は、上記の製造方法によって製造されたガラス原料造粒体を、加熱して溶融ガラスとする工程と、前記溶融ガラスを成形固化する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の製造方法で得られたガラス原料造粒体は、気流搬送しても微粉が生成されにくく、気中溶融法によるガラス製造に用いる場合に充分な強度を有する。この効果は、以下に示すホウ酸の結合剤としての機能によって得られるものと推定される。すなわち、本発明の造粒体の製造方法では、原料スラリーが特定量のホウ酸を含むものであって、かつ原料スラリーのpHが6.6以上であるため、ホウ酸が原料スラリーの調製時に原料スラリーの液状媒体中に充分に溶解される。原料スラリーの液状媒体中に溶解されたホウ酸は、造粒体を製造する工程において液状媒体が除去されることによって、造粒体の内側から表面に送り出されて造粒体の表面に析出する。このようにして造粒体の表面に析出したホウ酸は、乾燥によって固化し、結合剤として機能するものと推定される。
また、本発明のガラス製品の製造方法は、本発明の造粒体の製造方法によって製造された造粒体を加熱して溶融ガラスとする工程と、前記溶融ガラスを成形固化する工程とを含む方法であり、造粒体として充分な強度を有するものを用いるので、造粒体を気流搬送しても微粉が生成されにくく、均一な組成の溶融ガラスが得られ、ガラス組成の均一な高品質なガラス製品が得られる。溶融ガラスとする工程において、シーメンス炉型の従来のガラス溶融炉を利用した溶融方法でも、本発明の製造方法で得られた造粒体を利用する場合には、通常の比較的大きいサイズのガラス原料である、いわゆるガラスバッチを利用する場合に比べて溶融効率がよく、省エネルギーの観点からも効果が得られ、気中溶融法を適用する場合に、さらに高い効果が得られる。
図1は、実施例3、比較例1および比較例2の造粒体とガラス粒子の写真である。 図2は、実施例1の造粒体の顕微鏡写真である。 図3は、比較例1の造粒体の顕微鏡写真である。 図4は、原料スラリーの攪拌時間と原料スラリーのpHとの関係を表すグラフである。
以下、本発明のガラス原料造粒体の製造方法およびガラス製品の製造方法について詳細に説明する。
<ガラスおよびガラス原料>
本発明の製造方法を用いて製造するガラス原料造粒体(以下、造粒体と略記する場合がある)は、ホウ素成分を含む組成のガラス(ホウケイ酸ガラス)からなるガラス製品を製造することを目的とする、ホウケイ酸ガラス製造用のガラス原料造粒体である。
本発明においてガラスとは酸化物系ガラスをいい、酸化物系ガラス中の各成分は酸化物で表示し、各成分の質量割合は酸化物換算で表す。ホウケイ酸ガラスは、酸化ケイ素を主成分とし、かつホウ素成分を含有する酸化物系ガラスである。ホウケイ酸ガラス中のホウ素成分は酸化ホウ素(三酸化二ホウ素(B)等のホウ素酸化物の総称)であり、以下Bで表し、ガラス中の酸化ホウ素の質量割合はB換算で表す。ガラス中の主な成分は、同様に、SiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、NaO等の酸化物で表し、その質量割合は酸化物換算で表す。本発明におけるホウケイ酸ガラスは、上記酸化物換算で1質量%以上の酸化ホウ素を含む、酸化ケイ素を主成分とする酸化物系ガラスをいう。
ガラス原料造粒体の製造に用いられるガラス原料は、上記のような酸化物や熱分解等により上記のような酸化物となりうる化合物を含むものであり、そのような酸化物となりうる化合物としては、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物などがある。ガラス中で酸化ホウ素となりうる原料としては、ホウ酸、酸化ホウ素、コレマナイト(灰硼石)[CaB(OH)・HO]などがある。
ガラス原料は、酸化物基準の質量百分率表示で酸化ホウ素含有量が1〜30質量%のホウケイ酸ガラスとなるように調整されたものであることが好ましく、酸化ホウ素含有量が2〜20質量%のホウケイ酸ガラスとなるように調整されたものであることがより好ましい。本実施形態においてはガラス原料としてホウ酸を含有するものを使用し、酸化ホウ素含有量が上記範囲のホウケイ酸ガラスを製造する。
ホウ酸はオルトホウ酸(HBO)等のホウ素の酸素酸の総称であるが、本発明ではオルトホウ酸(HBO)をいう。ホウ酸は水溶性であり、水、特に温水に容易に溶解する。酸化ホウ素は水と徐々に反応してホウ酸となり水に溶解する。コレマナイトは水などに対する溶解性が低く、本発明においてホウ酸源とはならない。
ガラス原料造粒体の製造に用いられる後述する原料スラリーの液状媒体として水を使用する場合は、原料スラリーのホウ酸源(原料スラリー中のホウ酸量が原料スラリーの固形分に対して5〜30質量)として酸化ホウ素を用いることもできる。すなわち、原料スラリー中の酸化ホウ素が水に溶解してホウ酸に変化している場合には、原料スラリー中のホウ酸として酸化ホウ素由来のホウ酸を含むことができる。
また、原料スラリー中にはホウ酸や酸化ホウ素由来のホウ酸以外に、コレマナイトなどの液状媒体に溶解していないホウ素化合物が含まれていてもよい。しかし、コレマナイトなどの液状媒体に溶解していないホウ素化合物は、原料スラリー中のホウ酸源とはならない。すなわち、原料スラリー中のホウ酸量は、コレマナイトなどの液状媒体に溶解していないホウ素化合物を除外した含有量である。しかし、コレマナイトなどの液状媒体に溶解していないホウ素化合物は、ホウケイ酸ガラスの酸化ホウ素源になる。よって、酸化ホウ素含有量の高いホウケイ酸ガラスを製造する場合には、原料スラリー中にコレマナイトが含まれていることが好ましい。
ホウケイ酸ガラスを製造するために使用されるガラス原料中のホウ素成分量(酸化物換算の量)は、通常、目的とするホウケイ酸ガラス中の酸化ホウ素の含有量よりも多くする必要がある。これは、溶融ガラスから酸化ホウ素が揮発しやすいことによる。したがって、目的とする酸化ホウ素含有量のホウケイ酸ガラスを製造するためには、ガラス原料中のホウ素成分量は、酸化ホウ素の揮発分を考慮して調整される。なお、酸化ケイ素等の通常の金属酸化物は溶融ガラスから揮発することは少なく、ガラス原料中の成分量(酸化物換算の量)と得られるホウケイ酸ガラス中の成分量(酸化物換算の量)はほぼ等しい。
