JP5247141B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造システムに関するものである。
近年、情報化技術の高度化に伴い、情報記録技術、特に磁気記録技術は著しく進歩している。磁気記録媒体のひとつであるHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気記録媒体用基板として、磁気ディスクの小型化、薄板化、および高密度記録化に伴い、従来多く用いられてきたアルミニウム基板に代えて基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板が用いられるようになってきている。
また、磁気記録技術の高密度化に伴い、磁気ヘッドの方も薄膜ヘッドから、磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)、巨大磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)へと推移してきていて、磁気ヘッドの基板からの浮上量が20nmから5nm程度にまで狭くなってきている。このような磁気抵抗効果型素子を搭載した磁気ヘッドには固有の障害としてヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を引き起こす場合がある。
サーマルアスペリティ障害とは、磁気ディスク面上の微小な凸形状あるいは凹形状上を磁気ヘッドが浮上飛行しながら通過するときに、空気の断熱圧縮または接触により磁気抵抗効果型素子が加熱されることにより、読み出しエラーを生じる障害である。したがって磁気抵抗型素子を搭載した磁気ヘッドに対しては、磁気ディスク表面は極めて高度な平滑度および平坦度が求められる。また基板に塵埃や異物が付着したまま磁性層を形成すると磁気ディスク最表面に凸部が形成されてしまうため、ガラス基板には凹凸を低減する表面平滑化(研磨技術)と、異物を除去する高度な洗浄技術とが求められている。
上記のような状況において、従来からも、基板端面の平滑性についての重要性が認められていた。ガラス基板の平滑性の検査方法としては、表面欠陥検出装置(AOI:Automatic Optical Inspection)やOSA(Optical Surface Analyzer)等の機器を用いて、ガラス基板の表面に光を照射して反射光の強度や変位等により付着物、凹部および凸部が存在するか否かを判定するという方法がある(例えば特許文献1)。
特開2007−256133号公報
ガラス基板に生じる表面欠陥には原因がある筈であり、原因となる工程の異常を発見し、それを修繕すれば、解決することも少なくない。しかし、かかる工程の修繕は、専ら熟練した作業者の経験によって行われているものである。熟練した作業者のなかには、検出された表面欠陥の分布や種類等を一見しただけで、いずれの工程のいかなる異常によるものであるかを感覚的に判断できる者もいる。しかし、経験の浅い作業者には、表面欠陥の原因を同定することは困難である。
本発明はこのような課題に鑑み、表面欠陥が発見されたガラス基板について、その原因となる、異常が生じている工程を同定することにより、その工程を修繕すること可能ならしめる、磁気ディスク用ガラス基板の製造システムを提供することを目的としている。
本願発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、特定の工程の異常を原因としてガラス基板に生じる表面欠陥には規則性が認められ、かかる典型的な表面欠陥を表面欠陥マップとして保存し、AOI等の表面欠陥装置を用いて検出された、検査対象であるガラス基板の表面欠陥と照合すれば、そのガラス基板に生じた表面欠陥の原因となる工程を同定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上述の課題を解決するために、本発明にかかる磁気ディスク用ガラス基板の製造システムの代表的な構成は、磁気ディスク用ガラス基板を製造するための複数の工程のそれぞれに対応して、その工程の処理に異常がある場合にガラス基板に生じる該異常に特有の典型的な表面欠陥を示す表面欠陥マップを予め記憶する記憶手段と、複数の工程を経て製造された磁気ディスク用ガラス基板の表面欠陥を検出する表面欠陥検出手段と、表面欠陥検出手段によって検出されたガラス基板の表面欠陥と、予め記憶された表面欠陥マップとを比較して、表面欠陥に類似する表面欠陥マップを認識する認識手段と、表面欠陥に類似すると認識された表面欠陥マップに対応する工程を報知する報知手段と、を含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、作業者は、ガラス基板の表面欠陥の原因となっている工程を同定し、当該工程を修繕することで、それ以上の表面欠陥の発生を防止可能である。
上記の報知手段は、複数枚のガラス基板の表面欠陥が表面欠陥検出手段によって検出された際に、所定枚数以上のガラス基板の表面欠陥同一の表面欠陥マップ類似すると認識手段によって認識された場合に、その同一の表面欠陥マップに対応する工程を報知するとよい。
複数の表面欠陥に、特定の表面欠陥マップが類似すると認識されたときに初めてその表面欠陥マップに対応する工程を報知することで、報知機能の信頼性が向上するからである。
上記の認識手段は、表面欠陥検出手段が検出した表面欠陥に含まれる個々の欠陥の数が所定数以上である場合に、記憶手段を参照して類似する表面欠陥マップを認識するとよい。
