JP6131156B2 - 車両用制動システム - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制動システムに関する。
特許文献1には、バッテリから供給される電力で制動力を保持する保持装置を備える車両用制動装置(車両用制動システム)が記載されている。特許文献1に記載される保持装置は、バッテリから供給される電力で、制動力を発生させる作動流体の液圧を保持する保持力を発生するように構成されている。さらに、この車両用制動装置は、エンジン始動時などにバッテリから保持装置に供給される電力の電圧が低下すると予測される場合に保持力の要求値を増加させるように構成されている。
この構成によって、当該車両用制動装置は、保持装置に供給される電圧が低下したときの制動力低下による車両の動き出しを軽減している。
国際公開番号WO2012/046299
しかしながら、特許文献1に記載されている車両用制動装置は、保持装置に供給される電力の電圧が低下すると保持力が低下するため、保持電力に供給される電圧の低下にともなって制動力が低下する。事前に保持力が増加して制動力が増加していても、その状態から制動力が低下するため、例えば、上り坂に駐車しているときなど、車両の状態によっては保持電力に供給される電圧が低下することで車両が動き出す場合がある。
そこで本発明は、電動機に所定の保持電圧が供給されたときに制動力を保持して車両を停車した状態に維持でき、保持電圧が低下した場合であっても車両の動き出しを抑制できる車両用制動システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明の車両用制動システムは、ブレーキ操作部の操作力に応じて作動液に液圧を発生させるマスタシリンダと、前記作動液に発生した前記液圧で作動して車輪に制動力を付与する制動手段と、を有し、前記ブレーキ操作部が操作されたときに操作量センサによって検出された操作量に応じた駆動電圧で電動機を駆動して液圧発生手段で前記作動液に前記液圧を発生させ、前記ブレーキ操作部が解放された状態で所定の保持電圧を前記電動機に供給して前記作動液に前記液圧が発生した状態を維持するブレーキ装置と、前記車輪の回転を規制する回転規制装置と、前記ブレーキ装置および前記回転規制装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制することを特徴とする。
本発明によると、作動液に液圧を発生させて車輪に制動力が付与された状態に維持するために電動機に供給される保持電圧が低下し得るときには、回転規制装置によって車輪の回転が規制される。したがって、保持電圧の低下にともなって車輪に付与される制動力が低下したとしても、回転規制装置によって車輪の回転が規制されるため、車両の動き出しが抑制される。
また、本発明は、前記保持電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧が、前記駆動電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧よりも高い場合に、前記保持電圧が前記電動機に供給される状態になったとき、前記制御装置は、前記保持電圧が低下し得ると判定したときには前記保持電圧を前記電動機に供給することなく、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制することを特徴とする。
また、前記課題を解決するため本発明の車両用制動システムは、作動液に発生した液圧で作動して車輪に制動力を付与する制動手段を有し、ブレーキ操作部が操作されたときに操作量に応じた駆動電圧で電動機を駆動して液圧発生手段で前記作動液に前記液圧を発生させ、前記ブレーキ操作部が解放された状態で所定の保持電圧を前記電動機に供給して前記作動液に前記液圧が発生した状態を維持するブレーキ装置と、前記車輪の回転を規制する回転規制装置と、前記ブレーキ装置および前記回転規制装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制し、前記保持電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧が、前記駆動電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧よりも高い場合に、前記保持電圧が前記電動機に供給される状態になったときであって、前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記保持電圧を前記電動機に供給することなく、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制することを特徴とする。
本発明によると、ブレーキ操作部の操作量に応じた駆動電圧が電動機に供給されたときに発生する液圧よりも、保持電圧が電動機に供給されたときに発生する液圧が高い場合に保持電圧が低下し得るときには、電動機に保持電圧が供給されない。
電動機に供給される駆動電圧で発生する液圧よりも、保持電圧が電動機に供給されたときに発生する液圧が高い場合、電動機に保持電圧が供給されると、液圧を上昇させるために液圧発生手段が作動して作動音が発生するが、電動機に保持電圧が供給されないので液圧発生手段が作動せず、液圧発生手段が作動する作動音が軽減される。
また、本発明の前記制御装置は、前記保持電圧の低下が解消されると判定したときに、前記回転規制装置による前記車輪の回転の規制を解除することを特徴とする。
本発明によると、保持電圧の低下が解消されて車輪に付与される制動力が回復するときには、回転規制装置による車輪の回転の規制が解除されて、液圧で作動する制動手段によって車輪に制動力が付与される。制動手段はブレーキ操作部が解放されたときに、車輪に付与する制動力を素早く解消できるため、ブレーキ操作部が解放されたときに車両が素早く発進できるようになる。
本発明によると、電動機に所定の保持電圧が供給されたときに制動力を保持して車両を停車した状態に維持でき、保持電圧が低下した場合であっても車両の動き出しを抑制できる車両用制動システムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る車両用制動システムを搭載する車両の概略構成図である。 車両用制動システムに備わるブレーキ装置の概略構成図である。 車速とブレーキ液圧と制動力の状態を示す線図であり、(a)は、車速の変化を示す線図、(b)は、要求液圧およびBH保持圧を示す線図、(c)は、制動力の変化を示す線図である。 (a)は、車速の変化を示す線図、(b)は、要求液圧およびBH保持圧を示す線図、(c)は、制動力の変化を示す線図、(d)は、シフトP制御の動作状態を示す図、(e)は、パーキングロックの状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用制動システムを搭載する車両の概略構成図、図2は、車両用制動システムに備わるブレーキ装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の車両1には、ブレーキ装置10と、エンジン2と、オートマチックトランスミッション(以下、ATと記載する)3と、が備わり、ブレーキ装置10によって車輪Wに制動力が付与される。