本発明において目的とするホウケイ酸ガラスは、アルカリ成分(ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属の酸化物)の少ないまたは実質的にアルカリ成分を含まない(すなわち、無アルカリの)ホウケイ酸ガラスが好ましい。このようなホウケイ酸ガラスとしては、酸化物基準の質量百分率表示で下記組成(1)のホウケイ酸ガラスが好ましい。ただし、下記Rはアルカリ金属を表す。さらに、下記以外の金属酸化物、非金属酸化物(イオウ酸化物など)、ハロゲンなどを少量含有していてもよい。
SiO:40〜85質量%、Al:1〜22質量%、B:2〜20質量%、MgO:0〜8質量%、CaO:0〜14.5質量%、SrO:0〜24質量%、BaO:0〜30質量%、RO:0〜10質量%・・・(1)。
より好ましいホウケイ酸ガラスは、上記組成(1)においてアルカリ成分(RO)含有割合が0.1質量%以下の無アルカリガラスである。
ガラス原料造粒体の製造に用いられるガラス原料は、上記組成(1)のホウケイ酸ガラスとなるように調整されたものであることが好ましい。このようなガラス原料の組成(以下、ガラス母組成ともいう)としては、酸化ホウ素源を除き、酸化物換算でほぼ目的とするホウケイ酸ガラスの組成割合となる金属酸化物源の原料混合物を用いる。酸化ホウ素源は、目的とするホウケイ酸ガラスの酸化ホウ素含有量よりも揮発分を考慮した量だけ多い量とする。例えば、無アルカリのホウケイ酸ガラスを製造するためのガラス母組成原料としては、下記の金属酸化物源とその組成割合の原料混合物などが挙げられる。
SiO:40〜60質量%、Al:5〜20質量%、HBO:5〜30質量%、CaB(OH)・HO(コレマナイト):0〜15質量%、Mg(OH):0〜5質量%、CaCO:0〜10質量%、SrCO:0〜15質量%、SrCl・6HO:0〜5質量%、BaCO:0〜30質量%。
<ガラス原料造粒体>
本発明におけるガラス原料造粒体は、一般的なシーメンス炉型のガラス溶融炉を利用したガラス溶融法や気中溶融法でガラス製品を製造するための原料として使用される。気中溶融法では、ガラス原料造粒体を高温の気相雰囲気中で溶解させて溶融ガラス粒子とし、その気相雰囲気中で生成した溶融ガラス粒子を炉底に集積してガラス融液とする。ガラス溶融炉の底に貯留されたガラス融液はガラス溶融炉から溶融ガラスとして取り出され、その後は通常のガラス製品の製造の場合と同様に、溶融ガラスを成形すると共に固化してガラス製品とする。
溶融ガラス粒子のガラス組成は溶融ガラスのガラス組成とほぼ等しく、また溶融ガラスのガラス組成は溶融ガラスを成形固化してなる目的とするガラス製品のガラス組成とほぼ等しい。溶融ガラス粒子や溶融ガラスのガラス組成がガラス製品のガラス組成とほぼ等しいとは、溶融状態のガラス(溶融ガラス粒子、炉底のガラス融液、ガラス溶融炉から取り出された溶融ガラス、など)から酸化ホウ素などの揮発性成分が揮散するために、溶融状態のガラスのガラス組成と、その溶融ガラスから得られるガラス製品のガラス組成とが完全に同一とはならないことを意味する。
個々のガラス原料造粒体が高温の気相雰囲気中で溶融して生成した個々の溶融ガラス粒子は、ほぼ等しいガラス組成を有することが好ましい。個々の溶融ガラス粒子がほぼ等しいガラス組成を有することにより、その集合体であるガラス融液のガラス組成を均質化する必要性が低下する。仮に個々の溶融ガラス粒子のガラス組成が異なっていた場合、その集合体であるガラス融液のガラス組成は当初不均一なものとなり、ガラス融液を均質化するための時間やエネルギーが必要となる。個々の溶融ガラス粒子をほぼ等しいガラス組成とするためには、個々のガラス原料造粒体のガラス母組成(原料スラリーの組成)も相互に均一な組成とすることが好ましい。
ガラス原料造粒体の平均粒子径は、30〜1000μmの範囲内、より好ましくは50〜450μmの範囲内、さらに好ましくは70〜400μmの範囲内とすることが好ましい。ガラス原料造粒体の平均粒子径が30μm以上であると、気中溶融時の煙道への飛散等を少なくすることができるだけでなく、単位重量あたりの表面積が小さくなるために、溶融時に起こる表面からのホウ酸の揮発を少なくすることができるために好ましい。また、ガラス原料造粒体の平均粒子径が1000μm以下であると、造粒体内部まで充分にガラス化が進行するために好ましい。造粒体をさらに短時間で溶融ガラス粒子とするためには、400μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。ガラス原料造粒体の平均粒子径は、ガラス原料スラリーの組成や粘度等の条件、スプレードライ造粒法の条件などに応じて調整することができる。
なお、本発明においてガラス原料造粒体やガラス原料粒子等の粒子の平均粒子径とは、下記の測定法で測定して得られる平均粒子径をいう。
ガラス原料粒子の場合は、湿式によるレーザー回析散乱法を用いて測定された粒径分布曲線における50%径(D50またはメジアン径ともいう。粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径)とした。ガラス原料造粒体の場合は、乾式によるレーザー回折散乱法を用いて測定された粒径分布曲線における50%径とした。
いわゆるガラスバッチやガラスカレットを原料とする一般のガラス溶融炉を利用したガラス溶融法では、本発明の製造方法で得たガラス原料造粒体を、ガラスバッチのかわりにガラス溶融炉に投入すればよい。本発明のガラス造粒体のように、微粉が生じにくく強度の強いガラス原料造粒体は、通常のガラス溶融法に利用する場合でも効果が認められる。
<ガラス原料造粒体の製造方法>
本発明のガラス原料造粒体の製造方法は、原料スラリーを調製する工程と、スプレードライ造粒法により原料スラリーからガラス原料造粒体を製造する工程とを備えている。
原料スラリーは、上述したホウ酸を含むガラス原料と、必要に応じてpH調整剤と、ホウ酸可溶性液状媒体(以下、液状媒体と略記する場合がある)と、を含む。
液状媒体としては水を用いることが好ましい。液状媒体としては、水以外に、メタノール、エタノール等のアルコールを使用することができ、また、水とこのようなアルコールとの混合媒体を使用することもできる。水以外の液状媒体としては、ホウ酸の溶解度が水よりも高い液状媒体が好ましい。以下の説明では、ホウ酸可溶性液状媒体として水を使用する場合について主として説明するが、液状媒体は、水に限定されるものではない。
