次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図3を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る電界効果型トランジスタ及びその製造方法を説明する。
始めに、図1を参照し、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの構成を説明する。
図1(a)及び図1(b)は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10の構成を模式的に示す断面図である。図1(b)は、図1(a)の断面図に示される半導体層及び不連続膜の構成を拡大して示す断面図である。ただし、図1は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示すものであり、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタは、図1の構成に限定されない(以下の実施の形態、変形例においても同様)。
図1(a)に示されるように、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10は、基板1、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極5及びドレイン電極6を有する。電界効果型トランジスタ10は、ボトムゲート型(又はトップコンタクト型)の構造を有する。
基板1上に、下から順にゲート電極2、ゲート絶縁膜3が積層される。ゲート絶縁膜3上に、酸化物半導体よりなる半導体層4が形成される。半導体層4上に、ソース電極5及びドレイン電極6が、所定の間隔で離間して設けられる。ソース電極5及びドレイン電極6との間の部分は、チャネル領域7となる部分である。なお、図1(a)に示されるように、ソース電極5及びドレイン電極6の一部は、絶縁層3上であって半導体層4が形成されない部分上に形成されることもできる。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10には、チャネル領域7において、半導体層4とゲート絶縁膜3との間に不連続膜8が設けられる。図1(b)にチャネル領域7における半導体層4と不連続膜8の構成が拡大して示されるように、不連続膜8は、複数の島9の集合体である。複数の島9は、互いに離間し、点在するため、ソース電極5とドレイン電極6との間を、島9のみを径由して通流する電流経路は存在しない。
基板1としては、ガラスやプラスチックを用いることができる。特にプラスチックを用いれば、フレキシブルなトランジスタが実現する。
ゲート電極2としては、良好な導電性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、Al、Cr、Au、Ag、Ta、In、Mo、W、Ni、Ti等の単体の金属よりなる金属膜、これらの金属膜を複数積層した積層膜若しくはこれらの金属の合金よりなる金属膜、In2O3、SnO2、ZnO等の導電性酸化物膜、酸化物膜に添加物を加えたITO(Sn添加In2O3)、Ga添加ZnO、Al添加ZnO、Sb添加SnO2等の膜、又はこれらの材料が微粒子として分散された膜等を用いることができる。
ゲート絶縁膜3としては、充分な絶縁性を確保することができる無機絶縁材料及び有機絶縁材料を用いることができる。SiO2、Al2O3、Ta2O5、Y2O3、HfO2、Nb2O5、ZrO2等の絶縁性金属酸化物やSiNxを用いることができる。
ソース電極5とドレイン電極6としては、ゲート電極と同様の材料を用いることができる。
半導体層4としては、半導性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸化物半導体、化合物半導体等を用いることができる。このうち、酸化物半導体としては、特に限定されるものではないが、例えばZnO、SnO2、In2O3、TiO2、V2O5、SrTiO3、NiO、又はこれらに添加物を加えたもの等を用いることができる。また、In−Zn−O又はIn−Ga−Zn−O等、複数の金属を含む酸化物も用いることができる。
上記の酸化物半導体のうち、ZnO、SnO2、In2O3、TiO2、V2O5、SrTiO3、In−Zn−O、In−Ga−Zn−O、又はこれらに添加物を加えたものは、一般的にn型半導体として用いられる。また、上記の酸化物半導体のうち、NiO、又はこれに添加物を加えたものは、一般的にp型半導体として用いられる。ただし、ZnO等の酸化物半導体においては、添加元素を変更することにより、シリコンのようにn型半導体又はp型半導体の何れにも制御することが可能なものもあるため、上記の酸化物半導体は、n型半導体又はp型半導体として限定されるものではない。
また、半導体層と不連続膜を形成する酸化物としては、アモルファスの金属酸化物が適している。
半導体層及び不連続膜が多結晶の金属酸化物よりなるとき、不連続膜の島の部分と半導体層との境界において構造の不整合が生じることがあるため、結晶粒(又は結晶子)のサイズが小さくキャリアが多数の結晶粒(又は結晶子)の粒界(界面)を横切って移動する場合には、移動度が低下することが知られている。本発明においても、不連続膜の島の部分と半導体層との境界がキャリアの移動度を低下させる要因になりうる。一方で、半導体層及び不連続膜がアモルファスの金属酸化物よりなるとき、不連続膜の島の部分と半導体層との境界において構造の不整合が生じることがないため、キャリアが移動する場合にも移動度はあまり低下しない。このようなアモルファス金属酸化物として、In、Ga、Znを含む酸化物膜や、InとZnを含む酸化物膜等が用いられる。
不連続膜8は、半導体層4よりも抵抗率が低い材料、例えば金属を用いて形成することができる。また、不連続膜8が形成される領域は、少なくともチャネル領域7の一部を含む領域であればよく、図1(a)に示されるように、半導体層4が形成される領域の全てに形成されることもでき、半導体層4が形成される領域の全てに形成されなくてもよい。
