JP7058180B2 - 二次電池及び二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池及び二次電池の製造方法に関する。
二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度や大きい電池容量を要する電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用電源に用いられる。リチウムイオン二次電池が備える極板群は、セパレータを介して相互に重なる正極板と負極板とを備え、正極板と負極板との大きな対向面積を利用して、大電流を取り出し可能とする。リチウムイオン二次電池が備える過充電防止機構は、電池ケースの内圧が作動圧を越えたときに極板群を流れる電流を遮断して、過充電による不具合の発生を防止する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2016-95928号公報
上述した過充電防止機構は、電池ケース内に位置する極板群と外部端子とを接続する機構であって、電池ケースの蓋体材から電池ケース内に向けて突き出た構造体である。電池ケース内の空間のなかで過充電防止機構の近傍は、リチウムイオン二次電池の充放電に寄与しない空間である。例えば、電池ケースの蓋体材に対する直下の空間は、該空間の一部に過充電防止機構が位置する一方で、過充電防止機構以外の空間は、リチウムイオン二次電池の充放電に寄与しない空間として存在している。
そのため、過充電防止機構を備えたリチウムイオン二次電池では、エネルギー密度を高めるうえで、依然として改善の余地が残されている。なお、電池ケース内の空間の利用率を高める課題は、上述した過充電防止機構を備えた二次電池に限らず、電池ケースから電池ケース内に向けて突き出る構造体を備えた電池において共通する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電池ケース内の空間の利用率を向上可能にした二次電池及び二次電池の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する二次電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に重なる二次電池用極板群と、前記二次電池用極板群が収容されて蓋体で封止される電池ケースであって、前記電池ケースの外側に位置する外部端子と、前記二次電池用極板群に接続される集電体とを電気的に接続する構造体が、前記蓋体から前記電池ケースの底部に向けて突き出るように配置される前記電池ケースと、を備え、前記二次電池用極板群は、前記構造体が入り込む切り欠き部を備える。
上記課題を解決する二次電池の製造方法は、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に重なる二次電池用極板群であって、構造体が入り込む切り欠き部を備えた二次電池用極板群を形成することと、電池ケースの外側に位置する外部端子と、前記二次電池用極板群に接続される集電体とを電気的に接続する前記構造体を、前記電池ケースを封止する蓋体から前記電池ケースの底部に向けて突き出るように配置するとともに、前記構造体が前記切り欠き部に入り込むように前記二次電池用極板群を前記電池ケースに収容することとを含む。
上記各構成又は方法によれば、電池ケースの蓋体材から突き出る構造体は、電池ケースに収容された極板群の切り欠き部に入り込む。電池ケース内の空間のなかで構造体の近傍は、極板群によって埋められる。結果として、電池の充放電に寄与しない空間を極板群によって縮小させて、電池ケース内の空間の利用率が向上可能となる。
上記二次電池は、前記構造体は、直方体形状を有した前記電池ケースの上側角部に位置し、前記二次電池用極板群は、前記電池ケースの内面と前記切り欠き部とによって前記上側角部を区切るように、前記切り欠き部を備えてもよい。
上記構成によれば、電池ケースの上側角部に位置する構造体を囲うように極板群が位置するため、構造体の周囲から電池の充放電に寄与しない空間を除くことが可能となる。
上記二次電池は、第1集電体が接続される第1接続部と、第2集電体が接続される第2接続部と、をさらに備え、前記第1接続部は、前記切り欠き部に対する前記底部側に位置し、前記第1接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離は、前記第2接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離よりも小さくてもよい。