原料スラリーは、液状媒体にホウ酸を含むガラス原料と、必要に応じてpH調整剤と、を分散させることによって得られる。ガラス原料に含まれるホウ酸はその一部または全部が液状媒体に溶解される。また、ホウ酸以外のガラス原料の一部または全部が液状媒体に溶解されていてもよい(すなわち、ガラス原料として水溶性の化合物を使用できる)し、溶解されていなくてもよい。通常、主たるガラス原料は水不溶性である。
液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合した後、しばらくの間攪拌等の混合操作を続けることが好ましい。この混合操作を続けている間にホウ酸が液状媒体に溶解すると考えられる。また、通常、この混合操作を続けている間にスラリーのpHが上昇する。さらに、混合手段としてガラス原料粒子を破砕する作用を有する混合手段、例えばボールミル等の粉砕手段、を用いることにより、ホウ酸の溶解速度を高めるとともに、ガラス原料をより微細な粒子にすることができる。
混合操作を続ける時間は、pHが6.6以上の原料スラリーが得られる限り、特に限定されないが、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。混合操作を1時間以上続けることにより、十分な量のホウ酸が液状媒体に溶解すると考えられる。また、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合した直後のスラリーのpHが6.6未満の場合は、pHが6.6以上となるまで混合操作を続けて原料スラリーを得ることが好ましい。混合操作を続ける時間の上限は特に限定されないが、あまりに長時間の場合は経済的でないので、混合操作を続ける時間は24時間以下が適当であり、12時間以下が好ましい。
得られる原料スラリーのpHは、pH調整剤を利用する場合には7以上が好ましく、8〜12であることがより好ましい。この場合のpHは、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料を混合した時点より混合操作を1時間続けた時点の値である。ホウ酸の溶解度は、原料スラリーのpHに依存する。原料スラリーのpHを7以上とすることで充分に高い溶解度が得られる。また、原料スラリーのpHを8以上に上昇させると、ホウ酸の溶解度はさらに高くなるため好ましい。また、ホウ酸源として酸化ホウ素を使用した場合においても、原料スラリーのpHが6.6以上であると、より速やかに水と反応してホウ酸に変化し、原料スラリーに溶解すると考えられる。
原料スラリーのpHは、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。pHを12以下とすることにより、使用可能なpH調整剤の種類が少なくなったり、原料スラリーの取り扱い性が低下したりするなどの不都合が生じにくく、好ましい。特に好ましい原料スラリーのpHは8〜10である。
なお、pH7以上の原料スラリー中では、ホウ酸が中和されていることも考えられるが、中和塩が溶解している限り本発明の作用効果の発揮に支障はない。また、本発明における原料スラリー中のホウ酸量の算出においては、例え、ホウ酸が中和されて中和塩として存在していても中和塩が溶解している限り、ホウ酸とみなして計算する。
pH調整剤としては、原料スラリーのpHを7以上にすることができるものであれば如何なるものを用いてもよく、特に限定されないが、造粒体を用いて得られるガラスの種類などに応じて、決定することが好ましい。また、pH調整剤の量は、ガラス原料やガラス母組成の種類、ガラス原料の量、ホウ酸の量、液状媒体の種類や量、pH調整剤の種類などに応じて、適宜決定される。
アルカリ金属酸化物を含むホウケイ酸ガラスを製造する場合、pH調整剤として塩基性アルカリ金属化合物を使用することができる。塩基性アルカリ金属化合物としてはガラス原料として使用できるものであることが好ましい。このような塩基性アルカリ金属化合物はガラス原料のアルカリ金属源の一部ないし全部とみなすことができる。ガラス原料として使用できる塩基性アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
無アルカリのホウケイ酸ガラスを製造する場合、pH調整剤としてアルカリ金属化合物を使用することは困難である。無アルカリのホウケイ酸ガラスを製造する場合、pH調整剤として、金属原子を含まない塩基性窒素化合物を使用することが好ましい。塩基性窒素化合物として揮発性が高い化合物を使用した場合、塩基性窒素化合物はガラス原料造粒体に残存しない。また、塩基性窒素化合物として揮発性が低いものを用い、塩基性窒素化合物がガラス原料造粒体に残存した場合、塩基性窒素化合物は造粒体の溶融の際に分解消失する。pH調整剤として用いられる塩基性窒素化合物としては、アンモニアや水溶性のアミン化合物が好ましい。水溶性のアミン化合物としては、水溶性のアルカノールアミンやN−アルキルアルカノールアミンなどが好ましく、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
一方、pH調整剤を使用せずに、pH6.6以上の原料スラリーを調製することもできる。前記のように、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合した直後のスラリーのpHが6.6未満であっても、pHが6.6以上となるまで混合操作を続けて原料スラリーを得ることができる。
液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合した直後のスラリーのpHは、通常、5.5〜6.5である。しかし、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合する混合操作を続けている間にスラリーのpHが上昇する。これは、ホウ酸以外のガラス原料がホウ酸と反応してホウ酸を中和するためであると考えられる。ホウケイ酸ガラスの原料の一部として、通常、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が使用され、無アルカリのホウケイ酸ガラスであっても通常アルカリ土類金属化合物が原料として使用される。これら金属化合物のうち水酸化物や炭酸塩などの塩基性化合物は、スラリーの混合操作を続けている間にホウ酸と徐々に反応してホウ酸を中和し、これによりスラリーのpHが上昇すると考えられる。このpHの上昇に伴い、ホウ酸の水性媒体に対する溶解量も上昇すると考えられる。したがって、pH調整剤を使用しない場合であっても、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合する混合操作をスラリーのpHが6.6以上となるまで続けることにより、pHが6.6以上の原料スラリーが得られる。なお、pH調整剤を使用しない場合、得られる原料スラリーのpHは通常9以下である。
