JP2009193608A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板に付着した研磨剤や異物を確実に除去する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び該製造方法を用いて製造される情報記録媒体用ガラス基板を提供する。
【解決手段】洗浄工程の後、ガラス基板の表面に残留するセリウムの量を誘導結合プラズマ質量分析計により測定し、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、ガラス基板を不良品とする検査工程を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、情報記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体に関する。
従来、磁気ディスク用基板としては、デスクトップ用コンピュータやサーバなどの据え置き型にはアルミニウム合金が使用され、ノート型コンピュータやモバイル型コンピュータなどの携帯型にはガラス基板が一般に使用されていた。しかし、アルミニウム合金は変形しやすく、硬さも不十分であるため、アルミ合金を使用した基板は研磨後の基板表面の平滑性が十分とは言えなかった。またアルミ合金を使用した基板では、ヘッドが磁気ディスクに接触する際、磁性膜が基板から剥離しやすいという問題もあった。そこで、変形が少なく、平滑性が良好で、かつ機械的強度の大きいガラス基板が、携帯型のみならず据え置き型の機器やその他の家庭用情報機器にも今後広く使用されていくものと予測されている。
ところで、磁気ディスクの記録容量は、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との距離を小さくするほど大きくできる。しかし、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との距離を小さくした場合、ガラス基板の表面に異常突起があったり、異物の付着があったりすると、磁気ヘッドが磁気ディスク上の突起や異物に衝突する不具合が生じる。したがって、磁気ヘッドと磁気ディスク表面との距離を小さくして、磁気ディスクの記録容量を増大させるためには、ガラス基板の表面の異常突起や異物付着をなくす必要がある。そこでガラス基板表面を酸化セリウムなどの研磨剤を用いて研磨して、ガラス基板の平滑性を確保していた。
しかしセリウムを含む研磨剤を用いてガラス基板を研磨すると、セリウムがガラス基板表面に強固に付着してしまい、研磨後にスクラブ洗浄によってガラス基板表面を洗浄しても、強固に付着した研磨剤を完全に除去することは困難であった。また、従来の検査では、洗浄後のガラス基板表面を目視により、異物の残存を検査していたが、極微量の残存異物を確認するのは困難であった。そのため微量の研磨剤が残存したまま磁気記録層を形成する工程に入ることが多々あった。微量の研磨剤が付着した状態でガラス基板表面に磁気記録層を形成すると、膜にピンホールが発生したり、ヘッドの浮上特性が不安定になるといった磁気記録特性を著しく低下させるという問題が生じる。そのため、作製した磁気記録媒体は、廃棄され、生産性の低下、コストアップの要因となっていた。
そこでガラス基板の表面に付着した研磨剤等を除去するため、特許文献1では、研磨工程後に、洗剤による超音波洗浄、スクラブ洗浄、純水による超音波洗浄と3種類の洗浄を行うことが提案されている。また特許文献2では、スクラブ洗浄と炭酸ガス溶解水洗浄の組合せによりガラス基板を洗浄することが提案されている。
特開2002−74653号公報 特開2003−228824号公報
しかしながら、特許文献1では3種類の洗浄を行うため、洗浄工程が複雑化し、生産性が低下するおそれがある。また特許文献2では、ガス溶解度の維持管理設備の導入が必要であり、特許文献1と同様に洗浄工程が複雑化し、生産性が低下するおそれがある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗浄工程を複雑化させることなく、ガラス基板の表面に付着した研磨剤や異物を確実に除去する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び該製造方法を用いて製造される情報記録媒体用ガラス基板を提供することにある。
また本発明の別の目的は、磁気ヘッドと磁気記録媒体表面との距離を小さくすることができ、記録容量を大きくできる磁気記録媒体を提供することにある。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1.
ガラス基板の表面を、酸化セリウムを含む研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、該研磨工程後に前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
前記洗浄工程の後、前記ガラス基板の表面に残留するセリウムの量を誘導結合プラズマ質量分析計により測定し、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、前記洗浄工程後に再度、前記ガラス基板を洗浄することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
2.
前記情報記録媒体用ガラス基板が面内記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板であって、前記所定の値が、5.0ng/cm2以下であることを特徴とする1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
3.
前記情報記録媒体用ガラス基板が垂直記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板であって、前記所定の値が、1.0ng/cm2以下であることを特徴とする1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
4.
1乃至3の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造されたことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板。
5.
