JP4576866B2 - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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本発明は、車両用ブレーキシステムに関するものであり、互いに並列に設けられた第一ブレーキと第二ブレーキとを備えたブレーキシステムにおける両ブレーキの制御に関するものである。
車両には少なくとも2つのブレーキが並列に設けられるのが普通である。走行中の車両を減速させ、あるいは停止させるためのサービスブレーキと、停止中の車両が移動することを防止するパーキングブレーキとが、その代表的なものである。そして、パーキングブレーキを動力により作動するものとし、それを自動的に作用状態にし、あるいは解除状態にすることも知られている。例えば、下記特許文献1には、シフトレバーの位置がニュートラルレンジあるいはパーキングレンジであり、車速がほぼ0で、サービスブレーキが作用状態にあってアクセルペダルが解除されている状態が設定時間以上継続した場合に、パーキングブレーキが自動的に作用状態とされるパーキングブレーキ装置が記載されている。このパーキングブレーキ装置においては、シフトレバーの位置が駆動レンジにある状態が設定時間以上継続した場合に、パーキングブレーキが自動的に解除される。
特開平7−144623号公報
上記少なくとも2つのブレーキを含むブレーキシステムにおいて、少なくとも1つのブレーキが運転者の意図通りの制動力を生じさせない事態が発生することがある。例えば、サービスブレーキが、マスタシリンダの液圧によりブレーキシリンダが作動させられるマニュアルモードと、動力液圧源の液圧の電子制御によりブレーキシリンダが作動させられる電子制御モードとで作動可能なものであり、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操作状態が同じである場合に、電子制御モードにおいてはマニュアルモードにおけるよりブレーキシリンダの液圧が大きい値に制御されるブレーキシステムにおいて、そのような事態が発生する。この種のブレーキシステムにおいて、電源電圧が設定値以下まで低下した場合には、電子制御の信頼性が低下するため、電子制御モードが自動的に解除され、マニュアルモードとされることが多いが、運転者は電子制御モードを念頭においてブレーキ操作部材を操作するため、運転者の意図通りの制動力が生じさせられないこととなるのである。
上記事態が車両の走行中に発生すれば、運転者に違和感を生じさせ、停止中に発生すれば、車両が運転者の意に反して動き出す可能性がある。本発明は、このように、少なくとも2つのブレーキを含むブレーキシステムにおいて、少なくとも1つのブレーキが運転者の意図通りの制動力を生じさせない事態が発生し、あるいは発生する可能性が生じた場合に、別のブレーキにより制動力の不足を補い、あるいは軽減することを可能にすることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明に係るブレーキシステムは、(a)電源と、(b)その電源から供給される電流により作動し、エンジンを始動させるスタータモータの作動を制御するスタータスイッチのON,OFFを検知するスタータスイッチ状態検知部と、(c)運転者により操作されるブレーキ操作部材と、(d)車両を制動する第一ブレーキと、前記電源から供給される電気エネルギにより作動して前記第一ブレーキを制御する第一ブレーキ制御部とを備え、前記電源の電圧が設定電圧より高い状態においては前記ブレーキ操作部材の操作に応じた制動力を発生させるが、前記電源の電圧が設定電圧以下の状態では、制動力は発生させるが、その制動力が、前記電源の電圧が前記設定電圧より高い状態に比較して低下する第一ブレーキ装置と、(e)前記第一ブレーキと並列に設けられ、前記電源または前記電源とは異なる電源からの電流により作動させられる駆動源を備えて前記車両を制動するとともに前記駆動源への電流供給がない状態でも作用状態を保ち得、主としてパーキングブレーキ装置として機能する第二ブレーキと、その第二ブレーキの前記駆動源を制御する第二ブレーキ制御部とを備えた第二ブレーキ装置と、(f)前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて運転者の制動要求の有無を検知する制動要求検知装置と、(g)その制動要求検知装置と前記スタータスイッチ状態検知部との検知結果に基づいて、運転者の制動要求が有り、かつ、前記スタータスイッチがONの状態にある間は、前記第二ブレーキ制御部に前記第二ブレーキを作用状態に保たせることにより、前記電源の電圧の前記設定電圧以下への低下に起因する前記第一ブレーキ装置の制動力の低下の少なくとも一部を補うスタータスイッチON時制御部とを含むものとされる。

スタータモータが作動させられれば、電源の電圧が一時的に低下し、その電源から供給される電気エネルギにより作動して第一ブレーキを制御する第一ブレーキ制御部の制御の信頼性が低下する。運転者の制動要求に対して、第一ブレーキの制動力が不足する恐れがあるのであり、その場合には、第二ブレーキを作用させて所要制動力の不足の少なくとも一部を補うことが望ましい。そこで、本発明においては、スタータスイッチON時制御部を設けたのである。このスタータスイッチON時制御部は、運転者の制動要求が有り、かつ、スタータスイッチがONの状態にある間は、第二ブレーキ制御部に第二ブレーキを作用状態に保たせることにより、電源の電圧の設定電圧以下への低下に起因する第一ブレーキ装置の制動力の低下の少なくとも一部を補うものであれば効果がある。

運転者の制動要求が有り、かつ、スタータスイッチがONの状態にある間は、第一ブレーキの制動力が不足する可能性があるが、スタータスイッチON時制御部により第二ブレーキを作用状態に保てば、車両全体として制動力が不足する事態の発生を回避し、あるいは不足を軽減することができる。しかも、第二ブレーキ装置は駆動源への電流供給がない状態においても作用状態を維持し得、主としてパーキングブレーキ装置として機能するものであるので、たとえ第二ブレーキ装置の駆動源がスタータモータと電源を共通としており、スタータモータの作動により駆動源への供給電圧が低下する場合でも、第一ブレーキ装置の制動力の不足を良好に補い得、あるいは制動力の不足を軽減し得る。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項の中には、補正によって、特許請求の範囲に記載の発明でも、その下位概念の発明でもなくなったものもあるが、特許請求の範囲に記載された発明を理解する上で有益な記載を含んでいるため、そのまま残すこととする。