上記構成であれば、切り欠き部に対する電池ケースの底部側では、電流の流れやすい部位が、第2接続部よりも、電池ケースの蓋体から離れる。結果として、電流の経路が複雑である領域で電流の密度が高まることを抑えて、極板群の使用効率を高めることが可能ともなる。
上記二次電池用極板群において、前記構造体は、過充電防止機構であってもよい。
上記構成によれば、過充電防止機構を囲うように極板群が位置するため、過充電防止機構の周囲から電池の充放電に寄与しない空間を除くことが可能となる。
上記二次電池用極板群において、前記二次電池用極板群は、リチウムイオン二次電池用極板群であってもよい。
上記構成によれば、リチウムイオン二次電池において、電池の充放電に寄与しない空間を極板群によって縮小させて、電池ケース内の空間の利用率が向上可能となる。
本発明によれば、電池ケース内の空間の利用率が向上可能である。
二次電池の一実施形態における二次電池の構造を示す構成図。 同実施形態の過充電防止デバイスを示す断面図。 同実施形態の極板群の層構成を示す分解斜視図。 同実施形態の二次電池を製造する方法を示すフローチャート。 同実施形態の電流分布について示す作用図。 二次電池の他の実施形態における二次電池の構造を示す構成図。
図1から図5を参照して、二次電池、及び二次電池の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本実施形態では、二次電池はリチウムイオン二次電池である。本実施形態の二次電池は、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。二次電池は、外形が直方体形状の密閉式電池である。
図1に示すように、二次電池10は、電池ケース11、蓋体12、極板群20及び電解液27を備える。電池ケース11は、上側に開口部を有する直方体形状を有する。蓋体12は、開口部を覆うことで電池ケース11内の空間を封止する。電池ケース11及び蓋体12は、アルミニウム合金等の金属で構成されている。二次電池10は、電池ケース11に蓋体12が取り付けられることで密閉された電槽を構成する。極板群20及び電解液27は、電池ケース11の内部に収容される。二次電池10は、蓋体12に、電力の充放電に用いられる2つの外部端子13M,13Pを備える。図1において、右側が正極の外部端子13Pであり、左側が負極の外部端子13Mである。
電解液27は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物(非水電解質)である。非水溶媒には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートからなる群から選択された一種または二種以上の材料が用いられる。支持塩には、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiIからなる群から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)が用いられる。
極板群20は、正極板21と負極板22とが交互にそれらの間にセパレータ23を挟んで積層方向(図1において紙面に垂直な方向)に積層されて直方体形状に構成されている。極板群20は、正極板21、負極板22及びセパレータ23がそれぞれ平面状に維持されたまま積層されることで積層型極板群を構成する。それによって、正極板21、負極板22及びセパレータ23が多重に積層されている。
セパレータ23は、正極板21及び負極板22の間に電解液27を保持するためのポリプロピレン製等の不織布である。セパレータ23は、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、及び多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。
極板群20は、直方体形状の長手方向の一端側(図1において右側)に正極板21のみがはみ出した正極のリード部21Aと、同長手方向の他端側(図1において左側)に負極板22のみがはみ出した負極のリード部22Aとを有する。正極のリード部21Aは、正極板21の正極基材211(図3参照)が配置されている部分であって、積層された正極基材211が積層方向に圧縮されるとともに、溶接されている。正極のリード部21Aは、外部端子13Pに接続される集電体としての集電板14Pが電気的に接続されている。負極のリード部22Aは、負極板22の負極基材221(図3参照)が配置されている部分であって、積層された負極基材221が積層方向に圧縮されているとともに、溶接されている。負極のリード部22Aは、外部端子13Mに接続される集電体としての集電板14Mが電気的に接続されている。
