JP5376150B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車用の空気入りタイヤに関するものである。
一般に、この種の空気入りタイヤとしては、サイドウォールの外表面に複数本のリッジから成る装飾帯を設け、各リッジを隣接するリッジとほぼ平行に直線状に延びるように形成するとともに、タイヤ周方向に等間隔に配置し、カーカスの折返し端部等によりタイヤ成形時にサイドウォールの外表面に生ずる凹凸を目立たなくするものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、他の空気入りタイヤとしては、サイドウォールの外表面に複数本の第1リッジと第2リッジとから成る装飾帯を設け、各第1リッジを隣接する第1リッジとほぼ平行に直線状に延びるように形成し、各第2リッジを隣接する第2リッジとほぼ平行に直線状に延びるように形成するとともに、各第1リッジと70〜90°程度の角度をもって交差させ、第1リッジと第2リッジとを交差させることにより、前記凹凸を目立たなくするとともに、装飾帯に設ける標章を目立たせるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−224342号公報 特開平08−282216号公報
ところで、タイヤ成形時にサイドウォールの外表面に生ずる凹凸を目立たなくすることや、装飾帯に設ける標章を目立たせることについては、前記特許文献以外にも様々な工夫がされており、さらなる改善が求められている。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タイヤ成形時にサイドウォールの外表面に生ずる凹凸を目立たなくすることができ、しかもサイドウォールの外表面に設ける標章を目立たせることのできる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、サイドウォールの外表面にタイヤ周方向に帯状に延びる装飾部を備えた空気入りタイヤにおいて、前記装飾部に、それぞれ径方向に延びるとともに互いに0.8mm以上3mm以下の第1所定ピッチで略等間隔に並ぶように配置された複数のリッジから成る第1リッジ群と、第1リッジ群と略同一仕様のリッジから成る第2リッジ群と、互いに0.8mm以上3mm以下の第2所定ピッチで略等間隔に並ぶように配置された同心円状の複数のリッジから成る第3リッジ群と、第3リッジ群と略同一仕様のリッジから成る第4リッジ群とを互いに重ね合わせることにより形成されたリッジ群を設け、第1リッジ群と第2リッジ群とをタイヤ径方向に第1所定距離だけずらして配置し、第3リッジ群と第4リッジ群とをタイヤ径方向に第2所定距離だけずらして配置している。
これにより、それぞれ径方向に延びるとともに略等間隔に並ぶように配置された複数のリッジR1から成る第1リッジ群と、第1リッジ群と略同一仕様の第2リッジ群とが、タイヤ径方向に所定距離だけずらして配置されているので、第1リッジ群の各リッジと第2リッジ群の各リッジによってアーチ状に延びる複数の干渉縞が発生する。また、互いに略等間隔に並ぶように配置された同心円状の複数のリッジから成る第3リッジ群と、第3リッジ群と略同一仕様の第4リッジ群とが、タイヤ径方向に所定距離だけずらして配置されているので、第3リッジ群の各リッジと第4リッジ群の各リッジによって放射線状に延びる複数の干渉縞が発生する。また、第1乃至第4リッジ群を重ね合わせたので、装飾部にアーチ状に延びる各干渉縞と放射線状に延びる各干渉縞とが重ね合わせらて格子状の干渉縞が発生する。
本発明の空気入りタイヤによれば、装飾部にアーチ状に延びる各干渉縞と放射線状に延びる各干渉縞とが重ね合わせられて格子状の干渉縞が発生する。このため、タイヤ成形時にサイドウォールの外表面に生ずる凹凸を第1乃至第4リッジ群の各リッジ自体によって目立たなくすることができ、しかも、格子状の干渉縞によっても前記凹凸を目立たなくすることができるので、前記凹凸を目立たなくする上で極めて有利である。また、サイドウォールの外表面に設ける標章の表面にリッジの干渉縞が発生しないように構成されていれば、サイドウォール上で標章を目立たせることができる。
