[0028] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0029] − 放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0030] − パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0031] − 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0032] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
[0033] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0034] 支持構造MTはパターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0035] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0036] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0037] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0038] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
[0039] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0040] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0041] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、別に提供されてもよい(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)。
[0042] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0043] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0044] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0045] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0046] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0047] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0048] 多くのリソグラフィ装置では、結像されるフィーチャの小型化及び/又は装置の有効NAの増加を可能にするために、投影システムの最終要素の間に流体、特に液体を提供する。このような液浸装置に関して、本発明を以下でさらに説明するが、非液浸装置でも本発明は等しく実現することができる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類される。これらは、浴槽タイプ構成と、いわゆる局所液浸システムである。浴槽タイプ構成では、実質的に基板の全体とオプションとして基板テーブルの一部が液体の浴槽内に浸漬される。いわゆる局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ提供される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリでは、液体によって充填される空間は、平面視で基板の上面より小さく、液体で充填される領域は、基板がその領域の下を移動する間、投影システムに対して実質的に静止している。本発明のある実施形態が指向する別の構成は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。図2〜図5の液体供給デバイスのいずれもそのようなシステムで使用することができる。しかし、封止特徴部は存在しないか、活性化されていないか、通常のものより効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所領域にのみ封止する効果がない。図2〜図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが示されている。
[0049] 提案されている構成の1つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを配置構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。図2及び図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給され、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。すなわち、基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。
[0050] 図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。基板Wの上の矢印は液体のフローの方向を示し、基板Wの下の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が、最終要素の周囲の規則的パターンで設けられる。液体供給デバイス及び液体回収デバイス内の矢印は、液体のフローの方向を示す。
[0051] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィのさらなる解決法が、図4に示されている。液体が、投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る穴が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組合せの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組合せの入口及び出口は動作しない)。図4の断面図では、矢印は入口への、また出口からの液体のフローの方向を示す。
[0052] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め部材を提供する構成である。液体閉じ込め部材は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。そのような構成を図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成されている。ある実施形態では、液体閉じ込め構造と基板表面との間には封止が形成され、封止はガスシールなどの非接触シールであってもよい。そのようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
[0053] 図5は、流体ハンドリング構造12がある局所液体供給システムを概略的に示す。流体ハンドリング構造は、投影システムの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。(以下の説明で基板Wの表面に言及する場合、明示的に断りのない限り、追加的に又は代替的に、基板テーブルの表面も指すことに留意されたい。)流体ハンドリング構造12は、投影システムに対してXY面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には多少の相対運動があってもよい。実施形態では、バリア部材と基板Wの表面との間にシールが形成され、流体シールのような非接触シール、望ましくはガスシールとすることができる。
