JP3275909B2 - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

車両用ブレーキシステム

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JP3275909B2
JP3275909B2 JP2000112470A JP2000112470A JP3275909B2 JP 3275909 B2 JP3275909 B2 JP 3275909B2 JP 2000112470 A JP2000112470 A JP 2000112470A JP 2000112470 A JP2000112470 A JP 2000112470A JP 3275909 B2 JP3275909 B2 JP 3275909B2
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  • Valves And Accessory Devices For Braking Systems (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ブレーキシ
ステムに関するものであり、特に、動力液圧源の液圧に
依存して作動するブレーキシリンダを備えた車両用ブレ
ーキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の車両用ブレーキシステムには、
例えば、特開平8−58563号公報に記載されている
ように、液圧ブースタ付マスタシリンダを備え、動力液
圧源の液圧に基づく液圧ブースタの作動により、ブレー
キペダルの踏力が助勢(倍力)されるブレーキシステム
がある。この動力液圧源は、ポンプおよびアキュムレー
タを備えており、ポンプによりリザーバから汲み上げら
れた作動液は、アキュムレータに加圧下に蓄積される。
液圧ブースタは、アキュムレータに蓄えられた作動液の
液圧であるアキュムレータ圧に基づいて作動し、踏力を
助勢する。この液圧ブースタ付マスタシリンダのマスタ
シリンダはタンデム式であり、直列に設けられた2つの
加圧室を有し、一方の加圧室に発生させられた液圧は前
輪ブレーキのブレーキシリンダに供給され、他方の加圧
室に発生させられた液圧は後輪ブレーキのブレーキシリ
ンダに供給され、液圧ブースタによって踏力が助勢され
ることにより、踏力が液圧ブースタによって助勢されな
い場合より高いマスタシリンダ圧がブレーキシリンダに
供給され、踏力の割りに大きいブレーキ作動力が得られ
る。
【0003】このように液圧ブースタを作動させるアキ
ュムレータ圧は、液圧ブースタの作動に伴って低下す
る。そのため、アキュムレータと液圧ブースタとを接続
する液通路の途中に圧力スイッチが設けられており、ア
キュムレータ圧が予め設定された下限圧以下に低下した
場合にON状態となってポンプモータに電流が供給さ
れ、ポンプが作動させられてアキュムレータに作動液が
補給されるようにされている。アキュムレータ圧が予め
設定された上限圧に達すれば、圧力スイッチがOFF状
態となり、設定時間経過後、ポンプモータへの電流供給
が遮断され、ポンプが停止させられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかしながら、上記公報に記載の車両用ブレーキシ
ステムにおいては、ポンプ駆動エネルギの無駄およびポ
ンプの耐久性低下の問題が生ずる。例えば、後輪ブレー
キ系統あるいは前輪ブレーキ系統の一方に液漏れが生
じ、液漏れが生じた系統のブレーキが正常に作動しなく
なった場合、液漏れが生じていない正常なブレーキ系統
に属するブレーキの作動によって運転者が意図する制動
力を得るために液圧ブースタに高い液圧が供給されるこ
とが望ましい。運転者の踏力がブレーキ系統に失陥が生
じていない場合より大きくされるのであるが、その大き
な踏力も倍力されるように液圧ブースタに供給される液
圧が高くされることが望ましいのである。そのため、ア
キュムレータに蓄積される作動液の液圧の上限を高くし
ておけば、ブレーキ系統の失陥時にも踏力に応じた助勢
力ないし制動力が得られる。しかしながら、そのように
高いアキュムレータ圧は、常時、必要とされるわけでは
なく、ブレーキ系統の失陥が生じていない状態では、ア
キュムレータ圧の上限が高い分、ポンプの駆動に無駄な
エネルギが消費されることとなる。また、このように高
い液圧をアキュムレータに蓄えるべく、ポンプが作動さ
せられれば、ポンプの耐久性が低下する。
【0005】この問題は、アキュムレータを含まない動
力液圧源についても同様に生ずる。アキュムレータを含
まない動力液圧源においては、例えば、ポンプの吐出圧
がブレーキ操作量に応じた高さに制御されてブレーキシ
リンダに供給される。その場合、ブレーキ操作量に対し
て得られるポンプの吐出圧を、ブレーキ系統の失陥に備
えて、ブレーキ系統に失陥が生じていない状態において
の制動に適した大きさより高く設定しておけば、ブレー
キ系統が失陥しても、正常なブレーキ系統に属するブレ
ーキの作動により、十分な制動力が得られる。しかしな
がら、通常は、ポンプの吐出圧が高くされる分、ポンプ
の駆動に無駄なエネルギが消費され、また、ポンプの耐
久性が低下する。
【0006】本発明は、以上の事情を背景とし、少なく
ともポンプを有する動力液圧源の液圧に依存して作動す
るブレーキシリンダを含む車両用ブレーキシステムにお
いて、ポンプ駆動エネルギの無駄およびポンプの耐久性
低下が抑えられる車両用ブレーキシステムを提供するこ
とを課題としてなされたものであり、本発明によって、
下記各態様の車両用ブレーキシステムが得られる。各態
様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、
必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。
これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであ
り、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わ
せが以下の各項に記載のものに限定されると解釈される
べきではない。また、一つの項に複数の事項が記載され
ている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなけ
ればならないわけではない。一部の事項のみを選択して
採用することも可能なのである。 (1)少なくともポンプを有する動力液圧源と、そのポ
ンプを制御するポンプ制御装置と、複数のブレーキをそ
れぞれ作動させる複数のブレーキシリンダであって、少
なくとも一部のものが前記動力液圧源の液圧に依存して
作動するものと、前記複数のブレーキのうちの予め定め
られたものの制動機能が設定機能以下に低下したことを
検出する制動機能低下検出装置とを含み、かつ、前記ポ
ンプ制御装置が、前記制動機能低下検出装置により機能
低下が検出された場合に前記ポンプの作動を増強するポ
ンプ作動増強部を含む車両用ブレーキシステム(請求項
1)。上記「動力液圧源の液圧に依存して作動するも
の」には、動力液圧源から制御された液圧で供給される
作動液により作動するブレーキシリンダや、動力液圧源
の高圧が液圧制御弁装置により制御された液圧により作
動するブレーキシリンダや、例えば液圧ブースタを備え
たマスタシリンダから供給される作動液やマスタシリン
ダにおいて加圧された上さらにポンプによって加圧され
た作動液のように、動力液圧源の液圧により補助された
液圧により作動するブレーキシリンダ等が該当する。ブ
レーキシステムは、運転者によるブレーキ操作部材の操
作に応じて作動するものでも、例えば、先行車両との車
間距離を自動で適切な大きさに保ったり、走行速度を自
動で設定速度に保つ等の自動車速制御、車両加速時に車
輪スリップが過大となることを防止するトラクション制
御,非制動時におけるビークルスタビリティ制御等、自
動で作動するものでも、両方を兼ねたものでもよい。制
動機能の低下は、例えば、液漏れ等によるブレーキ系統
の失陥,ウォータフェードあるいはヒートフェードの発
生によるブレーキの摩擦材の摩擦係数の低下により生ず
る。ポンプは、通常は、作動を増強されない状態で作動
させられるが、予め定められたブレーキの制動機能が設
定機能以下に低下すれば、ポンプ作動増強部によってポ
ンプの作動が増強され、ブレーキの制動機能が設定機能
以下に低下していないブレーキに、制動機能が低下した
ブレーキがない場合より大きい制動力を生じさせること
ができる。ポンプの作動は、ブレーキの制動機能が設定
機能以下に低下していない場合には増強されず、ブレー
キの制動機能が設定機能以下に低下した場合にのみ増強
されるため、ポンプの駆動に無駄なエネルギが消費され
ることがなく、また、耐久性の低下が抑制される。上記
のようにブレーキシリンダおよびブレーキシステムには
種々の態様があり、後に説明するように、それに応じて
ポンプの作動増強の態様は異なるが、いずれにしても、
ブレーキの制動機能の低下時にポンプの作動を増強する
ことにより、ポンプ駆動エネルギの無駄および耐久性の
低下を抑えつつ、ブレーキの制動機能の低下に対処する
ことができる。「複数のブレーキのうち予め定められた
もの」は、例えば、複数のブレーキシリンダのうちの一
部が、動力液圧源の液圧に依存して作動するものであ
り、他が動力液圧源の液圧に依存しないで作動するもの
である場合に、後者のブレーキシリンダを備えたブレー
キとすることができる。動力液圧源の液圧に依存しない
で作動するブレーキシリンダにより作動するブレーキの
制動機能が設定機能以下に低下した場合、ポンプの作動
を増強すれば、動力液圧源の液圧に依存しており、か
つ、制動機能の低下が検出されていないブレーキによっ
て大きい制動力を得ることが可能であるからである。ま
た、「複数のブレーキのうち予め定められたもの」を、
動力液圧源の液圧に依存して作動するブレーキシリンダ
を備えたブレーキの一部のものとすることも可能であ
る。その一部のものの制動機能の低下が検出された場合
に、ポンプの作動を増強すれば、動力液圧源の液圧に依
存するブレーキの他のものによって大きい制動力を得る
ことが可能であるからである。複数のブレーキシリンダ
の全部が動力液圧源の液圧に依存して作動するものであ
る場合に、複数のブレーキの全部について制動機能の低
下を検出し、一つでもブレーキの制動機能が設定機能以
下に低下すれば、ポンプの作動が増強されるようにする
ことも可能である。しかし、そのようにすれば、ポンプ
の作動が増強される可能性が高くなって、騒音やエネル
ギ消費量が増大し、ポンプの寿命が短くなり、あるいは
耐久性の高いものとすることが必要となってコストが高
くなる。それに対し、本態様においては、複数のブレー
キのうちの予め定められたものについて制動機能の低下
が検出され、その検出に応じてポンプの作動が増強され
るため、ポンプの作動が増強される可能性が高くなり過
ぎることがない。例えば、複数のブレーキについて制動
力配分が異ならされている場合に、制動力配分が小さい
ブレーキについて制動機能が設定機能以下に低下して
も、車両の制動には、制動力配分が大きいブレーキによ
って得られる制動力で足りるため、ポンプの作動を増強
する必要性に乏しい。それに対し、制動力配分が大きい
ブレーキを予め定められたブレーキとし、そのブレーキ
の制動機能の低下が検出されたならば、ポンプの作動が
増強されるようにすることは効果的である。制動力配分
が小さいブレーキに通常時より大きい制動力を生じさせ
ることにより、車両全体としての制動力を制動力配分が
大きいブレーキの制動機能の低下していない場合の制動
力に近づけることができるからである。 (2)車両の運転者により操作されるブレーキ操作部材
と、少なくともポンプを有する動力液圧源と、前記ポン
プを制御するポンプ制御装置と、それぞれ複数のブレー
キを作動させる複数のブレーキシリンダであって、少な
くとも一つが、前記動力液圧源から供給され、前記ブレ
ーキ操作部材の操作量に応じた液圧の作動液により作動
するものと、前記複数のブレーキのうちの予め定められ
たものの制動機能が設定機能以下に低下したことを検出
する制動機能低下検出装置とを含み、かつ、前記ポンプ
制御装置が、前記制動機能低下検出装置により機能低下
が検出された場合に前記ポンプの作動を増強するポンプ
作動増強部を含む車両用ブレーキシステム(請求項
2)。ブレーキ操作部材には、例えば、運転者の足によ
って踏込み操作されるブレーキペダルや、手によって操
作されるレバーがあり、ブレーキ操作量には、例えば、
ブレーキ操作力たる踏力あるいはブレーキ操作ストロー
クたる踏込ストロークがある。ブレーキシリンダを作動
させる動力液圧源の液圧は、例えば、 (a)運転者のブレ
ーキ操作部材の操作に基づいて機械的に操作量に応じた
高さに制御され、あるいは (b)電気的にブレーキ操作量
に応じた高さに制御される。 (b)の場合、動力液圧源が
アキュムレータを備えているのであれば、例えば、アキ
ュムレータの液圧であるアキュムレータ圧が液圧制御弁
装置により、ブレーキ操作量に応じた高さに制御され、
アキュムレータを備えていなければ、ポンプの吐出圧そ
のものがブレーキ操作量に応じた高さに制御され、ある
いはポンプの吐出圧が液圧制御弁装置によってブレーキ
操作量に応じた高さに制御される。ブレーキの制動機能
が低下した場合、 (a)の場合には、運転者は意図する制
動力を得るべく、ブレーキ操作量を増大させ、ポンプの
作動増強により、その操作量に応じた制動力が得られ
る。ポンプの作動増強は、動力液圧源がアキュムレータ
を有するのであれば、例えば、アキュムレータに蓄積さ
れる作動液の液圧範囲を変更することにより為される。
(b)の場合、例えば、ブレーキ操作量に応じてポンプ吐
出圧または液圧制御弁装置の制御目標値が決定される
が、ポンプの作動増強は、例えば、制御目標値を、ブレ
ーキ操作量に応じて設定される制御目標値より大きくす
ることにより為される。動力液圧源がアキュムレータを
有するのであれば、制御目標値の変更に加えて、アキュ
ムレータに蓄積される作動液の液圧範囲を変更すること
により為され、運転者の操作量の増大を抑えつつ、制動
機能が低下していない場合と同様の、あるいはそれに近
い制動力が得られる。これらポンプの作動増強は、ブレ
ーキの制動機能の低下時のみに行われ、ポンプ駆動エネ
ルギの無駄およびポンプの耐久性の低下を抑えつつ行わ
れる。 (3)前記複数のブレーキシリンダが、少なくとも2系
統の互いに独立した液通路に接続されており、前記複数
のブレーキのうちの前記予め定められたものが、それら
少なくとも2系統のうちの予め定められた系統に属する
ブレーキである (1)項または (2)項に記載の車両用ブレ
ーキシステム。複数のブレーキシリンダが少なくとも2
系統の互いに独立した液通路に接続されている場合に
は、各系統毎に失陥が発生することが多く、また、複数
系統の液圧同士を比較することにより失陥を容易に検出
することができる。しかも、ポンプの作動を増強するこ
とにより、失陥していない系統の制動機能を高めても、
車両の左右の制動力に大きなアンバランスが生じる可能
性が低い。複数のブレーキシリンダが複数系統に分けら
れる場合には、そのように分けられるのが普通であるか
らである。 (4)前記設定機能がほぼ零であり、制動機能低下検出
装置が前記複数のブレーキのうちの前記予め定められた
ものが実質的に作動不能に陥った場合に機能低下を検出
するものである (1)項ないし (3)項のいずれか一つに記
載の車両用ブレーキシステム。本態様によれば、ブレー
キの失陥が検出される。 (5)車両の運転者により操作されるブレーキ操作部材
と、少なくともポンプを有する動力液圧源と、前記ポン
プを制御するポンプ制御装置と、前記動力液圧源から供
給され、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧に
制御された作動液により作動するブレーキシリンダを備
えたブレーキと、そのブレーキの制動効果を検出する制
動効果検出装置とを含み、かつ、前記ポンプ制御装置
が、前記制動効果検出装置により検出された実際の制動
効果が、前記ブレーキ操作部材の操作量に対応した目標
制動効果より設定制動効果差以上小さい場合に、前記ポ
ンプの作動を増強するポンプ作動増強部を含む車両用ブ
レーキシステム。ブレーキの制動効果は、例えば、車体
減速度,制動トルク等の検出により取得される。車体減
速度は、加速度センサ(減速度センサ)によって検出さ
れるものでも、車輪速度に基づいて取得される車体速度
の時間的変化勾配として演算されるものでもよい。実際
の制動効果が目標制動効果より設定制動効果差以上小さ
い事態は、例えば、ブレーキないしブレーキ系統の失
陥,フェードの発生,積載荷重が大きいこと等により生
ずる。制動効果は、ブレーキのように、制動力を生じさ
せる車両構成要素の異常の影響のみならず、積載荷重の
ように車両の状態の影響も受けて変化するからである。
本態様によれば、ポンプの作動増強は、例えば、 (2)項
に記載の車両ブレーキシステムと同様に行われ、ブレー
キの制動機能の低下以外の原因によって実際の制動効果
が目標制動効果より設定制動効果差以上小さい事態が生
じても、ポンプの作動増強によりブレーキシリンダの液
圧を高め、制動効果差を小さくすることができる。 (6)車両の運転者により操作されるブレーキ操作部材
と、少なくともポンプを有する動力液圧源と、前記ポン
プを制御するポンプ制御装置と、複数のブレーキをそれ
ぞれ作動させる複数のブレーキシリンダであって、それ
らの少なくとも一つが前記動力液圧源から供給され、前
記ブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧に制御された
作動液により作動するものと、前記車両全体の制動効果
を検出する制動効果検出装置とを含み、前記ポンプ制御
装置が、前記制動効果検出装置により検出された実際の
制動効果が、前記ブレーキ操作部材の操作量に対応した
目標制動効果より設定制動効果差以上小さい場合に、前
記ポンプの作動を増強するポンプ作動増強部を含む車両
用ブレーキシステム(請求項3)。本態様によれば、例
えば、動力液圧源から作動液が供給されるブレーキ以外
のブレーキにフェードが発生しても対応することができ
る。この場合、ポンプの作動増強により、動力液圧源か
ら作動液が供給されるブレーキの効きが増大し、車両全
体として制動能力を高めることができる。 (7)前記設定制動効果差が、前記ブレーキにフェード
が発生した場合における制動効果の低下量に基づいて設
定されたフェード対応効果差と、前記車両の積載重量の
増大に基づく制動効果の低下量に基づいて設定された積
載重量対応効果差との少なくとも一方を含む (5)項また
は (6)項に記載の車両用ブレーキシステム(請求項
4)。設定制動効果差は複数段階に設定されるようにす
ることができ、その場合は、段階に応じてポンプ作動の
増強程度を変えることが望ましい。 (8)ブレーキ操作力に基づいて液圧を発生させるマス
タシリンダと、少なくともポンプを有する動力液圧源
と、前記ポンプを制御するポンプ制御装置と、前記マス
タシリンダから供給される作動液により作動する第一ブ
レーキシリンダを備えた第一ブレーキ系統と、前記動力
液圧源から供給され、前記マスタシリンダの液圧と予め
定められた関係を保つ液圧に制御された作動液により作