本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤの正面図 空気入りタイヤの要部正面図 第1リッジ群の仕様を示す図 第1リッジ群と第2リッジ群とを重ね合わせた状態を示す図 第3リッジ群の仕様を示す図 第3リッジ群と第4リッジ群とを重ね合わせた状態を示す図 第1乃至第4リッジ群を重ね合わせた状態を示す図 空気入りタイヤの正面図 本実施形態の第1変形例を示す空気入りタイヤの正面図 評価結果を示す表 評価結果を示す表 評価結果を示す表 評価結果を示す表 評価結果を示す表 評価結果を示す表 本実施形態の第2変形例における第1リッジ群と第2リッジ群とを重ね合わせた状態を示す図 本実施形態の第3変形例における第1リッジ群と第2リッジ群とを重ね合わせた状態を示す図 本実施形態の第4変形例における第1リッジ群の仕様を示す図 本実施形態の第4変形例における第1リッジ群と第2リッジ群とを重ね合わせた状態を示す図
本発明の一実施形態の空気入りタイヤを図1乃至図8を参照しながら説明する。また、この空気入りタイヤは4輪自動車、トラック、バス等の自動車に装着されて使用される。
この空気入りタイヤは、図1及び図2に示すように、サイドウォール1の外表面における径方向所定範囲ARに全周に亘って帯状に装飾部2が設けられるとともに、装飾部2にはリッジ群RGが設けられている。装飾部2は例えば内径500mmで外径が600mmの範囲に設けられている。リッジ群RGは、互いに第1所定ピッチP1(例えば2.5mmのピッチ)で略等間隔に並ぶように配置された複数(例えば略630本)のリッジR1から成る第1リッジ群RG1と、以下に示すように第1リッジ群RG1と同一仕様のリッジR2から成る第2リッジ群RG2と、互いに0.8mm以上3.0mm以下の第2所定ピッチP2(例えば2.5mmのピッチ)で略等間隔に並ぶように配置された同心円状の複数のリッジR3から成る第3リッジ群RG3と、第3リッジ群RG3と同一仕様のリッジR4から成る第4リッジ群RG4とを重ね合わせることにより形成されている。また、装飾部2には文字や図形によって標章をあらわす表示部10が2箇所に設けられるとともに、表示部10の文字等はサイドウォール1の表面から突出するように設けられ、文字等の表面は例えば平面状に形成されている。尚、加硫用金型にはリッジ群RG及び表示部10に応じた凹凸が設けられ、その凹凸によってサイドウォール1の外表面にリッジ群RG及び表示部10が刻設されている。
第1リッジ群RG1の各リッジR1は、図3に示すように、第1の点である第1リッジ群中心C1から放射線状に延びるように設けられている。また、本実施形態では、タイヤ軸心C0と第1リッジ群中心C1とは一致している(図3参照)。また、図3に示すように、実際にタイヤのサイドウォール1の外表面にあらわれている各リッジR1は、放射線状に延びる部分のうち径方向所定範囲AR内に入っている部分である。また、各リッジR1は第1リッジ中心C1から放射線状に延びるように設けられているので、厳密に言えば互いに角度をなしているが、リッジR1の本数が多く、各リッジR1がなす角度はわずか(1°前後)であることから、各リッジR1は互いに略平行に並ぶように配置されていると言える。また、図2に示すように、各リッジR1の第1所定ピッチP1は径方向所定範囲AR内のタイヤ内径側におけるリッジR1間の距離とする。また、各リッジR1は第1リッジ中心C1から放射線状に延びるように設けられているので、各リッジR1は第1リッジ群中心C1に対して点対称に配置されている。
第2リッジ群RG2の各リッジR2は第1リッジ群RG1と同一仕様の複数(例えば略630本)のリッジR2から成り、図3及び図4に示すように、各リッジR2が第2の点である第2リッジ群中心C2から放射線状に延びるように設けられている。また、図4に示すように、第2リッジ群中心C2は第1リッジ群中心C1から第1所定距離L1だけタイヤ径方向にずれた位置に配置されている。また、図4に示すように、実際にタイヤのサイドウォール1の外表面にあらわれている各リッジR2は、放射線状に延びる部分のうち径方向所定範囲AR内に入っている部分である。また、各リッジR2は第2リッジ中心C2から放射線状に延びるように設けられているので、厳密に言えば互いに角度をなしているが、リッジR2の本数が多く、各リッジR2がなす角度はわずか(1°前後)であることから、各リッジR2は互いに略平行に並ぶように配置されていると言える。また、各リッジR2のピッチは径方向所定範囲AR内のタイヤ径方向内側におけるリッジR2間の距離であり、各リッジR2のピッチは各リッジR1の第1所定ピッチP1と同等である。また、各リッジR2は第2リッジ中心C2から放射線状に延びるように設けられているので、各リッジR2は第2リッジ群中心C2に対して点対称に配置されている。
