JP6531486B2 - 電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池に関する。
近年では環境への配慮から電池を利用した自動車、いわゆる電気自動車が徐々に普及しつつある。電気自動車に駆動エネルギーを供給する二次電池は、負極、正極、および負極と正極の間に配置したセパレータを積層した発電要素を主要な構成要素としている。二次電池は所望の出力性能を実現するために複数組み合わせて使用することがある。このような製品は電池モジュールと呼ばれる場合がある。
二次電池は自動車に搭載した際の燃費等を考慮して薄型、小型化の研究開発がされている。二次電池の薄型化のためには外力が加えられた際などにおいても二次電池の強度が満たされるように留意しなければならない。二次電池の強度に関する従来の技術には正極と負極とをセパレータで挟んだ状態で層状構造をなす電極体を袋状等の絶縁袋とケースとで収容し、絶縁部材とケースの内壁面とを熱溶着することによってケース内で電極体が移動することを防止する技術がある(特許文献1参照)。
特開2013−222504号公報
二次電池では正極、負極などを収納する外装体から外部の機器との接続を行う箇所を一部露出させている。外部の機器との接続を行う箇所はタブと呼ばれたりする。タブの部分は正極、負極などを積層した部分に比べて厚さも薄く、面積も比較的小さい。そのため、特許文献1のように絶縁袋とケースの内壁面とを熱溶着してもタブ部分の移動は抑制されない場合があり、衝撃や振動等によって外力が負荷された際のタブ部分の負荷が高くなるおそれがある、といった問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、振動や衝撃などの外力が作用した際における正極や負極のタブ部分への負荷を抑制できる電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、電極と、セパレータとを積層した積層体を外装体で封止しつつ、前記電極に接続され前記外装体の端部から外部に導出されたタブを有する電池であって、電極は、集電体と、当該集電体上に一部の露出部を残して形成された活物質層と、少なくとも当該活物質層と露出部との境界を覆うように配置された絶縁部材と、を有し、タブは、集電体の露出部と電気的に接続されてなり、集電体から絶縁部材によって覆われる部位までの最大の厚さをAとし、集電体からの厚さがAとなる部位からタブと露出部との境界までの距離をBとした際のA/Bが0.005以上0.011以下であるように構成することによって、集電体からの厚さがAとなる部位は、セパレータと活物質層との間で挟まれて圧縮された状態になってい
本発明における電池によれば、A/Bの値を0.005以上0.011以下であるように構成することによって、集電体からの厚さがAとなる部位は、セパレータと活物質層との間で挟まれて圧縮された状態になるように構成している。このようにAとBとを設定することによって電池性能を維持しながら絶縁部材の端部を潰すことができる。よって、外部から衝撃や振動等の入力があった場合に絶縁部材の端部を圧縮させ、振動入力などの際の固定点として機能させて集電体とタブとの接合部位が引っ張られることを抑制し、当該部位への負荷を抑制できる。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る電池モジュールを示す斜視図、図1(B)は電池モジュールのケース内部のセルユニットを示す斜視図である。 図2(A)は図1(A)のケース内部に収納する二次電池を示す側面図、図2(B)は図1(A)のケースを示す側面図である。 リチウムイオン二次電池の外観を模式的に示す斜視図である。 図3の4−4線に沿う断面図であって、リチウムイオン二次電池の基本構成を模式的に示す断面図である。 図5(A)は正極タブの接合部位を示す部分断面図、図5(B)、図5(C)は図5(A)の変形例を示す部分断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る電池モジュールを示す斜視図、図1(B)は電池モジュールのケース内部のセルユニットを示す斜視図である。図2(A)は図1(A)のケースに収納する電池を示す側面図、図2(B)は図1(A)のケースを示す側面図である。
(電池モジュール)
電池モジュール200は、図1に示すように、ケース210と、ケース210から引き出される外部出力負極端子221および外部出力正極端子222とを有する。