動する第二ブレーキシリンダを有する第二ブレーキ系統
とを含み、かつ、前記ポンプ制御装置が、前記第一ブレ
ーキ系統の液圧と前記第二ブレーキ系統の液圧との実際
の関係が、前記予め定められた関係から予め定められた
量以上外れた場合に、前記ポンプの作動を増強するポン
プ作動増強部を含む車両用ブレーキシステム(請求項
5)。ポンプ作動増強部は、例えば、第一ブレーキ系統
の液圧と第二ブレーキ系統の液圧との差の絶対値が設定
値以上となった場合にポンプの作動を増強するものとす
ることができる。このようにすれば、ブレーキシステム
の部分的失陥と、フェード,積載荷重大との両方に対処
し得る。 (9)前記マスタシリンダが、シリンダハウジングと、
それに液密に嵌合されて自身の前方の加圧室の作動液を
加圧する加圧ピストンとを備え、当該車両用ブレーキシ
ステムが、前記動力液圧源から供給され、前記マスタシ
リンダの液圧と予め定められた関係を保つ液圧に制御さ
れた前記作動液により作動し、前記加圧ピストンに前進
方向の助勢力を与える助勢装置を含む (8)項に記載の車
両用ブレーキシステム。動力液圧源の液圧は、例えば、
踏力が一定の比率で倍力される大きさに制御される。 (10)前記第二ブレーキ系統の液通路が、前記助勢装
置の助勢圧室と前記第二ブレーキシリンダとを接続する
液通路を含む (9)項に記載の車両用ブレーキシステム。
本態様によれば、第二ブレーキ系統に属する第二ブレー
キシリンダが、助勢圧室に発生させられた液圧である助
勢圧により作動させられる。助勢圧は、ブレーキ操作力
を助勢する役割と、ブレーキを作動させる役割との両方
を果たす。 (11)前記助勢装置と、前記マスタシリンダと、前記
動力液圧源から供給される作動液の液圧を、前記マスタ
シリンダの液圧と予め定められた関係を有する液圧に制
御する液圧制御装置とを互いに直列かつ同軸に備えた助
勢装置付マスタシリンダを含む (9)項または(10)項に記
載の車両用ブレーキシステム。本態様によれば、助勢装
置付マスタシリンダをコンパクトに構成することができ
る。 (12)前記動力液圧源が、前記ポンプから圧送された
作動液を加圧下に蓄積するアキュムレータを含む (1)項
ないし(11)項のいずれか一つに記載の車両用ブレーキシ
ステム。動力液圧源がアキュムレータを含むものとすれ
ば、例えば、アキュムレータに蓄積された作動液によ
り、ブレーキを遅れなく作動開始させることができる。
また、ポンプを容量の小さいものとし、コストを低減さ
せることが可能である。 (13)前記ポンプ作動増強部が、前記ポンプの起動条
件と停止条件との少なくとも一方を変更する起動停止条
件変更部を含む(12)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。 (14)前記ポンプ制御装置が、前記アキュムレータの
液圧が下限圧まで減少した場合に前記ポンプを起動さ
せ、上限圧まで増大した場合に停止させるポンプ起動停
止制御部を含み、前記起動停止条件変更部が、前記下限
圧と前記上限圧との少なくとも一方を増大させる限界圧
増大部を含む(13)項に記載の車両用ブレーキシステム。
上限圧を増大させれば、高いアキュムレータ圧の要求に
対応することができ、一部ブレーキの制動機能低下に起
因する車両全体としての制動機能低下を防止または抑制
することができる。上限圧に加えて下限圧を増大させれ
ば、より良く、大きい制動力の発生要求に応えることが
できる。また、上限圧のみを増大させれば、アキュムレ
ータに蓄積される作動液の液圧範囲が広くなり、アキュ
ムレータの作動液が多量に消費されても、アキュムレー
タ圧は下限圧より低くなり難く、ポンプが頻繁に作動開
始、停止させられることが回避され、ポンプの寿命低下
がより効果的に防止されるとともに、ポンプ作動による
騒音の発生が少なくて済む。 (15)前記ポンプ制御装置が、前記アキュムレータの
液圧が下限圧まで減少した場合に前記ポンプを起動さ
せ、上限圧まで増大した場合に停止させるポンプ起動停
止制御部を備え、かつ、前記起動停止条件変更部が、当
該車両用ブレーキシステムの作動開始と同時に前記ポン
プを起動させる特別ポンプ起動部を備える(13)項または
(14)項に記載の車両用ブレーキシステム。本態様によれ
ば、ブレーキの制動機能が設定機能以下に低下した場合
や、制動効果が小さい場合、アキュムレータの液圧が下
限圧まで減少しているか否かに関係なく、車両用ブレー
キシステムの作動開始と同時にポンプが起動させられ、
ブレーキの制動機能の低下時等における制動要求に応え
ることが可能である。 (16)前記ポンプ制御装置が、前記アキュレータの液
圧が下限圧まで減少した場合に前記ポンプを起動させ、
上限圧まで増大した場合に停止させるポンプ起動停止制
御部を備え、かつ、前記起動停止条件変更部が、前記ポ
ンプを、前記アキュムレータの液圧が前記上限圧まで増
大しても停止させず、当該車両用ブレーキシステムの作
動終了時に停止させる特別ポンプ停止部を含む(13)項な
いし(15)項のいずれか一つに記載の車両用ブレーキシス
テム。本態様によれば、ブレーキの制動機能の設定機能
以下の低下や制動効果の減少が生じた場合、ポンプが一
旦、作動を開始させられれば、車両用ブレーキシステム
の作動が終了させられるまで作動させられ続け、ポンプ
作動開始後、ブレーキの作動の必要がある間、その作動
に要する作動液がアキュムレータに加圧下に蓄積され続
け、制動要求に応えることが可能である。 (17)前記ポンプ作動増強部が、ポンプ制御条件をポ
ンプの吐出圧が増大する向きに変更するポンプ制御条件
変更部を含む (1)項ないし(16)項のいずれか一つに記載
の車両用ブレーキシステム。ポンプの吐出圧は、例え
ば、ポンプ吐出圧の制御目標値を設定してポンプを作動
させるのであれば、その制御目標値を、ポンプの作動増
強を必要としない場合に比較して高く設定することによ
り、増大させられる。 (18)前記ポンプ作動増強部が、前記ポンプの作動時
間と作動速度との少なくとも一方を増大させる手段を含
む (1)項ないし(17)項のいずれか一つに記載の車両用ブ
レーキシステム。 (19)前記ポンプ作動増強部が、前記ポンプへの供給
エネルギを増大させるエネルギ増大部を含む (1)項ない
し(18)項のいずれか一つに記載の車両用ブレーキシステ
ム。 (20)前記ポンプ作動増強部が、前記第一ブレーキ系
統の液圧と前記第二ブレーキ系統の液圧との実際の関係
が、前記予め定められた関係から予め定められた量以上
外れた時点に、前記ポンプを起動させる特別ポンプ起動
部を含む (8)項に記載の車両用ブレーキシステム。本項
の特徴は、前記 (1)項, (2)項, (5)項および (6)項の
発明にも適用可能である。 (21)前記動力液圧源がアキュムレータを備えず、前
記ポンプ制御装置が、前記ポンプを駆動する電動モータ
への供給電力を予め定められた規則に基づいて制御する
電力制御部を備え、前記ポンプ作動増強部が、前記電力
制御部に前記規則に従う場合より大きい電力を供給させ
る供給電力増大部を含む (1)項ないし(11)項のいずれか
一つに記載の車両用ブレーキシステム。本態様のシステ
ムは、例えば、動力液圧源から制御された液圧で供給さ
れる作動液により作動するブレーキシリンダを含むもの
とされる。この場合、電力制御部が供給電力を制御する
規則は、例えば、ポンプの吐出圧をブレーキ操作量等の
制動要求量に応じた高さに制御する規則であり、電力の
増大は、例えば、制御目標値の増大により為される。 (22)ポンプおよびポンプから圧送された作動液を加
圧下に収容するアキュムレータを有する動力液圧源と、
そのポンプを制御するポンプ制御装置と、複数のブレー
キをそれぞれ作動させる複数のブレーキシリンダであっ
て、少なくとも一部のものが前記動力液圧源の液圧に依
存して作動するものとを含み、かつ、前記ポンプ制御装
置が、前記アキュムレータの液圧が下限圧まで減少した
場合に前記ポンプを起動させ、上限圧まで増大した場合
に停止させるポンプ起動停止制御部と、当該車両用ブレ
ーキシステムの作動開始と同時に前記ポンプを起動させ
る特別ポンプ起動部とを含む車両用ブレーキシステム。
本項の特徴は、 (1)項ないし(14)項,(16)項ないし(21)
項に記載の各特徴と共に採用可能である。本態様によれ
ば、例えば、ポンプが作動させられてもアキュムレータ
に定められた液圧範囲の作動液を蓄積させることが容易
ではない事態、例えば、電源の電圧低下が生じ、ポンプ
の回転数が少ない場合にも、常時、アキュムレータへの
作動液の蓄積が行われることにより、アキュムレータに
作動液がなくなったり、蓄積された作動液の液圧が低い
状態のままとされることが回避される。 (23)ポンプおよびポンプから圧送された作動液を加
圧下に収容するアキュムレータを有する動力液圧源と、
そのポンプを制御するポンプ制御装置と、複数のブレー
キをそれぞれ作動させる複数のブレーキシリンダであっ
て、少なくとも一部のものが前記動力液圧源の液圧に依
存して作動するものとを含み、かつ、前記ポンプ制御装
置が、前記アキュムレータの液圧が下限圧まで減少した
場合に前記ポンプを起動させ、上限圧まで増大した場合
に停止させるポンプ起動停止制御部と、前記ポンプを、
前記アキュムレータの液圧が前記上限圧まで増大しても
停止させず、当該車両用ブレーキシステムの作動終了時
に停止させる特別ポンプ停止部とを含む車両用ブレーキ
システム。本項の特徴は、 (1)項ないし(15)項,(17)項
ないし(22)項に記載の特徴と共に採用可能である。本態
様によれば、アキュムレータに作動液を加圧下に蓄積す
ることが容易ではない事態、例えば、電源の電圧低下が
生じても、ポンプが一旦、作動を開始させられれば、ブ
レーキシステムが作動している間、作動させられ続け、
制動要求に応えることが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本車両用
ブレーキシステムが搭載された車両はハイブリッド車で
あり、駆動輪としての左,右の前輪10,12は、電気
的駆動装置14と内燃駆動装置16とを含む駆動装置1
8によって駆動される。駆動装置18の駆動力はドライ
ブシャフト24,26を介して、前輪10,12に伝達
される。
【0008】内燃駆動装置16は、エンジン30および
エンジン30の作動状態を制御するエンジンECU32
等を含むものであり、電気的駆動装置14は、電動モー
タ34,バッテリ36,発電機38,電力変換装置4
0,モータECU42,動力分割機構44等を含むもの
である。動力分割機構44は、図示しないが、遊星歯車
装置を含むものであり、サンギヤに発電機38が連結さ
れ、リングギヤに出力部材46が接続されるとともに電
動モータ34が連結され、キャリヤにエンジン30の出
力軸が連結される。エンジン30,電動モータ34,発
電機38等の制御により、出力部材46に電動モータ3
4の駆動トルクのみが伝達される場合とエンジン30の
駆動トルクと電動モータ34の駆動トルクとの両方が伝
達される場合とに切り換えられる。出力部材46に伝達
された駆動力は、減速機,差動装置を介してドライブシ
ャフト24,26に伝達される。
【0009】電力変換装置40は、インバータ等を含む
ものであり、モータECU42によって制御される。イ
ンバータによる電流制御により、電動モータ34がバッ
テリ36から電気エネルギが供給されて回転させられる
回転駆動状態と、回生制動により発電機として機能する
ことによりバッテリ36に電気エネルギを充電する充電
状態とに切り換えられる。充電状態においては、前輪1
0,12に回生制動トルクが加えられる。したがって、
電気的駆動装置14は、電動モータ34の回生制動によ
り前輪10,12に回生制動トルクを加える回生制動装
置であると考えることができる。モータECU42は、
電力変換装置40をハイブリッドECU48からの指令
に基づいて制御する。
【0010】本車両には、摩擦制動装置としての液圧制
動装置50が設けられ、回生制動装置と共にブレーキシ
ステムを構成している。液圧制動装置50は、図2に示
すように、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル52,
前輪10,12にそれぞれ設けられた前輪ブレーキ5
6,58,左,右の後輪60,62にそれぞれ設けられ
た後輪ブレーキ64,66,リニア液圧制御弁装置6
8,アンチロック制御用液圧制御弁装置70,72,7
4,75,動力液圧源76,助勢装置付マスタシリンダ
たる液圧ブースタ付マスタシリンダ78等を含む。本実
施形態では、前輪ブレーキ56,58は、ディスクブレ
ーキとされており、前輪10,12に設けられたブレー
キ56,58のシリンダであるフロントホイールシリン
ダ80,82を含む。また、後輪ブレーキ64,66は
ドラムブレーキとされており、後輪60,62に設けら
れたブレーキ64,66のシリンダであるリヤホイール
シリンダ84,86を含む。これらブレーキ56,5
8,64,66は、作動液の供給によってホイールシリ
ンダ80〜86が作動させられ、摩擦材が、車輪と共に
回転する回転体たるディスクロータ,ブレーキドラムに
押し付けられる。それにより車輪10,12,60,6
2に液圧制動トルクが加えられて回転が抑制される。前
輪10,12には、液圧制動トルクと回生制動トルクと
の少なくとも一方が加えられて回転が抑制される。
【0011】動力液圧源76は、ポンプ装置90,アキ
ュムレータ92およびマスタリザーバ94等を含む。ポ
ンプ装置90は、ポンプ100,ポンプ100を駆動す
るポンプモータ102,逆止弁104,リリーフ弁10
6等を含む。ポンプモータ102は、駆動源ないし動力
源の一種である電動モータにより構成されている。マス
タリザーバ94は、マスタリザーバ通路108によりポ
ンプ100の吸入口に接続されており、マスタリザーバ
94から作動液が汲み上げられてアキュムレータ92に
加圧下に蓄えられる。ポンプ100は、ギヤポンプによ
り構成されても、プランジャポンプにより構成されても
よい。
【0012】液圧ブースタ付マスタシリンダ78は、助
勢装置たる液圧ブースタ120,マスタシリンダ122
および液圧制御装置124を含む。マスタシリンダ12
2は、シリンダハウジング130と、そのシリンダハウ
ジング130に液密かつ摺動可能に嵌合された加圧ピス
トン132とを備え、加圧ピストン132の前方に加圧
室134が形成されている。加圧室134内には付勢装
置たる圧縮コイルスプリングにより構成されたリターン
スプリング136が配設されており、ブレーキペダル5
2が踏み込まれれば、加圧ピストン132はリターンス
プリング136を圧縮しつつ前進し、加圧室134の作
動液を加圧して液圧を発生させる。加圧室134に発生
させられる液圧をマスタシリンダ圧と称する。
【0013】液圧ブースタ120は、シリンダハウジン
グ130内に加圧ピストン132の後方(ブレーキペダ
ル52側)に液密かつ摺動可能に嵌合されたパワーピス
トン140と、パワーピストン140の後方に設けられ
た助勢圧室たるブースタ圧室142とを含む。パワーピ
ストン140は、加圧ピストン132と同軸に設けられ
ているのであり、オペレーティングロッド144を介し
てブレーキペダル52が連携させられている。
【0014】液圧制御装置124は、アキュムレータ9
2から供給される作動液の液圧を、ブレーキペダル52
の操作量である踏力に応じた高さであって、本実施形態
では、マスタシリンダ圧にほぼ等しい高さに制御する。
アキュムレータ圧は、マスタシリンダ圧と予め定められ
た関係を保つ液圧に制御されるのである。液圧制御装置
124は、液圧調節用ピストン150と、切換弁ないし
制御弁たるスプールバルブ152と、反力付与装置15
4とを含む。液圧調節用ピストン150は、シリンダハ
ウジング130の加圧ピストン132の前方に液密かつ
摺動可能に嵌合されている。液圧調節用ピストン150
は、加圧ピストン134と同軸に設けられているのであ
る。
【0015】液圧調節用ピストン150は、前記加圧室
134を画定し、前記リターンスプリング136は、加
圧ピストン132と液圧調節用ピストン150との間に
設けられており、加圧ピストン132に加えられる力が
リターンスプリング136を介して液圧調節用ピストン
150に伝達される。液圧調節用ピストン150の前方
に調圧室156が形成され、液圧調節用ピストン150
は調圧室156内に配設されたリターンスプリング15
8により後方へ付勢されている。このリターンスプリン
グ158のセット荷重は、前記リターンスプリング13
6のセット荷重より小さくされている。調圧室156
は、液通路160によってブースタ圧室142に連通さ
せられ、液圧調節用ピストン150には、マスタシリン
ダ圧と、調圧室156のの液圧であるブースタ圧室14
2に発生させられた液圧であるブースタ圧とが互いに逆
向きに作用する。
【0016】前記スプールバルブ152は、液圧調節用
ピストン150の前方に同軸に設けられ、液圧調節用ピ
ストン150に直結されており、液圧調節用ピストン1
50の移動によってスプールバルブ152が作動し、調
圧室156がポート162,液通路164によってアキ
ュムレータ92に連通させられる状態と、ポート16
6,マスタリザーバ通路168によってマスタリザーバ
94に連通させられる状態と、いずれにも連通させられ
ない状態とが得られる。ポート162はまた、液通路1
69によってマスタリザーバ94に接続されている。液
通路169は、液通路164に接続されてポート162
に接続されており、液通路169の液通路164との接
続部よりマスタリザーバ94側の部分に前記リリーフ弁
106が設けられている。前記反力付与装置154は、
液通路160の途中に設けられた圧力室170,それぞ
れスプールバルブ152と同軸に設けられたリアクショ
ンディスク172およびリアクションロッド174を含
む。液圧ブースタ120,マスタシリンダ122,液圧
制御装置124は互いに直列に同軸に設けられているの
である。
【0017】ブレーキペダル52が踏み込まれない状態
では、図2に示すように、加圧ピストン132,パワー
ピストン140,液圧調節用ピストン150は後退端位
置にあり、加圧室132,調圧室156,ブースタ圧室
142は、いずれもマスタリザーバ94に連通させられ
ている。ブレーキペダル52が踏み込まれれば、オペレ
ーティングロッド144,パワーピストン140から加
圧ピストン132に前進方向の力が伝達される。加圧ピ
ストン132を後退方向に付勢するリターンスプリング
136のセット荷重は、液圧調節用ピストン150を後
退方向に付勢するリターンスプリング158のセット荷
重より大きくされているため、加圧ピストン132が液
圧調節用ピストン150に対して前進させられる前に、
液圧調節用ピストン150がリターンスプリング158
を圧縮しつつ前進させられ、スプールバルブ152が前
進させられる。スプールバルブ152は、マスタリザー
バ94とブースタ圧室142との経路を閉じ、アキュム
レータ92とブースタ圧室142との経路を開き、ブー
スタ圧室142に液圧が供給され、ブレーキペダル52
の踏力を倍力する。ブースタ圧に基づく力がリターンス
プリング136のセット荷重に打ち勝つに至れば、加圧
ピストン132はリターンスプリング136を圧縮しつ
つ前進し、加圧室134に液圧が発生させられる。この
作動初期には、リアクションディスク172にかかる圧
力が小さく、リアクションロッド174を介してスプー
