JP5927723B2 - 制動力発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制動力発生装置に関する。
従来のBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)式の制動力発生装置は、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で、イグニッションスイッチがオンされた場合には、過大なブレーキ液圧の発生による騒音や振動などが発生するのを防止するために、モータシリンダ装置(電気的液圧発生手段)において、ブレーキペダルの踏み込み量に対応した要求液圧よりもモータシリンダ装置の作動量を低減させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−13068号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、モータシリンダ装置のモータの発熱などを考慮せずにモータシリンダ装置の作動量を単純に低減させていたため、最適な低減ができないという問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、車両の起動時に電気的液圧発生手段の作動量を適切に設定することが可能な制動力発生装置を提供することを課題とする。
本発明は、運転者のペダル操作子の操作に応じた液圧をアクチュエータによって発生させる電気的液圧発生手段と、車両の起動を判定する車両起動判定手段と、前記ペダル操作子が操作状態であるか否かを判定するペダル操作判定手段と、前記電気的液圧発生手段を制御する液圧制御手段と、を備えた制動力発生装置において、前記車両起動判定手段により前記車両が起動したと判定した場合、前記ペダル操作判定手段により前記ペダル操作子が操作状態であると判定したとき、前記液圧制御手段は、前記電気的液圧発生手段に発生させる液圧を、前記車両の停車時に前記電気的液圧発生手段によって発生可能かつ前記ペダル操作子の操作量の大小に拘らず一定の値である上限液圧に制限する際、前記ペダル操作子に対応した要求液圧に対して所定の上昇勾配に制限して前記液圧を上昇させた後、所定の下降勾配で前記上限液圧となるように前記液圧を下降させることを特徴とする。
これによれば、ペダル操作子が操作状態(例えば、ペダル操作子が踏まれた状態)で車両が起動された(例えば、イグニッションスイッチがオンされた)場合に、液圧制御手段が、電気的液圧発生手段の作動量を、車両の停車時(車両の停車中)に電気的液圧発生手段によって発生可能な上限液圧に制限することで、アクチュエータ(モータなど)を保護しつつ電気的液圧発生手段の作動量を低減させることが可能になる。
また、ペダル操作子の操作量の大小に拘らず、液圧制御手段が上限液圧を一定の値にすることで、電気的液圧発生手段(アクチュエータなど)を過熱から確実に防止して保護することができる。
ところで、車両起動時には、車両が停止状態であるため、電気的液圧発生手段が発生可能な液圧を超えるような操作がブレーキ操作子に対して行われると、アクチュエータがそれ以上作動できないにも拘らずアクチュエータには要求された高い液圧を発生するように作動させようとする制御が働くので、アクチュエータに過度な負荷がかかり、電気的液圧発生手段が過度に発熱することになる。そこで、本発明では、車両が停止状態のときに電気的液圧発生手段が発生可能な液圧、つまり電気的液圧発生手段が許容値以上に発熱することのない液圧(上限液圧)に設定(制限)することで、アクチュエータが過度に発熱するのを防止できる。
なお、このときに設定される上限液圧は、車両の停車を維持できる液圧に設定すればよい。これは、路面が平坦である場合に限らず、上り又は下り傾斜があっても停車を維持できる液圧である。
本発明によれば、車両の起動時に電気的液圧発生手段の作動量を適切に設定することが可能な制動力発生装置を提供できる。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムを示す概略構成図である。 本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの動作を示すフローチャートである。 ブレーキ液圧とペダルストロークとの関係を示すマップである。 (a)は本実施形態に係る目標液圧の変化を示すタイムチャートであり、(b)は比較例である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキシステムの概略構成図である。
図1に示す車両用ブレーキシステム10(制動力発生装置)は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、マスタシリンダ(入力装置14)からの油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
このため、図1に示すように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、運転者によってブレーキペダル12などのブレーキ操作部(ブレーキ操作子)が操作されたときにその操作を入力する入力装置14と、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときの操作量(ストローク)を計測するペダルストロークセンサStと、車両を起動及び停止させるイグニッションスイッチIGと、作動液であるブレーキ液のブレーキ液圧を制御(発生)する電動ブレーキアクチュエータ(モータシリンダ装置16)と、車両挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置18(以下、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装置18という、VSA;登録商標)と、ECU150と、を備えて構成されている。
本実施形態において、モータシリンダ装置16は、作動液であるブレーキ液にブレーキ液圧(液圧)を発生させる電気的液圧発生手段に対応する。
