JP5427197B2 - 車両用制動力発生装置 - Google Patents
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このような車両用制動力発生装置としては、運転者のブレーキ操作力で液圧を発生させる液圧発生手段(マスタシリンダ)と、運転者のブレーキ操作に応じた反力を付与する反力付与手段(ストロークシミュレータ)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1ないし3参照)。
ストロークシミュレータは、ハウジングの内部に、マスタシリンダの液圧室に発生させた液圧を一端に受けて移動するピストン部材を反力液圧室に組み込み、そのピストン部材の他端が臨むばね室に、ピストン部材に対してブレーキ操作量に応じた反力を付与するばね部材を収容している。
このようなストロークシミュレータによれば、ブレーキシステムが前記した電気的制動を行う際に、運転者のブレーキ操作量に応じた反力を擬似的に発生させて、この反力を運転者にペダルフィールとして付与することができる。
この車両用制動力発生装置によれば、反力付与手段は、最大の液圧発生値が小さい第1ピストンの前方に位置する液圧室に連通しているので、この反力付与手段の形成材料及び構成部品に、高強度ないしは高耐久性を有する特別のものを使用する必要がなく、その形成材料及び構成部品の選択の幅が広がる。その結果、車両用制動力発生装置はその製造コストを、より低く抑えることができる。
この車両用制動力発生装置によれば、液圧発生手段の液圧室の容量が、反力付与手段の反力液圧室の容量よりも小さくなるように設定されているので、液圧発生手段の前側のピストンが底着きしてもなお、反力付与手段の容量に余裕が生じて反力付与手段自体に大きな負荷が掛かるのを防止することができる。
この車両用制動力発生装置では、第2ピストンの前方の液圧室と、前記遮断弁との間に液圧を検出する液圧検出手段を設けているので、この車両用制動力発生装置によれば、電気的液圧発生手段の異常時に、液圧検出手段で制動力を発生させる際に、反力付与手段に大きな負荷が掛かるのを防止すべく第1ピストンの前方の液圧室での発生液圧を低下させたとしても、前記液圧検出手段によって、最大の液圧発生値が高い方の第2ピストンの前方の液圧室の液圧を検出・監視することで、液圧検出手段の液圧制御が可能となる。
この車両用制動力発生装置は、ホイールシリンダとブレーキ液のリザーバとを連通させる連通路に減圧弁を有している。したがって、この車両用制動力発生装置によれば、電気的液圧発生手段の異常時に前記遮断弁が開いている状態で前記液圧発生手段を作動させる際に、減圧弁によって前記連通路の液圧を低下させることで、第1ピストンの前方の液圧室の液圧と、第2ピストンの前方の液圧室の液圧とを合わせ込み、望ましくは一致させることもできる。
本発明の車両用制動力発生装置は、マスタシリンダ(液圧発生手段)とストロークシミュレータ(反力付与手段)とを備えて構成されており、マスタシリンダの2つのピストン(第1ピストン及び第2ピストン)のうち、後記する最大の液圧発生値が小さい第1ピストンの前方に位置する第1圧力室(液圧室)に、ストロークシミュレータを連通させたことを主な特徴点としている。
なお、本実施形態に係る車両用制動力発生装置においては、マスタシリンダ(液圧発生手段)及びストロークシミュレータ(反力付与手段)とが一体となった入力装置を備えており、以下では、車両用制動力発生装置について説明した後に、この入力装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用制動力発生装置の車両における配置構成を示す図である。なお、車両Vの前後左右の方向を図1に矢印で示す。
ここで液圧路について説明すると、図2中の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸線方向に沿って所定間隔で離間する第2ピストン40a及び第1ピストン40bが摺動自在に配設される。第2ピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、第1ピストン40bは、第2ピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
なお、第2ピストン40a及び第1ピストン40bの外周面にピストンパッキン44a、44bがそれぞれ設けられる構成であってもよい。
