JP2009087409A - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法及び磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】円環状の磁気記録媒体用ガラス基板の端面において、傷の発生を抑制することを課題とする。
【解決手段】円環状の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、ガラス素板をディスク上のガラス基板11に加工する際に、レーザスクライブにより外形形成し、球芯研磨により面取面形成を行うので、平坦面14,17及び面取面15、18において傷のない磁気記録媒体用ガラス基板を得ることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンピュータ等の記録媒体として用いられる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法および磁気記録媒体に関するものである。
従来、ハードディスクドライブ(HDD)等に用いられている磁気記録媒体の一つである磁気ディスク用の基板としては、アルミニウム基板が広く用いられてきた。しかしながら、磁気ディスクの小型・薄型化及び高密度記録化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板に徐々に置き換わりつつある。
ガラス基板を用いた磁気ディスクにおける大きな課題の一つにガラス基板表面の高清浄化がある。ガラス基板表面に異物が付着していると、ガラス基板表面上に形成する薄膜の膜欠陥の原因となる。また、磁気ディスクの記録密度を向上させるために磁気抵抗型ヘッドのフライングハイト(浮上高さ)を低くした状態で、表面に異物が付着しているガラス基板を用いた磁気ディスクを再生した場合、再生の誤動作又は再生が不可能になることがあり、問題となっている。
これは、磁気ディスク表面にガラス基板上の異物(ガラスパーティクル等)によって凸部が形成され、その凸部がサーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)障害を引き起こしていることに起因する。
サーマル・アスペリティ障害とは、磁気ディスク面上の微小な凸部又は凹部の上を磁気ヘッドが浮上飛行しながら通過するときに、空気の断熱圧縮又は接触により磁気抵抗効果型素子が加熱され、読み出しエラーを生じる障害である。従って磁気抵抗型ヘッドに対しては、磁気ディスク表面は極めて高度な平滑度及び平坦度が求められる。また塵埃や異物が付着したまま磁性層を形成すると凸部が形成されてしまうため、ガラス基板には、凹凸をなくすための発塵の防止、異物の除去をする高度な洗浄が求められている。
上述したような磁気ディスク用ガラス基板表面に異物が付着する原因は、主に、ガラス端面にある傷(ヒビ、カケ)にあることがわかっている。この端面における傷(ヒビ、カケ)は、ガラス基板をカッターやドリルで形状加工する際に発生するものである。ガラス基板の端面にこの傷(ヒビ、カケ)が残っていると、傷にパーティクルが捕捉され、捕捉されたパーティクルは、後工程においてガラス基板の表面に付着することがある。
さらには、ガラス基板の端面に傷があると、ガラス基板の強度が低下する。つまり、端面に傷(ヒビ、カケ)があるガラス基板に小さな衝撃が加えられると、その衝撃により、傷からワレが発生することがある。
このような端面の傷を低減させる目的で、ガラス基板の外形形成をした後に、遊離砥粒を含有した研磨剤を用いて端面を回転ブラシで研磨することにより、ガラス基板の端面から傷を除去することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平11−221742号公報
しかしながら、上記従来の方法では、ダイヤモンド電着砥石等を用いたコアリングやスクライブによって形状加工をしており、その際にはガラス端面からガラス内部に向かって多方向にクラックが発生する。それに続く面取面の形成では、ダイヤモンド砥粒を用いて面取り加工を施すので、その際にもクラックが面取面から多方向に発生する。
このような、多方向に発生したクラックを回転ブラシによる研磨工程で完全に除去するのは困難である。特に、回転ブラシでは、面取面を十分に研磨することはできないのが現状である。
以下、上記従来の方法における各工程について説明する。まず、コアリングまたはスクライブによるガラスの形状加工について説明する。図6は、コアドリルを用いて円盤状のガラス基板71の中心部に円穴をあける加工を説明するための図である。ガラス基板71は、ダイヤモンド砥粒が電着された砥石72を先端に有する円筒状のコアドリル73により、穴あけされる。同図(a)は、上から見た平面図を示しており、同図(b)は、ガラス基板71の中心を通り、ガラス基板71の主表面に垂直な面における断面図である。コアリングは、コアドリル73を回転させながら、砥石72によりガラスを削り、ガラス基板71に円穴をあけるものである。ガラスを削っている際の、砥石72の拡大図を同図(c)に示す。コアドリルでガラスを削る際には、ガラス内部の多方向にクラック74が発生する。なお、ガラス基板71の外周を切り出す際も、同様の砥石を先端に有するガラスカッター等で切り出すので、同様に、加工の際にガラス内部の多方向にクラックが発生する。