ここで、不連続膜8が、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10の移動度を増大させる作用を説明する。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10は、ゲート電極2に印加される電圧の値によって、トランジスタがONの状態又はトランジスタがOFFの状態になる。一般に、電界効果型トランジスタは、トランジスタがONの状態であるときには、半導体層のゲート絶縁膜との界面の近傍がチャネルとなり、キャリアは、チャネルとなった半導体層を通ってソース電極からドレイン電極へ移動する。ところが、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10においては、半導体層4とゲート絶縁膜3の間に複数の島9の集合体である不連続膜8が設けられるため、キャリアは、不連続膜8中の島9と半導体層4を伝うように通ってソース電極からドレイン電極へ移動する。島9は半導体層4よりも抵抗率が低い(導電率が高い)材料よりなるため、キャリアは、島9において半導体層4よりも速く移動する。一方、島9が存在しない部分の半導体層4は、電界効果型トランジスタの半導体層(活性層)としての機能を有する。このような状態は、不連続膜が存在しない場合の半導体層の実効的なチャネル長が、不連続膜が存在することによって短くなった状態と同等であり、これによりトランジスタの実効的な移動度が増大する。
以上、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタでは、不連続膜を半導体層とゲート絶縁膜との間に設けることによって、実効的チャネル長を短縮する効果により、電界効果移動度を向上させることができる。
次に、図2及び図3を用いて、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。
図2は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の手順を説明するための工程図である。図3は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の工程を説明するための図であり、各工程における電界効果型トランジスタの構造を模式的に示す断面図である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、図2に示されるようなステップS1乃至ステップS5の5つの工程を含む。また、図2のステップS1乃至ステップS5の各工程を行った後の電界効果型トランジスタの断面構造は、図3(a)乃至図3(e)に示される。
始めにステップS1の工程を行い、図3(a)に示されるように、基材(基板)1上にゲート電極2を形成する。基材(基板)1上に、公知の成膜方法を用い、例えばAl等の金属を成膜することによって、ゲート電極を形成する。
ゲート電極の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スパッタや真空蒸着、イオンプレーティングといった物理蒸着法(物理気相成長法)や、プラズマCVD等の化学気相成長法、ゾルゲル法等の溶液塗布法、メッキ法、導電性微粒子の分散した溶液や導電性ペーストの塗布等の公知の成膜方法を用いることができる。
次に、ステップS2の工程を行い、図3(b)に示されるように、ゲート電極2上にゲート絶縁膜3を形成する。
次に、ステップS3の工程を行い、図3(c)に示されるように、ゲート絶縁膜3上にn型の酸化物半導体よりなる不連続膜8を形成する。
不連続膜8の形成方法としては、特に限定されるものではないが、スパッタ、PLD(レーザアブレーション)、真空蒸着、イオンプレーティングといった物理蒸着法(物理気相成長法)や、プラズマCVD等の化学気相成長法、ゾルゲル法等の溶液塗布法を用いることができる。
また、不連続膜8を不連続な膜として成膜する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、連続膜を形成した後にエッチング等の処理を行って不連続膜を形成する方法、極薄膜を形成するような成膜条件下で成膜を行って不連続膜を形成する方法、有機成分を多く含む溶液を用いて塗布法によって溶液を塗布し、焼成する際に有機成分を除去することによって不連続膜を形成する方法、等を用いることができる。このうち、極薄膜を形成するような成膜条件下で成膜を行って不連続膜を形成する方法は、膜を堆積する時間が極端に短いと膜は島状になることが知られており、これを利用して不連続膜を形成する方法である。この極薄膜を形成する方法、及び有機成分を多く含む溶液を塗布する方法は、簡易な製造プロセスによって不連続膜を形成することが可能な方法である。
更に、不連続膜8を形成する領域をパターニングするパターニング方法としては、特に限定されるものではないが、リフトオフによるパターニング、フォトリソグラフィとエッチングによるパターニングを用いることができる。リフトオフによるパターニングを行う場合、不連続膜8と半導体層4とを同時に同一の形状にパターニングすることもでき、その場合、製造工程の工程数を更に少なくすることができる。また、エッチングによりパターニングを行う場合も、不連続膜8及び半導体層4が同じ元素からなる酸化物であるので、ドライエッチングによりパターニングを行う場合は同じエッチングガス、ウェットエッチングによりパターニングを行う場合は同じエッチャントによる加工が可能であり、一度にパターニングができるため、製造工程の工程数を更に少なくすることができる。
次に、ステップS4の工程を行い、図3(d)に示されるように、不連続膜8上に、不連続膜8と同一の元素よりなり、不連続膜8より酸素の含有量の多いn型の酸化物半導体よりなる半導体層4を形成する。
ここで、スパッタ等の物理蒸着法(物理気相成長法)により、不連続膜8と半導体層4とを同じ元素よりなる酸化物半導体で形成する場合、半導体層形成工程と不連続膜形成工程とで、成膜するときの雰囲気中の酸素量を変えることによって、不連続膜8と半導体層4の酸素の含有量を変えることができる。本実施の形態では、不連続膜8及び半導体層4としてn型の酸化物半導体を用いるため、酸素の含有量が少ないほど低抵抗になる。従って、雰囲気中の酸素量を減少させた状態で不連続膜8を形成し、雰囲気中の酸素量を増大させた状態で半導体層4を形成する。
次に、ステップS5の工程を行い、図3(e)に示されるように、半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6を形成する。
ソース電極5及びドレイン電極6は、半導体層4上に所定の間隔で離間して設けられる。また、ソース電極5及びドレイン電極6を所定の間隔で離間して配置する方法としては、シャドウマスクを用いた成膜や、印刷やインクジェットによる塗布、エッチングによるパターニング等の方法を用いることができる。
以上、ステップS1乃至ステップS5の工程を含む製造方法を用いて電界効果型トランジスタを製造することにより、実効的チャネル長短縮の効果が得られる電界効果型トランジスタを、工程数の少ない製造方法を用いて製造することができる。
従って、酸化物半導体を半導体層に用いた電界効果型トランジスタにおいて、従来に比べ製造工程数の増加がほとんどない製造方法によって、実効的なキャリア移動度を高めると共に、半導体層とソース電極及びドレイン電極との間の電気的な接触を良好にすることによって、トランジスタ特性を向上させると共にトランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