[0054] 流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wの表面と投影システムPSの最終要素の間の空間内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対する非接触シール16を投影システムのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置決めされ、それを囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体開口13によって投影システムの下方で、流体ハンドリング構造12内の空間に入れる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は投影システムの最終要素の少し上まで延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終要素の上まで上昇する。実施形態では、流体ハンドリング構造12は、その上端が投影システム又はその最終要素の形状に正確に一致することができる内周を有し、例えば円形とすることができる。底部では、内周がイメージフィールドの形状に正確に一致し、例えば長方形とすることができるが、そうである必要はない。
[0055] 実施形態では、液体が、使用中に流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシールは、気体、例えば空気又は合成空気によって形成されるが、実施形態ではN2又は別の不活性ガスによって形成される。ガスシール内の気体は、圧力下で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を囲む環状溝であってもよい。環状溝は連続的又は不連続的であってもよい。気体16の流れは、液体を空間11に封じ込めるのに有効である。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
[0056] 図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供されるいわゆる局所領域の構成である。例えば米国特許出願公開US2006−0038968号に開示されているような単相抽出器又は2相抽出器を使用する流体ハンドリングシステムを含む他の構成も可能である。
[0057] 可能である別の構成は、気体抗力原理で作用する構成である。いわゆる気体抗力原理は、例えば米国特許出願公開US2008−0212046号及び2008年5月8日出願の米国特許出願US61/071,621号に記載されている。そのシステムでは、抽出孔が、望ましくは角を有する形状で構成される。角はステップ及びスキャン方向に位置合わせすることができる。これは、2つの出口がスキャン方向に対して垂直に位置合わせされた場合と比較して、ステップ又はスキャン方向での所与の速度について、流体ハンドリング構造の表面にある2つの開口間のメニスカスにかかる力を低減する。
[0058] US2008−0212046号には、主液体回収フィーチャの半径方向外側に位置決めされたガスナイフも開示されている。ガスナイフは、主液体回収フィーチャを通過する液体があればすべて捕捉する。このようなガスナイフは、(US2008−0212046号に開示された)いわゆる気体抗力原理の構成、(US−2009−0262318−A1号に開示されたような)単相又は2相抽出器の構成、又は任意の他の構成内にあってよい。
[0059] 他の多くのタイプの液体供給システムが可能である。本発明は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。
[0060] 制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的動作を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段、キーボード及びスクリーンのような入出力デバイス、ネットワークとの接続部、及びリソグラフィ装置の様々な部品とのインタフェースを備え、適切にプログラムされた汎用コンピュータとして実現することができる。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係がある必要はないことが理解されるだろう。本発明の実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明の別の実施形態では、ネットワークで接続された複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置がその一部を形成しているリソセル又はクラスタ内で、関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスも制御するように構成することができる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は工場の全体制御システムに従属するように構成することもできる。
[0061] 図6は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図を示す。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム500は制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御するためのものである。各コンポーネントの位置は、一組の直交座標によって画定することができる。
[0062] 位置決めシステムは、測定座標の設定値位置rに対して、コンポーネントのうち1つの瞬間的位置xWSの誤差eWTを求めるように構成された測定デバイス61を備える。位置決めシステムは、求めた誤差eWTに基づいて、制御座標内で他のコンポーネントの動作を制御するように構成されたコントローラ62をさらに備える。測定座標は制御座標とは異なる。
[0063] その目的は、特定の方向又は回転方向における他のコンポーネントの動作が、異なる方向又は回転方向における1つのコンポーネントの位置誤差を考慮に入れることを可能にすることである。これは、様々な座標でコンポーネントの動作を制御する場合に、より多くの情報を考慮に入れることによって、相互に対してコンポーネントの動作を制御する精度を改良する。
[0064] リソグラフィ装置の下部コンポーネント及び上部コンポーネントは、相対運動を制御することが望ましいリソグラフィ装置の任意の2つのコンポーネントでよい。本発明の実施形態では、下部コンポーネントは基板テーブルWTであり、上部コンポーネントは支持構造MTである。便宜上、以下では本発明の実施形態を基板テーブルWT及び支持構造MTについて説明する。しかし、本発明は、明示的に述べていない限り、基板テーブルWT及び支持構造MTに制限されないことを理解されたい。
[0065] 実施形態では、コンポーネントは実質的に平行なx−y面を画定する。測定座標及び制御座標は、x、y及びz方向のうちの1つである。
[0066] 従来のシステムによれば、基板テーブルWTの位置について求めた誤差に基づいて支持構造MTにかかるフィードスルー力は、x、y及びz方向で別個に実行される。例えば、x方向における基板テーブルWTの位置誤差を使用して、x方向で支持構造MTに作用するフィードスルー力を決定する。
[0067] 本発明は、1つの方向又は回転方向における基板テーブルWTの位置誤差と、異なる方向又は回転方向における支持構造MTの動作との間の交差項を含む。