次に、スクライブによるガラスの形状加工について説明する。図7は、砥石を用いたスクライブにより円盤状のガラス基板71の中心部に円穴をあける加工を説明するための図である。ガラス基板71には、ダイヤモンド砥粒が電着された砥石75により、円穴の形状に沿ってクラックが入れられる。同図(a)は、上から見た平面図を示しており、同図(b)は、ガラス基板71の中心を通り、ガラス基板71の主表面に垂直な面における断面図である。砥石75により円穴の形状に沿ってガラス基板71にクラックをいれた後、ホットプレスにより、円穴となる部分のガラスを除去する。ガラスにクラックを入れる際の、砥石75の拡大図を同図(c)に示す。クラックを入れる際に、ガラス内部には多方向にクラック74が発生する。
このように、砥石用いた通常のコアリングまたはスクライブによるガラス加工においては、加工の際に、ガラス内部の多方向にクラックが発生する。
次に、ダイヤモンド砥粒を用いた面取り加工について図8および図9を用いて説明する。ガラス基板の端面に面取り加工を施すフォーミング工程は、円盤状のガラス基板の中心に円穴81を形成した円環状のガラス基板80に対して施される。円環の中心を通り、主表面に垂直な面での断面図を図8(a)に示す。
図8(b)に示すように、円穴81に研削手段としての内側砥石90を挿通し、ガラス基板80の外側にも研削手段としての外側砥石91を配置している。内側砥石90と外側砥石91は、不図示の加圧手段によりガラス基板80を半径方向に挟み込むように加圧する。内側砥石90および外側砥石91はプーリー状の回転砥石であって、外周面に後述する研削面を備えている。ガラス基板80、内側砥石90および外側砥石91はそれぞれ不図示の駆動手段によって回転駆動され、その回転方向はそれぞれの接点で対向する方向となるように設定している。なお、図においてガラス基板80の支持機構および回転駆動機構は省略している。
そしてガラス基板80の内周端面82および外周端面83を研削することにより、図8(c)に示すように、それぞれに面取部82a、83aを形成する。
図9は研削位置の要部拡大図であるが、内側砥石90と外側砥石91とでは説明が重複するため、ここでは外側砥石91のみについて説明する。外側砥石91の基材91aの外周面は、外周端面83の厚み方向の中央部に平坦部を形成するための中央平坦部92aと、面取部83aを形成するための傾斜部92bとが形成されている。これら中央平坦部92aおよび傾斜部92bの表層には、砥粒の例としてのダイヤモンド砥粒93がニッケル94に埋設された構成となっている。この砥粒93によって、ガラス基板80の表面が研削される。この面取り加工の際には、面取部82a、83aにおいて外側砥石91の傾斜部92aからガラス内部の多方向にクラック95が発生する。
次に、回転ブラシによる端面研磨について説明する。図10は基板の端面研磨装置を説明する図である。ガラス基板101は、これより前のフォーミング工程において面取り加工され、既に端面110に側壁部111と面取部112とが形成されている。
図10に示すように、ガラス基板101は、複数枚が積層されて円柱状に保持されている。研磨用ブラシ102はナイロン製の繊維からなり、外形が略円柱状であり、かつ外周面が研磨面となっている。これらガラス基板101および研磨用ブラシ102の回転軸は略平行であって、同じ方向(図ではCCW:反時計回り)に回転させることにより、接点において対向する方向に移動し、ガラス基板101の端面が研磨用ブラシ102により研磨される。またガラス基板101と研磨用ブラシ102の接点にはノズル103が近接されており、遊離砥粒を含有した研磨剤が供給される。
図11は研磨位置の要部拡大図である。図11に示すように、隣接した面取部112により形成される溝の奥112aまで研磨が行き届かず、鏡面研磨が不十分となる場合がある。これは、研磨用ブラシ102の繊維120が溝の奥まで届きにくいためと考えられる。鏡面研磨が不十分であると、発塵やパーティクルの発生および吸着を防止するという効果が少なくなり、磁気ディスクとして用いた場合にサーマル・アスペリティの発生の原因となってしまうおそれがある。
以上のように、従来用いられているような、ガラス基板を砥石によるコアリングやスクライブで形状加工し、ダイヤモンド砥粒による面取り加工をした後に、遊離砥粒を含有した研磨剤を用いて端面を回転ブラシで研磨することによりガラス基板の端面を研磨する方法では、十分に端面の傷(ヒビ、カケ)を除去することができないのが現状である。
さらには、近年、磁気ディスクの記録密度の高度化および用途の多様化に伴い、より小型の磁気ディスクが用いられている。例えば、1.8インチ型の磁気ディスクに用いられるような小径のガラス基板においては、中心部の円穴の径も小さくなるため、回転ブラシによって内周端面を適切に鏡面研磨することが困難になる。また、小型の磁気ディスクでは薄型化しているため、図11における研磨用ブラシ102の繊維120が溝の奥までさらに届きにくくなり、適切な鏡面研磨をすることがより困難になる。
また、磁気ディスクの用途の多様化に伴い、磁気ディスク用のガラス基板に対して、従来とは異なるレベルでの高い品質が求められている。例えば、回転数5400rpm以上の高速回転型の磁気ディスクや、携帯端末等の使用時に衝撃を受け易い用途に用いられる磁気ディスクにおいては、使用時に傷が拡大するおそれがあるため、より小さな傷が問題になる。また、小径の磁気ディスクにおいては、ガラス基板が薄型化している。ガラス基板が薄型化した場合、より小さな傷が原因となって、ワレが発生する可能性がある。よって、例えば端面の傷(ヒビ、カケ)についても、従来は不良と認識されていなかった程度のものが不良と認識されるようになってきており、より高い品質が要求されている。