第3リッジ群RG3の各リッジR3は、図5に示すように、第3の点である第3リッジ群中心C3に対して同心の円形状である。また、本実施形態では、タイヤ軸心C0と第3リッジ群中心C3とは一致している(図5参照)。また、図5に示すように、実際にタイヤのサイドウォール1の外表面にあらわれている各リッジR3は径方向所定範囲AR内に入っている部分である。また、各リッジR3は第3リッジ中心C3に対して同心の円形状であることから、各リッジR3は第3リッジ群中心C3に対して点対称に配置されている。
第4リッジ群RG4は第3リッジ群RG3と同一仕様であり、互いに第2所定ピッチP2で略等間隔に並ぶように配置された複数のリッジR4から成り、図5及び図6に示すように、第4の点である第4リッジ群中心C4に対して同心の円形状である。また、図6に示すように、第4リッジ群中心C4は第3リッジ群中心C3から第2所定距離L2だけタイヤ径方向にずれた位置に配置されている。また、図6に示すように、実際にタイヤのサイドウォール1の外表面にあらわれている各リッジR4は径方向所定範囲AR内に入っている部分である。また、各リッジR4は第4リッジ中心C4に対して同心の円形状であることから、各リッジR4は第1リッジ群中心C4に対して点対称に配置されている。
図7は前述の第1リッジ群RG1、第2リッジ群RG2、第3リッジ群RG3及び第4リッジ群G4を重ね合わせた状態を示す。即ち、図7は、図4及び図6を重ね合わせた状態を示す。
ここで、それぞれ径方向に延びるとともに互いに第1所定ピッチP1で略等間隔に並ぶように配置された複数のリッジR1から成る第1リッジ群RG1と、第1リッジ群RG1と同一仕様のリッジR2から成る第2リッジ群RG2とが、タイヤ径方向に第1所定距離L1だけずらして配置されているので、図4に示すように、第1リッジ群RG1の各リッジR1と第2リッジ群RG2の各リッジR2によってアーチ状に延びる複数の干渉縞IF(モアレ模様)が発生する。
また、互いに第2所定ピッチP2で略等間隔に並ぶように配置された同心円状の複数のリッジR3から成る第3リッジ群RG3と、第3リッジ群RG3と同一仕様のリッジR3から成る第4リッジ群R4とが、タイヤ径方向に第2所定距離L2だけずらして配置されているので、図6に示すように、第3リッジ群RG3の各リッジR3と第4リッジ群RG4の各リッジR4によって放射線状に延びる複数の干渉縞IF(モアレ模様)が発生する。
また、図7に示すように、図4と図6を重ね合わせた状態では、図4のアーチ状の各干渉縞IFと図6の放射線状の各干渉縞IFとが重ね合わせられたような格子状の干渉縞(モアレ模様)が発生する。
このように、本実施形態によれば、装飾部2に第1乃至第4リッジ群RG1,RG2,RG3,RG4の各リッジR1,R2,R3,R4から成るリッジ群RGが設けられているので、タイヤ成形時にサイドウォールの外表面に生ずる凹凸を各リッジR1,R2,R3,R4自体によって目立たなくすることができ、しかも、各干渉縞IFによっても前記凹凸を目立たなくすることができるので、前記凹凸を目立たなくする上で極めて有利である。また、サイドウォール1の外表面に設ける表示部10の文字等の表面は平面状に形成され、表示部10の文字等には干渉縞ISが発生しないので、サイドウォール1上で標章を目立たせることができる。
ここで、装飾部2にアーチ状の干渉縞IFと放射線状の干渉縞IFとが重ね合わせられたような格子状の干渉縞が発生するので、タイヤを観察する者にダイナミックな印象、立体的な印象、力強い印象、従来のタイヤと異なる外観印象等を与えることが可能となり、タイヤ外観を特徴的にする上で極めて有利である。
また、本実施形態では、同一仕様の第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とをタイヤ径方向にずらして重ね合わせるようにし、同一仕様の第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4とをタイヤ径方向にずらして重ね合わせるようにしているので、全てのリッジ群RG1,RG2,RG3,RG4が異なる場合と比較して設計時間の短縮を図ることが可能である。さらに、タイヤのサイズ変更や装飾部2の範囲を変更する場合でも、装飾部2の設計を容易に行うことができるので、設計時間の短縮を図る上で極めて有利である。