なお、本実施の形態では、半導体層4及び不連続膜8としてn型酸化物半導体を用いるが、半導体層4及び不連続膜8として、n型酸化物半導体に代え、n型化合物半導体その他のn型半導体、又はp型酸化物半導体若しくはp型化合物半導体その他のp型半導体、を用いることができる。ここで、スパッタ等の真空蒸着法(物理気相成長法)を用いてp型半導体よりなる不連続膜8及び半導体層4を形成する場合、雰囲気中の酸素量を増大させた状態で不連続膜8を形成し、雰囲気中の酸素量を減少させた状態で半導体層4を形成する。あるいは、不連続膜8として、半導体層4がn型半導体又はp型半導体の何れかであるかに関わらず、金属を用いることもできる。
また、本実施の形態では、ステップS3の不連続膜形成工程と、ステップS4の半導体層形成工程とを、連続して行うことができる。不連続膜形成工程と半導体層形成工程とを連続して行うことによって、半導体層と不連続層との界面の汚染を防ぐことができるため、電気的な接触抵抗を低減する効果を高めることができる。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、図4乃至図6を参照し、第1の実施の形態の変形例について説明する。
始めに、図4を参照し、本変形例に係る電界効果型トランジスタの構成を説明する。
図4(a)及び図4(b)は、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20の構成を模式的に示す断面図である。図4(b)は、図4(a)の断面図に示される半導体層及び不連続膜の構成を拡大して示す断面図である。
本変形例に係る電界効果型トランジスタ20は、半導体層と電極との間にも不連続膜が設けられる点で、第1の実施の形態に係る電界効果型トランジスタと相違する。
第1の実施の形態において、不連続膜は、半導体層とゲート絶縁膜との間だけに設けられるのと相違し、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20においては、図4に示されるように、半導体層14とソース電極15との間、半導体層14とドレイン電極16との間にも不連続膜18bが設けられる。
図4(a)に示されるように、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20は、基板11、ゲート電極12、ゲート絶縁膜13、半導体層14、ソース電極15及びドレイン電極16を有する。本変形例に係る電界効果型トランジスタ20は、第1の実施の形態に係る電界効果型トランジスタ10と同様に、ボトムゲート型(又はトップコンタクト型)の構造を有する。
基板11上に、下から順にゲート電極12、ゲート絶縁膜13が積層され、ゲート絶縁膜13上に、酸化物半導体よりなる半導体層14が形成され、半導体層14上に、ソース電極15及びドレイン電極16が、所定の間隔で離間して設けられ、ソース電極15及びドレイン電極16との間の部分がチャネル領域17となるのは、第1の実施の形態と同一である。
しかし、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20には、チャネル領域17において、半導体層14とゲート絶縁膜13との間に不連続膜18aが設けられると共に、半導体層14とソース電極15及びドレイン電極16との間にも不連続膜18bが設けられる。すなわち、電界効果型トランジスタ20においては、不連続膜18は、不連続膜18a及び不連続膜18bよりなる。
図4(b)にチャネル領域17における半導体層14と不連続膜18a及び18bの構成が拡大して示されるように、不連続膜18a及び18bは、それぞれ複数の島19aの集合体及び複数の島19bの集合体である。複数の島19a及び19bが、互いに離間し、点在し、ソース電極15とドレイン電極16との間を、島19a又は19bのみを径由して通流する電流経路は存在しないのは、第1の実施の形態と同様である。なお、本変形例においては、図4(b)に示されるように、チャネル領域17であって半導体層14上にも不連続膜18bが設けられるが、半導体層14とソース電極15及びドレイン電極16との間に設けられればよいのであって、不連続膜18bは、チャネル領域17であって半導体層14上には設けられなくてもよい。
本変形例に係る電界効果型トランジスタ20の基板11、ゲート電極12、ゲート絶縁膜13、半導体層14、ソース電極15、ドレイン電極16及び不連続膜18(18a及び18b)は、それぞれ第1の実施の形態において基板1、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極5、ドレイン電極6及び不連続膜8として用いることができる材料と同一の材料を用いることができる。
また、不連続膜18が、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20の移動度を増大させる作用は、第1の実施の形態と同一である。
加えて、本変形例に係る電界効果型トランジスタ20では、半導体層14の上下両方に不連続膜18が積層されている。本変形例では、半導体層14とソース電極15及びドレイン電極16の間にも不連続膜18が存在し、不連続膜18中の島19が電気的な接触を改善させる効果を持つ。半導体層と電極との間の接触抵抗の増大や顕著な非オーミック性はトランジスタの特性を悪化させ、特性ばらつきの要因にもなるため好ましくないが、不連続膜18が存在することで接触抵抗の増大等が抑制でき、安定して特性の良いトランジスタが得られる。
以上、本変形例に係る電界効果型トランジスタでは、不連続膜を半導体層とゲート絶縁膜との間に設けると共に半導体層と電極との間にも設けることによって、実効的チャネル長を短縮すると共に電気的な接触を改善させる効果により、電界効果移動度を向上させることができる。
次に、図5及び図6を用いて、本変形例に係る電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。
図5は、本変形例に係る電界効果型トランジスタの製造方法の手順を説明するための工程図である。図6は、本変形例に係る電界効果型トランジスタの製造方法の工程を説明するための図であり、各工程における電界効果型トランジスタの構造を模式的に示す断面図である。
本変形例に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、図5に示されるようなステップS11乃至ステップS16の6つの工程を含む。また、図5のステップS11乃至ステップS16の各工程を行った後の電界効果型トランジスタの断面構造は、図6(a)乃至図6(f)に示される。