ルバルブ152に戻り力が加えられることはない。
【0018】マスタシリンダ圧が増大すれば、リアクシ
ョンディスク172にかかる圧力が大きくなり、変形し
てリアクションロッド174を介してスプールバルブ1
52に戻り力を伝達する。液圧調節用ピストン150に
は、ブースタ圧に基づく力およびスプールバルブ152
から伝達される戻り力とが後退方向に作用し、低圧時に
対し、ブレーキペダル52に伝達される反力が大きくな
り、高圧時には、サーボ比(踏力をブースタ圧に基づい
て倍力することにより得られる力と反力との比)が低圧
時より低くなる。
【0019】ブレーキペダル52からの入力により加圧
ピストン132に加えられる前進方向の力と反力とが釣
り合う状態では、液圧調節用ピストン150の前後に互
いに逆向きに作用する力、すなわちマスタシリンダ圧に
基づく力と調圧室156の液圧(ブースタ圧)に基づく
力とが釣り合い、スプールバルブ152は、ブースタ圧
室142をアキュムレータ92からもマスタリザーバ9
4からも遮断し、マスタシリンダ圧が保持される。
【0020】このようにマスタシリンダ圧が保持される
状態からブレーキペダル52の踏込みが緩められれば、
マスタシリンダ圧が減少するため、液圧調節用ピストン
150に後退方向に作用する力が前進方向に作用する力
より大きくなり、液圧調節用ピストン150が更に後退
してマスタリザーバ94と調圧室156とを連通させ
る。それにより、ブースタ圧室142内の作動液がマス
タリザーバ94に戻り、ブースタ圧が減少させられる。
【0021】前記加圧室134は、ポート180,主液
通路182によって前記フロントホイールシリンダ8
0,82に接続されており、加圧室134に発生させら
れた液圧はフロントホイールシリンダ80,82に伝達
される。主液通路182は、基幹通路184と、基幹通
路184から分岐させられた2本の分岐通路186とを
有し、各分岐通路186の先端にフロントホイールシリ
ンダ80,82が接続されている。フロントホイールシ
リンダ80,82は、マスタシリンダ122から供給さ
れる液圧により作動し、第一ブレーキシリンダを構成す
る。フロントホイールシリンダ80,82を備えた系統
が第一ブレーキ系統であり、前輪ブレーキ系統と称す
る。
【0022】上記分岐通路186にはそれぞれ、常開の
電磁開閉弁により構成されたマスタシリンダカット弁1
88が設けられており、フロントホイールシリンダ8
0,82と加圧室134との連通を許容,遮断する。加
圧室134の液圧は、基幹通路184、すなわちマスタ
シリンダカット弁188より加圧室134側に設けられ
たマスタシリンダ圧センサ190により検出される。基
幹通路184にはまた、ストロークシミュレータ192
が接続されている。
【0023】前記ブースタ圧室142は、ポート20
0,主液通路202によって前記リヤホイールシリンダ
84,86に接続されている。主液通路202は、基幹
通路204と、基幹通路204から分岐させられた2本
の分岐通路206とを有し、それら分岐通路206の先
端にリヤホイールシリンダ84,86が接続されてい
る。リヤホイールシリンダ84,86はブースタ圧室1
42の液圧であって、踏力を助勢するブースタ圧により
作動するのである。このブースタ圧は、前述のように、
液圧制御装置124によりアキュムレータ圧を、マスタ
シリンダ圧とほぼ同じ高さに制御することにより得られ
る制御圧であり、後述するフローチャートでは、Preg
で表す。リヤホイールシリンダ84,86が第二ブレー
キシリンダを構成し、リヤホイールシリンダ84,86
を備えたブレーキ系統が第二ブレーキ系統であり、後輪
ブレーキ系統と称する。
【0024】基幹通路204と前記前輪側の基幹通路1
84とに跨がってプロポーショニングアンドバイパスバ
ルブ208が設けられている。このバルブ208は、フ
ロントホイールシリンダ80,82にはマスタシリンダ
圧をそのまま供給するが、前輪ブレーキ系統に失陥がな
く、マスタシリンダ圧が正常に増大する場合には、ブー
スタ圧室142からリヤホイールシリンダ84,86に
供給される液圧を、設定液圧に達した後、マスタシリン
ダ圧に対して一定の比率で減圧する。バルブ208は、
マスタシリンダ圧が正常に増大しなくなった場合には、
ブースタ圧室142からリニア液圧制御弁装置68の後
述する増圧弁を経てリヤホイールシリンダ84,86に
供給される液圧を減圧せず、リヤホイールシリンダ8
4,86にそのまま供給する。
【0025】基幹通路204には、前記リニア液圧制御
弁装置68が設けられ、ブースタ圧室142からホイー
ルシリンダ80〜86に供給される液圧を調節するよう
にされている。リニア液圧制御弁装置68は、増圧用電
磁液圧制御弁210および減圧用電磁液圧制御弁212
を有する。
【0026】増圧用電磁制御弁210および減圧用電磁
制御弁212は図3に概略的に示す構造を有している。
増圧用電磁制御弁210は、弁座220とそれに対して
着座,離間可能な弁子222とから成るシート弁224
を備え、弁子222は、付勢装置としてのばね226に
より着座方向に付勢されている。弁子222と一体的に
可動コア228が設けられており、これに対向して固定
コア230が設けられている。これら両コア228,2
30は上記ばね226により互いに離間させられている
が、コイル232に電流が供給されることにより磁化さ
れ、可動コア228が固定コア230側に吸引される。
それにより、弁子222が弁座220から離間させら
れ、シート弁224が開かれる。増圧用電磁制御弁21
0は、それ自身の前後の液圧差が弁子222を弁座22
0から離間させる向きに作用する向きでブースタ圧室1
42とホイールシリンダ80〜86とに接続されてい
る。したがって、弁子222は、シート弁224前後の
液圧差に基づく差圧作用力と、可動コア228,固定コ
ア230およびコイル232から成るソレノイド234
の電磁駆動力との和が、ばね226の付勢力と釣り合う
位置で停止することとなり、コイル232への供給電流
の制御による電磁駆動力の制御によって、シート弁22
4の開度を制御することができる。増圧用電磁制御弁2
10の開度を制御することによって作動液の流量、すな
わちホイールシリンダ80〜86の液圧の増圧速度を制
御することができる。また、ブースタ圧室142の液圧
とホイールシリンダ80〜86の液圧であるホイールシ
リンダ圧との差が小さくなり、差圧作用力と電磁駆動力
との和がばね226の付勢力より僅かに小さくなれば、
弁子222が弁座220に着座してシート弁224が閉
じるため、コイル232への供給電流の制御によりブー
スタ圧室142の液圧とホイールシリンダ80〜86の
液圧との差を制御することができる。なお、コイル23
2に電流が供給されていない状態においても、マスタシ
リンダ圧が発生させられ、ブースタ圧が増大してばね2
26のセット荷重を超えれば、増圧用電磁液圧制御弁2
10が開き、リヤホイールシリンダ84,86に液圧が
供給される。この増圧用電磁液圧制御弁210の開弁圧
は、ばね226のセット荷重によって決まる。
【0027】増圧用電磁液圧制御弁210には、バイパ
ス通路238が設けられるとともに、逆止弁240が設
けられている。逆止弁240は、ホイールシリンダ80
〜86からブースタ圧室142への作動液の流れは許容
するが、逆向きの流れは阻止する。
【0028】減圧用電磁制御弁212の構造は増圧用電
磁制御弁210と同じであるため、互いに対応する構成
要素を同一の符号で示し、説明を省略する。ただし、減
圧用電磁制御弁212は、ホイールシリンダ80〜86
の液圧と、ホイールシリンダ圧の減圧のために設けられ
た減圧用リザーバ242の液圧との差に基づく差圧作用
力が、弁子222を弁座220から離間させる向きに作
用する向きで、ホイールシリンダ80〜86と減圧用リ
ザーバ242とに液通路204と液通路244を介して
接続されている。したがって、コイル232への供給電
流の制御により、ホイールシリンダ80〜86の減圧速
度およびホイールシリンダ80〜86と減圧用リザーバ
242との差圧を制御することができる。減圧用リザー
バ242の液圧は実質的に大気圧と見なし得るため、ホ
イールシリンダ80〜86と減圧用リザーバ242との
差圧の制御は、そのままホイールシリンダ80〜86の
液圧制御となる。増圧用,減圧用の各電磁制御弁21
0,212は、作動液の流量および液圧を連続的に変更
可能なリニア制御弁なのである。
【0029】減圧用電磁液圧制御弁212には、バイパ
ス通路246が設けられるとともに、逆止弁248が設
けられている。逆止弁248は、減圧用リザーバ242
からブースタ圧室142への作動液の流れは許容する
が、逆向きの流れは阻止する。図2に示すように、基幹
通路204の増圧用電磁液圧制御弁210よりブースタ
圧室142側に、ブースタ圧室142の液圧であるブー
スタ圧を検出するブースタ圧センサ250が設けられて
いる。
【0030】図2に示すように、増圧用電磁液圧制御弁
210により制御されたブースタ圧室142の液圧は、
基幹通路204から分岐させられた液通路260によっ
て、フロントホイールシリンダ80,82に供給される
ようにされている。液通路260の途中には、前後ブレ
ーキ系統遮断弁262が設けられている。この遮断弁2
62は、常閉の電磁開閉弁により構成されており、その
開閉により、ブースタ圧室142とフロントホイールシ
リンダ80,82との連通を許容,遮断する。
【0031】前記アンチロック制御用液圧制御弁装置7
0,72は、ブースタ圧室142からフロントホイール
シリンダ80,82に供給される液圧をそれぞれ制御
し、アンチロック制御用液圧制御弁装置74,75は、
ブースタ圧室142からリヤホイールシリンダ84,8
6に供給される液圧をそれぞれ制御する。これらアンチ
ロック制御用液圧制御弁装置70〜75の構成は同じで
あり、フロントホイールシリンダ80について設けられ
たアンチロック制御用液圧制御弁装置70を代表的に説
明する。
【0032】アンチロック制御用液圧制御弁装置70
は、増圧弁270および減圧弁272を有する。増圧弁
270は常開の電磁開閉弁により構成されており、ブー
スタ圧室142からフロントホイールシリンダ80への
作動液の流入を許容することによりホイールシリンダ圧
を増大させる。増圧弁270にはバイパス通路274が
設けられるとともに、逆止弁276が設けられている。
逆止弁276は、フロントホイールシリンダ80からブ
ースタ圧室142への作動液の流れは許容するが、逆向
きの流れは阻止する。フロントホイールシリンダ80は
マスタリザーバ通路278によってマスタリザーバ94
に接続されており、マスタリザーバ通路278に減圧弁
272が設けられている。減圧弁272は常閉の電磁開
閉弁によって構成されており、フロントホイールシリン
ダ80からマスタリザーバ94への作動液の流出を許容
することによりホイールシリンダ圧を減少させる。
【0033】ブースタ圧室142からフロントホイール
シリンダ80,82に供給される液圧は、液通路260
の前後ブレーキ系統遮断弁262と増圧弁270との間
に設けられたフロントホイールシリンダ圧センサ280
により検出され、ブースタ圧室142からリヤホイール
シリンダ84,86に供給される液圧は、基幹通路20
4の増圧用電磁液圧制御弁210とプロポーショニング
アンドバイパスバルス208との間に設けられたリヤホ
イールシリンダ圧センサ282により検出される。
【0034】本液圧制動装置50は、図1に示すブレー
キECU300によって制御される。ブレーキECU3
00には、ハイブリッドECU48から指令が供給され
る。ハイブリッドECU48,ブレーキECU300お
よび前述のモータECU42,エンジンECU32等
は、ブレーキECU300を図4に代表的に示すよう
に、PU302,ROM304,RAM306および入
・出力部308等を有するコンピュータ310を主体と
するものである。ハイブリッドECU48には、ブレー
キECU300,モータECU42,エンジンECU3
2等が接続され、これらECUの間で情報の通信が行わ
れる。
【0035】ブレーキECU300の入・出力部308
には、前記マスタシリンダ圧センサ190,ブースタ圧
センサ250,フロントおよびリヤの各ホイールシリン
ダ圧センサ280,282が接続されるとともに、ブレ
ーキスイッチ320,アキュムレータ圧センサ322,
ブレーキペダル116のブレーキ操作量としてのストロ
ークを検出する操作量センサであるストロークセンサ3
24,326,前輪10,12および後輪60,62の
各回転速度を検出する車輪速センサ328,作動液温度
センサ330,ヨーレイトセンサ(図示省略)等、制御
に必要な各種センサが接続されるとともに、ハイブリッ
ドECU48が接続されている。
【0036】ブレーキスイッチ320は、ブレーキペダ
ル52が踏み込まれていない状態と、踏み込まれた状態
とで出力信号が変わるように構成されている。本実施形
態においては、ブレーキペダル52が踏み込まれた状態
でON信号を出力し、踏み込まれていない状態でOFF
信号を出力するように構成されている。アキュムレータ
圧センサ322は、図2に示すように、アキュムレータ
92と、スプールバルブ152とを接続する液通路16
4に設けられている。また、運転者の意図する制動トル
クである要求制動トルク(総要求制動トルク)が、スト
ロークセンサ324,326、マスタシリンダ圧センサ
190,ブースタ圧センサ250の検出値に基づいて取
得される。総要求制動トルクを取得するために、踏力セ
ンサを一つだけ設けてもよい。作動液温度センサ330
は、ブレーキ作動用の作動液の温度を検出し、本実施形
態においては、例えば、アンチロック制御用液圧制御弁
装置70の増圧弁270の出口側(制御された作動液を
フロントホイールシリンダ80に供給する側)の部分に
設けられている。また、ブレーキECU300の入・出
力部308には、駆動回路336を介してポンプモータ
102、マスタシリンダカット弁188,増圧用電磁液
圧制御弁210,減圧用電磁液圧制御弁212,前後ブ
レーキ系統遮断弁262,増圧弁270,減圧弁272
の各ソレノイド、異常報知器340等が接続されてい
る。
【0037】ブレーキECU300のコンピュータ31
0のROM304には、図示しないメインルーチン,図
5に示す制動制御ルーチン,図6に示すポンプ作動ルー
チン,図7に示すブレーキ制動機能低下等検出ルーチン
を始めとする種々のルーチンが記憶されており、コンピ
ュータのRAMには、図8に示すように、ポンプ作動指
令フラグ350等がワーキングメモリと共に設けられて
いる。コンピュータ310のPU302は、RAM30
6を使用しつつ、上記各ルーチンを実行する。
【0038】図1に示すように、前記ハイブリッドEC
U48には、バッテリ36が接続され、バッテリ36の
充電容量が検出される。モータECU42には、電力変
換装置40が接続されている。モータECU42は、電
力変換装置40を介して電動モータ34の回転数等の作
動状態を検出し、電力変換装置40を介して電動モータ
34を制御する。また、モータECU42からハイブリ
ッドECU48へは電動モータ34の回転数等の作動状
態を表す情報が出力され、ハイブリッドECU48から
モータECU42へは、電動モータ34の要求トルクを
表す情報が出力される。要求トルクは、回生制動トルク
である場合と駆動トルクである場合とがある。
【0039】ブレーキECU300からハイブリッドE
CU48へは、要求回生制動トルクを表す情報が出力さ
れ、ハイブリッドECU48からブレーキECU300
へは、実際に得られた実回生制動トルクを表す情報と、
電動モータ34の作動状態を表す情報やバッテリ36の
蓄電容量を表す情報等が出力される。
【0040】次に作動を説明する。本実施形態において
制動は、原則として、 (a)加圧室134からのマスタシ
リンダ圧の供給により前輪ブレーキ56,58のみが作
動する態様と、 (b)加圧室134とフロントホイールシ
リンダ80,82との連通を遮断し、ブースタ圧室14
2からのブースタ圧をリニア液圧制御弁装置68により
制御しつつ、フロントおよびリヤのホイールシリンダ8
0〜86に供給し、前輪ブレーキ56,58および後輪
ブレーキ64,66を作動させる態様と、 (c)加圧室1
34とフロントホイールシリンダ80,82との連通を
遮断し、ブースタ圧室142からのブースタ圧をリニア
液圧制御弁装置68により制御しないでフロントおよび
リヤのホイールシリンダ80〜86に供給し、前輪ブレ
ーキ56,58および後輪ブレーキ64,68を作動さ
せる態様とのいずれかによって行われる。
【0041】これらの制動態様は既に知られており、簡
単に説明する。制動は、図5に示す制動制御ルーチンに
基づいて行われる。このルーチンは、車両への電源投入
によって開始され、S1において制動が上記3つの態様
のいずれかによって行われる。 (a)の態様は、例えば、
イグニッションスイッチがOFFの状態でブレーキペダ
ル52が踏み込まれた場合、あるいはブレーキECU3
00や液圧制動装置50を構成する電磁弁等に異常が生
じたシステムフェイル時等に行われる。後者の場合、液
圧制動装置50を構成する各種電磁弁はノーマル状態、
すなわち電流が供給されない状態とされ、マスタシリン
ダカット弁188が開かれて加圧室134がフロントホ
イールシリンダ80,82に連通させられ、増圧用電磁
液圧制御弁210は閉じられ、リヤホイールシリンダ8
4,86はブースタ圧室142から遮断される。また、
ブレーキECU300とハイブリッドECU48との間
の通信異常等が生じていなければ、ブレーキECU30
0からハイブリッドECU48へ0である要求回生制動
トルクを表す情報が出力され、回生制動協調制御は行わ
れない。従って、ブレーキペダル52が踏み込まれれ
ば、加圧室134に液圧が発生させられるとともに、フ
ロントホイールシリンダ80,82に供給され、前輪ブ
レーキ56,58が作動させられる。この際、正常作動
時にポンプ装置90によってアキュムレータ92に蓄え
られた加圧された作動液により、液圧ブースタ120は
踏力を助勢する。また、増圧用電磁液圧制御弁210は
閉じられるが、弁子222に作用するブースタ圧に基づ
く力が、スプリング226の付勢力より大きくなれば、
増圧用電磁液圧制御弁210が開かれ、リヤホイールシ
リンダ84,86に液圧が供給される。
【0042】(b)の態様は、例えば、回生制動装置と液
圧制動装置50とが共同して制動を行う回生協調制御時
に行われる。この場合には、マスタシリンダカット弁1
88が閉状態に切り換えられ、フロントホイールシリン
ダ80,82が加圧室134から遮断される。また、前
後ブレーキ系統遮断弁262が開かれ、フロントホイー
ルシリンダ80,82がリニア液圧制御装置68に連通
させられる。フロントホイールシリンダ80,82が加
圧室134から遮断されるが、ストロークシミュレータ
192が設けられており、ブレーキペダル52の踏込み
に対して反力およびストロークが得られ、通常のブレー
キペダル操作感覚が得られる。
【0043】ブレーキECU300において、ストロー
クセンサ324,326の出力値またはマスタシリンダ
圧センサ190,ブースタ圧センサ250の出力値に基
づいて総要求制動トルクが演算により求められる。そし
て、ハイブリッドECU48から供給された電動モータ
34の回転数等,バッテリ36の充電容量等に基づいて
要求回生制動トルクが決定され、この要求回生制動トル
