JP2012079370A - 磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】粗研磨行程を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法で、前記粗研磨行程は、ガラス素板の主面を、酸化セリウムを含有する研磨スラリーにて研磨した後に、前記研磨スラリーを研磨装置外に取り出す行程、前記取り出した研磨スラリー中の研磨剤のレーザ回折散乱法で測定された粒度分布の最大値が3.5μm以下であり、その粒度分布での累積50体積%径D50が0.5〜1.5μmとなるように分級する行程、前記分級した研磨剤を含む研磨スラリーにて、他の異なるガラス素板の主面及び端面を研磨する行程を備える製造方法。好ましくは、この分級した研磨剤が、酸化セリウムと、SiO,AlOを含むアルミノシリケートとを含有し、アルミノシリケートの含有量が、酸化セリウムの含有量に対して0.1〜30質量%である。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気情報記録装置は、磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録させるものである。その代表的なものとしては、例えば、ハードディスクドライブ装置等が挙げられる。ハードディスクドライブ装置は、基板上に記録層を形成した情報記録媒体としての磁気ディスクに対し、磁気ヘッドによって磁気的に情報を記録する装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスクドライブ装置は、磁気ヘッドを磁気ディスクに接触することなく、磁気ディスクに対し僅か数nm程度浮上させ、高速回転させながら磁気ディスクに情報を記録させている。このような機構から、ディスク上に傷などの凸部や付着物等による突起物が存在していると、これらに磁気ヘッドが衝突した場合にハードディスクドライブ装置の不具合が生じてしまう。このディスク上の突起物は、磁気ディスクのガラス基板そのものに起因することが多いため、磁気情報記録媒体用ガラス基板の表面の平滑性が高く、かつ清浄度が高いことが求められる。
また、前記磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、製造工程において、粗研磨方法と精密研磨方法とからなる研磨行程を有している。特に粗研磨方法に関し、酸化セリウムを主成分とした研磨剤を用いて研磨された技術が開示されている。
例えば、特許文献1,2には、酸化セリウム砥粒を含有する研磨スラリーを用いて磁気ディスクガラス基板を磨く行程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について記載されている。このような方法によれば、ガラス基板表面に研磨機図が残留することを防止し、より平滑な基板表面を得ることができることが記載されている。しかしながら、近年の磁気ヘッド浮上量の低下傾向やDFH機構の導入により、僅かなガラス基板上の突起物についても除去する必要があり、上述のような研磨スラリーを用いたとしても、磁気ヘッドとの衝突を低減させることはできていない。
また、磁気情報記録装置には耐衝撃性が求められていることから、前記特許文献1,2の製造方法においても、磁気ディスクに対して化学強化を行う行程を含むことが記載されている。しかしながら、このような化学強化を行ったとしても充分な耐衝撃性は得られていない。
特開2007−98485号公報 特開2007−207393号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その解決すべき課題は、耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは、ガラス素面を研磨する研磨行程に用いられる研磨スラリーに着目し、鋭意検討を行った。この結果、従来において研磨後に廃棄していた酸化セリウム含有研磨スラリーを、特定範囲の大きさの砥粒となるように分級し、再度ガラス素板を研磨することによって、ガラス基板表面へのキズ・クラック・ピットを減少できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、粗研磨行程を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記粗研磨行程は、ガラス素板の主面を、酸化セリウムを含有する研磨スラリーにて研磨した後に、前記研磨スラリーを研磨装置外に取り出す行程、前記取り出した研磨スラリー中の研磨剤のレーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.5〜1.5μmとなるように分級する行程、前記分級した研磨剤を含む研磨スラリーにて、前記ガラス素板とは異なるガラス素板の主面及び端面を研磨する行程、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、ガラス基板表面へのキズ等を減少させることができることから、平滑性が高く、耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
また、前記磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記分級した研磨剤が、前記酸化セリウムと、SiO及びAlOを含むアルミノシリケートとを含有し、前記アルミノシリケートの含有量が、前記酸化セリウムの含有量に対して0.1〜30質量%であることが好ましい。
このような構成によれば、分級後の研磨剤の成分として、もともと存在していた酸化セリウムと、ガラスの骨格成分であるアルミノシリケートの研削部とが含有されることとなる。これらの研磨剤成分が均一の大きさを有することにより、表面洗浄性がより高くなり、化学強化を均一に処理することができる。その結果、耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
また、前記磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記アルミノシリケートの含有量が、前記酸化セリウムの含有量に対して1〜10質量%であることが好ましい。
このような構成によれば、さらに表面洗浄性を高めることができ、耐衝撃性により優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
また、前記磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記研磨工程に用いるガラス素板が、表面粗さRa≦0.10μmであることが好ましい。