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブなどの管材で形成された管路(液圧路)によって接続されていると共に、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的にECU150に接続されている。
このうち、液圧路について説明すると、図1中(中央やや下)の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
図1中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30aのホィールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30bのホィールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30cのホィールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30dのホィールシリンダ32FLと接続される。
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給され、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
つまり、本実施形態において、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLは、ブレーキ液の液圧で作動する制動手段になる。
なお、車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などを含む各種車両に対して搭載可能である。
また、車両用ブレーキシステム10は、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動など、駆動形式を限定することなく、全ての駆動形式の車両に搭載可能である。
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、他方のピストン40bは、一方のピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のカップシール44a、44bがそれぞれ装着される。一対のカップシール44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50aが配設され、他方のピストン40bとシリンダチューブ38の側端部と間には、他のばね部材50bが配設される。
なお、カップシール44a、44bが、シリンダチューブ38の内壁に取り付けられる構成であってもよい。
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第2圧力室56a及び第1圧力室56bが設けられる。第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第2液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第2液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を計測するものである。
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第1液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60bが設けられると共に、第1液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58b上において、第1遮断弁60bよりもホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側である下流側の液圧を計測するものである。
この第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bは、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した閉弁状態をそれぞれ示している。
マスタシリンダ34と第1遮断弁60bとの間の第1液圧路58bには、前記第1液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。なお、図1において、第3遮断弁62は、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した開弁状態を示している。
このストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時に、ブレーキペダル12の操作に対して、ストロークと反力を与えて、あたかも踏力により、制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置であり、第1液圧路58b上であって、第1遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になるように設けられている。
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第2圧力室56aと複数のホィールシリンダ32FR、32RLとを接続する第2液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと複数のホィールシリンダ32RR、32FLとを接続する第1液圧系統70bとから構成される。
第2液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第2液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a、22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b、22cと、VSA装置18の導出ポート28a、28bと各ホィールシリンダ32FR、32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g、22hとによって構成される。
