JP5781845B2 - Hdd用ガラス基板、hdd用ガラス基板の製造方法、及びhdd用磁気記録媒体 - Google Patents

Hdd用ガラス基板、hdd用ガラス基板の製造方法、及びhdd用磁気記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、HDD用ガラス基板、HDD用ガラス基板の製造方法、及びHDD用磁気記録媒体に関する。
従来、情報記憶装置に搭載される情報記録媒体の1つとして、HDD(ハードディスクドライブ)に搭載されるHDD用磁気記録媒体が知られている。近年、HDD用磁気記録媒体は、記録容量の増大が強く要請されている。そのため、記録密度の増大や、記録領域の拡大が急務となっている。記録領域の拡大のためには、記録媒体の主表面の平滑領域をできるだけ広く確保する必要がある。ところが、記録媒体を製造するためのHDD用ガラス基板の製造過程における研磨条件等に起因して、ガラス基板の外周端部が垂れ下りの形状(垂れ)となったり、反り返りの形状(反り)となったりすることがある。その結果、記録媒体もまた外周端部が垂れや反りとなって、記録媒体の主表面を浮上走行する磁気ヘッドが記録媒体の外周端部で傾き、ヘッドの姿勢が不安定となってクラッシュが起きるという問題がある。それゆえ、HDD用磁気記録媒体においては、外周端部のクラッシュを抑制し、記録領域を拡大するためには、外周端部の垂れや反りの影響を低減しなければならない。
特に昨今は高密度記録化が進行し、例えば2.5インチの記録媒体1枚で、記録容量が500GB、面記録密度が630Gb/平方インチ以上というようなHDD用磁気記録媒体の出現が予想されている。それに伴い、ヘッド機構も改良が進み、DFH(Dynamic Flying Height)と称されるヘッド機構が知られている。DFHは、ヘッドの装着箇所に特殊な金属を用い、金属の熱膨張によってヘッドを記録媒体に対して微小距離で突出させる技術である。このようなDFHヘッド機構では、ヘッドと記録媒体との間隙は数nm程度まで小さくなり、ヘッドクラッシュがより起き易くなる。それゆえ、DFHヘッド機構を備えるHDDに搭載される、例えば面記録密度が630Gb/平方インチ以上のHDD用磁気記録媒体においては、外周端部のクラッシュを抑制し、記録領域を拡大するためには、外周端部の垂れや反りの影響をより一層低減しなければならない。
特許文献1には、HDD用ガラス基板の垂れ等の抑制のために、ガラス基板の研磨条件や研磨材を最適化する様々な技術が提案されているが、十分とはいえない状況である。
特開2009−160676号公報
本発明の目的は、たとえDFHヘッド機構を備えるHDDに搭載されるような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、外周端部のヘッドクラッシュを抑制し、もって記録領域の拡大に寄与する、HDD用ガラス基板、HDD用ガラス基板の製造方法、及びHDD用磁気記録媒体を提供することである。
本発明者等は、HDDの稼働中に磁気ヘッドが記録媒体の径方向に移動する移動速度に比べて、記録媒体の周方向の回転速度が十分大きいので、外周端部のヘッドクラッシュを抑制するためには、記録媒体の外周端部における周方向の表面状態の変動を抑制することが重要であることに着目した。そして、その観点から、記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量それ自体ではなく、記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さいことや、表面の平坦度の指標であるTIR(Total Indicated Runout)が記録媒体の外周端部の周方向において小さいことが有効であることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明の一局面は、面記録密度が630Gb/平方インチ以上のHDD用磁気記録媒体の製造に用いられるHDD用ガラス基板であって、ガラス基板の主表面に定義された基準面からのガラス基板の外周端部の高さのズレ量をAとしたときに、式(1)に従って算出されるAの周方向のバラツキXが3%以下であり、かつ、ガラス基板の外周端部の周方向のTIRが0.4μm以下であることを特徴とするHDD用ガラス基板である。
バラツキX(%)={(MAX−MIN)/(MAX+MIN)}×100…式(1)
(式(1)中、MAXはAの周方向の最大値、MINはAの周方向の最小値を表す。)
このような構成のHDD用ガラス基板によれば、HDD用ガラス基板の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さく、かつ、HDD用ガラス基板の外周端部の周方向のTIRが小さいので、このHDD用ガラス基板から製造されるHDD用磁気記録媒体もまた外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さくなり、かつ、外周端部の周方向のTIRが小さくなる。したがって、HDD用磁気記録媒体の外周端部における周方向の表面状態の変動が抑制され、HDD用磁気記録媒体の外周端部のヘッドクラッシュが抑制される。その結果、たとえ面記録密度が630Gb/平方インチ以上というような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、十分な記録領域の拡大が図られる。
なお、「ガラス基板の主表面に定義された基準面」とは、例えば、ガラス基板の外周端部よりもガラス基板の中心に近い位置にあるガラス基板の主表面上の任意の3点を含む面をいう。