表面欠陥の数が所定数以下の良品レベルにあるガラス基板については、工程に異常があるとまでは言えず、無駄な認識処理を省くためである。
本発明によれば、作業者は、ガラス基板の表面欠陥の原因となっている工程を同定し、当該工程を修繕することで、それ以上の表面欠陥の発生を防止可能である。
まず、本実施形態にかかる磁気ディスク用ガラス基板について説明する。図1は、本実施形態にかかる磁気ディスク用ガラス基板を説明する図であり、図1(a)は磁気ディスク用ガラス基板の斜視図である。磁気ディスク用ガラス基板200は、円板形状をしていて、その中心には内孔が形成されている。主表面210は、情報を記録再生するための領域であるため、記録ヘッドが浮上走行するために実質的に平滑になっている。
図1(b)は、図1(a)のX−X断面図である。磁気ディスク用ガラス基板200は、情報の記録再生領域となる主表面210と、当該主表面210に対して直交している端面220と、当該主表面210と端面220との間に介在している面取面230とを備えている。なお、後述する端面研磨工程により端面220と面取面230との境界が不明瞭となる場合もあるため、本実施形態は端面220とその両側の面取面230があわせて1つの曲面を構成する場合も含むものとする。
図2は、本実施形態にかかる磁気ディスク用ガラス基板の製造システムを示すブロック図である。製造システム100は、磁気ディスク用ガラス基板200を製造するための1つ以上の工程を含み、これらには、第2研磨工程102、強化洗浄工程104、最終洗浄工程106を含まれる。最終洗浄工程106は、水流による前洗浄工程106a、洗浄パッドを用いるスクラブ洗浄工程106bを含む。本実施形態では、ガラス基板200は先行する種々の工程を経た後、最終的な工程102、104、106を経て製造される。
また、製造システム100はサーバ110を含み、サーバ110は、データベース112を含む。データベース112は、各工程102、104、106a、106bの処理に異常がある場合にガラス基板200に生じる表面欠陥を典型的に示す表面欠陥マップ120a〜120dを記憶する記憶手段である。
こうした表面欠陥マップ120a〜120dは、通常の製造工程が稼動している間に、各工程102、104、106a、106bから、点線103、105、107、109で示すように、データベース112に蓄積されている。マップは、作業者408の手作業によって入力、蓄積されるものとしてよい。図2では1つの工程に対して1つのマップしか対応していないが、複数のマップが対応していてもよい。
また、表面欠陥の原因となる工程は、工程102、104、106a、106bに限られるものではない。データベース112に予め表面欠陥マップを蓄積しておける工程であれば、表面欠陥の原因として同定され得る。
各工程102、104、106a、106bに対応している情報は、かかる表面欠陥マップ120a〜120dに限られず、マップから抽出した所定の特徴量を記憶しておいてもよい。特徴量としては、マップをグラフとして見た場合の相関係数、欠陥の種類や数、分布、座標等としてよい。
工程106を経た後、ガラス基板200は、梱包される前に、表面欠陥検出装置(AOI)130にて表面欠陥を検出される。表面欠陥はOSAで検出してもよい。
図3は、図2の表面欠陥検出装置による表面欠陥検出の様子を示す図である。表面欠陥検出装置130は、2種類のレーザ302(302a、302b)と、4種類の検出器304(304a、304b、304c、304d)と、ミラー306と、を含んで構成される。
レーザ302aは、波長780±15nm、ビーム径120μm×15μmの半導体レーザであり、レーザ302bは、波長670±10nm、ビーム径2000μm×7005μmの半導体レーザである。検出器304は、フォトディテクタで構成されている。
図4は、図3の表面欠陥検出装置130の検出器304が検出可能な欠陥について説明するための説明図である。表面欠陥検出装置130が検出できる欠陥には、主として、凸部140、凹部142がある。
レーザ302aを用い検出器304aで検査した場合、磁気ディスク用ガラス基板200の主表面上に含まれる欠陥から反射される散乱光を検出する。これにより、検出器304aでは、付着物や0.1μm程度の凹部を検出することができる。レーザ302aを用い検出器304bで検査した場合、磁気ディスク用ガラス基板200の主表面上に含まれる欠陥から反射される指向性のある散乱回折光の光量変化を検出する。これにより、検出器304bでは、付着物、0.1μm程度の凹部を検出することができる。レーザ302aを用い検出器304cで検査した場合、磁気ディスク用ガラス基板200の主表面上に含まれる欠陥からの正反射光量の増光もしくは減光を検出する。これより、検出器304cでは、散乱や回折が生じにくい凸部140、凹部を検出することができる。
レーザ302bを用い検出器304dで検査した場合、磁気ディスク用ガラス基板200の主表面上に含まれる欠陥からの正反射光量の増光もしくは減光を検出する。これより、検出器304dでは、散乱や回折が生じにくいなだらかな凸部140やなだらかな凹部を検出することができる。
次に測定した光の強度もしくは変位のいずれか一方または両方に基づいて磁気ディスク用ガラス基板200に含まれる欠陥の面内位置を特定し、表面欠陥402が作成される。
図5は図2のデータベースに予め記憶されている表面欠陥マップの他の例を示す図である。表面欠陥マップ120eは、最終洗浄工程106に機器損傷がある場合のマップの例であり、ガラス基板一端の限られたエリアに表面欠陥が集中する。表面欠陥マップ120fは、スクラブ洗浄工程106bのパッドが異物をかみ込んだ場合のマップの例である。