第1液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第1液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d、22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e、22fと、VSA装置18の導出ポート28c、28dと各ホィールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i、22jとを有する。
モータシリンダ装置16は、電動機(電動モータ72)を含むアクチュエータ機構74(アクチュエータ)と、前記アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76とを有する。
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72b側に設けられ、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、前記ギヤ機構78を介して前記回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
本実施形態においてボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。なお、配管チューブ86に、ブレーキ液を貯留するタンクが備わっていてもよい。
そして、略円筒状を呈するシリンダ本体82の開放された端部(開放端)がハウジング本体172Fとハウジングカバー172Rからなるアクチュエータハウジング172として嵌合してシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172が連結され、モータシリンダ装置16が構成される。アクチュエータハウジング172の構成、及びシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172の連結部の詳細は後記する。
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第2スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接して前記ボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第1スレーブピストン88bは、第2スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
なお、以下では、第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが、液圧制御ピストンを構成する。
また、本実施形態における電動モータ72は、シリンダ本体82と別体に形成されるモータケーシング72aで覆われて構成され、出力軸72bが第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの摺動方向(軸方向)と略平行になるように配置される。つまり、出力軸72bの軸方向が液圧制御ピストンの軸方向(摺動方向)と略平行になるように、電動モータ72が配置される。
そして、出力軸72bの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。
ギヤ機構78は、例えば、電動モータ72の出力軸72bに取り付けられる第1ギヤ78aと、ボールねじ軸80aを軸方向に進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる第3ギヤ78cと、第1ギヤ78aの回転を第3ギヤ78cに伝達する第2ギヤ78bと、の3つのギヤで構成され、第3ギヤ78cはボールねじ軸80aの軸線を中心に回転する。したがって、第3ギヤ78cの回転軸はボールねじ軸80aになり、液圧制御ピストン(第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88b)の摺動方向(軸方向)と略平行になる。
前記したように、電動モータ72の出力軸72bと液圧制御ピストンの軸方向は略平行であることから、電動モータ72の出力軸72bと第3ギヤ78cの回転軸は略平行になる。
そして、第2ギヤ78bの回転軸を、電動モータ72の出力軸72bと略平行に構成すると、電動モータ72の出力軸72bと、第2ギヤ78bの回転軸と、第3ギヤ78cの回転軸と、が略平行に配置される。
本実施形態におけるアクチュエータ機構74は、前記した構造によって、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bはボールねじ軸80aによって駆動されることから、アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力を液圧制御ピストン(第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88b)の直線駆動力に変換する。
なお、符号173aは、ボールねじ構造体80を収納する機構収納部である。
第1スレーブピストン88bの外周面には、環状段部を介して、一対のスレーブカップシール90a、90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブカップシール90a、90bの間には、後記するリザーバポート92bと連通する第1背室94bが形成される。
なお、第2及び第1スレーブピストン88a、88bの間には、第2リターンスプリング96aが配設され、第1スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第1リターンスプリング96bが配設される。
