JP5373511B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスク Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスクドライブ装置に搭載される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクに関する。
ハードディスクドライブ装置(HDD装置)に搭載される磁気記録媒体として磁気ディスクがある。磁気ディスクは、アルミニウム−マグネシウム合金などで構成された金属板上にNiP膜を被着した基板、ガラス基板、セラミックス基板上に磁性層や保護層を積層したりして作製される。従来では、磁気ディスク用の基板としてアルミニウム合金基板が広く用いられていたが、近年の磁気ディスクの小型化、薄板化、高密度記録化に伴って、アルミニウム合金基板に比べて表面の平坦度や薄板での強度に優れたガラス基板が用いられるようになってきている。
このような磁気ディスク用ガラス基板は、素材加工工程及び第1ラッピング工程(第1研削工程);端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程));端面研磨工程(外周端部及び内周端部);第2ラッピング工程(第2研削工程);主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程);化学強化工程などの工程を経て製造される。
磁気ディスクの記録密度は年々増加しており、片面で100GB以上の磁気ディスクも開発されている。現在、磁気ディスクは、両面合わせて必要とする記録密度を満足しているが、このように記録密度が増加していくと、記録密度をあまり必要としない電子機器では、片面だけで必要とする記録密度を満足することになる。このように片面で必要とする記録密度を満足すると、HDD装置側でも1枚の磁気ディスクに対して磁気ヘッドを1本とするなど部品点数を減らすことが出来るためコスト的にも有利となり、かつ薄型化を実現することができる。したがって、片面のみに磁性層を設けた磁気ディスクはこれからニーズが高まることが予想される(例えば、特許文献1)。
特開2001−351229号公報
このように、片面のみに磁性層を設けた磁気ディスク用のガラス基板については、磁性層を設けない主表面に対する主表面研磨工程を省略して、コスト(研磨布、研磨剤(スラリー)、加工費用、人件費など)を削減することが行われる。特に、算術表面粗さを非常に低いレベルにする第2研磨工程を省略することで、コスト削減を図ることが効率的である。
ところで、磁気ディスク用ガラス基板のガラスとしては、ナトリウムやリチウムなどのアルカリ金属が含まれるアルミノシリケートガラスが用いられることがある。これらのアルカリ金属は、環境によっては基板表面に溶出することがある。このように基板表面にアルカリ金属が溶出すると、目視観察で白色状の汚れとして認識される(いわゆるコロージョン)。このような汚れは、洗浄工程で除去することは可能であるが、洗浄装置を汚してしまう原因となるので、出来る限り抑える必要がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、コロージョンの発生を防止して、片面のみを記録面として使用する、高記録密度の磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、基板構成成分の溶出を防止した状態で、片面のみを記録面として使用することができる高記録密度の磁気ディスクを提供することを目的の一つとする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、一対の主表面を有するガラス基板を研磨する主表面研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して所定の算術平均粗さ(Ra)になるように主表面研磨処理を行い、前記ガラス基板の他方の主表面に対して前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように前記他方の主表面に対して主表面研磨処理を行い、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数よりも前記ガラス基板の他方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数が少ないことを特徴とする。
この方法によれば、主表面研磨工程において、磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように主表面研磨処理を行うので、磁気記録面として使用しない主表面からの基板構成成分の溶出を防止することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、一対の主表面を有するガラス基板を研磨する主表面研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して、磁気記録を行うために求められる算術平均粗さ(Ra)になるように主表面研磨処理を行い、前記ガラス基板の他方の主表面に対して前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように前記他方の主表面に対して主表面研磨処理を行い、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数よりも前記ガラス基板の他方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数が少ないことを特徴とする。