電池ケース11の正極側において、外部端子13Pと集電板14Pとの間には、圧力型電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)15が設けられている。CID15は、蓋体12に電気的絶縁性を維持しつつ機械的に固定されている。一方、CID15は、外部端子13Pと集電板14Pとに電気的に接続され、外部端子13Pと集電板14Pとの間の電気的な接続を確保している。なお、CID15は、電池ケース11内の圧力が所定の値よりも高くなることで外部端子13Pと集電板14Pとの間の電気的な接続を遮断する過充電防止機構としての機能を備えている。なお、CID15が構造体に相当する。
図2を参照して、CID15について説明する。CID15は、電池ケース11の内圧Paが所定の作動圧Pcを超えると作動して、自身を充放電電流が流れない状態(オフ状態)になり、自身を流れる充放電電流を遮断する。なお、図2は、作動前(遮断前)の自身を充放電電流が流れる状態(オン状態)を示している。
蓋体12には、ガスケット16,17、導電板18、集電端子25、反転板30及びリベット40が設けられている。ガスケット16及び導電板18は、蓋体12の外側(電池ケース11の外部側)に配置される。ガスケット17は、蓋体12の内側(電池ケース11の内部側)に配置される。集電端子25は、集電板14Mに電気的に接続されている部分であって、集電板14Mの上端をCID15に接続させている。
蓋体12は、貫通孔12Hを有している。ガスケット16は貫通孔12Hに配置される筒部16Hを有している。リベット40の一部が貫通孔12H(筒部16H)に挿通された状態でかしめが行われることにより、リベット40は導電板18及びガスケット16,17を蓋体12に固定するとともに、貫通孔12Hを封止する。集電端子25は、反転板30、リベット40及び導電板18を通して正極の外部端子13Pに電気接続されている。
リベット40は、かしめ部41、小径部42、連絡部43、および大径部44を含む。小径部42は、筒状の形状を有する。かしめ部41は、小径部42を貫通孔12Hに挿通したのち、小径部42の端部側を加締めることによって形成される。連絡部43および大径部44の内側に形成された空間は、後述する反転板30の反転動作を許容する。
反転板30は、天面部31、傾斜部32、および周縁部33を含み、アルミニウム合金等から形成される。天面部31は、円形状の形状を有する。傾斜部32は、天面部31を取り囲む環状の形状を有する。周縁部33は、傾斜部32を取り囲む環状の形状を有する。反転板30の周縁部33とリベット40の大径部44との全周が互いに溶接されることによって、反転板30はリベット40に保持される。
リベット40の小径部42は、筒状の形状を有しており、小径部42の内側には連通孔41Hが設けられている。連通孔41Hは、リベット40の小径部42を通り、蓋体12を貫通するように設けられている。よって、電池ケース11の内部と外部とは、連通孔41Hを通して連通している。
集電端子25は、厚肉部22E、薄肉部23F、貫通孔23Hおよび環状溝23Gを含み、アルミニウム合金などから形成される。薄肉部23Fは、厚肉部22Eよりも薄い厚さを有する。貫通孔23Hおよび環状溝23Gは、いずれも薄肉部23Fに設けられる。反転板30の天面部31は、薄肉部23Fに溶接される。
CID15のオン状態では、反転板30は、天面部31が集電端子25(薄肉部23F)に向かって突出した凸形状で電気的な接続を有し(オン状態)、集電端子25は、反転板30、リベット40及び導電板18を通して外部端子13Pに電気接続される。電流は、集電端子25、反転板30及びリベット40の順に流れる。これにより、放電時には、二次電池10から外部へ電力が供給され、充電時にはこれと逆方向に電流が流れる。
一方、電池ケース11の内圧Paが上昇した場合、反転板30の天面部31が電池ケース11内の気体に押圧される。電池ケース11の内圧Paが作動圧Pcよりも高くなったとき、薄肉部23Fは環状溝23Gを起点として破壊され、反転板30の天面部31は薄肉部23Fの一部とともに集電端子25から遠ざかる方向に変形して反転形状30Bになる。反転板30の反転動作により、集電端子25と反転板30とは互いに離隔してオフ状態になる。反転板30と集電端子25との導通が遮断されることにより、極板群20と外部端子13Pとの間の導通も遮断される。