また、第2スレーブピストン88aの外周面と機構収納部173aとの間を液密にシールするとともに、第2スレーブピストン88aをその軸方向に対して移動可能にガイドする環状のガイドピストン90cが、第2スレーブピストン88aの後方に、シリンダ本体82をシール部材として閉塞するように備わっている。第2スレーブピストン88aが貫通するガイドピストン90cの内周面には、図示しないスレーブカップシールが装着され、第2スレーブピストン88aとガイドピストン90cの間が液密に構成されることが好ましい。さらに、第2スレーブピストン88aの前方の外周面には、環状段部を介して、スレーブカップシール90bが装着される。
この構成によって、シリンダ本体82の内部に充填されるブレーキ液がガイドピストン90cによってシリンダ本体82に封入され、アクチュエータハウジング172の側に流れ込まないように構成されている。
なお、ガイドピストン90cとスレーブカップシール90bの間には、後記するリザーバポート92aと連通する第2背室94aが形成される。
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a、92bと、2つの出力ポート24a、24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホィールシリンダ32FR、32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第2液圧室98aと、他の出力ポート24bからホィールシリンダ32RR、32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第1液圧室98bが設けられる。
この構成によると、ブレーキ液が封入される第2背室94a、第1背室94b、第2液圧室98a、及び第1液圧室98bは、シリンダ本体82におけるブレーキ液の封入部であり、シール部材として機能するガイドピストン90cによって、アクチュエータハウジング172の機構収納部173aと液密(気密)に区画される。
なお、ガイドピストン90cがシリンダ本体82に取り付けられる方法は前記したものに限定するものではなく、例えば、図示しないサークリップで取り付けられる構成とすればよい。
第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bとの間には、第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する規制手段100が設けられる。さらに、第1スレーブピストン88bには、第1スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特にマスタシリンダ34で制動するバックアップ時において、1つの系統が失陥したときに、他の系統の失陥が防止される。
VSA装置18は、周知のものからなり、右側前輪及び左側後輪のディスクブレーキ機構30a、30b(ホィールシリンダ32FR、ホィールシリンダ32RL)に接続された第2液圧系統70aを制御する第2ブレーキ系110aと、右側後輪及び左側前輪のディスクブレーキ機構30c、30d(ホィールシリンダ32RR、ホィールシリンダ32FL)に接続された第1液圧系統70bを制御する第1ブレーキ系110bとを有する。なお、第2ブレーキ系110aは、左側前輪及び右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
この第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第2ブレーキ系110aと第1ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付していると共に、第2ブレーキ系110aの説明を中心にして、第1ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
第2ブレーキ系110a(第1ブレーキ系110b)は、ホィールシリンダ32FR、32RL(32RR、32FL)に対して、共通する管路(第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114)を有する。VSA装置18は、導入ポート26aと第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と第1導出ポート28aとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と第2導出ポート28bとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
さらに、VSA装置18は、第1導出ポート28aと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、第2導出ポート28bと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、前記ポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、前記ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26aとの間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなるサクションバルブ142とを備える。
なお、第2ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する管路(液圧路)上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第2液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を計測する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPm、Pp、Phで計測された計測信号は、ECU150に導入される。また、VSA装置18では、VSA制御のほか、ABS(アンチロックブレーキシステム)も制御可能である。
さらに、VSA装置18に代えて、ABS機能のみを搭載するABS装置が接続される構成であってもよい。