この方法によれば、磁気記録面として使用する主表面で磁気記録を行うために求められる算術平均粗さを有するとともに、磁気記録面として使用しない主表面からの基板構成成分の溶出を防止することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さが5.0nm以下であることが好ましい。なお、前記他方の主表面の粗さが5.0nm以下である状態であれば、前記主表面研磨工程で、前記ガラス基板の他方の主表面に対して少なくとも最終の主表面研磨処理を行わなくてもよい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記ガラス基板の一方の主表面に対して算術平均粗さ(Ra)が0.30nm以下になるように主表面研磨処理を行うことが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、光学式自動外観検査により、前記ガラス基板の一方及び他方の主表面についての算術平均粗さの大小を判定して、最終研磨工程後のガラス基板の一方の主表面を識別する工程をさらに具備することが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造され、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、一方の主表面が所定の算術平均粗さ(Ra)を有し、他方の主表面が前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有することを特徴とする。この構成によれば、磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えた状態で、片面のみを磁気記録層として用いることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造され、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、一方の主表面が磁気記録を行うために求められる算術平均粗さ(Ra)を有し、他方の主表面が前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有することを特徴とする。この構成によれば、磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えた状態で、所要の特性を発揮できる片面磁気記録層を実現することができる。
本発明の磁気ディスクは、上記磁気ディスク用ガラス基板の前記一方の主表面上に少なくとも磁気記録層が形成されてなることを特徴とする。
本発明の磁気ディスクは、上記磁気ディスク用ガラス基板の前記一方の主表面上のみに少なくとも磁気記録層が形成されており、前記他方の主表面上に、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層を形成するので、上記磁気ディスク用ガラス基板の他方の主表面が磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有する場合には、主表面の基板構成成分の溶出を更にブロックすることができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を更に抑えることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、主表面研磨工程において、ガラス基板の一方の主表面に対して所定の算術平均粗さになるように主表面研磨処理を行い、ガラス基板の他方の主表面に対して一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、他方の主表面から磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように他方の主表面に対して主表面研磨処理を行うので、磁気記録面として使用しない主表面からの基板構成成分の溶出を防止することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、一方の主表面が所定の算術平均粗さ(Ra)を有し、他方の主表面が前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有するため、磁気記録面として使用しない主表面からの基板構成成分の溶出を防止することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
本発明の磁気ディスクは、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録を行うために求められる算術平均粗さ(Ra)を有する一方の主表面上のみに、少なくとも磁気記録層が形成され、他方の主表面上に前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層が形成されているので、磁気記録面として使用しない主表面の基板構成成分の溶出をブロックすることができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
アルミノシリケートガラスで構成されたガラス基板の算術平均粗さ(Ra)と、ガラス基板を構成する成分であるアルカリ金属の溶出量との間の関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の具体的手順を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気ディスクの構成を示す図である。 アルミノシリケートガラスで構成されたガラス基板の基板構成成分溶出防止層の厚さと、ガラス基板を構成する成分であるアルカリ金属の溶出量との間の関係を示す特性図である。 光学式自動外観検査による外観検査装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態において、磁気ディスク用ガラス基板の材料としては、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を提供することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。
磁気ディスク用ガラス基板の製造工程は、素材加工工程及び第1ラッピング工程;端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び/又は内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程));第2ラッピング工程;端面研磨工程(外周端部及び内周端部);主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程);化学強化工程などの工程を含む。