(1)電源と、
その電源の電圧が低下しあるいは低下の可能性があることを検知する電圧低下検知装置と、
車両を制動する第一ブレーキと、前記電源から供給される電気エネルギにより作動して前記第一ブレーキを制御する第一ブレーキ制御部とを備えた第一ブレーキ装置と、
前記第一ブレーキと並列に設けられて前記車両を制動する第二ブレーキと、その第二ブレーキを制御する第二ブレーキ制御部とを備えた第二ブレーキ装置と、
運転者の制動要求の有無を検知する制動要求検知装置と、
その制動要求検知装置と前記電圧低下検知装置との検知結果に基づいて前記第二ブレーキ装置の作動に関連する第二ブレーキ作動関連装置を制御する関連装置制御装置と
を含む車両用ブレーキシステム。
(2)前記第二ブレーキ作動関連装置が、前記第二ブレーキ制御部を含み、その第二ブレーキ制御部が前記第二ブレーキを自動で制御するものであり、関連装置制御装置が、前記制動要求検知装置が制動要求が有ることを検知し、前記電圧低下検知装置が電源電圧の低下あるいは低下の可能性を検知した場合に、前記第二ブレーキ制御部が前記第二ブレーキの解除を禁止する第二ブレーキ解除禁止部を有する (1)項に記載の車両用ブレーキシステム。
(3)前記第二ブレーキ作動関連装置が、前記第二ブレーキ制御部を含み、その第二ブレーキ制御部が前記第二ブレーキを自動で制御するものであり、関連装置制御装置が、前記制動要求検知装置が制動要求が有ることを検知し、前記電圧低下検知装置が電源電圧の低下あるいは低下の可能性を検知した場合に、前記第二ブレーキ制御部に前記第二ブレーキを作用状態にさせる第二ブレーキ作用指令部を有する (1)項または (2)項に記載の車両用ブレーキシステム。
(4)前記第二ブレーキ作動関連装置が、運転者に前記第二ブレーキの制御操作に関する情報を報知する報知部を含み、前記関連装置制御装置が、前記制動要求検知装置が制動要求が有ることを検知し、前記電圧低下検知装置が電源電圧の低下あるいは低下の可能性を検知した場合に、前記報知部に前記第二ブレーキを作用状態にすべき旨を報知させる第二ブレーキ作用要求報知指令部を有する (1)項ないし (3)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
報知部により第二ブレーキを作用状態にすべき旨の報知が行われ、それに応じて運転者により第二ブレーキが作用状態にされれば、電源電圧の低下により第一ブレーキの制動力が低下しあるいは低下の可能性が生じた場合でも、車両用ブレーキシステム全体としての制動力が不足する事態の発生が回避され、あるいは制動力の不足が低減させられる。
(5)前記第二ブレーキ作動関連装置が、運転者に前記第二ブレーキの制御操作に関する情報を報知する報知部を備え、前記関連装置制御装置が、前記制動要求検知装置が制動要求が有ることを検知し、前記電圧低下検知装置が電源電圧の低下あるいは低下の可能性を検知した場合に、前記報知部に前記第二ブレーキの解除操作を禁止する旨を報知させる第二ブレーキ解除禁止報知指令部を有する (1)項ないし (4)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
報知部により第二ブレーキを解除することを禁止する旨の報知が行われ、それに応じて運転者が第二ブレーキの解除操作をやめれば、電源電圧の低下により第一ブレーキの制動力が低下しあるいは低下の可能性が生じた場合でも、車両用ブレーキシステム全体としての制動力が不足する事態の発生が回避され、あるいは制動力の不足が低減させられる。
(6)前記電圧低下検知装置が、前記電源に接続された電装品の作動状態に基づいて前記電圧低下の可能性を検知する電装品状態依拠検知部を有する (1)項ないし (5)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
第一ブレーキ制御部と共通の電源に接続されている電装品、特に作動時に大きな電流を要する電装品が作動すると、電源の電圧が一時的に低下し、第一ブレーキ制御部の制御が適正に行われない場合がある。また、制御が適正に行われない可能性がある場合には、第一ブレーキ制御部が自動的に非制御状態となるように構成されることもある。前者の場合には、第一ブレーキの制動力が不足する可能性があり、後者の場合に、第一ブレーキ制御部が非制御状態となれば第一ブレーキの制動力が低下する構成であれば、制動力が不足する。したがって、電装品状態依拠検知部を設け、それの検知に基づいて第二ブレーキの制動力により制動力不足を補うことは有意義なことである。
(7)前記電装品が、少なくとも、エンジンを始動させるスタータを含む (6)項に記載の車両用ブレーキシステム。
スタータは、作動時に大きな電流を要する電装品の代表的なものである。
(8)前記電圧低下検知装置が、前記電源の電圧を検出する電圧検出部と、その電圧検出部により検出された電圧が設定電圧以下となった場合に前記電圧低下が生じたと判定する判定部とを有する (1)項ないし (7)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
電圧検出部と判定部とを必要とするが、電源電圧の低下を確実に検知することができる。
(9)前記第一ブレーキ装置が、前記電源の電圧低下時には前記第一ブレーキの制動力が低下するものである (1)項ないし (8)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
(10)前記第一ブレーキ装置が、
運転者により操作されるブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダと、