本発明は、端面の傷(ヒビ、カケ)を低減することにより、主表面上の異物を低減させ、高いガラス強度をもった磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法及び、その製造方法により製造されたガラス基板を用いてサーマル・アスペリティを低減させた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、従来方法で使用されている砥石を用いたコアリングやスクライブ等のように、形状加工時にガラス端面から多方向にクラックが入る形状加工ではなく、切断すべき方向にのみクラックを発生させ割断すること考えた。その結果、レーザを用いてガラス基板の主表面と直行する方向にのみクラックを発生させ割断することとした。このことにより、形状加工時にガラス端面からガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなった。さらに、面取り加工については、ダイヤモンド砥粒を用いた研削はせずに、球芯研磨をすることにより、面取面を形成することとした。このことにより、面取り加工時にガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなった。
すなわち、本発明に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス素板をレーザ加工することにより、ガラス基板の外形形成をするとともに前記ガラス基板の端面形成をすることを特徴とする。
この方法によれば、形状加工時にガラス端面からガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなり、端面の傷(ヒビ、カケ)を低減することができる。よって、端面の傷に捕捉されるパーティクルが原因となる主表面上の異物を低減することができるとともに高いガラス強度をもった磁気記録媒体用ガラス基板を得ることができる
上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、球芯研磨により、前記ガラス基板の端面に面取面を形成しても良い。この方法によれば、面取り加工時にガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなり、さらに好適である。
本発明の磁気記録媒体は、上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気記録媒体用ガラス基板と、前記ガラス基板上に直接又は他の層を介して形成された磁性層と、を具備することを特徴とする。
この磁気記録媒体によれば、端面に傷のない磁気記録媒体用ガラス基板を用いることが出来るので、主表面上の異物が原因となるサーマル・アスペリティが低減され、高強度の磁気記録媒体を提供することができる。
本発明に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法では、レーザを用いてガラス基板の主表面と直行する方向にのみクラックを発生させ割断することとした。さらに、面取り加工については、球芯研磨をすることにより、面取面を形成することとした。
その結果、ガラス基板の形状加工時及び面取り加工時にガラス端面からガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなり、端面の傷(ヒビ、カケ)を低減することができる。よって、端面の傷に捕捉されるパーティクルが原因となる主表面上の異物を低減することができるとともに高いガラス強度をもった磁気記録媒体用ガラス基板を得ることができる。さらに、当該ガラス基板を用いた磁気記録媒体は、主表面上の異物が低減されているので、サーマル・アスペリティを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本実施の形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という)の製造方法において製造されるガラス基板が、ハードディスクドライブ(HDD)等に用いられる磁気記録媒体の一つである磁気ディスク用の基板に適用される場合について示すが、これに限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係るガラス基板の製造方法において製造されるガラス基板の構造を説明する図である。図1においては、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録媒体に用いられる磁気ディスクの基体となるガラス基板を示している。図1に示すように、ガラス基板11は、円盤状のガラス基板の中心に円形状の穴(以下、「円穴」という)12を形成した円環状のガラスである。ガラス基板11の外周端部13には、平坦面14と面取面15とが形成されている。同様に、内周端部16にも、同様に平坦面17と面取面18とが形成されている。