4に記載の情報記録媒体用ガラス基板の表面に磁性膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の表面に付着した研磨剤が確実に除去され、清浄な表面を持つ情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
また本発明の磁気記録媒体を用いることにより、磁気ヘッドと磁気記録媒体表面との距離を小さくすることができ記録容量を大きくできる。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
図1は、本発明に係わる情報記録媒体用ガラス基板(以降、ガラス基板とも称する。)1の全体構成を示している。図1に示す様に、ガラス基板1は、中心に穴5が形成されたドーナツ状の円板形状をしている。10tは外周端面、20tは内周端面、7aは表主表面、7bは裏主表面を示している。また、図2は、図1で示したガラス基板1の表主表面7aの上に磁性膜2を備えている磁気記録媒体(以降、磁気ディスクとも称する。)Dの一例を示す図である。磁性膜2は裏主表面7bの上にも設けることができる。
図3に本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の一実施例の製造工程図を示す。製造工程図の詳細については後述する。
本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法の特徴は、製造工程において、ガラス基板の表面を、酸化セリウムを含む研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、該研磨工程後に前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有し、前記洗浄工程の後、前記ガラス基板の表面に残留するセリウムの量を誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MSとも称する。)により測定し、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、洗浄工程後のガラス基板をもう一度洗浄工程に戻し、洗浄することである。
このように洗浄工程後にガラス基板表面に残留するセリウムの量をICP−MSを用い測定することにより、極微量のセリウム量を迅速に測定でき、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、そのロットで作製した情報記録媒体用ガラス基板を不良品として判断し、再度洗浄工程に戻す方法をとることができる。このようにして、確実にガラス基板表面を超清浄にした情報記録媒体用ガラス基板を作製することができる。また、不良となったロットのガラス基板を再度洗浄工程に戻すことで、廃棄ガラスを少なくすることができ、ガラス基板の有効利用ができるので生産性が向上する。このような方法により作成した情報記録媒体用ガラス基板に磁気記録層を形成することで、磁気ヘッドと磁気記録媒体表面との距離を小さくすることができ記録容量を大きくできる。また、磁気記録層を形成した後の不良品の発生が少なく、生産性が向上する。
また、本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における検査工程において、情報記録媒体用ガラス基板が面内記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板である場合には、洗浄後のガラス基板の表面に残存するセリウムの量が、5.0ng/cm2を越えるとき、そのロットのガラス基板をもう一度洗浄工程で洗浄することが好ましく、より好ましくは、2.0ng/cm2を越えると再度、洗浄するのが良い。このようにすることで、当該情報記録媒体用ガラス基板に磁気記録層を形成し、面内記録方式で磁気記録する場合に、磁気ヘッドが磁気記録媒体上の突起や異物に衝突する不具合の発生を抑えることができる。面内記録方式とは、基板と水平方向に磁化を記録する長手記録方式のことである。面内記録方式では、隣り合う磁化記録部分間に設けられた磁化遷移領域からの漏れ磁界を利用して、磁気ヘッドにより記録・再生を行っている。そのため後述する垂直記録方式よりは、記録密度が低く、100Gビット/平方インチ程度が限度である。
また、本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における検査工程において、情報記録媒体用ガラス基板が垂直記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板である場合には、洗浄後のガラス基板の表面に残存するセリウムの量が、1.0ng/cm2を越えるとき、そのロットのガラス基板をもう一度洗浄工程で洗浄することが好ましく、より好ましくは、0.5ng/cm2を越えると再度洗浄するのが良い。このようにすることで、当該情報記録媒体用ガラス基板に磁気記録層を形成し、垂直記録方式で磁気記録する場合に、磁気ヘッドが磁気記録媒体上の突起や異物に衝突する不具合の発生を抑えることができる。垂直記録方式とは、基板に対して垂直方向に磁気異方性を有する磁性体を記録層とし、基板に対して垂直方向に磁化を記録する方式ある。面内記録方式よりは、記録密度が高く、1Tビット/平方インチ程度が可能である。
また、ここで用いるICP−MSは、試料を高温プラズマ中に導き、プラズマのエネルギーによりイオン化した後、質量分析装置で定性、定量分析や同位対比の測定を行う装置であり、極微量の元素量を測定することができるもので、市販の装置を用いることができる。
なお、ICP−MSによる測定後に、その測定したセリウムの量が所定の値を超えて、ガラス基板をもう一度洗浄工程に戻す際に、ロット毎に戻す場合の説明をしたが、ロットの数量、測定の頻度については、特に制限はなく適宜決めて行うことができる。
情報記録媒体用ガラス基板の製造工程に関して図3の製造工程図を用いて詳しく説明する。
(ガラス溶融工程)