そのマスタシリンダに接続され、前記第一ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
動力によって液圧を発生させる動力液圧源と、
前記ブレーキシリンダから前記マスタシリンダを遮断し、前記動力液圧源を連通させた状態で、その動力液圧源からブレーキシリンダに供給される液圧を前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する液圧制御装置と
を含む (1)項ないし (9)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
(11)前記液圧制御装置が、前記動力液圧源から前記ブレーキシリンダに供給される液圧を、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて前記マスタシリンダに発生させられる液圧より高い液圧に制御するものであり、かつ、前記電源の電圧が設定電圧以下に低下した場合に、ブレーキシリンダから前記動力液圧源を遮断し、前記マスタシリンダを連通させる電圧低下時動力液圧源遮断部を備えた(10)項に記載の車両用ブレーキシステム。
電圧低下時動力液圧源遮断部により動力液圧源が遮断されれば、第一ブレーキの制動力が低下する。したがって、第二ブレーキの制動力により制動力の不足を補うことが望ましい。
(12)前記第二ブレーキ装置が駆動源を備え、前記第二ブレーキ制御部が、その駆動源の駆動力を制御するものである (1)項ないし(11)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
上記駆動源としては、例えば、電動モータを使用することができる。駆動源が電動モータである場合、その電動モータの電源は前記第一ブレーキ装置の電源と共通でも、別個の電源でもよい。
(13)前記第二ブレーキ装置がパーキングブレーキ装置である(12)項に記載の車両用ブレーキシステム。
(14)当該車両用ブレーキシステムが、運転者により操作されるブレーキ操作部材を含み、かつ、前記制動要求検知装置が、そのブレーキ操作部材の操作ストロークと操作力との少なくとも一方に基づいて前記運転者の制動要求の有無を検知する制動操作量依拠制動要求検知部を含む (1)項ないし(13)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
制動要求検知装置を、そのブレーキ操作部材が非操作位置である原位置にあるか否かを検知するブレーキスイッチの状態に基づいて運転者の制動要求の有無を検知するブレーキスイッチ状態依拠制動要求検知部を含むものとすることも可能である。
(15)前記関連装置制御装置が、前記車両のシフトレバーがパーキングレンジにある場合には、前記第二ブレーキ作動関連装置の制御を行わないものである (1)項ないし(14)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
シフトレバーがパーキングレンジにある場合には、車両は停止しており、かつ、駆動輪の回転が機械的なロック装置により阻止される。したがって、第一ブレーキの制動力が低下しても車両が移動し始めることはないので、第二ブレーキを作動させる必要性がない。
(16)前記第二ブレーキ装置が作用状態から非作用状態に復帰できない効き故障状態である場合に、その第二ブレーキ装置により制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることを回避する制動状態回転回避装置を含む (1)項ないし(15)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
第二ブレーキ装置が効き故障状態にある場合に、その第二ブレーキ装置により制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることは、一般に、望ましいことではない。制動状態回転回避装置を設ければ、その望ましくない事態の発生を回避することができる。
(17)車輪の回転を抑制するブレーキと、そのブレーキが作用状態から非作用状態に復帰できない効き故障状態である場合に、そのブレーキにより制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることを回避する制動状態回転回避装置とを含む車両用ブレーキシステム。
制動状態回転回避装置は、 (1)項ないし(15)項のいずれかに記載の車両用ブレーキシステムにおいてのみならず、車輪の回転を抑制するブレーキが効き故障状態である場合に、一般的に採用して有効なものである。
(18)前記制動状態回転回避装置が、前記車両のエンジンを始動不可能とするエンジン始動阻止部を含む(16)項または(17)項に記載の車両用ブレーキシステム。
エンジンの始動を阻止すれば、車両は走行不能であり、ブレーキにより制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることを回避することができる。
(19)前記制動状態回転回避装置が、前記車両のトランスミッションをパーキングレンジに固定するパーキングレンジ固定部を含む(16)項ないし(18)項に記載の車両用ブレーキシステム。
パーキングレンジ固定部により、トランスミッションをパーキングレンジに固定すれば、車両がエンジン等主駆動装置により駆動されることがなく、かつ、駆動輪の回転が機械的なロック装置により阻止されるため、ブレーキにより制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることを確実に回避することができる。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
請求可能発明の一実施例としての車両用ブレーキシステムを図面に基づいて説明する。
図1に示すブレーキシステムは、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10,2つの加圧室を含むマスタシリンダ12,動力により作動させられる動力液圧源14,左右前後に位置する車輪にそれぞれに設けられた液圧ブレーキ16〜19、左右後輪にそれぞれ設けられた電動パーキングブレーキ20,21等を含む。左右前輪には、それぞれ、液圧ブレーキ16,17が設けられ、左右後輪には、それぞれ、液圧ブレーキ18,19と電動パーキングブレーキ20,21との両方が設けられる。