以下に、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の各工程について説明する。また、作製された磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造工程について説明する。なお、各工程の順序は適宜入れ替えてもよい。
(1)素材加工工程及び第1ラッピング工程
まず、素材加工工程においては、例えば溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの方法うち、プレス法を用いれば、板状ガラスを廉価に製造することができる。
第1ラッピング工程においては、板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス基材とする。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行う。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス基板を得ることができる。
(2)端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))
コアリング工程においては、例えば、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板とする。チャンファリング工程においては、内周端面及び外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す。
(3)第2ラッピング工程
第2ラッピング工程においては、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程において主表面に形成された微細な凹凸形状/表面ダメージ・傷などを除去し、かつ第1ラッピングよりもさらに表面粗さを低減することで、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
(4)端面研磨工程
端面研磨工程においては、ガラス基板の外周端面及び内周端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、例えば、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面での汚染・ダメージ・傷の除去を行うことで、ナトリウムやカリウムのようなコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止できる状態になる。
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施す。第1研磨工程は、前述の2段のラッピング工程で主表面に残留したキズや歪みの除去及び最終研磨工程における表面粗さ創生のための前段階の粗さ調整を主たる目的とする工程である。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行う。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いることができる。
この第1研磨工程においては、ガラス基板の磁気記録面と反対側の面(磁気記録層を設けない面)からガラス基板を構成する成分(例えば、アルカリ金属)の溶出を防止するために十分な粗さになるように研磨処理を行う。
本発明者らは、ガラス基板の主表面の算術平均粗さ(Ra)とガラス基板を構成する成分の溶出との間の関係に着目した。図1は、アルミノシリケートガラスで構成されたガラス基板の算術平均粗さ(Ra)と、ガラス基板を構成する成分であるアルカリ金属の溶出量との間の関係を示す特性図である。ここで、算術平均粗さは、例えば、原子間力顕微鏡を用いて、2μm×2μm角の測定領域を256×256ピクセルの解像度で測定して求めることができる。なお、このアルカリ金属の溶出量は、ガラス基板を80℃、80%RH環境下に7日間暴露するコロージョンテストを行った際の溶出量を示している。また、カウントは、コロージョンテスト後のガラス基板を光学顕微鏡(×200の倍率)で単位面積あたり(約200μm×300μmの領域)における輝点数である。この「輝点」は、高温高湿環境下でアルカリ拡散が加速され、ガラス基板表面に拡散してきたアルカリ成分が引き起こすものである。したがって、この輝点数が多いほどコロージョン耐性が悪いこととなる。
図1から分かるように、算術平均粗さ(Ra)がある程度高くなると、コロージョン耐性が低下する。したがって、ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さが存在する。本発明者らは、この知見に基づいて、片面のみ記録面として使用する磁気ディスク用ガラス基板において、記録面として使用しない面についてもある程度の算術平均粗さになるように研磨処理を施す必要があることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、主表面研磨工程において、ガラス基板の一方の主表面に対して所定の算術平均粗さになるように主表面研磨処理を行い、ガラス基板の他方の主表面に対して一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、他方の主表面から磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように他方の主表面に対して主表面研磨処理を行うことにより、片面のみ磁気記録面として使用する磁気ディスク用ガラス基板の記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることである。
したがって、第1研磨工程においては、少なくとも磁気記録面と反対側の面の算術平均粗さが磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さとなるように主表面に対して研磨処理を行う。なお、磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さとしては、例えば5.0nm以下である。このように、磁気記録面と反対側の面に対して、その算術平均粗さが磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように研磨処理を施すことにより、片面のみ磁気記録面として使用する、高記録密度の磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