[0068] 実施形態では、測定デバイス61によって誤差を求める測定方向はz方向である。支持構造MTに作用するフィードスルー力の効果は、z方向における基板テーブルWTの位置の誤差を考慮に入れる場合さらに重大になる。例えば、z方向のフィードスルーに応答して、支持構造MTに何らかの寄生トルクが生じる。これは、x及びy方向で支持構造MTの位置誤差を引き起こす。本発明は、z方向における基板テーブルWTの位置誤差に基づいて、x及びy方向で支持構造MTに作用するフィードスルー力の成分を含めることによってこの問題に対応する。
[0069] 実施形態では、測定座標及び/又は制御座標は、x、y及びz軸のうち1つを中心とする基板テーブルWTの傾斜を示す座標である。基板テーブルWTの全体的な位置及び方向について、x、y及びz方向に関してばかりでなく、これらの軸それぞれを中心とする基板テーブルWTの傾斜によっても説明することができる。基板テーブルWTの傾斜は、支持構造MTの位置誤差に影響を及ぼすことがある。本発明によれば、これらの効果は、x、y及びz方向で、及び基板テーブルWTの傾斜に応じて傾斜回転方向で支持構造MTに作用するフィードスルー力の成分によって考慮に入れることができる。
[0070] 測定デバイス61は、直交座標の組の各座標で誤差を求めるように構成することができる。コントローラ62は、他の座標のうち少なくとも1つで求めた誤差eWTに基づき、各座標で支持構造MTの動作を制御するように構成することができる。3つのデカルト座標すべて及び3つの傾斜方向すべてを考慮に入れる場合、支持構造MTの動作及び方向は、これらの6つの座標のそれぞれでコントローラ62によって制御することができる。コントローラ62は、基板テーブルWTで求めた6つ(座標毎に1つ)の誤差に基づき、各座標で支持構造MTの動作を制御することができる。
[0071] 図6は、x、y及びz方向のそれぞれで支持構造MTに作用するフィードスルー力の係数を示す3×3のマトリクス63を示し、力の各成分は、x、y及びz方向のそれぞれで求めた基板テーブルWTの位置誤差eWTに基づいている。このマトリクス63は、傾斜方向も考慮に入れる場合、6×6のマトリクスに拡張することができる。したがって、座標は、3次元のデカルト座標系、及びデカルト軸を中心とする基板テーブルWT及び支持構造MTの傾斜を示す3つの座標を含む6次元座標系を含むことができる。
[0072] 位置決めシステムは、各座標で求めた誤差eWTを測定デバイス61とコントローラ62との間で通信するように構成された複数入力及び複数出力(MIMO)システムを備えることができる。信号線は、1方向のみではなく複数の方向又は回転方向に関する情報を搬送することができる。マトリクス63は、誤差補償器65によって計算されたままの力を支持構造MTにかかる実際の力に関連づける。
[0073] 実施形態では、位置決めシステムは、各座標で求めた誤差を測定デバイスとコントローラとの間で通信するように構成された複数入力及び複数出力システムを備える。
[0074] 図6の線図の最も上にあるループは、支持構造MTの制御を表す。リソグラフィ装置は、支持構造コントローラCMT及び機械的伝達装置HMTを備えることができる。機械的伝達装置HMTは、支持構造MTをその位置xMTまで動かすために適用される力の伝達関数を表す。基板テーブルWTの位置誤差eWTに基づくフィードスルー力は、誤差補償器65によって計算され、支持構造MTの位置誤差eMTのフィードバックに基づいてサブコントローラCMTが決定した力と組み合わせられる。支持構造MTの位置誤差eMTは、支持構造MTの一義的な位置xMTと、4×rに等しい支持構造の設定値位置との差によって計算され、これは、投影光学系の倍率により、支持構造MTが基板テーブルWTの4倍動くことを示す。
[0075] 図6の線図に示した最も下のループは、基板テーブルWTの制御である。基板テーブル制御ループは、基板テーブルコントローラCWT及び機械的伝達装置HWTを備えることができる。
[0076] 支持構造は、基板テーブルWTの設定値rの4倍である設定値4rを受信するが、その出力は関連する相対誤差eWTのうち1/4にしかならない。これは、パターンの像が投影システムPSによってM=1/4の倍率で投影され、支持構造MTが基板テーブルWTの速度の4倍でスキャンするという事実を反映する。
[0077] この説明では、倍率を4とし、これが現在の業界標準であることに留意されたい。しかし、本発明は決して倍率に依存しない。したがって、図面で数字の4を使用する場合、これは、リソグラフィ装置の倍率に応じて任意の他の数字で置換することができる。
[0078] 位置決めシステムは、基板テーブルWTの基板テーブル設定値位置rを生成し、支持構造MTの支持構造設定値位置4rを生成する設定値発生器(図示せず)を備えることができる。基板テーブル設定値位置rは、倍率だけ支持構造設定値位置4rとは異なり、したがって基板テーブルWTと支持構造MTとの動作は倍率だけ異なる。位置決めシステムは、支持構造MTと基板テーブルWTの設定値を生成するために別個の設定値発生器を備えることができる。この場合、別個の設定値発生器は、露光プロセス中に基板テーブルWTと支持構造MTとの位置関係が投影システムの倍率比率と一致するように、設定値を生成するべく構成される。
[0079] 実施形態では、設定値発生器は、コンポーネントの1つについて一連の設定値位置を生成するように構成され、コントローラは、求めた誤差及びその後の設定点位置に基づいて、他の上記コンポーネントの動作を制御するように構成される。
[0080] 基板テーブルWTから支持構造MTへの高いフィードスルー力も一因となる支持構造MTの高い加速度は、密集又は孤立した結像構造のストリーキング問題及びオーバレイにつながることがある。これらのフィードスルー力は、例えば最高15Nとなることがあり、基板テーブルWTの共振、又は例えば3kHzを超える周波数でのエンコーダヘッドとの接続によって引き起こされることがある。これらの高いフィードスルー力は、支持構造MT上のマスクMAの接続など、リソグラフィ装置の他のコンポーネントに共振を引き起こし、上述した問題につながることがある。
[0081] フィードスルー力は、支持構造MTの固有周波数を励起することができる。これは結像誤差をもたらすことがある。さらに、加速中の大きいピーク力は、パターニングデバイスMAのすべりを引き起こすことがある。
[0082] ストリーキング及びオーバレイ問題を軽減するために、フィルタを基板テーブルWTからの誤差信号及び/又は求めた誤差eWTから計算した補償制御信号に適用することができる。例えば、図6は、基板テーブルWTからフィードスルーした誤差信号に適用されるフィルタHFCを示す。図6は、また、支持構造MTのフィードバックループに加えられる補償制御信号に適用される別のフィルタHFFを示す。
[0083] 図7は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図を示す。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム500(図1に図示)が制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、リソグラフィ装置の支持構造MTと基板テーブルWTとの間の相対位置を制御するためのものである。
[0084] 位置決めシステムは、基板テーブルWTの一連の設定値位置r(k)を生成するように構成された設定値発生器を備える。位置決めシステムは、瞬間的な設定点位置r(k)に対する基板テーブルWTの瞬間的位置の誤差eWTを求めるように構成された測定デバイス61をさらに備える。位置決めシステムは、求めた誤差eWT及びその後の設定値位置r(k+1)に基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成されたコントローラ62をさらに備える。