始めにステップS11の工程を行い、図6(a)に示されるように、基材(基板)11上にゲート電極12を形成する。ステップS11の工程は、第1の実施の形態におけるステップS1の工程と同一である。
次に、ステップS12の工程を行い、図6(b)に示されるように、ゲート電極12上にゲート絶縁膜13を形成する。ステップS12の工程は、第1の実施の形態におけるステップS2の工程と同一である。
次に、ステップS13の工程を行い、図6(c)に示されるように、ゲート絶縁膜13上にn型の酸化物半導体よりなる不連続膜18aを形成する。ステップS13の工程は、第1の実施の形態におけるステップS3の工程と同一である。
次に、ステップS14の工程を行い、図6(d)に示されるように、不連続膜18a上に、不連続膜18aと同一の元素よりなり、不連続膜18aより酸素の含有量の多いn型の酸化物半導体よりなる半導体層14を形成する。ステップS14の工程は、第1の実施の形態におけるステップS4の工程と同一である。
次に、ステップS15の工程を行い、図6(e)に示されるように、半導体層14上に、半導体層と同一の元素よりなり、半導体層14より酸素の含有量が少ないn型の酸化物半導体よりなる不連続膜18bを形成する。
不連続膜18bの形成方法としては、ステップS13における不連続膜18aの形成方法と同様に、特に限定されるものではないが、スパッタ、PLD(レーザアブレーション)、真空蒸着、イオンプレーティングといった物理蒸着法(物理気相成長法)や、プラズマCVD等の化学気相成長法、ゾルゲル法等の溶液塗布法を用いることができる。
また、不連続膜18bを不連続な膜として成膜する方法は、ステップS13における不連続膜18aを不連続な膜として成膜する方法と同様に、特に限定されるものではないが、例えば、連続膜を形成した後にエッチング等の処理を行って不連続膜を形成する方法、極薄膜を形成するような成膜条件下で成膜を行って不連続膜を形成する方法、有機成分を多く含む溶液を用いて塗布法によって溶液を塗布し、焼成する際に有機成分を除去することによって不連続膜を形成する方法、等を用いることができる。特に、極薄膜を形成する方法、及び有機成分を多く含む溶液を塗布する方法は、簡易な製造プロセスによって不連続膜を形成することが可能な方法である。
更に、不連続膜18bを形成する領域をパターニングするパターニング方法としては、特に限定されるものではないが、リフトオフ法を用いることができる。リフトオフ法を用いる場合、不連続膜18a、半導体層14及び不連続膜18bを同時に同一の形状にパターニングすることもでき、その場合、製造工程の工程数を更に少なくすることができる。
次に、ステップS16の工程を行い、図6(f)に示されるように、半導体層14上にソース電極15及びドレイン電極16を形成する。ステップS16の工程は、第1の実施の形態におけるステップS5の工程と同一である。
以上、ステップS11乃至ステップS16の工程を含む製造方法を用いて電界効果型トランジスタを製造することにより、実効的チャネル長短縮の効果及び半導体層と電極との間の接触抵抗の低減の効果が得られる電界効果型トランジスタを、工程数の少ない製造方法を用いて製造することができる。
なお、本変形例においても、半導体層14並びに不連続膜18a及び18bとしてn型酸化物半導体を用いるが、半導体層14並びに不連続膜18a及び18bとして、n型酸化物半導体に代え、n型化合物半導体その他のn型半導体、又はp型酸化物半導体若しくはp型化合物半導体その他のp型半導体、を用いることができる。又は、不連続膜18aとして、半導体層14がn型半導体又はp型半導体の何れかであるかに関わらず、金属を用いることもできる。
また、本変形例では、ステップS13の不連続膜形成工程、ステップS14の半導体層形成工程、及びステップS15の不連続膜形成工程を連続して行うことができる。2つの不連続膜形成工程と半導体層形成工程とを連続して行うことによって、半導体層と不連続層との界面の汚染を防ぐことができるため、電気的な接触抵抗を低減する効果を高めることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図7乃至図9を参照し、第2の実施の形態について説明する。
始めに、図7を参照し、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの構成を説明する。
図7(a)及び図7(b)は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30の構成を模式的に示す断面図である。図7(b)は、図7(a)の断面図に示される半導体層及び不連続膜の構成を拡大して示す断面図である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30は、ソース電極及びドレイン電極が半導体層のゲート絶縁膜と同じ側に一体に設けられる点で、第1の実施の形態の変形例に係る電界効果型トランジスタと相違する。
第1の実施の形態の変形例において、ソース電極及びドレイン電極は半導体層のゲート絶縁膜と反対側に設けられ、半導体層とソース電極及びドレイン電極との間の不連続膜は、半導体層のゲート絶縁膜との間の不連続膜と反対側に設けられるのと相違し、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30は、図7に示されるように、ソース電極25及びドレイン電極26は半導体層24のゲート絶縁膜23と同じ側に設けられ、半導体層24とソース電極25及びドレイン電極26との間の不連続膜は、半導体層24とゲート絶縁膜23との間の不連続膜と同じ側に一体で設けられる。
図7(a)に示されるように、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30は、基板21、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、半導体層24、ソース電極25及びドレイン電極26を有し、半導体層24とゲート絶縁膜23、ソース電極25及びドレイン電極26との間に、不連続膜28を有する。本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30は、第1の実施の形態の変形例に係る電界効果型トランジスタ20と同様に、ボトムゲート型(又はトップコンタクト型)の構造を有する。
基板21上に、下から順にゲート電極22、ゲート絶縁膜23が積層されるのは、第1の実施の形態の変形例と同一である。しかし、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30には、ゲート絶縁膜23上に、ソース電極25及びドレイン電極26が、所定の間隔で離間して設けられ、ソース電極25及びドレイン電極26との間の部分がチャネル領域27となる。更に、チャネル領域27であってゲート絶縁膜23上、ソース電極25上、ドレイン電極26上に、不連続膜28が一体に設けられる。また、不連続膜28上に、半導体層24が設けられる。