(6)主表面研磨工程(最終研磨工程)
次に、最終研磨工程として、第2研磨工程を施す。第2研磨工程は、両主表面のうち記録面となる面のみを鏡面状に仕上げることを目的とする工程である。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行う。スラリーとしては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカなどを用いることがきる。
本発明の方法においては、磁気記録面として使用する主表面に対してのみ最終研磨処理を行うことが好ましい。すなわち、図2に示すように、磁気記録面として使用する主表面(A面)については、最終研磨処理を行い、磁気記録面として使用しない主表面(B面)については、最終研磨処理を行わない。このため、このようにして得られた磁気ディスク用ガラス基板は、A面が所定の算術平均粗さ(Ra)を有し、B面がA面の算術平均粗さよりも粗く、B面からガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有する。この所定の粗さとは、例えば、磁気記録を行うために求められる算術平均粗さである。なお、磁気記録を行うために求められる算術平均粗さは、磁気記録層の記録密度に応じて決定することができる。
A面について最終研磨処理を行い、B面について最終研磨処理を行わないようにするためには、例えば、磁気記録面として使用しない主表面をマスクした状態で最終研磨処理を行う。このようにすることにより、コストがかかる最終研磨処理を一方の主表面のみに行うことができ、磁気記録面として使用しない面で基板を成分の溶出を防止して、コロージョンの発生を抑えつつ、コスト削減を図ることができる。
これにより、磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録層として使用する主表面に対して行う主表面研磨処理の回数よりも磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録層として使用しない主表面に対して行う主表面研磨処理の回数が少ないこととなる。このため、磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録層として使用しない主表面の算術平均粗さが磁気記録層として使用する主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗くなる。なお、この最終研磨工程においては、磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録層として使用する主表面の算術平均粗さ(Ra)が0.30nm以下になるように主表面研磨処理を行うことが好ましい。
なお、図2においては、B面に対して最終研磨処理を行わない場合について説明しているが、本発明においては、例えばB面がガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さでない場合には、B面に対して最終研磨処理を行ってもよい。また、上記説明においては、B面に対して最終研磨処理のみを行わない場合について説明しているが、本発明は、これに限定されず、B面がガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さである場合には、B面に対して第1研磨処理及び最終研磨処理のいずれも行わなくてもよい。
(7)化学強化工程
化学強化工程においては、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施す。化学強化に用いる化学強化液としては、例えば、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)の混合溶液などを用いることができる。化学強化においては、化学強化液を300℃〜400℃に加熱し、洗浄済みのガラス基板を200℃〜300℃に予熱し、化学強化溶液中に3時間〜4時間浸漬することによって行う。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中の相対的にイオン半径の大きなナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。
このように、本発明によれば、主表面研磨工程において、磁気ディスク用ガラス基板の一方の主表面に対して所定の算術平均粗さになるように主表面研磨処理を行い、磁気ディスク用ガラス基板の他方の主表面に対して一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、他方の主表面から磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように他方の主表面に対して主表面研磨処理を行うので、磁気記録面として使用しない主表面からの基板構成成分の溶出を防止することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることができる。
(8)磁気ディスク製造工程(記録層等形成工程)
上述した工程を経て得られたガラス基板のA面に、図3に示すように、ガラス基板11の表面に付着層12、軟磁性層13、非磁性下地層14、垂直磁気記録層15、保護層16、及び潤滑層17を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造する。付着層12を構成する材料としては、Cr合金などを挙げることができる。軟磁性層13を構成する材料としては、CoTaZr基合金などを挙げることができる。非磁性下地層14としては、グラニュラー非磁性層などを挙げることができる。垂直磁気記録層15としては、グラニュラー非磁性層などを挙げることができる。保護層16を構成する材料としては、水素化カーボンなどを挙げることができる。潤滑層17を構成する材料としては、フッ素樹脂などを挙げることができる。例えば、これらの記録層等は、より具体的には、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板の上に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiOの非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO・TiOのグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜し、さらに、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を成膜する。