第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側の上流の液圧を検知するものである。
このストロークシミュレータ64は、特許請求の範囲にいう「反力付与手段」に相当し、マスタシリンダ34と連通して、運転者のブレーキ操作に応じた反力を付与するように構成されている。このストロークシミュレータ64の内部構造については、後に更に詳しく説明する。
ちなみに、第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(消磁(非通電)時の弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。
この液圧室65内には、マスタシリンダ34(液圧発生手段)の第1圧力室56b(液圧室)から導出されるブレーキ液が受け入れられる(吸収される)こととなる。つまり、ストロークシミュレータ64は、マスタシリンダ34の2つのピストン(第1ピストン40b及び第2ピストン40a)のうち、前記した最大の液圧発生値が小さい第1ピストン40bの前方に位置する第1圧力室56b(液圧室)に連通している。
つまり、図示はしないが、第2ブレーキ系110aは、左側前輪及び右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、左側後輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。また、第2ブレーキ系110aは、右側前輪及び左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
つまり、この第2ブレーキ系110aを有する本実施形態に係る車両用制動力発生装置10は、第2遮断弁60aが開いている状態で、マスタシリンダ34を作動させるときに、第2ピストン40aの前方の第2圧力室56a(液圧室)と連通するホイールシリンダ32FR及びホイールシリンダ32RLに掛かる液圧を減圧する構成となっている。
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動力発生装置10を構成するマスタシリンダ34(液圧発生手段)及びストロークシミュレータ64(反力付与手段)を備える入力装置14について更に詳しく説明する。本実施形態での入力装置14は、前記したように、ストロークシミュレータ64が、マスタシリンダ34の2つのピストン(第1ピストン40b及び第2ピストン40a)のうち、前記した最大の液圧発生値が小さい第1ピストン40bの前方に位置する第1圧力室56b(液圧室)に連通していることを特徴点とする。
また、本実施形態での入力装置14は、後記するように、マスタシリンダ34の第1圧力室56bの容量A(図3参照)を、ストロークシミュレータ64の液圧室65(反力液圧室)の容量B(図3参照)よりも小さくしたことを特徴点とする。
マスタシリンダ34(図2参照)は、車両V(図1参照)の前後方向(図1及び図3に示す前後方向)に延在すると共に、後に詳しく説明するストロークシミュレータ64(図2参照)と一体となるように並設されている。
なお、マスタシリンダ34の第1圧力室56bは、特許請求の範囲にいう「第1ピストンの前方に位置する液圧室」に相当し、マスタシリンダ34の第2圧力室56aは、特許請求の範囲にいう「第2ピストンの前方に位置する液圧室」に相当する。
そして、図3中、Aは、プッシュロッド42から荷重が入力されていないときの第1圧力室56bの容量(特許請求の範囲にいう「液圧室の容量」)を表している。このAは、後記するストロークシミュレータ64の液圧室65の容量Bとの大小関係を表すために、作図上便宜的に記載したものであって、実際の第1圧力室56bの容量を表すものではない。
なお、このハウジング14aの上方(図3の紙面の手前)には、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との間で前後方向に延在するように、細長の外形を有する第1リザーバ36(図2参照)が配置されることとなる。
そして、ハウジング14aには、図2に示すリリーフポート52a、52b及び接続ポート20a、20bが形成されている。また、ハウジング14aの中実部には、穿設孔によって、図2に示す第1液圧路58b及び第2液圧路58a、並びに分岐液圧路58cが形成されている。
以上のような入力装置14は、マスタシリンダ34、ストロークシミュレータ64、液圧路に残存する空気を抜くためのエア抜き用のブリーダ(図示省略)を有することもできる。