[0085] その目的は、その設定値rに由来する基板テーブルWTの位置誤差を、コントローラ62により早期にフィードスルーできることである。これによって、基板テーブルWTの位置誤差eWTに対する支持構造MTの反応のタイムラグを補償することができる。
[0086] 使用されるその後の設定値位置は、直後の設定値位置r(k+1)であってよい。あるいは、タイムラグは、設定値サンプルの大きい数に対応することがあり、したがってr(k+2)又はr(k+3)などの設定値位置のその後のさらなる値を使用することができ、ここでkは一連の設定値のサンプル数を表す。
[0087] 基板テーブルWTの位置誤差eWTに対する支持構造MTの反応のタイムラグは、一部は、基板テーブルWTからフィードスルーされた誤差信号に基づいて支持構造MTに適用される力を計算するために必要な時間によるものである。このような理由から、図6に示す制御システムには設定値補償器64が含まれる。設定値補償器64を使用することにより、基板テーブルWTのより早期の設定値位置を提供して、支持構造MTの設定値位置を調整することができる。例えば、支持構造に加える力を調整するために補償制御信号を計算する元となるサンプルより2つ後の設定値サンプルである基板テーブルの誤差信号に基づいて、支持構造MTの設定値位置を調整することができる。設定値補償器64の入力からその出力までのタイムラグは、誤差補償器65、それに対するHMTの応答、及び場合によってはシステムの他の遅れによって導入されるタイムラグと一致することが好ましい。このタイムラグは、例えばサンプル2個でよい。
[0088] 基板テーブルWTの位置誤差は、2つの成分、すなわち設定値rによって生成される1つの成分及び設定値rによっては生成されない成分を含むと見なすことができる。設定値rによって生成される成分は、z方向の基板テーブルWTの位置誤差にとって特に重要である。露光手順中に、基板テーブルはz方向に動いて、平坦でない基板Wを投影光学系の焦点面に維持する。基板テーブルWTに供給される設定値rは基板Wのレベルによって規定され、これは一定ではない。
[0089] 基板テーブルWT上で実行されるレベリング動作による基板テーブルWTの位置誤差eWTの応答は予測することができる。何故なら、設定値位置rとその後の誤差との関係が大部分は知られているからである。したがって、基板テーブルWTに供給される設定値サンプル(通常は事前に知られている幾つかのサンプル)を知ることにより、基板テーブルWTの位置誤差を数サンプル前に予測することができる。
[0090] 図7に示すような本発明は、設定値rに由来する位置誤差eWTの成分を1つ又は複数のサンプル分だけ事前にコントローラ62に供給でき、これにより基板テーブルWTの位置誤差eWTに対する支持構造MTの反応のタイムラグを低減するという点で従来のシステムを改良している。
[0091] 位置決めシステムは、その後の設定値位置r(k+1)に対して、基板テーブルWTのその後の位置のその後の誤差を予測するように構成された誤差予測器71をさらに備えることができる。コントローラ62は、求めた誤差eWT及び予測したその後の誤差に基づいて、支持構造MTを動かすように構成される。予測したその後の誤差は、誤差予測器71によって出力される。
[0092] 位置決めシステムは、予測したその後の誤差と求めた誤差eWTを組み合わせることによって、フィードフォワード誤差eFTを計算するように構成されたフィードフォワード誤差計算器72を備えることができる。コントローラ62は、フィードフォワード誤差eFTに基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成される。これで、フィードスルー誤差eFTが、図6でフィルタHFCに供給された誤差信号に取って代わる。
[0093] 設定値rによって生成された誤差は、下式、すなわち、eWT=Herrから計算することができる。Herは大部分が知られており、設定値rの関数として基板テーブル誤差eWTを予測するためにソフトウェアで実施することができる。
[0094] 発生する実際の誤差は、基板テーブルMTに供給することができるが、設定値rによって生成され、既に予測されている誤差の成分は除く。フィードスルー誤差eFTは、以下のように計算することができる。すなわち、eFT(k)=eWT(k)+(1−z−1)Her(k+1)である。
[0095] 図7に示す実施形態によれば、支持構造MTは、基板テーブルWTの位置誤差に対してさらに迅速に応答するように、コントローラ62によって制御することができる。
[0096] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する位置決めシステムであって、コンポーネントの1つについて一連の設定値位置を生成するように構成された設定値発生器と、瞬間的な設定値位置に対して、コンポーネントの上記1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスと、求めた誤差及びその後の設定値位置に基づいて、その他の上記コンポーネントの動作を制御するように構成されたコントローラとを備える位置決めシステムが提供される。
[0097] 位置決めシステムの実施形態では、コンポーネントは実質的に平行なx−y面を画定し、測定デバイスは、z方向で上記誤差を求めるように構成される。
[0098] 実施形態では、位置決めシステムは、その後の設定値位置に対して、コンポーネントのうち上記1つのその後の位置におけるその後の誤差を予測するように構成された誤差予測器を備え、コントローラは、求めた誤差及び予測したその後の誤差に基づいて、上記コンポーネントの上記その他を動かすように構成される。
[0099] 実施形態では、位置決めシステムは、予測したその後の誤差と求めた誤差を組み合わせることによってフィードフォワード誤差を計算するように構成されたフィードフォワード誤差計算器をさらに備え、コントローラは、フィードフォワード誤差に基づいて、上記他のコンポーネントの動作を制御するように構成される。
[00100] 実施形態では、位置決めシステムの測定デバイスは、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の補償された誤差を求めるように構成された補償測定デバイスであり、補償された誤差は、実際の誤差から、下部コンポーネント及び上部コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの動作の少なくとも1つの周波数成分による誤差成分を除外し、位置システムは、上記設定値位置に対して、コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの瞬間的位置における補償されていない誤差を求めるように構成された非補償測定デバイスをさらに備え、補償されていない誤差は、下部コンポーネント及び上部コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの動作の上記少なくとも1つの周波数成分による上記誤差成分を含む。
[00101] 図8は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図である。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム(図1に図示)は制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、リソグラフィ装置の支持構造MTと基板テーブルとの間の相対位置を制御するためのものである。位置決めシステムは、設定値位置rに対して、基板テーブルの瞬間的位置の補償された誤差eWTを求めるように構成された補償測定デバイスを備える。測定デバイス81は、基板テーブルWTの補償済みの瞬間的位置を測定する。測定された補償済み瞬間的位置を設定値位置rと比較して、補償済み誤差eWTを求める。補償済み誤差eWTは、実際の誤差から、基板テーブルWTの動作の少なくとも1つの周波数成分による誤差成分を除外している。