本実施の形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の詳細については後述するが、その概略を述べれば、(1)ラッピング工程(ガラス素板の厚さをそろえる工程、必要に応じて第1及び第2ラッピング工程)、(2)端面形成工程(ガラス素板を円環状ガラス基板に形状加工及び面取り加工し、磁気記録媒体用ガラス基板の最終的な端面を形成する工程)、(3)表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)、(4)化学強化工程(必要に応じて)、を備えている。
本実施の形態に係るガラス基板の製造方法においては、端面形成工程において、レーザスクライブを用いて形状加工することにより、平坦面14および17の最終端面を形成することを特徴とする。さらには、その後、球芯研磨を用いた面取面形成をすることにより、面取面15及び18の最終端面を得ることを特徴とする。以下、端面形成工程について説明する。
本実施の形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においてガラス素板の形状加工に用いるレーザスクライブの原理を、図面を用いて説明する。
図2に、ガラスをレーザスクライブにより割断するための装置の概略図を示す。当該装置は、割断するガラス素板21にレーザビームを照射するレーザ23と、ガラス素板21表面を冷却する冷媒ジェット25と、図示しないが、ガラス素板21を保持して一平面上を一定方向に移動させる移動手段を備えている。冷媒ジェット25は、ガラス素板21が移動する際に、レーザビームが照射された部分のガラス素板21表面を冷却するように、配置されている。
この装置を用いてガラス素板21を割断するには、まず、ガラス素板21上の割断を開始する点に、スクライブのきっかけとなるトリガークラック22をカッターホイール等により形成し、その点に対してレーザ23の照射を開始する。その状態でガラス素板21を矢印方向Aに移動させると、レーザ23からレーザビームが照射される領域であるレーザスポット24がガラス素板21上を移動することになる。このレーザビームの照射で加熱された領域が次に冷媒ジェット25で冷却されることにより、ガラス素板21に内部歪応力変化が発生して熱歪が起こる。
この熱歪により、トリガークラック22をきっかけにガラス素板21表面と垂直方向にクラック(垂直クラック)が生じる。この垂直クラックが、ガラス素板21の移動に伴い、ガラス素板21上のレーザスポット24の軌跡に沿って成長してスクライブライン(垂直クラックのライン)26が生成される。
この方法により垂直なクラックを形成した後、ガラス基板を割断すれば、ガラス基板の端面にはクラック(傷)は発生しない。よって、端面の研磨が不要となり、磁気記録媒体用ガラス基板の最終の端面として使用できる。
円形の形状に加工するためは、レーザスポットの軌道が所定の直径の円形になるように、ガラス素板21を移動させればよい。また、レーザ23を固定して、ガラス素板21を移動させる例を示したが、ガラス素板21を固定してレーザ23を移動させても良い。レーザ23としてはCOレーザ等を用いる。
次に、面取面を形成するための球芯研磨装置について説明する。図3は、本実施の形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においてガラス基板の面取面の形成に用いる球芯研磨装置を説明するための図である。
図3(a)に図示する球芯研磨装置において、ホルダシャフト51に、外輪カラー51a、内輪カラー52aおよびベアリング51b等を介して保持されるホルダスピンドル52は、ホルダ53に固着されている。ホルダ53の下端部にはOリングあるいはVリング等のリング状弾性材54が付設してあり、この弾性材54は、敷布57を介してガラス基板55を保持する基板ホルダヤトイ56に当接する。
ダイヤモンドペレットまたはポリウレタンシートを備えた研磨皿61は、工具アダプダ62およびシャフトアダプダ63に連結され、図示しない工具回転スピンドルに固着される。研磨皿61は、工具回転スピンドルにより矢印64で示す方向に回転駆動され、また、その成形されている球面の球芯を揺動中心として矢印65で示す方向に揺動する。
このように構成される球芯研磨装置において、研磨皿61での加工球面Rに対し、加工されるガラス基板55は平坦なので、研磨皿61が矢印64で示す方向に回転しながら、矢印65に示す方向で揺動すると、ガラス基板55の主表面及び外周端面は研磨皿には接触せず、ガラス基板55の主表面と外周端面が作る角部のみが研磨され、面取面が形成される。片面の研磨が終了したら、ガラス基板を裏返して設置することにより、他の面の面取面も形成できる。
内周端面の面取面を形成するためには、研磨皿61として、図3(b)に示す研磨皿67のような球面の外側にダイヤモンドペレットまたはポリウレタンシートを備えたものを用意し、球面の外側で研磨するようにすれば良い。
このように、球芯研磨によって面取面を形成すると、面取り加工時にガラス内部の多方向にクラックが入ることがなくなる。
なお、レーザスクライブにより形状加工した後に、球芯研磨により面取面形成するのが好ましいが、面取面形成は実施しなくても良い。レーザスクライブにより形成された端面には傷がないので、研磨する必要がない。その場合には、面取面形成工程が省略でき、工数が低減される。
次に、本発明に係る磁気記録媒体について説明する。本発明の磁気記録媒体は、上述したガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成したものである。
本発明の磁気記録媒体においては、ガラス基板の端面に傷(ヒビ、カケ)がないので、サーマル・アスペリティが低減されるともに、高いガラス強度をもった磁気記録媒体を製造することが可能となる。