図3に示すストロークシミュレータ64は、前記したように、運転者のブレーキ操作に応じた反力を付与するものであり、マスタシリンダ34の右側(図1の車両Vの車幅方向の外側)で横並びに配置されている。
このストロークシミュレータ64のシミュレータハウジング64a内には、その前方に液圧室65が形成されていると共に、その後方にばね室63が形成されている。液圧室65は、前記したように、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと連通している。
そして、シミュレータハウジング64aの後端には、段付き円柱形状の空間に臨むように開口が形成され、この開口にはサークリップ69によってプラグ67が支持されている。
このような液圧室65には、シミュレータピストン68が配置されると共に、ばね室63には、第1リターンスプリング66a及び第2リターンスプリング66bが配置されている。
このシミュレータピストン68は、マスタシリンダ34の操作液圧が発生していない初期状態においては、液圧室65に収っている。そして、このシミュレータピストン68は、運転者がブレーキペダル12を介して荷重を入力した際に発生するマスタシリンダ34の液圧によって、第1リターンスプリング66a及び第2リターンスプリング66bの反発力(反力)に抗しながらばね室63内に進入可能となっている。言い換えれば、シミュレータピストン68は、マスタシリンダ34が発生する液圧の増減によって、シミュレータピストン68の軸線方向に前記反力を受けながら往復移動可能となっている。
車両用制動力発生装置10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁で弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁で弁開状態となる(図2参照)。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66b、66aのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力が発生してブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィールが得られる。
そして、第1ピストン40bがシリンダチューブ38内で底着くと、マスタシリンダストローク[mm3]は増加しない。つまり、マスタシリンダストローク[mm3]は、マスタシリンダ34の第1圧力室56bの容量Aと等しくなる。これに対して、第2圧力室56aでの液圧は、図4に示すように、マスタシリンダ34に入力する荷重が更に増加すると急激に増加する。
一方、ストロークシミュレータ64は、前記したように、最大の液圧発生値が小さい第1ピストン40bの前方に位置する第1圧力室56b(液圧室)に連通している。
したがって、本実施形態に係る車両用制動力発生装置10によれば、ストロークシミュレータ64の形成材料、及びマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64とを繋ぐ分岐液圧路58cの形成材料、並びにこの分岐液圧路58cに配置される第3遮断弁62のような構成部品に、高強度ないしは高耐久性を有する特別のものを使用する必要がなく、その形成材料及び構成部品の選択の幅が広がる。その結果、車両用制動力発生装置10の製造コストを、より低く抑えることができる。
つまり、シミュレータピストン68が底着きした後に、第1ピストン40bがシリンダチューブ38内で前進可能となる。そのため、ストロークシミュレータ64自体に大きな負荷が掛かってしまうので強度をもたせなければならない。
しかしながら、前記比較例と異なって、本実施形態に係る車両用制動力発生装置10によれば、第1ピストン40bが底着きしてもなお、シミュレータピストン68が底着きしていないので、ストロークシミュレータ64自体に大きな負荷が掛かるのを防止することができる。
これに対して、本実施形態に係る車両用制動力発生装置10は、マスタシリンダ34の第2ピストン40aの前方の第2圧力室56aと、第2遮断弁60aとの間に圧力センサPmを備えている。その結果、車両用制動力発生装置10によれば、モータシリンダ装置16等の異常時に、マスタシリンダ34でブレーキ液圧を発生させる際に、ストロークシミュレータ64に大きな負荷が掛かるのを防止するために第1圧力室56bでの発生液圧を低下させたとしても、圧力センサPmによって、最大の液圧発生値が高い方の液圧(第1液圧路58aの液圧)を検出・監視することで、マスタシリンダ34を使用して制動力を発生させる際の液圧制御が可能となる。