液圧ブレーキ16〜19は、それぞれ、ブレーキシリンダ22〜25を含み、ブレーキシリンダ22〜25の液圧によって作動させられる。本実施例においては、車輪とともに回転するブレーキディスク22b〜25bに、非回転体に保持された摩擦材としてのブレーキパッドを液圧によって押し付けるディスクブレーキである。また、電動パーキングブレーキ20,21はドラムブレーキであり、本実施例においては、左右後輪に、ドラムインディスクブレーキが設けられることになる。
マスタシリンダ12は、2つの加圧ピストンを含むものであり、2つの加圧ピストンのそれぞれの前方の液圧室には運転者によるブレーキペダル10の操作によって、その操作力に応じた液圧が発生させられる。マスタシリンダ12の2つの加圧室には、それぞれ、マスタ通路26,27を介して左右前輪のブレーキシリンダ22,23に接続される。マスタ通路26,27の途中には、それぞれ、マスタ遮断弁29,30が設けられる。マスタ遮断弁29,30は常開の電磁開閉弁である。
また、動力液圧源14には、4つのブレーキシリンダ22〜25がポンプ通路36を介して接続される。ブレーキシリンダ22〜25には、マスタシリンダ12から遮断された状態で動力液圧源14から液圧が供給されて、液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ブレーキシリンダ22〜25の液圧は液圧制御弁装置38により制御される。
このように、左右前後輪のブレーキシリンダ22〜25は、動力液圧源14の液圧によって作動可能なものであるが、左右前輪のブレーキシリンダ22,23は、マスタシリンダ12の液圧によっても作動可能である。
動力液圧源14は、ポンプ66およびそのポンプ66を駆動するポンプモータ68を備えたポンプ装置69を含む。ポンプ66の吸入側は吸入通路70を介してマスタリザーバ72(以下、リザーバ72と略称する)に接続され、吐出側にはアキュムレータ74が接続される。ポンプ66によってリザーバ72の作動液が汲み上げられてアキュムレータ74に供給され、加圧された状態で蓄えられる。また、ポンプ66の吐出側の部分と吸入側の部分73とが戻し通路としてのリリーフ通路76によって接続される。リリーフ通路76にはリリーフ弁78が設けられる。リリーフ弁78は、高圧側であるポンプ66の吐出側の液圧(吐出圧)が設定圧を超えると閉状態から開状態に切り換わる。これらポンプ装置69,アキュムレータ74,リリーフ弁78等によって動力液圧源14が構成されている。
液圧制御弁装置38は、ポンプ通路36に設けられた電磁制御弁としての増圧リニアバルブ100〜103と、ブレーキシリンダ22〜25とリザーバ72とを直接接続する減圧通路104に設けられた電磁制御弁としての減圧リニアバルブ110〜113とを含む。これら増圧リニアバルブ100〜103と減圧リニアバルブ110〜113との制御によりブレーキシリンダ22〜25の液圧がそれぞれ別個独立に制御され得る。
増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110,111は、コイル120に電流が供給されない間は、閉状態にある常閉弁であるが、後輪側の減圧リニアバルブ112,113は常開弁である。
図2に常閉弁である増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110,111を示す。増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110,111は、コイル120、プランジャ123等を備えたソレノイド124と、弁子125および弁座126,弁子125を弁座126に着座させる向きに付勢するスプリング128等を備えたシーティング弁130とを含む。プランジャ123は、ハウジング132に対して相対移動
可能に保持される。また、弁子125は、図2に示すように、長手方向に伸びた形状を成すものであり、シャフト部133とボール部134とを含み、シャフト部133においてプランジャ123に連結される。弁子125はシャフトボールと称することができる。
増圧リニアバルブ100〜103は、動力液圧源14とブレーキシリンダ22〜25との間に、これらの差圧に応じた差圧作用力が弁子125にそれを弁座126から離間させる向きに加わる状態で設けられ、減圧リニアバルブ110,111は、ブレーキシリンダ24,25とリザーバ72との間に、これらの差圧に応じた差圧作用力が弁子125にそれを弁座126から離間させる向きに加わる状態で設けられる。
コイル120に電流が供給されない間において、スプリング128の付勢力が差圧作用力より大きくなるようにされているため、弁子125が弁座126に着座した閉状態にある。コイル120に電流が供給されると、電流に応じた電磁駆動力がプランジャ123に加えられ、弁子125を弁座126から離間させる向きに作用する。スプリング128の付勢力と、差圧作用力および電磁駆動力との関係で弁子125の弁座126に対する相対位置が決まる。
図3に常開弁である減圧リニアバルブ112,113を示す。減圧リニアバルブ112,113も、コイル122,プランジャ141等を備えたソレノイド142と、弁子154,弁座156,弁子154を弁座156から離間させる向きに付勢するスプリング158等を備えたシーティング弁160とを含む。プランジャ141にはシャフト162が連結され、これらプランジャ141とシャフト162とは、ハウジング164に対して一体的に相対移動可能に保持される。また、シャフト162には弁子154が固定される。
減圧リニアバルブ112、113は、ブレーキシリンダ24,25とリザーバ72との間において、ブレーキシリンダ24,25とリザーバ72との差圧に応じた差圧作用力が弁子154にそれを弁座126から離間させる向きに加わる状態で設けられる。コイル122に電流が供給されない間は、液圧作用力およびスプリング158の付勢力により弁子154が弁座156から離間させられた開状態にある。コイル122に電流が供給されると、電流に応じた電磁駆動力が弁子154を弁座156に着座させる向きに作用する。スプリング158の付勢力および差圧作用力と、電磁駆動力との関係で弁子154の弁座156に対する相対位置が決まる。