図7(b)に不連続膜28の構成が拡大して示されるように、不連続膜28が複数の島29の集合体であり、複数の島29が、互いに離間し、点在し、ソース電極25とドレイン電極26との間を、島29のみを径由して通流する電流経路は存在しないのは、第1の実施の形態の変形例と同様である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30の基板21、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、半導体層24、ソース電極25、ドレイン電極26及び不連続膜28は、それぞれ第1の実施の形態の変形例において基板11、ゲート電極12、ゲート絶縁膜13、半導体層14、ソース電極15、ドレイン電極16及び不連続膜18として用いることができる材料と同一の材料を用いることができる。
また、不連続膜28が、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ30の移動度を増大させる作用、及び半導体層とソース電極及びドレイン電極との接触抵抗を低減させる作用は、第1の実施の形態の変形例と同一である。
ただし、本実施の形態においては、不連続膜28がソース電極25、ドレイン電極26、及びゲート絶縁膜23に接しており、一層の不連続膜によって実効的な移動度を増大させると共に電気的な接触を改善することができるという効果を有し、更に、電界効果型トランジスタの構成がより単純になるという効果を有する。
以上、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタでは、不連続膜を半導体層とゲート絶縁膜との間に設けると共に半導体層と電極との間にも設けることによって、実効的チャネル長を短縮すると共に電気的な接触を改善させる効果により、電界効果移動度を向上させることができる。
次に、図8及び図9を用いて、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。
図8は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の手順を説明するための工程図である。図9は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の工程を説明するための図であり、各工程における電界効果型トランジスタの構造を模式的に示す断面図である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、図8に示されるようなステップS21乃至ステップS25の5つの工程を含む。また、図8のステップS21乃至ステップS25の各工程を行った後の電界効果型トランジスタの断面構造は、図9(a)乃至図9(e)に示される。
始めにステップS21の工程を行い、図9(a)に示されるように、基材(基板)21上にゲート電極22を形成する。ステップS21の工程は、第1の実施の形態の変形例におけるステップS11の工程と同一である。
次に、ステップS22の工程を行い、図9(b)に示されるように、ゲート電極22上にゲート絶縁膜23を形成する。ステップS22の工程は、第1の実施の形態の変形例におけるステップS12の工程と同一である。
次に、ステップS23の工程を行い、図9(c)に示されるように、ゲート絶縁膜23上にソース電極25及びドレイン電極26を形成する。ステップS23の工程は、第1の実施の形態の変形例におけるステップS16の工程と同一である。
次に、ステップS24の工程を行い、図9(d)に示されるように、チャネル領域27であってゲート絶縁膜23上にn型の酸化物半導体よりなる不連続膜28を形成する。ステップS24の工程は、第1の実施の形態の変形例におけるステップS13及びステップS15の工程を同時に行うものである。
次に、ステップS25の工程を行い、図9(e)に示されるように、不連続膜28上に、不連続膜28と同一の元素よりなり、不連続膜28より酸素の含有量の多いn型の酸化物半導体よりなる半導体層24を形成する。ステップS25の工程は、第1の実施の形態の変形例におけるステップS14の工程と同一である。
以上、ステップS21乃至ステップS25の工程を含む製造方法を用いて電界効果型トランジスタを製造することにより、半導体層24とゲート絶縁膜23との間の不連続膜、並びに半導体層24とソース電極25及びドレイン電極26と間の不連続膜を一体で形成することができるため、実効的チャネル長短縮の効果及び半導体層と電極との間の接触抵抗の低減の効果が得られる電界効果型トランジスタを、更に工程数の少ない製造方法を用いて製造することができる。
なお、本実施の形態においても、半導体層24及び不連続膜28としてn型酸化物半導体を用いるが、半導体層24及び不連続膜28として、n型酸化物半導体に代え、n型化合物半導体その他のn型半導体、又はp型酸化物半導体若しくはp型化合物半導体その他のp型半導体、を用いることができる。又は、不連続膜28として、半導体層24がn型半導体又はp型半導体の何れかであるかに関わらず、金属を用いることもできる。
また、本実施の形態では、ステップS24の不連続膜形成工程と、ステップS25の半導体層形成工程とを、連続して行うことができる。不連続膜形成工程と半導体層形成工程とを連続して行うことによって、半導体層と不連続層との界面の汚染を防ぐことができるため、電気的な接触抵抗を低減する効果を高めることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図10乃至図12を参照し、第3の実施の形態について説明する。
始めに、図10を参照し、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの構成を説明する。
図10(a)及び図10(b)は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40の構成を模式的に示す断面図である。図10(b)は、図10(a)の断面図に示される半導体層及び不連続膜の構成を拡大して示す断面図である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40は、トップゲート型(又はボトムコンタクト型)の構成を有する点で、第2の実施の形態に係る電界効果型トランジスタと相違する。
第2の実施の形態において、ボトムゲート型(又はトップコンタクト型)の構成を有するのと相違し、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40は、図10に示されるように、ゲート電極32及びゲート絶縁膜33が半導体層34よりも上方に設けられるため、トップゲート型(又はボトムコンタクト型)の構成を有する。
