JP5417241B2 - 角形リチウムイオン二次電池および角形リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
このような要求に合致する電源としても、高電圧を有する非水溶液系のリチウム二次電池が注目されており、特に、角形リチウムイオン二次電池はパック化した際の体積効率が優れているため、HEV用あるいはEV用として角形リチウムイオン二次電池の開発への期待が高まっている。
HEV用あるいはEV用角形リチウムイオン二次電池は、小型民生用リチウム二次電池に比べて大きな電流(負荷)が求められており、電流を効率よく取り出すために電極の形状が小型民生用リチウム二次電池とは異なっている。
正極電極、負極電極には、それぞれ、幅方向(捲回軸方向)の一側縁に沿って、活物質合剤層が塗布されていない金属露出部が形成されており、各金属露出部には集電体が溶接されている。
扁平形捲回電極群をこのような形状にすることで、効率よく電流を取り出すことができる。
短絡の原因としては、製造工程で発生する金属粉や脱落した活物質粉の混入、あるいはリチウムデンドライト形成が挙げられる。
(2)請求項2による角形リチウムイオン二次電池は、正極金属箔の両面において、前記正極金属箔が露出する正極金属露出部が一側縁に設けられるように正極活物質合剤層を形成した正極板と、負極金属箔の両面において、前記負極金属箔が露出する負極金属露出部が一側縁に設けられ、かつ前記正極活物質合剤層が全て対向するように負極活物質合剤層を形成した負極板とをセパレータで絶縁しつつ積層して成る発電要素と、前記積層されている正極板の前記正極金属露出部を一体化して集電する正極集電体と、前記積層されている負極板の前記負極金属露出部を一体化して集電する負極集電体とを備え、前記正極板の両面において、前記正極活物質合剤層と前記正極金属露出部との境界に帯状に絶縁層を形成し、前記セパレータの側縁は、前記正極活物質合剤層の側縁および前記負極活物質合剤層の側縁よりも突出しており、前記絶縁層の側縁が前記負極活物質合剤層の側縁を越えて突出し、前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出し、前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出する量は2mm以下であることを特徴とする。
(3)上記(2)のリチウムイオン二次電池では、絶縁層を、正極板の両面において、負極活物質合剤層が正極活物質合剤層からはみ出す領域と対向する正極金属露出部の領域に形成するとさらに絶縁性能が向上する。
(4)上記(2)(3)のリチウムイオン二次電池では、正極活物質合剤層および絶縁層の厚みを等しくすることが好ましい。
(5)本発明による角形リチウムイオン二次電池の製造方法は、ホットメルトコーティング方式によって絶縁性樹脂を前記正極金属箔の表裏面に塗布して前記絶縁層を形成する工程を含むことを特徴とする。
(6)このような製造方法にあっては、前記正極活物質合剤層および前記絶縁層をプレスによって一定の厚みにする工程を含めるのが好ましい。
[角形電池の説明]
図1および図2において、角形電池20は、電池容器13内に絶縁シート12を介して扁平形捲回電極群120(図3参照)を収納して構成される。電池容器13の矩形開口は、矩形形状の電池蓋9を電池容器13にレーザ溶接して封止されている。電池蓋9には、正極外部端子8と、負極外部端子7とが設けられている。外部端子7,8を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、外部端子7,8を介して外部発電電力が捲回電極群120に充電される。
捲回電極群120について、図3および図4を参照してさらに説明する。
図3に示すように、捲回電極群120は、セパレータ121を挟んで正極板122と負極板124とを図示しない軸芯の周りに扁平形状に捲回して構成されている。正極板122はアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔を基材としている。負極板124は銅箔もしくは銅合金箔を基材としている。また、セパレータ121は多孔質のポリエチレン樹脂である。
正極活物質合剤層123は、リチウム含有複酸化物粉末と、導電材として鱗片状黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを重量比85:10:5で混合し、これに分散溶媒のN−メチルピロリドン(NMP)を添加、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥プレスして形成した。
正極板122には、正極金属露出部122Aと正極活物質合剤層123との境界に絶縁層122Bが形成されている。絶縁層122Bは、絶縁性樹脂をホットメルトコーティング方式によって塗布して形成することができる。絶縁層122Bを樹脂層とも呼ぶ。
なお、充分な絶縁性能が得られる範囲で、絶縁層122Bを正極活物質合剤層123よりも薄くすることも当然可能である。