図3が示すように、正極板21は、平板状の電極芯体である正極基材211と、正極基材211の表面両側に正極合剤を有する正極合剤層212とを備える。正極基材211は、正極に適する金属箔が使用され、例えば、アルミニウム箔である。また、正極基材211は、極板群20の長手方向の端部にある一辺に沿って正極合剤層212が設けられていない未塗工部211Mを有し、この未塗工部211Mに正極のリード部21Aを有している。正極合剤層212は、正極活物質を含む正極合剤を正極基材211に塗工することによって形成されている。
正極合剤層212には、正極活物質粒子、導電材及びバインダーが含まれている。正極活物質粒子には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる物質を使用することができる。正極活物質粒子は、遷移金属元素(すなわち、Ni、Co、及びMnの少なくとも1種)の他に、付加的に、1種または複数種の元素を含有し得る。好ましくは、正極活物質は、「LiNiCoMnO系正極活物質」である。「LiNiCoMnO系正極活物質」は、LiとNiとCoとMnとを含む複合酸化物を意味し、Li、Ni、Co、及びMnとは異なる金属元素を更に含んでもよい。
また、正極合剤層212は導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
正極板21は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後に正極合剤を含んで生成される電極用スラリーを正極基材211に塗布して乾燥することで作製される。溶媒としては、例えばNMP(N-メチル-2-ピロリドン)溶液を用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
次に、負極板22は、平板状の電極芯体である負極基材221と、負極基材221の表面両側に負極合剤を有する負極合剤層222とを備える。負極板22は、従来の二次電池の構成要素と同様の構成要素を用いることができる。例えば、負極基材221の材料として、導電性の良好な金属が使用され、例えば、銅やニッケルあるいはそれらの合金からなる薄膜(箔)である。また、負極基材221は、極板群20の長手方向の端部であって、正極の未塗工部211Mの設けられていない側である他辺に沿って負極合剤層222が設けられていない未塗工部221Mを有し、この未塗工部221Mに負極のリード部22Aを有している。負極合剤層222は、負極活物質を含む負極合剤を負極基材221に塗工することによって形成されている。
負極合剤層222には、負極活物質粒子、正極合剤と同様に利用できる増粘材及びバインダーが含まれている。負極活物質粒子は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。負極板22は、負極活物質と、正極合剤と同様に利用できる溶媒と、バインダーとを混練し、混練後に負極合剤層222を含んで生成される電極用スラリーを負極基材221に塗布して乾燥することで作製される。
(切り欠き部50)
図1に示すように、極板群20は、蓋体12から電池ケース11の底面側に突き出しているCID15を避けるように区画された切り欠き部50を有している。例えば、極板群20は、積層方向から見た矩形形状において、右の上側角部が切り取られて切り欠き部50が形成されているような形状をしている。
切り欠き部50は、極板群20の積層方向の全範囲に渡って設けられていて、極板群20の長手方向には、正極のリード部21Aから所定の長さ50Lを有し、極板群20の短手方向には、蓋体12に対向する上側から所定の高さ50Hを有している。
図3に示すように、切り欠き部50は、正極板21に形成された切り欠き部51、負極板22に形成された切り欠き部52、セパレータ23に形成された切り欠き部53から構成されている。換言すると、正極板21の切り欠き部51、負極板22の切り欠き部52、及びセパレータ23の切り欠き部53が積層方向に揃うように積層されることで、極板群20に切り欠き部50が設けられる。
正極板21の切り欠き部51は、未塗工部211M側に設けられ、短手方向に高さ50Hを有し、長手方向に正極の未塗工部211Mから長さ50Lを有している。
負極板22は、正極のリード部21Aに重ならないように積層される。よって、負極板22の切り欠き部52は、未塗工部221Mではない側に設けられ、短手方向に高さ50Hを有し、長手方向には積層時に正極板21に対して重ならない分だけ長さ50Lよりも短い。
セパレータ23は、正極板21と負極板22とが対向する範囲と同じ大きさか、それよりも大きい。よって、セパレータ23の切り欠き部53は、正極板21の切り欠き部51や負極板22の切り欠き部52と揃う、もしくは、少しはみ出る短手方向の長さ、及び長手方向の長さを有している。つまり、切り欠き部50は、セパレータ23が多少はみ出した構成で有ってもよい。