この記録層等形成工程においては、磁気記録層として使用する主表面上に少なくとも磁気記録層を形成し、磁気記録層として使用しない主表面上に、この主表面からの磁気ディスク用基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層(バッファ層)を形成することが好ましい。B面にバッファ層を形成することにより、磁気記録面として使用しない主表面の基板構成成分の溶出を更に抑制することができ、これにより磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を更に抑制することができる。このバッファ層の材料としては、磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、層厚を薄くできる点、ガラス基板との密着性がよい点、コストが安い点等から、チタン単体を含むチタン合金膜、クロム単体を含むクロム合金膜が好ましく、CrTi膜が特に好ましい。
なお、上記説明においては、磁気ディスク用ガラス基板のB面について、磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さ、具体的には5nm以下とする構成を示したが、B面にバッファ層を設ける場合には、これに限られない。B面にバッファ層を形成することにより、該成分の溶出を抑制できるためである。例えば、磁気ディスク用ガラス基板のB面の粗さが具体的には5nmを超え6nm以下の範囲であっても、B面にバッファ層を形成することにより、磁気ディスク用ガラス基板が組み込まれたHDD装置の使用において問題がない程度まで該成分の溶出を抑制することができる。
本発明者らは、バッファ層の厚さとガラス基板を構成する成分の溶出との間の関係に着目した。図4は、アルミノシリケートガラスを含む多成分系ガラスで構成されたガラス基板上に形成したバッファ層の厚さと、ガラス基板を構成する成分であるアルカリ金属の溶出量との間の関係を示す特性図である。なお、このアルカリ金属の溶出量については、磁気ディスクを65℃、90%RH環境下に5日間暴露し、この磁気ディスクをHDD装置に組み込み、シークテストを実施し(4000万回シーク、その間の読み出し/書き込みエラー(R/Wエラー)数をカウント)、そのカウント数をアルカリ金属溶出量とした。また、B面の粗さは6nmである。すなわち、高温高湿環境下では、コロージョンが促進され、磁気記録層として使用しない面(B面)から出てきたコロージョン生成物がディスク回転により飛散し、磁気記録層として使用する面(A面)でのシークテストでその飛散物が磁気ヘッド上に付着し、R/Wエラーを誘発する。したがって、このカウント数が多いほどアルカリ金属溶出量が多い(コロージョン耐性が悪い)。なお、多成分系ガラスとは、ガラスの主骨格を形成するSi以外にガラスの溶解特性や他の特性を改善するために他の成分を添加したガラスであり、上記アルミノシリケートガラス以外にも多くのガラスが存在する。その中でも、特に磁気ディスク用ガラス基板としては、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラスおよびソーダライムガラスが特に好ましい。
図4から分かるように、バッファ層の厚さがある程度薄くなると、コロージョン耐性が低下する。したがって、ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分なバッファ層の厚さが存在する。本発明者らは、この知見に基づいて、基板構成成分の溶出をブロックするためには、磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録面として使用しない面に、ある程度の厚さのバッファ層を形成する必要があることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、一方の主表面上に少なくとも磁気記録層を形成し、他方の主表面上に、他方の主表面からの磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層を形成することにより、磁気記録面として使用しない主表面の基板構成成分の溶出をブロックして、磁気記録面として使用しない面でのコロージョンの発生を抑えることである。
本発明においては、図3に示すように、磁気ディスク用ガラス基板の磁気記録層として使用しない面(図3において下面)上に、少なくとも基板構成成分溶出防止層であるバッファ層18を形成する。このバッファ層18の厚さは、図4に示す知見より、4nm以上であることが好ましい。また、バッファ層18を構成する材料としては、Ti、Cr、カーボンなどを挙げることができる。
また、磁気記録層として使用する主表面(A面)に磁気記録層等を形成し、磁気記録層として使用しない主表面(B面)に層を形成しないと、A面とB面との間での膜応力のバランスが崩れて磁気ディスクが反ってしまうことが考えられる。このようなことを考慮して、図3に示すように、バッファ層18上にディスク反り防止層19を形成することが好ましい。ディスク反り防止層19を構成する材料としては、A面に形成する層を構成する材料、例えばCr合金などを挙げることができる。この場合においては、A面上に形成されている層の合計厚さと、B面上に形成されている層の合計厚さとが同じであるようにすることが好ましい。このため、両主表面上の層の合計厚さが同じとなるように、A面上に形成される層の構成や厚さを考慮して、ディスク反り防止層19の厚さを適宜決定することが望ましい。このように、バッファ層18上にディスク反り防止層19を設けることにより、基板構成成分の溶出をより効果的にブロックしつつ、ディスクの反りを防止することができる。さらに、必要に応じて、バッファ層18又はディスク反り防止層19上にA面上に形成する保護層や潤滑層を形成してもよい。