したがって、この車両用制動力発生装置10によれば、モータシリンダ装置16等の異常時に第2遮断弁60aが開いている状態でマスタシリンダ34を作動させる際に、前記した第2液圧路58aの液圧を低下させることで、第1圧力室56bの最大の液圧発生値と第2圧力室56bの最大の液圧発生値とを合わせ込み、望ましくは一致させることもできる。
前記実施形態では、VSA装置18を構成する減圧弁としての第1及び第2アウトバルブ128,130並びにリザーバ132を利用して第2ブレーキ系110aの液圧を減じる構成について説明したが、本発明はこれに限定されずに、例えば、接続ポート20aとホイールシリンダ32FR、32RLとの間の液圧路の途中に、減圧弁及び/又は減圧回路を設ける構成とすることができる。
14 入力装置
16 モータシリンダ装置(電気的液圧発生手段)
32FR ホイールシリンダ
32RL ホイールシリンダ
34 マスタシリンダ(液圧発生手段)
56a 第2圧力室(第2ピストンの前方に位置する液圧室)
56b 第1圧力室(第1ピストンの前方に位置する液圧室)
64 ストロークシミュレータ(反力付与手段)
132 リザーバ
128 第1アウトバルブ(減圧弁)
130 第2アウトバルブ(減圧弁)
Claims (6)
- シリンダチューブ内で収容され、運転者の操作に応じて作動される2つのピストンによって液圧を発生させる液圧発生手段と、
前記液圧発生手段と連通してシミュレータ収容室内に収容されるシミュレータピストンによって運転者に反力を付与する反力付与手段と、
を備える車両用制動力発生装置において、
前記2つのピストンのうちの最大の液圧発生値が小さいほうを第1ピストンとし、最大の液圧発生値が大きいほうを第2ピストンとすると共に、この第1ピストンの前方に位置する液圧室に前記反力付与手段を連通させて、
運転者の操作によって前記第1ピストンが前記シリンダチューブ内に底着きしたときには前記シミュレータピストンは前記シミュレータ収容室内でまだ底着きしていないことを特徴とする車両用制動力発生装置。 - シリンダチューブ内で収容され、運転者の操作に応じて作動される2つのピストンによって液圧を発生させる液圧発生手段と、
前記液圧発生手段と連通してシミュレータ収容室内に収容されるシミュレータピストンによって運転者に反力を付与する反力付与手段と、
を備える車両用制動力発生装置において、
前記反力付与手段は、前記2つのピストンのうちの前側のピストンの前方に位置する液圧室から吐出される液圧を吸液するための反力液圧室を有し、
前記液圧室の容量を前記反力液圧室の容量よりも小さくし、
運転者の操作によって前記2つのピストンのうちの前側のピストンが前記シリンダチューブ内に底着きしたときには前記シミュレータピストンは前記シミュレータ収容室内でまだ底着きしていないことを特徴とする車両用制動力発生装置。 - 請求項1に記載の車両用制動力発生装置において、
前記液圧発生手段と遮断弁を介して連通すると共に電気的に作動する電気的液圧発生手段を有し、
前記第2ピストンの前方の液圧室と、前記遮断弁との間に液圧を検出する液圧検出手段を設けたことを特徴とする車両用制動力発生装置。 - 請求項2に記載の車両用制動力発生装置において、
前記液圧発生手段と遮断弁を介して連通すると共に電気的に作動する電気的液圧発生手段を有し、
前記2つのピストンのうちの後側のピストンの前方の液圧室と、前記遮断弁との間に液圧を検出する液圧検出手段を設けたことを特徴とする車両用制動力発生装置。 - 請求項3に記載の車両用制動力発生装置において、
ホイールシリンダとブレーキ液のリザーバとを連通させる連通路に減圧弁を有し、
前記遮断弁が開いている状態で前記液圧発生手段を作動させるときに、前記第2ピストンの前方の液圧室と連通するホイールシリンダに係る液圧を減圧させることを特徴とする車両用制動力発生装置。 - 請求項4に記載の車両用制動力発生装置において、
ホイールシリンダとブレーキ液のリザーバとを連通させる連通路に減圧弁を有し、
前記遮断弁が開いている状態で前記液圧発生手段を作動させるときに、前記後側のピストンの前方の液圧室と連通するホイールシリンダに係る液圧を減圧させることを特徴とする車両用制動力発生装置。
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