スラリーのpHが6.6以上となるまでの時間は、ホウ酸量、ホウ酸以外のガラス原料の種類や組成(例えば、上記塩基性化合物の種類や量)、混合操作条件等により変化する。また、pH調整剤を使用することなく、pHが7以上の原料スラリーを得ることもできる。スラリーのpHが6.6以上となるまでの時間があまりに長くなる場合は、pH調整剤を使用することが好ましい。また、混合操作を短時間で行う必要がある場合にも、pH調整剤を使用することが好ましい。
pH調整剤を使用しない場合、原料スラリーのpHが6.6以上となる限り、液状媒体とホウ酸を含むガラス原料とを混合して攪拌を続ける時間は30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。pHを6.6以上とするためのスラリーの混合操作時間は、ホウ酸の量、ガラス原料の種類、各ガラス原料の粒子サイズにより影響を受けるが、pHを6.6以上の所定の値の原料スラリーを調整するための混合操作を続ける時間は2時間以上が好ましく、4時間以上が好ましい。1時間以上、好ましくは2時間以上混合攪拌を続けることにより、十分な量のホウ酸が液状媒体に溶解すると考えられる。混合操作を続ける時間は、ガラス原料造粒体の生産性を考慮すると12時間以下が好ましい。
原料スラリーに含まれるガラス原料は、ホウケイ酸ガラスのガラス母組成のガラス原料からなる。原料スラリー中のホウ酸量は、原料スラリーの固形分に対して5〜30質量%である。固形分とは、原料スラリーから液状媒体やその他の揮発性成分(スプレードライ造粒の際に揮発して消失する成分)を除いた成分をいう。固形分は造粒体を構成する成分であり、ほとんどがガラス母組成のガラス原料からなる。高沸点のpH調整剤を使用した場合は造粒体中に残存することも考えられるが、その量は少量である。なお、前記のように、ガラス原料となるpH調整剤を使用できる場合もあり、そのようなpH調整剤はガラス原料とみなす。
原料スラリーの固形分に対するホウ酸の含有量が5質量%以上であると、ホウ酸の結合剤としての機能が充分に得られ、充分な強度を有する造粒体が得られるため、造粒体を気相雰囲気中に気流搬送した場合における微粉の生成を充分に抑制することができる。また、原料スラリーの固形分に対するホウ酸の含有量が30質量%以下であると、ホウ酸の含有量が多すぎて造粒体を用いて製造されるガラスの組成の自由度が制限されてしまうおそれが少なく、好ましい。
原料スラリー中のホウ酸は全量が液状媒体に溶解している必要はなく、例えば、ホウ酸量の多い原料スラリーにおいて、液状媒体に溶解していないホウ酸が存在していてもよい。原料スラリー中のホウ酸量は固形分に対して少なくとも5質量%必要であり、5質量%未満では本発明における作用効果は発揮されない。したがって、少なくとも5質量%分のホウ酸は溶解している必要があると考えられる。
後述のようにスプレードライ造粒法においては、多くの場合、原料スラリーが加熱され、粒子化途中の粒子の表面で加熱された液状媒体が揮発すると考えられる。また、ホウ酸は冷水に比較して温水に対する溶解性が極めて高い。よって、原料スラリー中に未溶解のホウ酸が存在していたとしても、原料スラリーから造粒体を製造する工程において、粒子化途中の粒子の内部から表面に移動する高温の液状媒体に、未溶解のホウ酸が新たに溶解し、原料スラリー中に溶解していたホウ酸とともに粒子表面に移動して析出すると考えられる。
原料スラリー中に含まれる液状媒体の量(質量)は、後述するスプレードライ造粒法を用いて造粒体を製造できればよく、特に限定されないが、原料スラリーの固形分(ほぼ全ガラス原料に相当する)と液状媒体との割合(固形分(質量):液状媒体(質量))が、1:2〜1:0.5の範囲となる量であることが好ましい。固形分と液状媒体との割合が上記範囲内である場合、スプレードライ造粒法によるガラス原料造粒体の製造が可能であり、固形分の量を多くするほど、スプレードライ造粒法により得られるガラス原料造粒体の粒径が大きくなるとともに、原料スラリーの粘度が高くなる。したがって、固形分と液状媒体との割合は、上記範囲内で、製造されるガラス原料造粒体の平均粒子径が所望の範囲となり、原料スラリーの粘度がスプレードライ造粒法により容易に効率よくガラス原料造粒体を製造できる範囲内となるように、適宜決定されることが好ましい。
ガラス原料の一部が液状媒体に不溶である場合、原料スラリー中のガラス原料の平均粒子径がガラス原料造粒体の平均粒子径に比較して大きすぎると得られる個々のガラス原料造粒体の組成が相互に不均一になるおそれがある。また、原料スラリー中のガラス原料の粒子が大きすぎると、造粒体のガラス化に多くの時間とエネルギーを要し、気相雰囲気中で溶融ガラス粒子とすることが困難となるおそれがある。このため、ガラス原料が液状媒体に不溶のものを含む場合、ガラス原料を予め微粒子化しておくか、原料スラリーを調製する際にガラス原料粒子を微細化する手段を採用することが好ましい。例えば、原料スラリーを調製する工程において、原料スラリーを構成する成分を混合した後または混合中にボールミル等でガラス原料粒子を微細化することが好ましい。ガラス原料の一部が液状媒体に不溶である場合、原料スラリー調製後の原料スラリー中のガラス原料の平均粒子径は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、特に、20μm以下であることが好ましい。
原料スラリー調製後の原料スラリー中ガラス原料の平均粒子径は、ガラス原料造粒体の平均粒子径の1/100〜1/3であることが好ましく、1/50〜1/5であることがより好ましく、特に1/30〜1/8であることが好ましい。このようなガラス原料を使用する場合であっても、原料スラリーを調製する前にガラス原料粒子を微粒子化する工程を行うことが好ましい。