ここで、製造した磁気ディスク用ガラス基板に対して、磁気記録面として使用する主表面(A面)を識別し、その主表面上に磁気記録層などを形成して磁気ディスクを製造する場合について説明する。
製造した磁気ディスク用ガラス基板は、磁気記録面として使用する主表面(A面)と、磁気記録面として使用しない主表面(B面)とを備えている。したがって、磁気ディスク製造工程を考慮して、間違いなくA面に磁気記録層などが形成されるように、製造された磁気ディスク用ガラス基板のA面を識別しておく必要がある。ガラス基板は透明体であり、しかもB面についても所定レベルの算術平均粗さを有しているので、目視でA面を精度良く識別することは非常に難しい。このため、例えば、図5に示すような光学式自動外観検査(AOI;Automated Optical Inspection)による外観検査装置2を用いA面を精度良く識別する。
図5に示す外観検査装置2は、2個の欠陥検出プローブ用レーザ21a,21bと、それぞれがレーザ光のほぼ全方向の散乱光を検出する4個の検出器22a〜22dとを備えている。2個の欠陥検出プローブ用レーザ21a,21bは、レーザ出力方向を同じにして離間配置されている。欠陥検出プローブ用レーザ21aは測定用レーザ光を出光し、欠陥検出プローブ用レーザ21bは参照用レーザ光を出光する。検出器22a,22b,22cは、欠陥検出プローブ用レーザ21aのレーザ照射位置の回折・散乱光を検出できる位置に配置されており、それぞれ磁気ディスク用ガラス基板10からの回折・散乱光を検出し、散乱光強度情報を取得する。なお、検出器22bは、検出器22cの前段に配置されたビームスプリッタ23で分割されたうちの一方の光を検出するように配置されている。また、検出器22dは、欠陥検出プローブ用レーザ21bのレーザ照射位置の回折・散乱光を検出できる位置に配置されており、磁気ディスク用ガラス基板10の基準となる回折・散乱光を検出し、参照散乱光強度情報を取得する。このようにして得られた散乱光強度情報及び参照散乱光強度情報から算術平均粗さの大小を判定する。すなわち、算術平均粗さが大きい主表面(B面)においては、散乱光強度が相対的に大きく、算術平均粗さが小さい主表面(A面)においては、散乱光強度が相対的に小さいので、B面においては、散乱光強度と参照散乱光強度との間の差分が相対的に大きく、A面においては、散乱光強度と参照散乱光強度との間の差分が相対的に小さい。
別途作製したサンプルを使用して、算術平均粗さ(Ra)と散乱光強度との間の関係を調べた。その結果を表1に示す。このような関係から、A面及びB面をAOIで識別することができる。
Figure 0005373511
図5に示す外観検査装置2においては、レーザ径が例えば5μm程度で小さく、レーザ波長が短くパワーが大きいので識別精度が高い。このような構成の外観検査装置2においては、磁気ディスク用ガラス基板10を移動させながら、磁気ディスク用ガラス基板10の表面に対して、2個の欠陥検出プローブ用レーザ21a,21bからレーザ光を照射し、そのときの回折・散乱光を各検出器22a〜22dで検出する。その後、各検出器22a〜22dの出力信号を判定回路(図示せず)が取り込み、当該出力信号を基に磁気ディスク用ガラス基板10のA面/B面を識別する。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実験例について説明する。
<磁気ディスク用ガラス基板の製造>
(実験例1〜4)
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラス素材(ブランクス)を得た。この時点でブランクスの直径は66mmである。次に、このブランクスの両主表面を第1ラッピング加工して後、円筒状のコアドリルを用いて、このガラス基板の中心部に穴部を形成し円環状のガラス基板に加工(コアリング)を実施、そして端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))を施し、その後第2ラッピング加工を行った。
次いで、ガラス基板の外周端部について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。
そして、鏡面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。これにより、ガラス基板の直径は65mmとなり、2.5インチ型磁気ディスクに用いる基板とすることができた。
次いで、主表面研磨工程として、ガラス基板の両主表面に対して第1研磨工程を施した。第1研磨工程においては、研磨装置として、両面研磨機を使用した。この研磨装置における研磨パッドとしては、軟質スウェードパッドを用いた。また、研磨剤としては、セリウム研磨剤を用いた。また、研磨条件としては、加工面圧を130g/cmとし、加工回転数を22rpmとした。これにより、ガラス基板の算術平均粗さ(Ra)は約1.5nmとなった。
次いで、ガラス基板の磁気記録面として使用しない主表面をマスクした状態で、磁気記録面として使用する主表面のみに対して第2研磨処理を施した。第2研磨工程においては、研磨装置として、両面研磨機を使用した。この研磨装置における研磨パッドとしては、軟質スウェードパッド(アスカーC硬度:54、圧縮変形量:476μm以上、密度:0.53g/cm以下)を用いた。また、研磨剤としては、平均粒径100nmのセリウム研磨剤を用いた。また、研磨条件としては、加工面圧を60g/cmとし、加工回転数を20rpmとした。ガラス基板の記磁気録面として使用する主表面の算術平均粗さ(Ra)は約0.30nmとなった。
この第2研磨工程を終えたガラス基板を、KOH溶液に浸漬して、超音波を印加して120秒洗浄し、アルカリ洗浄液を用いてスクラブ洗浄を4秒行い、極微量に希釈した希硫酸及び前記アルカリ洗浄液で洗浄を行った後に、IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気乾燥を行った。