ケース210は、略矩形の箱形状をなすロアケース212と、蓋体をなすアッパーケース214と、を有する。ロアケース212およびアッパーケース214は、比較的薄肉の鋼板またはアルミ板から形成されている。ロアケース212およびアッパーケース214は、隅部の4箇所に配置された貫通孔216を有する。貫通孔216は、ケース210内に収容されるセルユニットに設けられる貫通孔と位置合わせされ、締結部品を挿入するために用いられる。
外部出力負極端子221は、ケース210内のセルユニットの負極タブに接続される。外部出力正極端子222は、ケース210内のセルユニットの正極タブに接続される。
セルユニット230は、複数の二次電池100と、複数の二次電池100を支持するスペーサ240、242と、を有する。本実施形態において、複数の二次電池100は、非水電解質二次電池である。特に、本実施形態では、非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池100を例示して説明する。
複数のリチウムイオン二次電池100は、それぞれ扁平形に形成され、積層されて、相互に直列または並列に電気的に接続されている。本実施形態では、セルユニット230が4つのリチウムイオン二次電池100A〜100Dを含む場合について説明するが、これに限定されない。セルユニット230は、より多いまたは少ないリチウムイオン二次電池100を含んでもよい。
スペーサ240、242は、積層されたリチウムイオン二次電池100を両端から支持し、リチウムイオン二次電池100の積層間隔を維持する。スペーサ240、242は、電気絶縁性の樹脂材料により形成される。スペーサ240、242は、ケース210の4隅に対応する位置に貫通孔246を有する。貫通孔246は、上述したように、ロアケース212およびアッパーケース214の貫通孔216とともに位置合わせされて、締結部品を挿入するために使用される。
片側のスペーサ240は、後述するリチウムイオン二次電池100の負極タブおよび正極タブを保持しつつ、外部出力負極端子221および外部出力正極端子222との接続を許容する。本実施形態においてスペーサ240およびスペーサ242は、各々ケース210の内壁面と正極タブもしくは負極タブとの間または隣接する二次電池100におけるタブ同士の間の計5箇所に配置される。スペーサ240は図1(B)の手前側に図示し、スペーサ242は図1(B)の奥側に図示している。
電池モジュール200は、単独で使用することが可能であるが、例えば、複数の電池モジュール200を更に直列化および/または並列化することによって、所望の電流、電圧、容量に対応した組電池を形成することができる。
(二次電池)
次にリチウムイオン二次電池100の構成について説明する。図3はリチウムイオン二次電池の外観を模式的に示す斜視図である。図4は図3の4−4線に沿う断面図であって、リチウムイオン二次電池の基本構成を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、図3に示すように、扁平形の外装体10から、負極タブ20および正極タブ22が引き出されている。外装体10は、周囲が熱融着され、内部の発電要素(積層体)を密封している。
なお、負極タブ20および正極タブ22の取り出し位置については図示した位置に制限されない。例えば、負極タブ20および正極タブ22を同じ辺から引き出すようにしてもよいし、負極タブ20および正極タブ22をそれぞれ複数個に分けて、各辺から引き出すようにしてもよい。
図4に示すように、外装体10内の積層体30は、電極である負極と、セパレータ50と、電極である正極60と、を積層した構成を有する。
負極は、負極集電体と、当該負極集電体の両面に形成される負極活物質層42と、を有する。複数の負極の各負極集電体は、所定の方向に伸延し、先端で相互に束ねられ、負極タブ20と電気的に接続される。負極タブ20は、外装体10による内部の密閉を損なうことなく、外装体10の外部に引き出される。
セパレータ50は、ポーラス形状によって構成され、通気性を有する。またセパレータ50は、電解質が含浸されることによって電解質層を構成する。
正極60は、正極集電体61と、当該正極集電体61の両面に形成される正極活物質層62と、を有する。複数の正極60の各正極集電体61は、所定の方向に伸延し、先端で相互に束ねられ、正極タブ22と電気的に接続される。正極タブ22は、外装体10による内部の密閉を損なうことなく、外装体10の外部に引き出される。正極60には、所定の条件に従って、絶縁部材80が取り付けられている。絶縁部材80の詳細については、後述する。
1つの負極活物質層42と1つの正極活物質層62とが、セパレータ50を介して対向するように、負極、セパレータ50、および正極60がこの順に積層されている。セパレータ50と、当該セパレータ50を介して対向する負極活物質層42および正極活物質層62とによって、1つの単電池層70が形成される。このような単電池層70が複数積層されることによって、単電池層70が電気的に並列接続されてなる積層体30が構成される。