原料スラリー中には、ホウ酸を含むガラス原料と、必要に応じて入れたpH調整剤と、液状媒体の他に、必要に応じて、液状媒体中にガラス原料粒子を安定して分散させるために、また原料スラリーの粘度を安定化させるために、分散剤を適量含有させてもよい。分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩の40質量%水溶液である「セルナD305」(商品名:中京油脂株式会社製)、「A−6114」(商品名:東亜合成株式会社製)などを好ましく用いることができる。そのほか、原料スラリー中には、粘度調整剤、界面活性剤等の添加剤を適宜含有させることができる。これら添加剤の添加量は、総量で、原料スラリーに対して3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。また、これら添加剤はガラス原料造粒体の溶融の際までには、揮散または分解して揮散し、ガラス組成に影響を与えないものであることが好ましい。
さらに、ガラス原料造粒体の強度を向上させる添加剤としてコロイダルシリカを原料スラリー中に含有させることもできる。コロイダルシリカは、ガラス原料造粒体の結合剤として機能するものであるため、例えば、ガラス原料に含まれる酸化ケイ素の一部をコロイダルシリカとすることで、より一層造粒体の強度を向上させることができる。コロイダルシリカの添加量を多くしても強度向上効果は飽和することより、経済性を考慮すると、コロイダルシリカの量は原料スラリーの固形分に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
原料スラリーは、ガラス原料と、必要に応じて入れたpH調整剤と、液状媒体とを適宜の手段で混合して調製する。原料スラリーの調製においては、液状媒体に溶解性の成分を溶解させ、液状媒体に不溶解性の成分を均一に分散させるために、高速ミキサーなどの攪拌効率が高い混合手段を用いて適宜の時間攪拌することが好ましい。また、原料スラリーの調製においては、攪拌とともにガラス原料中の不溶解性のガラス原料を粉砕できるボールミルなどの粉砕手段を使用することも好ましい。特に、酸化アルミニウム(アルミナ)などからなるボールの収容されたボールミルの容器にガラス原料と、必要に応じてpH調整剤と、液状媒体とを入れて混合し、適宜の時間ガラス原料を粉砕しながら攪拌することが好ましい。この原料スラリーの攪拌は、前述のとおり原料スラリーのpHを増加させ、ホウ酸の溶解度を増加する効果がある。これは、攪拌によってガラス原料中のアルカリ成分であるCaCOやSrCOなどが溶媒中に溶け出したためであると予想される。よって、この効果は、ガラス原料中のガラス原料を粉砕できるボールミルなどにより攪拌されることが好ましい。
原料スラリー中に含まれるホウ酸は、一部または全部が液状媒体中に溶解されているが、原料スラリーを調製する工程におけるどの段階で、溶解されてもよい。例えば、原料スラリーの材料である、ホウ酸を含むガラス原料と、pH調整剤と、液状媒体とを全て、ボールミルの容器に入れ、ガラス原料中の不溶解性のガラス原料を液状媒体中に分散させるとともに、溶解性のガラス原料とホウ酸の一部または全部とを液状媒体中に溶解させてもよい。この場合、液状媒体中へのガラス原料の分散と、液状媒体中へのホウ酸の溶解とを同時に行うことができるので、効率よく原料スラリーを調製できる。
あるいは、原料スラリーの材料である、ガラス原料からホウ酸を除いた原料と、液体媒体とを、ボールミルの容器に入れ、所定時間混ぜ合わしてガラス原料中の不溶解性のガラス原料を液状媒体中に分散させ、原料スラリーのpHを増加させた後に、ホウ酸を投入して、所定時間混ぜ合わせて、ホウ酸を効率よく溶解させてもよい。この場合、pH調整剤を利用しないで、原料スラリーのpHを増加させ、ホウ酸を充分に溶解できるので、効率良く原料スラリーを調整できる。また、この場合には、攪拌時間が長いだけ、不溶解性のガラス原料などを粉砕する効果もあるため、ガラス原料中の各成分の粒子径を大きくしても、原料スラリーを調整できる。この場合には、粒子径の小さいガラス原料を準備する費用はその粒子径が小さくなるほど大きくなるため、原料コストの面からも効果がある。
次に、スプレードライ造粒法により原料スラリーに含まれる液状媒体等の揮発性成分を除去してガラス原料造粒体を製造する。スプレードライ造粒法は、原料スラリーを噴霧して粒子化し、原料スラリー粒子から液状媒体等を蒸発(気化)させて除去し、原料スラリーの固形分からなる粒子を形成する方法である。スプレードライ造粒法としては周知ないし公知の方法を使用できる。スプレードライ造粒法においては、熱風を供給する方法を用いることができ、スプレードライ装置の熱風入口温度や出口温度は別に制限されないが、熱風入口温度を200℃以上、出口温度を100℃以上で造粒すると、ガラス原料造粒体を充分乾燥できるために好ましい。原料スラリーからガラス原料造粒体を製造する方法としてスプレードライ造粒法は、量産性に優れ、造粒体の粒径を高精度で制御できる方法であるとともに、原料スラリーに含まれるガラス原料の混合状態を比較的良好に保ち均質なガラス母組成の造粒体を製造できる方法である。
<ガラス製品の製造方法>
本実施形態のガラス製品の製造方法は、上述した製造方法によって製造されたガラス原料粒子を加熱して溶融ガラスとし、溶融ガラスを成形固化してガラス製品とする。
ガラス原料粒子を加熱して溶融ガラスするに際し、シーメンス型のガラス溶融炉を利用する通常の溶融方法でも効果があり、気中溶融法を適用することが好ましい。以下では、気中溶融法を用いる場合について説明する。
気中溶融法を用いてガラスを製造するに際し、ガラス原料造粒体を気中加熱装置の高温の気相雰囲気中に導入する方法としては、空気などの気流で搬送する気流搬送方法を用いることが便利で使い易く好ましい。ただし搬送方法はこれに限られるものではなく、他の搬送法も使用できる。本発明の製造方法を用いて得られたガラス原料造粒体は、強度が高いものであるので、気流搬送はもちろん、それ以外の方法で搬送された場合であっても破壊が少なく、好ましい。これに対し、従来の製造方法で製造されたガラス原料造粒体は強度が低いため、気流搬送だけでなく、それ以外の方法であっても、多くの場合、粒子の搬送時に粒子同士や粒子と搬送路内壁との衝突により粒子が破壊されてしまう。