また、本実施形態では、同一仕様の第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とをタイヤ径方向にずらして重ね合わせているので、図8に示すように、装飾部2に生ずるアーチ状の干渉縞IFが第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とのずらし方向に延びるとともにタイヤ軸心C0を通過する線SL1に対して略線対称となる。また、同一仕様の第3リッジ群RG1と第4リッジ群RG4とを第2リッジ群RG2のずらし方向にずらすことにより放射線状の干渉縞IFが発生するので、図8に示すように、放射線状の干渉縞IFが線SL1に対して略線対称となる。即ち、格子状の干渉縞も線SL1に対して略線対称となる。
尚、本実施形態では第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とのずらし方向と第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4とのずらし方向が一致しているものを示した。これに対し、第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とのずらし方向と第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4とのずらし方向とが任意の角度(例えば60°)をなす場合でも、第3リッジ群RG3及び第4リッジ群RG4によって生ずる干渉縞IFは放射線状であることから、前述と同様に格子状の干渉縞が発生する。
また、本実施形態では、図8に示すように、各表示部10が線SL1に対して略線対称となる位置に配置されている。具体的には、各表示部10の設けられている範囲の中心位置と、第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とのずらし方向と直交する方向に延びるとともにタイヤ軸心C0を通過する線SL2とのなす角度αが、20°以下となるように各表示部10が設けられている。このため、サイドウォール1の外表面において表示部10と装飾部2とが調和して見え、タイヤの外観を向上する上で極めて有利である。
尚、本実施形態では、図8に示すように各表示部10を配置したものを示したが、図9に示すように各表示部10を設けることも可能である。この場合、各表示部10の設けられている範囲の中心位置と線SL1とのなす角度βが20°以下となるように各表示部10が設けられている。また、この場合、一方の表示部10と他方の表示部10の文字の大きさ等が異なっている場合でも、各表示部10の設けられている範囲の中心位置と線SL1とのなす角度βが20°以下となるように各表示部10が設けられているなら、各表示部10が線SL2に対して互いに略線対称となる位置に配置されていると言える。このため、装飾部2に生ずる格子状の干渉縞が線SL1に対して略線対称となることから、サイドウォール1の外表面において表示部10と装飾部2とが調和して見え、タイヤの外観を向上する上で極めて有利である。
ここで、出願人は、第1所定ピッチP1、第2所定ピッチP2、第1所定距離L1及び第2所定距離L2の量と干渉縞ISの発生状況との関係について評価を行った(図10乃至図14参照)。図10乃至図12の評価は、内径が500mmで外径が600mmである装飾部2にリッジ群RGを設けた図を作成し、その図を20人の観察者によって干渉縞の視認性を評価するとともに、干渉縞の太さや間隔の各リッジR1,R2、R3,R4の太さや間隔に対する見え方の差の有無を評価した。
モアレ模様の視認性については、95%以上の観察者によって干渉縞が明確に見えると判断された場合は評価を104とし、80%以上の観察者によって干渉縞が明確に見えると判断された場合は評価を102とし、60%以上の観察者によって干渉縞が明確に見えると判断された場合は評価を100とし、60%未満の観察者によって干渉縞が明確に見えると判断された場合は評価を98としている。また、干渉縞の太さや間隔の各リッジR1,R2,R3,R4の太さや間隔に対する見え方の差の有無については、95%以上の観察者によって差が明確であると判断された場合は評価を104とし、80%以上の観察者によって差が明確であると判断された場合は評価を102とし、60%以上の観察者によって差が明確であると判断された場合は評価を100とし、60%未満の観察者によって差が明確であると判断された場合は評価を98とている。また、ピッチは実際のタイヤでは0.8mm〜3.0mmの範囲で設定されるので、図10乃至図14に示すように、ピッチP1,P2を0.8mm〜3.0mmの範囲で変化させて評価を行った。