表面欠陥の原因に対応するマップは1つではなく、図5の例に示すように、3つずつのマップをデータベース112に記憶してよい。いずれのマップも、原因は様々であるが、いずれかの工程に生じる異常を原因とした、当該工程に特有のものである。
図2のコンピュータ400は、制御部401と、制御部401で制御される認識部404および報知部406とを有する。表面欠陥検出装置130から表面欠陥402がコンピュータ400に入力されると、認識部404は、データベース112を参照して、表面欠陥402に類似するものを、表面欠陥マップ120a〜120dのなかから認識する。
認識部404が行う認識は、例えば、表面欠陥と表面欠陥マップとを画像として直接突き合わせて行う最短距離法等を用いてよい。最短距離法は、画像を構成する対応する画素同士の差分を二乗して加算し、画像間の「距離」を求める方法である。この「距離」が小さいほど、画像同士は類似している、と本願では定義する。所定の閾値以下になったとき、画像同士が類似していると判定してよい。データベース112に記録する情報は、表面欠陥マップ自体に限られず、マップをグラフとして見た場合の相関係数、欠陥の種類や数、分布、座標等の特徴としてもよい。
その場合、認識部404は、表面欠陥402からも、データベース112に記録されているのと同様の特徴を抽出する。かかる特徴は、類似する表面欠陥マップを認識する際の条件として自由に用いてよい。例えば最短距離法による画像間の「距離」が所定の範囲内にあり、かつ、欠陥の数が所定の範囲内にある場合は、当該表面欠陥に当該マップが類似すると認識するなどの規則をデータベース112に設けておけばよい。なお、当然に不良品と判定されるほど、個々の欠陥の数が多いガラス基板であっても、いずれの表面欠陥マップにも類似していない場合がある。その場合、当該表面欠陥の原因は不明となる。他方、ある表面欠陥に、複数の表面欠陥マップが類似することも当然にあり、その場合、複合的な原因でその表面欠陥が生じたと推測できる。
コンピュータ400に含まれる報知部406は、表面欠陥に類似すると認識された表面欠陥マップに対応する工程を報知する報知手段である。報知は、コンピュータ400の表示装置(図示しない)に、異常の発生している工程と異常の内容とを表示したり、音声で作業者408に知らせたりすればよい。
これにより、作業者408は、ガラス基板200の表面欠陥の原因となっている工程を同定し、当該工程を修繕することで、それ以上の表面欠陥の発生を防止可能である。複数の工程が報知された場合は、複数の工程を調査し、修繕すればよい。
工程で用いられる機器や洗浄槽等が故障した場合は作業者408による修繕が必要となるが、単に、工程を稼動させるにあたって定められているパラメータに異常がある場合は、工程自体に報知を行い、自動的に設定を変更するのが好ましい。
報知部406は、所定枚数以上のガラス基板の表面欠陥402にいずれか同一の表面欠陥マップが類似すると認識された場合に限り、その同一の表面欠陥マップに対応する工程を報知するとよい。
複数の表面欠陥402に、特定の表面欠陥マップが類似すると認識されて初めて報知することで、報知機能の信頼性が向上するからである。
上記の認識部404は、表面欠陥検出装置130が検出した表面欠陥402に含まれる個々の欠陥の数が所定数以上である場合に限り、類似する表面欠陥マップを認識するとよい。
表面欠陥の数が所定数以下の良品レベルにあるガラス基板については、工程に異常があるとまでは言えないからであり、かかる場合に無駄な認識処理を省くためである。
(実施例)
以下に、本発明を適用した磁気ディスク用ガラス基板の製造システム、磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクについて実施例を説明する。この磁気ディスク用ガラス基板200および磁気ディスクは、0.8インチ型ディスク(内径6mm、外径21.7mm、板厚0.381mm)、1.0インチ型ディスク(内径7mm、外径27.4mm、板厚0.381mm)、1.8インチ型磁気ディスク(内径12mm、外径48mm、板厚0.508mm)などの所定の形状を有する磁気ディスクとして製造される。また、2.5インチ型ディスクや3.5インチ型ディスクとして製造してもよい。
(1)データ蓄積工程
以下の各工程が稼動している間、予め、各工程からは、各工程の処理に異常がある場合にガラス基板に生じる表面欠陥を典型的に示す表面欠陥マップが蓄積される。マップの蓄積は、作業者408の経験によって行ってよい。表面欠陥マップの数は、1工程について1つとは限らない。また、表面欠陥マップを有しない工程もある。
(2)形状加工工程および第1ラッピング工程
本実施形態においてガラス基板200の材質としてはソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。アルミノシリケートガラスは、平滑かつ高剛性が得られるので、磁気的スペーシング、特に、磁気ヘッドの浮上量をより安定して低減できる。また、アルミノシリケートガラスは化学強化により、高い剛性強度を得ることができる。
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、化学強化用のガラスを使用した。ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円板状の磁気ディスク用ガラス基板200を得てもよい。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスを使用した。