ガラス原料造粒体を高温の気相雰囲気中で溶融させて溶融ガラス粒子(溶融した造粒体)とする方法は、特に限定されないが、熱プラズマアークや酸素燃焼炎などを用いてガラス原料造粒体を加熱する気中加熱装置を用いる方法などが挙げられる。また、溶融ガラス粒子を集積してガラス融液とするには、通常、気相雰囲気中を自重で落下する溶融ガラス粒子を気相雰囲気下部に設けた耐熱容器に受けて集積してガラス融液とする方法が採用される。さらに、ガラス融液から取り出した溶融ガラスを成形固化してガラス製品とする方法としては、フロート法やダウンドロー法などの板状ガラス製品を製造する方法、溶融紡糸法などの繊維状ガラス製品を製造する方法、型成形法などの各種形状のガラス製品を製造する方法、などを用いることができる。
「実験例1」
アルミナからなる直径20mmのボールが10kg収容された容量10リットルの容器を備えたボールミルを用いて、以下に示すように、原料スラリーを調製し、造粒体を製造した。
まず、表1および表2に示す組成のガラス原料と、表1および表2に示すpH調整剤と、液状溶媒としての水とを、表1および表2に示す割合(ガラス原料:水)でボールミルの容器に入れ、1時間攪拌することにより、表1および表2に示すpHの実施例1〜12、比較例1〜4の原料スラリーを調製した。なお、実施例1〜2、4〜5、8〜12及び比較例1〜2は、溶解後のガラス組成の目標値が酸化物基準でSiO:60質量%、Al:17質量%、B:8質量%、MgO:3質量%、CaO:4質量%、SrO:7.6質量%、BaO:0.065質量%、Fe:0.055質量%となるように調合した。また、実施例6〜7及び比較例4は、溶解後のガラス組成の目標値が酸化物基準でSiO:50質量%、Al:10質量%、B:15質量%、BaO:25質量%となるように調合した。溶解後のガラス組成は、実施例1〜2、4〜12においてほぼ目標通りとなった。
Figure 0005454580
Figure 0005454580
なお、表1および表2に示すガラス原料(原料1)の平均粒子径を表3に示す。表1および表2に示すガラス原料のうち、溶解性のある原料である塩化ストロンチウムおよびホウ酸は、乾式のレーザー回折・散乱式粒径・粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300:商品名、日機装株式会社製)を用いて平均粒子径を測定した。その他の原料は、湿式によるレーザー回折・散乱式の粒径分布測定装置(LA950−V2:商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて平均粒子径を測定した。なお、実施例5のSiO(コロイダルシリカ)の平均粒子径は、0.02μmであった。
Figure 0005454580
次に、表1および表2に示す条件Aまたは条件Bでスプレードライ造粒法により、実施例1〜12、比較例1〜4の原料スラリーに含まれる溶媒を除去し、実施例1〜実施例12、比較例1〜4の造粒体を製造した。表1および表2に示す条件A、条件Bを以下に示す。
条件A:スプレードライヤー乾燥室径 φ2000mm(大川原化工機(株)製)
アトマイザー回転数 10000rpm
入口温度 250℃、出口温度 130℃
スラリー供給量 15〜20kg/hr
条件B:スプレードライヤー乾燥室径 φ2600mm((株)プリス製)
アトマイザー回転数 12000rpm
入口温度 300℃、出口温度 120℃
スラリー供給量 20〜25kg/hr
このようにして得られた実施例1〜12、比較例1〜4の造粒体それぞれの強度を以下に示す評価方法により評価した。
すなわち、ガラス原料造粒体同士を衝突させて、造粒体の破壊(崩壊)の程度を造粒体の粒度分布の変化を測定することにより評価した。より詳細には、まず、レーザー回折・散乱法を用いて粒径分布を測定する粒径分布測定装置(前記したマイクロトラックMT3300)を用い、粒径分布測定装置の測定室に入る直前の造粒体に圧縮空気圧0psi(0kPa)または50psi(345kPa)の圧縮空気を吹き込んで、圧縮空気圧0psi(0kPa)での粒径分布と、圧縮空気圧50psi(345kPa)での粒径分布とを測定した。その後、圧縮空気圧0psi(0kPa)での粒径分布と、圧縮空気圧50psi(345kPa)での粒径分布とを用いて、粒径0.972〜322.8μmの範囲での両者の相関係数を算出した。その結果を表1および表2に示す。なお、各粒径分布を求める場合のサンプリング数は、粒径0.972〜322.8μmに対応する標準ふるいの目開きの区分と、目開きの各区分の上下限値に対する平均目開きの値を加えた68点とした。具体的には、得られた2つの粒径分布に対する累積パーセントのデータに対して、マイクロソフト社製EXCEL2002SP3の組み込み関数であるCORREL関数を利用して、両者の相関係数を算出した。
また、実施例1〜12、比較例1〜4の造粒体の平均粒子径として、粒径分布測定装置(マイクロトラックMT3300)を用い、圧縮空気圧0psi(0kPa)で測定された粒径分布曲線の50%径(平均顆粒径(D50))を測定した。結果を表1および表2に示す。
表1および表2に示す相関係数は、1に近いほど、圧縮空気圧0psi(0kPa)での粒径分布と、圧縮空気圧50psi(345kPa)での粒径分布との類似性の度合いが高いことを示すものである。圧縮空気圧0psi(0kPa)での粒径分布と、圧縮空気圧50psi(345kPa)での粒径分布との差は、圧縮空気を吹き込むことによって生じる造粒体の崩壊に起因すると推定される。したがって、相関係数が1に近いほど、50psi(345kPa)の圧縮空気を吹き込んでも造粒体の崩壊が生じにくく、造粒体の強度が優れていると評価できる。
表1および表2に示すように、実施例1〜12の造粒体は、ガラス原料に含まれるホウ酸の含有量が5質量%未満である比較例1および比較例2の造粒体や、原料スラリーのpHが7未満である比較例3および比較例4の造粒体と比較して、相関係数が1に近く、強度が優れていることが分かる。
「実験例2」
実験例1と同様にして製造した実施例3、比較例1および比較例2の造粒体を、気中加熱装置の気相雰囲気中に空気搬送し、気相雰囲気中で酸素バーナーを用いて加熱して溶融ガラスの粒子とし、その後、その液状の溶融ガラス粒子を固化させることにより実施例3、比較例1および比較例2のガラス粒子を得た。溶解条件は、バーナー熱量38kW、造粒体を酸素バーナーの炎に入れる投入速度であるフィード量50〜60g/minで実施した。その際の溶融ガラスの温度は、約1700〜1900℃であると推定された。