また、図13は、内径が300mmで外径が400mmである装飾部2にリッジ群RGを設けた図を作成して同様の評価を行った結果である。さらに、図14は、内径が600mmで外径が700mmである装飾部2にリッジ群RGを設けた図を作成して同様の評価を行った結果である。
また、図10乃至図14には、第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2との重ね合わせについての(L1/P1)と干渉縞の視認性及び干渉縞の太さや間隔の各リッジR1,R2に対する見え方の差(干渉縞とリッジの見え方の差)の評価結果が記載されている。これは、装飾部2に第1リッジ群RG1及び第2リッジ群RG2のみを設けた図を作成し、その図にあらわれるアーチ状の干渉縞ISについて前記20人の観察者によって評価した結果である。また、図10乃至図14では、第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4との重ね合わせについての(L2/P2)と干渉縞の視認性及び干渉縞の大きさや間隔の各リッジR3,R4に対する見え方の差の評価結果が記載されている。これは、装飾部2に第3リッジ群RG3及び第4リッジ群RG4のみを設けた図を作成し、その図にあらわれる放射線状の干渉縞について前記20人の観察者によって評価した結果である。さらに、図10乃至図14では、全てのリッジ群RG1,RG2,RG3,RG4を重ね合わせることにより、アーチ状の干渉縞IFと放射線状の干渉縞IFとを重ね合わせた図を作成し、その図にあらわれる干渉縞について前記20人の観察者によって評価した結果が記載されている。また、図10乃至図14では、L1/P1の値とL2/P2の値を一致させて評価を行った。
図10乃至図12より、0.8mm以上3.0mm以下の何れのピッチであっても、L1/P1及びL2/P2と干渉縞の視認性との間に相関があることが見出され、L1/P1及びL2/P2と干渉縞の太さや間隔の各リッジR1,R2の太さや間隔に対する見え方の差との間にも相関があることが見出された。また、図13及び図14より、装飾部2の内径及び外径を変化させた場合でもその評価結果は変わらず、干渉縞の視認性や干渉縞の太さや間隔の各リッジR1,R2の太さや間隔に対する見え方の差はL1/P1及びL2/P2に依存することが見出された。
図10乃至図14より、L1/P1が10倍以上30倍以下且つL2/P2が10倍以上30倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果が102以上となり、前記差の有無の評価結果が100以上となった。また、L1/P1が10倍以上25倍以下且つL2/P2が10倍以上25倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果が104となり、前記差の有無の評価結果が102以上となった。さらに、L1/P1が10倍以上20倍以下且つL2/P2が10倍以上20倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果が104となり、前記差の有無の評価結果が104となった。
即ち、L1/P1が10倍以上30倍以下且つL2/P2が10倍以上30倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果及び前記差の評価結果が良好であり、L1/P1が10倍以上25倍以下且つL2/P2が10倍以上25倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果及び前記差の評価結果がより良好であり、L1/P1が10倍以上20倍以下且つL2/P2が10倍以上20倍以下の範囲においては、格子状の干渉縞の視認性の評価結果及び前記差の評価結果がさらに良好であった。
一方、図15は、L1/P1を一定の比率(例えば20倍)に設定するとともにL2/P2の値を変化させ、前述と同様の評価を行った結果である。これにより、格子状の干渉縞の視認性及び前記差は、アーチ状の干渉縞及び放射線状の干渉縞のうち何れか悪い方の評価結果と同じとなることが見出された。尚、L2/P2を一定の比率に設定するとともにL1/P1の値を変化させた場合も同様の結果となる。即ち、L1/P1やL2/P2が10倍以上30倍以下であれば、L1/P1とL2/P2とが異なる場合でも、格子状の干渉縞の視認性の評価結果及び前記差の評価結果が良好となる。