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、例えば、SiO2、Na2O、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO2、Al23、R2O(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;Li2O−SiO2系ガラス;Li2O−Al23−SiO2系ガラス;R’O−Al23−SiO2系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)などを使用することができる。中でも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
(プレス工程)
次に、プレス工程として、溶融ガラスを下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板前駆体を得る。なお、円板状のガラス基板前駆体は、プレス成形によらず、例えばダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
ガラス基板の大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチなど種々の大きさのガラス基板がある。また、ガラス基板の厚みにも限定はなく、2mm、1mm、0.63mmなど種々の厚みのガラス基板がある。
(コアリング加工工程)
プレス成形したガラス基板前駆体は、コアリング加工工程で、中心部に穴を開ける。穴開けは、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することで中心部に穴を開ける。
(第1ラッピング工程)
次に、第1ラッピング工程として、ガラス基板の両表面を研磨加工し、ガラス基板の全体形状、すなわちガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する。
(内・外径精密加工工程)
次に、内・外径径精加工工程として、ガラス基板の外周端面および内周端面を、例えば鼓状のダイヤモンド等の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
(端面研磨加工工程)
内・外径径精加工工程を終えたガラス基板を、複数積み重ねて、積層し、その状態で外周面及び内周面の研磨加工を、端面研磨機を用いて研磨する。
(第2ラッピング工程)
更に、ガラス基板の両表面を再び研磨加工して、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを微調整する。
第1及び第2ラッピング工程にてガラス基板の表裏の表面を研磨する研磨機は、両面研磨機と呼ばれる公知の研磨機を使用できる。両面研磨機は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤と下定盤とを備えており、互いに逆方向に回転する。この上下の定盤の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研磨するための複数のダイヤモンドペレットが貼り付けてある。上下の定盤の間には、下定盤の外周に円環状に設けてあるインターナルギアと下定盤の回転軸の周囲に設けてあるサンギアとに結合して回転する複数のキャリアがある。このキャリアには、複数の穴が設けてあり、この穴にガラス基板をはめ込んで配置する。上下の定盤、インターナルギア及びサンギアは別駆動で動作することができる。
研磨機の研磨動作は、上下の定盤が互いに逆方向に回転し、ダイヤモンドペレットを介して定盤に挟まれているキャリアは、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤の回転中心に対して下定盤と同じ方向に公転する。このような動作している研磨機において、研削液を上定盤とガラス基板及び下定盤とガラス基板との間に供給することでガラス基板の研磨を行うことができる。
この両面研磨機を使用する際、ガラス基板に加わる定盤の加重及び定盤の回転数を所望の研磨状態に応じて適宜調整する。第1及び第2ラッピング工程における加重は、60g/cm2から120g/cm2とするのが好ましい。また、定盤の回転数は、10rpmから30rpm程度とし、上の定盤の回転数を下の定盤回転数より30%から40%程度遅くするのが好ましい。定盤による加重を大きくし、定盤の回転数を速くすると研磨量は多くなるが、加重を大きくしすぎると面粗さが良好とならず、また、回転数が速すぎると平坦度が良好とならない。また加重が小さく定盤の回転数が遅いと研磨量が少なく製造効率が低くなる。
第2ラッピング工程を終えた時点で、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥は除去され、ガラス基板の主表面の面粗さは、Rmaxが2μmから4μm、Raが0.2μmから0.4μm程度とするのが好ましい。このような面状態にしておくことで、次の化学強化工程を経て第1ポリッシング工程で研磨を効率よく行うことができる。
尚、第1ラッピング工程では、第2ラッピング工程を効率よく行うことができるように大まかに大きなうねり、欠け、ひびを効率よく除去する。このため、第2ラッピングで使用する粗さ#1300メッシュから#1700メッシュより粗い#800メッシュから#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレットを使用するのが好ましい。第1ラッピング工程が完了した時点での面粗さは、Rmaxが4μmから8μmで、Raが0.4μmから0.8μm程度とするのが好ましい。
