JP5421758B2 - 車両用隔壁 - Google Patents

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本発明は、車両の室内を仕切る車両用隔壁に関するものである。
従来、自動車などの車両において、室内を仕切るために車両用隔壁が設けられている(特許文献1参照)。前記特許文献1には、車両用隔壁にビードを一体的に形成することで、車両用隔壁自体の強度を高め、外力に抗して変形を抑制する技術が開示されている。
特開平11−139348号公報
ところで、ハイブリッド車の荷室の床下には、バッテリーが配設されるとともに、当該バッテリーを冷却するためのファンが配設されている。そして、このファンの駆動音や車両後部に配設されたリヤタイヤの回転音などの騒音が、車両後方側から乗員側に伝播されて、乗員に不快感を与えるという問題がある。しかし、前記特許文献1に記載の車両用隔壁では、騒音を低減する手段が何ら講じられていなかった。また、室内を仕切る車両用隔壁を利用して、騒音の低減を図ることが希求されている。
そこで、本発明では、好適な剛性を確保しつつ、吸音性能が向上する車両用隔壁を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、車両の室内を仕切る車両用隔壁であって、外観を構成するカバーと、前記カバーの内部に配置された吸音材と、前記カバーの内部に配置されたワイヤと、を備え、前記カバーは、壁部と、前記壁部に一体的に形成されたビードと、前記壁部に前後方向に貫通して形成された複数の透孔と、を有し、前記ワイヤは、前記壁部に対し前方に離間して配置され、前記吸音材は、前記各透孔の前側開口端を覆うように前記壁部の前側に配置されるとともに、前記壁部と前記ワイヤとの間に配置されていることを特徴とする。
なお、壁部の後方には、騒音を発生する装置が配設されていることが望ましい。また、車両用隔壁は、前後方向に傾倒自在であることが望ましい。
本発明によれば、透孔が壁部に前後方向に貫通して形成されるとともに、吸音材が透孔の前側開口端を覆うように壁部の前側に配置されることにより、車両後方側から生じる騒音を成す空気振動が、透孔を介して吸音材に導かれ、この吸音材で減衰されるため、車両後方側から乗員側に伝播される騒音を低減させることができる。
また、ビードが壁部に一体的に形成されることにより、壁部自体の剛性を高めることができる。したがって、車両用隔壁を前方に傾倒させたとき、壁部の後面に荷物を載置することが可能になる。
つまり、本発明によれば、好適な剛性を確保しつつ、吸音性能を向上させることができる。
また、ビードは、各透孔を囲むように配設されていることが望ましい。このようにすると、透孔の周囲の剛性を好適に確保することができる。
さらに、カバーの底部には、カバーの外部と内部とを連通する排出部が形成され、カバーのうち排出部より上方に位置する部分には、カバーの外部と内部とを連通し且つロック装置が臨む孔部が形成されていることが望ましい。このようにすると、孔部を通じてカバーの内部に侵入したゴミなどの異物が、その自重によって、排出部からカバーの外部へ排出されるため、カバーの内部に異物が滞留せず、異物が滞留することで発生する異音を防止することができる。
本発明によれば、好適な剛性を確保しつつ、吸音性能が向上する。
本発明の実施形態に係る車両用隔壁を備えた車両を側方から見た状態を示す概略図である。 実施形態に係る車両用隔壁を左斜め後方から見た状態を示す斜視図である。 図2に示す車両用隔壁から表皮材を取り外した状態を示す斜視図である。 図2のX−X線断面図である。 図4のA部拡大図である。 図4のB部拡大図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、運転席と助手席のみでそれ以外に座席が存在しない、所謂2シーターの車両に本発明を適用した場合を例にして説明する。
以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本実施形態では、前後上下左右は、車両Vを基準とし、また、車幅方向と左右方向とは同義である。
図1、本発明の実施形態に係る車両用隔壁を備えた車両を側方から見た状態を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用隔壁1は、荷物を載置可能な台座部Pに対して前後方向に傾倒自在に取り付けられており、室内Rを仕切る役割を果たす。本実施形態では、荷室CRと荷室LRとを仕切る車両用隔壁1を例にして説明する。
なお、車両用隔壁1は、その前面が台座部Pの上面に重なるように傾倒されることで(図1中の二点鎖線参照)、荷室CRと荷室LRとを連通して荷室スペースを拡大するとともに、荷物を載置する役割も果たす。また、図2に示すように、台座部Pの上部には、収納部P1が下方に窪んで形成されている。
図2は、実施形態に係る車両用隔壁を左斜め後方から見た状態を示す斜視図、図3は、図2に示す車両用隔壁から表皮材を取り外した状態を示す斜視図、図4は、図2のX−X線断面図、図5は、図4のA部拡大図、図6は、図4のB部拡大図である。
車両用隔壁1は、図2乃至図4に示すように、その外観(外装)を構成するカバー2と、前記カバー2の後面に接合される表皮材3と、前記カバー2の内部に配置される吸音材4(図4参照)と、を主に備えている。