次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス母材を得た。
(3)切り出し工程(コアリング、フォーミング)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス母材を切断し、このガラス母材から円板状のガラス基板を切り出した。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板200とした(コアリング)。そして内周端面および外周端面220をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施した(フォーミング)。
(4)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板200の両主表面210について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行なうことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面210に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
(5)端面研磨工程
次に、ガラス基板200の外周の端面研磨を行なう。まず端面220については、面取面230に先立ち、単独で研磨を行なう。研磨の方法は、例えば複数枚のガラス基板200を同時にブラシにて研磨する方法でもよいが、取代が多くなってしまう。そこで、例えば枚葉式の研磨方法を用いてよい。
続いて面取面230については、鏡面研磨を行った。これにより、1枚のガラス基板200の面取面230の、外周の全周における表面粗さの差は、0.001μm以下の範囲になった。そして、端面研磨工程を終えたガラス基板200を水洗浄した。この端面研磨工程により、ガラス基板200の端面220は、ナトリウムやカリウムの析出の発生を防止できる鏡面状態に加工された。
なお、本実施例では端部の研磨を行った後に面取面230の研磨を行なうよう説明した。しかしこの順序については任意であって、面取面230の研磨を先に行ってから端面220の研磨を行ってもよい。
次に、内周端面については、多数枚積層したガラス基板ブロックを形成し、面取りした内周端部をブラシロールにて同時に研磨してよい。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。
(6)主表面研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面210に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面210の研磨を行った。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。
この第1研磨工程を終えたガラス基板200を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は、主表面210を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面210の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
この第2研磨工程を終えたガラス基板200を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
(7)化学強化工程
次に、前述のラッピング工程および研磨工程を終えたガラス基板200に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱しておくとともに、洗浄済みのガラス基板200を300℃に予熱し、化学強化溶液中に約3時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板200の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板200が端面220で保持されるように、ホルダに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板200の表層のリチウムイオンおよびナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板200が強化される。ガラス基板200の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm乃至200μmであった。
化学強化処理を終えたガラス基板200を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板200を、約40℃に加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。
(8)最終洗浄工程
さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板200を純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した(前洗浄工程106a〜スクラブ洗浄工程106b)。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