このような構成によれば、研磨後の表面粗さを低減させることができ、平滑性のより高い磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
本発明によれば、優れた表面平滑性及び表面清浄性を有し、かつ耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される磁気情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。 本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、粗研磨行程を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記粗研磨行程は、ガラス素板の主面を、酸化セリウムを含有する研磨スラリーにて研磨した後に、前記研磨スラリーを研磨装置外に取り出す行程、前記取り出した研磨スラリー中の研磨剤のレーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.5〜1.5μmとなるように分級する行程、前記分級した研磨剤を含む研磨スラリーにて、前記ガラス素板とは異なるガラス素板の主面及び端面を研磨する行程、を備える。
また、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、前記研磨工程を備えていれば、特に限定されない。具体的には、化学強化工程の前に行う研磨工程で用いる研磨剤として、上記のものを用いること以外は、特に限定されず、従来公知の製造方法であればよい。
磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法としては、例えば、円盤加工工程、ラッピング工程、粗研磨工程(1次研磨工程)、洗浄工程、化学強化工程、精密研磨工程(2次研磨工程)、及び最終洗浄工程等を備える方法等が挙げられる。そして、前記各工程を、この順番で行うものであってもよいし、化学強化工程と精密研磨工程(2次研磨工程)との順番が入れ替わったものであってもよい。さらに、これら以外の工程を備える方法であってもよい。例えば、ラッピング工程と粗研磨工程(1次研磨工程)との間に、端面研磨工程を行うものであってもよい。
まず、本発明の製造方法における粗研磨工程(1次研磨工程)について詳述する。
<粗研磨工程>
前記粗研磨工程(1次研磨工程)は、ガラス素板の主面を、酸化セリウムを含有する研磨スラリーにて研磨した後に、取り出した研磨スラリー中の研磨剤のレーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.5〜1.5μmとなるように分級する行程、前記分級した研磨剤を含む研磨スラリーにて、前記ガラス素板とは異なるガラス素板の主面及び端面を研磨する行程を備える。この粗研磨は、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、下記の研磨方法を用いて実施する。
なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、主表面及び/又は端面である。主端面とは、ガラス素板の面方向に平行な面である。端面とは内周端面と外周端面とからなる面のことである。また、内周端面とは、内周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。また、外周端面とは、外周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。
次に、本発明の研磨工程において用いられる研磨剤は、主成分として酸化セリウムを含有するものである。酸化セリウムの含有量は、研磨スラリー全量に対して3〜15質量%であることが好ましい。このような範囲にすることで、より平滑性の高い磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
また、研磨スラリーとは、前記研磨剤、分散剤等を水に分散させた状態の液体、すなわち、スラリー液である。前記研磨剤を水に分散させた状態であると、水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス素板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス素板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、前記研磨剤として、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
また、本発明の研磨剤は、少なくとも2枚以上のガラス素板の主面に対して研磨処理を行った後、この処理後の研磨スラリーをいったん研磨装置から取り出し、取り出した研磨スラリーの研磨剤の砥粒を3.5μm以下、体積基準メディアン径(D50)が0.5〜1.5μmとなるように分級したものを用いることによって、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
前記研磨剤の粒径が小さすぎると、研磨速度が低下する傾向がある。また、前記研磨剤の粒径が大きすぎると、研磨によってガラス素板上に形成されうる傷が発生しやすくなる。よって、前記研磨剤として、上記のような粒径の研磨剤を用いることによって、高い研磨速度を確保しながら、研磨による傷の発生を抑制できることによると考えられる。このことにより、耐衝撃性に優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
なお、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブの最大値となる点の粒子径を意味する。また、D50とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を意味する。
いったん研磨処理を行った研磨スラリーをさらに分級したものを用いる理由として、以下のような理由によると考えられる。酸化セリウムを含む研磨剤を特定の粒径範囲となるように分級すると、研磨剤は、粒径分布の狭い領域に多く分布することになる。研磨剤の各粒子はほぼ均一な大きさに分級されているため、ガラス素板表面へほぼ同一の力でガラス素板と接触することになる。したがって、従来では大きな研磨粒子によってキズ・クラック・ピット等が発生していたが、本発明によりこれらの問題を軽減させることができることとなった。
また、いったん研磨処理を行った研磨スラリーには、酸化セリウムの他に、研磨くずが含まれている。この研磨くずは、SiO,AlOを含むアルミノシリケートであり、研磨処理後の研磨スラリーには、このアルミノシリケートが含有されていることになる。