磁気記録媒体は、通常、ガラス基板上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層して製造される。また、磁気記録媒体は、通常、所定の平坦度、表面粗さを有し、必要に応じ表面の化学強化処理を施したガラス基板上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層して製造される。なお、本発明の磁気記録媒体における下地層は、磁性層に応じて適宜、選択される。
下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は、単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多層下地層等が挙げられる。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の材料は、特に制限されるものではない。磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)としてもよい。
磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は巨大磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。また、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラー膜などであってもよい。また、磁性層は、面内型記録形式に用いられるものでもよいし、垂直型記録形式に用いられるものであってもよい。
本発明の磁気記録媒体における保護層は、特に制限されるものではない。保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。これらの保護膜は、下地層、磁性層等と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護膜は、単層としてもよく、或いは、同一又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。
本発明においては、上記保護層上に、或いは、上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO)膜を形成してもよい。
本発明の磁気記録媒体における潤滑層は、特に制限されるものではない。潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
以上のように、本発明に係る磁気記録媒体においては、上述した本発明に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板を用いているため、サーマル・アスペリティの発生を低減すると共に、高いガラス強度をもった磁気記録媒体を製造することが可能となる。
[実施例]
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。この実施例においては、以下の工程を経て、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクを製造した。以下の説明では、2.5インチ型の磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクを製造する例について説明するが、磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクのサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1.8インチや1インチ、3.5インチのサイズのものであってもよい。
(1)第1ラッピング工程
まず、アモルファスガラスからなる多成分系のガラス素板を用意した。ガラスの硝種はアルミノシリケートガラスであり、このガラス素板は、フロート法で成形し、シート状でサイズが150x150x0.8mmのガラス素板とした。
次に、このシート状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、シート状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をシート状ガラスの表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス素板を得た。
(2)端面形成工程
この工程は、ガラス素板を円環状ガラス基板に形状加工し、磁気記録媒体用ガラス基板の最終端面を形成する工程である。この工程は、(2−1)レーザスクライブによる外形形成工程と、(2−2)球芯研磨による面取面形成工程とを含む。
(2−1)レーザスクライブによる外形形成工程
図4に第1ラッピングを施した後のガラス素板の平面図を示す。図中、ガラス素板31の主表面上の磁気ディスク用ガラス基板の主表面となる領域32を点線で囲み、斜線を付した。レーザスクライブの原理は図2を用いて上述したとおりである。
まず、ガラス基板となる領域の外周にそってスクライブライン(垂直クラックのライン)を入れるために、外周上の所定の箇所33に、カッターホイールでトリガークラックを入れた。その後、ガラス素板31を当該外周の中心点34を中心にして回転させながら、トリガークラックを入れた点33からレーザ照射をはじめ、レーザ照射で加熱した領域を冷媒ジェットで冷却することにより、スクライブラインを形成し、一周した時点で終了した。レーザとしてはCOレーザを用い、レーザ出力を70Wとし、外周における基板の移動速度を100mm/秒とした。