車両1は、前後左右に4つの車輪Wを備える4輪車両であり、それぞれの車輪Wには、ディスクブレーキ機構30a,30b,30c,30dが取り付けられている。なお、30aは右側前輪、30dは左側前輪、30cは右側後輪、30bは左側後輪のディスクブレーキ機構をそれぞれ示す。
また、車両1には、エンジン2やブレーキ装置10に供給される電力を蓄電する蓄電装置(バッテリ4)と、エンジン2を始動するときに運転者が操作するイグニッションスイッチ5(以下、IGSW5と記載する)などが備わっている。そして、エンジン2、AT3、ブレーキ装置10は制御装置(車両制御装置150)によって制御される。
また、車両1の各車輪Wには、それぞれの車輪Wの回転速度を計測し、計測した回転速度を車輪速信号に変換して出力する車輪速センサ31が備わっている。そして、車両制御装置150に、車輪速センサ31が出力する車輪速信号が入力される。車輪速信号は、車輪Wが1回転するごとに所定数のパルスを発生するパルス波であり、車両制御装置150は、単位時間当たりの車輪速信号のパルス数から車輪Wの回転速度を演算し、演算した車輪Wの回転速度から車両1の車速を算出するように構成される。
エンジン2にはエンジンECU(Electronic Control Unit)2aが備わり、エンジンECU2aは、車両制御装置150からの指令によってエンジン2を始動および停止する。
また、エンジンECU2aは、エンジン2の状態を取得可能に構成されている。例えば、エンジンECU2aは、エンジン2に初爆が発生したことを検出し、この検出信号(初爆信号)を出力可能に構成されている。さらに、車両制御装置150は、エンジンECU2aが出力する初爆信号によって、エンジン2が始動したことを検知可能に構成されている。
例えば、運転者がIGSW5をON操作(イグニッションをONする操作)した信号が車両制御装置150に入力されると、車両制御装置150はエンジンECU2aにエンジン始動の指令を与える。エンジン始動の指令を受けたエンジンECU2aは、図示しないセルモータを駆動してエンジン2を始動する。
また、運転者がIGSW5をOFF操作(イグニッションをOFFする操作)した信号が車両制御装置150に入力されると、車両制御装置150はエンジンECU2aにエンジン停止の指令を与える。エンジン停止の指令を受けたエンジンECU2aはエンジン2を停止させる。
AT3には変速制御装置3aが備わる。変速制御装置3aは、運転者がシフトレバー3bを操作して選択したモードに合わせてAT3を制御する。例えば、運転者が「ドライブモード」を選択した場合、変速制御装置3aは、車両1の車速等に応じて適宜変速比を決定し、エンジン2の出力する動力(回転動力)を、決定した変速比で変速して車輪W(駆動輪)に伝達する。
また、運転者が「パーキングモード」を選択した場合、変速制御装置3aは、AT3に備わって、エンジン2の回転動力を車輪Wに伝達するギヤの回転をメカ的にロックする。AT3のギヤがメカ的にロックされると車輪W(駆動輪)の回転が規制され、車両1の動き出しが抑制される。このようにAT3のギヤがメカ的にロックされた状態を、本実施形態ではパーキングロックと称する。そして、パーキングロック状態になるAT3は、本実施形態において、車輪Wの回転を規制する回転規制装置として機能する。
また、本実施形態の変速制御装置3aは、車両制御装置150からの指令に応じてAT3をパーキングロックする機能を備える。車両制御装置150は、車両1が停車して、運転者がシフトレバー3bでパーキングモードを選択する前に所定の時間(例えば、10分)が経過したとき、変速制御装置3aに指令を与えてAT3をパーキングロックする。これによって、車両1の動き出しが抑制され、車両1を停車した状態に維持できる。このように車両制御装置150が変速制御装置3に指令を与えてAT3を自動的にパーキングロックする制御を、本実施形態では「シフトP制御」と称する。車両1は、シフトP制御によって車輪W(駆動輪)の回転がロックされ、停車した状態が維持される。
そして、本実施形態においては、車輪Wに制動力を付与するブレーキ装置10と、パーキングロックによって車輪Wの回転を規制するAT3と、ブレーキ装置10およびAT3を制御する車両制御装置150と、を含んで車両用制動システム9が構成されている。
本実施形態のブレーキ装置10は、図2に示すように構成される。ブレーキ装置10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
このため、図2に示すように、ブレーキ装置10は、基本的に、運転者によってブレーキペダル12等のブレーキ操作部が操作されたときにその操作を入力する入力装置14と、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときの操作量(ストローク)を計測するペダルストロークセンサStと、作動液であるブレーキ液の液圧(ブレーキ液圧)を制御(発生)する電動ブレーキアクチュエータ(モータシリンダ装置16)と、車両挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置18(以下、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装置18という、VSA;登録商標)とを別体として備えて構成されている。
本実施形態において、モータシリンダ装置16は、作動液であるブレーキ液にブレーキ液圧を発生させる液圧発生手段となる。
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された管路(液圧路)によって接続されていると共に、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
このうち、液圧路について説明すると、図2中(中央やや下)の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
図2中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30aのホィールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30bのホィールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30cのホィールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30dのホィールシリンダ32FLと接続される。
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給され、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪W(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
つまり、本実施形態において、各ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLは、ブレーキ液の液圧で作動する制動手段になる。