なお、図4に示す例では、両最外層に正極60が位置するが、これに限定されない。両最外層が負極であってもよいし、一方の最外層が負極で他方の最外層が正極60であってもよい。
次に本実施形態に係る正極60の構成、特に、絶縁部材80についてさらに詳述する。図5(A)は正極タブの接合部位を示す部分断面図、図5(B)、図5(C)は図5(A)の変形例を示す部分断面図である。
正極60は、図5(A)に示すように、正極集電体61と、正極活物質層62と、絶縁部材80と、を有する。
正極集電体61は、本実施形態において図3のように平面視した際に矩形状に形成されているが、正極タブ22を接合できれば形状は矩形に限定されない。正極活物質層62は、正極集電体61上に正極集電体61の一部を露出させた露出部61aが残るように積層される。本実施形態では露出部61aと正極活物質層62との境界を境界部61bと呼ぶことにする。また、正極活物質層62は、図5(A)に示すように外周縁部にあたる角部が円弧形状を形成するように積層される。
なお、正極60の正極集電体61上に配置されている正極活物質層62は、負極の負極集電体上に配置されている負極活物質層42よりも面方向内方に形成される。
また、正極60は、図4に示すようにセパレータ50と共に複数積層した際に、正極60の正極集電体61において面方向外方に突出した矩形状の一辺の端部を一体にまとめて構成し、当該端部に正極タブ22を接合している。正極タブ22は、電池において発生した電気を外部に導通させる部位であり、縁部22qにおいて外部出力正極端子222と電気的に接続される。負極タブ20は正極タブ22と同様に外部出力負極端子221と電気的に接続される。
正極タブ22は正極集電体61と同様の導電性材料で構成される。正極タブ22は正極集電体61と同様の材料で構成しているが別部品として構成している。また、正極タブ22は、正極活物質層62に近い側の縁部22pにおいて正極集電体61に接合される。同様に負極タブ20は負極活物質層42に近い側の縁部において負極集電体に接合される。縁部22pは正極タブ22において縁部22qとは逆側の端部にあたる。
正極活物質層62は、図5(A)に示すように絶縁部材80に覆われている外周縁部の部位を曲面形状に形成している。このように構成することによって、正極または負極の活物質層が端部まで同一の厚さを伸延している場合と比較して、内部短絡の発生を防止することができる。
上記のように正極60の正極活物質層62の外周縁部は、図5(A)に示すように角部を曲面形状に形成している。しかし、これに限定されず、図5(B)の正極活物質層62aのように角部を内方の部分よりも厚さ方向に隆起した曲面形状に構成してもよい。また、図5(C)の正極活物質層62bのように角部を外周に向かって曲面形状として構成するのではなく、角部の厚さが外方に向かって減少する平面形状を有するように構成してもよい。なお、図5(A)〜図5(C)では便宜上正極集電体61の上面にのみ正極活物質層62および絶縁部材80を設ける図示をしているが、正極活物質層62および絶縁部材80は上面と同様に下面にも設けられる。
絶縁部材80は、負極、セパレータ50、正極60を積層してリチウムイオン二次電池100を構成するとき、負極と正極60とがずれてセパレータ50を越えて直接両極が接触することを防止する。結果として、絶縁部材80は、内部短絡の発生を防止する。絶縁部材80は、正極活物質層62の外周縁部に配置される。絶縁部材80は、図5(A)に示すように正極活物質層62と露出部61aとの境界部61bを覆い、境界部61bから正極活物質層62とセパレータ50との間に配置される端部81まで延在する。
絶縁部材80の端部81は、正極活物質層62とセパレータ50との間に配置される。端部81はセパレータ50と正極活物質層62との間でセパレータ50と正極活物質層62と当接することによってセパレータ50および正極活物質層62に挟まれる。端部81は、正極活物質層62とセパレータ50の間の縁部近傍に配置され、絶縁部材80の端部81が配置されていない部位に比べて当接するセパレータ50および正極活物質層62を圧縮させる。絶縁部材80の端部81が配置される部位は、セパレータ50および絶縁部材80を圧縮することによって固定点を形成するような作用を生じさせる。
端部81は、図5(A)において周囲の正極活物質層62よりも厚さ方向に隆起して図示しているが、セパレータ50などの隣接する部材を組み付けた際には厚さ方向に圧縮される。正極活物質層62はセパレータ50などの隣接する部材に組み付けられた際に隣接する部材と接触する接触部62pを有する。