図10(a)に示されるように、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40は、基板31、ゲート電極32、ゲート絶縁膜33、半導体層34、ソース電極35及びドレイン電極36を有し、半導体層34とゲート絶縁膜33、ソース電極35及びドレイン電極36との間に、不連続膜38を有する。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40では、基板31上に、半導体34が設けられ、半導体34上に、不連続膜38が設けられ、不連続膜38上に、ソース電極35及びドレイン電極36が所定の間隔で離間して設けられ、ソース電極35及びドレイン電極36との間の部分がチャネル領域37となる。更に、チャネル領域37であって不連続膜38上、ソース電極35上、ドレイン電極36上に、ゲート絶縁膜33が設けられる。また、ゲート絶縁膜33上に、ゲート電極32が設けられる。
図10(b)に不連続膜38の構成が拡大して示されるように、不連続膜38が複数の島39の集合体であり、複数の島39が、互いに離間し、点在し、ソース電極35とドレイン電極36との間を、島39のみを径由して通流する電流経路は存在しないのは、第2の実施の形態と同様である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40の基板31、ゲート電極32、ゲート絶縁膜33、半導体層34、ソース電極35、ドレイン電極36及び不連続膜38は、それぞれ第2の実施の形態において基板21、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、半導体層24、ソース電極25、ドレイン電極26及び不連続膜28として用いることができる材料と同一の材料を用いることができる。
また、不連続膜38が、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタ40の移動度を増大させる作用、半導体層とソース電極及びドレイン電極との接触抵抗を低減させる作用、並びに半導体層とゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極と間の不連続膜が一体に設けられ、電界効果型トランジスタの構成が単純になるという作用は、第2の実施の形態と同一である。
以上、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタでは、トップゲート型(又はボトムコンタクト型)の構成を有する場合においても、不連続膜38がソース電極35、ドレイン電極36、及びゲート絶縁膜33に接しており、一層の不連続膜によって実行的なチャネル長を短縮して実効的な移動度を増大させると共に電気的な接触を改善することができるという効果を有し、更に、電界効果型トランジスタの構成がより単純になるという効果を有する。
次に、図11及び図12を用いて、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。
図11は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の手順を説明するための工程図である。図12は、本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法の工程を説明するための図であり、各工程における電界効果型トランジスタの構造を模式的に示す断面図である。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、図11に示されるようなステップS31乃至ステップS35の5つの工程を含む。また、図11のステップS31乃至ステップS35の各工程を行った後の電界効果型トランジスタの断面構造は、図12(a)乃至図12(e)に示される。
始めにステップS31の工程を行い、図12(a)に示されるように、基材(基板)31上に半導体層34を形成する。ステップS31の工程は、第2の実施の形態におけるステップS25の工程を、他の工程と順序を変更して行うものである。
次に、ステップS32の工程を行い、図12(b)に示されるように、半導体層34上に、半導体層34と同一の元素よりなり、半導体層34より酸素の含有量の少ないn型の酸化物半導体よりなる不連続膜38を形成する。ステップS32の工程は、第2の実施の形態におけるステップS24の工程を、他の工程と順序を変更して行うものである。
次に、ステップS33の工程を行い、図12(c)に示されるように、不連続膜38上にソース電極35及びドレイン電極36を形成する。ステップS33の工程は、第2の実施の形態におけるステップS23の工程を、他の工程と順序を変更して行うものである。
次に、ステップS34の工程を行い、図12(d)に示されるように、チャネル領域37であって不連続膜38上にn型の酸化物半導体よりなるゲート絶縁膜33を形成する。ステップS34の工程は、第2の実施の形態におけるステップS22の工程を、他の工程と順序を変更して行うものである。
次に、ステップS35の工程を行い、図12(e)に示されるように、ゲート絶縁膜33上に、ゲート電極32を形成する。ステップS35の工程は、第2の実施の形態におけるステップS21の工程を、他の工程との順序を変更して行うものである。
以上、ステップS31乃至ステップS35の工程を含む製造方法を用いて電界効果型トランジスタを製造することにより、半導体層34とゲート絶縁膜33との間の不連続膜、並びに半導体層34とソース電極35及びドレイン電極36と間の不連続膜を一体で形成することができるため、実効的チャネル長短縮の効果及び半導体層と電極との間の接触抵抗の低減の効果が得られる電界効果型トランジスタを、更に工程数の少ない製造方法を用いて製造することができる。
なお、本実施の形態においても、半導体層34並びに不連続膜38としてn型酸化物半導体を用いるが、半導体層34並びに不連続膜38として、n型酸化物半導体に代え、n型化合物半導体その他のn型半導体、又はp型酸化物半導体若しくはp型化合物半導体その他のp型半導体、を用いることができる。又は、不連続膜38として、半導体層34がn型半導体又はp型半導体の何れかであるかに関わらず、金属を用いることもできる。
また、本実施の形態では、ステップS31の半導体層形成工程と、ステップS32の不連続膜形成工程とを、連続して行うことができる。半導体層形成工程と不連続膜形成工程とを連続して行うことによって、半導体層と不連続層との界面の汚染を防ぐことができるため、電気的な接触抵抗を低減する効果を高めることができる。
(実施例1)