次いで、上述した第2研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を380°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬することによって行った。そして、この化学強化を終えたガラス基板に対して、酸洗浄、アルカリ洗浄、及び純水洗浄を順次行った。このようにして磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(実験例5〜15)
研磨条件を調整したり、ガラス基板の磁気記録面として使用しない主表面をマスクした状態で第1研磨処理を施したりすること以外は、実験例1〜4と同様にして、表2に示す算術表面粗さを有する磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
このようにして得られた各実験例のガラス基板100枚に対して、80℃、80%RH環境下に7日間暴露するコロージョンテストを行った。コロージョンテスト後のガラス基板を光学顕微鏡(×200の倍率)で観察し、単位面積あたり(約200μm×300μmの領域)の輝点数を計測した。結果を表2に示す。
<層の形成>
作製した磁気ディスク用ガラス基板のA面上に、付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層及び潤滑層を順次積層した。また、表2のように、一部のサンプルに対し、B面上に、バッファ層としてチタン層を形成して磁気ディスクを作製した。このようにして得られた磁気ディスク100枚を65℃、90%RH環境下に5日間暴露し、この磁気ディスクをHDD装置に組み込み、シークテストを実施した(4000万回シーク、その間の読み出し/書き込みエラー(R/Wエラー)数をカウント)。この結果を表2に示す。
Figure 0005373511
表2より、B面の表面粗さを5nm以下とすることにより、コロージョンの発生を抑制することができた。また、B面上にバッファ層を形成することにより、読み出し/書き込みエラー回数を低減できた。
11 ガラス基板
12 付着層
13 軟磁性層
14 非磁性下地層
15 垂直磁気記録層
16 保護層
17 潤滑層
18 バッファ層
19 ディスク反り防止層
21a,21b 欠陥検出プローブ用レーザ
22a〜22d 検出器

Claims (9)

  1. 一対の主表面を有するガラス基板を研磨する主表面研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して所定の算術平均粗さ(Ra)になるように主表面研磨処理を行い、前記ガラス基板の他方の主表面に対して前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように前記他方の主表面に対して主表面研磨処理を行い、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数よりも前記ガラス基板の他方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数が少ないことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 一対の主表面を有するガラス基板を研磨する主表面研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して、磁気記録を行うために求められる算術平均粗さ(Ra)になるように主表面研磨処理を行い、前記ガラス基板の他方の主表面に対して前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さになるように前記他方の主表面に対して主表面研磨処理を行い、前記主表面研磨工程において、前記ガラス基板の一方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数よりも前記ガラス基板の他方の主表面に対して行う主表面研磨処理の回数が少ないことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さが5.0nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記ガラス基板の一方の主表面に対して算術平均粗さ(Ra)が0.30nm以下になるように主表面研磨処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 光学式自動外観検査により、前記ガラス基板の一方及び他方の主表面についての算術平均粗さの大小を判定して、最終研磨工程後のガラス基板の一方の主表面を識別する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造され、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、一方の主表面が所定の算術平均粗さ(Ra)を有し、他方の主表面が前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記他方の主表面から前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
  7. 請求項1又は請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造され、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、一方の主表面が磁気記録を行うために求められる算術平均粗さ(Ra)を有し、他方の主表面が前記一方の主表面の算術平均粗さ(Ra)よりも粗く、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止するために十分な粗さを有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
  8. 請求項又は請求項記載の磁気ディスク用ガラス基板の前記一方の主表面上に少なくとも磁気記録層が形成されてなることを特徴とする磁気ディスク。
  9. 請求項又は請求項記載の磁気ディスク用ガラス基板の前記他方の主表面上に、前記磁気ディスク用ガラス基板を構成する成分の溶出を防止する基板構成成分溶出防止層が形成されていることを特徴とする請求項記載の磁気ディスク。
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