また、「ガラス基板の外周端部の周方向のTIR」とは、例えば、ガラス基板の外周端部の主表面に最適にフィットした平面を最小二乗法で求め、ガラス基板の外周端部の高さを周方向に測定し、高さが前記平面よりも上方にある最高点(P)と下方にある最低点(V)との差の絶対値(P−V値)をいう。
本発明のHDD用ガラス基板においては、前記バラツキXが2%以下及び/又は前記周方向TIRが0.3μm以下であることが好ましい。
このような構成のHDD用ガラス基板によれば、HDD用磁気記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキがさらに小さくなり、及び/又は、HDD用磁気記録媒体の外周端部の周方向のTIRがさらに小さくなるので、より一層十分な記録領域の拡大が図られる。
本発明のHDD用ガラス基板においては、ガラス基板の外周端部は、ガラス基板の半径をRとしたときに、ガラス基板の中心から0.985Rの位置であることが好ましい。
このような構成のHDD用ガラス基板によれば、HDD用磁気記録媒体の主表面の記録領域が記録媒体の最外部位である外周端面に近接する位置まで極めて広く確保される。
本発明の他の一局面は、回転する下研磨皿と、下研磨皿の上方空間を水平方向に揺動する上研磨皿との間に、ガラス基板の外径よりも大きい内径を有するリング状冶具に収容されたガラス基板を配置して、ガラス基板を自転させながら、ガラス基板の両面を上下の研磨皿で研磨する研磨工程と、回転するガラス基板の外周端部をガラス基板の両面側から研磨パッドで挟み込み、研磨パッドが受ける反力からガラス基板の外周端部の形状を検知し、検知結果に基いて研磨パッドによる挟み込み圧力を制御しながら、ガラス基板の外周端部の両面を研磨パッドで研磨する外周端部研磨工程とを含むことを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法である。
このような構成のHDD用ガラス基板の製造方法によれば、HDD用ガラス基板の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さく、かつ、HDD用ガラス基板の外周端部の周方向のTIRが小さいHDD用ガラス基板を良好に製造することができる。
本発明のさらに他の一局面は、前記HDD用ガラス基板の主表面の上に記録層が設けられたことにより製造されたことを特徴とするHDD用磁気記録媒体である。
このような構成のHDD用磁気記録媒体によれば、HDD用磁気記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さく、かつ、HDD用磁気記録媒体の外周端部の周方向のTIRが小さいので、たとえ面記録密度が630Gb/平方インチ以上というような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、十分な記録領域の拡大が図られる。
本発明によれば、たとえDFHヘッド機構を備えるHDDに搭載されるような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、外周端部のヘッドクラッシュを抑制し、記録領域の拡大に寄与することができるため、HDD用磁気記録媒体の記録容量の増大要請に十分対応できる。
本発明の実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造工程図である。 第1及び第2ラッピング工程で用いられる両面研削機の主要部の構成を示す部分側面図である。 図2のIII−III線に沿う矢視図であって下定盤の平面図である。 第1ポリッシング工程で用いられるオスカー研磨機の主要部の構成を示す縦断面図である。 (a)はガラス基板を遊嵌合したリング状冶具が配置されたオスカー研磨機の下研磨皿の平面図、(b)はガラス基板を遊嵌合したリング状冶具の拡大水平断面図である。 (a)、(b)、(c)はオスカー研磨機の動作を示す平面図である。 (a)はオスカー研磨機でガラス基板が連続的に自転した場合のガラス基板の主表面の高低マップ、(b)はオスカー研磨機でガラス基板が不連続的に自転した場合のガラス基板の主表面の高低マップ、(c)はガラス基板の外周端部の周方向のTIRを比較して示す説明図である。 (a)は外周端部研磨工程で用いられる外周端部研磨機の主要部の構成を示す部分側面図、(b)はガラス基板の外周端部が反り形状の場合の外周端部研磨工程の作用を示す説明図、(c)はガラス基板の外周端部が垂れ形状の場合の外周端部研磨工程の作用を示す説明図である。 (a)はガラス基板の主表面の高低マップ、(b)は線bによる縦断面図であってガラス基板の外周端部が反り形状の場合の外周端部研磨工程の作用を示す説明図、(c)は線cによる縦断面図であってガラス基板の外周端部が垂れ形状の場合の外周端部研磨工程の作用を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るHDD用ガラス基板の斜視図である。 前記HDD用ガラス基板の部分拡大側面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
<HDD用ガラス基板の製造方法>
図1に示した工程図を参照して、HDD用ガラス基板の製造方法を説明する。
[ガラス溶融工程]
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、例えば、SiO、NaO、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;LiO−SiO系ガラス;LiO−Al−SiO系ガラス;R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)等を使用することができる。これらのなかでも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
[成型工程]