ガラス基板上に、100nmの厚さになるようにAlを蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってライン状にパターニングすることによって、ゲート電極を形成した。
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚さになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁膜を形成した。
次に、不連続膜と半導体層をリフトオフ法によりパターニングを行うため、ゲート絶縁膜上へのレジストの塗布、露光、現像を行い、所望の形状にパターニングされたレジストを形成した。
次に、アモルファス構造をとることが知られているIn−Ga−Zn−Oを材料として用い、不連続膜及び半導体層を連続して形成した。この酸化物は、酸素欠損量が多いほど低抵抗になるn型の半導体である。最初に、Arのみをプロセスガスとし、DCスパッタを用いIn−Ga−Zn−O膜よりなる不連続膜を成膜した。ターゲットとして、組成比がIn:Ga:Zn=1:1:1となるようなIn−Ga−Zn−Oの焼結体を用いた。ここでは、スパッタパワーを140W、成膜時の圧力を0.69Paとし、基板温度は制御しなかった。成膜時間は7秒とした。成膜時間が極端に短いので、この条件では島状の不連続膜が形成される。続けて、ArとO2をプロセスガスとし、O2流量比を1.5%とした状態で、スパッタパワーを140W、成膜時の圧力を0.69Pa、成膜時間を20分としてIn−Ga−Zn−O膜を成膜した。膜厚は70nmであった。
次に、レジストの除去によってリフトオフを行い、所望の形状の不連続膜と半導体層を得た。
次に、Alを100nmの厚さに蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングによってソース電極とドレイン電極を形成して、図1に類似の電界効果型トランジスタを得た。チャネル長は45μm、チャネル幅は2mmとした。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。実施例1にて作製した電界効果型トランジスタのゲート電圧VGとソース・ドレイン間電流IDSとの関係を図13のグラフに示す。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−4Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値9pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.90mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、9.0cm2/Vsとなった。この値は、比較例1における電界効果移動度の値よりも高くなった。これは、不連続膜によって実効的チャネル長が短縮される効果を示している。
(比較例1)
不連続膜を形成しない他は実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。比較例1にて作製した電界効果型トランジスタのゲート電圧VGとソース・ドレイン間電流IDSとの関係を図14のグラフに示す。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−5Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値18pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.70mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、7.9cm2/Vsとなった。
(実施例2)
ガラス基板上に、100nmの厚さになるようにAlを蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってライン状にパターニングすることによって、ゲート電極を形成した。
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚さになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁膜を形成した。
次に、不連続膜と半導体層をリフトオフ法によりパターニングを行うため、ゲート絶縁膜上へのレジストの塗布、露光、現像を行い、所望の形状にパターニングされたレジストを形成した。
次に、実施例1と同様の条件で、不連続膜と半導体層をスパッタ成膜した。ただし、実施例2においては、不連続膜と半導体層をスパッタ成膜した後、実施例1と同様の条件で、半導体層の上に再度不連続膜をスパッタ成膜した。
次に、レジストの除去によってリフトオフを行い、所望の形状の不連続膜と半導体層を得た。
次に、Alを100nmの厚さに蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングによってソース電極とドレイン電極を形成して、図4に類似の電界効果型トランジスタを得た。チャネル長は45μm、チャネル幅は2mmとした。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−6Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値6pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=1.13mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、10.2cm2/Vsとなった。この値は、比較例2における電界効果移動度の値よりも高くなった。これは、不連続膜によって実効的チャネル長が短縮される効果及びソース・ドレイン電極と半導体層との接触抵抗を低減される効果を示している。
(比較例2)
不連続膜を形成しない他は実施例2と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。即ち、比較例2は、比較例1と同一の構造を有する電界効果型トランジスタである。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−5Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値18pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.70mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、7.9cm2/Vsとなった。
(実施例3)