その後、ホットプレスすることによりスクライブラインにそってガラス素板31を割断し、ガラス基板となる領域を切り出した。
次に、ガラス基板の円穴を形成するために、ガラス基板となる領域の内周の所定の箇所35にトリガークラックをいれ、その後は、上記と同様に、内周にそって、スクライブラインを形成し、ホットプレスにより割断した。
以上の方法で、ガラス基板の外形形成をした場合、外周の端面及び内周の端面ともに、形状加工後にクラックが残らないので、端面の研磨を必要とせず、そのまま、磁気ディスクの最終端面とすることができる。
なお、本実施の形態においては、レーザを固定して、ガラス素板を回転させる例を示したが、逆にガラス素板を固定して、レーザを回転させても良い。
(2−2)球芯研磨による面取面形成工程
面取面の形成は、図3(a)に示す球芯研磨装置を用いて行った。まず、外周端面の面取面を形成するために、前工程で外形形成されたガラス基板を図3(a)に示す球芯研磨装置の基板ホルダヤトイ56に設置して、球芯研磨した。片面が終了した後、ガラス基板を裏返して再度基板ホルダヤトイ56に設置して裏面の面取面形成を行った。
次に内周端面の面取面形成をするために、図3(a)に示す球芯研磨装置の研磨皿61を、図3(b)に示す研磨皿67に交換し、球面の外側で研磨した。片面が終了した後、ガラス基板を裏返して再度基板ホルダヤトイ56に設置して裏面の面取面形成を行った。
以上のように球芯研磨装置により面取面を形成すると、ガラス基板の主表面と端面との角部のみを研磨できるので、前工程でレーザスクライブにより形成した端面の平坦面を加工することなく、当該平坦面をそのまま磁気ディスクの最終端面として用いることができる。さらに、面取面の形成において研削を行わないので、加工時に面取面からガラス内部にクラックが入ることがない。
以上、(2)端面形成工程により、ガラス素板は円環状のガラス基板に形状加工された。レーザスクライブにより外形形成し、球芯研磨により面取面の形成を行ったので、端面における平坦面及び面取面においてクラックが発生せず、さらなる研磨は必要ない。よって、この工程により形成した端面は磁気ディスクの最終端面とすることができる。
(3)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング工程を行った。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である端面形成工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
(4)主表面研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、上述した端面形成後のガラス基板に対して実施するものであり、ラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。両表面を研磨できる研磨装置を用いて予備研磨工程を実施した。研磨パッドには、予め酸化ジルコニウムと酸化セリウムとを含ませてある硬質ウレタン系パッドを使用した。
研磨液は、水に、平均粒径が1.2μmの酸化セリウム研磨砥粒を混合することにより作成した。なお研磨砥粒の粒径は、1.0μm〜1.4μmの範囲内が好ましい。なお、グレイン径が4μmを越える研磨砥粒は予め除去した。研磨液を測定したところ、研磨液に含有される研磨砥粒の最大値は3.5μm、平均値は1.2μm、D50値は1.1μmであった。その他、ガラス素板に加える荷重は80g/cm〜100g/cmとし、ガラス素板の表面部の除去厚は20μm〜40μmとした。
この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程(鏡面研磨工程)を施した。第2研磨工程は、第1研磨されたガラス素板をさらに研磨して、ガラス素板の表面が鏡面化するまで研磨する工程である。第2研磨工程は、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、ポリウレタン系軟質ポリシャの研磨パッドを用いて、表面の鏡面研磨を行った。研磨液は、超純水に、さらにグレイン径が40nmのコロイド状シリカ粒子を加えて作製した。
そして、この第2研磨工程を終えたガラス素板を、中性洗剤(1)、中性洗剤(2)、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
(5)化学強化処理工程
次に、上述したラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を380°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm前後であった。
化学強化処理を終えたガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
このように、第1ラッピング工程、端部形成工程、第2ラッピング工程、主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)、化学強化工程を施すことにより、端面に傷がなく、高剛性の磁気記録媒体用のガラス基板を得た。