次に、成型工程として、溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板(ブランクス)を得る。なお、ブランクスは、プレス成形によられず、例えばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
ガラス基板、すなわちブランクスの大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのガラス基板がある。ガラス基板の厚みにも限定はない。例えば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚みのガラス基板がある。
[熱処理工程]
次に、熱処理工程として、プレス成型や切り出しによって作製されたガラス基板を耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、ガラス基板の反りの低減やガラスの結晶化を促進させる。
[第1ラッピング工程]
次に、第1ラッピング工程として、ガラス基板の両表面を研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整する。
[コアリング加工工程]
次に、コアリング加工工程として、第1ラッピング工程後のガラス基板の中心部に円形の穴を開ける。穴開けは、例えば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することにより行う。
[内・外径加工工程]
次に、内・外径加工工程として、ガラス基板の外周端面及び内周端面を、例えばダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
[第2ラッピング工程]
次に、第2ラッピング工程として、ガラス基板の両表面を再び研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを微調整する。
第1及び第2ラッピング工程では、図2及び図3に示すように、遊星歯車機構を利用した両面研削機と称される公知の研削機10が使用できる。両面研削機10は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤11と下定盤12とを備えており、互いに逆方向に回転する。この上下の定盤11,12の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研削するためのダイヤモンドペレット13,14が貼り付けられている。上下の定盤11,12の間には、下定盤12の回転軸の周囲に設けてあるサンギア15と下定盤12の外周に円環状に設けてあるインターナルギア16とに結合して回転する複数のキャリア17が配設されている。このキャリア17には、複数の穴18が形成されており、この穴18にガラス基板(図示せず)が遊嵌合されて保持される。上下の定盤11,12、サンギア15及びインターナルギア16は、それぞれ別駆動で動作する。
研削機10の研削動作はおよそ次のようにして行われる。すなわち、上下の定盤11,12が互いに逆方向に回転すると、ダイヤモンドペレット13,14を介して上下の定盤11,12間に挟まれているキャリア17は、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤11,12の回転中心に対して下定盤12と同じ方向に公転する。このように動作している研削機10に対して、上定盤11のダイヤモンドペレット13とガラス基板との間、及び、下定盤12のダイヤモンドペレット14とガラス基板との間に研削液を供給することにより、ガラス基板の研削が行われる。
この両面研削機10を使用する際、ガラス基板に加わる定盤11,12の加重及び定盤11,12の回転数を所望の研削状態に応じて適宜調整する。第1及び第2ラッピング工程における加重は、60g/cmから120g/cmとするのが好ましい。また、定盤11,12の回転数は、10rpmから30rpm程度とし、上定盤11の回転数を下定盤12の回転数よりも30%から40%程度遅くするのが好ましい。定盤11,12による加重を大きくし、定盤11,12の回転数を速くすると、研削量は多くなるが、加重が大きすぎると面粗さが良好とならず、回転数が速すぎると平坦度が良好とならない。また、定盤11,12の加重を小さくし、定盤11,12の回転数を遅くすると、研削量が少なくなり、製造効率が低くなる。
第2ラッピング工程を終えた時点で、ガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥はほぼ除去される。また、ガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.2μmから0.4μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、7〜10μmが好ましい。このような面状態にしておくことで、次の第1ポリッシング工程での研磨を効率よく行うことができる。
なお、第1ラッピング工程では、第2ラッピング工程を効率よく行うことができるように大まかにガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等を除去する。そのため、第2ラッピング工程で使用する粗さ#1300メッシュから#1700メッシュより粗い#800メッシュから#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレット13,14を使用するのが好ましい。第1ラッピング工程を終えた時点でのガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.4μmから0.8μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、10〜15μmが好ましい。