また、ガラス基板を研磨する方法として、上下の定盤の研磨面にパッドを貼り付け、研磨剤を含む研磨液を供給して研磨する方法を用いることもできる。研磨剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マンガン、コロイダルシリカ、ダイヤモンドなどが挙げられる。これらを水で分散化してスラリー状として使用する。パッドは硬質パッドと軟質パッドとに分けられるが、必要に応じて適宜選択して用いることができる。硬質パッドとしては、硬質ベロア、ウレタン発泡、ピッチ含有スウェード等を素材とするパッドが挙げられ、軟質パッドとしては、スウェードやベロア等を素材とするパッドが挙げられる。
パッドと研磨剤を使用する研磨方法は、研磨剤の粒度やパッドの種類を変えて、粗研磨から精密研磨まで対応することができる。よって、第1ラッピング工程と第2ラッピング工程で、効率よく大きなうねり、欠け、ひび等を除去し上記の面粗さを得ることができる様に研磨材、研磨材の粒度、パッドを適宜組み合わせて対応することができる。
また、第1及び第2ラッピング工程の後、ガラス基板の表面に残った研磨剤やガラス粉を除去するための洗浄工程を行うことが好ましい。
尚、第1ラッピング工程及び第2ラッピング工程で使用する研磨機は、同一構成ではあるがそれぞれの工程専用に用意された別の研磨機を用いて研磨加工を行うのが好ましい。これは、専用のダイヤモンドペレットを貼り付けているため交換が大掛かりな作業となり、また、研磨条件を再設定する等の煩雑な作業が必要となり、製造効率が低下するためである。
(化学強化工程)
第2ラッピング工程の次に、化学強化工程として、化学強化液にガラス基板を浸漬してガラス基板に化学強化層を形成する。化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の表面が強化される。
化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。通常、カリウムイオンを含む溶融塩又はカリウムイオンとナトリウムイオンをふくむ溶融塩を用いることが一般的である。カリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融塩としては、カリウムやナトリウムの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。中でも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できるという観点からは、硝酸塩を用いることが好ましい。
化学強化処理液は、上記の成分が融解する温度よりも高温になるよう加熱される。一方、化学強化処理液の加熱温度が高すぎると、ガラス基板の温度が上がりすぎ、ガラス基板の変形を招く恐れがある。このため、化学強化処理液の加熱温度はガラス基板のガラス転移点(Tg)よりも低い温度が好ましく、ガラス転移点−50℃よりも低い温度とすることが更に好ましい。
なお、加熱された化学強化処理液に浸漬される際の熱衝撃によるガラス基板の割れや微細なクラックの発生を防止するため、化学強化処理液への浸漬に先立って、予熱槽でガラス基板を所定温度に加熱する予熱工程を有していても良い。
化学強化層の厚みとしては、ガラス基板の強度向上とポリッシング工程の時間の短縮との兼ね合いから、5μm〜15μm程度の範囲が好ましい。強化層の厚みがこの範囲の場合、平坦度、機械的強度である耐衝撃性が良好なガラス基板とすることができる。
化学強化工程後の表主表面7a及び裏主表面7bの外周端部の形状は、化学強化工程前とほとんど変わらず、上記の5μm〜15μm程度の化学強化層がガラス基板の表面全体にほぼ一様に載った状態となる。
(研磨工程)
次に、研磨工程としてのポリッシング工程を行う。
ポリッシング工程では、ガラス基板の表面を精密に仕上げると伴に主表面の外周端部の形状を所定の形状に研磨する。ポリッシング工程は1工程でも良いが、2工程の方が好ましい。
まず、第1ポリシング工程では、第2ポリッシング工程で最終的に必要とされる面粗さを効率よく得ることができるように、面粗さを向上させるとともに最終的に本発明の形状を効率よく得ることができる研磨を行う。
研磨の方法は、ラッピング工程で使用したダイヤモンドペレットと研削液に代えて、パッドと研磨液を使用する以外は第1及び2ラッピング工程で使用した研磨機と同一の構成の研磨機を使用する。
パッドは硬度Aで80から90程度の硬質パッドで例えば発泡ウレタンを使用するのが好ましい。パッドの硬度が研磨による発熱により柔らかくなると研磨面の形状変化が大きくなるため硬質パッドを用いるのが好ましい。研磨材は、粒径が0.6μmから2.5μmの酸化セリウムを使用し、水に分散させてスラリー状にして用いるのが好ましい。水と研磨剤との混合比率は、概ね1:9から3:7程度が好ましい。
定盤によるガラス基板への加重は、90g/cm2から110g/cm2とするのが好ましい。定盤によるガラス基板への加重は、外周端部の形状に大きく影響する。加重を大きくしていくと、外周端部の内側が下がり外側に向かって上がる傾向を示す。また、加重を小さくしていくと、外周端部は平面に近くなるとともに面ダレが大きくなる傾向を示す。こうした傾向を観察しながら加重を決めることができる。
また、面粗さを向上させるために、定盤の回転数を25rpmから50rpmとし、上の定盤の回転数を下の定盤回転数より30%から40%遅くするのが好ましい。
上記の研磨条件により研磨量を30μmから40μmとするのが好ましい。30μm未満では、キズや欠陥を十分に除去ができない。また40μmを超える場合は、面粗さをRmaxが2nmから60nm、Raが2nmから4nmの範囲とすることができるが、必要以上に研磨を行うことになり製造効率が低下する。
第2ポリッシング工程は、第1ポリッシング工程後のガラス基板の表面を更に精密に研磨する工程である。第2ポリッシング工程で使用するパッドは、第1ポリッシング工程で使用するパッドより柔らかい硬度65から80(Asker−C)程度の軟質パッドで、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。研磨材としては、第1ポリッシング工程と同様の酸化セリウム等を用いることができるが、ガラス基板の表面をより滑らかにするため、粒径がより細かくバラツキが少ない研磨剤を用いるのが好ましい。粒径の平均粒子径が40nmから70nmの研磨剤を水に分散させてスラリー状にして研磨液として用い、水と研磨剤との混合比率は、1:9から3:7程度が好ましい。