(6)精密洗浄工程
次に、上記ガラスディスクの精密洗浄を行った。これは、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの原因となる研磨剤残渣などを除去し、表面が平滑で清浄なガラス基板を得るためのものである。この精密洗浄工程は、以下の一連の洗浄工程を含む。
まず、洗浄液による洗浄工程を実施した。この洗浄液は、アルカリ性の薬液を用いた。ガラスディスクをこの洗浄液に浸漬させた上で揺動させながら2分間洗浄した。なお、このとき、洗浄液の温度は50℃とし、超音波を加えて洗浄効果を高めるようにした。
次に、水リンス洗浄工程を2分間行った。これは、上述した洗浄で用いた洗浄液の残渣を除去するためのものである。そして、IPA洗浄工程を2分間行った。これは、ガラスディスクを洗浄すると共に、ガラス基板上の水を除去するためのものである。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行った。これは、ガラス基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させるためのものである。
(7)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、枚葉式のスパッタリング装置を用いて、シード層、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、水素化カーボン保護層を成膜し、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を形成して磁気ディスクを作製した。
[比較例1]
ここで上述した実施例と比較するために、比較例1として、従来の方法による端面形成工程を実施して、ガラス基板の作製をおこなった。つまり、ガラス基板の外周についてはダイヤモンド砥粒を用いたカッターにより加工し、中心部の円穴についてはダイヤモンド砥粒を用いたコアドリルで加工した。その後、上記加工により得られた円環状のガラス基板の内周端面及び外周端面を、遊離砥粒を含有した研磨剤を用いた回転ブラシにより研磨した。端面形成工程以外の工程は本実施例と同様にした。ただし、比較例1については、化学強化処理を実施しなかった。
[比較例2]
次に、比較例2として、比較例1で作製したガラス基板に対して、化学強化処理を行ったものを作製した。化学強化処理は、実施例と同じ条件で行った。
[表面観察]
本実施例における磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造した磁気記録媒体用ガラス基板と、上記比較例1及び2によって製造したガラス基板について、端面及び主表面の表面観察を行った。実施例については、化学強化処理をしていないもの(実施例1)と化学強化処理したもの(実施例2)について表面観察した。表面観察は、電子顕微鏡(4000倍)を用いて行った。
その結果、実施例1及び実施例2については、磁気記録媒体用ガラス基板の外周端面及び内周端面ともに、異物や傷(ヒビ、カケ)が認められず、端面表面は鏡面状態であった。ガラス基板の主表面についても異物は認められなかった。これは、本実施例に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の場合、レーザスクライブにより外形を形成し、球芯研磨により面取面を形成したので、端面に傷が発生せず、端面の傷に起因するパーティクルの主表面への付着がなかったことを示している。
比較例1及び比較例2についても同様に表面観察をしたところ、外周端面及び内周端面に、細かい傷(ヒビ、カケ)が認められた。また、ガラス基板の主表面については、このガラス基板を用いて磁気ディスクを作製した場合に、サーマル・アスペリティの原因となり得るパーティクルが認められた。
これは、比較例1及び比較例2においては、外周端面及び内周端面の研磨が不十分であったため、端面に細かい傷が残り、当該傷にパーティクルが捕捉され、そのパーティクルが、後の工程の間に、表面に付着したものと考えられる。
[抗折強度テスト]
さらに、上述の実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2について、図5に示す抗折強度試験機(島津オートグラフDDS−2000)を用い、抗折強度を測定した。この抗折強度試験機は、基板ホルダ41の上に被試験物であるガラス基板42を置き、そのガラス基板42の円穴の上に剛球43を置き、ロードセル44を介して当該剛球43の上から加圧して、ガラス基板42の抗折強度を測定するものである。ガラス基板42は、その外周部だけが、基板ホルダ41により支えられているので、中心部にある円穴部分が上から加圧されることにより、ガラス基板42は撓み、加圧の圧力を高めていくと、ガラス基板の強度の限界となったところで、ガラス基板42は割れることになる。そのときの圧力をもって、ガラス基板42の抗折強度とする。
上述の実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2それぞれについて上述の抗折強度測定を実施した結果、本実施例に係る磁気記録媒体用ガラス基板においては、化学強化処理をしていない実施例1であっても、比較例1(化学強化処理なし)及び比較例2(化学強化処理あり)に比べて、高い抗折強度が得られた。化学強化処理した実施例2については、実施例1よりも抗折強度が高くなった。