マスタ通路26には、ストロークシミュレータ装置180が設けられる。ストロークシミュレータ装置180は、ストロークシミュレータ182と常閉のシミュレータ用開閉弁184とを含み、シミュレータ用開閉弁184の開閉により、ストロークシミュレータ182がマスタシリンダ12に連通させられる連通状態と遮断される遮断状態とに切り換えられる。
次に、電動パーキングブレーキ20,21について、図4に基づいて説明する。符号200は車体側部材に相対回転不能に取り付けられた非回転体としてのバッキングプレートを示し、符号202は、車輪とともに回転するドラムを示す。ドラム202は摩擦面204を有する。バッキングプレート200には、アンカピン206が設けられる。また、一対のブレーキシュー210a,210bが、シューホールドダウン装置212a,212bによってバッキングプレート200の面に沿って移動可能に取り付けられる。
一対のブレーキシュー210a,210bは、一端部において、アンカピン206に係合させられるとともに、リターンスプリング213a,213bによって、アンカピン206に接近する向きに付勢される。また、他端部間にストラット214が掛け渡されるとともに、それら他端部同士がスプリング215によって互いに接近する向きに付勢されている。
ブレーキシュー210a,210bは、それぞれ、ウェブとリムとを備え、リムの外周面には、摩擦材としてのブレーキライニング216a,216bが保持されている。ブレーキシュー210aのウェブにはレバー230の一端部がピン232によって回動可能に取り付けられ、レバー230の他端部である自由端部にはケーブル240の一端部が連結されている。レバー230とブレーキシュー210bとの間にはストラット236が掛け渡されている。なお、符号242はリターンスプリングを示す。
ケーブル240が引っ張られると、レバー230が回動させられ、ストラット214を介して一対のブレーキシュー210a,bが拡開させられる。ブレーキライニング216a,216bがドラム202の摩擦面204に押し付けられて、摩擦力が発生する。
ケーブル240の他端部は図1に示すようにイコライザ250を介して張力付与装置252に接続される。張力付与装置252は、正・逆両方向に回転可能な電動モータ(張力付与モータと称することもできる)260,駆動源たる電動モータ260への供給電流を制御可能な駆動回路261,電動モータ260の駆動力をケーブル240に加えるケーブル入力装置262等を含む。ケーブル入力装置262は、図5に示すように、複数のギヤを含むものであり、電動モータ260の出力軸に取り付けられた第1ギヤ270,第1ギヤ270に噛合された第2ギヤ272,第2ギヤ272と一体的に回転可能なウォーム274,ウォーム274に噛合されるとともにケーブル240に係合させられたウォームホイール276等を含む。電動モータ260の回転によりウォームホイール276が回転させられ、それによって、ケーブル240が引っ張られたり、緩められたりする。ケーブル240に加えられる張力はイコライザー250を介して左右の電動パーキングブレーキ20,21に等しく伝達される。また、電動モータ260が停止状態にされて、ウォームホイール276が停止状態にされれば、ケーブル240もその状態に保たれる。電動モータ260に電流が供給されない状態で、ケーブル240に張力が加わっても、それによって電動モータ260が回転させられることはなく、電動パーキングブレーキ20,21において作用力が維持されるのである。
上記液圧ブレーキ16〜19および電動パーキングブレーキ20,21は、図1に示すように、ブレーキECU300の指令に基づいて制御される。ブレーキECU300は、コンピュータを主体とするもので、実行部302,記憶部304,入出力部306等を含む。入出力部306には、ストロークセンサ311,マスタ圧センサ314,ブレーキ液圧センサ316,車輪速センサ318,液圧源液圧センサ320,パーキングスイッチ322,張力検出装置324,スタータスイッチ326,シフト位置センサ328,電圧検出部330等が接続されるとともに、増圧リニアバルブ100〜103および減圧リニアバルブ110,111のコイル120、減圧リニアバルブ112,113のコイル122、マスタ遮断弁29,30およびシミュレータ制御弁184の各コイル等が図示しないスイッチ回路を介して接続されるとともに、ポンプモータ68,電動モータ260,報知装置332等が図示しない駆動回路を介して接続されている。
パーキングスイッチ322は、運転者によって操作可能なものである。パーキングスイッチ322が操作されると、ケーブル240に予め決められた張力が付与されるように(
ブレーキライニング216a,216bが摩擦面204に予め定められた押付力によって押し付けられるように)、電動モータ260が駆動される。張力検出装置324は、ケーブル240に加えられる張力を検出するものであり、検出された張力に基づいてブレーキライニング216a,216bの摩擦面204への押付力が取得される。本実施例において、張力検出装置324は電動モータ260への供給電流を検出する電流計を含む。なお、電動パーキングブレーキ20,21における押付力は、レバー230の歪みを検出することによって検出したり、ケーブル240に加えられる張力を検出することによって検出したりすることもできる。
シフト位置センサ328は、トランスミッション装置のシフト操作部材たるシフトレバーの位置を検出するシフト位置検出装置の一例である。電圧検出部330においては、ポンプモータ68,電動モータ260,スタータモータ等に電流(電気エネルギ)を供給するバッテリ(電源)の電圧が検出される。報知装置332は、ブザーの鳴動,ランプの点灯,ランプの点滅,表示画面での文字や図形等の画像による表示の少なくとも1つによって報知を行うものとすることができる。記憶部304には、図6のフローチャートで表される制動力制御プログラム等が記憶されている。
