JP5636508B2 - ガラス基板、該ガラス基板を用いた情報記録媒体および当該ガラス基板の製造方法 - Google Patents

ガラス基板、該ガラス基板を用いた情報記録媒体および当該ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス基板、該ガラス基板を用いた情報記録媒体および当該ガラス基板の製造方法に関する。より詳細には、耐衝撃性に優れ、イオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないガラス基板、該ガラス基板を用いた情報記録媒体および当該ガラス基板の製造方法に関する。
従来、情報記録媒体を構成する基板としては、アルミニウム基板が広く使用されていた。しかしながら、情報記録媒体の小型化、薄板化、高密度記録化を実現する観点から、アルミニウム基板よりも表面の平滑性に優れ、かつ、表面欠陥が少なく磁気ヘッド浮上量の低減を図ることのできるガラス基板が注目されている(たとえば特許文献1参照)。
近年、モバイル用途の多様化もあり、ガラス基板にさらなる耐衝撃性が求められる傾向がある。耐衝撃性を向上させる方法としては、ガラス基板中に存在するアルカリイオンを、よりイオン半径の大きなアルカリイオンにイオン交換する方法がある。具体的には、たとえば、ガラス基板の表面を360℃程度で硝酸塩(KNOやNaNO)などを含有する化学強化処理液に浸漬させて化学強化し、イオン交換層および圧縮応力層からなる強化層を形成する方法が知られている。特に、イオン交換により強い圧縮応力を発生させるためには、元のイオンに対してより大きなイオン半径を有するイオンと交換する必要があり、たとえば、リチウムイオンを含有するガラス基板に対しては、KNOおよびNaNOを含有する化学強化液で化学強化することで、リチウムイオンがナトリウムイオンに交換され、ナトリウムイオンの一部がさらにカリウムイオンに交換されることでカリウムイオンによる大きな圧縮応力を発生させることができる。ここで、イオン交換層とは、ガラス基板の表面において、ガラス基板に存在していたアルカリイオンの一部が、化学強化処理液中のアルカリイオンと交換されて形成された層をいい、化学強化後のアルカリイオン濃度を検出することで測定することができる。したがって、イオン交換層の厚みは検出するアルカリイオン毎に異なり、化学強化液が、カリウムイオンおよびナトリウムイオンを含むカリウムイオンを含む場合には、イオン交換層の厚みとナトリウムイオンによるイオン交換層の厚みは異なる場合がある。イオン半径の大きいほど内部に浸透しづらい特性を示すため、カリウムイオンによるイオン交換層の厚みは、ナトリウムイオンによるイオン交換層よりも薄くなる傾向がある。一方、圧縮応力層とは、化学強化処理により圧縮応力が発生している部分を指し、イオン交換により発生する圧縮応力によりガラス基板の表層に発生した複屈折を光学的に測定することで厚みが求められるものである。したがって、イオン交換層の厚みと圧縮応力層の厚みは必ずしも一致せず、通常はイオン交換層の厚みは圧縮応力層の厚みよりも小さくなる。なお、これらの用語の定義の詳細については後述する。この方法によってガラス基板の表面に圧縮応力層を設けることにより、仮にガラス基板の表面に傷が入ったとしても、傷を基点として生じる引っ張り応力に対抗することができる。その結果、傷が伸展せず、ガラス基板の破損を防止することができる。
しかしながら、ノート型パソコンや携帯電話、携帯型音楽プレーヤーなどの携帯機器等にハードディスクドライブが搭載されるようになり、使用される情報記録媒体においては、たとえば携帯機器を落下させた場合でも、壊れないような高度な耐衝撃性が求められている。特に、携帯機器は高温、低温環境下や温度変化が非常に激しい環境下で用いられる場合がある為、厳しい温度条件で使用された後であっても優れた落下強度を保つ必要がある。そのため、従来技術において達成し得る耐衝撃性よりも、さらに優れた耐衝撃性を満足するガラス基板が求められている。
一方、ガラス基板の強度を上げる為に行う化学強化処理については、特許文献2には、圧縮応力深さが50μm以上である、化学強化されたガラス基板が開示されている。特許文献2によれば、イオン交換により形成された圧縮応力層の厚みは深く、通常は10〜150μm程度、好ましくは50〜120μmである、とのことであり、イオン交換層の厚みに関してはなんら言及されていない。
しかしながら、上述のように、非常に過酷な温度条件下での使用においては、化学強化により形成されたイオン交換層から、イオン交換により導入されたイオンが溶出してしまうことで情報記録媒体の記録層の破損を招いたり、イオンが溶出することでガラス基板表面の圧縮応力にムラが発生し、更に加熱されることでガラス基板自体にわずかな歪みが発生する場合があることが判明した。特に、リチウムイオンを含有するガラス基板を化学強化する場合において、カリウムイオンは大きな圧縮応力を発生させることができる一方、溶出した場合には部分的に大きな圧縮応力のムラを発生させるため、ガラス基板に大きな圧縮応力ムラを発生させる場合があることが判明した。近年では、DFH(Dynamic Flying Hight)機構を搭載することで、500GB/枚(片面250GB)という非常に記録密度の高いハードディスクドライブが開発されているが、このような記録密度の高いハードディスクにおいては、わずかな形状変化や記録層の破損が読み取りエラーを引き起こす為、改善が求められていた。
特開平9−27150号公報 特開2009−99251号公報
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、過酷な温度環境下で用いられた場合においても、耐衝撃性に優れ、高記録密度のハードディスクドライブに用いられた場合であっても、イオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないガラス基板、該ガラス基板を用いた情報記録媒体および当該ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面によるガラス基板は、化学強化処理液を用いてガラス素材の表面にカリウムイオン交換層および圧縮応力層からなる強化層を形成したガラス基板であって、前記ガラス素材は、リチウムを含有し、前記圧縮応力層の厚みは、前記カリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下であることを特徴とする。
また、本発明の他の一局面によるガラス基板の製造方法は、ガラス基板を化学強化処理液と接触させて、前記ガラス基板の表面のアルカリ金属イオンを、前記化学強化処理液が含む前記アルカリ金属イオンより大きなイオン径のアルカリ金属イオンと置換する化学強化を行う化学強化工程を有するガラス基板の製造方法であって、前記化学強化工程は、450〜550℃で15〜60分間、化学強化処理液に浸漬する化学強化処理液浸漬工程を含み、前記ガラス基板は、Liを含有し、前記化学強化処理液は、カリウム塩とナトリウム塩とを質量比8:2〜9.5:0.5の割合で含有することを特徴とする。