ECU150は、例えば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成されるマイクロコンピュータ及び周辺回路機器からなり、ROMに格納されたプログラムをCPUで実行することによって実現される機能である、車両起動判定手段、ペダル操作判定手段、液圧制御手段を備える。そして、ECU150は、あらかじめROMに記憶されているプログラムをRAMに展開してCPUで実行し、車両用ブレーキシステム10を制御するように構成される。
なお、図1では、第2遮断弁60a、第1遮断弁60b、第3遮断弁62とECU150とを接続する制御線、各圧力センサPm、Pp、PhとECU150とを接続する信号線、VSA装置18の各種バルブ116、120、124、128、130、142、ポンプ136を駆動するモータMとECU150とを接続する制御線の図示を省略している。
ペダルストロークセンサStは、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測するものである。なお、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測する操作量計測手段は、ペダルストロークセンサStに限定されるものではなく、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測可能なセンサであればよい。例えば、操作量計測手段を圧力センサPmとして、圧力センサPmが計測するブレーキ液圧をブレーキペダル12の踏み込み操作量に変換する構成であってもよいし、図示しない踏力センサによってブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測する構成であってもよい。
イグニッションスイッチIGは、車両の機関(内燃機関など)を停止状態から始動状態(運転状態)に切り替え、また車両の機関を始動状態(運転状態)から停止状態に切り替えるスイッチである。このイグニッションスイッチIGがオン(ON)されること、つまり、運転席回りに設けられた、例えば、アクセサリー位置、運転位置、始動位置を備えた回転式のキー(つまみ)によって、始動位置とすることで、ECU150に向けて、車両の機関を起動させる起動信号(起動指令)を出力する。
また、ECU150は、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を検出するペダルストロークセンサStと電気的に接続され、ペダルストロークセンサStによって計測された計測値(検出値)を取得する。また、ECU150は、イグニッションスイッチIGと電気的に接続され、イグニッションスイッチIGから出力された起動信号及び停止信号(停止指令)を取得する。
車両起動判定手段は、車両が起動(始動)されたか(イグニッションスイッチIGがオンされたか)否かを判定するものであり、イグニッションスイッチIGからの起動信号を取得することにより、車両が起動(始動)されたと判定する。
ペダル操作判定手段は、ブレーキペダル12の操作状態(操作の有無)を判定するものであり、ペダルストロークセンサStからの検出値(踏み込み操作量)がゼロ又は所定の閾値よりも大きい場合には、ペダル操作有り、と判定し、検出値がゼロ又は所定の閾値以下である場合には、ペダル操作無し、と判定する。
液圧制御手段は、イグニッションスイッチIGがオンした場合にブレーキペダル12が操作状態であるとき(ペダル操作有りのとき)、ブレーキペダル12の踏み込み量の大小に拘らず、ブレーキ液圧を、アクチュエータ機構74を電動モータ72が過熱しないように保護できるブレーキ液圧(停車時の上限液圧)に制限する。
なお、上限液圧は、モータシリンダ装置16(アクチュエータ機構74)を保護しつつ、車両の停車を維持できるブレーキ液圧に設定され、車両が登り坂、下り坂に停車しているときでも停車を維持できるブレーキ液圧に設定され、事前の試験などに基づいて決定される。
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁されて弁開状態となる。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56bで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
このようなシステム状態において、ECU150は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第2リターンスプリング96a及び第1リターンスプリング96bのばね力に抗して第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを図1中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの変位によって第2液圧室98a及び第1液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
具体的に、ECU150は、車両がハイブリッド自動車や電気自動車であれば、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキペダル12の踏み込み操作量を算出し、この踏み込み操作量(ブレーキ操作量)に基づいて、回生制動力を考慮した上で目標となるブレーキ液圧(目標液圧)を設定し、設定したブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
そして、モータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧が導入ポート26a、26bからVSA装置18に供給される。つまり、モータシリンダ装置16は、ブレーキペダル12が操作されたときに電気信号で回転駆動する電動モータ72の回転駆動力で第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを駆動し、ブレーキペダル12の操作量に応じたブレーキ液圧を発生させてVSA装置18に供給する装置である。
また、本実施形態における電気信号は、例えば、電動モータ72を駆動する電力や電動モータ72を制御するための制御信号である。