(二次電池の製造方法)
図4を参照して、二次電池10の製造方法について説明する。
二次電池10の製造が開始されると、正極板21、負極板22及びセパレータ23にそれぞれ切り欠き部51,52,53を形成する切り欠き部形成工程が行われる(ステップS10)。例えば、正極板21は、矩形状の正極基材211に正極合剤層212が形成された後、未塗工部211Mの設けられている側に切り欠き部51が形成される。負極板22は、矩形状の負極基材221に負極合剤層222が形成された後、未塗工部221Mが設けられていない側に切り欠き部52が形成される。セパレータ23は、矩形状のうち、極板群20の切り欠き部50に対応する部分に切り欠き部53が形成される。
次に、正極板21、負極板22及びセパレータ23を積層させて極板群20を作成する極板群作成工程を行う(ステップS11)。正極板21と負極板22とは、極板群20の長手方向において互いに逆側となるように各未塗工部211M,221Mが配置されるとともに、切り欠き部51と切り欠き部52とが長手方向の辺、及び、短手方向の辺が相互に揃うように積層される。また、正極板21と負極板22との間には、正極板21の切り欠き部51又は負極板22の切り欠き部52にセパレータ23の切り欠き部53が揃うようにセパレータ23が積層される。これにより、切り欠き部50を有する極板群20が作成される。
続いて、外部端子接続工程を行う(ステップS12)。蓋体12からCID15が突き出ているが、CID15の突き出ている部分に極板群20の切り欠き部50が設けられている。極板群20に蓋体12が取り付けられると、CID15は極板群20の切り欠き部50に入り込む。よって、電池ケース11内の空間のなかでCID15の近傍は、極板群20によって埋められる。結果として、電池の充放電に寄与しない空間を極板群20によって縮小させて、電池ケース11内の空間の利用率が向上可能となる。
また、外部端子接続工程では、蓋体12に極板群20が取り付けられている。詳述すると、正極の集電板14Pと正極のリード部21Aとが、負極の集電板14Mと負極のリード部22Aとがそれぞれ電気的に接続する。具体的には、正極のリード部21Aの第1接続部21Cに正極の集電板14Pの溶接点14Cが溶接され、負極のリード部22Aの第2接続部22Cに負極の集電板14Mの溶接点14Cが溶接される。蓋体12から正極の集電板14Pの第1接続部21Cまでの距離に比べて、蓋体12から負極の集電板14Mの第2接続部22Cまでの距離が長い。換言すると、正極のリード部21Aの第1接続部21Cと極板群20の底部20Bとの間の距離は、負極のリード部22Aの第2接続部22Cと極板群20の底部20Bとの間の距離よりも小さい。
また、図5に示すように、第1接続部21Cは、蓋体12から底部に向かう上下方向の長さに対して正極のリード部21Aの中央近傍にある。第2接続部22Cは、上下方向に対して負極のリード部22Aの中央近傍にある。第1接続部21C及び第2接続部22Cが中央付近に設けられることで、極板群20の電流経路の分布の均一化が図られる。なお、切り欠き部50の付近は、電流経路の分布が複雑化するおそれがある。
さらに、上下方向に対して、第1接続部21Cの位置は、第2接続部22Cの位置よりも極板群20の底部20Bに近い。つまり、第1接続部21Cと極板群20の底部20Bとの距離は、第2接続部22Cと極板群20の底部20Bとの距離よりも小さい。正極のリード部21Aは、蓋体12側に、切り欠き部50が設けられていることに応じて第1接続部21Cが極板群20の底部20Bに寄るためである。つまり、第1接続部21Cが極板群20の底部20Bに寄ることで、第1接続部21Cから切り欠き部50までの距離が確保されるようになる。
よって、電流経路の分布(図5において電流分布)が複雑になる切り欠き部50において電流経路の密度を下げる(電流分布を低くする)ことで、切り欠き部50による電池性能の低下を抑制することができる。また、切り欠き部50の代わりに他の部分の電流経路の密度が上がることで極板の使用効率を高めることができる。詳述すると、電流は第1接続部21Cと第2接続部22Cとの距離が短い部分で電流経路の密度が高く、長くなるほど電流経路の密度が低くなる傾向にある。切り欠き部50を第1接続部21Cから離すことにより、切り欠き部50の近傍の電流経路の密度を低下させて、電流分布の低い部分とすることができる。一方、切り欠き部50ではない部分の電流経路の密度が高められるので、電池性能を低下させるおそれが小さいとともに、極板の使用効率が向上する。