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、他方のピストン40bは、一方のピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のカップシール44a、44bがそれぞれ装着される。一対のカップシール44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50aが配設され、他方のピストン40bとシリンダチューブ38の側端部と間には、他のばね部材50bが配設される。
なお、カップシール44a、44bが、シリンダチューブ38の内壁に取り付けられる構成であってもよい。
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第2圧力室56a及び第1圧力室56bが設けられる。第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第2液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第2液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を計測するものである。
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第1液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60bが設けられると共に、第1液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58b上において、第1遮断弁60bよりもホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側である下流側の液圧を計測するものである。
この第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図2において、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bは、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した閉弁状態をそれぞれ示している。
マスタシリンダ34と第1遮断弁60bとの間の第1液圧路58bには、前記第1液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。なお、図2において、第3遮断弁62は、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した開弁状態を示している。
このストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時に、ブレーキペダル12の操作に対して、ストロークと反力を与えて、あたかも踏力により、制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置であり、第1液圧路58b上であって、第1遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になるように設けられている。
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第2圧力室56aと複数のホィールシリンダ32FR、32RLとを接続する第2液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと複数のホィールシリンダ32RR、32FLとを接続する第1液圧系統70bとから構成される。
第2液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第2液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a、22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b、22cと、VSA装置18の導出ポート28a、28bと各ホィールシリンダ32FR、32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g、22hとによって構成される。
第1液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第1液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d、22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e、22fと、VSA装置18の導出ポート28c、28dと各ホィールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i、22jとを有する。
モータシリンダ装置16は、電動機(電動モータ72)を含むアクチュエータ機構74と、前記アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76とを有する。
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72b側に設けられ、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、前記ギヤ機構78を介して前記回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
本実施形態においてボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。なお、配管チューブ86に、ブレーキ液を貯留するタンクが備わっていてもよい。
そして、略円筒状を呈するシリンダ本体82の開放された端部(開放端)がハウジング本体172Fとハウジングカバー172Rからなるアクチュエータハウジング172に嵌合してシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172が連結され、モータシリンダ装置16が構成される。
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第2スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接して前記ボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第1スレーブピストン88bは、第2スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
また、本実施形態における電動モータ72は、シリンダ本体82と別体に形成されるモータケーシング72aで覆われて構成され、出力軸72bが第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの摺動方向(軸方向)と略平行になるように配置される。つまり、出力軸72bの軸方向が液圧制御ピストンの軸方向と略平行になるように、電動モータ72が配置される。