本実施例においては、通常制動時には、マスタ遮断弁29,30が閉状態とされることによりブレーキシリンダ22〜25がマスタシリンダ12から遮断されて、動力液圧源14の液圧により液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ストロークセンサ311によって検出された操作ストローク、マスタ圧センサ314によって検出されたマスタ圧等に基づいて運転者の要求制動力が求められ、要求制動力が得られるようにブレーキシリンダ液圧の目標液圧が決定される。実際のブレーキシリンダ液圧が目標液圧と同じになるように、各増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110〜113のコイル120,122への供給電流が制御される。なお、本実施例の液圧ブレーキ16,17は、前述のように、マスタシリンダ12の液圧によりブレーキシリンダ22,23が作動させられるマニュアルモードと、動力液圧源14の液圧の電子制御によりブレーキシリンダ22〜25が作動させられる電子制御モードとで作動可能なものであり、ブレーキペダル10の操作状態(操作ストロークやマスタ圧)が同じである場合に、動力液圧源14からブレーキシリンダ22,23に供給される液圧が、マスタシリンダ12に発生させられる液圧より高い液圧に制御される。このような車両用ブレーキシステムにおいて、バッテリの電圧が設定電圧以下まで低下した場合には、電子制御モードが自動的に解除され、マニュアルモードとされる。ストロークシミュレータ用開閉弁184が閉状態、マスタ遮断弁29,30が開状態とされるとともに、ブレーキシリンダ22,23が動力液圧源14から遮断されて、ブレーキシリンダ22,23がマスタシリンダ12に連通させられるのである。このマスタ遮断弁29,30の開状態では、運転者の要求する制動力に対して液圧ブレーキ16,17の制動力が不足し、ひいては車両全体の制動力が不足する。この場合には、液圧ブレーキ16〜19と並列に設けられた電動パーキングブレーキ20,21が作動させられることにより、車両全体の制動力不足が補われる。
電動パーキングブレーキ20,21では、取得された要求制動力が得られるように、電動モータ260への供給電流が制御される。電動モータ260の駆動によりケーブル240に張力が加えられると、それにより、レバー230が回動させられ、一対のブレーキシュー210a、210bが拡開させられ、ブレーキライニング216a,216bがドラム202の摩擦面204に押し付けられて、摩擦力が発生する。ブレーキライニング216a,216bの摩擦面204への押付力はケーブル240に加えられた張力、すなわち、電動モータ260の駆動力に応じた大きさであり、要求制動力に応じた大きさとなる。パーキングスイッチ322が操作されなくても、電動パーキングブレーキ20,21が作動させられるのであり、押付力が要求制動力が得られるように制御される。
制動力制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
図6に示すように、ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様である。)において、制動要求があるか否かが判定される。ストロークセンサ311による運転者のブレーキペダル10の操作ストロークが設定ストローク以上であるか否かによって、制動要求の有無が検知される。制動要求があれば、S2において、スタータスイッチ326がONかOFFかが判定される。スタータスイッチ326がONである場合には、S4が実行される。一方、スタータスイッチ326がOFFである場合には、S3において、バッテリの電圧低下が生じているか否かが判定される。電圧検出部330により検出されたバッテリの電圧が設定電圧以下となった場合に、電圧低下が生じたと判定される。スタータスイッチ326がONであるか、あるいは電圧低下が生じていれば、S4において、電子制御モードが自動で解除される。すなわち、ブレーキシリンダ22,23が動力液圧源14から遮断されて、マスタシリンダ12に連通させられる。S5において、シフト位置センサ328により検出されたシフトレバーの位置が、パーキング(P)レンジであるか否かが判定され、Pレンジであれば本プログラムの1回の実行が終了する。シフトレバーがPレンジにある場合には、前述のように、車両は停止しており、電動パーキングブレーキ20,21を作動させる必要性が低いためである。
シフトレバーがPレンジにない場合には、S7において、電動パーキングブレーキ20,21が作用状態にあるか否かが判定される。電動パーキングブレーキ20,21が作用していれば、S7の判定はYESであり、S8において、電動パーキングブレーキ20,21の解除操作が禁止され、S9において、電動パーキングブレーキ20,21の解除操作を禁止する旨が運転者に報知される。一方、電動パーキングブレーキ20,21が作用していなければ、S10において、電動パーキングブレーキ20,21が作用状態にされ、S11において、電動パーキングブレーキ20,21が作用状態にされる旨が運転者に報知される。
本実施例においては、パーキングブレーキ20,21がブレーキECU300によって自動で制御されるものであるため、S8およびS10が自動で行われる。これに代えて、S8およびS10を省略して、電動パーキングブレーキ20,21を作用状態にすべき旨または解除を禁止する旨が運転者に報知されることにより、運転者が電動パーキングブレーキ20,21を作用状態にしたり、解除操作をしないようにしたりすることも可能である。