クを表す情報がハイブリッドECU48に供給されると
ともに、モータECU42に出力される。モータECU
42は、電力変換装置40に制御指令を出力し、電力変
換装置40により電動モータ34が制御されて前輪1
0,12に回生制動トルクが加えられる。ハイブリッド
ECU48においては、電動モータ34の実際の作動状
態に基づいて実際に得られた実回生制動トルクが求めら
れ、その実回生制動トルク値を表す情報がブレーキEC
U300に出力される。
【0044】ブレーキECU300は、運転者の意図す
る総要求制動トルクから実回生制動トルクを引いた大き
さのトルクが液圧制動装置50によって出力されるよう
にリニア液圧制御弁装置68を制御する。総要求制動ト
ルクから実回生制動トルクを引いた値が要求液圧制動ト
ルクとされ、ホイールシリンダ圧が要求液圧制動トルク
に対応する目標液圧に近づくように、増圧用,減圧用の
各電磁液圧制御弁210,212への供給電流量が制御
されるのである。この制御を回生制動協調制御と称す
る。増圧用電磁液圧制御弁210への供給電流量の制御
により、ブースタ圧が制御されてホイールシリンダ80
〜86に供給され、ホイールシリンダ圧が増大させられ
て車輪10,12,60,62の回転が抑制される。リ
ヤホイールシリンダ84,86に供給される液圧は、プ
ロポーショニングアンドバイパスバルブ208により、
フロントホイールシリンダ80,82に供給される液圧
に対して一定の比率で減圧される。また、減圧用電磁液
圧制御弁210への供給電流量の制御により、ホイール
シリンダ80〜86内の作動液が減圧用リザーバ242
へ流出させられ、ホイールシリンダ圧が減圧される。ブ
レーキECU300は、制動力が路面の摩擦係数に対し
て過大になり、車輪のスリップ率が適正範囲を超えれ
ば、アンチロック制御用液圧制御弁装置70〜75を制
御してアンチロック制御を行う。アンチロック制御はよ
く知られた制御であり、説明は省略する。
【0045】(c)の態様は、例えば、回生制動協調制御
が禁止される場合に行われる。回生制動協調制御は、例
えば、車速が低い場合あるいはバッテリ36の充電量が
最大に達している場合等に禁止される。この際、マスタ
シリンダカット弁188は閉じられ、リニア液圧制御弁
装置68はブースタ圧を制御せず、増圧用電磁液圧制御
弁210が全開させられるとともに、減圧用電磁液圧制
御弁212は閉じられ、ブースタ圧がそのままフロント
およびリヤの各ホイールシリンダ80〜86に供給され
る。
【0046】制動制御ルーチンにおいては、S1の実行
後、S2〜S5が実行され、ブレーキ失陥等が生じてい
れば、それに応じた弁制御が行われる。これについては
後に説明する。
【0047】次に、ポンプ100の作動を説明する。ポ
ンプ100の作動は、図6に示すポンプ作動ルーチンに
基づいて制御される。ポンプ作動ルーチンのS10にお
いては、アキュムレータ圧センサ322により検出され
たアキュムレータ圧が極く低圧であるか否かの判定が行
われる。この判定に用いられる判定値は、通常時に予定
されたアキュムレータ92の液圧範囲の下限圧より更に
低く設定されており、極く低圧であれば、S10の判定
がYESになってS15が実行され、ポンプ100が作
動させられる。また、図示は省略するが、アキュムレー
タ92の液圧が極く低くなっていることについて警告が
発せられる。
【0048】アキュムレータ圧が極く低圧に下がってい
なければ、S10の判定はNOになってS11が実行さ
れ、バッテリ36の電圧低下に基づくポンプ100の作
動が指令されているか否かの判定が行われる。この判定
は、ポンプ作動指令フラグ350がONにセットされて
いるか否かにより行われる。ポンプ作動指令フラグ35
0は、後に説明するように、バッテリ36の電圧が設定
値以下に低下している場合にONにセットされる。
【0049】ポンプ作動指令フラグ350がセットされ
ていなければ、ポンプ100は、アキュムレータ92に
作動液が設定範囲内の液圧を有して蓄積されるように作
動させられる。アキュムレータ圧が下限圧PAL以下であ
れば、ポンプ100が作動させられ、それによりアキュ
ムレータ圧が上限圧PAH以上になれば、ポンプ100の
作動が停止させられる。一旦、ポンプ100が作動させ
られれば、アキュムレータ圧が上限圧PAH以上になるま
で作動させられ続け、上限圧PAH以上になれば停止させ
られる。また、アキュムレータ圧が上限圧PAHを超える
状態から減少し、下限圧PALより大きいが上限圧PAHよ
り小さい状態になってもポンプ100は作動させられ
ず、下限圧PAL以下になった場合に作動させられる。
【0050】そのため、ポンプ作動指令フラグ350が
ONにセットされていなければ、S11の判定がNOに
なってS12が実行され、F1フラグがONにされてい
るか否かの判定が行われる。F1フラグは、セットによ
り、アキュムレータ圧が下限圧PAL以下になってポンプ
100が作動させられていることを記憶する。F1フラ
グがOFFにリセットされていれば、S13が実行さ
れ、アキュムレータ圧が下限圧PAL以下であるか否かが
判定される。アキュムレータ圧が下限圧PAL以下であれ
ば、S13の判定がYESになってS14が実行され、
F1フラグがONにセットされる。そして、S15にお
いてポンプ作動開始指令が出力されてルーチンの実行が
終了する。
【0051】F1フラグがONにセットされているた
め、次にS12が実行されるとき、その判定はYESに
なってS16が実行され、アキュムレータ圧が上限圧P
AHに達したか否かの判定が行われる。この判定は当初は
NOであり、ルーチンの実行は終了する。アキュムレー
タ圧が上限圧PAH以上になれば、S16の判定がYES
になってS17が実行され、ポンプ停止指令が出力され
るとともに、F1フラグがOFFにリセットされる。以
後、アキュムレータ圧が下限圧PAL以下になるまで、S
10〜S13,S16,S17あるいはS10〜S1
3,S16が繰り返し実行され、ポンプ100は作動さ
せられない。そして、アキュムレータ圧が下限圧PAL以
下になれば、ポンプ100が作動させられる。なお、S
13の判定がNOの場合、ルーチンの実行を終了するよ
うにしてもよい。
【0052】上記のようにアキュムレータ92には、設
定された範囲内の液圧が蓄えられるのであるが、その設
定液圧の上限圧PAHおよび下限圧PALは変更されること
がある。例えば、本実施形態においては、作動液の温度
が低い場合、前輪ブレーキ系統に失陥が生じている場
合、いずれかの車輪にフェードが生じている場合、ある
いは車両の積載荷重が大きい状態(以下、積載荷重大状
態と称する)が生じている場合に変更されるのである。
ブレーキ系統の失陥は、例えば、液漏れあるいはブレー
キ自体の故障により生ずる。ブレーキ系統に失陥が生ず
れば、その系統に属するブレーキは正常に作動せず、ブ
レーキが故障したに等しく、ブレーキ系統の故障と称し
てもよい。また、バッテリ36の電圧が低い場合には、
ブレーキペダル52が踏み込まれている間、ポンプ10
0が作動させられ続ける。これらの事態の検出のために
図7に示すブレーキ制動機能低下等検出ルーチンが実行
される。なお、アキュムレータ92に蓄える液圧範囲の
上限圧PAHおよび下限圧PALはそれぞれ、初期設定にお
いて、通常時、すなわち作動液温度の低下等、蓄圧範囲
の変更を要する事態が生じていない場合の上限圧PAHN
および下限圧PALN にセットされる。
【0053】ブレーキ制動機能低下等検出ルーチンのS
51においては、ブレーキ操作有りか否か、すなわちブ
レーキペダル52が踏み込まれた否かの判定が行われ
る。この判定は、ブレーキスイッチ320の検出信号に
基づいて行われ、ブレーキペダル52が踏み込まれてい
なければ、S51の判定はNOになってS52が実行さ
れ、ポンプ作動指令フラグ350を始めとする各種フラ
グがOFFにリセットされる。次いでS53が実行さ
れ、作動液の温度が低いか否かの判定が行われる。この
判定は、作動液温度センサ330の検出信号に基づいて
行われ、作動液の温度が設定値以下であれば、低温と判
定される。作動液の温度が低ければ、S53の判定がY
ESになってS54が実行され、アキュムレータ圧PA
の上限圧PAHおよび下限圧PALが、作動液低温時の上限
圧PAHL および下限圧PALL に変更される。本実施形態
では、作動液低温時の上限圧PAHL および下限圧PALL
は、通常時の上限圧PAHN および下限圧PALN より高く
設定されており、ポンプ作動ルーチンに従ってポンプ1
00が作動させられるとき、アキュムレータ92には作
動液が通常時より高い液圧範囲で加圧下に蓄積され、ホ
イールシリンダ圧の制御応答性の低下が抑制される。作
動液の温度が低下すれば、作動液の粘度が高くなり、作
動液が流れ難いため、ホイールシリンダ80〜86への
液圧の供給が遅れて制御応答性に遅れが生ずる。それに
対し、アキュムレータ圧を高くすれば、アキュムレータ
92とポート162との液圧差が大きく、作動液の粘度
が高くても、液圧ブースタ付マスタシリンダ78、ひい
てはホイールシリンダ80〜86への液圧の供給遅れが
少なくて済み、制御応答性の低下が低減される。
【0054】作動液の温度が低くなければ、S53の判
定がNOになってS55が実行され、アキュムレータ圧
PA の上限圧PAHおよび下限圧PALが、通常時の上限圧
PAHN および下限圧PALN に設定される。作動液の温度
が低く、一旦、アキュムレータ圧の上限圧および下限圧
が高く設定されても、作動液の温度が高くなれば、アキ
ュムレータ圧を高くすることが不要であり、通常時の液
圧範囲に戻されるのである。前輪ブレーキ系統失陥時等
にアキュムレータ圧の上限圧および下限圧が高く変更さ
れた場合にも、ブレーキペダル52の踏込みが解除され
れば、S55の実行により、アキュムレータ圧の上限圧
および下限圧は通常時の大きさに戻され、あるいは作動
液の温度が低ければ、S54の実行により、作動液の温
度が低い場合の大きさに設定される。
【0055】ブレーキペダル52が踏み込まれれば、S
51の判定がYESになってS56が実行され、バッテ
リ36の電圧が低下したか否かの判定が行われる。バッ
テリ36の電圧は、ハイブリッドECU48からの情報
により得られ、電圧が設定電圧以下であれば低く、S5
6の判定がYESになってS57が実行され、ポンプ作
動指令フラグ350がONにセットされる。それによ
り、ポンプ作動ルーチンのS11の判定がYESになっ
てS15が実行され、アキュムレータ圧の大きさを問わ
ず、ポンプ100が作動させられる。バッテリ36の電
圧が低い場合、一旦、ポンプ100が作動を開始させら
れたならば、バッテリ36の電圧が高くなるまで、ある
いはブレーキペダル52の踏込みが解除されるまで、ポ
ンプ作動指令フラグ350がONのままとされ、ポンプ
100が作動させられ続ける。バッテリ36の電圧が低
ければ、ポンプモータ102への供給電流量が少なく、
回転数が少なく、ポンプ吐出量が少ないが、常時、ポン
プ100が作動させられてアキュムレータ92への作動
液の蓄積が行われていれば、アキュムレータ圧が低い状
態のままとなる可能性が低く、アキュムレータ圧の消費
量が多くても、アキュムレータ圧が極く低圧になること
が回避される。なお、ブレーキペダル52が踏み込まれ
ており、バッテリ36の電圧が低ければ、アキュムレー
タ圧が上限圧に達してもポンプ100は作動させられ続
けるが、アキュムレータ圧がリリーフ弁106のリリー
フ圧に達すれば、作動液はリザーバ94へ逃がされ、ア
キュムレータ92の損傷が回避される。
【0056】バッテリ電圧が低くなく、設定値より大き
ければ、S56の判定はNOになってS58が実行さ
れ、ポンプ作動指令フラグ350がOFFにリセットさ
れる。そのため、ポンプ作動ルーチンのS11の判定が
NOになり、ポンプ100がアキュムレータ圧に応じて
作動させられる状態となる。ポンプ作動指令フラグ35
0はまた、ブレーキペダル52の踏込みが解除された場
合に、S52においてリセットされるため、バッテリ電
圧が低くても、非制動時にポンプ100が作動させられ
続けることがない。
【0057】S57の実行後、あるいはS58の実行
後、S59〜S62が実行され、前輪ブレーキ系統の失
陥検出が行われる。ここでは、バッテリ電圧が低くな
く、S58の実行後、S59以下のステップが実行され
ることとする。図9の表に示すように、ブースタ圧Pre
g が異常に低い状態においてフロントホイールシリンダ
圧PFrがリヤホイールシリンダ圧PRrより設定値を超え
て低ければ、前輪ブレーキ系統が失陥していると判定さ
れる。ブースタ圧の異常検出条件は、ブースタ圧Preg
がマスタシリンダ圧Pmcより設定圧差、例えば1.0M
paを超えて小さいこと、ブースタ圧Preg が設定値、例
えば1.1Mpaより小さいこと、アキュムレータ圧PA
が設定圧Pa 以上であって低圧でないこと、の3つであ
る。本実施形態において、ブースタ圧Preg とマスタシ
リンダ圧Pmcとは、異常がなければ、ほぼ等しくされ、
ブースタ圧Preg がマスタシリンダ圧Pmcより1.0M
paを超えて小さいことは異常であるが、この事態は、ブ
ースタ圧Preg およびマスタシリンダ圧が高い状態にお
いて生ずることがあるため、ブースタ圧Preg が設定値
より小さいことが条件とされている。また、アキュムレ
ータ圧が低い状態ではブースタ圧Preg も低くなり、ブ
ースタ圧Preg が低い状態が、ブレーキ系統の異常によ
り生じているのか、アキュムレータ圧PA が低いことに
より生じているのかがわからないため、アキュムレータ
圧PA が設定圧Pa 以上であることが条件とされてい
る。
【0058】そして、後輪ブレーキ系統と前輪ブレーキ
系統との間には、前後ブレーキ系統遮断弁262が設け
られており、ブースタ圧室142側からフロントホイー
ルシリンダ80,82に供給される作動液を絞る作用を
為すため、前輪ブレーキ系統に液漏れ等の失陥が生じて
いれば、リヤホイールシリンダ圧PRrの方がフロントホ
イールシリンダ圧PFrより設定圧差を超えて高くなる。
【0059】ブースタ圧が異常であるか否かの判定はS
59〜S61において行われる。そして、ブースタ圧異
常検出の3つの条件がすべて満たされていれば、S62
が実行され、フロントホイールシリンダ圧PFrがリヤホ
イールシリンダ圧PRrより設定圧差Pb を超えて低いか
否かが判定される。フロントホイールシリンダ圧の方が
リヤホイールシリンダ圧より設定圧差Pb を超えて低け
れば、S62の判定がYESになってS63が実行され
る。この場合、前輪ブレーキ系統が失陥しているのであ
り、アキュムレータ圧PA の上限圧PAHおよび下限圧P
ALが前輪ブレーキ系統失陥時の上限圧PAHB および下限
圧PALB に変更される。これら上限圧PAHB および下限
圧PALB は、本実施形態では、通常時および低温時にお
けるアキュムレータ圧の上限圧PAHN ,PAHL および下
限圧PALN ,PALL より高く設定されており、アキュム
レータ92には通常時や低温時より高い範囲で液圧が蓄
えられる。マスタシリンダ圧によってもブースタ圧によ
っても作動可能なブレーキ56,58を含むブレーキ系
統について、制動機能の設定機能以下の低下の有無が検
出され、低下が検出されたならばアキュムレータ92の
蓄圧範囲が高く変更されるのである。
【0060】S63においてはまた、前輪ブレーキ系統
失陥フラグ352がONにセットされるとともに、マス
タシリンダ作動フラグ354がOFFにリセットされ
る。それにより、図5に示す制動制御ルーチンのS2の
判定がYESになってS3が実行され、前後ブレーキ系
統遮断弁262が閉じられる。そのため、ブースタ圧
は、失陥の生じた前輪ブレーキ系統のフロントホイール
シリンダ80,82には供給されず、リヤホイールシリ
ンダ84,86のみに供給される。前輪ブレーキ系統が
失陥すれば、前輪ブレーキ56,58により得られるは
ずの制動力が得られず、運転者はブレーキペダル52の
踏込みに対して意図する制動力が得られないため、操作
量を増大させるのが普通であるが、アキュムレータ92
には作動液が高い範囲の液圧で収容されているため、ブ
レーキ操作量に見合う高さの液圧がリヤホイールシリン
ダ84,86に供給され、後輪ブレーキ64,66によ
り得られる制動力が高められる。
【0061】ブースタ圧異常条件がすべて満たされてい
ても、フロントホイールシリンダ圧PFrがリヤホイール
シリンダ圧PRrより設定圧差Pb を超えて低くなけれ
ば、S62の判定がNOになってS64が実行され、マ
スタシリンダ作動フラグ354がONにセットされると
ともに、前輪ブレーキ系統失陥フラグ352がOFFに
リセットされる。それにより、制動制御ルーチンのS2
の判定がNO、S4の判定がYESになってS5が実行
され、前後ブレーキ系統遮断弁262が閉じられるとと
もに、2つのマスタシリンダカット弁188がいずれも
開かれ、フロントホイールシリンダ80,82にマスタ
シリンダ圧が供給される状態とされる。S5において
は、また、リニア液圧制御装置68の増圧用電磁液圧制
御弁210が閉じられる。なお、S5において、2つの
マスタシリンダカット弁188を開き、前後ブレーキ系
統遮断弁262は閉じるが、増圧用電磁液圧制御弁21
0を閉じず、ブースタ圧室142からリヤホイールシリ
ンダ84,86に液圧が供給されるようにしてもよい。
【0062】ブースタ圧異常条件のいずれか一つでも満
たされていなければ、S59〜S61のいずれかの判定
がNOになってS65が実行され、マスタシリンダ12
2が失陥しているか否かの判定が行われる。この判定
は、マスタシリンダ圧Pmcがブースタ圧Preg から設定
圧差、例えば1.0Mpaを差し引いた液圧より低下し
ているか否かにより行われる。前述のように、通常時に
は、マスタシリンダ圧Pmcとブースタ圧Preg とはほぼ
等しいはずであり、マスタシリンダ圧Pmcがブースタ圧
Preg より1.0Mpaを超えて小さければ、マスタシ
リンダ122に異常が生じているのであり、S65の判
定がYESになってS66が実行され、異常報知器34
0を用いて警告が発せられる。S66においてはまた、
前輪ブレーキ系統失陥フラグ352およびマスタシリン
ダ作動フラグ354がOFFにリセットされる。S7
1,S73,S74においても同様である。
【0063】マスタシリンダ122が失陥していなけれ
ば、S65の判定はNOになってS67〜S70が実行
され、フェードあるいは積載荷重大状態が生じているか
否かの判定が行われる。フェードあるいは積載荷重大状
態検出条件は、ブースタ圧Preg が設定圧、例えば10
Mpaより大きいこと、マスタシリンダ圧Pmcが設定圧、
例えば10Mpaより大きいこと、車速Vが設定車速、例
えば5km/hより大きいこと、および車体減速度δVが設
定車体減速度、例えば6m/s2 より小さいことの4つ
である。ウォータフェードやヒートフェードが生じ、ブ
レーキの摩擦材の摩擦係数が低下すれば、ブレーキペダ
ル52が強く踏み込まれ、ブースタ圧およびマスタシリ
ンダ圧が増大させられても、高い液圧に応じた制動力が
得られず、大きい車体減速度が得られず、また、車速
は、あまり低い状態では精度良く検出することができな
いからである。さらに、車両の積載重量が大きければ、
フェード発生時と同様に、ブレーキペダル52が強く踏
み込まれ、大きなブースタ圧およびマスタシリンダ圧が