上記の如く、第1ラッピング工程、切り出し工程、端面研磨工程、第2ラッピング工程、第1および第2研磨工程、化学強化工程、ならびに最終洗浄工程を施すことにより、平坦で平滑な、高剛性の磁気ディスク用ガラス基板200を得た。
(9)検査工程
得られた磁気ディスク用ガラス基板200の主表面210について平滑性の検査を行った。検査工程は、表面欠陥検出装置(AOI:Automatic Optical Inspection)やOSA(Optical Surface Analyzer)等の機器を用いて、磁気ディスク用ガラス基板200に光を照射し磁気ディスク用ガラス基板200から反射した光の強度もしくは変位のいずれか一方または両方を測定し、付着物、凹部142および凸部140が存在するか否か等を測定し、基板状態を評価する。
(10)認識・報知工程
表面欠陥検出装置130で得られた表面欠陥402に類似するものを、表面欠陥マップ120a〜120dのなかから、認識部404が認識する。報知部406は、所定枚数以上のガラス基板の表面欠陥402に、いずれか同一の表面欠陥マップが類似すると認識された場合に、その同一の表面欠陥マップに対応する工程を作業者408報知する。
これによって、従来、熟練の作業者でしか原因を同定できなかった表面欠陥についても、原因を同定できるケースが格段に増加し、表面欠陥が原因不明と判定されるケースが、23%減少した。
(11)梱包工程
25枚の磁気ディスク用ガラス基板200をケースに収容し、ケースを4個重ね、アルミニウムラミネートフィルム製の第1の梱包袋を脱気して密封梱包して梱包体とした。次に、梱包体を、プラスチックフィルム製の第2の梱包袋を脱気してさらに密封梱包して梱包体とした。
上記のように、ガラス基板200がケースに収納され、第2の梱包袋および第1の梱包袋で二重に密封梱包された二重梱包体を、ガラス基板製造施設から出荷され、船や飛行機、列車等によって磁気ディスク製造施設へ運搬される。
(12)磁気ディスク製造工程(成膜工程)
上記の梱包体を用いて梱包された磁気ディスク用ガラス基板に少なくとも磁性層を形成する成膜工程を行う。
上述した梱包方法および製造工程を経て得られたガラス基板200の両面に、ガラス基板200の表面にCr合金からなる付着層、CoTaZr基合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt基合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。なお、本構成は垂直磁気ディスクの構成の一例であるが、面内磁気ディスクとして磁性層等を構成してもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲の属性を有するものと了解される。
本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造システムに利用することができる。
本実施形態にかかる磁気ディスク用ガラス基板を説明する図である。 本実施形態にかかる磁気ディスク用ガラス基板の製造システムを示すブロック図である。 図2の表面欠陥検出装置による表面欠陥検出の様子を示す図である。 図3の表面欠陥検出装置の検出器が検出可能な欠陥について説明するための説明図である。 図2のデータベースに予め記憶されている表面欠陥マップの他の例を示す図である。の環境下で耐久試験した結果を示す表である。
符号の説明
100 …製造システム
102 …第2研磨工程
104 …強化洗浄工程
106 …最終洗浄工程
110 …サーバ
112 …データベース
130 …表面欠陥検出装置
140 …凸部
142 …凹部
200 …ガラス基板
401 …制御部
402 …表面欠陥
404 …認識部
406 …報知部
408 …作業者

Claims (3)

  1. 磁気ディスク用ガラス基板を製造するための複数の工程のそれぞれに対応して、その工程の処理に異常がある場合にガラス基板に生じる該異常に特有の典型的な表面欠陥を示す表面欠陥マップを予め記憶する記憶手段と、
    前記複数の工程を経て製造された磁気ディスク用ガラス基板の表面欠陥を検出する表面欠陥検出手段と、
    前記表面欠陥検出手段によって検出された前記ガラス基板の表面欠陥と、予め記憶された前記表面欠陥マップとを比較して、前記表面欠陥に類似する表面欠陥マップを認識する認識手段と、
    前記表面欠陥に類似すると認識された表面欠陥マップに対応する工程を報知する報知手段と、
    を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造システム。
  2. 前記報知手段は、複数枚のガラス基板の表面欠陥が前記表面欠陥検出手段によって検出された際に、所定枚数以上のガラス基板の表面欠陥が同一の表面欠陥マップに類似すると前記認識手段によって認識された場合に、該同一の表面欠陥マップに対応する工程を報知することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造システム。
  3. 前記認識手段は、前記表面欠陥検出手段が検出した表面欠陥に含まれる個々の欠陥の数が所定数以上である場合に、前記記憶手段を参照して前記類似する表面欠陥マップを認識することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造システム。
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