上述のように正極タブ22の縁部22qはケースの外部出力正極端子222と溶着される。その状態で外部から衝撃や振動などの外力が加えられると、正極タブ22が面方向に引っ張られる場合がある。正極タブ22の部分は正極60、負極、セパレータ50が積層された部位に比べて薄くなっているため、引っ張りの力が生じた際の強度が懸念される。
これに対し、本実施形態では絶縁部材80を正極活物質層62と露出部61aとの境界部61bからセパレータ50と正極活物質層62との間に配置している。また、端部81はセパレータ50と正極活物質層62との間に配置されて挟まれるように構成している。そのため、外部から振動等の外力が加えられた際に正極タブ22と外部出力正極端子222との接合部だけでなく、通しボルトなどによるケース210の加圧によって端部81の部位を固定点として機能させることができる。よって、振動や衝撃入力時に正極タブ22と正極集電体61との接合箇所を位置ズレしにくくすることができ、正極タブ22と正極集電体61との接合箇所への負荷を抑制することができる。
ここで、正極タブ22が正極集電体61に接合された縁部22pの位置は、正極タブ22において絶縁部材80に最も近接している。図5(A)における絶縁部材80の端部81から正極集電体61までの厚さ方向の最大長さAは、縁部22pから絶縁部材80の端部81までの長さBが大きくなれば大きくなり、逆にBが小さくなればAも小さくするように設計している。換言すれば、AはBの大きさに合わせて増加または減少するように設計する。正極タブ22が接合される位置が端部81から離れれば離れる程、端部81による固定点としての影響が及びにくくなるためである。
より具体的に言えばA/Bは0.005〜0.011の範囲に設定する。また、正極活物質層62において正極集電体61から絶縁部材80によって覆われていない部位までの最大厚さをCとすると、A/Cは1.10以上1.62以下に設定する。詳しくは下記実施例にて述べる。
また、端部81を設けた二次電池100a〜100dにおける二次電池100aの端部から逆側にあたる二次電池100dの端部までの距離(図2(A)の長さd1参照)は、ケース210において内部から荷重が付加されていない状態での厚さ方向の高さ(図2(B)の長さd2参照)よりも大きく構成している。また、長さd1は荷重によってケース210が破損する際の高さ以下に構成している。このように二次電池100a〜100dまでの長さd1をケース210の長さd2よりも大きくすることによって、通しボルトなどによってケース210に締結荷重を付加した際には内部に収納された二次電池100a〜100dが厚さ方向に圧縮されるため、端部81をより確実に固定点として機能させることができる。
外装体10は、正極60、負極、およびセパレータ50などの構成を収納する。外装体10の内容積は発電要素を封入できるように、発電要素の容積よりも大きくなるように構成されている。ここで外装体10の内容積とは、外装体10で封止した後の真空引きを行う前の外装体10内の容積を指す。
また、発電要素の容積とは、発電要素が空間として占める部分の容積であり、発電要素内の空孔部を含む。外装体10の内容積が発電要素の容積よりも大きいことによって、ガスが発生した際にガスを溜めることができる空間が存在する。これにより、発電要素からのガスの放出性が向上し、発生したガスが電池挙動に影響することが少なく、電池特性が向上する。
また、自動車用途などにおいては、要求される出力などの関係から大型化された電池が求められている。二次電池における大きさは電極面積の大きさ等に表れる。
正極活物質層62または負極活物質層42は、矩形状であり、当該矩形の短辺の長さは、例えば100mm以上であることが好ましい。このような大きさの電池は、車両用途に適している。二次電池100の短辺の長さの上限は特に限定されるものではないが、例えば250mm以下である。
また、二次電池100は、物理的な寸法以外にも以下のような特性から規定することもできる。例えば、積層型の扁平二次電池の場合には、定格容量に対する電池の面積(外装体まで含めた電池の投影面積)の比の値は、5cm2/Ah以上であり、かつ、定格容量は、3Ah以上と規定することもできる。このように規定することによって物理的な大きさの観点以外にも比較的大型の二次電池を規定することができる。
また、矩形状の電極のアスペクト比は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。なお、電極のアスペクト比は矩形状の正極60の正極活物質層62の縦横比として定義される。アスペクト比を上記のような範囲とすることで、面方向により均一にガスを排出しやすくすることができる。