本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるガラス基板(実施例1)の圧縮応力層の厚みを説明するための説明図である。 図2は、本発明の一実施形態にかかるガラス基板(実施例1)のイオン交換層の厚みおよびカリウムイオンの含有割合を説明するためのグラフである。 図3は、従来のガラス基板(比較例1)の圧縮応力層の厚みを説明するための説明図である。 図4は、落下衝撃試験に使用する落下衝撃試験機の模式図である。
(ガラス基板)
以下、本実施形態のガラス基板および当該ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態のガラス基板は、化学強化処理液を用いてガラス素材の表面にカリウムイオン交換層および圧縮応力層からなる強化層を形成したガラス基板であって、前記ガラス素材は、リチウムを含有し、前記圧縮応力層の厚みは、前記カリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下であることを特徴とする。
ガラス基板は、たとえばガラス溶融工程、成型工程、熱処理工程、第1ラッピング工程、コアリング加工工程、内・外径加工工程、第2ラッピング工程、端面研磨加工工程、第1ポリッシング工程、化学強化工程、第2ポリッシング工程、洗浄工程、検査工程を経て作製される。以下、各工程について詳述する。
[ガラス溶融工程]
ガラス溶融工程は、ガラス素材を溶融する工程である。ガラス基板の材料としては、リチウム(LiO)を含有するものであればよく、LiO−SiO系ガラス、LiO−Al−SiO系ガラス等を使用することができる。具体的には、SiO:50〜70質量%、Al:0〜20質量%、B:0〜5質量%(ただし、SiO+Al+B:50〜85質量%)、LiO:2〜10質量%、NaO:4〜15質量%、KO:0.1〜5質量%、MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO:2〜20質量%の範囲にあるガラス組成のものをガラス素材として使用することができる。LiOの含有量としては、2〜10質量%が好ましく、2〜6質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることがさらに好ましい。LiOの含有量が2質量%未満の場合、後述する化学強化工程において、リチウムイオンと置換されるアルカリイオンの量が少なく、圧縮応力層の厚みが小さくなり、充分な耐衝撃性を付与できない傾向がある。一方、10質量%を超える場合、応力緩和が起こりやすく、耐久性が悪くなってしまう傾向がある。ガラスの溶融方法としては特に限定されず、通常は上記ガラス素材を公知の温度、時間にて高温で溶融する方法を採用することができる。
[成型工程]
成型工程は、溶融したガラス素材からガラス基板(ブランクス)を得る工程である。ブランクスを得る方法としては特に限定されず、たとえば溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成型して円板状のガラス基板(ブランクス)を得る方法を採用することができる。なお、ブランクスは、プレス成型に限られず、たとえばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。この成型工程において、ブランクスの表面近傍には、異物や気泡が混入し、あるいはキズがついて、欠陥が発生することとなる。
ブランクスの大きさとしては特に限定されず、たとえば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのブランクスを作製することができる。なかでも、2.5インチのブランクスを作製した場合には、当該ブランクスから得られたガラス基板を用いて、たとえばノート型パソコン等の携帯機器に使用されるHDDを作製することができる。ガラス基板の厚みについても特に限定されず、たとえば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚みのブランクスを作製することができる。
[熱処理工程]
熱処理工程は、プレス成型や切り出しによって作製されたガラス基板を耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、ガラス基板の反りの低減やガラスの結晶化を促進させる工程である。
[第1ラッピング工程]
第1ラッピング工程は、ガラス基板の両表面を研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを予備調整する工程である。第1ラッピング工程では、後続の第2ラッピング工程を効率よく行うことができるように、ガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等を除去する。第1ラッピング工程を終えた時点でのガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.4〜0.8μm程度であることが好ましく、主表面の平坦度は、10〜15μm程度であることが好ましい。なお、ガラス基板における表面粗さは、原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)を用いて測定することができ、平坦度は、平坦度測定装置で測定することができる。
[コアリング加工工程]
コアリング加工工程は、第1ラッピング工程を経たガラス基板の中心部に円形の孔を開ける工程である。孔開けは、たとえば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することにより行う。孔の大きさとしては特に限定されないが、通常20mm程度である。
[内・外径加工工程]
内・外加工工程は、ガラス基板の外周端面および内周端面を、たとえばダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石により研削し、内・外径加工する工程である。
[第2ラッピング工程]
第2ラッピング工程は、ガラス基板の両表面を再び研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度および厚みを微調整する工程である。
第1ラッピング工程および第2ラッピング工程において使用する研削機としては特に限定されず、たとえば、遊星歯車機構を利用した、いわゆる両面研削機を使用することができる。第2ラッピング工程を経たガラス基板は、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥がほぼ除去される。ガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.2〜0.4μm程度であることが好ましく、主表面の平坦度は、7〜10μm程度であることが好ましい。このような面状態にすることにより、後続の第1ポリッシング工程における研磨を効率よく行うことができる。
なお、第1ラッピング工程および第2ラッピング工程を経たガラス基板には、表面に研削液やガラス粉が残存している可能性がある。そのため、洗浄工程を設けることが好ましい。洗浄工程における洗浄方法としては、種々の方法が挙げられるが、たとえば、ガラス基板に対して、アルカリ洗浄のみを行ってもよく、また、酸洗浄を行った後にアルカリ洗浄を行ってもよく、また、酸洗浄のみを行ってもよい。