[00102] 位置決めシステムは、設定値位置rに対して、基板テーブルWTの瞬間的位置の非補償誤差を求めるように構成された非補償測定デバイスをさらに備える。測定デバイス82は、基板テーブルWTの非補償瞬間的位置を測定するように構成される。基板テーブルWTの非補償瞬間的位置を測定デバイス81によって測定された基板テーブルWTの補償瞬間的位置と比較する。比較の結果は、基板テーブルWTの動作の少なくとも1つの周波数成分による位置成分を表す。この成分を、補償した誤差eWTに加えて、非補償誤差を求める。非補償誤差は、基板テーブルWTの動作の少なくとも1つの周波数成分による誤差成分を含む。
[00103] 少なくとも1つの周波数成分は、基板テーブルWTのねじりモードに対応することがある。補償された誤差の決定、例えばねじりモードの補償では、少なくともz方向で基板テーブルWTの測定位置からねじりモードの大部分を除去する。
[00104] 例えば、測定デバイス81は、基板テーブルWTの一部でねじりモード(又は少なくとも1つの周波数成分に対応するいずれかの動作モード)のノードである補償位置を測定することによって、基板テーブルWTの補償位置を測定するように構成することができる。あるいは、測定デバイス81は、基板テーブルWTの位置測定値をねじりモードのノードにある点に変換する。言うまでもなく、本発明はねじりモードの補償に限定されない。他のモードも補償することができる。
[00105] 測定デバイス81は、投影システムPSの最終要素の真下にある位置からではなく、基板Wの中心にてねじりモードの周波数でz方向の基板テーブルWTの位置を決定することができる。その目的は、測定からねじりモードを削除することである。これは、基板テーブルWTの中心がねじりモードのノードであるので効果的である。
[00106] ねじりモードを削除する目的は、ねじりモードを考慮に入れる場合、基板テーブルWTの位置制御にサーボ安定性の問題があり得ることである。ねじりモードによるその動作を考慮に入れるために、高い周波数で基板テーブルWTの動作を制御することは非常に困難である。基板テーブルWTは、特定の周波数での共振につながる動的性質を有する。ねじりモードの場合のように共振の周波数が高すぎる場合、この共振は基板テーブルコントローラCWTで補償することができない。
[00107] 対照的に、支持構造MTの動作は、少なくとも部分的に、コントローラ62によって提供されるフィードスルー信号によって駆動され、支持構造コントローラCMTに全面的に依拠することはない。したがって、例えば650Hzから800Hzのねじりモードのような、基板テーブルコントローラCWTで補償することができない高い周波数は、少なくとも部分的にコントローラ62で補償することができる。
[00108] この理由から、投影システムPSの最終要素の真下で、基板テーブルWTの実際の位置も計算することが望ましい。これは非補償測定デバイス82によって実行される。したがって、(基板Wが経験したとおりに)レンズの下のz位置を追加的に計算し、基板テーブルコントローラCWTが使用したままのz位置との差を支持構造MTに供給することが可能である。このように、基板テーブルコントローラCWTのサーボ安定性の問題が回避される一方、支持構造MTは、実際の誤差と補償誤差との差を追跡し、それによりねじりモードを補償することができる。これは図8に示されている。実施形態では、非補償誤差は、フィードスルー誤差eFTとして使用するために、測定デバイス82から直接送信される。何故なら、eFTが設定値位置rと測定デバイス82の出力との差を表すからである。したがって、eFTは基板テーブルWTの非補償位置誤差と等しい。
[00109] 基板テーブルWTのエンコーダヘッドは、基板テーブルWTのz位置の測定を実行することができる。非補償測定デバイス82と比較して、補償測定デバイス81は異なる変換を使用する。測定デバイス82は、ねじりモード(又は少なくとも1つの周波数成分に対応する他の動作モード)のノードではない基板テーブルの一部で基板テーブルWTの非補償位置を測定するように構成することができる。
[00110] 位置決めシステムの実施形態では、補償測定デバイスは、上記少なくとも1つの周波数成分に対応する動作モードのノードである成分のうち上記1つの成分の一部で補償誤差を測定することにより補償誤差を求めるように構成される。
[00111] 実施形態では、位置決めシステムは、上記少なくとも1つの周波数成分に対応する動作モードのノードではない成分の上記1つの成分の一部で非補償誤差を測定することにより、非補償誤差を求めるように構成された非補償測定デバイスを備える。
[00112] 実施形態では、位置決めシステムは、瞬間的設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の瞬間的誤差を求めるように構成された測定デバイスと、上記コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの瞬間的位置と上記コンポーネントのうち他の瞬間的位置との相対誤差を求めるように構成された相対誤差測定デバイスと、求めた相対誤差に基づいて瞬間的誤差を利得制御するように構成された可変利得コントローラと、利得制御された瞬間的誤差に基づいて、上記コンポーネントのうち上記他の動作を制御するように構成されたコントローラとをさらに備える。
[00113] 図9は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図である。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム500(図1に図示)は制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、基板テーブルWTの瞬間的位置と支持構造MTの瞬間的位置との相対誤差eWRを求めるように構成された相対誤差測定デバイス91を備える。コントローラ62は、求めた相対誤差eWRに基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成される。
[00114] その目的は、支持構造MTと基板テーブルWTとの位置の相対誤差が、設定値r又は4rに対するそのいずれかの位置の絶対誤差より重要なことである。
[00115] 位置決めシステムは、瞬間的設定値位置rに対して、基板テーブルWTの瞬間的位置の瞬間的誤差を求めるように構成された測定デバイス61をさらに備えることができる。この測定デバイス61は、図6、図7及び図8に関して上述した通りである。コントローラ62は、求めた相対誤差eWR及び求めた瞬間的誤差eWTに基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成される。
[00116] 位置決めシステムは、相対誤差eWRに基づいて誤差利得Xを決定し、求めた誤差利得Xに基づいて求めた瞬間誤差eWTを調整するように構成された可変利得コントローラ92を備えることが好ましい。したがって、基板テーブルWTと支持構造MTとの位置の相対誤差eWRが大きい場合、フィードスルー利得を増加することができる。これによって、相対誤差eWRがより迅速にゼロになる。相対誤差eWRと求めた瞬間誤差eWTの間に正確な相挙動を生成するために、フィルタHVGCを設けることが好ましい。