そして、出力軸72bの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。
ギヤ機構78は、例えば、電動モータ72の出力軸72bに取り付けられる第1ギヤ78aと、ボールねじ軸80aを軸方向に進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる第3ギヤ78cと、第1ギヤ78aの回転を第3ギヤ78cに伝達する第2ギヤ78bと、の3つのギヤで構成され、第3ギヤ78cはボールねじ軸80aの軸線を中心に回転する。したがって、第3ギヤ78cの回転軸はボールねじ軸80aになり、液圧制御ピストン(第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88b)の摺動方向(軸方向)と略平行になる。
前記したように、電動モータ72の出力軸72bと液圧制御ピストンの軸方向は略平行であることから、電動モータ72の出力軸72bと第3ギヤ78cの回転軸は略平行になる。
そして、第2ギヤ78bの回転軸を、電動モータ72の出力軸72bと略平行に構成すると、電動モータ72の出力軸72bと、第2ギヤ78bの回転軸と、第3ギヤ78cの回転軸と、が略平行に配置される。
本実施形態におけるアクチュエータ機構74は、前記した構造によって、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bはボールねじ軸80aによって駆動されることから、アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力を液圧制御ピストン(第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88b)の直線駆動力に変換する。
第1スレーブピストン88bの外周面には、環状段部を介して、一対のスレーブカップシール90a、90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブカップシール90a、90bの間には、後記するリザーバポート92bと連通する第1背室94bが形成される。
なお、第2及び第1スレーブピストン88a、88bの間には、第2リターンスプリング96aが配設され、第1スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第1リターンスプリング96bが配設される。
また、第2スレーブピストン88aの外周面と機構収納部173aとの間を液密にシールするとともに、第2スレーブピストン88aをその軸方向に対して移動可能にガイドする環状のガイドピストン90cが、第2スレーブピストン88aの後方に、シリンダ本体82をシール部材として閉塞するように備わっている。第2スレーブピストン88aが貫通するガイドピストン90cの内周面には、図示しないスレーブカップシールが装着され、第2スレーブピストン88aとガイドピストン90cの間が液密に構成されることが好ましい。さらに、第2スレーブピストン88aの前方の外周面には、環状段部を介して、スレーブカップシール90bが装着される。
この構成によって、シリンダ本体82の内部に充填されるブレーキ液がガイドピストン90cによってシリンダ本体82に封入され、アクチュエータハウジング172の側に流れ込まないように構成されている。
なお、ガイドピストン90cとスレーブカップシール90bの間には、後記するリザーバポート92aと連通する第2背室94aが形成される。
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a、92bと、2つの出力ポート24a、24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホィールシリンダ32FR、32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第2液圧室98aと、他の出力ポート24bからホィールシリンダ32RR、32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第1液圧室98bが設けられる。
この構成によると、ブレーキ液が封入される第2背室94a、第1背室94b、第2液圧室98a、及び第1液圧室98bは、シリンダ本体82におけるブレーキ液の封入部であり、シール部材として機能するガイドピストン90cによって、アクチュエータハウジング172の機構収納部173aと液密(気密)に区画される。
なお、ガイドピストン90cがシリンダ本体82に取り付けられる方法は限定するものではなく、例えば、図示しないサークリップで取り付けられる構成とすればよい。
第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bとの間には、第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する規制手段100が設けられる。さらに、第1スレーブピストン88bには、第1スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特にマスタシリンダ34で制動するバックアップ時において、1つの系統が失陥したときに、他の系統の失陥が防止される。
VSA装置18は、周知のものからなり、右側前輪及び左側後輪のディスクブレーキ機構30a、30b(ホィールシリンダ32FR、ホィールシリンダ32RL)に接続された第2液圧系統70aを制御する第2ブレーキ系110aと、右側後輪及び左側前輪のディスクブレーキ機構30c、30d(ホィールシリンダ32RR、ホィールシリンダ32FL)に接続された第1液圧系統70bを制御する第1ブレーキ系110bとを有する。なお、第2ブレーキ系110aは、左側前輪及び右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
この第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第2ブレーキ系110aと第1ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付していると共に、第2ブレーキ系110aの説明を中心にして、第1ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
第2ブレーキ系110a(第1ブレーキ系110b)は、ホィールシリンダ32FR、32RL(32RR、32FL)に対して、共通する管路(第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114)を有する。VSA装置18は、導入ポート26aと第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と第1導出ポート28aとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と第2導出ポート28bとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