発生させられても、それに応じた車体減速度が得られな
い。フェードの発生と、積載荷重が大きいこととは区別
することができず、上記条件が満たされた場合、フェー
ドと積載荷重大状態との少なくとも一方が生じていると
される。
【0064】フェードあるいは積載荷重大状態検出条件
のすべてが満たされていれば、S67〜S70の判定が
いずれもYESになってS71が実行され、アキュムレ
ータ圧PA の上限圧PAHおよび下限圧PALがフェードあ
るいは積載荷重大状態での上限圧PAHF および下限圧P
ALF に変更される。これら上限圧PAHF および下限圧P
ALF は、通常時および低温時の各アキュムレータ圧PA
の上限圧PAHN ,PAHL および下限圧PALN ,PALL よ
り高いが、前輪ブレーキ系統失陥時のそれより低く設定
されている。フェードあるいは積載荷重大状態が検出さ
れて、アキュムレータ圧の上限圧PAHおよび下限圧PAL
が高い値に変更されれば、アキュムレータ92には、ア
キュムレータ圧が通常時より高い液圧範囲で収容され
る。そのため、フェードあるいは積載荷重大状態が生じ
たとき、運転者は意図する制動力を得るためにブレーキ
ペダル52を更に踏み込むが、それに応じて高いブース
タ圧が生じさせられ、フェードあるいは積載荷重大状態
に応じてホイールシリンダ圧を高めることができる。な
お、リリーフ弁106のリリーフ圧は、アキュムレータ
92の上限圧として設定されることが予定されている複
数の上限圧のうち、最大の上限圧より大きく設定されて
おり、本実施形態では、前輪ブレーキ失陥時の上限圧P
AHB より大きく設定されている。S71においてはま
た、前輪ブレーキ系統失陥フラグ352およびマスタシ
リンダ作動フラグ354がOFFにリセットされる。
【0065】フェードあるいは積載荷重大状態検出条件
の一つでも満たされていなければ、S72〜S74が、
前記S53〜S55と同様に実行され、作動液の温度が
低ければ、アキュムレータ圧PA の上限圧PAHおよび下
限圧PALが作動液低温時の上限圧PAHL および下限圧P
ALL に変更される。S73,S74においては、前輪ブ
レーキ系統失陥フラグ352およびマスタシリンダ作動
フラグ354がOFFにリセットされる。
【0066】このようにアキュムレータ92に蓄えられ
る液圧の範囲を前輪ブレーキ失陥時等、必要な場合に通
常時より高くすれば、アキュムレータ92やポンプ10
0の寿命低下を回避しつつ、ブレーキの制御応答性性の
低下を低減し、制動力を高めることができる。
【0067】作動液温度の低下,フェードあるいは積載
荷重大状態,前輪ブレーキ系統の失陥は、重複して生ず
ることがあり得るが、その場合、アキュムレータ圧の上
限圧および下限圧は、重複して生じた事態の各々につい
て設定された値のうち、最も高い大きさにすればよく、
本実施形態においては、アキュムレータ圧の上限圧およ
び下限圧が高い事態から順に検出され、ある事態が検出
されたならば、その事態よりアキュムレータ圧の上限圧
および下限圧が低い事態の検出は行われない。アキュム
レータ圧の変更を必要とする事態の発生に伴って電磁弁
の制御の変更も必要な場合があるが、本実施形態では、
フェードあるいは積載荷重大状態および作動液温度低下
時には弁制御は変更されないため、それらの検出は、前
輪ブレーキ系統失陥等の検出の後に行えばよい。
【0068】また、バッテリ36の電圧の低下が検出さ
れ、ポンプ作動指令フラグ350がONにセットされて
いる状態でS59以下のステップが実行され、前輪ブレ
ーキ系統の失陥等が検出されてS63,S71,S73
においてアキュムレータ圧の上限圧および下限圧が変更
されても、ポンプ作動指令フラグ350はリセットされ
ず、ポンプ作動ルーチンのS13,S16は実行されな
いため、バッテリ36の電圧が上昇するか、あるいはブ
レーキペダル52の踏込みが解除されるまで、ポンプ1
00は作動させられ続ける。但し、S63,S64の実
行時には、前輪ブレーキ系統失陥フラグ352あるいは
マスタシリンダ作動フラグ354のセットにより、それ
に応じた弁制御(S2〜S5の制御)が行われる。ま
た、マスタシリンダ122の失陥が検出された場合には
S66が実行される。
【0069】また、ブレーキペダル52の踏込み時に、
一旦、アキュムレータ圧の上限圧および下限圧を変更す
る事態が検出された後も、それらの事態の検出が繰り返
し行われるため、アキュムレータ圧変更事態が解消され
れば、アキュムレータ圧の上限圧および下限圧は通常時
の大きさに戻される(S74)。また、別のアキュムレ
ータ圧変更事態が生ずれば、その事態に応じてアキュム
レータ圧の上限圧および下限圧が変更される。
【0070】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ブレーキECU300のS59〜S61
を実行する部分が制動機能低下検出装置たるブースタ圧
異常検出装置を構成し、S62を構成する部分と共にブ
レーキ系統失陥検出装置たる前輪ブレーキ系統失陥検出
装置を構成し、S65を実行する部分がマスタシリンダ
失陥検出装置を構成し、S67〜S70を実行する部分
が制動機能低下検出装置たるフェード検出装置であっ
て、制動効果検出装置たる積載荷重大検出装置およびフ
ェード検出装置を構成している。また、ブレーキECU
300のS12〜S17を実行する部分がポンプ起動停
止制御部を構成し、S63,S71を実行する部分がポ
ンプ作動増強部たる起動停止条件変更部としての限界圧
増大部を構成し、これらがポンプ制御装置を構成してい
る。さらに、ブレーキECU300のS56,S57,
S11を実行する部分が特別ポンプ起動部を構成し、S
51,S52を実行する部分が特別ポンプ停止部を構成
している。
【0071】上記実施形態においては、アキュムレータ
圧がセンサにより検出されていたが、アキュムレータ圧
は圧力スイッチを用いて検出してもよい。その例を図1
0ないし図12に基づいて説明する。本実施形態の圧力
スイッチは、アキュムレータ圧が減少し、大きさが異な
る二つの設定圧の一方である下限圧に達した状態と、ア
キュムレータ圧が増大し、二つの設定圧の他方であっ
て、下限圧より高く設定された上限圧に達した状態とで
出力信号が変わるように構成されており、出力信号が変
化する設定圧が決まっている。そのため、圧力スイッチ
を用いる場合には、出力信号が変化する二つの設定圧が
互いに異なる圧力スイッチを少なくとも2つ設け、アキ
ュムレータに収容する作動液の液圧を変更するか否か、
また、変更の度合いによって使用する圧力スイッチを選
択し、それによりアキュムレータに収容される作動液の
液圧の範囲が変更されるようにされている。
【0072】本実施形態の車両用ブレーキシステムは、
アキュムレータ圧センサ322に代えて複数、例えば5
つの圧力スイッチ370,372,374,376,3
78を設けたこと、および圧力スイッチ370,37
2,374,376,378の出力信号に基づく制御に
関連する部分を除いて、前記実施形態の車両用ブレーキ
システムと同様に構成されており、ハード回路の図示は
省略する。
【0073】図10に示すように、本車両用ブレーキシ
ステムのブレーキECU380は、前記ブレーキECU
300と同様に構成されており、同じ作用を為す構成要
素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略
する。ブレーキECU380の主体を為すコンピュータ
310の入・出力部308には、圧力スイッチ370,
372,374,376,378が接続されている。圧
力スイッチ370,372,374,376,378
は、本実施形態では互いに独立して設けられ、アキュム
レータ92とスプールバルブ152とを接続する液通路
164に設けられ、互いに独立して液圧を検出する。こ
れら圧力スイッチ370,372,374,376,3
78はそれぞれ、詳細な図示は省略するが、例えば、マ
イクロスイッチを含んで構成され、アキュムレータ圧が
下限圧に低下した場合に低圧信号(例えばOFF信号)
を出力し、上限圧に増大した場合に高圧信号(例えばO
N信号)を出力するように構成されており、低圧信号,
高圧信号を出力する下限圧および上限圧が互いに異なら
されている。
【0074】圧力スイッチ370において低圧信号およ
び高圧信号が出力される下限圧および上限圧は、前輪ブ
レーキ系統失陥が生じた場合のアキュムレータ圧の下限
圧および上限圧とされ、圧力スイッチ372において低
圧信号および高圧信号が出力される下限圧および上限圧
は、フェードあるいは積載荷重大状態が生じた場合のア
キュムレータ圧の下限圧および上限圧とされ、圧力スイ
ッチ374において低圧信号および高圧信号が出力され
る下限圧および上限圧は、作動液の温度が低い場合のア
キュムレータ圧の下限圧および上限圧とされ、圧力スイ
ッチ376において低圧信号および高圧信号が出力され
る下限圧および上限圧は、ブレーキ失陥等が生じていな
い通常時のためのアキュムレータ圧の下限圧および上限
圧とされている。これら圧力スイッチ370〜376の
各上限圧および下限圧の大小関係は、例えば、前記実施
形態において、前輪ブレーキ系統失陥時等の各場合に設
定されるアキュムレータ圧の上限圧および下限圧の大小
関係と同じにされている。前輪ブレーキ系統失陥時等
に、アキュムレータ圧の上限圧および下限圧を変更する
のに代えて、検出圧の異なる複数の圧力スイッチを選択
的に用いて、アキュムレータ92に蓄積される作動液の
液圧範囲を変更するのである。圧力スイッチ378によ
り検出される下限圧および上限圧は極く低く、通常時の
アキュムレータ圧の下限圧および上限圧より低く設定さ
れている。以下、圧力スイッチ370を前輪ブレーキ系
統失陥用圧力スイッチ370、圧力スイッチ372をフ
ェード用圧力スイッチ372、圧力スイッチ374を低
温用圧力スイッチ374、圧力スイッチ376を通常用
圧力スイッチ376、圧力スイッチ378を極低圧スイ
ッチ378と称する。
【0075】ブレーキECU380のコンピュータ31
0のROM304には、図11に示すポンプ作動ルーチ
ン,図12に示すブレーキ制動機能低下等検出ルーチ
ン,図示しない制動制御ルーチン等、種々のルーチンが
記憶されている。ブレーキ制動機能低下等検出ルーチン
は、前記実施形態のブレーキ制動機能低下等検出ルーチ
ンと殆ど同様に構成されており、ステップ番号にダッシ
ュを付して説明を省略する。制動制御ルーチンは、前記
実施形態と同様に構成されている。以下、図11に示す
ポンプ作動ルーチンに基づいてポンプ100の作動を説
明する。
【0076】ポンプ作動ルーチンのS80〜S82は、
前記ポンプ作動ルーチンのS10,S11,S15と同
様に実行される。S80の判定は、極低圧スイッチ37
8の検出信号に基づいて行われる。アキュムレータ圧が
極く低圧でなく、かつバッテリ36の電圧が低下してい
なければ、S80,S81の各判定がNOになってS8
3が実行され、前輪ブレーキ系統が失陥しているか否か
の判定が行われる。前輪ブレーキ系統の失陥検出は、ブ
レーキ制動機能低下等検出ルーチンにおいて行われ、失
陥が生じていれば、図12に示すルーチンのS63′に
おいて前輪ブレーキ系統失陥フラグ352がONにセッ
トされる。前輪ブレーキ系統の失陥が検出され、前輪ブ
レーキ系統失陥フラグ352がONにセットされていれ
ば、S83の判定はYESになってS84が実行され、
F2フラグがONにセットされているか否かが判定され
る。F2フラグは、セットにより、ポンプ100が作動
させられていることを記憶する。
【0077】F2フラグがセットされていなければ、S
84の判定がNOになってS85が実行され、前輪ブレ
ーキ系統失陥用圧力スイッチ370の出力信号が低圧信
号であるか否かが判定される。アキュムレータ圧が、前
輪ブレーキ系統失陥時の下限圧以下であり、スイッチ3
70の出力信号が低圧信号であれば、S85の判定がY
ESになってS86が実行され、F2フラグがONにセ
ットされるとともに、ポンプ作動開始指令が出力され
る。それによりポンプ100が作動を開始させられ、ア
キュムレータ92に作動液が加圧下に蓄えられる。
【0078】前輪ブレーキ系統が失陥している間、S8
3の判定がYESになってS84が実行される。F2フ
ラグがONにセットされているため、S84の判定がY
ESになってS87が実行され、前輪ブレーキ系統失陥
用圧力スイッチ370の出力信号が高圧信号であるか否
かが判定される。この判定は当初はNOであり、ルーチ
ンの実行は終了する。そして、アキュムレータ圧が、前
輪ブレーキ系統失陥用の上限圧に達すれば、前輪ブレー
キ系統失陥用圧力スイッチ370の出力信号が高圧信号
となり、S87の判定がYESになってS88が実行さ
れ、ポンプ停止指令が出力されるとともに、F2フラグ
がOFFにリセットされる。このように前輪ブレーキ系
統失陥時には、アキュムレータ圧に蓄えられる作動液の
液圧の範囲が通常時より高くされるため、後輪ブレーキ
64,66により得られる制動力が高められる。
【0079】前輪ブレーキ系統が失陥していなければ、
S83の判定がNOになってS89が実行され、フェー
ドが発生しているか否かの判定が行われる。フェードの
発生は、ブレーキ制動機能低下等検出ルーチンにおいて
検出され、フェードが発生すれば、図12に示すルーチ
ンのS71′においてフェードフラグがONにセットさ
れる。それによりS89の判定がYESになってS90
が実行され、フェード時のポンプ作動が行われる。この
作動は、フェード用圧力スイッチ372の信号に基づい
てポンプ100を作動,停止させることを除いて、前輪
ブレーキ系統失陥時のポンプ作動と同様に行われるた
め、詳細なステップの図示および説明は省略する。フェ
ード用圧力スイッチ372の信号に基づいてポンプ10
0が作動させられることにより、アキュムレータ92に
は、前輪ブレーキ系統失陥時よりは低いが、通常時より
は高い範囲の液圧の作動液が収容され、フェード発生時
の制動要求に応えることができる。
【0080】フェードが発生していなければ、S89の
判定がNOになってS91が実行され、作動液の温度が
低いか否かが判定される。作動液の温度が低いか否かの
判定は、図12に示すブレーキ制動機能低下等検出ルー
チンのS53′,S72′において行われ、温度が低け
れば、S54′,S73′において低温フラグがセット
される。なお、この低温フラグおよび上記フェードフラ
グは、コンピュータ310のRAM306に設けられて
いる。それによりS91の判定がYESになってS92
が実行され、低温時のポンプ作動が行われる。この作動
は、低温用圧力スイッチ374の信号に基づいてポンプ
100を作動,停止させることを除いて、前輪ブレーキ
系統失陥時のポンプ作動制御と同様に行われる。低温用
圧力スイッチ374の信号に基づいてポンプ100が作
動させられることにより、アキュムレータ92には、前
輪ブレーキ系統失陥時,フェード発生時よりは低いが、
通常時よりは高い範囲の液圧の作動液が収容され、ブレ
ーキの制御応答遅れの発生が抑制される。
【0081】作動液の温度が低くなければ、S91の判
定がNOになってS93が実行され、通常時のポンプ作
動が行われる。この作動は、通常用圧力スイッチ376
の信号に基づいてポンプ100を作動,停止させること
を除いて、前輪ブレーキ系統失陥時と同様に行われ、通
常時に適した液圧の作動液がアキュムレータ92に収容
される。なお、前輪ブレーキ系統失陥フラグ,フェード
フラグ,低温フラグは、前輪ブレーキ系統失陥,フェー
ドあるいは積載荷重大状態,作動液温度の低下が検出さ
れない場合には、ブレーキ制動機能低下等検出ルーチン
のS52′,S55′,S63′,S71′,S7
3′,S74′において必要なフラグを除いてOFFに
リセットされる。ポンプ作動指令フラグ350は、S6
3′,S71′,S73′,S74′においてリセット
されず、S58′,S52′においてリセットされる。
本実施形態においては、ブレーキECU380のS8
3,S89,S91,S85,S87,S90のS8
5,S87に相当するステップ,S92のS85,S8
7に相当するステップを実行する部分が限界圧増大部を
構成している。
【0082】なお、検出圧力が異なる複数種類の圧力ス
イッチを設けてアキュムレータ92に収容される作動液
の上限圧および下限圧を異ならせるのに代えて、アキュ
ムレータ圧が下限圧に達したことが検出されたならば、
ポンプを作動させるとともに、ポンプの作動時間を、前
輪ブレーキ系統に失陥が生じているか等に応じて複数種
類に異ならせてアキュムレータ圧の上限圧を異ならせ、
アキュムレータ92に収容される作動液の液圧範囲を変
えるようにしてもよい。例えば、通常時のアキュムレー
タ92の上限圧および下限圧を検出する圧力スイッチを
設けてアキュムレータ圧が下限圧に達したことを検出
し、ポンプの作動時間は、例えば、前輪ブレーキ系統に
失陥が生じた場合に通常時より長く設定され、例えば、
図11に示すポンプ作動ルーチンにおいて、前輪ブレー
キ系統が失陥したならば、S85において、圧力スイッ
チの信号に基づいてアキュムレータ圧が下限圧に達した
か否かの判定を行い、達していれば、ポンプを作動さ
せ、S87において、前輪ブレーキ系統失陥時のポンプ
作動時間が経過したか否かの判定を行う。圧力スイッチ
が、アキュムレータ圧が下限圧まで低下したことを検出
する状態から、上限圧に達したことを検出する状態に代
わっても、それによってポンプの作動を停止させるので
はなく、ポンプ作動開始からの時間によってポンプの作
動を停止させるようにするのである。この場合、ブレー
キECUの、前輪ブレーキ系統失陥等の事態に応じたポ
ンプ作動時間の経過時にポンプを停止させる部分が作動
時間増大部およびエネルギ増大部を構成する。
【0083】本発明の更に別の実施形態を図13ないし
図15に基づいて説明する。本実施形態の車両用液圧ブ
レーキシステムは、上記実施形態の車両用液圧ブレーキ
システムと同様に、動力液圧源76,液圧ブースタ付マ
スタシリンダ78を備え、加圧室134に発生させられ
た液圧であるマスタシリンダ圧は、主液通路182によ
って左,右前輪10,12のフロントホイールシリンダ
80,82に供給され、前輪ブレーキ56,58を作動
させる。また、ブースタ室142に発生させられたブー
スタ圧は、主液通路202によって左,右後輪60,6
2のリヤホイールシリンダ84,86に供給され、後輪
ブレーキ64,66を作動させる。前輪ブレーキ56,
58と後輪ブレーキ64,66とには、互いに独立した
作動液が供給されるのである。マスタシリンダ圧は、主
液通路182の基幹通路184に設けられたマスタシリ
ンダ圧センサ190により検出され、ブースタ圧は、主
液通路202の基幹通路204に設けられたブースタ圧
センサ250により検出される。
【0084】本実施形態においては、アキュムレータ9
2とスプールバルブ152とを接続する液通路164
に、圧力スイッチ400,402が設けられており、そ
れらの出力信号はブレーキECU410へ入力される。
圧力スイッチ400は、詳細な図示は省略するが、アキ
ュムレータ圧が下限圧に低下した場合に低圧信号を出力
し、上限圧に増大した場合に高圧信号を出力するように
構成されており、低圧信号に基づいてポンプ100が作
動を開始させられ、高圧信号に基づいて停止させられ
る。圧力スイッチ402も同様に構成されているが、圧
力スイッチ402が低圧信号,高圧信号を出力するアキ
ュムレータ圧の下限圧および上限圧はそれぞれ、圧力ス