なお、二次電池100の定格容量は、以下により求められる。定格容量は、試験用電池について電解液を注入した後で10時間程度放置し、初期充電を行う。その後、温度25℃、3.0Vから4.15Vの電圧範囲で次の手順1−5によって測定する。
手順1:0.2Cの定電流充電にて4.15Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
手順3:0.2Cの定電流放電によって3.0Cに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後10秒間休止する。
手順4:0.2Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後10秒間休止する。
手順5:0.2Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後10秒間停止する。
定格容量:手順5における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。
また、リチウムイオン二次電池100の構成は、一般的なリチウムイオン二次電池100に用いられている公知の材料を用いればよく、特に限定されるものではない。リチウムイオン二次電池100に使用することのできる負極集電体、正極集電体61、負極活物質層42、正極活物質層62、セパレータ50、および絶縁部材80等について参考までに説明する。
負極集電体および正極集電体61は、例えば、ステンレススチール箔である。しかし、これに特に限定されず、アルミニウム箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材を利用することも可能である。
負極の負極活物質層42は、例えば、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)である。しかし、これに特に限定されず、黒鉛系炭素材料や、リチウム−遷移金属複合酸化物を利用することも可能である。特に、カーボンおよびリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質は、容量および出力特性の観点から好ましい。
正極60の正極活物質層62は、例えば、LiMnである。しかし、これに特に限定されない。なお、容量および出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物を適用することが好ましい。
負極および正極60の厚さは、特に限定されず、電池の使用目的(例えば、出力重視、エネルギー重視)や、イオン伝導性を考慮して設定する。
セパレータ50の素材は、例えば、電解質を浸透し得る通気性を有するポーラス状のPE(ポリエチレン)である。しかし、これに特に限定されず、PP(ポリプロピレン)などの他のポリオレフィン、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、不織布を、利用することも可能である。不織布は、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステルである。
電解液は、例えば、PC(プロピレンカーボネート)およびEC(エチレンカーボネート)からなる有機溶媒、支持塩としてのリチウム塩(LiPF)を含んでいる。有機溶媒は、PCおよびECに特に限定されず、その他の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を適用することが可能である。リチウム塩は、LiPFに特に限定されず、その他の無機酸陰イオン塩、LiCFSO等の有機酸陰イオン塩を、適用することが可能である。
また、電解液にはホストポリマーを含めるように構成してもよい。ホストポリマーは、例えば、HFP(ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーを10%含むPVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体)である。しかし、これに特に限定されず、その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子や、イオン伝導性を有する高分子(固体高分子電解質)を適用することも可能である。その他のリチウムイオン伝導性を持たない高分子は、例えば、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)である。イオン伝導性を有する高分子は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド)やPPO(ポリプロピレンオキシド)である。