さらに、VSA装置18は、第1導出ポート28aと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、第2導出ポート28bと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、前記ポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、前記ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26aとの間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなるサクションバルブ142とを備える。
なお、第2ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する管路(液圧路)上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第2液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を計測する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPm、Pp、Phで計測された計測信号は、車両制御装置150に入力される。また、VSA装置18では、VSA制御のほか、ABS(アンチロックブレーキシステム)も制御可能である。
さらに、VSA装置18に代えて、ABS機能のみを搭載するABS装置が接続される構成であってもよい。
本実施形態に係るブレーキ装置10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
ブレーキ装置10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁されて弁開状態となる。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56bで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
このようなシステム状態において、車両制御装置150は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第2リターンスプリング96a及び第1リターンスプリング96bのばね力に抗して第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを図2中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの変位によって第2液圧室98a及び第1液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
具体的に、車両制御装置150は、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキペダル12の踏み込み操作量を算出し、この踏み込み操作量(ブレーキ操作量)に基づいてブレーキ液圧(目標液圧)を設定し、設定したブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
そして、モータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧が導入ポート26a、26bからVSA装置18に供給される。つまり、モータシリンダ装置16は、ブレーキペダル12が操作されたときに電気信号で回転駆動する電動モータ72の回転駆動力で第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを駆動し、ブレーキペダル12の操作量に応じたブレーキ液圧を発生させてVSA装置18に供給する装置である。
また、本実施形態における電気信号は、例えば、電動モータ72を駆動する電力や電動モータ72を制御するための制御信号である。
なお、車両制御装置150は、例えば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータ及び周辺機器からなる。そして、車両制御装置150は、あらかじめROMに記憶されているプログラムをRAMに展開してCPUで実行し、ブレーキ装置10を制御するように構成される。
このモータシリンダ装置16における第2液圧室98a及び第1液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120、124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪W(図1参照)に所望の制動力が付与される。
換言すると、本実施形態に係るブレーキ装置10では、液圧発生手段として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する車両制御装置150等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪W(図1参照)を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車等のように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両に好適に適用することができる。
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bをそれぞれ弁開状態、第3遮断弁62を弁閉状態としマスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
本実施形態の車両用制動システム9(図1参照)は、図2に示すように構成されるブレーキ装置10を含んで構成される。
そして、ブレーキペダル12が運転者によって踏み込み操作されたとき、車両制御装置150は、ブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じたブレーキ液圧が発生するだけモータシリンダ装置16の第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88aが変位するように電動モータ72を駆動させる。
例えば、モータシリンダ装置16で発生させるブレーキ液圧と、そのために電動モータ72に供給する電圧(駆動電圧)と、の関係を示すマップがあらかじめ設定されていれば、車両制御装置150は、当該マップを参照して電動モータ72に供給する駆動電圧を設定できる。そして、車両制御装置150は、設定した駆動電圧を電動モータ72に供給して第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88aを変位させて、算出したブレーキ液圧をVSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bに発生させる。これによって、ブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じた駆動電圧が電動モータ72に供給され、さらに、ブレーキ液にブレーキ液圧が発生する。