カバー2は、図2乃至図4に示すように、荷室CRに面し(乗員側に位置し)且つ略矩形状に形成された樹脂製のフロントカバー21と、荷室LRに面し(フロントカバー21を挟んで乗員側と反対側に位置し)且つ略矩形状に形成された樹脂製のリアカバー22と、から構成される。カバー2は、その内部に中空部が形成されるようにフロントカバー21とリアカバー22とがボルト(図示省略)で接合されている。
壁部としてのリアカバー22には、図3に示すように、縦横に配設されて略格子状を呈するビード23が一体的に形成されている。すなわち、ビード23は、縦方向(上下方向)に延在し且つ車幅方向に間隔を空けて配設された複数の縦ビード23a,23aと、横方向(車幅方向)に延在し且つ隣り合う縦ビード23a,23a間に配設された複数の横ビード23b,23bと、から構成される。縦ビード23a及び横ビード23bは、図4及び図5に示すように、前方に向かって突出する凸状に形成されている(横ビード23bのみ図示)。
また、リアカバー22には、図3に示すように、この縦ビード23a及び横ビード23bに区画された複数のブロック部24,24が形成され、1つのブロック部24に対して、1〜4つの透孔25がカバー2の外部と内部とを連通するように(前後方向に)貫通形成されている(図5参照)。換言すると、リアカバー22には、断面視円形状を呈する複数の透孔25,25が点在状態で形成されており、各透孔25,25を囲むように縦ビード23a及び横ビード23bが配設されている。なお、透孔25の大きさは、例えば、直径5mmなどに形成されるのが好ましいが、その大きさは適宜設定してよい。
図2に示すように、カバー2の側面上部には、車両Vの内壁面に取着されたストライカー(図示省略)に係合又は非係合可能なロック装置9が臨む孔部26が形成されている。この孔部26は、フロントカバー21の側面からリアカバー22の後面にかけて、カバー2の外部と内部とを連通するように形成されている。
なお、ロック装置9は、フロントカバー21に取着され、図示しないワイヤ部材(連結部材)を介して、カバー2の上端中央部に設けられた持ち手10に連結されている。すなわち、本実施形態では、車両用隔壁1が荷室CRと荷室LRとを仕切っている状態で、ロック装置9がストライカーに係合されることにより、車両用隔壁1が台座部Pに対して傾倒しないように固定され、この状態から持ち手10を引くことで、ロック装置9とストライカーとの係合状態が解除され、車両用隔壁1を前方に傾倒できるように構成されている。
また、図4及び図6に示すように、カバー2の底部には、カバー2の外部と内部とを連通し且つ車幅方向に延在する排出部27が形成されている。この排出部27は、図6に示すように、フロントカバー21の下縁部21aとリアカバー22の下縁部22aとの間に隙間を設けることで形成されている。そして、カバー2の底部に排出部27を設けることにより、孔部26を通じてカバー2の内部に侵入したゴミなどの異物が、その自重によって、排出部27からカバー2の外部へ排出されるため、カバー2の内部に異物が滞留せず、異物が滞留することで発生する異音を防止することができる。なお、排出部27の幅寸法Lは、例えば、3mmなどに形成されるのが好ましいが、その幅寸法Lは適宜設定してよい。
表皮材3は、図2及び図4に示すように、ビード23及び透孔25を後方から覆うようにリアカバー22の後面(外面)に接合されている。表皮材3は、樹脂製の不織布で形成され、騒音を成す空気振動が通過できるように成形される。
吸音材4は、公知の吸音材の中から適宜選択して用いられ、表皮材3及び透孔25を通過してきた空気振動を減衰して、騒音を低減させる機能を有する。吸音材4は、図4に示すように、リアカバー22の前面(内面)に沿うように設けられている。すなわち、吸音材4は、図5に示すように、ビード23の頂部に当接するとともに、透孔25の前側開口端を覆うようにカバー2の内部(中空部)に設けられている。
また、カバー2の内部には、図4に示すように、吸音材4の他に、フレーム5、ワイヤ6、ベルト7及び補助ワイヤ8などが配設されている。
フレーム5は、図4に示すように、車幅方向に延在する上部パイプフレーム51と、この上部パイプフレーム51から下方に離間し且つ上部パイプフレーム51に対して略平行に延在する下部パイプフレーム52と、上部パイプフレーム51及び下部パイプフレーム52の両端部間に配置され且つ上部パイプフレーム51に対して略直交する方向に延在する一対の側部パイプフレーム(図示省略)と、が略四角枠状に組み合わされて構成される。
ワイヤ6は、細長い中空円筒状の鋼材であり、上部パイプフレーム51及び下部パイプフレーム52に対して略直交する方向(上下方向)に延在する。ワイヤ6は、上部パイプフレーム51及び下部パイプフレーム52の後方に配置され、その軸方向両端部が、上部パイプフレーム51及び下部パイプフレーム52に溶接で固定されている。ワイヤ6は、車幅方向に間隔を空けて複数本配置される。
ベルト7は、長手方向に沿って一定の幅を有する帯状を呈し、シートベルト装置のウェビングと同質な材料であるポリエステル繊維を編み込んで形成されている。ベルト7は、車幅方向に延在し、ワイヤ6に対して交差し且つ後方に配置されている。ベルト7は、上下方向に間隔を空けて複数本(例えば、2本)配置され、その車幅方向両端部が図示しないボルトでフロントカバー21に固定される。
補助ワイヤ8は、中空筒状を呈する鋼材であり、ワイヤ6に対して交差するように上下方向に間隔を空けて複数本(例えば、2本)配置されている。上側に位置する補助ワイヤ8は、ワイヤ6の後方に配置され、その両端部が上方に向かって折り曲げられ溶接で上部パイプフレーム51に固定される。下側に位置する補助ワイヤ8は、ワイヤ6の前方に配置されるとともに、その両端部が溶接で側部パイプフレームに固定される。