絶縁部材80の基材の材料は、熱可塑性樹脂である。絶縁部材80の基材は例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等である。
絶縁部材80の基材に塗布する図示しない接着材は、例えば有機溶剤系バインダ(非水系バインダ)でも、水分散系バインダ(水系バインダ)のいずれも用いることができるなど、特に限定されない。例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフクレート、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルポキシメチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルポキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、電解液との反応性が低く、さらに耐溶性に優れており、正極および負極のそれぞれの活物質層上に塗布して使用することが可能である。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。
(作用効果)
次に本実施形態にかかる作用効果について説明する。本実施形態に係る二次電池100では正極集電体61から絶縁部材80によって覆われる部位までの最大の厚さをAとし、正極集電体61からの厚さがAとなる部位から正極タブ22と露出部61aとの境界までの距離をBとした際のA/Bが0.005以上0.011以下、またはAはBを大きくすれば大きくし、小さくすれば小さく設計するように構成している。
このように構成することによって、正極集電体61からの厚さがAとなる部位がセパレータ50と正極活物質層62との間で挟まれ、正極集電体61からの厚さがAとなる部位を圧縮させることができる。これにより、正極集電体61からの厚さがAとなる部位を振動入力の際の固定点として機能させることができる。そして正極集電体61からの厚さがAとなる部位を固定点として機能させ、A/Bを0.005以上にすることによって正極集電体61と正極タブ22との接合部位とが引っ張られることを抑制し、当該部位への負荷を抑制することができる。また、A/Bを0.011以下に構成することによって隣接する活物質層と電解質層などの要素の抵抗が過度に上昇することを防止し、耐振性や発電性能との両立を図ることができる。また、正極活物質層62において絶縁部材80によって覆われていない部位での最大の厚さをCとすると、耐振性や発電性能が良好なA/Cの範囲は1.10以上1.62以下としている。詳しくは下記実施例にて後述する。
また、本実施形態にかかる二次電池100は、大型の二次電池に好適であり、大型の二次電池であることを定格容量が3Ah以上であり、外装体10まで含めて二次電池100を平面視した際の定格容量に対する二次電池100の面積の比が5cm/Ah以上と規定することができる。
また、本実施形態にかかる二次電池100は、平面視した際の縦横比、言い換えればアスペクト比が1〜3となるように構成している。そのため、使用時に発生するガスを面方向に均一に排出しやすくすることができ、大型の二次電池への適用を容易にできる。
また、図2(A)、図2(B)に示すように電池モジュール200に収納される一方の端部に位置する二次電池100aから他方の端部に位置する二次電池100dまでの厚さ方向の長さd1は、二次電池100を収納するケース210において締結部材によって厚さ方向に加圧がされていない状態でのケース210の積層方向の長さd2よりも大きく構成している。また、長さd1は、荷重によってケース210が破損する際のケース210の高さ以下に構成している。
二次電池100を収納した状態でアッパーケース214とロアケース212を通しボルトなどによって締結することによって、正極集電体61からの厚さがAとなる部位は正極集電体61からの厚さがAとなる部位の近傍と同様の高さまで圧縮される。上記のように、正極集電体61からの厚さがAとなる部位を備えた二次電池100とケース210の寸法を上記のように構成することによって、端部81を用いてセパレータ50および正極活物質層62をより確実に押圧させることができる。そのため、正極集電体61からの厚さがAとなる部位をより確実に固定点として機能させることができ、正極タブ22と正極集電体61との接合部位の引っ張りを抑制して当該部位への負荷を抑制できる。
(実施例)
上記実施形態にかかる二次電池について電極のタブ部分の強度を確認したため以下に説明する。まず、以下の実施例において使用した二次電池の構成について説明する。