負極活物質合剤層125は、非晶質炭素粉末、結着剤としてPVDFを添加し、これに分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔CFの両面に塗布し、乾燥プレスして形成した。負極活物質合剤層125が形成された圧延銅箔は、その後裁断され、捲回電極群120の負極板124が製造される。
図10は、セパレータ121で絶縁されて積層された正極板122と負極板124について正極金属露出部122Aの周辺を示す拡大図である。図10に示すように、絶縁層122Bの側縁122BSは、正極活物質合剤層123に対向する負極活物質合剤層125の側縁125Sに対向する位置を越えて形成され、正極板122と負極板124との短絡が防止されている。
本実施例1では、ヘンケルジャパン株式会社製ホットメルト剤ZM-105T(商号)を170℃で溶解した樹脂を、メルトガン301から正極金属露出部122Aに2mmの幅で塗工した後、プレス冶具302を用いて120℃の温度でプレスを行った(図5および図6)。なお、正極活物質は上述と同一の素材を用いた。
このように形成された捲回電極群120を用いて実施例1の角形リチウム電池20を作製した。
絶縁層122Bを幅0.5mmで正極活物質合剤層123の側縁123Sに沿って塗工した後、プレス冶具302を用いて、120℃の温度でプレスを行い、図6に示すように、正極活物質合剤層123と重なるように配置し、また正極活物質合剤層123全体と同じ厚みとした。その後、裁断することにより正極活物質合剤層123が形成された部分の幅が80mm、絶縁層122Bの幅IWが1mm、正極金属露出部122Aの幅が14mm、厚さが130μm、長さが4mの正極板122を得た。
このようにして形成した捲回電極群120を用いて比較例1の角形リチウム電池20を作製した。
比較例2の角形電池は、絶縁層122Bを形成しない正極板122を使用した以外は、実施例1と同様に作製した。
以上の実施例1、比較例1、2の電池をそれぞれ500個作成し、下記要領にて内部短絡を調査した。電池作製後、4.2V充電した後、45℃で3ヶ月間放置し、定期的に電圧を測定した。
さらに、電池の生産性を検討するため、比較例3を作製した。
比較例3の角形電池は、絶縁層122Bを形成するための樹脂を、N−メチルピロリドン(NMP)にポリフッ化ビニリデン(PVDF)を15%溶解させたものを使用した。これ以外は実施例1と同様である。
本実施の形態では、バインダとしてPVDFを例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などを使用するようにしてもよい。
本実施の形態では、EC、DEC、DMCの混合溶液中にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いるようにしてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。
本実施の形態は、正極金属露出部122A側では、正極活物質合剤層123の側縁123Sに沿って絶縁層122Bを形成した。セパレータ121の、少なくとも、正極活物質合剤層123における側縁123Sの近傍の部分に、絶縁層を形成することにより、さらに絶縁性能を高めることができる。この変形例3にあっては、セパレータ121の表面全体に渡って絶縁層を形成することにより、セパレータ121の厚さを均一にすることが望ましい。
したがって、正極金属箔AFの両面において、正極金属箔AFが露出する正極金属露出部122Aが一側縁に設けられるように正極活物質合剤層123を形成した正極板122と、負極金属箔CFの両面において、負極金属箔CFが露出する負極金属露出部124Aが一側縁に設けられ、正極活物質合剤層123が全て対向する形状、大きさを有する負極活物質合剤層125を形成した負極板124とをセパレータ121で絶縁しつつ積層して成る発電要素(捲回電極群)と、積層されている正極板122の正極金属露出部122Aを一体化して集電する正極集電体6と、積層されている負極板124の負極金属露出部124Aを一体化して集電する負極集電体5とを備え、正極板122の両面において、負極活物質合剤層125が正極活物質合剤層123からはみ出す領域と対向する領域に絶縁層122Bを形成した種々の形態の角形リチウムイオン二次電池にも本発明を適用することができる。
6:正極集電体
9:電池蓋
13:電池容器
20:角形電池
120:捲回電極群
121:セパレータ
122:正極板
122A:正極金属露出部
122B:絶縁層
123:正極活物質合剤層
124:負極板
124A:負極金属露出部
125:負極活物質合剤層
301:メルトガン
302:プレス冶具
Claims (11)
- 金属箔の両面に活物質合剤層を形成した正極板および負極板と、該正極板および負極板を絶縁するセパレータとを重ねて扁平形状に捲回した扁平形捲回電極群と、前記正極板および負極板にそれぞれ接続された正負極集電体とを備え、
前記正極板には、前記扁平形捲回電極群の捲回軸方向の一側縁に沿って前記活物質合剤層が形成されていない金属露出部が設けられ、