[00117] 図9に示されているように、可変利得制御は、フィルタリングした相対誤差eWRの絶対値を決定することを含むことができる。次に、相対誤差がナノメートルオーダであり、したがって利得値を適切に指示しないという事実を補うために、フィルタリングした相対誤差の絶対値に係数Kを掛けることができる。係数Kを掛けたら、可変利得コントローラ92がフィードスルー誤差を低減するのではなく増加させるべく作用するように、利得が少なくとも1であることを確実にするために、結果の値を1だけ増加させてよい。測定デバイス91は、支持構造MTと基板テーブルWTの絶対値ではなく、それの位置誤差の差を測定するように構成することができる。
[00118] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する位置決めシステムが提供され、位置決めシステムは、瞬間的設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の瞬間的誤差を求めるように構成された測定デバイスと、上記コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの瞬間的位置と上記コンポーネントのうち他の瞬間的位置との相対誤差を求めるように構成された相対誤差測定デバイスと、求めた相対誤差に基づいて瞬間的誤差を利得制御するように構成された可変利得コントローラと、利得制御した瞬間的誤差に基づいて上記コンポーネントの上記他の動作を制御するように構成されたコントローラとを備える。
[00119] 位置決めシステムの実施形態では、可変利得コントローラは、求めた相対誤差をフィルタリングし、フィルタリングした相対誤差の絶対値を計算するように構成される。
[00120] 位置決めシステムの実施形態では、可変利得コントローラは、フィルタリングした相対誤差の絶対値に1を加算して、結果の値に倍率を掛け、それにより瞬間的誤差を利得制御するための誤差利得値を計算するように構成される。
[00121] 実施形態では、位置決めシステムは、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスを備え、コントローラは、求めた誤差の3次以上の導関数に基づいて、上記コンポーネントのうち他の動作を制御するように構成される。
[00122] 図10は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図である。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム500は制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、リソグラフィ装置の支持構造MTと基板テーブルWTとの間の相対位置を制御するためのものである。位置決めシステムは、設定値位置rに対して、基板テーブルWTの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイス61を備える。位置決めシステムは、求めた誤差の3次以上の導関数に基づいて、支持構造MTの動作を制御するように構成されたコントローラ62をさらに備える。コントローラ62は、求めた誤差の4次以上の導関数に基づいて、支持構造MTの動作を制御するように構成することが好ましい。
[00123] 誤差補償器65は、求めた誤差の2次導関数を計算し、支持構造MTの質量を掛けることによって、支持構造の伝達関数HMTの逆数を近似することができる。これは例えば図6に示され、ここでは誤差補償器65は4ms2を計算するように示されている。本発明の一実施形態によれば、「スナップ」項ds4も誤差補償器65が実行する計算に含まれ、ここでsは求めた誤差の導関数次数を表す。
[00124] その結果、フィードスルー力は、支持構造MTの動的性質がさらに重要になる比較的高い周波数で、さらに効果的になり得る。求めた誤差の導関数の他の次数も使用することができる。
[00125] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する位置決めシステムであって、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスと、求めた誤差の3次以上の導関数に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御するように構成されたコントローラとを備える位置決めシステムが提供される。
[00126] 位置決めシステムの実施形態では、コントローラは、求めた誤差の4次以上の導関数に基づいて、上記コンポーネントの他の動作を制御するように構成される。
[00127] 実施形態では、位置決めシステムは、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスと、求めた誤差に基づいて、上記コンポーネントの他の動作を制御する補償制御信号を生成するように構成された誤差補償器と、補償制御信号を制限するように構成されたリミッタとを備え、コントローラは、制限された補償制御信号に基づいて、上記コンポーネントの他の動作を制御するように構成される。
[00128] 図11は、本発明の実施形態による制御方式の制御理論図である。制御方式は、本発明の実施形態による位置決めシステムによって実行される。実施形態では、制御システム500は制御方式に従って位置決めシステムを制御する。位置決めシステムは、リソグラフィ装置の支持構造MTと基板テーブルWTとの間の相対位置を制御するためのものである。位置決めシステムは、設定値位置rに対して、基板テーブルWTの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイス61と、求めた誤差eWTに基づいて支持構造MTの動作を制御する補償制御信号を生成するように構成された誤差補償器65とを備える。基板テーブルWTの瞬間的位置の誤差は、基板テーブルWTの位置を測定し、測定した位置を設定値位置rと比較することによって決定される。位置決めシステムは、補償制御信号を制限するように構成されたリミッタ111と、制限された補償制御信号に基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成されたコントローラ62とをさらに備える。
[00129] リミッタ111を使用することにより、フィードスルー誤差及び力のピーク値を制限することができる。この制限は、補償制御信号を誤差補償器65で計算し、フィルタHFFでフィルタリングした後に実行することが好ましい。この方法で、制限行為自体は、これらのフィルタに動的遷移効果を引き起こさなくなる。
[00130] フィルタ内部の状態は、図13に関して以下でさらに詳細に説明するように、「リンギング」を防止するために徐々にしか変化させることができない。
[00131] 支持構造MTへのフィードスルー路の分岐に1つずつ、2つのリミッタを設けることが好ましい。リミッタ111の一方は、設定値補償器64の出力の後に位置決めし、他方のリミッタは、誤差補償器65の出力をフィルタリングするフィルタHFFの出力の後に設けることができる。両方のリミッタは実質的に同じであることが好ましい。リミッタ111は、設定値の調整がフィードスルー力の調整と確実に一致するようにするために、相互に連通することができる。
[00132] 実施形態では、リミッタ111を1つしか設けない。この場合、リミッタ111はフィルタHFCの直前又は直後に設けることができる。しかし、これはフィードスルーフィルタの「リンギング」を引き起こすことがある。リミッタは、クリッピングによって、又は例えば飽和によって補償制御信号を制御するように構成することができる。
[00133] リミッタ111は、基板テーブル及び/又は支持構造MTの動作に基づいて補償制御信号を制限するように構成することができる。特に、リミッタは、支持構造及び/又は基板テーブルWTのスキャン状態に基づいて制限するように構成することができる。