また、図10乃至図15では、第1所定ピッチP1と第2所定ピッチP2とが互いに等しい場合の評価結果を示したが、第1所定ピッチP1と第2所定ピッチP2とが互いに異なる場合でも、L1/P1やL2/P2が10倍以上30倍以下であれば、格子状の干渉縞の視認性の評価結果及び前記差の評価結果が良好となる。
尚、本実施形態では、第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とが同一仕様であるものを示したが、第1リッジ群RG1と第2リッジ群RG2とが略同一仕様であれば、前述と同様の作用効果を達成することが可能である。例えば、第1リッジ群RG1のリッジR1の本数が500本であり、第2リッジ群RG2のリッジR2の本数が400本(リッジR1の本数の80%の本数)であっても、前述と同様の作用効果を達成することが可能である。
尚、本実施形態では、第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4とが同一仕様であるものを示したが、第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4とが略同一仕様であれば、前述と同様の作用効果を達成することが可能である。例えば、第3リッジ群RG3のリッジR3のピッチが2.5mmであり、第4リッジ群RG4のリッジR4のピッチが2.0mm(リッジR3のピッチの80%)であっても、前述と同様の作用効果を達成することが可能である。
また、本実施形態では、第1リッジ群中心C1とタイヤ軸心C0とが一致しているものを示した。これに対し、図16に示すように、タイヤ軸心C0が第1リッジ群中心C1と第2リッジ群中心C2との略中央に配置される場合でも、前述と同様の作用効果を達成可能である。尚、この場合、タイヤ軸心C0が第1リッジ群中心C1と第2リッジ群中心C2との略中央に配置されると、アーチ状の干渉縞が線SL1に対して線対称にあらわれるとともに線SL2に対しても線対称にあらわれるので、タイヤ外観を向上する上で極めて有利である。一方、図17に示すように、タイヤ軸心C0が第1リッジ群中心C1と第2リッジ群中心C2との間に配置されていない場合でも、何れか一方のリッジ群中心との距離Dが装飾部2の内径の1/5以下である場合には、前述と同様の作用効果を達成可能である。これらは第3リッジ群RG3と第4リッジ群RG4についても同様である。
尚、本実施形態では、各リッジ群RG1,RG2の各リッジR1,R2が直線状であるものを示した。これに対し、各リッジR1,R2が曲線状である場合でも、各リッジR1がそれぞれ径方向に延びるとともに、互いに0.8mm以上3.0mm以下の所定のピッチPで略等間隔に並ぶように配置され、第2リッジ群RG2の各リッジR2が第1リッジ群RG1のリッジR1と略同一仕様であるならば、前述と同様の作用効果を達成可能である。
尚、本実施形態では、装飾部2に表示部10が2箇所設けられたものを示したが、装飾部2のその他の位置に小さめの表示部が他に設けられている場合でも、メインとなる2つの表示部10が互いに略対称となる位置に配置されている場合には前述と同様の作用効果を達成することができる。
尚、本実施形態では、第1リッジ群RG1の各リッジR1が第1リッジ群中心C1から放射線状に延びるように設けられたものを示した。これに対し、図18に示すように、第1リッジ群RG1の各リッジRG1が第1リッジ群中心C1を中心とする仮想円CIRに接するとともに互いに所定ピッチP1で略等間隔に並ぶように配置されている場合でも、第2リッジ群RG2の各リッジR2が第1リッジ群RG1と略同一仕様であるとともに、第2リッジ群中心C2が第1リッジ群中心C1に対して所定距離Lだけタイヤ径方向にずれた位置に配置され、第1実施形態と同様にピッチP1、所定距離L1及びL1/P1の値が設定されていれば、装飾部2にモアレ模様が明確にあらわれ、モアレ模様の干渉縞ISの太さや間隔と第1リッジ群RG1や第2リッジ群RG2の各リッジの太さや間隔とが明確に異なるように見える(図19参照)。尚、仮想円CIRの直径が装飾部2の内径に対して2/3以下であれば、図18のように各リッジR1が仮想円CIRに接するとともに互いに所定ピッチで等間隔に並ぶように配置されている場合でも、各リッジR1はそれぞれタイヤ径方向に延びるように形成されていると言える。また、各リッジR1のピッチは、図2と同様に、径方向所定範囲AR内のタイヤ内径側におけるリッジR1間の距離とする。また、各リッジR1は第1リッジ中心C1を中心とする仮想円に接する接線であることから、各リッジR1は第1リッジ群中心C1に対して点対称に配置されている。