[端面研磨加工工程]
端面研磨加工工程は、第2ラッピング工程を経たガラス基板の外周端面および内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工する工程である。
[第1ポリッシング工程]
第1ポリッシング工程は、ガラス基板の両表面を研磨加工する工程である。すなわち、第1ポリッシング工程は、後続する化学強化工程後に行われる第2ポリッシング工程において最終的に必要とされる面粗さが効率よく得られるように、ガラス基板の表面の面粗さを向上させ、かつ、最終のガラス基板の形状が効率よく得られるように研磨加工を行う工程である。
研磨の方法としては特に限定されず、第1ラッピング工程および第2ラッピング工程で使用する両面研削機と同様の両面研磨機において、研磨パッドおよび研磨液を使用して研磨することができる。
研磨パッドは、研磨パッドの硬度が研磨による発熱により低下すると研磨面の形状変化が大きくなるため、硬質パッドを使用することが好ましく、たとえば発泡ウレタンを使用するのが好ましい。
研磨液は、平均粒径が0.6〜2.5μmの酸化セリウムを砥粒(研磨材)として使用し、この砥粒を水に分散させてスラリー状にしたものが好ましい。水と砥粒との混合比率は、1:9〜3:7程度である。
第1ポリッシング工程における研磨量は25〜40μm程度とするのが好ましい。25μm未満では、キズや欠陥を充分に除去できない傾向がある。一方、40μmを超えると、必要以上に研磨を行うことになって製造効率が低下する傾向がある。
[化学強化工程]
化学強化工程は、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬する工程(化学強化処理液浸漬工程)を経ることにより、ガラス基板の主表面、外周端面および内周端面に強化層(イオン交換層および圧縮応力層)を形成する工程である。ガラス基板の主表面に強化層を形成することにより、ガラス基板の反りや主表面の粗面化を防止することができる。ガラス基板の外周端面および内周端面に強化層を形成することにより、ガラス基板の耐衝撃性、耐振動性および耐熱性等を向上させることができる。
ガラス基板は、加熱された化学強化処理液に浸漬することにより、ガラス基板に含まれる比較的イオン半径の小さなアルカリイオン(たとえばリチウムイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリイオン(たとえばカリウムイオン、ナトリウムイオン)に置換するイオン交換法により行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域および近接する領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の主表面、外周端面および内周端面が圧縮応力層によって強化される。
本明細書において、イオン交換層とは、ガラス基板の表面および表層において、ガラス基板に存在していたアルカリイオンの一部が、化学強化処理液中のアルカリイオンと交換されて形成された層をいうが、特にカリウムイオンによるイオン交換層の厚みを検出している。カリウムイオン交換層の厚みは、たとえばエネルギー分散型X線分析装置((株)堀場製作所製 XMAX80)を使用して、割断したガラス基板の表層(主面)より1μmごとにおけるカリウムとナトリウムの質量%濃度を化学強化前のガラス基板、化学強化後のガラス基板についてそれぞれ測定し、化学強化前のガラス基板におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総量に対するカリウムイオンの量(質量%)に対し、化学強化後のガラス基板におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総量に対するカリウムイオンの量(質量%)が、10%以上増加した深さをカリウムイオン交換層の厚みとして算出する方法を採用する。
なお、カリウム量は、化学強化工程を経たガラス基板においてKO等として存在するカリウムの量を上記方法により測定し、K換算で表した値である。
一方、本明細書において、圧縮応力層とは、上記イオン交換層が形成された結果、ガラス基板の表面および表層において、圧縮応力が発生し、ガラス基板の強度が向上された層をいう。圧縮応力層の厚みは、たとえばポーラリメーター(神港精機(株)製 SF−IIC)を使用して、割断したガラス基板を屈折率マッチングオイルに浸漬し、直線偏光を透過させてガラス内部応力による偏光の位相変化をアナライザ(検光子)回転角より測定し(セナルモン法)、アナライザを回転して、透過光が最も暗くなる角度(位相差)を検出することにより算出することができる。圧縮応力値は、同装置で光弾性定数、光路長結果より算出することができる。
上述のように、本実施形態においては、カリウムイオン交換層の深さはカリウムイオンを直接検出することで求められ、圧縮応力層の深さは光学的に求められるものである。本実施形態においては、リチウムイオンを含有するガラス基板が用いられているため、ナトリウムイオンによるイオン交換層も形成されるが、ナトリウムイオンによるイオン交換層の厚みについては測定していないが、ナトリウムイオンによるイオン交換層は、カリウムイオンによるイオン交換層の厚みと圧縮応力層の厚みの中間の厚みを有するか、圧縮応力層の厚みと一致すると推測される。
本明細書において、強化層とは、上記イオン交換層と上記圧縮応力層とを含めた層をいう。上述のようにイオン交換層は表層のみであり、圧縮応力層に含まれるため、圧縮応力層の厚みと強化層の厚みとは一致する。
本実施形態では、カリウム塩と、ナトリウム塩とを、質量比8:2〜9.5:0.5の割合で含有する化学強化処理液を使用する。質量比としては、8.2:1.8〜9.2:0.8がより好ましく、8.5:1.5〜9:1がさらに好ましい。カリウム塩の質量割合が8未満の場合、圧縮応力値が低くなる傾向がある。すなわち、たとえば5:5の場合などでは、拡散速度の速いNaが先に置換されるため圧縮応力層の厚みは深くなるものの、Kがほとんど置換されないため圧縮応力値が小さくなる傾向がある。一方、9.5を超える場合、カリウムイオンのイオン溶出量が多くなる、また圧縮応力層の厚みが小さくなる傾向がある。
カリウム塩やナトリウム塩としては、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。これらのなかでも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できる観点から、硝酸塩であるKNOおよびNaNOを用いることが好ましい。
化学強化処理液の調製方法としては特に限定されず、たとえば、所定量のカリウム塩およびナトリウム塩を、化学強化処理槽に投入し、加熱によって溶融して化学強化処理液とすることができる。