[00134] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントの間の相対位置を制御する位置決めシステムであって、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスと、求めた誤差に基づいて、上記コンポーネントの他の動作を制御する補償制御信号を生成するように構成された誤差補償器と、補償制御信号を制限するように構成されたリミッタと、制御された補償制御信号に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御するように構成されたコントローラとを備える位置決めシステムが提供される。
[00135] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタは、下部コンポーネント及び/又は上部コンポーネントの動作に基づいて補償制御信号を制限するように構成される。
[00136] 位置決めシステムの実施形態では、誤差補償器は、求めた誤差の2次以上の導関数を計算することによって、補償制御信号を生成するように構成される。
[00137] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタはクリッピングによって補償制御信号を制限するように構成される。
[00138] 位置決めシステムの実施形態では、上部コンポーネントはパターニングデバイスを支持するように構築された支持構造であり、下部コンポーネントは基板を保持するように構築された基板テーブルであり、リミッタは、支持構造及び/又は基板テーブルのスキャン状態に基づいて補償制御信号を制限するように構成される。
[00139] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタは、スキャン動作を除いて信号をゼロに制限することにより、補償制御信号を制限するように構成される。
[00140] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタは、スキャン動作の直前に信号をゼロから徐々に増加することにより、補償制御信号を制限するように構成される。
[00141] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタは、スキャン動作の直後に信号をゼロに徐々に低減することにより、補償制御信号を制限するように構成される。
[00142] 位置決めシステムの実施形態では、リミッタは、下部コンポーネント及び/又は上部コンポーネントの加速状態に基づいて補償制御信号を制限するように構成される。
[00143] 実施形態では、位置決めシステムは、下部コンポーネントには下部コンポーネント設定値位置を生成し、上部コンポーネントには上部コンポーネント設定値位置を生成するように構成された設定値発生器をさらに備え、下部コンポーネント設定値位置は、倍率だけ上部コンポーネント設定値位置とは異なり、したがって下部コンポーネントと上部コンポーネントの動作は上記倍率だけ異なる。
[00144] 実施形態では、位置決めシステムは、求めた誤差に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御する補償制御信号を生成するように構成された誤差補償器と、求めた誤差に基づいて上部コンポーネント設定値位置を調整する補償設定値信号を生成するように構成された設定値補償器とを備える。
[00145] 位置決めシステムの実施形態では、上部コンポーネントは、パターニングデバイスを支持するように構築された支持構造であり、下部コンポーネントは、支持構造の下で基板を保持するように構築された基板テーブルである。
[00146] 図12は、本発明の実施形態によるフィードスルー力及びその結果の誤差を示す。図12に示されているように、フィードスルー力はオンに切り換えられ、したがってスキャン動作中にのみ有効である。したがって、リミッタ111は、スキャン動作を除いて信号をゼロに制限することによって補償制御信号を制限するように構成される。リミッタ111は、スキャン動作が進行中であるか否かの情報を提供するリソグラフィ装置の同期バスコントローラに接続することができる。
[00147] 図12から図14では、グラフの実線はフィードスルー力による位置誤差を表し、一定の破線はフィードスルー力の重み付けを表し(すなわち一定の破線がゼロにある場合、フィードスルー力はオフである)、一点鎖線は基板テーブルWT及び支持構造MTの加速プロファイルを表す。
[00148] 図12に示されているように、誤差フィードスルー力はスキャン期間以外、すなわち期間T1及びT3の間はゼロである。スキャン期間中、すなわちT2では、フィードスルー力による誤差は非ゼロである。
[00149] スキャン期間中にのみ作動するようにフィードスルー力システムを制御することにより、フィードスルー誤差のピークが低減する。ピークのフィードスルー力も低減する。この方法は特に、スキャン運動の加速相中に誤差によって引き起こされるフィードスルー力の成分を大幅に低減する。
[00150]しかし、図12に見られるように、T1からT2及びT2からT3の遷移期間に、フィードスルー力の誤差は急に中断している。これは、支持構造MTの位置誤差の「リンギング」を引き起こすことがある。「リンギング」は、入力信号の急変によるものであり、コンポーネントの制御に誤差を引き起こす。
[00151] 図13は、本発明の実施形態によるフィードスルー力及びその結果の誤差を示す。図13は、リミッタ111が、スキャン動作の直前に信号をゼロから徐々に増加させることによって補償制御信号を制限するように構成される図11に示す実施形態に対応する。これは図13で、T1’とT2’の間の遷移期間に低減するがゼロではない誤差が存在することによって、及び傾斜した一定の破線によって示されている。
[00152] リミッタ111は、スキャン動作の直後に信号をゼロへと徐々に低減することにより、補償制御信号を制限するように構成することが望ましい。これは、T2’とT3’の間の遷移期間で低減するがゼロではない誤差によって、及び傾斜した一定の破線によって示されている。
[00153] 図12に示す制限方法のように、図13に示す方法の結果、スキャン動作中にフィードスルーピーク誤差は大きく低減する(しかし、図12に示す方法ほど大きい低減ではない)。スキャン期間T2’以外では、位置誤差は平滑化されている。この方法では、フィードスルーピーク力が大きく低減する。スキャン期間T2’の前後で誤差を平滑化するので、望ましくない「リンギング」効果が軽減される。
[00154] 図14は、本発明の実施形態によるフィードスルー力及びその結果の誤差を示す。この実施形態では、リミッタ111は、基板テーブルWT及び/又は支持構造MTの加速状態に基づいて、補償制御信号を制限するように構成される。特に、フィードスルー力のレベルは、基板テーブルWT及び/又は支持構造MTの加速に応じて重み付けすることができる。加速度がゼロである場合、フィードスルー力は100%に設定される。加速度が最大の場合、フィードスルー力はゼロである。フィードスルー力は、これら2つの極端な状態の間の加速度レベルに応じて重み付けされる。
[00155] 図14に示す方法は、加速中にフィードスルーピーク誤差を低減する効果を有する。ピークフィードスルー力も低減するが、図12及び図13に示す方法ほどではない。
[00156] 位置決めシステムは、求めた誤差に基づいて支持構造MTの動作を制御する補償制御信号を生成するように構成された誤差補償器65と、求めた誤差に基づいて支持構造の設定値位置を調整する補償設定値信号を生成するように構成された設定値補償器64とを備えることが好ましい。