すなわち、極板の使用効率を向上させるためには、上述のように、第1接続部21Cが、第2接続部22Cよりも所定の距離だけ底部20B側(下側)にずれた位置に設けられることが好ましい。ここで所定の距離は、切り欠き部50の高さ50Hの50%の値から150%までの値であると好ましく、また、切り欠き部50の高さ50Hの70%の値から130%までの値であるとより好ましい。なお、第2接続部22Cの接続位置は、通常の電池と同様に定められる。すなわち、各部材を構成する材料、材料等のコスト、極板群の構造、電池の構造等に基づいて定められる。
そして、ケース内配置工程を行う(ステップS13)。ケース内配置工程では、電池の充放電に寄与しない空間が縮小された極板群20が電池ケース11内に配置されるとともに、電池ケース11の開口部に蓋体12を溶接する。これにより、電池の充放電に寄与しない空間が縮小された極板群20が電池ケース11に配置されて、電池ケース内の空間の利用率が向上された二次電池が製造される。
以上、本実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)電池ケース11の蓋体12から突き出るCID15は、電池ケース11に収容された極板群20の切り欠き部50に入り込む。電池ケース11内の空間のなかでCID15の近傍は、極板群20によって埋められる。結果として、電池の充放電に寄与しない空間を極板群20によって縮小させて、電池ケース11内の空間の利用率が向上可能となる。
(2)電池ケース11の上側角部に位置するCID15を囲うように極板群20が位置するため、CID15の周囲から電池の充放電に寄与しない空間を除くことが可能となる。
(3)第1接続部21Cが極板群20の底部20Bに近づくことで、切り欠き部50に対する電池ケース11の底部側では、電流の流れやすい部位が、第2接続部22Cよりも、電池ケース11の蓋体12から離れる。結果として、電流の経路が複雑である領域で電流の密度が高まることを抑えて、極板群20の使用効率を高めることが可能ともなる。
(4)リチウムイオン二次電池において、電池の充放電に寄与しない空間を極板群によって縮小させて、電池ケース内の空間の利用率が向上可能となる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更可能である。
・上記実施形態では、極板群20の切り欠き部50が正極側に設けられる場合について例示したが、これに限らず、CIDが負極側に設けられているようなとき、極板群の切り欠き部が負極側に設けられていてもよい。
・上記実施形態では、極板群20の切り欠き部50が一箇所である場合について例示した。しかしこれに限らず、極板群に複数の切り欠き部が設けられていてもよい。これにより、空間を極板群で縮小させることができれば、電池ケースの空間の利用率が上がるようになる。
図6に示すように、蓋体12の負極側にもCID15Mが設けられている場合、極板群20の負極のリード部22Aに切り欠き部50Bを設けてもよい。これにより、空間が極板群で縮小される。
また、図6に示すように、電解液27の注液口12Aに対応する位置に切り欠き部50Cを設けてもよい。空間を極板群20で縮小させることで、注入した電解液27の広がりが制約されるようになるおそれがあるが、注液口に対応する切り欠き部50Cを設けることで、電解液27の広がりを迅速に拡大して、電解液27が好適に浸透するようにできる。
・上記実施形態では、外部端子13P,13Mが蓋体12に取り付けられている場合について例示したが、これに限らず、外部端子が、例えば電池ケースの側面に設けられていてもよい。このとき、CIDが電池ケースの側面に設けられ、極板群の対応する位置に切り欠き部が設けられていてもよい。これにより、電池ケースに配置された極板群とCIDとの間に適切な間隔を確保しつつ、電池ケース内の空間の利用率が向上される。
・上記実施形態では、第1接続部21Cが、第2接続部22Cよりも極板群20の底部20Bに近い場合について例示した。しかし、これに限らず、構造体の突き出る位置に応じて、電流経路の分布が、極板において複雑にならないように、また、より分布が均一になるように、第1接続部の位置や第2接続部の位置を調整してもよい。
・上記実施形態では、構造体としてのCID15が電池ケース11内に突き出る場合について例示した。しかしこれに限らず、電池ケース内に突き出ている構造体が、集電板の構造体や電極の構造体など、CID以外の構造体であってもよい。これによっても、電池ケースの上側角部に位置する構造体を囲うように極板群を位置させることで、構造体の周囲から電池の充放電に寄与しない空間を除くことが可能となる。
・正極板21に切り欠き部51を形成するとき、切り欠き部51が形成されている正極基材211に正極合剤層212を形成するようにしてもよい。