イッチ400のそれらより低くされており、アキュムレ
ータ圧が下限圧以下に低下すれば、警告信号が発せられ
る。
【0085】ブレーキECU410は、前記ブレーキE
CU300と同様に、PU,ROM,RAM,入・出力
部等を有するコンピュータを主体として構成されてい
る。入・出力部には、マスタシリンダ圧センサ190,
ブースタ圧センサ250,圧力スイッチ400,402
の各信号等が入力されるとともに、図示しない駆動回路
を介してポンプモータ102等が接続されており、ブレ
ーキECU410はポンプ100を制御する。そのた
め、ROMには、図14にフローチャートで表すポンプ
作動ルーチンが記憶されている。
【0086】本実施形態の車両用ブレーキシステムにお
いてブレーキペダル52が踏み込まれれば、上記実施形
態におけると同様に、ブースタ圧室142にブースタ圧
が発生させられ、リヤホイールシリンダ84,86に供
給されるとともに、踏力を助勢し、加圧室134にマス
タシリンダ圧が発生させられてフロントホイールシリン
ダ80,82に供給され、ブレーキ56,58,64,
66が作動させられて車輪10,12,60,62の回
転が抑制される。
【0087】車両への電源投入により、ポンプ作動ルー
チンの実行が開始される。ポンプ作動ルーチンにおいて
は、まず、S100において、圧力スイッチ402の出
力信号に基づいてアキュムレータ圧が極く低圧であるか
否かが判定される。極低圧でなければ、S100の判定
はNOになってS101が実行され、F3フラグがセッ
トされているか否かの判定が行われる。F3フラグは、
コンピュータのRAMに設けられており、ONにセット
されることにより、ポンプ100が作動中であることを
記憶する。F3フラグがセットされていなければ、S1
01の判定はNOになってS102が実行され、ブレー
キ制動機能の低下あるいは制動効果の減少が生じている
か否かの判定が行われる。この判定は、本実施形態にお
いては、マスタシリンダ圧Pmcとブースタ圧Preg との
差の絶対値が設定値αより大きいか否かにより行われ
る。設定値αは正の値である。前述のように、液圧ブー
スタ付マスタシリンダ78においては、マスタシリンダ
圧Pmcとブースタ圧Preg とはほぼ等しく、その差の絶
対値は設定値αより小さいはずであるが、例えば、主液
通路182における液漏れ等により、前輪ブレーキ系統
に失陥が生じていれば、マスタシリンダ圧が異常に低下
するため、ブースタ圧との差の絶対値が設定値より大き
くなり、前輪ブレーキ系統に失陥が発生したことがわか
る。また、少なくとも一つの車輪についてウォータフェ
ードあるいはヒートフェードが生じ、ブレーキの摩擦材
の摩擦係数が低下すれば、運転者が意図する制動力を得
るべく、ブレーキペダル52を強く踏み込むため、ブー
スタ圧が上限圧、すなわちアキュムレータ圧の上限圧に
より得られる大きさに達し、その状態から更にブレーキ
ペダル52が踏み込まれれば、マスタシリンダ圧のみが
増大し、両者の差の絶対値が設定値より大きくなり、フ
ェードが発生したことがわかる。積載荷重が大きい状態
が生じた場合にも、フェードの場合と同様である。
【0088】ブースタ圧Preg とマスタシリンダ圧Pmc
との差の絶対値が設定値α以下であれば、前輪ブレーキ
系統失陥等は生じていないと判定され、S103〜S1
06が実行され、通常時のポンプ作動が行われる。すな
わち、圧力スイッチ400の出力信号が低圧信号であれ
ば、ポンプ100が作動を開始させられ、高圧信号であ
れば、作動を停止させられるのである。そのため、S1
03において,圧力スイッチ400の出力信号が低圧信
号であるか否かの判定が行われ、低圧信号であれば、S
103の判定はYESになってS104が実行され、ポ
ンプ作動開始指令が出力され、ポンプ100が作動を開
始させられる。また、F3フラグがONにセットされ
る。そして、S105において圧力スイッチ400の出
力信号が高圧信号であるか否かが判定されるが、この判
定はNOであり、ルーチンの実行は終了する。
【0089】圧力スイッチ400の出力信号が高圧信号
になるまで、すなわちアキュムレータ圧が上限圧に達す
るまで、S100,S101,S105が繰り返し実行
され、高圧信号になれば、S105の判定がYESにな
ってS106が実行され、ポンプ停止指令が出力される
とともに、F3フラグがOFFにリセットされる。
【0090】それに対し、マスタシリンダ圧Pmcとブー
スタ圧Preg との差の絶対値が設定値αより大きけれ
ば、前輪ブレーキ系統失陥等、何らかの異常が生じてお
り、S102の判定がYESになってS104が実行さ
れる。圧力スイッチ400の出力信号が低圧信号でな
く、アキュムレータ圧が低くなくてもポンプ100が作
動させられるのであり、圧力スイッチ400の出力信号
が高圧信号になるまで、ポンプ100が作動させられ
る。ポンプ100が作動させられ、アキュムレータ92
に作動液が上限圧で収容されるようにされているため、
踏力の増大に応じて制動力が増大させられ、前輪ブレー
キ系統が失陥し、後輪ブレーキ64,66が正常に作動
する場合、ブレーキペダル52の踏込みに応じて後輪ブ
レーキ64,66により得られる制動力が高められ、ま
た、フェードあるいは積載荷重大状態が生じた場合の制
動要求に応えることができる。
【0091】従来、動力液圧源のポンプを圧力スイッチ
の出力信号に基づいて作動開始,停止させる場合、例え
ば、図14に示すポンプ作動ルーチンのS101,S1
03〜S106を含むポンプ作動ルーチンに従ってポン
プが作動開始,停止させられるとともに、アキュムレー
タ圧の上限圧と下限圧との差は、ポンプが頻繁に作動開
始,停止させられない大きさとれていた。そのため、図
15に二点鎖線で示すように、アキュムレータ圧が下限
圧近くまで低下したが、下限圧に達しなければ、低圧信
号が発せられないためポンプが作動させられず、アキュ
ムレータ圧が下限圧に近い大きさのままとなることがあ
り、大きな制動力の要求が生じたとき、対応できないこ
とがあった。それに対し、本態様においては、ブレーキ
失陥等、一部あるいは全部のホイールシリンダに通常よ
り大きな液圧が必要とされる事態が発生した場合には、
圧力スイッチ400が低圧信号を発する状態までアキュ
ムレータ圧が低下する前にポンプ100が作動させら
れ、アキュムレータ圧が迅速に上限圧まで高められ、大
きなホイールシリンダ圧の要求に応えることができる。
前輪ブレーキ系統の失陥あるいはフェードの検出に基づ
いてポンプ100が作動させられ、通常時よりはポンプ
100の作動開始,停止頻度が高くなるが、前輪ブレー
キ系統失陥等の異常時のみに限定される。そのため、ポ
ンプ100の使用頻度の増大が少なく抑えられる。
【0092】アキュムレータ圧が上限値に達しても、F
3フラグがOFFにリセットされてS102が実行さ
れ、前輪ブレーキ系統の失陥あるいはフェードが検出さ
れている間、S102の判定がYESになり、S104
においてポンプ作動開始指令が出力されるが、アキュム
レータ圧が高いため、圧力スイッチ400の信号は高圧
信号であってS105の判定がYESになり、ポンプ作
動停止指令が出力される。ポンプ作動開始指令と作動停
止指令とが続けて出力されるのであり、実際にはポンプ
モータ102に電流が供給されず、ポンプ100は作動
させられない。なお、アキュムレータ圧が極低圧であれ
ば、S100の判定がYESになってS104が実行さ
れ、ポンプ100が作動させられる。以上の説明から明
らかなように、本実施形態においては、ブレーキECU
410のS102,S104を実行する部分が、特別ポ
ンプ起動部を構成し、S100,S101,S103,
S105,S106を実行する部分と共にポンプ制御装
置を構成している。
【0093】上記各実施形態において動力液圧源76は
アキュムレータ92を備えたものとされていたが、動力
液圧源はアキュムレータを備えないものとしてもよい。
その例を図16ないし図21に基づいて説明する。本実
施形態の車両用ブレーキシステムは、マニュアル液圧源
450および動力液圧源452を備え、左,右の前輪4
54,456にそれぞれ設けられた前輪ブレーキ45
8,460のブレーキシリンダとしてのフロントホイー
ルシリンダ462,464には、マニュアル液圧源45
0の液圧と動力液圧源452の液圧とが択一的に供給さ
れ、左,右の後輪466,468に設けられたブレーキ
470,472のブレーキシリンダとしてリヤホイール
シリンダ474,476には、必ず動力液圧源452の
液圧が供給される。
【0094】マニュアル液圧源450は、ブレーキ操作
部材としてのブレーキペダル480の操作力である踏力
に対応した液圧を発生させるマスタシリンダ482を備
えている。マスタシリンダ482はタンデム式であり、
2つの独立した加圧室に同じ大きさの液圧を発生させ
る。マスタシリンダ482にはマスタリザーバ484が
設けられている。ブレーキペダル480がブレーキ非作
用位置にあり、マスタシリンダ482内の加圧ピストン
が後退端位置にある状態では、マスタシリンダ482の
2つの加圧室はマスタリザーバ484と連通しており、
加圧ピストンが後退端位置から僅かに前進させられる
と、加圧室がマスタリザーバ484から遮断される。一
方の加圧室は液通路486によりフロントホイールシリ
ンダ462、他方の加圧室は液通路488によりフロン
トホイールシリンダ464に接続されている。液通路4
86,488にはそれぞれ常開の電磁開閉弁から成るマ
スタシリンダカット弁490,492が設けられてお
り、それらマスタシリンダカット弁490,492より
フロントホイールシリンダ462,464側の液圧はフ
ロントホイールシリンダ圧センサ494,496により
検出され、マスタシリンダ482側の液圧はマスタシリ
ンダ圧センサ498により検出される。
【0095】ブレーキペダル480とマスタシリンダ4
82との間にはストロークシミュレータ500が配設さ
れるとともに、液通路488のマスタシリンダカット弁
492よりマスタシリンダ482側の部分にもストロー
クシミュレータ502が接続されており、かつ、ブレー
キペダル480の踏込ストロークがストロークセンサ5
04によって検出される。2つのストロークシミュレー
タ500,502が共同して、動力液圧源452を有し
ない通常の液圧ブレーキシステムにおけるブレーキ操作
に似た感触を運転者に与える。
【0096】動力液圧源452は、それぞれ電動モータ
たるポンプモータ510,512により駆動される低圧
ポンプ514および高圧ポンプ516を備えている。低
圧ポンプ514,高圧ポンプ516は、本実施形態では
いずれもギヤポンプとされており、高圧ポンプ516
は、低圧ポンプ514よりも、限界吐出液圧が高く、か
つ、吐出流量が小さいものとされている。低圧ポンプ5
14,高圧ポンプ516はプランジャポンプとしてもよ
い。
【0097】低圧ポンプ514および高圧ポンプ516
の各吐出側であって、低圧ポンプ514から吐出された
作動液をホイールシリンダ462,464,474,4
766(以下、4つのホイールシリンダ全部を対象とす
る場合、ホイールシリンダ462等と記載する)に供給
する液通路と、高圧ポンプ516から吐出された作動液
をホイールシリンダ462等に供給する液通路とが合流
する部分よりも、低圧ポンプ514側および高圧ポンプ
516側にそれぞれ、逆止弁518,520が設けられ
ている。また、低圧ポンプ514および高圧ポンプ51
6のそれぞれに対して、それらに予定されている最高吐
出液圧をリリーフ圧とするリリーフ弁522,524が
設けられており、本実施形態においては、ポンプモータ
510,512,低圧ポンプ514,高圧ポンプ51
6,逆止弁518,520およびリリーフ弁522,5
24がポンプ装置526を構成し、マスタリザーバ48
4と共に動力液圧源452を構成している。動力液圧源
452の液圧は液通路528によりホイールシリンダ4
62等に供給され、ポンプ圧センサ530により検出さ
れる。ポンプ圧センサ530は、動力液圧源452の液
圧を検出する動力液圧源液圧検出装置を構成していると
いうこともできる。
【0098】フロントホイールシリンダ462,464
にそれぞれ対応して、増圧用電磁液圧制御弁540と減
圧用電磁液圧制御弁542、増圧用電磁液圧制御弁54
4と減圧用電磁液圧制御弁546が設けられている。こ
れらは共に常閉のシート弁である。リヤホイールシリン
ダ474,476に対応して増圧用電磁液圧制御弁54
8と減圧用電磁液圧制御弁550、増圧用電磁液圧制御
弁552と減圧用電磁液圧制御弁554が設けられてい
る。4つのホイールシリンダ462,464,474,
476の各液圧は、それぞれ互いに独立して制御するこ
とができるのである。増圧用電磁液圧制御弁548,5
52は常閉のシート弁であるが、減圧用電磁液圧制御弁
550,554は常開のシート弁である。リヤホイール
シリンダ474,476の液圧はそれぞれ、増圧用電磁
液圧制御弁548,552よりリヤホイールシリンダ4
74,476側に設けられたリヤホイールシリンダ圧セ
ンサ556,558により検出される。
【0099】前輪454,456側の増圧用電磁液圧制
御弁540,544および減圧用電磁液圧制御弁54
2,546は、前記実施形態のリニア液圧制御弁装置6
8の増圧用電磁液圧制御弁210および減圧用電磁液圧
制御弁212と同様の構成を有するため、図示および説
明を省略する。増圧用電磁液圧制御弁540,544
は、動力液圧源452の液圧を制御してフロントホイー
ルシリンダ472,474に供給し、減圧用電磁液圧制
御弁542,546はフロントホイールシリンダ47
2,474の作動液がリザーバ通路560からマスタリ
ザーバ484へ流出することを許容し、フロントホイー
ルシリンダ472,474の液圧を制御しつつ減少させ
る。
【0100】リヤホイールシリンダ474,476側の
増圧用電磁液圧制御弁548,552は、図17に示す
ように、上記フロントホイールシリンダ472,474
側の増圧用電磁液圧制御弁540,544と同様に、前
記実施形態の増圧用電磁液圧制御弁210と同様に構成
されており、対応する構成要素には同一の符号を付して
説明を省略する。それに対し、減圧用電磁液圧制御弁5
50,554は常開のシート弁であり、減圧用電磁液圧
制御弁212とは構造がやや異なる。減圧用電磁液圧制
御弁550を代表的に説明すれば、弁座220,弁子2
22から成るシート弁224を備えることは同じである
が、弁子222はばね570により弁座220から離間
する向きに付勢されている。シート弁224は、リヤホ
イールシリンダ474とマスタリザーバ484との差圧
に基づく差圧作用力が弁子222を弁座220から離間
させる向きに作用する向きで配設されている。弁子22
2の後端部は固定コア572の中央に形成された貫通穴
を貫通して延びており、固定コア572から突出させら
れるとともに、可動コア574と一体的に設けられてい
る。コイル576に電流が供給されれば、固定コア57
2および可動コア574が磁化され、可動コア574が
固定コア572側に吸引されることにより、弁子222
に電磁駆動力が付与される。固定コア572,可動コア
574およびコイル576から成るソレノイド578の
電磁駆動力が、上記差圧作用力に抗して弁子222を弁
座220に着座させる向きに作用するのである。コイル
576への供給電流の制御により、リヤホイールシリン
ダ474の減圧速度およびリヤホイールシリンダ474
とマスタリザーバ484との差圧が制御され、リヤホイ
ールシリンダ474の液圧が制御される。なお、ばね5
70の付勢力は、差圧作用力も電磁駆動力も作用しない
状態で弁子222を弁座220から離間した状態に保ち
得る大きさであればよく、弁子222に作用する力の釣
合を考える際には無視して差し支えない。
【0101】本実施形態の車両用ブレーキシステムは、
図16に示すようにブレーキECU600を備えてい
る。ブレーキECU600はコンピュータを主体として
構成され、その入・出力部には、前記ストロークセンサ
504の他、図示しないバッテリの電圧を検出するバッ
テリ電圧センサ602,作動液の温度を検出する作動液
温度センサ604を始めとする各種検出器が接続される
とともに、駆動回路を介して前記ポンプモータ510を
始めとする各種アクチュエータが接続されている。ま
た、コンピュータのROMには、図示しないメインルー
チン,図18に示す通常制動制御ルーチン,図19に示
すポンプ制御ルーチン,図20に示すブレーキ制動機能
低下等検出ルーチンを始めとする種々のプログラムが記
憶されている。コンピュータのPUは、ストロークセン
サ504を始めとする各種検出器からの情報等に基づ
き、RAMを利用して上記ルーチンを実行し、ホイール
シリンダ462等の液圧を制御する。
【0102】本車両用ブレーキシステムにおいて、動力
液圧源452,電磁液圧制御弁540〜554およびブ
レーキECU600のいずれかに異常が発生した場合に
は、マスタシリンダカット弁490,492が開いたま
まに保たれ、マスタシリンダ482の液圧がフロントホ
イールシリンダ462,464に供給される。動力液圧
源452等の故障時には、前輪454,456のブレー
キ454,460がマニュアルブレーキと同様に作動さ
せられるのである。
【0103】それに対し、動力液圧源452,電磁液圧
制御弁540〜554およびブレーキECU600が正
常な状態で、ブレーキペダル480の踏込みが開始され
れば、マスタシリンダカット弁490,492が閉じら
れ、マスタシリンダ482とフロントホイールシリンダ
462,464との連通が遮断される。したがって、動
力液圧源452等が正常である限り、ホイールシリンダ
462等には動力液圧源452からの作動液が増圧用電
磁液圧制御弁540,544,548,552を経て供
給される。なお、ブレーキペダル480の踏込開始は、
本実施形態においては、ストロークセンサ504または
マスタシリンダ圧センサ498の検出値が増大を開始し
た事実から検出される。ブレーキ回路に設けられたセン
サを用いて検出されるのである。前記実施形態における
と同様に、ブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ
スイッチを設けてもよい。
【0104】動力液圧源452の液圧に基づく制動は、
図18に示す通常制動制御ルーチンに従って行われる。
このルーチンのS151においては、ホイールシリンダ
圧の目標値の演算等が行われる。この演算は、例えば、
ブレーキペダル480の踏込ストロークおよびマスタシ
リンダ圧に基づいて行われる。ブレーキペダル480の
踏力に基づいて制御目標値を演算してもよい。そして、
実際のホイールシリンダ圧である実ホイールシリンダ圧
と目標値との偏差が演算され、4つの実ホイールシリン
ダ圧のうち、一つでも目標値より小さい実ホイールシリ
ンダ圧があり、1輪以上のホイールシリンダにおいて増
圧が必要であれば増圧が行われ、全部の実ホイールシリ
ンダ圧が目標値以上であり、増圧の必要がなければ、減
圧あるいは保持が行われる。増圧の必要があれば、液圧
制御に用いられるポンプが決定されるとともに、そのポ
ンプへの供給電流量が決定される。そして、ホイールシ
リンダ圧の目標値である制御目標値が、低圧ポンプ51
4を制御することにより得られる大きさであれば、低圧
ポンプ514のみが作動させられる。制御目標値が高
く、低圧ポンプ514の制御では精度良く得ることがで