定盤によるガラス基板への加重は、90g/cm2から110g/cm2が好ましい。定盤によるガラス基板への加重は、第1ポリッシング工程と同様に外周端部の形状に大きく影響するが、研磨速度が遅いため第1ポリッシング工程ほど効率的に形状を変化させることはできない。加重の加減による外周端部の形状の変化は、第1ポリッシング工程と同様であり、加重を大きくしていくと、外周端部の内側が下がり外側に向かって上がる傾向を示す。また、加重を小さくしていくと、外周端部は平面に近くなるとともに面ダレが大きくなる傾向を示す。外周端部の形状を得るために、こうした傾向を観察しながら加重を決めることができる。定盤の回転数を15rpmから35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数より30%から40%遅くするのが好ましい。
上記の様に第2ポリッシング工程での研磨条件を調整して外周端部の形状を得ると伴に、面粗さをRmaxが2nmから6nm、Raが0.2nmから0.4nmの範囲とすることができる。
研磨量は2μmから5μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすると、表面に発生した微小な荒れやうねり、これまでの工程で生じた微小な傷痕といった微小な欠陥を効率良く除去することができる。
(洗浄工程)
次に、研磨工程であるポリッシング工程を終えた後に洗浄工程としてスクラブ洗浄を行う。特に、スクラブ洗浄に限定するものではなく、研磨工程後のガラス基板表面を清浄にできる洗浄方法であれば良い。
スクラブ洗浄装置の一例を図4に示す。図4のスクラブ洗浄装置は、圧接する一対の回転ローラであるスポンジローラ10a,10bのニップ部でガラス基板1を挟み込み、上部に配設されたノズル20から洗浄液30をスポンジローラ10a,10bとガラス基板1との接触部近傍に滴下又はスプレー噴霧しながら、前記一対のスポンジローラ10a,10bを互いに逆方向に回転させると同時に、ガラス基板1も回転させることによりガラス基板1の表裏面全体を洗浄するものである。
スクラブ洗浄の洗浄条件としては、2つのローラ10a,10bの回転数はそれぞれ同一でもよいし、必要に応じてそれぞれ異なる回転数としても構わない。ローラの回転数としては一般に100〜1000rpmの範囲であり、より好ましくは300〜500rpmの範囲である。またガラス基板1の回転数としては一般に50〜500rpmの範囲であり、より好ましくは100〜300rpmの範囲である。洗浄液30の供給速度は一般に10〜1000ml/分の範囲、より好ましくは50〜500ml/分の範囲である。スクラブ洗浄の時間は一般に5〜150秒の範囲、より好ましくは10〜100秒の範囲である。
なお、スクラブ部材としては図1に示したスポンジローラの他、従来公知のブラシやパッドなどを用いてももちろん構わない。
スポンジローラ10a,10bとしては、特に限定されず、例えば、セルローススポンジ、ポリビニルアルコールスポンジ、ウレタンフォーム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)スポンジ、メラミンフォーム、ポリエチレンフォーム等の樹脂系スポンジ、天然ゴム(NR)スポンジ、クロロプレンゴム(CR)スポンジ、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)スポンジ、ブタジエン−アクリロニトリルゴムスポンジ等のゴム系スポンジ等で構成することができる。この中でも、スポンジ部分は、樹脂系スポンジで構成、すなわち樹脂を主材料として構成されているのが好ましい。また、前記樹脂は、ポリウレタン、メラミン樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーであるのが好ましい。これにより、スポンジ部分による汚れ等の保持能力および洗浄液の担持能力をより優れたものとすることができ、また、ガラス基板との接触面積も多くなり、より、汚れの除去能力があがる。
また、スポンジ部分は、隣接する空孔同士が連通しているのが好ましい。これにより、スポンジ部分を構成する多孔質体の空孔内により多くの汚れや洗浄液等を収容して、スポンジ部分による汚れ等の保持能力および洗浄液の担持能力をより優れたものとすることができる。
スポンジ部分の空孔率が、20〜80%であるのが好ましく、30〜70%であるのがより好ましい。これにより、スポンジ部の強度や弾性等の特性を所望のものとしつつ、スポンジ部による汚れ等の保持能力および洗浄液の担持能力をより優れたものとすることができる。
スポンジ部分は、その硬度が30〜70°であるのが好ましく、35〜55°であるのがより好ましい。これにより、スポンジ部分の強度や弾性等の特性を所望のものとしつつ、スポンジ部分による汚れ等の保持能力および洗浄液の担持能力をより優れたものとすることができる。なお、ここで、硬度とは、JIS K7312に準拠して測定されたものをいう。
洗浄液としては、市販の洗浄液を用いることができ、特に限定しないが、例えば、KOHとNaOHを100:100に混合した薬液を超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加した洗浄液を用いることができる。
また、ガラス基板表面の研磨剤や異物などを効果的に除去するには、スクラブ洗浄を行う前に前述の洗浄液と同じ液体にガラス基板を接触させておくのが好ましい。接触させておく時間については特に限定はないが、ガラス基板表面に強固に付着した研磨剤や異物を、液体による若干の浸食作用によっては浮き上がらせるためには10分間以上接触させるのが好ましい。一方、ガラス基板の液体への接触時間が長いほど研磨剤や異物のガラス基板表面からの除去は容易となるが、ガラス基板の生産性が低下するので、好ましい接触時間は5〜30分間の範囲である。またガラス基板表面に異物が付着するのを防止する観点からは、スクラブ洗浄直前までガラス基板を液体と接触させておくことが推奨される。