このモータシリンダ装置16における第2液圧室98a及び第1液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120、124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御するECU150などが作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車などのように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両に好適に適用することができる。
一方、モータシリンダ装置16などが作動不能となる異常時では、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bをそれぞれ弁開状態、第3遮断弁62を弁閉状態としマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
例えば、走行用電動機(走行モータ)を備えるハイブリッド自動車や電気自動車には、走行用電動機で回生発電して制動力を発生する回生ブレーキを備えることができる。このような車両において回生ブレーキを作動させる場合には、ECU150が、少なくとも前後いずれかの車軸と結合された走行モータを発電機として動作させ、ブレーキペダル12(図1参照)のブレーキ操作量などに応じて回生ブレーキによる制動力(回生制動力)を発生させる。そして、ブレーキペダル12のブレーキ操作量(運転者が要求する制動力)に対して回生制動力では不足する場合、ECU150は電動モータ72を駆動してモータシリンダ装置16によって制動力を発生させる。つまり、ECU150は、回生ブレーキと油圧ブレーキ(モータシリンダ装置16)とによる回生協調制御を行う。この場合にECU150は、公知の方法を用いてモータシリンダ装置16の作動量を決定するように構成できる。
例えば、ブレーキペダル12のブレーキ操作量に対応して決定される制動力(総制動力)から回生制動力を減じた制動力をモータシリンダ装置16で発生させるためのブレーキ液圧を目標液圧に設定したり、総制動力に対して所定の比率の制動力をモータシリンダ装置16で発生させるためのブレーキ液圧を目標液圧に設定して、ECU150がモータシリンダ装置16の作動量を決定する構成とすればよい。
次に、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの動作について図2乃至図4を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る車両用ブレーキシステムの動作を示すフローチャート、図3は、ブレーキ液圧とペダルストロークとの関係を示すマップである。
図2に示すように、ECU150のCPUは、IG−OFF時にもセンサ信号受信など最低の機能は生かして動作しており、ステップS100において、イグニッションスイッチがオン(IG−ON)されたか否か、つまり、起動信号(起動指令)を取得したか否かを判定する。
なお、本実施形態では、ステップS100の処理が、車両起動判定手段が実行する処理に対応する。
また、起動信号についてはイグニッションスイッチIGではなく、運転者の乗り降りを検知できるドアスイッチなどによって、運転者が車両に乗り込んだことを判定した時点でモータシリンダ装置16を起動させてもよい。
ステップS100において、ECU150は、IG−ONではないと判定した場合には(No)、ステップS100の処理を繰り返し、IG−ONであると判定した場合には(Yes)、モータシリンダ装置16の故障診断やボールねじ軸80aを電動モータ72によって戻す方向に作動させてモータシリンダ装置16のピストン(88a、88b)の初期位置合わせを行った後、ステップS110の処理に進む。
ステップS110において、ECU150は、ブレーキペダル12の操作有りか否か(操作状態であるか否か)を判定する。なお、ECU150は、ペダルストロークの大小に拘らず、ブレーキペダル12が操作されて、0(ゼロ)よりも大きいか、又は、所定の閾値を超えるペダルストローク(ペダル操作量)が計測されていれば、ブレーキペダル12が操作状態である(操作された)と判定する。例えば、ブレーキペダル12が操作有りと判定された場合には、遮断弁60a、60bを閉じるとともに遮断弁62を開いて、後記するブレーキ液圧を停車時の上限液圧に制限する処理に移行するためのフラグをセットする。また、本実施形態では、ステップS110の処理が、ペダル操作判定手段が実行する処理に対応する。
ステップS110において、ECU150は、ブレーキペダル12の操作有り(フラグ有り)と判定した場合には(Yes)、ステップS120の処理に進み、車両が停止できる程度で、かつ、電動モータ72などの保護を考慮した停車時に対応した上限液圧となるように液圧を制限する。
なお、この上限液圧は車両の傾斜に応じて、例えば車両の停車を優先させる場合などには傾斜が高い(急な)ときには低い(緩やかな)ときよりも上限液圧を高くしたり、電動モータ72の保護を優先させる場合などには傾斜が高いときには低いときよりも上限液圧を低くしてもよい。
また、この上限液圧は電動モータ72の保護要求がない場合の上限液圧よりも低く設定されるものである。
そして、ステップS130において、ECU150は、車両が停車中であるか否かを判定する。なお、停車中でない場合とは(S130、No)、例えば、図示しない車速センサから0(ゼロ)より大きい車速を検出した場合である。
なお、車速センサに限定されるものではなく、車両のセレクトレバー位置検出センサがパーキング位置(P位置)以外を検出したか否かで判定してもよい。また、停車中であるか否かによって判定するものに限定されず、IG−ONからの所定時間の経過に基づいて判定してもよい。なお、所定時間は、ECU150に設けられた図示しないタイマを用いて計測することができる。
ステップS130において、ECU150は、車両が停車中であると判定した場合には(Yes)、ステップS120の処理に戻り、車両が停車中ではないと判定した場合には(No)、ステップS140の処理に進む。