このようにして得られた実施例3、比較例1および比較例2の造粒体とガラス粒子の写真を図1に示す。
図1に示すように、実施例3のガラス粒子には微粉が含まれていないが、比較例1および比較例2のガラス粒子には微粉が含まれていた。
このことより、実施例3の造粒体は、空気搬送しても微粉が生成されない充分な強度を有していたことが分かる。また、比較例1および比較例2の造粒体は、強度が不十分であるために、空気搬送によって微粉が生成されたことが分かる。
「実験例3」
実験例1と同様にして製造した実施例1および比較例1の造粒体の表面を観察した。その結果を図2および図3に示す。図2は、実施例1の造粒体の顕微鏡写真であり、図3は、比較例1の造粒体の顕微鏡写真である。
また、実験例1と同様にして製造した実施例1および比較例1の造粒体の表面を、オージエ電子分光法を用いて元素分析することにより、表面の元素量を測定した。その結果を表4に示す。ここで各成分の元素量比は原子百分率(atomic%)である。
Figure 0005454580
表4に示すように、実施例1の造粒体の表面には比較例1の造粒体の表面と比較して、多くのBが含まれていた。これは、実施例1では、造粒体を得るための原料スラリー中に溶解されていたホウ酸が、造粒体を製造する工程において溶媒が除去されることにより、造粒体の内側から表面に送り出され、造粒体の表面に析出されたことによるものと推定される。
また、図2および図3に示すように、実施例1の造粒体の表面は比較例1の造粒体の表面と比較して、表面の微細な凹凸が少なく、表面がガラス状の物質で覆われている様子が観察される。これは、造粒体の表面に析出したホウ酸が、造粒体を取り囲んで結合剤として機能していることによるものと推定される。
「実験例4」
アルミナからなる直径10mmのボールが1kg収容された容量1リットルの容器を備えたボールミルを用いて、以下に示すように、原料スラリーを調製し、スラリーpHを測定した。この実験においては、ガラス原料として、表3に示す平均粒子径のもの(原料1)とは別に表5に示す平均粒子径のもの(原料2)を用いた。平均粒子径は、原料1と同様の方法によって測定した。なお、以下の表6の実験(実施例および比較例)では、pH調整剤は利用していない。
表6の実施例13に示す組成のガラス原料と、液状溶媒としての水とを、表6の実施例13に示す割合(ガラス原料:水)でボールミルの容器に入れ、15時間攪拌した。途中10分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、10時間後、15時間後にスラリーのサンプリングを行い、pHの変化を測定した。結果を図4(CaseI)に示す。なお、このCaseIの原料は表3に示す原料系(原料1)を利用した場合である。
同様に、表6の実施例14に示す組成のガラス原料と、液状溶媒としての水とを、1:1.2の割合(ガラス原料:水)でボールミルの容器に入れ、15時間粉砕混合した。途中10分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、15時間後にスラリーのサンプリングを行い、pHの変化を測定した。結果を図4(CaseII)に示す。なお、このCaseIIの原料は表5に示す原料系(原料2)を利用した場合である。
混合直後(途中10分後)のスラリーのpHは5.7(CaseII)〜6.0(CaseI)であったが、2時間以上のボールミルによって、いずれの場合でもスラリーのpHは6.6よりも高くなることが判った。ボールミルに伴って、特にpH調整剤を添加しなくても、アルカリ成分であるCaCOやSrCOが水中に溶け出し、pHが上昇したと考えられる。
Figure 0005454580
Figure 0005454580
「実験例5」
ケイ石からなる直径50〜70mmの玉石が容積の約50%になるように収容された容量20mの容器を備えたボールミルを用いて、以下に示すように、原料スラリーを調製し、スラリーpHを測定した。
表6の実施例13、および14に示すガラス原料系(それぞれ原料1、原料2)を用い、表6に示す組成のガラス原料と、液状溶媒としての水とを、表6に示す割合(ガラス原料:水)でボールミルの容器に入れ、それぞれ8時間、および12時間粉砕混合することにより、表6に示すpHの実施例13、および14の原料スラリーを調製した。なお、ガラス原料2を用いた実施例14において、原料スラリー調製後の原料スラリー中のガラス原料の平均粒子径は15μmであった。この測定は、株式会社堀場製作所のLA950−V2で行った。また、実施例13は、ガラス組成の目標値が酸化物基準でSiO:60質量%、Al:17質量%、B:8質量%、MgO:3質量%、CaO:4質量%、SrO:7.6質量%となるように、また実施例14は、溶解後のガラス組成の目標値が酸化物基準でSiO:58質量%、Al:17質量%、B:9質量%、MgO:3質量%、CaO:4質量%、SrO:8質量%となるように調合した。溶解後のガラス組成は、実施例13、および14においてほぼ目標通りとなった。
次に表6に示す条件Cでスプレードライ造粒法により、実施例13、および14の原料スラリーに含まれる溶媒を除去し、実施例13、および14の造粒体を製造した。表5に示す条件Cを以下に示す。
条件C:スプレードライヤー乾燥室径 φ7000mm((株)マエダマテリアル製)
加圧ノズル方式 ノズル系 φ2mm×7本
入口温度 500℃、出口温度 200℃
なお、実施例13、および14においては、相関係数の算出方法を実施例1〜12等と異なる方法を採用した。すなわち、実施例13、および14に対しては、粒径0.972〜995.6μmの範囲で相関係数を算出した。その他の条件は他の記載例と同様である。この場合、各粒径分布を求める場合のサンプリング数は、粒径0.972〜995.6μmに対応する標準ふるいの目開きの区分と、目開きの各区分の上下限値に対する平均目開きの値を加えた81点とした。このように相関係数の測定を変えた理由は以下のとおりである。スプレー条件AやBの場合は平均粒径が70〜100μm程度で、300μm以上の顆粒は極めて量が少ないため、1〜300μmの範囲で相関係数をとれば十分であった。他方、スプレー条件Cの場合は顆粒径が大きく、また1mmの篩で篩分けしたものを使用していることもあり、1〜997μmの範囲で相関係数をとることが実際に顆粒の特性を反映していると考えられる。