・負極板22に切り欠き部52を形成するとき、切り欠き部52が形成されている負極基材221に負極合剤層222を形成するようにしてもよい。
・セパレータ23に切り欠き部53を形成するとき、切り欠き部53を同時形成する打ち抜き型等による切断によって切り欠き部53を形成してもよい。
・二次電池10は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載されなくてもよい。例えば、二次電池10は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池10は、鉄道、船舶、及び航空機等の移動体や、ロボットや、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
10…二次電池、11…電池ケース、12…蓋体、12H…貫通孔、13M…外部端子、13P…外部端子、14C…溶接点、14M,14P…集電板、15,15M…圧力型電流遮断機構(CID)、16,17…ガスケット、18…導電板、20…極板群、20B…底部、21…正極板、21A…リード部、21C…第1接続部、22…負極板、22A…リード部、22C…第2接続部、22E…厚肉部、23…セパレータ、23F…薄肉部、23G…環状溝、23H…貫通孔、25…集電端子、27…電解液、30…反転板、30B…反転形状、31…天面部、32…傾斜部、33…周縁部、40…リベット、41…かしめ部、41H…連通孔、42…小径部、43…連絡部、44…大径部、50,50B,50C,51,52,53…切り欠き部、50H…高さ、50L…長さ、211…正極基材、211M…未塗工部、212…正極合剤層、221…負極基材、221M…未塗工部、222…負極合剤層。

Claims (5)

  1. 正極板と負極板とがセパレータを介して交互に重なる二次電池用極板群と、
    前記二次電池用極板群が収容されて蓋体で封止される電池ケースであって、前記電池ケースの外側に位置する外部端子と、前記二次電池用極板群に接続される集電体とを電気的に接続する構造体が、前記蓋体から前記電池ケースの底部に向けて突き出るように配置される前記電池ケースと、を備え、
    前記二次電池用極板群は、前記構造体が入り込む切り欠き部を備え
    第1集電体が接続される第1接続部と、
    第2集電体が接続される第2接続部と、をさらに備え、
    前記第1接続部は、前記切り欠き部に対する前記底部側に位置し、
    前記第1接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離は、前記第2接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離よりも小さい二次電池。
  2. 前記構造体は、直方体形状を有した前記電池ケースの上側角部に位置し、
    前記二次電池用極板群は、前記電池ケースの内面と前記切り欠き部とによって前記上側角部を区切るように、前記切り欠き部を備える
    請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記構造体は、過充電防止機構である
    請求項1又は2に記載の二次電池。
  4. 前記二次電池用極板群は、リチウムイオン二次電池用極板群である
    請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池。
  5. 正極板と負極板とがセパレータを介して交互に重なる二次電池用極板群であって、構造体が入り込む切り欠き部を備えた二次電池用極板群を形成することと、
    電池ケースの外側に位置する外部端子と、前記二次電池用極板群に接続される集電体とを電気的に接続する前記構造体を、前記電池ケースを封止する蓋体から前記電池ケースの底部に向けて突き出るように配置するとともに、前記構造体が前記切り欠き部に入り込むように前記二次電池用極板群を前記電池ケースに収容するとともに、
    第1集電体が接続される第1接続部と、
    第2集電体が接続される第2接続部と、をさらに備え、
    前記第1接続部は、前記切り欠き部に対する前記底部側に位置し、
    前記第1接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離は、前記第2接続部と前記二次電池用極板群の底部との距離よりも小さくなるように配置するとを含む
    二次電池の製造方法。
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