ステップS140において、ECU150は、ステップS120で設定した停車時の上限液圧を解除する。すなわち、ECU150は、上限液圧を解除して、走行時に対応した液圧に設定する。この停車時の上限液圧は走行時に対応した液圧よりも低い液圧である。
なお、走行時に対応した液圧は、ペダルストロークに応じた車速や回生制動力を考慮した目標液圧とする。
一方、ステップS110において、ECU150は、ブレーキペダル12の操作無し(フラグ無し)と判定した場合には(No)、走行時に対応した液圧に設定して、一連の処理を終了する。なお、走行時に対応した液圧を設定するタイミングは、IG−ONして車両用ブレーキシステム10を初期化するときに設定してもよく、又は、ブレーキペダル12の操作無しと判定されたときなどである。
図3に示すように、走行時(走行中)においてペダルストロークがs1である場合には、モータシリンダ装置16に発生させるブレーキ液圧をb1に設定する。これに対して、ペダルストロークs1の状態でIG−ONされた場合には(S100でYes、かつ、S110でYes)、ブレーキ液圧b1を、停車時の上限液圧bsに制限する。また、ペダルストロークs2(<s1)の状態でIG−ONされた場合にも、ブレーキ液圧b2を、上限液圧bsに制限する。
このように、ペダルストロークの大小に応じてブレーキ液圧を単純に低減させるのではなく、ペダルストローク(ブレーキ操作子の操作量)の大小に拘らず、ブレーキ液圧をアクチュエータ機構74の過熱を考慮して一定液圧(上限液圧bs)に低減させるものである。
ところで、ブレーキ液圧を単純に所定値まで低減させただけでは、ブレーキペダル12が大きく踏み込まれた場合(高踏力時)に、モータシリンダ装置16(アクチュエータ機構74)を電動モータ72の過熱防止の点から保護できるブレーキ液圧を超えるおそれがある。その結果、アクチュエータ機構74(特に、電動モータ72)がそれ以上動作(回転動作)できないにも拘らず、アクチュエータ機構74を動作させようとする制御が働くので、アクチュエータ機構74(電動モータ72など)が過度に発熱することになる。
そこで、本実施形態の車両用ブレーキシステム10では、ブレーキペダル12が操作された状態でイグニッションスイッチIGがオンされた場合、車両の停車時にモータシリンダ装置16(アクチュエータ機構74)が発生可能なブレーキ液圧、すなわちモータシリンダ装置16を電動モータ72の過熱から保護できるブレーキ液圧(上限液圧)に制限することにより、モータシリンダ装置16を保護しつつ、モータシリンダ装置16の作動量を低減させることが可能になる。また、モータシリンダ装置16の作動量を低減できることにより、ブレーキペダル12が踏み込まれた状態でイグニッションスイッチIGがオンされた場合に、モータシリンダ装置16の起動に伴う振動、騒音、衝撃などが発生するのを防止することができる。
図4(a)は、本実施形態に係る目標液圧の変化を示すタイムチャートであり、(b)は、比較例である。なお、図4(a)、(b)中の破線は、運転者(ドライバ)のペダルストローク(St)に対応した要求液圧であり、実線は、モータシリンダ装置16に発生させる目標液圧(ブレーキ液圧)である。なお、説明の便宜上、一部の要求液圧と目標液圧とを示す線を若干ずらして記載している。
ところで、IG−ON時にブレーキペダル12が操作状態である場合には、図4(b)に示すように、レートリミット処理によって、モータシリンダ装置16に発生させるブレーキ液圧(目標液圧)を要求液圧まで上昇させるに際して、上昇勾配を制限することが考えられる。しかし、このような制御では、モータシリンダ装置16の電動モータ72での過熱を考慮していないため、モータシリンダ装置16を保護することができない。
そこで、IG−ON時にブレーキペダル12が操作状態である場合(S100でYes、かつ、S110でYes)、図4(a)に示す本実施形態では、IG−ONから時刻t1まで、レートリミット処理によって、モータシリンダ装置16に発生させるブレーキ液圧(目標液圧)を、所定の上昇勾配cに制限して要求液圧まで上昇させる。そして、時刻t1から所定の下降勾配dで停車時の上限液圧bsとなるようにブレーキ液圧(目標液圧)を下降させる。目標液圧が上限液圧bsに達した場合には、目標液圧を上限液圧bsに維持する。
このように、レートリミット処理によって、要求液圧に対して停車時の上限液圧bsに制限するに際して、上昇勾配cや下降勾配dを経ることで、制動力の急激な変化による違和感や電動モータ72の作動音やボールねじ構造体80の作動音を低減させることができるとともに、モータシリンダ装置16に過度な負荷がかからなくなり、モータシリンダ装置16を電動モータ72の過熱から保護することができる。しかも、目標液圧を、停車時の上限液圧bsに制限することで、モータシリンダ装置16を保護することができる。
10 車両用ブレーキシステム(制動力発生装置)
12 ブレーキペダル(ペダル操作子)
14 入力装置
16 モータシリンダ装置(電気的液圧発生手段)
72 電動モータ
74 アクチュエータ機構(アクチュエータ)
150 ECU(車両起動判定手段、ペダル操作判定手段、液圧制御手段)
IG イグニッションスイッチ
St ストロークセンサ

Claims (1)

  1. 運転者のペダル操作子の操作に応じた液圧をアクチュエータによって発生させる電気的液圧発生手段と、
    車両の起動を判定する車両起動判定手段と、
    前記ペダル操作子が操作状態であるか否かを判定するペダル操作判定手段と、
    前記電気的液圧発生手段を制御する液圧制御手段と、
    を備えた制動力発生装置において、
    前記車両起動判定手段により前記車両が起動したと判定した場合、前記ペダル操作判定手段により前記ペダル操作子が操作状態であると判定したとき、前記液圧制御手段は、前記電気的液圧発生手段に発生させる液圧を、前記車両の停車時に前記電気的液圧発生手段によって発生可能かつ前記ペダル操作子の操作量の大小に拘らず一定の値である上限液圧に制限する際、前記ペダル操作子に対応した要求液圧に対して所定の上昇勾配に制限して前記液圧を上昇させた後、所定の下降勾配で前記上限液圧となるように前記液圧を下降させることを特徴とする制動力発生装置。
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