正極60について説明する。正極集電体61は厚さ10μmまたは20μmのAl箔である。正極活物質層62(正極スラリー)は、活物質としてニッケル酸リチウム粉末を用い、結着材としてPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、導電助材としてカーボン粉末を用い、それぞれ90:5:5(重量比)でNMP(N−メチルピロリドン)に分散させて形成した。その後、厚さ10μmまたは20μmのAl箔の両面にダイコーターにて正極スラリーを塗布し、乾燥させ、乾燥後にプレスして正極活物質層62の外周端部以外の厚さを150μm、平面の大きさを190mm×190mmとした。このように、正極60は、アスペクト比が1:1になるように設けた。
負極について説明する。負極集電体は、厚さ10μmのCu箔である。負極活物質層42(負極スラリー)は、活物質としてGr粉末、結着材としてPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、をそれぞれ95:5(重量比)でNMP(N−メチルピロリドン)に分散させて形成した。その後、厚さ10μmのCu箔の両面にダイコーターにて負極スラリーを塗布し、乾燥させ、乾燥後にプレスして負極の厚さを133μm、平面の大きさを200mm×200mmとした。
絶縁部材80としては、幅12mm、厚さ15μm、20μm、30μm、または40μmのポリプロピレン製のテープを用いた。絶縁部材80は、正極活物質層62の外周縁部に貼付し、セパレータ50に組み付ける前の正極60の状態で周囲の正極活物質層62よりも正極60の厚さ方向に隆起するように構成した。セパレータ50には、厚さ25μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。電解液としては1M LiPF6 EC:DEC=1:1(体積比)を用いた。
上記のように形成した正極60を10枚、負極を11枚、セパレータ50を20枚用意し、負極、セパレータ50、正極60、・・・、負極となるように積層して二次電池を作成した。
得られた発電要素は、片面厚さ147μmのアルミラミネートシート製の外装体10に載置し、電解液を注入した。そして、真空条件下において正極60および負極に接続された電流取り出し用の正極タブ22および負極タブ20を外部に露出させた状態でアルミラミネート製シートの開口部を封止して試験用セルを形成し、当該セルを8セル積層して以下に示すケーシングに収容し、電池モジュール200とした。なお、本実施例においてスペーサ240、242は用いずに二次電池100を厚さ方向に加圧した。
上記のように形成した電池モジュール200は、以下のように耐久性と耐振性について確認を行った。耐久性の評価では、25℃で0.2C/4.2V_CC(定電流)/CV(定電圧)充電を7時間行った。そして、10分間の休止後、0.2C_CC(定電流)放電で2.5Vまで放電を行った。その後、55℃雰囲気下で1C/4.2V_CC/CV充電(0.015Cカット)、1C_CC放電(2.5V電圧カット)のサイクルを繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル後における放電容量の値をサイクル容量維持率として算出した。そして、容量維持率が80%以上の場合には耐久性が○であると判断し、80%未満であれば耐久性が×と判断した。電池性能においては容量維持率が80%以上であれば電池性能として問題ないものと考えた。
また、耐振性の評価は、周波数5〜1000Hz、加速度3.5〜18m/sの範囲において電池モジュール200にランダム加振を45時間行い、その後に電池モジュール200を解体して正極集電体61、負極集電体の箔切れを目視で確認した。そして、正極タブ22と正極集電体61または負極タブ20と負極集電体との間に亀裂が入っていたり、ちぎれが生じたりしていないかを確認し、箔切れが生じていなければ耐振性の評価を○とし、箔切れが生じていれば×とした。耐振性の評価では耐久性のようなサイクル試験を行ってはいない。
次に本発明に係る実施例について説明する。
<実施例1〜8>
実施例1、2、5、6では正極集電体61の厚さが10μmのものを使用し、実施例3、4、7、8では正極集電体61の厚さが20μmのものを使用した。さらに、実施例1、3、5、7では8セルの二次電池100を収納するケース210がAlからなるケーシングを使用し、実施例2、4、6、8ではFeからなるケーシングを使用した。
表1のA/BにおけるAとは、図5(A)に示すように正極集電体61から絶縁部材80の厚さ方向(図5(A)の鉛直方向)の長さにおいて最大となる厚さを表す。