きないのであれば、高圧ポンプ516が作動させられ
る。この際、低圧ポンプ514は停止させられる。低圧
ポンプ514は、ブレーキペダル480の踏込みにより
作動を開始させられ、制御目標値が低い領域および中位
の領域において作動させられ、高圧ポンプ516は、制
御目標値が低い領域では作動させられず、高い領域にお
いて作動させられる。図21に示すように、低圧ポンプ
514の作動領域の上限値は、高圧ポンプ516の作動
領域の下限値より高くされており、作動するポンプの交
替時には、低圧ポンプ514,高圧ポンプ516の両方
が作動させられる。
【0105】次いでS152が実行され、S151にお
ける決定に従ってポンプが作動させられ、S153にお
いては、S151において決定されたホイールシリンダ
圧の増圧,減圧,保持の態様に従って電磁液圧制御弁5
40〜554の制御が行われる。増圧時には、増圧用電
磁液圧制御弁540,544は全開させられてポンプ圧
がそのままフロントホイールシリンダ462,464に
供給される。増圧用電磁液圧制御弁548,552は、
リヤホイールシリンダ474,476への供給液圧が、
設定液圧まではフロントホイールシリンダ462,46
4と同じであるが、設定液圧に到達した後は、フロント
ホイールシリンダ圧に対して一定の比率で減圧するよう
に制御を行う。減圧用電磁液圧制御弁542,546,
550,554は閉じられたままとされ、液圧の供給に
より前輪,後輪の各ブレーキ458,460,470,
472が作動させられ、車輪の回転が抑制される。保持
時には、増圧用,減圧用の電磁液圧制御弁540〜55
4がいずれも閉じられたままとされ、減圧時には、増圧
用電磁液圧制御弁540,544,548,552が閉
じられるとともに、減圧用電磁液圧制御弁542,54
6,550,554への供給電流量が制御され、ホイー
ルシリンダ462等の作動液がマスタリザーバ484へ
流出させられ、ホイールシリンダ圧が制御目標値に減圧
される。液圧保持時および減圧時には、低圧ポンプ51
4および高圧ポンプ516は、例えば、吐出圧が、4つ
の実ホイールシリンダ圧のうちの最大値に余裕値を加え
た大きさとなるように作動させられる。それにより次に
増圧が行われるとき、ホイールシリンダ圧を迅速に増加
させることができる。
【0106】S152のポンプ制御を図19に示すポン
プ制御ルーチンに基づいて説明する。まず、S161に
おいてブレーキペダル480が踏み込まれたか否かの判
定が行われる。ブレーキペダル480が踏み込まれてい
なければ、S161の判定はNOになってS162が実
行され、低圧ポンプ514の作動が停止させられるとと
もに、F4フラグがOFFにリセットされる。F4フラ
グは、ONにセットされることにより、高圧ポンプ51
6が作動中であることを記憶する。F5フラグは、セッ
トにより、低圧ポンプ514が作動を停止していること
を記憶する。
【0107】ブレーキペダル480が踏み込まれれば、
S161の判定がYESになってS163が実行され、
F5フラグがONにセットされているか否かの判定が行
われる。F5フラグがセットされていなければ、S16
3の判定はNOになってS164が実行され、低圧ポン
プ514の作動が不要であるか否かが判定される。通常
制動制御ルーチンのS151において設定された制御目
標値が大きく、低圧ポンプ514の制御によっては得ら
れない値であるか否かが判定されるのである。制御目標
値が小さく、低圧ポンプ514の作動によって得られる
大きさであれば、S164の判定はNOになってS16
5が実行され、低圧ポンプ165が作動させられる。S
165では、低圧ポンプ514を作動させてホイールシ
リンダ圧を制御目標値とすべく、ポンプモータ510に
電流が供給される。ポンプモータ510への電流供給は
デューティ制御により行われる。
【0108】次いでS171が実行され、F4フラグが
ONにセットされているか否かの判定が行われる。F4
フラグがONにセットされていなければ、S171の判
定はNOになってS172が実行され、高圧ポンプ51
6の作動が必要であるか否かの判定が行われる。制御目
標値が高くなく、高圧ポンプ516の作動が不要であれ
ば、S172の判定はNOになってルーチンの実行は終
了する。そして、制御目標値が高くなり、高圧ポンプ5
16の作動が必要になれば、S172の判定がYESに
なってS173が実行され、ポンプ圧センサ530によ
り検出されるポンプ圧が、高圧ポンプ516の作動を開
始する高圧ポンプ作動開始圧に到達したか否かの判定が
行われる。
【0109】図21に示すように、高圧ポンプ作動開始
圧は予め設定されており、制御目標値が高圧ポンプ51
6の作動を必要とする大きさに設定されたとき、ポンプ
圧は高圧ポンプ作動開始圧に到達しておらず、高圧ポン
プ作動開始圧への到達が待たれる。ポンプ圧は、ポンプ
圧センサ530により検出される動力液圧源452の液
圧であって、ポンプ514,516の吐出圧である。ポ
ンプ圧が高圧ポンプ作動開始圧に達したならば、S17
3の判定がYESになってS174が実行され、F4フ
ラグがONにセットされた後、S175が実行され、高
圧ポンプ516が作動させられる。ホイールシリンダ圧
が設定された制御目標値となるように高圧ポンプ516
が作動させられるのであり、ポンプモータ512への電
流供給もデューティ制御により行われる。次いでS17
6が実行され、高圧ポンプ516の作動が不要であるか
否かの判定が行われる。制御目標値が高圧ポンプ516
の作動を必要としない大きさになったか否かの判定が行
われるのである。制御目標値が高圧ポンプ516の作動
を必要とする大きさであれば、S176の判定はNOに
なってルーチンの実行は終了する。
【0110】制御目標値が、高圧ポンプ516の作動を
必要とする大きさになれば、低圧ポンプ514の作動は
不要であり、S164の判定がYESになってS166
が実行され、ポンプ圧が低圧ポンプ作動停止圧に達した
か否かの判定が行われる。低圧ポンプ作動停止圧は、図
21に示すように、高圧ポンプ作動開始圧より高く設定
されており、高圧ポンプ516の作動開始後、ポンプ圧
が低圧ポンプ作動停止圧に達すれば、S166の判定が
YESになってS167が実行され、低圧ポンプ162
の作動が停止させられるとともに、F5フラグがセット
される。
【0111】F4フラグがONにセットされているた
め、次にS171が実行されるとき、その判定はYES
になってS175が実行される。また、F5フラグがO
Nにセットされているため、S163の判定がYESに
なってS168が実行され、低圧ポンプ514の作動が
必要であるか否かの判定が行われる。制御目標値が高圧
ポンプ516の作動を必要とする大きさであれば、低圧
ポンプ514の作動は不要であり、S168の判定はN
Oになる。
【0112】そして、制御目標値が高圧ポンプ516の
作動を必要としない大きさになれば、S176の判定は
YESになってS177が実行され、ポンプ圧が高圧ポ
ンプ516の作動を停止させる高圧ポンプ作動停止圧に
到達したか否かの判定が行われる。図21に示すよう
に、高圧ポンプ作動停止圧は高圧ポンプ作動開始圧より
高く設定され、ヒステリシスが設けられている。高圧ポ
ンプ516の作動が不要になったとき、ポンプ圧はま
だ、高圧ポンプ作動停止圧に到達しておらず、S177
の判定はNOになってルーチンの実行は終了する。ポン
プ圧が高圧ポンプ作動停止圧まで低下すれば、S177
の判定がYESになってS178が実行され、高圧ポン
プ516の作動が停止させられるとともに、F4フラグ
がOFFにリセットされる。
【0113】高圧ポンプ516の作動が不要になれば、
逆に、低圧ポンプ514の作動が必要となり、S168
の判定がYESになってS169が実行され、ポンプ圧
が低圧ポンプ作動開始圧に到達したか否かの判定が行わ
れる。ポンプ圧が低圧ポンプ作動開始圧に達すれば、S
169の判定がYESになってS170が実行され、F
5フラグがOFFにリセットされた後、S165が実行
され、低圧ポンプ514が作動させられる。低圧ポンプ
作動開始圧は、図21に示すように、高圧ポンプ作動停
止圧より高く設定されており、低圧ポンプ514は高圧
ポンプ516が作動を停止する前に開始させられる。
【0114】上記のように行われるポンプ制御に対し
て、図示しない電源たるバッテリの電圧が低下した場
合、作動液の温度が低い場合、マスタシリンダ482が
失陥した場合、4つのブレーキ458,460,47
0,472の少なくとも一つに失陥が生じた場合、フェ
ードあるいは積載荷重大状態が生じた場合にはそれぞ
れ、各事態に応じたポンプ制御が行われるようにされて
いる。
【0115】図20に示すブレーキ制動機能低下等検出
ルーチンに基づいて、バッテリの電圧低下等の検出およ
びポンプ制御を説明する。まず、S181においてバッ
テリの電圧が低下しているか否かの判定が行われる。バ
ッテリ電圧センサ602により検出される図示しないバ
ッテリの電圧が低ければ、S181の判定がYESにな
ってS182が実行され、電圧低下時における低圧ポン
プ514,高圧ポンプ516の制御が行われるようにさ
れる。S165,S175において行われるポンプ作動
制御においてポンプモータ510,512への電流供給
のデューティ比を、電圧低下が生じていない通常時より
大きくする指示が出力されるのである。それによりポン
プモータ510,512への供給電流量が増大させら
れ、バッテリの電圧が低くても、ホイールシリンダへの
作動液の供給によりブレーキが作動させられる。
【0116】バッテリの電圧が低下していなければ、S
181の判定はNOになってS183が実行され、電圧
低下時におけるポンプ制御が解除される。通常時のデュ
ーティ比でポンプモータ510,512への電流供給が
行われるようにされるのである。次いで、S184が実
行され、作動液の温度が低いか否かの判定が行われる。
この判定は、作動液温度センサ604の検出信号に基づ
いて行われ、作動液の温度が低く、設定値以下であれ
ば、S184の判定はYESになってS185が実行さ
れ、図21に示すように、高圧ポンプ作動開始圧および
低圧ポンプ作動停止圧が常温時より低い値に変更される
とともに、高圧ポンプ作動停止圧および低圧ポンプ作動
開始圧が常温時より高い値に変更される。ポンプ制御ル
ーチンのS166,S169,S173,S177にお
いて行われる低圧ポンプ514,高圧ポンプ516の作
動開始,作動停止の判定値が変更されるのである。例え
ば、S166,S169,S173,S177の各判定
に用いられる判定値がコンピュータのRAMに設けられ
た判定値メモリに記憶されるのであれば、その判定値メ
モリに記憶される判定値が変更される。
【0117】それにより、高圧ポンプ516は、低温時
には常温時よりポンプ圧が低い状態で作動を開始させら
れ、作動液の温度が低く、粘度が高くても、作動液のホ
イールシリンダ462等への到達が遅れることが少な
く、ブレーキの制御応答性の遅れが少なくて済む。ま
た、高圧ポンプ516は、低温時には常温時よりポンプ
圧が高い状態で作動を停止させられる。
【0118】作動液の温度が低くなければ、S184の
判定はNOになってS186が実行され、低圧ポンプ5
14および高圧ポンプ516の各作動停止圧および作動
開始圧が常温時の値に設定される。次いでS187が実
行され、マスタシリンダ482が失陥しているか否かの
判定が行われる。この判定は、マスタシリンダ圧とポン
プ圧とを比較することにより行われる。通常制動時にお
けるホイールシリンダ圧の制御目標値は、ブレーキペダ
ル482の踏込ストロークおよびマスタシリンダ圧に基
づいて設定されており、マスタシリンダ482が正常で
あれば、マスタシリンダ圧とポンプ圧とはほぼ等しく、
マスタシリンダ圧がポンプ圧より設定圧差を超えて小さ
ければ、マスタシリンダ482が失陥していると判定さ
れる。そして、S188が実行され、警告が発せられ
る。
【0119】マスタシリンダ482に失陥が生じていな
ければ、S187の判定はNOになってS189が実行
され、4つのブレーキ458,460,470,472
の少なくとも一つに失陥が生じているか否かの判定が行
われる。この判定は、マスタシリンダ圧とポンプ圧とが
比較され、ポンプ圧がマスタシリンダ圧より設定圧差を
超えて小さければ、少なくとも一つのブレーキに失陥が
生じているとされる。ブレーキの失陥は、例えば、増圧
用電磁液圧制御弁と減圧用電磁液圧制御弁との少なくと
も一方の故障やブレーキ自体の故障により4つのブレー
キに個々に生ずる。
【0120】ブレーキ失陥が生じていれば、S189の
判定がYESになってS190が実行され、ブレーキ失
陥時の制御態様の設定が行われる。失陥しているブレー
キは、4輪の各ホイールシリンダ圧を比較することによ
り検出され、4つのホイールシリンダ圧のうち、高い圧
と低い圧とがあれば、ホイールシリンダ圧の低いブレー
キが失陥しているとされる。
【0121】二つのブレーキが失陥した場合の例を説明
する。この場合、ブレーキペダル480の踏込ストロー
クおよびマスタシリンダ圧に基づいて設定された制御目
標値が増大させられる。例えば、失陥したブレーキが
左,右の後輪ブレーキ470,472であり、左,右前
輪ブレーキ458,460が正常であれば、制御目標値
が増大させられるが、この増大率は最小とされる。本実
施形態の車両用ブレーキシステムにおいては、制動力配
分が左,右前輪454,456の方が左,右後輪46
6,468より大きくされており、後輪ブレーキ47
0,472に失陥が生じても、前輪ブレーキ458,4
60の作動により、失陥が生じていない場合の制動力に
近い制動力が得られるからである。失陥したブレーキが
車両の対角線上に位置する前輪ブレーキ458および後
輪ブレーキ470あるいは前輪ブレーキ460および後
輪ブレーキ472であれば、制御目標値の増大率は中間
の値とされる。正常なブレーキのホイールシリンダ圧が
高くされ、そのブレーキにより得られる制動力が高めら
れるとともに、制動力が高くなり過ぎないようにされて
いるのである。失陥したブレーキが左,右前輪ブレーキ
458,460であり、左,右後輪ブレーキ470,4
72が正常であれば、制御目標値の増大率は最大とされ
る。車両全体としての制動力を、左右前輪ブレーキ45
8,460が失陥していない場合の制動力に近づけるの
である。いずれの場合にも、失陥したブレーキについて
は、増圧用電磁液圧制御弁が閉じられてホイールシリン
ダに作動液が供給されないようにされる。低圧ポンプ5
14および高圧ポンプ516が増大させられた制御目標
値に従って制御されるように、本実施形態においては、
S190において、コンピュータのRAMに設けられた
ブレーキ失陥フラグがONにセットされるとともに、増
大率が増大率メモリに記憶される。また、失陥が生じた
ブレーキの種類が失陥ブレーキメモリに記憶される。
【0122】失陥したブレーキが一つである場合には、
そのブレーキのホイールシリンダについて増圧用電磁液
圧制御弁が閉じられ、液圧が供給されないようにされる
が、制御目標値は増大させられない。3つのブレーキが
正常であり、失陥がない場合に近い制動力が得られるか
らである。但し、後輪ブレーキ470,472について
増圧時における一定比率の減圧制御は行われないように
され、その分、正常な後輪ブレーキについては、通常時
より大きい制動力が得られる。なお、ポンプ圧の異常
が、動力液圧源452の異常であれば、前述のように、
前輪ブレーキ458,460がマニュアルブレーキと同
様に作動させられるようにされる。
【0123】それに対し、ブレーキ失陥が生じていなけ
れば、S189の判定はNOになってS191が実行さ
れ、失陥時制御が解除される。本実施形態においては、
ブレーキ失陥フラグがOFFにリセットされるととも
に、増大率メモリおよび失陥ブレーキメモリがクリアさ
れるのである。
【0124】S190あるいはS191の実行後、S1
92が実行され、フェードあるいは積載荷重大状態が発
生しているか否かの判定が行われる(S192〜S19
4では、代表してフェードと記載されている)。この判
定は、例えば、図1ないし図9に示す実施形態における
と同様に行われる。マスタシリンダ圧およびポンプ圧が
いずれも設定値(例えば10Mpa)より大きく、車速が
設定値(例えば5km/h)より大きい状態において、車体
減速度が設定値(例えば6m/s2)より小さければ、フェ
ードあるいは積載荷重大状態が発生しているとするので
ある。
【0125】フェードが発生していれば、S192の判
定がYESになってS193が実行され、フェードの発
生が記憶される。例えば、RAMに設けられたフェード
発生フラグがセットされるのである。次いでS194が
実行され、ブレーキ失陥が生じているか否かの判定が行
われる。この判定は、ブレーキ失陥フラグがセットされ
ているか否かにより行われ、ブレーキ失陥が生じていれ
ば、S194の判定はYESになってS195が実行さ
れ、ポンプ制御態様が決定される。フェードが発生した
場合、制御目標値は、S151において決定された制御
目標値より、予め設定された一定の増大率に従って増大
させられる。S195が実行されるときには、ブレーキ
失陥とフェードあるいは積載荷重大状態との両方が生じ
ており、制御目標値の増大率は、予め定められた規則に
従って決定される。
【0126】予め定められた規則は、例えば、ブレーキ
失陥に基づいて設定された増大率と、フェード発生時の
増大率とのうち、大きい方を制御目標値の増大率に決定
する規則とされる。あるいは、小さい方の値あるいは平
均値を制御目標値の増大率に決定してもよく、あるい
は、失陥したブレーキの種類に基づいて決定してもよ
い。決定された増大率は、コンピュータのRAMに設け
られたブレーキ失陥・フェード発生時増大率メモリに記
憶される。
【0127】ブレーキ失陥が生じておらず、フェードあ
るいは積載荷重大状態が発生していていれば、S194
の判定はNOになってルーチンの実行は終了する。ま
た、フェードあるいは積載荷重大状態が発生していなけ
れば、S192の判定はNOになってS196が実行さ
れ、フェード時制御が解除される。本実施形態では、フ
ェード発生フラグがOFFにリセットされる。
【0128】通常制動制御ルーチンのS152のポンプ
制御のS165,S175においては、ブレーキ失陥お
よびフェードあるいは積載荷重大状態のいずれも生じて
いなければ、S151において演算された制御目標値が
得られるように低圧ポンプ514,高圧ポンプ516が
作動させられる。ブレーキ失陥のみが生じていれば、S
190において設定された増大率に従って増大させられ
た制御目標値が得られるように低圧ポンプ514,高圧
ポンプ516が作動させられる。フェードあるいは積載
荷重大状態のみが生じていれば、予め定められた一定の
増大率に従って増大させられた制御目標値が得られるよ
うに低圧ポンプ514および高圧ポンプ516を作動さ
せられる。ブレーキ失陥およびフェードあるいは積載荷
重大状態が生じていれば、S195において決定された
増大率に従って増大させられた制御目標値が得られるよ
うに低圧ポンプ514および高圧ポンプ516が作動さ
せられる。また、S153の弁制御においては、ブレー
キ失陥時には、失陥したブレーキについて設けられた増
圧用電磁液圧制御弁を閉じ、失陥したブレーキが1つで
あれば、リヤホイールシリンダ圧の減圧制御が行われな
いようにされる。ブレーキ失陥等が生じているか否か
は、ブレーキ失陥フラグ,フェード発生フラグ等がセッ