ガラス基板表面を液体と接触させる形態としては、液体を貯溜した容器内にガラス基板を浸漬する形態や、ガラス基板に対して液体を散水する形態、液体を含浸させた布をガラス基板に被覆する形態など従来公知の形態を採用することができる。この中でも、ガラス基板表面全体が確実且つ均一に液体と接触できる点で、ガラス基板を液体に浸漬させる形態が好ましい。
このようにして、スクラブ洗浄がなされ、ガラス基板表面に付着した研磨剤や異物が除去される。
スクラブ洗浄がなされたガラス基板に対して、必要により超音波による洗剤洗浄および乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板表面に残る洗浄液をIPA等を用いて除去し、基板表面を乾燥させる。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に、水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄工程を2分間行し、基板上の水を除去する。最後に、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥工程を2分間行い、基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥などガラス基板の乾燥方法として一般的に知られた方法であってももちろん構わない。
(ICP−MS測定)
次に洗浄工程後のガラス基板の1枚を取り出し、ICP−MSを用いて、セリウムの量を測定する。ICP−MSとしては、VGエレメンタル社製のPQ−Ωを用いることができる。測定したセリウムの量から、ガラス基板表面の単位面積当たりのセリウム量に換算する。製造する情報記録媒体用ガラス基板が、面内記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板の場合、測定したセリウムの量が5.0ng/cm2を越える場合は、不良品と判断し、同じ洗浄工程で洗浄したロットのガラス基板を再度、洗浄工程に戻し洗浄する。また、製造する情報記録媒体用ガラス基板が、垂直記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板の場合、測定したセリウムの量が1.0ng/cm2を越える場合は、不良品と判断し、同じ洗浄工程で洗浄したロットのガラス基板を再度、洗浄工程に戻し洗浄する。垂直記録方式の情報記録媒体は、面内記録方式の情報記録媒体よりも、記録密度が高く、かつ、記録ヘッドのフライングハイトも低いため、洗浄後の情報記録媒体用ガラス基板の表面の清浄度は、高いレベルのものが要求される。面内記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板である場合、該情報記録媒体用ガラス基板の表面の測定したセリウムの量が2.00ng/cm2を越える場合に再度、洗浄工程に戻し、洗浄するのが更に好ましい。また、垂直記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板である場合、該情報記録媒体用ガラス基板の表面の測定したセリウムの量が0.50ng/cm2を越える場合に再度、洗浄工程に戻し、洗浄するのが更に好ましい。
なお、測定したセリウムの量が所定量を超えた際には研磨工程から再加工を行うようにしても良い。これは、測定したセリウムの量が異常に多く測定される場合に、洗浄工程に戻すだけでは、取りきれない場合があり、研磨工程に戻すことにより確実に除去できる。
(検査工程)
検査工程では、目視によるキズ、割れや異物の付着等の検査を行う。
検査工程で良品と判断されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、ガラス基板収納カセットに収納され、真空パックされた後、情報記録媒体用ガラス基板として出荷される。
次に、上記のようにして作製したガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
以下、図面に基づき磁気記録媒体について説明する。
図2は磁気記録媒体の一例である磁気ディスクの斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の情報記録媒体用ガラス基板1の表面に磁性膜2を直接形成されている。磁性膜2の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリング、無電解めっきにより形成する方法が挙げられる。スピンコート法での膜厚は約0.3μm〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04μm〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05μm〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からはスパッタリング法および無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜に用いる磁性材料としては、特に限定はなく従来公知のものが使用できるが、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金などが好適である。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiOなどが挙げられる。磁性膜は、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割しノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTaなど)としてもよい。上記の磁性材料の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性膜は、内面型および垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により下地層や保護層を設けてもよい。磁気ディスクにおける下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Niなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。Coを主成分とする磁性膜の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層としてもよい。