「実験例6」
実施例13の平均顆粒径を変え、スプレードライ条件Cをスプレードライ条件Aに変更して造粒を行った。その造粒の結果を、表6の実施例15に示す。また、実施例15に対して、ボールミルによる粉砕時間を1時間程度にしたものを、表6の比較例6に示す。実施例15のスラリー中のガラス原料の平均粒子径は13μm、比較例6のガラス原料の平均粒子径は35μmであった。これらの結果から、異なるスプレードライ条件によっても、粉砕時間を増やすことによってpHが6.7以上になり、相関係数も十分に大きくなることがわかる。なお、実施例14、15および比較例6において、ガラス原料:水は、それぞれ1:2、1:1.5、および1:1で若干異なるが、この程度の差であれば造粒体の強度に対する影響は小さい。
「実験例7」
実施例15のガラス原料系(原料2)を、表5の原料1に変更して造粒を行った。その造粒の結果を、表6の実施例16に示す。また、実施例16に対して、ボールミルによる粉砕時間を1時間にしたものを、表6の比較例5に示す。これらの結果から、異なる原料系によっても、粉砕時間を増やすことによってpHが7.8以上になり、相関係数も十分に大きくなることがわかる。なお、実施例15、16、および比較例5において、ガラス原料:水は、それぞれ1:1.5、1:1、および1:1で、実施例15の場合で若干異なるが、この程度の差であれば造粒体の強度に対する影響は小さい。
「実験例8」
実施例13の粉砕時間8時間を、表6の4時間に変更して造粒を行った。その造粒の結果を、表6の実施例17に示す。この造粒の結果から、図4で示したように、粉砕時間が長くなることによってpHの上昇が得られ、4時間でpHが8.1以上になり、相関係数も十分に大きくなることがわかる。なお、実施例13、および17において、ガラス原料:水は、それぞれ1:1.5、および1:1で、両者で若干異なるが、この程度の差であれば造粒体の強度に対する影響は小さい。
本発明により製造された造粒体は気中溶融法などによって溶融ガラスを製造するためのガラス原料として使用される。得られた溶融ガラスは、フロートバス、フュージョン成形機、ロールアウト成形機、ブロー成形機、プレス成形機等の成形手段で各種形状のガラス製品に成形される。

なお、2009年8月28日に出願された日本特許出願2009−198477号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (14)

  1. ホウ酸としてオルトホウ酸を含むガラス原料とホウ酸可溶性液状媒体とを含む原料スラリーであって、原料スラリー中のホウ酸量が原料スラリーの固形分に対して5〜30質量%であり、かつ原料スラリーのpHが6.6以上である、原料スラリーを調製する工程と、
    スプレードライ造粒法により前記原料スラリーからガラス原料造粒体を製造する工程と、
    を備えることを特徴とするホウケイ酸ガラス製造用のガラス原料造粒体の製造方法。
  2. 原料スラリーがさらにpH調整剤を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 原料スラリーのpHが7以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 原料スラリーのpHが6.6以上となるまでホウ酸可溶性液状媒体中でホウ酸とガラス原料を接触させて原料スラリーを調製する、請求項1に記載の製造方法。
  5. ガラス原料の一部が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属の水酸化物または炭酸塩である、請求項4に記載の製造方法。
  6. ホウ酸を含むガラス原料とホウ酸可溶性液状媒体とを混合して原料スラリーを調製する手段がボールミルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記ガラス原料造粒体の平均粒子径が30〜1000μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記ホウ酸可溶性液状媒体が水である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 原料スラリーのpHが8〜12である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記ガラス原料が、酸化物基準の質量百分率表示で酸化ホウ素含有量が1〜30質量%のホウケイ酸ガラスとなるように調整されたものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記ガラス原料が、酸化物基準の質量百分率表示で下記組成(1)のホウケイ酸ガラス(ただし、下記Rはアルカリ金属を表す。)となるように調整されたものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
    SiO:40〜85質量%、Al:1〜22質量%、B:2〜20質量%、MgO:0〜8質量%、CaO:0〜14.5質量%、SrO:0〜24質量%、BaO:0〜30質量%、RO:0〜10質量%・・・(1)。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたガラス原料造粒体を、加熱して溶融ガラスとする工程と、
    前記溶融ガラスを成形固化する工程と、
    を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  13. 請求項12に記載のガラス原料造粒体を溶融ガラスとする工程が、前記ガラス原料造粒体を、気相雰囲気中で溶融させて溶融ガラス粒子とする工程と、
    前記溶融ガラス粒子を集積してガラス融液とする工程と、
    を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。
  14. 前記ガラス原料造粒体を気流で搬送して前記気相雰囲気に導入する、請求項13に記載のガラス製品の製造方法。
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