前記負極板には、前記正極板の金属露出部とは反対側の側縁に沿って、前記活物質合剤層が形成されていない金属露出部が設けられ、
前記正負極集電体は、前記金属露出部を束ねた状態で、前記正極板および負極板の金属露出部に溶接された角形リチウムイオン二次電池において、
前記負極活物質合剤層と対向する前記正極金属露出部には絶縁層が形成され、
前記絶縁層の厚さは前記正極活物質合剤層の厚さ以下であり、
前記絶縁層の側縁が前記負極活物質合剤層の側縁を越えて突出し、
前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出し、
かつ、前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出する量が2mm以下であり、
前記セパレータの側縁は、前記正極活物質合剤層の側縁および前記負極活物質合剤層の側縁よりも突出していることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 正極金属箔の両面において、前記正極金属箔が露出する正極金属露出部が一側縁に設けられるように正極活物質合剤層を形成した正極板と、負極金属箔の両面において、前記負極金属箔が露出する負極金属露出部が一側縁に設けられ、かつ前記正極活物質合剤層が全て対向するように負極活物質合剤層を形成した負極板とをセパレータで絶縁しつつ積層して成る発電要素と、
前記積層されている正極板の前記正極金属露出部を一体化して集電する正極集電体と、
前記積層されている負極板の前記負極金属露出部を一体化して集電する負極集電体とを備え、
前記正極板の両面において、前記正極活物質合剤層と前記正極金属露出部との境界に帯状に絶縁層を形成し、
前記セパレータの側縁は、前記正極活物質合剤層の側縁および前記負極活物質合剤層の側縁よりも突出しており、
前記絶縁層の側縁が前記負極活物質合剤層の側縁を越えて突出し、
前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出し、
前記絶縁層の側縁が前記セパレータの側縁から突出する量は2mm以下であることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記絶縁層は、前記正極板の両面において、前記負極活物質合剤層が前記正極活物質合剤層からはみ出す領域と対向する領域に形成されていることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2または3に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記正極活物質合剤層および前記絶縁層の厚みを等しくしたことを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記絶縁層がポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン共重合樹脂の中から選択されたいずれか1つの樹脂であることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記負極活物質合剤が黒鉛であることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2乃至6のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記絶縁層は、軟化点120℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2乃至7のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記セパレータの表裏の全面に絶縁層を一定の厚みで形成したことを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項2乃至8のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池において、
前記発電要素は前記正極板と負極板とを前記セパレータで絶縁して捲回された捲回電極群であり、
前記捲回電極群を収容する容器と、
前記容器の開口を封止する蓋と、
前記容器の外部に設けられ、前記正負極集電体とそれぞれ接続された正極外部端子および負極外部端子とを備えることを特徴とする角形リチウムイオン二次電池。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の角形リチウムイオン二次電池を製造する方法において、
ホットメルトコーティング方式によって絶縁性樹脂を前記正極金属箔の表裏面に塗布して前記絶縁層を形成する工程を含むことを特徴とする角形リチウムイオン二次電池の製造方法。 - 請求項10に記載の角形リチウムイオン二次電池の製造方法において、
前記正極活物質合剤層および前記絶縁層をプレスによって一定の厚みにする工程を含むことを特徴とする角形リチウムイオン二次電池の製造方法。
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