尚、本実施形態では、装飾部2の全周に亘ってリッジ群RGを設けるものを示した。これに対し、装飾部2の周方向の一部(例えば周方向の2箇所)に装飾部2を設けるとともに、他の部分に第1リッジ群RG1のみ設けたり、他の模様を設けたり、平面状に形成することも可能である。この場合でも、前述と同様にピッチP1,P2、所定距離L1,L2、L1/P1及びL2/P2の値が設定されていれば、装飾部2に格子状の干渉縞が明確にあらわれ、干渉縞の太さや間隔の各リッジの太さや間隔に対する見え方の差が明確になる。また、前述と同様に、各表示部10を線SL1に対して互いに略線対称となる位置に配置するか、各表示部10を線SL2に対して互いに略線対称となる位置に配置することにより、装飾部2のモアレ模様と各表示部10とが調和して見え、タイヤの外観を向上する上で極めて有利である。
1…サイドウォール、2…装飾部、RG…リッジ群、RG1…第1リッジ群、R1…リッジ、RG2…第2リッジ群、R2…リッジ、RG3…第3リッジ群、R3…リッジ、RG4…第4リッジ群、R4…リッジ、C0…タイヤ軸心、C1…第1リッジ中心、C2…第2リッジ中心、C3…第3リッジ中心、C4…第4リッジ中心、P1…第1所定ピッチ、P2…第2所定ピッチ、L1…第1所定距離、L2…第2所定距離、AR…所定範囲。

Claims (5)

  1. サイドウォールの外表面にタイヤ周方向に帯状に延びる装飾部を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記装飾部に、それぞれ径方向に延びるとともに互いに0.8mm以上3mm以下の第1所定ピッチで略等間隔に並ぶように配置された複数のリッジから成る第1リッジ群と、第1リッジ群と略同一仕様のリッジから成る第2リッジ群と、互いに0.8mm以上3mm以下の第2所定ピッチで略等間隔に並ぶように配置された同心円状の複数のリッジから成る第3リッジ群と、第3リッジ群と略同一仕様のリッジから成る第4リッジ群とを互いに重ね合わせることにより形成されたリッジ群を設け、
    第1リッジ群と第2リッジ群とをタイヤ径方向に第1所定距離だけずらして配置し、
    第3リッジ群と第4リッジ群とをタイヤ径方向に第2所定距離だけずらして配置した
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第1所定ピッチに対して前記第1所定距離が10倍以上30倍以下となるように構成し、
    前記第2所定ピッチに対して前記第2所定距離が10倍以上30倍以下となるように構成した
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1リッジ群、第2リッジ群、第3リッジ群及び第4リッジ群によって装飾部に生ずる干渉縞が、第1リッジ群と第2リッジ群とのずらし方向に延びるとともにタイヤ軸心を通過する線に対して略線対称となるように構成した
    ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記装飾部に、タイヤ周方向に並ぶ複数の文字や図形から成る2つの表示部を設け、
    前記各表示部が、第1リッジ群と第2リッジ群とのずらし方向に延びるとともにタイヤ軸心を通過する線に対して互いに略線対称となる位置に配置されるように構成した
    ことを特徴とする請求項1、2または3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記装飾部に、タイヤ周方向に並ぶ複数の文字や図形から成る2つの表示部を設け、
    前記各表示部が、第1リッジ群と第2リッジ群とのずらし方向と直交するとともにタイヤ軸心を通過する線に対して互いに略線対称となる位置に配置されるように構成した
    ことを特徴とする請求項1、2または3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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