トされているか否かによりわかる。
【0129】このように制御目標値が増大させられるこ
とにより、ブレーキに失陥が生じたとき、正常なブレー
キにより得られる制動力が高められる。運転者のブレー
キ操作に基づいて設定された制御目標値を増大させるこ
とによって制動力が高められるため、ブレーキ失陥が生
じても、運転者は失陥により減少した分の制動力を補う
べく、ブレーキ操作を余分に行わなくてもよく、あるい
は行うにしても少なくて済み、ブレーキ失陥時における
運転者の負担が軽減される。フェードあるいは積載荷重
大状態が生じた場合には、運転者のブレーキ操作量を増
すことなく、あるいは少ない増加量で4つのホイールシ
リンダ圧が高められ、フェードあるいは積載荷重大状態
に応じた制動力が得られる。
【0130】なお、説明は省略するが、本実施形態の車
両用ブレーキシステムにおいては、トラクション制御,
非制動時におけるビークルスタビリティ制御,自動車速
制御等の自動制御を行うことができる。フロントホイー
ルシリンダ462,464とマスタシリンダ482との
連通を遮断した状態において動力液圧源452を作動さ
せ、ブレーキの作動が必要なホイールシリンダに液圧を
供給して車輪の回転を抑制するのである。これら自動制
御を行う場合にも、バッテリの電圧低下,作動液の温度
低下,ブレーキ失陥,フェード,積載荷重大等の検出を
行い、それらの事態が発生していれば、各事態に対応す
る制御が通常制動時と同様に行われる。但し、制御は、
自動制御の態様に応じて行われる。
【0131】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ブレーキECU600のS185を実行
する部分が高圧ポンプ516の作動時間を増大させるポ
ンプ作動時間増大手段ないしエネルギ増大部を構成し、
S152を実行する部分が電力制御部を構成し、S19
0,S193,S195を実行する部分がポンプ制御条
件変更部を構成し、これらがポンプ制御装置を構成して
いる。
【0132】なお、図16ないし図21に示す実施形態
において、高圧ポンプ516の作動停止圧は、作動液の
温度が低い場合に変更しなくてもよい。また、低圧ポン
プ514の作動停止圧および作動開始圧は、作動液の温
度が低い場合に変更しなくてもよい。但し、低圧ポンプ
514の作動開始圧は、高圧ポンプ516の作動停止圧
より高くする。
【0133】また、図16ないし図21に示す実施形態
において、高圧ポンプ516の作動時に低圧ポンプ51
4は停止させなくてもよい。高圧ポンプ516の作動時
には、低圧ポンプ514をフル作動、すなわち限界吐出
圧で作動させておくのである。
【0134】さらに、図16ないし図21に示す実施形
態において、作動液の温度が低い場合に、ホイールシリ
ンダ圧の制御目標値を高くするようにようにしてもよ
い。
【0135】また、図16ないし図21に示す実施形態
において、フェードあるいは積載荷重大状態発生時の増
大率は可変値としてもよい。例えば、フェードあるいは
積載荷重大状態の程度に応じて増大率を変更する。フェ
ードあるいは積載荷重大状態の程度は、例えば、ブレー
キ操作量を表す量、例えばブレーキペダル480の踏込
ストローク,マスタシリンダ圧,踏力等に対して、実際
に得られている減速度に基づいて取得する。フェードあ
るいは積載荷重大状態の程度が大きいほど、ブレーキ操
作量を表す量に対して実際に得られている減速度が小さ
く、増大率を大きくするのである。増大率は段階的に変
えてもよく、無段階に変えてもよい。増大率ではなく、
一定量あるいはフェードに応じた量、制御目標値を増大
させてもよい。
【0136】さらに、積載荷重大状態とフェードとを区
別して検出するようにしてもよい。例えば、積載荷重検
出装置を設け、積載荷重が大きいことをフェードと区別
して検出するのであり、その場合、ポンプの作動増強
量、例えば、アキュムレータ圧の上限圧と下限圧との少
なくとも一方の増大量あるいは制御目標値の増大量は、
一定の大きさとしてもよく、あるいは積載荷重の大きさ
に基づいて段階的あるいは無段階に異なる大きさとして
もよい。
【0137】また、図16ないし図21に示す実施形態
において、低圧ポンプ514および高圧ポンプ516を
制御して制御目標値を得る場合、ホイールシリンダ圧の
増圧速度を考慮して制御を行うようにしてもよい。例え
ば、制御目標値の大きさに関係なく、増圧速度が大き
く、低圧ポンプ514のみでは必要な増圧速度を得るこ
とが困難な場合には、低圧ポンプ514と共に高圧ポン
プ516を作動させるのである。作動液の低温時,ブレ
ーキ失陥時,フェードあるいは積載荷重大状態発生時に
は、ホイールシリンダ圧の増圧速度を増大させてもよ
い。
【0138】さらに、図16ないし図21に示す実施形
態において、ブレーキ失陥が検出されて制御態様が設定
されたならば、フェードあるいは積載荷重大状態の発生
を検出せず、ブレーキ失陥に基づいて設定された制御態
様に従って低圧ポンプ514および高圧ポンプ516を
制御するようにしてもよい。ブレーキ失陥に基づくポン
プ制御と、フェードあるいは積載荷重大状態の発生に基
づくポンプ制御とのいずれか一方が行われるようにする
のである。
【0139】また、図16ないし図21に示す実施形態
の動力液圧源452はアキュムレータを含まないものと
されていたが、アキュムレータを含むものとしてよい。
この場合、ポンプは、例えば一つ設けられ、アキュムレ
ータの液圧は増圧用,減圧用の各電磁液圧制御弁によ
り、制御目標値に制御されて4輪の各ホイールシリンダ
に供給される。自動制御を行うこともできる。そして、
アキュムレータを含まない場合と同様にブレーキ失陥等
の検出が行われるが、ブレーキ失陥等が生じていれば、
例えば、図1ないし図9に示す実施形態におけると同様
に、アキュムレータに収容される作動液の液圧範囲が高
く変更されるとともに、制御目標値が高く変更され、増
圧用電磁液圧制御弁540,544,548,552の
制御により、変更された制御目標値が得られるようにさ
れる。
【0140】さらに、アキュムレータを備えない動力液
圧源においてポンプを複数設ける場合、それらポンプは
最大吐出圧,吐出容量が同じものとしてもよい。また、
ポンプは一つ設けるのみでもよい。
【0141】また、図13ないし図15に示す実施形態
において、図1ないし図9に示す実施形態におけると同
様にアンチロック用液圧制御弁装置を設けてアンチロッ
ク制御を行うようにしてもよく、図1ないし図9に示す
実施形態におけると同様に、前輪ブレーキ系統の失陥,
フェードあるいは積載荷重大状態,作動液の温度低下,
バッテリの電圧低下を検出してアキュムレータに蓄えら
れる液圧の範囲の変更等を行うようにしてもよい。図1
ないし図9に示す実施形態において、図13ないし図1
5に示す実施形態におけると同様に、前輪ブレーキ系統
失陥およびフェードあるいは積載荷重大状態を検出し、
それに基づいてポンプが作動させられるようにしてもよ
い。
【0142】さらに、圧力スイッチを複数設ける場合、
前輪ブレーキ系統失陥等発生時において信号を読み込む
圧力スイッチの選択は、コンピュータのプログラムによ
って行うのに限らず、ハード回路によって行われるよう
にしてもよい。
【0143】また、図1ないし図12に示す各実施形態
等において、アキュムレータ92に加圧下に収容する作
動液の下限圧および上限圧はそれぞれ、通常時,作動液
低温時,フェードあるいは積載荷重大状態時,前輪ブレ
ーキ系統失陥時の記載の順に大きくされていたが、これ
は不可欠ではなく、設計の都合等に応じて適宜に設定す
ればよい。例えば、アキュムレータ圧の下限圧を、低温
時あるいは前輪ブレーキ系統失陥時に通常時より高く
し、低温時および前輪ブレーキ系統失陥時の各下限圧は
互いに同じ大きさにしてもよく、低温時の下限圧を前輪
ブレーキ系統失陥時の下限圧より大きくしてもよい。通
常時以外のすべての場合についてアキュムレータ圧の下
限圧を同じにしてもよい。フェードあるいは積載荷重大
状態時のアキュムレータ圧の下限圧および上限圧を、前
輪ブレーキ系統失陥時より大きくしてもよく、あるいは
作動液低温時より小さくしてもよい。アキュムレータ圧
の上限圧も同様に、設計の都合に応じて適宜に設定すれ
ばよく、例えば、通常時,低温時および前輪ブレーキ系
統失陥時のいずれについても同じ大きさにしてもよく、
低温時において前輪ブレーキ系統失陥時より高くしても
よい。
【0144】さらに、前輪ブレーキ系統失陥等、アキュ
ムレータに蓄える作動液の液圧範囲の変更を要する複数
の事態の全部について液圧範囲を設定した後、それら複
数の液圧範囲から、予め定められた規則に基づいて実際
にアキュムレータに蓄える作動液の液圧範囲を決定する
ようにしてもよい。予め定められた規則は、例えば、複
数の液圧範囲のうち、最大の範囲を実際の液圧範囲とし
て採用し、あるいは最小の範囲を採用し、あるいは平均
値を採用するものとされる。
【0145】また、上記実施形態においては、アキュム
レータに蓄える作動液の液圧範囲を変更する複数の事態
あるいはホイールシリンダ圧の制御目標値を増大させる
複数の事態の検出が行われるようにされていたが、少な
くとも一つの事態を検出し、それに応じてアキュムレー
タの液圧範囲あるいは制御目標値の増大量を決定するよ
うにしてもよい。
【0146】また、ブレーキの制動機能が設定機能以下
に低下した場合等には、アキュムレータ圧の上限圧と下
限圧とのいずれか一方を変更するようにしてもよい。
【0147】さらに、図1ないし図9に示す実施形態に
おいて、前輪ブレーキ系統失陥時には、プロポーショニ
ングバイパスバルブ208がリヤホイールシリンダ圧を
減圧しないようにすることが望ましい。
【0148】また、上記いくつかの実施形態において
は、バッテリ36の電圧が低い場合に、ブレーキペダル
52の踏込みによりポンプ100が作動を開始させら
れ、ブレーキペダル52の踏込み解除によりポンプ10
0が作動を停止させられるようにされていたが、それと
は別に、あるいはそれと共に、前輪ブレーキ系統の失陥
等、ブレーキの制動機能が設定機能以下に低下した場合
や、実際の制動効果が目標制動効果より設定制動効果差
以上小さい場合に、ブレーキペダル52の踏込みにより
ポンプ100が作動を開始させられ、それと共に、ある
いはそれとは別にブレーキペダル52の踏込み解除によ
りポンプ100が作動を停止させられるようにしてもよ
い。
【0149】さらに、本発明は、車両の左前輪および右
後輪の各ブレーキが同じ系統に属すし、右前輪および左
後輪の各ブレーキが別の同じ系統に属するクロス配管式
のブレーキシステムにも適用することができる。
【0150】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用ブレーキシステ
ムを駆動装置と共に示す回路図である。
【図2】上記車両用ブレーキシステムを構成する液圧制
動装置を示す回路図である。
【図3】上記液圧制動装置を構成するリニア液圧制御弁
装置の増圧用,減圧用の各電磁液圧制御弁の構成を概略
的に示す図である。
【図4】上記液圧制動装置のブレーキECUの構成を概
略的に示すブロック図である。
【図5】上記ブレーキECUを構成するコンピュータの
ROMに記憶された制動制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図6】上記コンピュータのROMに記憶されたポンプ
作動ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】上記コンピュータのROMに記憶されたブレー
キ制動機能低下等検出ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【図8】上記コンピュータのRAMのうち、本発明に関
連の深い部分を概略的に示す図である。
【図9】上記ブレーキ制動機能低下等検出ルーチンにお
ける前輪ブレーキ失陥等の検出条件および失陥対策を示
す図表である。
【図10】本発明の実施形態である車両用ブレーキシス
テムのブレーキECUの構成を概略的に示すブロック図
である。
【図11】図10に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶されたポンプ作動ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図12】図10に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶されたブレーキ制動機能低下等検出ルー
チンを示すフローチャートである。
【図13】本発明の別の実施形態である車両用ブレーキ
システムを示す回路図である。
【図14】図13に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶されたポンプ作動ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図15】図14に示すポンプ作動ルーチンに従ってポ
ンプを作動させる効果を説明する図である。
【図16】本発明の別の実施形態である車両用ブレーキ
システムを示す回路図である。
【図17】図16に示す車両用ブレーキシステムを構成
する増圧用,減圧用の各電磁液圧制御弁の構造を概略的
に示す図である。
【図18】図16に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶された通常制動制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図19】図16に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶されたポンプ制御ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図20】図16に示すブレーキECUのコンピュータ
のROMに記憶されたブレーキ制動機能低下等検出ルー
チンを示すフローチャートである。
【図21】図16に示す車両用ブレーキシステムにおい
て、作動液の温度が低い状態におけるポンプ制御を説明
する図である。
【符号の説明】
52:ブレーキペダル 56,58:前輪ブレーキ
64,66:後輪ブレーキ 68:リニア液圧制御
弁装置 76:動力液圧源 78:液圧ブースタ付
マスタシリンダ 80,82:フロントホイールシリ
ンダ 84,86:リヤホイールシリンダ 92:
アキュムレータ 100:ポンプ 102:ポンプモータ 120:液圧ブースタ 1
22:マスタシリンダ 124:液圧制御装置 130:シリンダハウジング
132:加圧ピストン 134:加圧室 14
2:ブースタ室 300,380,410:ブレーキ
ECU 452:動力液圧源 458,460:前
輪ブレーキ 462,464:フロントホイールシリンダ 47
0,472:後輪ブレーキ 474,476:リヤホイールシリンダ 480:ブ
レーキペダル 482:マスタシリンダ 514:
低圧ポンプ 516:高圧ポンプ 600:ブレー
キECU
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 17/18 B60T 13/12 B60T 8/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともポンプを有する動力液圧源
    と、 そのポンプを制御するポンプ制御装置と、 複数のブレーキをそれぞれ作動させる複数のブレーキシ
    リンダであって、少なくとも一部のものが前記動力液圧
    源の液圧に依存して作動するものと、 前記複数のブレーキのうちの予め定められたものの制動
    機能が設定機能以下に低下したことを検出する制動機能
    低下検出装置とを含み、かつ、前記ポンプ制御装置が、
    前記制動機能低下検出装置により機能低下が検出された
    場合に前記ポンプの作動を増強するポンプ作動増強部を
    含むことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 【請求項2】 車両の運転者により操作されるブレーキ
    操作部材と、 少なくともポンプを有する動力液圧源と、 前記ポンプを制御するポンプ制御装置と、 それぞれ複数のブレーキを作動させる複数のブレーキシ
    リンダであって、少なくとも一つが、前記動力液圧源か
    ら供給され、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた液
    圧の作動液により作動するものと、 前記複数のブレーキのうちの予め定められたものの制動
    機能が設定機能以下に低下したことを検出する制動機能
    低下検出装置とを含み、かつ、前記ポンプ制御装置が、
    前記制動機能低下検出装置により機能低下が検出された
    場合に前記ポンプの作動を増強するポンプ作動増強部を
    含むことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  3. 【請求項3】 車両の運転者により操作されるブレーキ
    操作部材と、 少なくともポンプを有する動力液圧源と、 前記ポンプを制御するポンプ制御装置と、 複数のブレーキをそれぞれ作動させる複数のブレーキシ
    リンダであって、それらの少なくとも一つが前記動力液
    圧源から供給され、前記ブレーキ操作部材の操作量に応
    じた液圧に制御された作動液により作動するものと、 前記車両全体の制動効果を検出する制動効果検出装置と
    を含み、前記ポンプ制御装置が、前記制動効果検出装置
    により検出された実際の制動効果が、前記ブレーキ操作
    部材の操作量に対応した目標制動効果より設定制動効果
    差以上小さい場合に、前記ポンプの作動を増強するポン
    プ作動増強部を含むことを特徴とする車両用ブレーキシ
    ステム。
  4. 【請求項4】 前記設定制動効果差が、前記ブレーキに
    フェードが発生した場合における制動効果の低下量に基
    づいて設定されたフェード対応効果差と、前記車両の積
    載重量の増大に基づく制動効果の低下量に基づいて設定
    された積載重量対応効果差との少なくとも一方を含むこ
    とを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキシステ
    ム。
  5. 【請求項5】 ブレーキ操作力に基づいて液圧を発生さ
    せるマスタシリンダと、 少なくともポンプを有する動力液圧源と、 前記ポンプを制御するポンプ制御装置と、 前記マスタシリンダから供給される作動液により作動す
    る第一ブレーキシリンダを備えた第一ブレーキ系統と、 前記動力液圧源から供給され、前記マスタシリンダの液
    圧と予め定められた関係を保つ液圧に制御された作動液
    により作動する第二ブレーキシリンダを有する第二ブレ
    ーキ系統とを含み、かつ、前記ポンプ制御装置が、前記
    第一ブレーキ系統の液圧と前記第二ブレーキ系統の液圧
    との実際の関係が、前記予め定められた関係から予め定
    められた量以上外れた場合に、前記ポンプの作動を増強
    するポンプ作動増強部を含むことを特徴とする車両用ブ
    レーキシステム。
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