化学強化処理液浸漬工程における温度としては、450〜550℃が好ましく、470〜550℃がより好ましく、500〜540℃がさらに好ましい。温度が450℃未満の場合、イオン交換効率が低くなる傾向がある。一方、550℃を超える場合、イオン溶出量が増加する傾向がある。また、化学強化処理液浸漬工程に供する時間としては、15〜60分間が好ましく、20〜50分間がより好ましく、30〜40分間がさらに好ましい。浸漬時間が15分間未満の場合、イオン交換効率が低くなる傾向がある。一方、60分間を超える場合、イオン溶出量が増加する傾向がある。
また、化学強化を効率的に行う観点から、化学強化処理液浸漬工程の前に、ガラス基板を450〜550℃で15〜30分間、保持する前処理工程と、化学強化処理液浸漬工程の後に、浸漬後のガラス基板を、450〜550℃で15〜30分間、保持する後処理工程とをさらに含むことが好ましい。前処理工程および後処理工程における時間や温度の条件は、上記範囲であればよく、化学強化処理液浸漬工程と同じ条件を採用して製造工程を簡略化し、製造の利便性を向上させてもよい。
上述した化学強化工程を経たガラス基板は、圧縮応力層の厚みがカリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下となり、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないガラス基板となる。カリウムイオン交換層の厚みに対する圧縮応力層の厚みとしては、40倍以上90倍以下がより好ましく、50倍以上80倍以下がさらに好ましい。カリウムイオン交換層に対する圧縮応力層の厚みが35倍未満の場合、相対的にカリウムイオン交換層の厚みが大きくなり、本実施形態のガラス基板を備えたHDDをユーザが使用する際に、ガラス基板よりカリウムイオンの溶出がガラス基板の厚みに対して相対的に大きくなり、歪みが発生しやすくなるため、DFH機構を搭載した500GB/枚を達成するドライブで後発エラーを引き起こす傾向がある。一方、100倍を越える場合には、相対的に圧縮応力層の厚みが小さくなり、充分な耐衝撃性を付与できない傾向がある。
カリウムイオン交換層の厚みとしては、圧縮応力層の厚みとの関係で上記範囲に入るものであればよいが、ユーザによる使用時にカリウムイオンの溶出による後発エラーをより確実に防止する観点から、たとえば2〜3μmが好ましく、2.2〜3μmであることがより好ましく、2.5〜3μmであることがさらに好ましい。
圧縮応力層の厚みとしては、カリウムイオン交換層の厚みとの関係で上記範囲に入るものであればよいが、耐衝撃性を充分に付与する観点から、たとえば70〜300μmが好ましく、80〜250μmであることがより好ましく、100〜200μmであることがさらに好ましい。
また、化学強化工程を経たガラス基板のカリウムイオン交換層は、表層から1μmにおけるカリウムのイオン置換率が、20〜40質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることがさらに好ましい。表層から1μmにおけるカリウムのイオン置換率が上記範囲内の場合、ガラス基板の表層近くに存在するアルカリイオンがカリウムイオンに交換され、ガラス基板の深くに存在するアルカリイオンはナトリウムイオンにイオン交換されることとなる。その結果、圧縮応力層を深く形成することができ、ガラス基板の圧縮応力を大きくすることができる。
なお、化学強化処理液浸漬工程の後や、後処理工程を採用する場合にはその後に、ガラス基板を大気中に待機させる待機工程や、水浸漬工程を採用して、ガラス基板の表面に付着した化学強化処理液を除去するとともに、ガラス基板の表面を均質化することが好ましい。このような工程を採用することにより、ガラス基板は、強化層が均質に形成され圧縮歪が均質となり変形が生じ難く平坦度が良好で、機械的強度も良好となる。待機時間や水浸漬工程の水温は特に限定されず、たとえば大気中に1〜60秒待機させ、35〜100℃程度の水に浸漬させるとよく、製造効率より適宜決めればよい。
[第2ポリッシング工程]
第2ポリッシング工程は、化学強化工程後のガラス基板の両表面をさらに精密に研磨加工する工程である。第2ポリッシング工程では、第1ポリッシング工程で使用する両面研磨機と同様の両面研磨機を使用することができる。
研磨パッドは、第1ポリッシング工程で使用する研磨パッドよりも低硬度の軟質パッドであることが好ましく、例えば発泡ウレタンやスウェードであることが好ましい。
研磨液としては、第1ポリッシング工程と同様に酸化セリウム等を砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いることができる。ただし、ガラス基板の表面をより滑らかにするために、砥粒の粒径がより細かくバラツキが少ない研磨液を用いるのが好ましい。たとえば、平均粒径が40〜70nmのコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを研磨液として用いることが好ましい。水と砥粒との混合比率は、1:9〜3:7程度が好ましい。
第2ポリッシング工程での研磨量は2〜5μm程度とするのが好ましい。研磨量をこのような範囲とすることにより、ガラス基板の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小なキズ痕といった微小欠陥を良好に除去することができる。また、第2ポリッシング工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板の主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板の主表面の面粗さRaを0.1nmまで小さくすることができる。
[洗浄工程]
洗浄工程は、第2ポリッシング工程後のガラス基板を洗浄する工程である。洗浄方法としては特に限定されず、ポリッシング工程後のガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればいずれの洗浄方法でも構わない。本実施形態では、スクラブ洗浄を採用する。
スクラブ洗浄されたガラス基板には、必要に応じて超音波による洗浄および乾燥工程を行う。乾燥工程は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をイソプロピルアルコール(IPA)等により除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる工程である。たとえば、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次いで、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。
ガラス基板の乾燥工程としては特に限定されず、たとえばスピン乾燥、エアーナイフ乾燥などの、ガラス基板の乾燥方法として公知の乾燥方法を採用することができる。
[検査工程]
検査工程は、ガラス基板のキズ、割れ、異物の付着等の有無を目視にて検査する工程である。なお、目視でキズ等が判別できない場合には、光学表面アナライザ(たとえば、KLA−TENCOL社製の「OSA6100」)を用いて検査を行う。
検査工程で良品と判定されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後、出荷される。