これらの結果は、従来の方法で端面形成した比較例1及び比較例2においては、上記表面観察の結果からわかるように、端面に細かい傷が残っているため、化学強化したものであっても、強度の高いガラス基板を得ることはできなかったことを示している。
それに対して、本実施例は、ガラス基板の端面形成において、レーザスクライブにより外形を形成し、球芯研磨により面取面を形成したので、端面に傷が発生せず、化学強化する前のものであっても高い強度のガラス基板を得ることができた。
[記録再生試験]
次に、上述の実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のそれぞれガラス基板を用いて磁気ディスクを作製し、記録再生試験を行った。記録再生試験は、再生素子部が磁気抵抗効果型素子であり、記録素子部が単磁極型素子であって、浮上量が8nmである磁気ヘッドを用いて、垂直記録方式によるものとした。
その結果、実施例1及び実施例2においては、正常に情報が記録、再生されることを確認した。その際、再生信号にサーマル・アスペリティ信号が検出されることもなく、1平方インチ当り100ギガビットで記録再生を行うことができた。これは、実施例1及び実施例2においては、レーザスクライブにより外形形成し、球芯研磨により面取面形成したので、端面に傷が発生せず、端面の傷に起因するパーティクルの主表面への付着がなかったことを示している。
一方、比較例1及び比較例2においては、再生信号にサーマル・アスペリティ信号が検出された。この結果から、比較例1及び比較例2においては、外周端面及び内周端面の研磨が不十分であったため、端面に細かい傷が残り、当該傷にパーティクルが捕捉され、そのパーティクルが、後の工程の間に、表面に付着したものと考えられる。
以上の検査結果より、本発明に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、ガラス基板の外形形成にレーザスクライブによる形状加工を採用し、さらには、面取面形成に球芯研磨を採用したことにより、端面に傷が発生しないため、端面の傷に捕捉されるパーティクルが原因となる主表面上の異物を低減するとともにガラス強度の高い磁気記録媒体用ガラス基板が得られることを確認した。
また、本発明におけるガラス基板を用いた磁気記録媒体では、ガラス基板の主表面上の異物を低減できるので、サーマル・アスペリティを低減することができることを確認した。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、本実施例では、レーザスクライブにより形状加工した後に、球芯研磨により面取面形成した例を示したが、面取面形成は実施しなくても良い。レーザスクライブにより形成された端面には傷がないので、研磨する必要がない。その場合には、面取面形成工程が省略でき、工数が低減される。
また、レーザスクライブにおいて、COレーザを用いた例を示したが、それには限定されず、半導体レーザ等を用いることもできる。
また、上記実施の形態における材料、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態における磁気ディスクの外観を示す図。 本発明の実施の形態におけるレーザスクライブを説明するための図。 本発明の実施の形態における球芯研磨装置を説明するための図。 本発明のガラス素板を説明するための図。 本発明の実施例における抗折強度試験機の外観を示す図。 従来のコアドリルを用いたガラス基板の形状加工を説明するための図。 従来のスクライブによるガラス基板の形状加工を説明するための図。 従来のガラス基板の面取り加工を説明するための図。 従来のガラス基板の面取り加工を説明するための図。 従来のガラス基板の端面研磨装置を説明するための図。 従来のガラス基板の端面研磨装置を説明するための図。
符号の説明
11 ガラス基板
12 円穴
13 外周端部
14、17 平坦面
15、18 面取面

Claims (4)

  1. ガラス素板をレーザ加工することにより、ガラス基板の外形形成をするとともに前記ガラス基板の端面形成をする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 球芯研磨により、前記ガラス基板の端面に面取面を形成する請求項1記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気記録媒体用ガラス基板と、前記ガラス基板上に直接又は他の層を介して形成された磁性層とを具備する磁気記録媒体。
  4. 主表面と端面との間に面取面を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
    ガラス素板の一部に対して、レーザを照射した後冷却することで前記ガラス素板の深さ方向にクラックを発生させる工程と、
    前記レーザ照射および冷却を行う領域を、磁気記録媒体用ガラス基板となる外形に沿って移動させることにより、前記クラックを前記ガラス素板の前記主表面に円形に形成するクラック形成工程と、
    前記クラックに基づいて、前記ガラス素板から円形のガラス素板を抜き出す抜取工程と、
    前記円形のガラス素板に対して、前記面取面を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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