また、制動要求があり、かつ、スタータスイッチ326がOFFで電圧低下が検知されていない場合、S12において、マスタ遮断弁29,30が閉状態とされてマニュアルモードから電子制御モードにされ、S13において、S8において実行された電動パーキングブレーキ20,21の解除禁止が解除される。そして、S14において、運転者によって電動パーキングブレーキ20,21の解除指令操作がなされたか否かが判定される。S14の判定がYESであれば、S15において、電動パーキングブレーキ20,21の解除が指令される。電動パーキングブレーキ20,21の解除については、別のプログラムにおいて実行されるものであるためここでは説明は省略する。S16において、電動パーキングブレーキ20,21が解除されたか否かが判定され、判定がNOであればS17が実行され、判定がYESであれば本プログラムの1回の実行が終了する。電動パーキングブレーキ20,21の解除指令から実際に解除されてS16の判定がYESとなるまでの間は、S16の判定はNOとなるため、S17以降が実行される。S17においてエンジンの始動が阻止され、S18においてシフトレバーがPレンジに固定される。S17では、スタータモータへ電流が流れないように制御されることによって、エンジンの始動が阻止される。また、S18では、トランスミッション装置がシフトバイワイヤ(シフト操作部材とトランスミッション装置とが機械的に連結されておらず、シフト操作部材の操作状態に応じて、トランスミッション装置が電気的に制御されるシステム)の場合は電気的にPレンジに固定され、マニュアルシフトの場合にはシフトレバーが機械的にPレンジから動かないようにされる。いずれの場合でも、S19において、エンジン始動阻止およびシフトPレンジ固定が運転者に報知される。パーキングブレーキ20,21の解除指令から実際に解除されるまでの間にS17〜S19が実行されている場合には、比較的短時間でS16の判定がYESとなって上記報知が解除される。しかし、電動パーキングブレーキ20,21が、作用状態から非作用状態に復帰できない効き故障状態である場合には、効き故障状態が解消されるまで報知が行われ続けるため、運転者にも効き故障が発生していることが判る。本実施例によれば、上記効き故障状態において、パーキングブレーキ20,21により制動されている車輪が制動力に抗して回転させられることが確実に回避される。
また、S1において、制動要求がないと判定されれば、上述のS13以降が実行される。
本実施例において、液圧ブレーキ16〜19が第一ブレーキを構成し、ブレーキECU300の液圧ブレーキ16〜19を制御する部分が第一ブレーキ制御部を構成している。そして、第一ブレーキおよび第一ブレーキ制御部が第一ブレーキ装置を構成している。また、電動パーキングブレーキ20,21が上記第一ブレーキと並列に設けられた第二ブレーキを構成し、ブレーキECU300の電動パーキングブレーキ20,21を制御する部分が第二ブレーキ制御部を構成している。第二ブレーキおよび第二ブレーキ制御部が第二ブレーキ装置を構成している。ストロークセンサ311およびブレーキECU300の制動力制御プログラムにおけるS1を実行する部分が、制動操作依拠制動要求検知部としての制動要求検知装置を構成している。第二ブレーキ作動関連装置は、上記第二ブレーキ制御部および報知部たる報知装置332を含むものである。ブレーキECU300において、S2を実行する部分がスタータスイッチ状態検知部を構成し、S8を実行する部分が第二ブレーキ解除禁止部を構成し、S10を実行する部分が第二ブレーキ作用指令部を構成し、S11を実行する部分が第二ブレーキ作用要求報知指令部を構成し、S9を実行する部分が第二ブレーキ解除禁止報知指令部を構成している。そして、上記S7,S8およびS10を実行する部分がスタータスイッチON時制御部を構成している。関連装置制御装置は、上記第二ブレーキ解除禁止部,第二ブレーキ作用指令部,第二ブレーキ作用要求報知指令部,第二ブレーキ解除禁止報知指令部を有する。スタータスイッチ326およびブレーキECU300のS2を実行する部分が、電圧低下検知装置の一形態である電装品状態依拠検知部を構成している。また、電圧検出部330と、ブレーキECU300のS3を実行する部分である判定部とが、別の形態の電圧低下検知装置を構成している。マスタ遮断弁29,30および液圧制御弁装置38が液圧制御装置を構成している。ブレーキECU300のS4を実行する部分が電圧低下時動力液圧源遮断部を構成している。ブレーキECU300のS17を実行する部分がエンジン始動阻止部を構成し、S18を実行する部分がパーキングレンジ固定部を構成している。これらエンジン始動阻止部とパーキングレンジ固定部とはそれぞれ、制動状態回転回避装置の各一形態である。
本実施例によれば、図7に示すように、電子制御モードで作動可能な状態において、制動要求があることが検知され、かつ、電源の電圧低下が生じているか低下する可能性が高いこと(例えば、スタータスイッチ326がON状態であること)と、電圧検出部330と前記判定部とによって電圧低下が生じたと判定されることとの少なくとも一方の場合に、電動パーキングブレーキ20,21が作用状態にあれば、その解除操作が禁止されて作用状態に保たれ(図7の1)に示す状態)、作用状態になければ作用状態とされる(図7の2)に示す状態)。したがって、液圧ブレーキ16,17の制動力が運転者の要求に対して不足することにより、車両全体の制動力が不足する場合に、電動パーキングブレーキ20,21によってその不足が補われ、車両全体の制動力不足が回避される。
上記実施例では、制動要求があり、かつ、スタータスイッチ326がON状態からOFF状態になることでマスタ遮断弁29,30が閉状態とされていたが、スタータスイッチ326がON状態からOFF状態になった後、さらに、エンジン回転数が設定値以上になった場合にマスタ遮断弁29,30が開状態から閉状態にされるようにしてもよい。
前記実施例では、マスタ遮断弁29,30の開閉は、スタータスイッチ326のON,OFF状態と、バッテリの電圧低下の検知の有無との両方に基づいて制御されていたが、いずれか一方のみで制御することも可能である。前記実施例の制動力制御プログラムにおいては、S2においてスタータスイッチ326がON状態であってスタータが作動状態であれば、S4において電子制御モードが自動で非制御状態と(解除)されたが、これは、電源たるバッテリが劣化していたり、あるいは、充電が十分行われていない等の状況下では、スタータの始動時にバッテリの電圧が低下する可能性が高いため、電子制御モードが解除されるのである。S3のように、バッテリの電圧を直接電圧検出部330により検出すれば、電圧低下の検知はより信頼性の高いものとなる。したがって、S2を省略してS3のみの実行によって電圧低下を検知する構成とすることも可能である。