上記のとおり、本実施形態のガラス基板は、カリウムイオン交換層の厚みと圧縮応力層の厚みとが適切な比率で形成されている。その結果、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないことを特徴とする。耐衝撃性の指標としては、落下衝撃試験等の結果を参照することができる。また、圧縮応力値として、たとえば上記のとおり、ポーラリメーターを用いて、光弾性定数および光路長結果より算出することができる。圧縮応力値としては、耐衝撃性を有する観点から、50〜200MPaであることが好ましく、100〜190MPaであることがより好ましく、120〜180MPaであることがさらに好ましい。
また、上記のとおり、成型工程において、ブランクスの大きさは適宜選択することができる。そのため、本実施形態のガラス基板をHDDに使用する場合、プラッタのサイズが2.5インチである小型のHDD用として使用することができる。その際のHDDの記憶容量としては、特に限定されないが、片面あたりの記憶容量が250GBである大容量なHDDに使用されるガラス基板とすることができる。
さらに、本実施形態のガラス基板は、HDD用磁気記録媒体の製造用途に限定されるものではなく、たとえば、光磁気ディスクや光ディスク等の製造用途にも用いることができる。
なお、本実施形態では、ラッピング工程およびポリッシング工程は、2回に分けて行ったが、これに限らず、1回のみ行ってもよい。また、化学強化工程を第2ポリッシング工程の前に行ったが、状況に応じて第2ポリッシング工程の後に行ってもよい。
さらに、落下強度対策として、ガラス基板の主表面以外の外周端面や内周端面の強化を行ってもよいし、ガラス基板に生じたキズのエッジ緩和処理として、ガラス基板をHF浸漬処理に供してもよい。
以上、本実施形態によれば、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないガラス基板および該ガラス基板の製造方法を提供することができる。
(情報記録媒体)
次に、上述したガラス基板を用いて製造した情報記録媒体について説明する。本実施形態の情報記録媒体は、ガラス基板の少なくとも一方の表面に、記録層が設けられている。
本実施形態の情報記録媒体は、上記したガラス基板の主表面の上に記録層としての磁性膜が設けることにより製造される。磁性膜は主表面の上に直接的に、または間接的に設けることができる。なお、磁性膜はガラス基板の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。
磁性膜の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、たとえば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリングや無電解めっきにより形成する方法等を採用することができる。スピンコート法での膜厚は0.3〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.04〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.05〜0.1μm程度であり、薄膜化および高密度化の観点からは、スパッタリング法や無電解めっき法により膜形成されることが好ましい。
磁性膜に用いる磁性材料としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。なかでも、高い保磁力を得るために結晶異方性の高いCoを基本材料とし、残留磁束密度を調整する観点から、NiやCrを加えたCo系合金等を用いることが好ましい。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が好ましい。
磁性膜は、非磁性膜(たとえば、Cr、CrMo、CrV等)で分割し、ノイズの低減を図った多層構成(たとえば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)としてもよい。
前記磁性材料のほか、磁性膜は、フェライト系や鉄−希土類系のものや、SiO、BN等からなる非磁性膜中に、Fe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散させた構造のグラニュラー等でもよい。
磁性膜は、内面型および垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、たとえば液体潤滑剤であるパーフルオロポリエーテル(PFPE)をフレオン系等の溶媒で希釈したもの等を用いることができる。
本実施形態では、必要に応じて、記録層としての磁性膜のほかに、下地層や保護層を設けてもよい。HDD用磁気記録媒体における下地層としては、磁性膜に応じて選択することができる。下地層の材料としては、たとえば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の材料を採用することができる。Coを主成分とする磁性膜の場合には、磁気特性の向上等の観点から、Cr単体やCr合金を採用することが好ましい。下地層は単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造としてもよく、たとえば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層とすることができる。
保護層は、磁性膜の摩耗や腐食を防止するために設けられる。保護層としては、たとえば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等を採用することができる。これらの保護層は、下地層や磁性膜等とともに、インライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる多層構造としてもよい。
前記保護層上に、あるいは前記保護層に代えて、他の保護層を形成してもよい。たとえば、前記保護層に代えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することにより、二酸化ケイ素(SiO)層を形成してもよい。
以上、本実施形態によれば、基板として上記したガラス基板が用いられているため、耐衝撃性に優れ、イオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ない情報記録媒体を提供することができる。
上記ガラス基板、ガラス基板の製造方法、情報記録媒体法の技術的特徴を下記にまとめる。
本発明の一局面によるガラス基板は、化学強化処理液を用いてガラス素材の表面にカリウムイオン交換層および圧縮応力層からなる強化層を形成したガラス基板であって、前記ガラス素材は、リチウムを含有し、前記圧縮応力層の厚みは、前記カリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下であることを特徴とする。