[00157] 本発明の実施形態では、リソグラフィ装置は、支持構造MTと、基板テーブルWTと、求めた誤差eWTに基づいて支持構造MTの動作を制御するように構成された上述の測定デバイス61及び上述のコントローラ62を備える位置決めシステムとを備える。支持構造MT及び基板テーブルWTは、実質的に平行なx−y面を画定する。測定デバイス61は、z方向で設定値位置rに対して、基板テーブルWTの瞬間的位置の誤差eWTを求めるように構成される。従来のシステムでは、フィードスルー力をx及びy方向に適用することができる。本発明は、z方向も使用することにより、支持構造MTと基板テーブルWTの相対位置を補正するフィードスルー力から良好な結果を提供する。
[00158] コントローラ62は、求めた誤差に基づいてz方向で支持構造の動作を制御するように構成することが好ましい。これは、支持構造MT及び基板テーブルWTの相対的なz位置を補償するためである。言うまでもなく、上述したように基板テーブルWTのz方向の誤差に応じて、支持構造MTのx及びy方向の動作を制御する交差項も使用することができる。倍率は方向によって異なってよい。特に、倍率はx及びy方向と比較して、z方向で異なってもよい。例えば、投影光学系のタイプに応じて、z方向の倍率は例えば16など、平方で大きくすることができる。
[00159] 一実施形態によれば、パターニングデバイスを支持するように構築された支持構造と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、支持構造と基板テーブルとの間の相対位置を制御する位置決めシステムとを備えるリソグラフィ装置が提供され、支持構造及び基板テーブルは実質的に平行なx−y面を画定し、位置決めシステムは、z方向で設定値位置に対して、基板テーブルの瞬間的位置の誤差を求めるように構成された測定デバイスと、求めた誤差に基づいて支持構造の動作を制御するように構成されたコントローラとを備える。
[00160] リソグラフィ装置の一実施形態では、コントローラは、求めた誤差に基づいてz方向で支持構造の動作を制御するように構成される。
[00161] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する方法が提供され、この方法は、コンポーネントのうち1つについて一連の設定値位置を生成するステップと、瞬間的設定値位置に対して、コンポーネントのうち上記1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるステップと、求めた誤差及びその後の設定値位置に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御するステップとを含む。
[00162] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する方法で、瞬間的設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の瞬間的誤差を求めるステップと、上記コンポーネントの上記1つのコンポーネントの瞬間的位置と上記コンポーネントの他の瞬間的位置との相対誤差を求めるステップと、求めた相対誤差に基づいて瞬間的誤差を利得制御するステップと、利得制御した瞬間的誤差に基づいて上記コンポーネントの上記他の動作を制御するステップとを含む方法が提供される。
[00163] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する方法で、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるステップと、求めた誤差の3次以上の導関数に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御するステップとを含む方法が提供される。
[00164] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置の上部コンポーネントと下部コンポーネントとの間の相対位置を制御する方法で、設定値位置に対して、コンポーネントのうち1つのコンポーネントの瞬間的位置の誤差を求めるステップと、求めた誤差に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御する補償制御信号を生成するステップと、補償制御信号を制限するステップと、制限された補償制御信号に基づいて上記コンポーネントの他の動作を制御するステップとを含む方法が提供される。
[00165] 一実施形態によれば、リソグラフィ装置のパターニングデバイスを支持するように構築された支持構造と基板を保持するように構築された基板テーブルとの間の相対位置を制御する方法が提供され、支持構造及び基板テーブルは実質的に平行なx−y面を画定し、z方向で設定値位置に対して、基板テーブルの瞬間的位置の誤差を求めるステップと、求めた誤差に基づいて支持構造の動作を制御するステップとを含む。
[00166] 理解されるように、上述した特徴のいずれも任意の他の特徴とともに使用することができ、本出願に含まれるのはこれらの明示された組み合わせだけではない。例えば、図11に示されるようなリミッタ111は、上述し、図6から図10に示す他の制御方式のすべてに適用することができる。別の実施形態では、下部コンポーネントは、例えばレンズシステムPSに結合され、(好ましくは)6自由度で制御されるアクティブレンズ又はミラーサブシステムに関係してもよい。このような実施形態では、上部コンポーネントの誤差を、位置設定値及び/又は加速度設定値としてレンズ又はミラーサブシステムに与えることができる。これは有利になることがある。何故なら、レンズ又はミラーサブシステムは、上部コンポーネントと比較すると相対的に軽量かつコンパクトであり、その結果、内部周波数が高くなり、したがって制御サーボ帯域が高くなるからである。
[00167] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[00168] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[00169] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
[00170] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
[00171] 上述したコントローラは、信号を受信、処理及び送信するのに適切な任意の構成を有することができる。例えば、各コントローラは、上述した方法の機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行するために、1つ又は複数のプロセッサを含んでよい。コントローラは、このようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はこのような媒体を受信するハードウェアを含んでよい。
[00172] 本発明の1つ又は複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
[00173] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ又は複数の構造、1つ又は複数の液体入口、1つ又は複数の気体入口、1つ又は複数の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ又は複数の液体出口の組み合わせを備えてよい。実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ又は複数の要素をさらに含むことができる。
[00174] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。