また、第1及び第2ラッピング工程の後、ガラス基板の表面に残った研削液やガラス粉を除去するための洗浄工程を行うことが好ましい。
なお、本実施形態で用いる表面粗さは、原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)を用いて、1μm×1μmの範囲を測定した値である。また、本実施形態で用いる平坦度は、平坦度測定装置で測定した値であり、ガラス基板の表面の最も高い位置(P)と最も低い位置(V)との高低差(P−V値)である。
[端面研磨加工工程]
次に、端面研磨加工工程として、第2ラッピング工程を終えたガラス基板の外周端面及び内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工する。
[第1ポリッシング工程]
次に、第1ポリッシング工程として、ガラス基板の両表面を研磨加工する。第1ポリッシング工程では、図4から図6に示すようなオスカー研磨機20を用い、最終的に本実施形態に係るHDD用ガラス基板の形状を効率よく得ることができるようにガラス基板50を研磨する。オスカー研磨機20は、回転する下研磨皿21と、下研磨皿21の上方空間を水平方向(X←→X)に揺動する上研磨皿22とを備えている。そして、上下の研磨皿21,22の間に、ガラス基板50の外径よりも大きい内径を有するリング状冶具23に収容されたガラス基板50を配置して、ガラス基板50を自転させながら、ガラス基板50の両面を上下の研磨皿21,22で研磨する。
オスカー研磨機20では、上下の研磨皿21,22の間に研磨対象物であるガラス基板50を置いた状態で、研磨液を供給しながら、下研磨皿21を自転させ、上研磨皿22を左右に揺動させることで、ガラス基板50が上下の研磨皿21,22の形状を転写するように研磨される。条件によっては、ガラス基板50の自転を促すことができる。その結果、同心円の点対象形状のガラス基板50を製造することができる。すなわち、ガラス基板50の周方向の表面状態の変動を抑制することができる。本実施形態では、外径が2.5インチ(63.5mm)のガラス基板50を例にして説明するが、ガラス基板50の大きさに限定はない。
本実施形態では、上下の研磨皿21,22は直径が1000mmであり、対向するそれぞれの面に弾性に富むスウェード(図5(a)に下研磨皿21のスウェード24のみ図示)が貼り付けられている。図5(b)に示すような樹脂材料で製造したリング状冶具23(内径65mm、外径67mm、厚み0.5mm)にガラス基板50を遊嵌合して保持する。これを100セット下研磨皿21のスウェード24の上に置く。そして、上研磨皿22でガラス基板50を挟み込み、研磨液として、酸化セリウムやコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを供給しながら、下研磨皿21を自転させ、上研磨皿22を任意の範囲で左右に揺動させる。これにより、ガラス基板50は上下の研磨皿21,22の相対運動によってリング状冶具23内で自転し、両表面が周方向に研磨される。
ガラス基板50が連続的に自転した場合は、図7(a)に示すように、ガラス基板50の主表面51の周方向の平坦度が向上し、図7(c)に示すように、ガラス基板50の主表面51の周方向のTIRが小さくなる。一方、ガラス基板50が不連続的に自転した場合は、図7(b)に示すように、ガラス基板50の主表面51の周方向の平坦度が低下し、図7(c)に示すように、ガラス基板50の主表面51の周方向のTIRが大きくなる。なお、図7(c)の周方向TIRは、図7(a)及び図7(b)に破線で示すガラス基板の外周端部における値である。
ガラス基板50の主表面51の周方向のTIRは、例えば、白色光の干渉を利用して表面形状を測定する方式(例えば、Phase Shift Technology社製の「Optiflat」)や、被測定面に対して斜めにレーザー光を入射することで垂直入射方式に比べて高い反射率を得ることができ、粗い面形状においても測定が可能な方式(例えば、TROPEL社製の「Flat Master FM100XRA」)等により測定することができる。
[化学強化工程]
次に、化学強化工程として、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬することにより、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面に化学強化層(応力層)を形成する。ガラス基板の主表面に化学強化層を形成することにより、ガラス基板の反りや主表面の粗面化を防止することができる。ガラス基板の外周端面及び内周端面に化学強化層を形成することにより、ガラス基板の耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンで置換するイオン交換法により行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面が応力層によって強化される。ガラス基板の表面が応力層で強化される結果、ガラス基板の耐衝撃性がより一層改善される。
化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。通常、カリウムイオンを含む溶融塩又はカリウムイオンとナトリウムイオンとを含む溶融塩を用いることが一般的である。カリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融塩としては、カリウムやナトリウムの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。これらのなかでも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できるという観点から、硝酸塩を用いることが好ましい。