ガラス基板上に、100nmの厚さになるようにAlを蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってライン状にパターニングすることによって、ゲート電極を形成した。
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚さになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁膜を形成した。
次に、真空蒸着法により、Crを3nm、Auを50nmの厚さに積層し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってソース電極とドレイン電極を形成した。
次に、実施例1と同様の条件で、不連続膜と半導体層をスパッタ成膜した。
次に、フォトリソグラフィとウェットエッチングを行って、不連続膜と半導体層を同時にパターニングし、図7に示されるような構成の電界効果型トランジスタを得た。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。実施例3にて作製した電界効果型トランジスタのゲート電圧VGとソース・ドレイン間電流IDSとの関係を図15のグラフに示す。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−4Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値6pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.55mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、6.3cm2/Vsとなった。
同じ手順で6個の電界効果型トランジスタを作製し、特性を評価したところ、電界効果移動度の最小値は6.0cm2/Vs、最大値は6.3cm2/Vsであった。これらの値は、比較例3における電界効果移動度の値よりも高く、ばらつきも5%以下に抑えられた。これは、不連続膜によって実効的チャネル長が短縮される効果と、ソース電極及びドレイン電極と半導体層との間で安定して良好な電気的接触が得られる効果を示している。
(比較例3)
不連続膜を形成しない他は実施例3と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。比較例3にて作製した電界効果型トランジスタのゲート電圧VGとソース・ドレイン間電流IDSとの関係を図16のグラフに示す。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−6Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値13pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.26mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、2.6cm2/Vsとなった。
同じ手順で6個の電界効果型トランジスタを作製し、特性を評価したところ、4個の電界効果型トランジスタでは、2.1〜2.8cm2/Vsの電界効果移動度が得られた。しかし、残りの2個の電界効果型トランジスタでは、極端に特性が悪く、電界効果移動度は1.70cm2/Vs及び0.34cm2/Vsであった。これらの2個の電界効果型トランジスタに対し、ゲート電圧を印加しない状態でソース・ドレイン間の電流電圧特定(IDS−VDS特性)を測定したところ、図17のグラフに示すように、顕著な非直線性が見られた。つまり、ソース・ドレイン電極と半導体層との間の電気的接触が良好でない為に、発熱等により電界効果型トランジスタの特性が劣化したと考えられる。このように、良好な電気的接触を確保する手段が施されていない場合は、電界効果移動度は1桁以上の範囲でばらつく。
(実施例4)
ガラス基板上に、実施例1と同様の条件で、In−Ga−Zn−Oを材料として用い、半導体層及び不連続膜を連続して形成した。最初に、ArとO2をプロセスガスとし、O2流量比を1.5%とした状態で、スパッタパワーを140W、成膜時の圧力を0.69Pa、成膜時間を20分としてIn−Ga−Zn−O膜を成膜した。膜厚は70nmであった。次に、Arのみをプロセスガスとし、DCスパッタを用いIn−Ga−Zn−O膜よりなる不連続膜を成膜した。ここでは、スパッタパワーを140W、成膜時の圧力を0.69Paとし、基板温度は制御しなかった。成膜時間は7秒とした。成膜時間が極端に短いので、この条件では島状の不連続膜が形成される。
次に、真空蒸着法により、Alを100nmの厚さに蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってソース電極とドレイン電極を形成した。
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚さになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁膜を形成した。
次に、100nmの厚さになるようにAlを蒸着し、フォトリソグラフィとエッチングを行ってライン状にパターニングすることによって、ゲート電極を形成し、図10に示されるような構成の電界効果型トランジスタを得た。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−4Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値6pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=1.25mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、11.3cm2/Vsとなった。
この値は、比較例4における電界効果移動度の値よりも高い。これは、不連続膜によって実効的チャネル長が短縮される効果と、ソース電極及びドレイン電極と半導体層との間で安定して良好な電気的接触が得られる効果を示している。
(比較例4)
不連続膜を形成しない他は実施例4と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。
室温・真空の条件下で、得られたトランジスタの特性を評価したところ、典型的なn型トランジスタの特性を示した。ソース・ドレイン間電圧VDSをVDS=20Vとし、ゲート電圧VGをVG=−5Vとした時に、ソース・ドレイン間電流IDSが最小値10pAとなり、VG=20Vとした時に、IDS=0.77mAとなった。飽和領域において算出した電界効果移動度は、8.7cm2/Vsとなった。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。