磁性膜の摩耗や腐食を防止する保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層などが挙げられる。これらの保護層は、下地層、磁性膜など共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構成としてもよい。なお、上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して二酸化ケイ素(SiO2)層を形成してもよい。
上記の様にして得られる本発明の情報記録媒体用ガラス基板を基体とした磁気記録媒体を用いることで、高速回転時の磁気ヘッドの動作を安定にすることができる。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板は、磁気記録媒体に限定されるものではなく、光磁気ディスクや光ディスクなどにも用いることができる。
(実施例1〜8)
(1)ガラス溶融、プレス工程
ガラス材料としてTgが480℃のアルミノシリケートガラスを用い、溶融ガラスをプレス成形してブランク材(外径68mm、厚さ1.3mm)を作製した。
(2)コアリング工程
次に円筒状のダイヤモンド砥石を用いてガラス基板の中心部に円穴(直径18mm)を開けた。
(3)第1ラッピング工程
ガラス基板の両表面を研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨した。
研磨条件としては、ダイヤモンドペレットとしては、#1200メッシュを用い、荷重100g/cm2とし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。
得られたガラス基板の厚さは、0.9mm、表面粗さはRmaxが1.5μm、Raが1.0μmであった。
(4)内・外径精密加工工程
鼓状のダイヤモンド砥石により内・外径加工をい、内径20mm、外径65mmとした。
(5)端面加工工程
内・外加工工程を終えて得られたガラス基板を100枚重ね、端面研磨機を用いて、内周及び外周の端面を研磨した。
研磨機のブラシ毛は、直径0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、粒径3μmの酸化セリウムを用いた。得られたガラス基板の内周の端面の面粗さは、Rまxが0.3μm、Raが0.03μmであった。
(6)第2ラッピング工程
ガラス基板の両表面を研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨した。
研磨条件としては、ダイヤモンドペレットとしては、#1200メッシュを用い、荷重100g/cm2とし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。
得られたガラス基板の表面粗さはRmaxが3μm、Raが0.3μmであった。
(7)化学強化工程
次に、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬して化学強化工程を行った。化学強化処理液には、硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)の混合溶融塩を用いた。混合比は質量比で1:1とした。また、化学強化処理液の温度は400℃、浸漬時間は40分とした。
(8)研磨工程
次に、化学強化工程後のガラス基板を100枚毎のロットとして研磨工程で研磨した。研磨工程の第1ポリッシング工程として、研磨機(HAMAI社製)を用い、パッドに硬度Aで80度の発泡ウレタンを用いた。研磨材は、平均粒径1.5μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリー状にして用いた。水と研磨剤との混合比率は、2:8とした。荷重100g/cm2とし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。研磨量を30μmとした。
得られたガラス基板の表面粗さはRmaxが30nm、Raが3nmであった。
次に第2ポリッシング工程として、研磨機(HAMAI社製)を用い、パッドに硬度Aで70度の発泡ウレタンを用いた。研磨材は、平均粒径60nmの酸化セリウムを水に分散させてスラリー状にして用いた。水と研磨剤との混合比率は、2:8とした。荷重90g/cm2とし、上定盤の回転数30rpm、下定盤の回転数10rpmとした。研磨量を3μmとした。
得られたガラス基板の表面粗さはRmaxが5nm、Raが0.3nmであった。
(9)洗浄工程
第2ポリッシング工程の終了後、図4に示した洗浄装置でガラス基板を100枚毎のロットとしてスクラブ洗浄を行った。洗浄液としては、KOHとNaOHを100:100に混合した薬液を超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加した洗浄液を用い、スクラブ洗浄を行った。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって、スクラブ洗浄開始3秒前からスクラブ洗浄終了時まで連続して、毎分100mlの量を供給した。スクラブ部材のスポンジとしては、ポリビニルアルコールスポンジを用いた。空隙率は、50%で、硬度は、45°(JIS K7312)であった。