また、本実施形態のブレーキ装置10には、ブレーキホールド機能が備わっている。ブレーキホールド機能は、運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作して車両1(図1参照)が停車した後で運転者がブレーキペダル12を解放した場合(運転者がブレーキペダル12から足を離した場合)に、各車輪W(図1参照)に付与されている制動力を保持して車両1の動き出しを抑制する機能である。
車両制御装置150は、VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bにブレーキ液圧が発生した状態で車両1が停車したと判定したとき、電動モータ72に所定の電圧(保持電圧)を供給する。
これによって、第1リターンスプリング96b及び第2リターンスプリング96aが第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88aを押し戻す力に対抗するトルクが電動モータ72に発生し、第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88aが変位した状態に維持される。そして、VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bにブレーキ液圧が発生した状態が維持され、各車輪W(図1参照)に制動力が付与された状態が維持されて車両1(図1参照)が停車した状態が維持される。このように、車両1の停車にともなって電動モータ72に保持電圧が供給され、各車輪Wに制動力が付与された状態が維持されてブレーキホールドが作動する。
ブレーキホールドの作動時に電動モータ72に供給される保持電圧は、車両1を確実に停車させておくことができるブレーキ液圧がVSA装置18に発生するように、車両1の設計値として設定されていればよい。
このように、モータシリンダ装置16と車両制御装置150は、ブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じた駆動電圧で電動モータ72を駆動してブレーキ液圧を発生させ、車両1が停車した後は、ブレーキペダル12が解放された状態でも保持電圧を電動モータ72に供給してブレーキ液圧が発生した状態を維持可能に構成される。
なお、保持電圧が、ブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じた駆動電圧よりも高い場合、保持電圧が電動モータ72(図2参照)に供給されてモータシリンダ装置16(図2参照)に発生するブレーキ液圧は、駆動電圧が電動モータ72に供給されてモータシリンダ装置16に発生するブレーキ液圧よりも高くなる。この場合、ブレーキホールドを作動するときに車両制御装置150が保持電圧を電動モータ72に供給すると、モータシリンダ装置16に発生するブレーキ液圧が上昇する。
本実施形態の車両制御装置150は、例えばアクセルペダル(図示せず)が運転者によって踏み込み操作されたことを検知したときに、電動モータ72への保持電圧の供給を停止し、VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bに発生しているブレーキ液圧を低下させる。これによって、ブレーキホールドが解除され、各車輪W(図1参照)に付与されている制動力が解消する。
また、エンジン2(図1参照)から車輪W(図1参照)に付与される駆動トルクが所定の閾値に達したと判定したときに、車両制御装置150がブレーキホールドを解除する構成であってもよい。この場合、車両制御装置150は、エンジン2の回転速度やAT3(図1参照)の変速比にもとづいて車輪Wに付与される駆動トルクを算出する構成とすればよい。
また、車両制御装置150は、ブレーキホールドが作動してから所定の時間(例えば、10分)が経過したとき、自動的に電子パーキングブレーキ(EPB)を作動させる構成であってもよい。具体的に車両制御装置150は、ブレーキホールドが作動してから所定の時間が経過したとき、各車輪W(図1参照)のディスクブレーキ機構30a,30b,30c,30dを機械的に駆動して各車輪Wに制動力を付与する。ディスクブレーキ機構30a,30b,30c,30dを機械的に駆動する構造は限定するものではないが、例えば、モータ軸の回転運動をボールネジ機構などで直線運動に変換するアクチュエータ(図示せず)でディスクブレーキ機構30a,30b,30c,30dを直接駆動する方法などが知られている。
そして、車両制御装置150はEPBを作動させた後、電動モータ72への保持電圧の供給を停止してブレーキホールドを解除する。これによって、電動モータ72での電力消費がなくなり、車両1(図1参照)における電力消費量が減少する。
また、前記したように、車両制御装置150は、車両1(図1参照)が停車して、所定の時間が経過したとき、変速制御装置3a(図1参照)に指令を与えてAT3(図1参照)をパーキングロックする(シフトP制御)。シフトP制御によってAT3がパーキングロックされると車輪W(駆動輪)の回転がロックされるため、車輪W(駆動輪)に制動力が付与される。
以上のように構成されるブレーキ装置10において、ブレーキホールドの作動中に電動モータ72に供給される保持電圧が低下すると、第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88aが第1リターンスプリング96b及び第2リターンスプリング96aによって押し戻され、VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bに発生しているブレーキ液圧が低下する。
例えば、エンジン2(図1参照)を始動するセルモータ(図示せず)と、モータシリンダ装置16の電動モータ72(図2参照)に同じバッテリ4(図1参照)から電力が供給される場合、当該セルモータの始動時にバッテリ4から電動モータ72に供給される保持電圧が低下する場合がある。
そして、電動モータ72に供給される保持電圧が低下すると、前記したようにVSA装置18(図2参照)に発生しているブレーキ液圧が低下し、各車輪Wに付与されている制動力が低下する。したがって、電動モータ72に供給される保持電圧が低下すると車両1(図1参照)に発生している制動力が低下し、車両1が動き出す場合がある。
図3は車速とブレーキ液圧と制動力の状態を示す線図であり、(a)は、車速の変化を示す線図、(b)は、要求液圧およびBH保持圧を示す線図、(c)は、制動力の変化を示す線図である。
また、図4の(a)は、車速の変化を示す線図、(b)は、要求液圧およびBH保持圧を示す線図、(c)は、制動力の変化を示す線図、(d)は、シフトP制御の動作状態を示す図、(e)は、パーキングロックの状態を示す図である。
従来、図3の(a)に示すように、車両1(図1参照)が車速Vで走行しているときに時刻t1で運転者がブレーキペダル12(図2参照)を踏み込み操作すると、図3の(b)に示すようにVSA装置18(図2参照)にブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じたブレーキ液圧(要求液圧P1)が発生する。そして、図3の(c)に実線で示すように、各車輪W(図1参照)に制動力(第1制動力B1)が付与されて車速が低下する。そして、時刻t2で車速が「0」になると、車両制御装置150(図1参照)は車両1が停車したと判定してブレーキホールドを作動する。具体的に車両制御装置150は、モータシリンダ装置16を制御してブレーキホールド作動用のブレーキ液圧(BH保持圧P2)を発生させる。車両制御装置150は、図3の(b)に示すように、BH保持圧P2が、所定の液圧値(ホールド値「Pb」)になるまで電動モータ72(図2参照)を駆動する。