なお、リアカバー22の後面下部には、車幅方向に延在する中空角筒状の第1邪魔部材11が設けられ、この第1邪魔部材11の後面中央部には、その上端部が後方に向かって突出する略L字状の第2邪魔部材12が設けられている。これにより、荷室LR内にスペアタイヤ(図示省略)が載置されている場合において、スペアタイヤが前方に移動したときには、第1邪魔部材11でスペアタイヤが車両用隔壁1に直接衝突するのを防止でき、また、スペアタイヤが上方に移動した(上方に跳ね上がった)ときには、第2邪魔部材12でスペアタイヤが車両用隔壁1に直接衝突するのを防止できる。
本発明の実施形態に係る車両用隔壁1は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用隔壁1によれば、透孔25がカバー2の外部と内部とを連通するようにリアカバー22に形成されるとともに、吸音材4が透孔25の前側開口端を覆うようにリアカバー22の前面に沿って設けられることにより、表皮材3を通過した騒音を成す空気振動が、透孔25を介して吸音材4に導かれ、この吸音材4で減衰されるため、車両後方側(荷室LR側)から乗員側(荷室CR側)に伝播される騒音を低減させることができる。
また、ビード23が縦横に配設され、リアカバー22に一体的に形成されることにより、リアカバー22自体の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、ビード23が透孔25を囲むように形成されているため、透孔25の周囲の剛性を好適に確保することができる。したがって、車両用隔壁1を台座部Pの上面に傾倒させたとき、リアカバー22の後面に荷物を載置することが可能になる。
つまり、本実施形態に係る車両用隔壁1によれば、好適な剛性を確保しつつ、吸音性能を向上させることができる。
さらに、カバー2の底部に排出部27を設けることにより、孔部26を通じてカバー2の内部に侵入したゴミなどの異物が、その自重によって、排出部27からカバー2の外部へ排出されるため、カバー2の内部に異物が滞留せず、異物が滞留することで発生する異音を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、荷室CRと荷室LRとを仕切る車両用隔壁1に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、例えば、車室(居室)と荷室とを仕切る車両用隔壁に本発明を適用してもよいし、車室内を仕切る車両用隔壁に本発明を適用しても構わない。
本実施形態では、透孔25を断面視円形状に形成したが、これに限定されることなく、例えば、断面視三角形状、四角形状などに形成してもよい。
また、本実施形態では、フロントカバー21の下縁部21aとリアカバー22の下縁部22aとの間に隙間を設けることで排出部27を形成したが、これに限定されることなく、フロントカバー21の下縁部21a又はリアカバー22の下縁部22aを切り欠いて排出部27を形成してもよい。
1 車両用隔壁
2 カバー
21 フロントカバー
21a 下縁部
22 リアカバー(壁部)
22a 下縁部
23 ビード
23a 縦ビード
23b 横ビード
24 ブロック部
25 透孔
26 孔部
27 排出部
3 表皮材
4 吸音材
5 フレーム
51 上部パイプフレーム
52 下部パイプフレーム
6 ワイヤ
7 ベルト
8 補助ワイヤ
9 ロック装置
10 持ち手
11 第1邪魔部材
12 第2邪魔部材
V 車両
R 室内
CR 荷室
LR 荷室
P 台座部
P1 収納部

Claims (5)

  1. 車両の室内を仕切る車両用隔壁であって、
    外観を構成するカバーと、
    前記カバーの内部に配置された吸音材と、
    前記カバーの内部に配置されたワイヤと、を備え、
    前記カバーは、壁部と、前記壁部に一体的に形成されたビードと、前記壁部に前後方向に貫通して形成された複数の透孔と、を有し、
    前記ワイヤは、前記壁部に対し前方に離間して配置され、
    前記吸音材は、前記各透孔の前側開口端を覆うように前記壁部の前側に配置されるとともに、前記壁部と前記ワイヤとの間に配置されていることを特徴とする車両用隔壁。
  2. 前記ビードは、前記各透孔を囲むように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用隔壁。
  3. 前記壁部の後方には、騒音を発生する装置が配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用隔壁。
  4. 前記車両用隔壁は、前後方向に傾倒自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用隔壁。
  5. 前記カバーの底部には、前記カバーの外部と内部とを連通する排出部が形成され、
    前記カバーのうち前記排出部より上方に位置する部分には、前記カバーの外部と内部とを連通し且つロック装置が臨む孔部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用隔壁。
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