[外周端部研磨工程]
次に、外周端部研磨工程として、ガラス基板の外周端部の両面を研磨加工する。外周端部研磨工程では、図8(a)に示すような外周端部研磨機30を用い、最終的に本実施形態に係るHDD用ガラス基板の形状を得ることができるようにガラス基板50の外周端部を研磨する。外周端部研磨機30は、回転軸31と、上下一対の研磨パッド32,33とを備えている。そして、回転軸31に装着されて回転するガラス基板50の外周端部をガラス基板50の両面側から研磨パッド32,33で挟み込み、研磨パッド32,33が受ける反力からガラス基板50の外周端部の形状を検知し、検知結果に基いて研磨パッド32,33による挟み込み圧力を制御しながら、ガラス基板50の外周端部の反りや垂れが解消されて平坦になるように、ガラス基板50の外周端部の両面を上下一対の研磨パッド32,33で研磨する。
第1ポリッシング工程後のガラス基板50の表面を、例えば光学式欠陥検査装置(KLA社製の「OSA7120」)を用いることで、図9(a)、図9(b)、図9(c)に示すように、ガラス基板50の外周端部の反り返りの形状(反り)(図9(b))や、垂れ下りの形状(垂れ)(図9(c))を把握することができる。本実施形態では、図8(b)、図8(c)、図9(b)、図9(c)に示すように、ガラス基板50を両主表面51,51側から弾性に富む研磨パッド32,33で挟み込み、研磨液として、コロイダルシリカを砥粒として含有するスラリーを供給しながら、研磨を実行する。その際、回転しているガラス基板50の外周端部の垂れや反りの度合いを研磨パッド32,33に内蔵させた圧力センサー(図示せず)で読み取り、その結果に応じてガラス基板50の外周端部が反りや垂れが解消されて平坦になるように研磨パッド32,33の挟み込み圧力(つまり研磨加重)を部分的に調整する。これにより、ガラス基板50の外周端部の垂れ量や反り量(つまりガラス基板50の主表面51に定義された基準面からの高さのズレ量A)の周方向のバラツキXを小さくすることができる。
このような外周端部研磨工程は、ガラス基板50の大きさに拘らず、ガラス基板50の主表面51の記録領域を可能な限り最外周まで広げて使用する場合に、特に有効な手段となる。
前記オスカー研磨機20を用いた第1ポリッシング工程と、この外周端部研磨機30を用いた外周端部研磨工程とを含むHDD用ガラス基板の製造方法によれば、後述するように、HDD用ガラス基板50の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキXが小さく、かつ、HDD用ガラス基板50の外周端部の周方向のTIRが小さいHDD用ガラス基板50を良好に製造することができる。
[第2ポリッシング工程]
次に、第2ポリッシング工程として、化学強化工程後のガラス基板の両表面をさらに精密に研磨加工する。第2ポリッシング工程では、図2及び図3に示した、第1及び第2ラッピング工程で使用する両面研削機10と類似の構成の両面研磨機を使用する。
第2ポリッシング工程では、ダイヤモンドペレット13,14に代えて、第1ポリッシング工程で使用するスウェードよりも軟らかい硬度65から80(Asker−C)程度の軟質の研磨パッドを使用する。この研磨パッドは、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。
研磨液としては、第1ポリッシング工程と同様の酸化セリウム等を砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いることができる。ただし、ガラス基板の表面をより滑らかにするために、砥粒の粒径がより細かくバラツキが少ない研磨液を用いるのが好ましい。例えば、平均粒径が40nmから70nmのコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを研磨液として用いることが好ましい。水と砥粒との混合比率は、概ね1:9から3:7程度が好ましい。
上下の定盤によるガラス基板への加重は、90g/cmから110g/cmとするのが好ましい。また、上下の定盤の回転数は、15rpmから35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数よりも30%から40%程度遅くするのが好ましい。
第2ポリッシング工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板の主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板の主表面の面粗さRaを0.1nmまで小さくすることができる。
第2ポリッシング工程での研磨量は2μmから5μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすることにより、ガラス基板の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小なキズ痕といった微小欠陥を良好に除去することができる。
[洗浄工程]
次に、洗浄工程として、第2ポリッシング工程後のガラス基板をスクラブ洗浄する。ただし、スクラブ洗浄に限られず、ポリッシング工程後のガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればいずれの洗浄方法でも構わない。
スクラブ洗浄されたガラス基板に対して、必要により、超音波による洗浄及び乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をIPA(イソプロピルアルコール)等を用いて除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる処理である。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。