車両制御装置150(図1参照)は、第2ブレーキ系110aに備わる圧力センサPh(図2参照)が計測するブレーキ液圧が、前記したホールド値Pbになるまで電動モータ72(図2参照)を駆動する。
このとき、各車輪W(図1参照)には、図3の(c)に破線で示すように、ブレーキホールドによる制動力(第2制動力B2)が生じ、この第2制動力B2は、ブレーキ液圧の上昇にともなって増大する。
そして、車両制御装置150は、圧力センサPhが計測するブレーキ液圧がホールド値Pbになった時点(時刻t21)で、モータシリンダ装置16の第1スレーブピストン88b及び第2スレーブピストン88a(図1参照)の位置を維持するように電動モータ72に保持電圧を供給する。これによって、VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110b(図2参照)に発生するブレーキ液圧がBH保持圧P2(ホールド値「Pb」)に維持され、各車輪Wに第2制動力B2が付与された状態が維持される。
その後、車両制御装置150(図1参照)が電子パーキングブレーキ(EPB)を作動する以前の時刻t3において、図3の(a)に示すように、例えば運転者がIGSW5(図1参照)をOFF操作した信号が入力されると、車両制御装置150はエンジンECU2a(図1参照)にエンジン停止の指令を与え、エンジンECU2aはエンジン2(図1参照)を停止する。
さらに、その後の時刻t4で、運転者がIGSW5(図1参照)をON操作した信号が入力されると、車両制御装置150は、時刻t5でエンジンECU2a(図1参照)にエンジン始動の指令を与える。エンジンECU2aは、図示しないセルモータを駆動してエンジン2(図1参照)を始動する。このとき、駆動するセルモータにバッテリ4(図1参照)から電力が供給されるため、バッテリ4から電動モータ72に供給される保持電圧が低下する。そして、図3の(b)に示すように、時刻t5で、VSA装置18(図1参照)に発生しているBH保持圧P2がホールド値「Pb」より低下し、図3の(c)に示すように、各車輪W(図1参照)に付与されている第2制動力B2が低下する。
そして、時刻t6でエンジン2(図1参照)が始動すると、オルタネータ(図示せず)で発電された電力がバッテリ4(図1参照)に供給されるため、電動モータ72(図2参照)に所定の保持電圧が供給されて、図3の(b)に示すように、VSA装置18(図2参照)に発生するBH保持圧P2がホールド値「Pb」まで上昇する。また、BH保持圧P2の上昇にともなって、図3の(c)に示すように、各車輪W(図1参照)に付与される第2制動力B2が増大する。
このように、エンジン2(図1参照)の始動時に、図3の(b)に示すように、VSA装置18(図2参照)に発生するBH保持圧P2が所定のホールド値「Pb」よりも低下して(時刻t5→時刻t6)、図3の(c)に示すように、各車輪W(図1参照)に付与される第2制動力B2が低下するため、車両1(図1参照)が動き出す場合がある。
そこで、図2に示すブレーキ装置10を含んで構成される本実施形態の車両用制動システム9(図1参照)は、車両1(図1参照)の停車時におけるエンジン2(図1参照)の始動時など、電動モータ72に供給される保持電圧が一時的に低下し得ると車両制御装置150が判定した場合に車両1の動き出しを抑制するように構成されている。
図4の(a)に示すように、車両1(図1参照)が車速Vで走行しているときに時刻t1で運転者がブレーキペダル12(図2参照)を踏み込み操作すると、図4の(b)に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作量に応じたブレーキ液圧(要求液圧P1)がVSA装置18(図2参照)に発生する。そして、図4の(c)に実線で示すように各車輪W(図1参照)に第1制動力B1が付与されて車速が低下する。
時刻t2で車速が「0」になると、車両制御装置150(図1参照)は車両1(図1参照)が停車したと判定してブレーキホールドを作動する。VSA装置18の第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110b(図2参照)に、ホールド値「Pb」のBH保持圧P2が発生し、図4の(c)に破線で示すように、各車輪Wに第2制動力B2が付与される。
その後、車両制御装置150(図1参照)が電子パーキングブレーキ(EPB)を作動する以前の時刻t3において、図4の(a)に示すように、例えば運転者がIGSW5(図1参照)をOFF操作した信号が入力されると、車両制御装置150はエンジンECU2a(図1参照)にエンジン停止の指令を与え、エンジンECU2aはエンジン2(図1参照)を停止する。
さらに、その後の時刻t4で、運転者がIGSW5(図1参照)をON操作した信号が入力されると、車両制御装置150(図1参照)は、図4の(d)に示すように、時刻t41でシフトP制御を実行する(ONにする)。これによって、AT3(図1参照)がパーキングロックされ、車両1の車輪W(駆動輪)がロックされる。
つまり、本実施形態の車両制御装置150は、運転者がIGSW5をON操作した信号が入力されたとき、電動モータ72に供給される保持電圧が低下し得ると判定する。そして、車両制御装置150は、電動モータ72に供給される保持電圧が低下し得ると判定すると、シフトP制御を実行して回転規制装置であるAT3を作動させ、車輪W(駆動輪)の回転を規制する。
その後、車両制御装置150は、図4の(e)に示すように、AT3の変速制御装置3a(図1参照)から、例えば、AT3のギヤの回転がロックされたことを通知する信号を受信した時刻t42でAT3のパーキングロックが完了したと判定する。
また、図4の(c)に一点鎖線で示すように、パーキングロックが完了した時刻t42で、車輪W(図1参照)の駆動輪には、AT3がパーキングロックしたことによる制動力(第3制動力B3)が付与される。
そして、車両制御装置150は、パーキングロックが完了した時刻t42でエンジンECU2a(図1参照)にエンジン始動の指令を与える。エンジン始動の指令を受けたエンジンECU2aは、図示しないセルモータを駆動してエンジン2を始動する(時刻t50)。
その後、車両制御装置150は、時刻t60でエンジン2(図1参照)が始動したと判定したとき、図4の(d)に示すように、シフトP制御を停止する(OFFする)。シフトP制御が停止されると、AT3(図1参照)のパーキングロックが解除され、AT3による車輪W(駆動輪)の回転の規制は解除される。
なお、車両制御装置150は、例えば、エンジンECU2a(図1参照)が出力する初爆信号を受信したときにエンジン2が始動したと判定する。
つまり、本実施形態の車両制御装置150は、エンジンECU2aから初爆信号を受信したとき、電動モータ72(図2参照)に供給される保持電圧の低下が解消されると判定する。そして、車両制御装置150は、シフトP制御を停止してAT3(回転規制装置)による車輪W(駆動輪)の回転の規制を解除する。