前記実施例の制動力制御プログラムにおいては、S17においてエンジンの始動が阻止されるとともに、S18においてシフトレバーがPレンジに固定されるようにされていた。エンジン始動阻止部とパーキングレンジ固定部との一方が作動不能となっても、他方が作動可能であるというフェールセーフの観点から両ステップが設けられていたのであり、効き故障状態でブレーキにより制動されている車輪が回転させられることを確実に回避できるという利点がある。しかし、エンジン始動阻止部とパーキングレンジ固定部との一方のみを備える構成としてもよい。
前記実施例において、電動パーキングブレーキ20,21は、ケーブル式パーキングブレーキの一例であり、駆動源たる電動モータ260はこれら電動パーキングブレーキ20,21に共通とされていたが、各パーキングブレーキがそれぞれ駆動源を備える構成としてもよい。
前記実施例では、左右前後輪のブレーキシリンダ22〜25が動力液圧源14の液圧によって作動可能なものであるとともに、左右前輪のブレーキシリンダ22,23がマスタシリンダ12の液圧によっても作動可能なものであるとされていたが、左右後輪のブレーキシリンダ24,25を、マスタシリンダ12の液圧によっても作動可能なものとすることも可能である。
本発明の一実施例である車両用ブレーキシステムの回路図である。 上記ブレーキシステムの第一ブレーキ装置に含まれる常閉の電磁制御弁の断面図である。 上記ブレーキシステムの第一ブレーキ装置に含まれる常開の電磁制御弁の断面図である。 上記ブレーキシステムの電動パーキングブレーキの正面図である。 上記ブレーキシステムのケーブル入力装置を概念的に示す図である。 上記ブレーキシステムのブレーキECUに記憶された制動力制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキシステムによる制動力制御を説明するための図である。
符号の説明
12:マスタシリンダ 14:動力液圧源 16〜19:液圧ブレーキ 20,21:電動パーキングブレーキ 22〜25:ブレーキシリンダ 29,30:マスタ遮断弁 300:ブレーキECU 311:ストロークセンサ 326:スタータスイッチ 330:電圧検出部

Claims (5)

  1. 電源と、
    その電源から供給される電流により作動し、エンジンを始動させるスタータモータの作動を制御するスタータスイッチのON,OFFを検知するスタータスイッチ状態検知部と、
    運転者により操作されるブレーキ操作部材と、
    車両を制動する第一ブレーキと、前記電源から供給される電気エネルギにより作動して前記第一ブレーキを制御する第一ブレーキ制御部とを備え、前記電源の電圧が設定電圧より高い状態においては前記ブレーキ操作部材の操作に応じた制動力を発生させるが、前記電源の電圧が設定電圧以下の状態では、制動力は発生させるが、その制動力が、前記電源の電圧が前記設定電圧より高い状態に比較して低下する第一ブレーキ装置と、
    前記第一ブレーキと並列に設けられ、前記電源または前記電源とは異なる電源からの電流により作動させられる駆動源を備えて前記車両を制動するとともに前記駆動源への電流供給がない状態でも作用状態を保ち得、主としてパーキングブレーキ装置として機能する第二ブレーキと、その第二ブレーキの前記駆動源を制御する第二ブレーキ制御部とを備えた第二ブレーキ装置と、
    前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて運転者の制動要求の有無を検知する制動要求検知装置と、
    その制動要求検知装置と前記スタータスイッチ状態検知部との検知結果に基づいて、運転者の制動要求が有り、かつ、前記スタータスイッチがONの状態にある間は、前記第二ブレーキ制御部に前記第二ブレーキを作用状態に保たせることにより、前記電源の電圧の前記設定電圧以下への低下に起因する前記第一ブレーキ装置の制動力の低下の少なくとも一部を補うスタータスイッチON時制御部と
    を含む車両用ブレーキシステム。
  2. 前記第一ブレーキがブレーキシリンダにより作動するものであり、前記第一ブレーキ制御部が、
    前記ブレーキシリンダに接続され、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダと、
    動力によって液圧を発生させる動力液圧源と、
    前記ブレーキシリンダから前記マスタシリンダを遮断する一方、前記動力液圧源を連通させた状態で、その動力液圧源からブレーキシリンダに供給される液圧を前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御することにより、ブレーキシリンダに供給される液圧を、前記ブレーキ操作部材の操作に応じて前記マスタシリンダに発生させられる液圧より高い液圧に制御する液圧制御装置と
    を含み、かつ、前記スタータスイッチON時制御部が、前記運転者の制動要求が有り、かつ、前記スタータスイッチがONの状態にある間、前記ブレーキシリンダから前記動力液圧源を遮断する一方、前記マスタシリンダを連通させる請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 前記スタータスイッチON時制御部が、前記運転者の制動要求が有り、かつ、前記スタータスイッチがONの状態にある間は、前記第一ブレーキ装置の制動力と前記第二ブレーキ装置との制動力の和が、前記電源の電圧が前記設定電圧より高い状態における前記第一ブレーキ装置の制動力と等しくなるように、前記第二ブレーキ装置の前記駆動源を制御する手段を含む請求項1または2に記載の車両用ブレーキシステム。
  4. 前記第一ブレーキ装置が、走行中の車両を減速させ、あるいは停止させることを主目的とするサービスブレーキ装置である請求項2または3に記載の車両用ブレーキシステム。
  5. 前記スタータスイッチON時制御部が、車両のシフトレバーがパーキングレンジにある場合には作動しないものである請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用ブレーキシステム。
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