ガラス基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥等、ガラス基板の乾燥方法として一般的に知られたいずれの乾燥方法でも構わない。
[検査工程]
次に、検査工程として、ガラス基板のキズ、割れ、異物の付着等の有無を目視にて検査する。目視では判別できない場合は、光学表面アナライザ(例えば、KLA−TENCOL社製の「OSA6100」)を用いて検査を行う。
検査工程で良品と判別されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後、HDD用ガラス基板として出荷される。
<HDD用ガラス基板>
次に、前記のようにして製造されたHDD用ガラス基板について説明する。図10に示すように、本実施形態に係るHDD用ガラス基板50は、ガラス基板50の主表面51に定義された基準面からのガラス基板50の外周端部の高さのズレ量をAとしたときに、式(1)に従って算出されるAの周方向のバラツキXが3%以下である。
バラツキX(%)={(MAX−MIN)/(MAX+MIN)}×100…式(1)
(式(1)中、MAXはAの周方向の最大値、MINはAの周方向の最小値を表す。)
ここで、「ガラス基板50の主表面51に定義された基準面」とは、例えば、ガラス基板50の外周端部よりもガラス基板50の中心に近い位置にあるガラス基板50の主表面51上の任意の3点を含む面をいう。
具体的には、図11に例示するように、ガラス基板50の外径が2.5インチ(63.5mm)であるとして、ガラス基板50の中心Oから半径方向にr1(例えば22.25mm)の点とr2(例えば27.25mm)の点とr3(例えば31.27mm)の点とにおけるガラス基板50の主表面51の高さを接針式計測機を用いて測定する。r1における主表面51の高さとr2における主表面51の高さとを結び、得られた直線を基準面の高さとする。この基準面の高さからr3(ガラス基板50の外周端部)における主表面51の高さがどの程度ズレているかを測定する。r3における主表面51の高さがマイナス側にズレているときは、ガラス基板50の外周端部に垂れが残っており、プラス側にズレているときは、反りが残っていると判断される。
ズレ量Aは、つまり垂れ量又は反り量であって、この値が小さいほどガラス基板50は外周端部まで平坦であると判断される。そして、本実施形態では、このズレ量Aそれ自体を問題としているのではなく(ズレ量Aが小さいことに越したことはないが)、ズレ量Aの周方向のバラツキXを問題としている。そして、式(1)に従って算出されるバラツキXを3%以下に規定しているのである。
なお、周方向のバラツキXを算出するためのズレ量Aのサンプル数は8個程度が好ましい。また、ズレ量Aを測定する部位は、相互に等間隔であることが好ましい。例えば、ズレ量Aのサンプル数が8個の場合は、360度を8等分した45度間隔でズレ量Aを測定することが好ましい。
また、本実施形態に係るHDD用ガラス基板50は、ガラス基板50の外周端部の周方向のTIRが0.4μm以下である。
ここで、「ガラス基板50の外周端部の周方向のTIR」とは、例えば、ガラス基板50の外周端部の主表面51に最適にフィットした平面を最小二乗法で求め、ガラス基板50の外周端部の高さを周方向に測定し、高さが前記平面よりも上方にある最高点(P)と下方にある最低点(V)との差の絶対値(P−V値)をいう。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板50によれば、HDD用ガラス基板50の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキXが小さく、かつ、HDD用ガラス基板50の外周端部の周方向のTIRが小さいので、このHDD用ガラス基板50から製造されるHDD用磁気記録媒体もまた外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さくなり、かつ、外周端部の周方向のTIRが小さくなる。したがって、HDD用磁気記録媒体の外周端部における周方向の表面状態の変動が抑制され、HDD用磁気記録媒体の外周端部のヘッドクラッシュが抑制される。その結果、たとえ面記録密度が630Gb/平方インチ以上というような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、十分な記録領域の拡大が図られる。つまり、本実施形態に係るHDD用ガラス基板50は、HDD用磁気記録媒体の記録容量の増大要請に十分対応することができる。したがって、面記録密度が630Gb/平方インチ以上のHDD用磁気記録媒体の製造に十分良好に用いることができる。
本実施形態では、前記バラツキXは2%以下及び/又は前記周方向TIRは0.3μm以下が好ましい。HDD用ガラス基板50から製造されるHDD用磁気記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキがさらに小さくなり、及び/又は、HDD用磁気記録媒体の外周端部の周方向のTIRがさらに小さくなって、より一層十分な記録領域の拡大が図られるからである。
一方、前記バラツキXが3%を超えたり、前記周方向TIRが0.4μmを超えると、HDD用磁気記録媒体の外周端部のヘッドクラッシュが起き易くなり、リードライトエラーの発生数が急激に増大する。