シフトP制御が停止(OFF)されると、AT3はパーキングロックを解除する動作を開始し、図4の(e)に示すように、時刻t61でAT3のパーキングロックが解除される。また、図4の(c)に示すように、AT3におけるパーキングロックの解除に伴って、車輪W(図1参照)の駆動輪に付与されている第3制動力B3が低下し、時刻t61で第3制動力B3は消失する。
以上のように、本実施形態の車両用制動システム9(図1参照)は、図4の(c)に示すように、時刻t50でエンジン2(図1参照)のセルモータ(図示せず)が始動する前の時刻t42でシフトP制御が実行されて、車輪W(図1参照)の駆動輪に第3制動力B3が付与される。したがって、電動モータ72(図2参照)に供給される保持電圧が低下して各車輪Wに付与される第2制動力B2が低下しても、車輪W(駆動輪)に付与される第3制動力B3によって、車両1(図1参照)の動き出しが抑制される。
例えば、エンジン2(図1参照)の始動時に電動モータ72(図2参照)への保持電圧を低下させない構成とすることも可能である。しかしながら、この構成の場合、電動モータ72への保持電圧の低下を防止するための専用回路(図示せず)や、電動モータ72のみに保持電圧を供給するサブバッテリ(図示せず)が必要となり、車両用制動システム9(図1参照)のコストアップとなる。
本実施形態の車両用制動システム9は、コストアップすることなく、エンジン2が始動するときの車両1(図1参照)の動き出しを抑制することができる。
また、前記したように、保持電圧が、ブレーキペダル12(図2参照)の踏み込み操作量に応じた駆動電圧よりも高い場合、車両制御装置150はブレーキホールドを作動するとき電動モータ72(図2参照)に供給する電圧を保持電圧まで上昇させる。このとき、電動モータ72に供給する電圧が保持電圧まで上昇する間に、保持電圧が低下し得ると車両制御装置150が判定した場合(例えば、IGSW5がON操作された信号が車両制御装置150に入力された場合)、車両制御装置150は電動モータ72に供給する電圧を保持電圧まで上昇させることなく、シフトP制御を実行する構成であってもよい。
この構成であれば、電動モータ72に供給される電圧の上昇にともなってブレーキ液圧を上昇させるために発生する作動音(例えば、モータシリンダ装置16における第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの作動音)を低減できる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、本実施形態の車両制御装置150(図1参照)は、図4の(d)に示すように、エンジンECU2a(図1参照)にエンジン2(図1参照)を始動する指令を与える前の時刻t41で、シフトP制御を実行する構成とした。
しかしながら、時刻t41でシフトP制御に替わって電子パーキングブレーキ(EPB)を作動させる構成でもよい。このような構成であっても、第2制動力B2が低下する時刻t50において、各車輪WにEPBによる制動力が付与されるため、第2制動力B2が低下しても、車両1(図1参照)の動き出しがEPBによる制動力で抑制される。
また、本実施形態の車両制御装置150(図1参照)は、運転者がIGSW5(図1参照)をON操作した信号が入力されたときに、保持電圧が低下し得ると判定する構成とした。しかしながら、車両制御装置150が、保持電圧が低下し得ると判定する条件は、IGSW5がON操作された信号が入力されたときという条件に限定されない。例えば、起動電力の大きな電装品(図示せず)が起動する信号が入力されたときに、車両制御装置150が、保持電圧が低下し得ると判定する構成であってもよい。
1 車両
3 オートマチックトランスミッション(回転規制装置)
9 車両用制動システム
10 ブレーキ装置
16 モータシリンダ装置(液圧発生手段)
12 ブレーキペダル(ブレーキ操作部)
72 電動モータ(電動機)
150 車両制御装置(制御装置)
32FR,32RL,32RR,32FL ホィールシリンダ(制動手段)
W 車輪

Claims (4)

  1. ブレーキ操作部の操作力に応じて作動液に液圧を発生させるマスタシリンダと、前記作動液に発生した前記液圧で作動して車輪に制動力を付与する制動手段と、を有し、
    前記ブレーキ操作部が操作されたときに操作量センサによって検出された操作量に応じた駆動電圧で電動機を駆動して液圧発生手段で前記作動液に前記液圧を発生させ、前記ブレーキ操作部が解放された状態で所定の保持電圧を前記電動機に供給して前記作動液に前記液圧が発生した状態を維持するブレーキ装置と、
    前記車輪の回転を規制する回転規制装置と、
    前記ブレーキ装置および前記回転規制装置を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制することを特徴とする車両用制動システム。
  2. 前記保持電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧が、前記駆動電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧よりも高い場合に、前記保持電圧が前記電動機に供給される状態になったとき、
    前記制御装置は、前記保持電圧が低下し得ると判定したときには前記保持電圧を前記電動機に供給することなく、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制することを特徴とする請求項1に記載の車両用制動システム。
  3. 作動液に発生した液圧で作動して車輪に制動力を付与する制動手段を有し、
    ブレーキ操作部が操作されたときに操作量に応じた駆動電圧で電動機を駆動して液圧発生手段で前記作動液に前記液圧を発生させ、前記ブレーキ操作部が解放された状態で所定の保持電圧を前記電動機に供給して前記作動液に前記液圧が発生した状態を維持するブレーキ装置と、
    前記車輪の回転を規制する回転規制装置と、
    前記ブレーキ装置および前記回転規制装置を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制し、
    前記保持電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧が、前記駆動電圧が前記電動機に供給されたときに発生する前記液圧よりも高い場合に、前記保持電圧が前記電動機に供給される状態になったときであって、前記保持電圧が低下し得ると判定したときに、前記保持電圧を前記電動機に供給することなく、前記回転規制装置によって前記車輪の回転を規制する
    ことを特徴とする車両用制動システム。
  4. 前記制御装置は、
    前記保持電圧の低下が解消されると判定したときに、前記回転規制装置による前記車輪の回転の規制を解除することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用制動システム。
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