本発明のガラス基板では、イオン溶出による圧縮応力ムラの主な原因となるカリウムイオン交換層の厚みに対して、圧縮応力層が深く形成されている。そのため、温度変化に対する圧縮応力変化が小さく、カリウムイオン溶出による圧縮応力ムラに起因するエラー発生頻度が小さい。その結果、本発明のガラス基板は、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ない。
上記ガラス基板において、前記カリウムイオン交換層の厚みは、2〜3μmであることが好ましい。
カリウムイオン交換層の厚みが上記範囲内である場合、カリウムイオン溶出によるエラー発生が顕著に抑制される。
上記ガラス基板において、前記ガラス素材は、ガラス成分全体に対して、2〜10質量%のLiOを含有することが好ましい。
ガラス素材が2〜10質量%のLiOを含有する場合、イオン半径の比較的小さなリチウムイオンの一部は、化学強化処理液中のイオン半径のより大きなアルカリイオン(たとえばナトリウムイオンやカリウムイオン)に適切な量がイオン交換される。その結果、適切な厚みのイオン交換層が形成される。
上記ガラス基板において、前記強化層の表層から1μmにおけるカリウムのイオン置換率が、20〜40質量%であることが好ましい。
カリウムのイオン置換率が上記範囲内である場合、ガラス基板の表層近くに存在するアルカリイオンがカリウムイオンに交換され、ガラス基板の深くに存在するアルカリイオンがナトリウムイオンにイオン交換される。その結果、ガラス基板に圧縮応力層が深く形成され、ガラス基板の圧縮応力が大きくなる。
上記ガラス基板において、圧縮応力値が50〜200MPaであることが好ましい。
ガラス基板の圧縮応力値が上記範囲内である場合、落下衝撃に対する耐衝撃性だけでなく、折り曲げに対する耐衝撃性も高く維持される。
上記ガラス基板は、プラッタのサイズが2.5インチであり、片面あたりの記憶容量が250GBであるハードディスクドライブ(HDD)に用いられることが好ましい。
本発明のガラス基板を備えた上記HDDは、たとえばノート型パソコン等の携帯機器に備え付けることができる。また、上記HDDは、本発明のガラス基板を備えるため、大きな記憶容量を有し、耐衝撃性に優れ、後発エラーが少ない。
また、本発明の他の一局面によるガラス基板の製造方法は、ガラス基板を化学強化処理液と接触させて、前記ガラス基板の表面のアルカリ金属イオンを、前記化学強化処理液が含む前記アルカリ金属イオンより大きなイオン径のアルカリ金属イオンと置換する化学強化を行う化学強化工程を有するガラス基板の製造方法であって、前記化学強化工程は、450〜550℃で15〜60分間、化学強化処理液に浸漬する化学強化処理液浸漬工程を含み、前記ガラス基板は、Liを含有し、前記化学強化処理液は、カリウム塩とナトリウム塩とを質量比8:2〜9.5:0.5の割合で含有することを特徴とする。
本発明のガラス基板の製造方法は、このような構成を有するため、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ないガラス基板を製造し得る。
上記ガラス基板の製造方法において、前記カリウム塩がKNOであり、前記ナトリウム塩がNaNOであることが好ましい。
上記カリウム塩およびナトリウム塩は、融点が低いため、これらを用いることにより、得られるガラス基板の変形が防止され得る。
上記ガラス基板の製造方法において、前記化学強化工程は、化学強化処理液浸漬工程の前に、ガラス基板を450〜550℃で15〜30分間、保持する前処理工程と、化学強化処理液浸漬工程の後に、浸漬後のガラス基板を、450〜550℃で15〜30分間、保持する後処理工程とをさらに含むことが好ましい。
本発明は、これらの工程をさらに含むことにより、得られるガラス基板の圧縮応力層の厚みに対するカリウムイオン交換層の厚みを適切な比率とすることができる。その結果、得られるガラス基板は、落下衝撃に対する耐衝撃性だけでなく、折り曲げに対する耐衝撃性も高く維持され得る。
さらに、本発明の他の一局面による情報記録媒体は、いずれかの上記ガラス基板と、該ガラス基板の少なくとも一方の表面に設けられた記録層とを備えることを特徴とする。
本発明の情報記録媒体は、このような構成を有するため、耐衝撃性に優れ、カリウムイオン溶出による後発エラーの発生頻度が少ない。
以下、本発明にかかるガラス基板および情報記録媒体を実施例により詳述する。なお、本発明にかかるガラス基板および情報記録媒体は、以下に示す実施例になんら限定されるものではない。
<実施例1>
以下の工程により、ガラス基板および情報記録媒体を作製した。
[1.ガラス溶融工程、成型工程]
ガラス素材として、Tgが480℃のガラス素材(組成は下記のとおり)を用い、溶融したガラス素材をプレス成型して、外径が68mmの円板状のブランクスを作製した。ブランクスの厚みは0.93mmとした。
(ガラス素材の組成)
SiO:65質量%、
Al:15質量%、
:0.1質量%
(SiO+Al+B:80質量%)、
LiO:4質量%、
NaO:11質量%、
O:0.4質量%、
MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO:5質量%
[2.熱処理工程]
外径が70mm、厚みが2mm、材質がアルミナのセッターとブランクスとを交互に積層し、約430℃に設定された高温の電気炉を2時間かけて通過させることにより、ブランクスの反りや内部応力を低減させた。
[3.第1ラッピング工程]
ブランクスの両表面を、両面研削機(HAMAI社製)を用いて研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1200メッシュのものを用い、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。得られたブランクスの平坦度は15μm、表面粗さRaは0.5μmであった。
[4.コアリング加工工程]
円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が18mmの円形の孔を開けた。
[5.内・外径加工工程]
鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面および内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
[6.第2ラッピング工程]
ブランクスの両表面を、両面研削機(HAMAI社製)を用いて再び研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1700メッシュのものを用い、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
[7.端面研磨加工工程]
ブランクスを100枚重ね、この状態で、ブランクスの外周端面および内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均粒径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いた。
[8.第1ポリッシング工程]