本実施形態では、前記バラツキXや前記周方向TIRが測定される、ガラス基板50の外周端部は、図11に例示するように、ガラス基板50の半径をRとしたときに、ガラス基板50の中心Oから0.985Rの位置であることが好ましい。例えば、ガラス基板50の外径が2.5インチ(63.5mm)であれば、R=31.75mmであるから、ガラス基板50の中心Oから半径方向に31.27mmの位置r3において、前記バラツキXや前記周方向TIRを測定することが好ましい。HDD用ガラス基板50から製造されるHDD用磁気記録媒体の主表面の記録領域が記録媒体の最外部位である外周端面に近接する位置まで極めて広く確保されるからである。
<HDD用磁気記録媒体>
次に、前記HDD用ガラス基板50を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体について説明する。本実施形態に係るHDD用磁気記録媒体は、前記HDD用ガラス基板50の主表面51の上に記録層としての磁性膜が設けられたことにより製造されたものである。磁性膜は主表面51の上に直接に又は間接に形成されてよい。磁性膜はガラス基板50の片面に又は両面に形成されてよい。
磁性膜の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板50上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリングや無電解めっきにより形成する方法等が挙げられる。スピンコート法での膜厚は約0.3μm〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04μm〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05μm〜0.1μm程度であり、薄膜化及び高密度化の観点からは、スパッタリング法や無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜に用いる磁性材料としては特に限定はなく、従来公知のものが使用できる。なかでも、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本材料とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好適である。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が好ましい。
磁性膜は、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割し、ノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)としてもよい。
前記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系のものや、SiO、BN等からなる非磁性膜中に、Fe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散させた構造のグラニュラー等でもよい。
磁性膜は、内面型及び垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系等の溶媒で希釈したもの等が挙げられる。
本実施形態では、必要に応じて、記録層としての磁性膜の他に、下地層や保護層を設けてもよい。HDD用磁気記録媒体における下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。Coを主成分とする磁性膜の場合は、磁気特性の向上等の観点から、Cr単体やCr合金であることが好ましい。下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層とすることができる。
保護層は、磁性膜の摩耗や腐食を防止するために設けられる。保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これらの保護層は、下地層や磁性膜等と共に、インライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構造としてもよい。
前記保護層上に、あるいは前記保護層に代えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、前記保護層に代えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することにより、二酸化ケイ素(SiO)層を形成してもよい。
以上のように、基板として本実施形態に係るHDD用ガラス基板50を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体をHDDに用いることで、HDDの高速回転時の磁気ヘッドの動作を安定にすることができる。
すなわち、本実施形態に係るHDD用ガラス基板50を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体によれば、HDD用磁気記録媒体の外周端部の垂れ量や反り量の周方向のバラツキが小さく、かつ、HDD用磁気記録媒体の外周端部の周方向のTIRが小さいので、高速回転時の磁気ヘッドの動作を安定にすることができる。そのため、たとえ面記録密度が630Gb/平方インチ以上というような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、十分な記録領域の拡大が図られ、HDD用磁気記録媒体の記録容量の増大要請に十分対応できる。
なお、本実施形態では、ラッピング工程及びポリッシング工程は、2回に分けて行ったが、これに限らず、1回のみ行ってもよい。また、化学強化工程を第2ポリッシング工程の前に行ったが、状況に応じて第2ポリッシング工程の後に行ってもよい。また、状況に応じて化学強化工程を省略することもできる。