また、Bは図5(A)に示すように正極タブ22において絶縁部材80に最も近い縁部22pから絶縁部材80が正極活物質層62に貼付された位置であって、正極集電体61の厚さ方向において正極集電体61から最も離れた位置までの距離(図5(A)における斜辺)を表す。なお、正極集電体61の厚さ方向において正極集電体61から最も離れた位置が幅を持つ場合や複数存在する場合は、正極タブ22の縁部22pに最も近い位置までの距離を表す。(図5(C)は、正極集電体61の厚さ方向において正極集電体61から最も離れた位置が幅を持つ場合であり、正極タブ22の縁部22pに最も近い位置までの距離をBとしている))実施例1〜4ではA/Bを0.005に設定し、実施例5〜8では0.011に設定した。
また、Cは図5(A)に示すように正極集電体61の厚さ方向(図5(A)の鉛直方向)における距離であって、端部81から面方向に移動した部位、換言すれば正極活物質層62において絶縁部材80を設けていない箇所での活物質層の最大厚さを表す。実施例1、2ではA/Cを1.10、実施例3、4では1.42、実施例5、6では1.31、実施例7、8では1.62に設定した。
<比較例1〜8>
比較例1、2では正極集電体61の厚さが10μmのものを使用し、比較例3〜8では正極集電体61の厚さが20μmのものを使用した。さらに、比較例1、3、5、7では8セルの二次電池を収納する電池モジュールのケースとしてAlからなるケーシングを使用し、比較例2、4、6、8ではFeからなるケーシングを使用した。
比較例1〜6ではA/Bを0.001に設定し、比較例7、8ではA/Bを0.026に設定した。また、比較例1、2ではA/Cを0.99に設定し、比較例3,4では1.09、比較例5、6では1.72、および比較例7、8では1.64に設定した。表1に上記実験を行った際の実施例および比較例の結果を示す。
(比較結果)
実施例1〜8では耐振性および耐久性のいずれについても基準を満たしており、良好な結果が得られた。これに対し、比較例1〜4では耐久性は満足するものの耐振性が基準を満足せず、比較例5〜8では上記とは反対に耐振性は満たすものの耐久性を満足しないことが確認できた。そのため、耐振性および耐久性が共に○となる範囲はA/Bが0.005以上0.011以下であることが確認できた。
また、A/Cにおいて耐振性および耐久性が共に満足される範囲は1.10以上1.62以下であることことが確認できた。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく特許請求の範囲において種々の改変が可能である。上記では二次電池100が正極60、セパレータ50、負極を積層したいわゆる積層型の二次電池に適用される実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にもいわゆる巻回型の二次電池に適用してもよい。
100 二次電池、
10 外装体、
200 電池モジュール、
210 ケース、
20 負極タブ、
22 正極タブ、
22p、22q 縁部、
42 負極活物質層、
50 セパレータ(電解質層)、
60 正極、
61 正極集電体、
61a 露出部、
62、62a、62b 正極活物質層、
62p、 接触部、
80 絶縁部材、
81 端部、
A 絶縁部材の端部から集電体までの厚さ方向の最大厚さ、
B 集電体からの厚さ方向の長さがAとなる部位からタブと露出部との境界までの距離、
C 集電体から絶縁部材によって覆われていない部位までの活物質層の最大長さ。

Claims (3)

  1. 電極と、セパレータとを積層した積層体を外装体で封止しつつ、前記電極に接続され前記外装体の端部から外部に導出されたタブを有する電池であって、
    前記電極は、
    集電体と、
    前記集電体上に一部の露出部を残して形成された活物質層と、
    少なくとも前記活物質層と前記露出部との境界を覆うように配置された絶縁部材と、を有し、
    前記タブは、前記集電体の前記露出部と電気的に接続されてなり、
    前記集電体から前記絶縁部材によって覆われる部位までの最大の厚さをAとし、前記集電体からの厚さが前記Aとなる部位から前記タブと前記露出部との境界までの距離をBとした際のA/Bが0.005以上0.011以下であるように構成することによって、
    前記集電体からの厚さがAとなる部位は、前記セパレータと前記活物質層との間で挟まれて圧縮された状態になっていることを特徴とする電池。
  2. 数の前記電極による発電の容量に対する前記外装体を平面視した際の面積の比が5cm/Ah以上であり、かつ、複数の前記電極の定格容量が3Ahである請求項1に記載の電池。
  3. 前記活物質層は正極活物質層と負極活物質層を備え、前記正極活物質層は平面視した際に矩形状に形成され、縦横比が1〜3である請求項1または2に記載の電池。
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