ブランクスの両表面を、両面研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨加工した。研磨条件として、研磨パッドは、硬度Aで80度の発泡ウレタン製のものを用い、研磨液は、平均粒径が1.5μmの酸化セリウムを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水と砥粒との混合比率は、2:8とした。また、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は30rpmとし、下定盤の回転数は50rpmとした。
[9.化学強化工程]
ブランクスを化学強化処理液に浸漬してブランクスの表面に強化層(圧縮応力層およびイオン交換層)を形成した。化学強化処理液としては、KNOとNaNOとの混合溶融塩の水溶液を用いた。混合比は質量比で9:1とした。化学強化処理液の温度は500℃とし、浸漬時間は30分とした。化学強化処理の前後において、ガラス基板を500℃で20分間、保持した。
得られた圧縮応力層の厚みは、ポーラリメーター(神港精機(株)製 SF−IIC)を使用して、割断したガラス基板を屈折率マッチングオイルに浸漬し、直線偏光を透過させてガラス内部応力による偏光の位相変化をアナライザ(検光子)回転角より測定し(セナルモン法)、アナライザを回転して、透過光が最も暗くなる角度(位相差)を検出することにより算出した。また、光弾性定数、光路長結果より圧縮応力値を算出した。実施例1にかかるガラス基板の測定結果を図1に示す。図1は、実施例1のガラス基板の圧縮応力層の厚みを説明するための説明図である。図1において、参照符号d1は、実施例1にかかるガラス基板の圧縮応力層の厚みを示す。測定の結果、圧縮応力層の厚みは80μmであった。
得られたイオン交換層の厚みは、エネルギー分散型X線分析装置((株)堀場製作所製 XMAX80)を使用して、割断したガラス基板の表層(主面)より1μmごとにおけるカリウムとナトリウムの質量濃度を測定し、カリウムのナトリウムに対する質量が元の組成に対し10%以上増加している深さをイオン交換層の厚みとして算出した(小数点以下は切り下げとした)。実施例1にかかるガラス基板の測定結果のみを図2に示す。図2は、実施例1のガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みおよびカリウムイオン増加割合を説明するためのグラフである。図2に示されるように、表面からの深さが2μm以下のとき、カリウムイオンのナトリウムイオンに対する質量の増加割合が10%を超えていた。その結果、化学強化工程により得られたイオン交換層の厚みは、2μmであったことが判った。
[10.第2ポリッシング工程]
ブランクスの両表面を、両面研磨機(HAMAI社製)を用いてさらに精密に研磨加工した。研磨条件として、研磨パッドは、硬度がAsker−Cで70度の発泡ウレタン製のものを用い、研磨液は、平均粒径が60nmのコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水と砥粒との混合比率は、2:8とした。また、加重は90g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
[11.洗浄工程]
ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、KOHとNaOHとを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
得られたガラス基板について、1000℃に設定した電気炉中で、30分静置させるヒートショック後、落下衝撃試験およびイオン溶出試験に供した。試験方法および結果を表1に示す。
<実施例2>
化学強化工程において、強化時間を60分に変更し、前後の保持時間を30分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは3μmであり、圧縮応力層の厚みは270μmであった。
<比較例1>
化学強化工程において、浸漬時間を10分とし、前後の保持時間を10分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは0.5μmであり、圧縮応力層の厚みは10μmであった。比較例1にかかるガラス基板の測定結果を図3に示す。図3は、比較例1にかかるガラス基板の圧縮応力層の厚みを説明するための説明図である。図3において、参照符号d2は、比較例1にかかるガラス基板の圧縮応力層の厚みを示す。
<比較例2>
化学強化工程において、浸漬時間を20分とし、強化温度を450℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製し、上述した試験に供した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは1μmであり、圧縮応力層の厚みは30μmであった。
<比較例3>
化学強化工程において、化学強化処理液におけるKNOとNaNOとの混合比を8:2とし、浸漬時間を30分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは1μmであり、圧縮応力層の厚みは110μmであった。
<実施例3>
化学強化工程において、強化温度を550℃とし、浸漬時間を15分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは2μmであり、圧縮応力層の厚みは80μmであった。
<実施例4>
化学強化工程において、強化温度を550℃とし、浸漬時間を20分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは2.5μmであり、圧縮応力層の厚みは100μmであった。
<実施例5>
化学強化工程において、強化温度を550℃とし、浸漬時間を25分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは3.5μmであり、圧縮応力層の厚みは140μmであった。
<実施例6>
化学強化工程において、強化温度を550℃とし、浸漬時間を30分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは4μmであり、圧縮応力層の厚みは160μmであった。
<実施例7>
化学強化工程において、浸漬時間を20分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは1.5μmであり、圧縮応力層の厚みは60μmであった。
<実施例8>
化学強化工程において、浸漬温度を530℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは3μmであり、圧縮応力層の厚みは120μmであった。
<実施例9>
化学強化工程において、浸漬時間を10分とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは1μmであり、圧縮応力層の厚みは40μmであった。
<実施例10>
化学強化工程において、化学強化処理液におけるKNOとNaNOとの混合比を8.5:1.5した以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは4μmであり、圧縮応力層の厚みは160μmであった。