さらに、落下強度対策として、ガラス基板の主表面以外の外周端面や内周端面の強化を行ってもよいし、ガラス基板に生じたキズのエッジ緩和処理として、ガラス基板をHF浸漬処理に供してもよい。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板は、HDD用磁気記録媒体の製造用途に限定されるものではなく、例えば、光磁気ディスクや光ディスク等の製造用途にも用いることができる。
以下、実施例及び比較例を通して、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<HDD用磁気記録媒体の製造>
図1の製造工程に従って、アルミノシリケートガラスをガラス素材とする、外径が2.5インチ(63.5mm)、内径が20mm、厚みが0.83mmのHDD用ガラス基板を製造した。その場合、第1ポリッシング工程のオスカー研磨機20の研磨動作を種々制御することにより、及び、外周端部研磨工程の外周端部研磨機30の研磨動作を種々制御することにより、表1に示すように、前記バラツキX及び前記周方向TIRが相互に異なるガラス基板(実施例1〜4及び比較例1〜3)を製造した。
そして、ガラス基板を洗浄した後、ガラス基板の両主表面の上に磁性膜(記録層)を設けて磁気記録媒体とした。すなわち、ガラス基板側から、Cr合金からなる密着層、CoFeZr合金からなる軟磁性層、Ruからなる配向制御下地層、CoCrPt合金からなる垂直型磁気記録層、C系の保護層、及びF系からなる潤滑層を順次スパッタ装置により成膜することにより、垂直型記録形式のHDD用磁気記録媒体を製造した。総膜厚は約100nmであった。
<HDD用磁気記録媒体の評価>
作製した磁気記録媒体について、それぞれサンプル枚数を10,000枚として、リードライトエラーテストを行い、エラーの発生枚数を記録し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:エラー発生枚数が0〜5(申し分のない優良品質)
○:エラー発生枚数が6〜10(良品)
△:エラー発生枚数が11〜20(使用できないことはないが品質不良率が高い)
×:エラー発生枚数が21以上(不良品)
<結果の考察>
比較例1が結果に劣っていたのは、周方向TIRが0.4μmを超えていたためと考えられる。比較例2が結果に劣っていたのは、ズレ量のバラツキが3%を超えていたためと考えられる。比較例3がさらに結果に劣っていたのは、ズレ量のバラツキが3%を超え、かつ、周方向TIRが0.4μmを超えていたためと考えられる。これらに対し、ズレ量のバラツキが3%以下であり、かつ、周方向TIRが0.4μm以下であった実施例1〜4は、評価結果に優れていた。なかでも、ズレ量のバラツキが2%以下、及び/又は、周方向TIRが0.3μm以下であった実施例1〜3は、評価結果に特に優れていた。
10 両面研削機
20 オスカー研磨機
30 外周端部研磨機
50 ガラス基板
51 主表面

Claims (6)

  1. 面記録密度が630Gb/平方インチ以上のHDD用磁気記録媒体の製造に用いられるHDD用ガラス基板であって、
    垂れ形状のガラス基板の主表面に定義された基準面からのガラス基板の外周端部の垂れ量をAとしたときに、式(1)に従って算出されるAの周方向のバラツキXが3%以下であり、かつ、
    ガラス基板の外周端部の周方向のTIRが0.4μm以下であることを特徴とするHDD用ガラス基板。
    バラツキX(%)={(MAX−MIN)/(MAX+MIN)}×100…式(1)
    (式(1)中、MAXはAの周方向の最大値、MINはAの周方向の最小値を表す。)
  2. 面記録密度が630Gb/平方インチ以上のHDD用磁気記録媒体の製造に用いられるHDD用ガラス基板であって、
    反り形状のガラス基板の主表面に定義された基準面からのガラス基板の外周端部の反り量をAとしたときに、式(1)に従って算出されるAの周方向のバラツキXが3%以下であり、かつ、
    ガラス基板の外周端部の周方向のTIRが0.4μm以下であることを特徴とするHDD用ガラス基板。
    バラツキX(%)={(MAX−MIN)/(MAX+MIN)}×100…式(1)
    (式(1)中、MAXはAの周方向の最大値、MINはAの周方向の最小値を表す。)
  3. 前記バラツキXが2%以下及び/又は前記周方向TIRが0.3μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のHDD用ガラス基板。
  4. ガラス基板の外周端部は、ガラス基板の半径をRとしたときに、ガラス基板の中心から0.985Rの位置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板。
  5. 回転する下研磨皿と、下研磨皿の上方空間を水平方向に揺動する上研磨皿との間に、ガラス基板の外径よりも大きい内径を有するリング状冶具に収容されたガラス基板を配置して、ガラス基板を自転させながら、ガラス基板の両面を上下の研磨皿で研磨する研磨工程と、
    回転するガラス基板の外周端部をガラス基板の両面側から研磨パッドで挟み込み、ガラス基板の外周端部の垂れ量及び反り量を研磨パッドに内蔵された圧力センサーで検知し、検知結果に基いて研磨パッドによる挟み込み圧力を制御しながら、ガラス基板の外周端部の両面を研磨パッドで研磨する外周端部研磨工程とを含むことを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の主表面の上に記録層が設けられたことにより製造されたことを特徴とするHDD用磁気記録媒体。
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