各ロットのスクラブ洗浄時間を変えて、実施例1〜8とした。次にガラス基板表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を2分間、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄工程を2分間、超音波槽で行い、その後、IPA蒸気により表面を乾燥させた。
(10)ICP−MS測定
洗浄工程後の同一ロットのガラス基板100枚の内の1枚のガラス基板表面のセリウムの量をICP−MS(VGエレメンタル社製PQ−Ω)を用いて測定した。測定結果を実施例1〜8の1回目の洗浄工程後の検出セリウム量として、表1に示す。この測定した値が、表1に示す所定の値を超えた場合、再度、同一ロットのガラス基板99枚を洗浄工程に戻し、洗浄し、情報記録媒体用ガラス基板を作成した。2回目の洗浄工程を終えた後、ICP−MS(VGエレメンタル社製PQ−Ω)を用いて、同一ロットのガラス基板99枚の内の1枚のガラス基板表面のセリウム量を測定した。測定結果を2回目洗浄後に検出したセリウム量として表1に示す。
(比較例1、2)
実施例1において、ICP−MS(VGエレメンタル社製PQ−Ω)によるガラス基板表面に残存するセリウムの量の測定を行わず、特開2003−228824号公報に開示された洗浄方法を1回行った他は、実施例1同様にして比較例1と2の情報記録媒体用ガラス基板をそれぞれ98枚を作成した。具体的には、実施例1の洗浄工程において、スクラブ洗浄時に炭酸ガス溶解水(比電気抵抗:5MΩ・cm)をシャワーノズルから吹き付けることを行った。
(磁気記録媒体の作製)
実施例1〜8と比較例1、2のそれぞれガラス基板98枚に磁性膜を設けて磁気記録媒体とした。磁性膜は、ガラス基板側から、Ni−Alからなる下地層(厚み約100nm)、Co−Cr−Ptからなる記録層(厚み20nm)、DLC(Diamond Like Carbon)からなる保護膜(厚み5nm)を順次積層した
(評価)
作製したガラス基板をハードディスクドライブに装填し、それぞれの記録方式で読み込み、書き込みのテストを行い、その間にヘッドクラッシュの発生の有無を評価した。この時の面内記録方式の書き込み密度は、50Gビット/平方インチであり、垂直記録方式の書き込み密度は、0.5Tビット/平方インチであった。実施例1〜8と比較例1、2のそれぞれ98枚の磁気記録媒体の中で、5枚以上にヘッドクラッシュの発生が認められるものを×、1から4枚を○、0枚を◎とした。評価結果を表1に示す。4枚以内であれば実用上問題ないレベルである。
Figure 2009193608
表1の実施例1〜8と比較例1、2の結果を比較すると、スクラブ洗浄方法と炭酸ガス溶解水を同時に用いた従来の洗浄方法では、十分な洗浄ができなかったの比べ、本発明である洗浄後のガラス基板の表面に残留するセリウムの量をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)により測定し、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、洗浄工程後のガラス基板をもう一度洗浄工程に戻し、洗浄する方法を用いることで、確実な洗浄を行うことができ、磁気記録媒体としたときにヘッドクラッシュの少ない良好な製品を得られることがわかる。
また、実施例1〜4の結果から、記録方式が面内記録方式の場合には、所定の値を5.0ng/cm2以下、より好ましくは、2.0ng/cm2以下に設定することにより、よりヘッドクラッシュの少ない製品が得られることがわかる。
また、実施例5〜8の結果から、記録方式が垂直記録方式の場合には、所定の値を1.0ng/cm2以下、より好ましくは、0.5ng/cm2以下に設定することにより、よりヘッドクラッシュの少ない製品が得られることがわかる。
情報記録媒体用ガラス基板の全体構成を示す図である。 情報記録媒体用ガラス基板の表主表面の上に磁性膜を備えている磁気記録媒体の例を示す図である。 情報記録媒体用ガラス基板の製造における工程を説明する製造工程図である。 スクラブ洗浄装置の一例を示す概説図である。
符号の説明
1 情報記録媒体用ガラス基板(ガラス基板)
2 磁性膜
5 穴
7a 表主表面
7b 裏主表面
10t 外周端面
20t 内周端面
10a、10b スポンジローラ
20 ノズル
30 洗浄液
D 磁気ディスク

Claims (5)

  1. ガラス基板の表面を、酸化セリウムを含む研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、該研磨工程後に前記ガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
    前記洗浄工程の後、前記ガラス基板の表面に残留するセリウムの量を誘導結合プラズマ質量分析計により測定し、その測定したセリウムの量が所定の値を超える場合、前記洗浄工程後に再度、前記ガラス基板を洗浄することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記情報記録媒体用ガラス基板が面内記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板であって、前記所定の値が、5.0ng/cm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記情報記録媒体用ガラス基板が垂直記録方式の情報記録媒体に用いるガラス基板であって、前記所定の値が、1.0ng/cm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造されたことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板。
  5. 請求項4に記載の情報記録媒体用ガラス基板の表面に磁性膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
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