<実施例11>
化学強化工程において、化学強化処理液におけるKNOとNaNOとの混合比を8.5:1.5とし、浸漬温度を530℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板を作製した。得られたガラス基板のカリウムイオン交換層の厚みは5μmであり、圧縮応力層の厚みは200μmであった。
(落下衝撃試験)
まず、得られたガラス基板の主表面の上に磁性膜(記録層)を設けて情報記録媒体とした。すなわち、ガラス基板側から、Ni−Alからなる下地層(厚み約100nm)、Co−Cr−Ptからなる記録層(厚み20nm)、DLC(Diamond Like Carbon)からなる保護膜(厚み5nm)を順次積層した。情報記録媒体は、実施例1〜11および比較例1〜3のいずれも100枚作製した。作製した情報記録媒体の耐衝撃性を評価するために、情報記録媒体をHDDに装填し、図4に示す落下衝撃試験機にて落下衝撃試験に供した。図4は、落下衝撃試験に使用する落下衝撃試験機の模式図である。図4において、参照符号1は支柱、参照符号2は衝突台、参照符号3は被試験物載置台、参照符号4は衝撃G値測定器、参照符号Xは情報記録媒体を装填したHDD(ハードディスクドライブX)を示す。
落下衝撃試験は、まず、ハードディスクドライブXに、情報記録媒体を2枚組み込み、衝撃G値測定器4と共に被試験物載置台3に固定した。次いで、1mの高さから被試験物載置台3ごと落下させて衝突台2に衝突させた。ハードディスクドライブXを分解し、情報記録媒体が割れているか否かを目視で確認した。2枚のうち1枚でも割れていれば割れがあったと判定し、2枚とも割れていないときに割れがなかったと判定した。落下衝撃試験は、1200Gにて行い、ハードディスクドライブXは一度に5台を載置台に載せて行い、実施例1〜11、比較例1〜3ごとに、割れがなかったハードディスクドライブXの台数を算出し、落下衝撃試験のPass率を算出した。結果を表1〜表3に示す。
(イオン溶出試験)
ガラス基板を18MΩ・cmの超純水(80℃)20mLに浸漬させ、30分間静置した。この時、撹拌などは行わなかった。作業中は容器の蓋を閉め、クラス100(FED−STD−209D、アメリカ連邦規格)の部屋で作業を行った。30分経過後、抽出液をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製ICS−2100)で測定した。80℃で行うことにより一部存在する難溶性の塩も溶解させた。
評価基準を以下に示す。
○:ガラス基板1枚あたりのLiの溶出量が30ppb未満であった。
△:ガラス基板1枚あたりのLiの溶出量が31〜60ppbであった。
×:ガラス基板1枚あたりのLiの溶出量が61ppb以上であった。
(イオン交換の条件)
使用機器:ダイオネクス社製 ICS−2100
使用したカラム:IonPac CS12A(ダイオネクス社製)
使用したバッファ:20mM メタンスルホン酸
Figure 0005636508
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表1に示されるように、圧縮応力層の厚みがカリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下の範囲から外れる比較例1〜3にかかるガラス基板を使用したHDDでは、実施例にかかるガラス基板を使用したHDDと比較して、落下衝撃試験の結果が悪く、かつ、カリウムイオン溶出が起こり、後発エラーが起こる可能性高かった。
表2に示されるように、圧縮応力値が150〜200MPaの範囲内にある場合は、落下衝撃試験の結果が優れたものとなり、かつ、イオン溶出も起こらなかった。また、圧縮応力値が上記範囲から外れる場合であっても、落下衝撃試験の結果が良好であり、かつ、カリウムイオン溶出は起こらなかった。
表3に示されるように、カリウムイオン交換層の厚さが2〜3μmの範囲内にある場合は、落下衝撃試験の結果が優れたものとなり、かつ、イオン溶出も起こらなかった。また、イオン交換層の厚みが上記範囲から外れる場合であっても、落下衝撃試験の結果が良好であり、かつ、イオン溶出は生じるものの実用に耐えうる程度であった。
1 支柱
2 衝突台
3 被試験物載置台
4 衝撃G値測定器
d1、d2 圧縮応力層の厚み
X ハードディスクドライブ

Claims (10)

  1. 化学強化処理液を用いてガラス素材の表面にカリウムイオン交換層および圧縮応力層からなる強化層を形成したガラス基板であって、
    前記ガラス素材は、リチウムを含有し、
    前記圧縮応力層の厚みは、前記カリウムイオン交換層の厚みの35倍以上100倍以下であることを特徴とする、ガラス基板。
  2. 前記カリウムイオン交換層の厚みが、2〜3μmである請求項1記載のガラス基板。
  3. 前記ガラス素材は、ガラス成分全体に対して、
    2〜10質量%のLiOを含有することを特徴とする請求項1または2記載のガラス基板。
  4. 前記強化層の表層から1μmにおけるカリウムのイオン置換率は、20〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板。
  5. 圧縮応力値が150〜200MPaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板。
  6. プラッタのサイズが2.5インチであり、片面あたりの記憶容量が250GBであるハードディスクドライブに用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板。
  7. ガラス基板を化学強化処理液と接触させて、前記ガラス基板の表面のアルカリ金属イオンを、前記化学強化処理液が含む前記アルカリ金属イオンより大きなイオン径のアルカリ金属イオンと置換する化学強化を行う化学強化工程を有するガラス基板の製造方法であって、
    前記化学強化工程は、450〜550℃で15〜30分間、前記化学強化処理液に浸漬する化学強化処理液浸漬工程を含み、
    前記ガラス基板は、Liを含有し、
    前記化学強化処理液は、カリウム塩とナトリウム塩とを質量比8:2〜9.5:0.5の割合で含有することを特徴とする請求項1記載のガラス基板の製造方法。
  8. 前記カリウム塩がKNOであり、前記ナトリウム塩がNaNOであることを特徴とする請求項7記載のガラス基板の製造方法。
  9. 前記化学強化工程は、
    化学強化処理液浸漬工程の前に、ガラス基板を450〜550℃で15〜30分間、保持する前処理工程と、
    化学強化処理液浸漬工程の後に、浸漬後のガラス基板を、450〜550℃で15〜30分間、保持する後処理工程とをさらに含むことを特徴とする請求項7または8記載のガラス基板の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス基板と、該ガラス基板の少なくとも一方の表面に設けられた記録層とを備えることを特徴とする情報記録媒体。
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