また、前記アルミノシリケートについても分級されることとなるため、前述のようにほぼ同一の力でガラス素板と接触することになる。このアルミノシリケートを含有した研磨スラリーを用いて研磨すると、これを含まないものと比べて鏡面性が向上する。さらに表面平滑性も向上する。
前記分級の方法としては、特に限定されず、研磨後に回収した研磨スラリーをやや目の粗いフィルターに通し、さらにより目の細かいフィルターを通した後、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用した。
また、公知の湿式分級装置を用いることもできる。前記湿式分級装置としては、遠心分離機、液体サイクロン、水簸(自然沈降装置)が挙げられる。
また、目の粗いフィルターで分級した後に、所望する粒子径のフィルターで分級を再度行うことが好ましい。
また、前記アルミノシリケートの含有量は、酸化セリウムの含有量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。前記アルミノシリケートの含有量が酸化セリウムの含有量に対して0.1質量より少ない場合、表面平滑性に劣ることとなり、30質量%より多い場合にはキズやクラック等が多発してしまう。
粗研磨工程で用いる研磨装置は、ガラス基板の製造に用いる研磨装置であれば、特に限定されない。具体的には、図2に示すような研磨装置1が挙げられる。なお、図2は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置1の一例を示す概略断面図である。
図2に示すような研磨装置1は、両面同時研削可能な装置である。また、この研磨装置1は、装置本体部1aと、装置本体部1aに研磨液を供給する研磨液供給部1bとを備えている。
装置本体部1aは、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とを備えており、それらが互いに平行になるように上下に間隔を隔てて配置されている。そして、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とが、互いに逆方向に回転する。
この円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3との対向するそれぞれの面にガラス素板10の表裏の両面を研磨するための研磨パッド6が貼り付けられている。この粗研磨工程で使用する研磨パッド6は、粗研磨工程で用いられる研磨パッドであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリウレタン製の硬質研磨パッド等が挙げられる。
また、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3との間には、回転可能な複数のキャリア5が設けられている。このキャリア5は、複数の素板保持用孔51が設けられており、この素板保持用孔51にガラス素板10をはめ込んで配置することができる。キャリア5としては、例えば、素板保持用孔51を100個有していて、100枚のガラス素板10をはめ込んで配置できるように構成されていてもよい。そうすると、一回の処理(1バッチ)で100枚のガラス素板10を処理できる。
研磨パッドを介して定盤2、3に挟まれているキャリア5は、複数のガラス素板10を保持した状態で、自転しながら定盤2,3の回転中心に対して下定盤3と同じ方向に公転する。なお、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とは、別駆動で動作することができる。このように動作している研磨装置1において、研磨スラリー7を上定盤2とガラス素板10との間、及び下定盤3とガラス素板10との間、夫々に供給することでガラス素板10の粗研磨を行うことができる。
研磨スラリー供給部1bは、液貯留部11と液回収部12とを備えている。液貯留部11は、液貯留部本体11aと、液貯留部本体11aから装置本体部1aに延ばされた吐出口11eを有する液供給管11bとを備えている。液回収部12は、液回収部本体12aと、液回収部本体12aから装置本体部1aに延ばされた液回収管12bと、液回収部本体12aから研磨スラリー供給部1bに延ばされた液戻し管12cとを備えている。
そして、液貯留部本体11aに入れられた研磨スラリー7は、液供給管11bの吐出口11eから装置本体部1aに供給され、装置本体部1aから液回収管12bを介して液回収部本体12aに回収される。また、回収された研磨スラリー7は、液戻し管12cを介して液貯留部11に戻され、再度、装置本体部1aに供給可能とされている。
<円盤加工工程>
前記円盤加工工程は、所定の組成のガラス素材から板状に成形したガラス素板から、図1に示すように、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔10aが形成された円盤状のガラス素板10に加工する工程である。具体的には、例えば、以下のようにして加工する。まず、板状に成形したガラス素板であって、そのガラス組成が、後述する組成であって、その厚み0.95mmであるガラス素板を所定の大きさの四角形に切断する。
そして、その切断されたガラス素板の一方の表面に、ガラスカッターにて上述した内周及び外周を形成するように円形の切り筋を形成する。そして、この切り筋を形成したガラス素板を、その切り筋を形成させた側の表面から加熱する。そうすることによって、前記切り筋が、ガラス素板の他方の表面に向かって深くなる。そして、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔10aが形成された円盤状のガラス素板10に加工される。
この円盤加工工程で、例えば、外径r1が2.5インチ(約64mm)、1.8インチ(約46mm)、1インチ(約25mm)、0.8インチ(約20mm)等で、厚みが2mm、1mm、0.63mm等の円盤状のガラス素板に加工される。また、外径r1が2.5インチ(約64mm)のときは、内径r2が0.8インチ(約20mm)等に加工される。なお、図1は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される磁気情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。
また、板状に成形したガラス素板は、その製造方法は特に限定されないが、例えば、フロート法により製造されたもの等が挙げられる。フロート法とは、例えば、ガラス素材を溶融させた溶融液を、溶融したスズの上に流し、そのまま固化させる方法である。得られたガラス素板は、一方の面がガラスの自由表面であり、他方の面が、ガラスとスズとの界面であるため、平滑性の高い、例えば、算術平均粗さRaが0.001μm以下の鏡面を備えたものとなる。そして、その厚みとしては、例えば、0.95mmのものが挙げられる。なお、ガラス素板やガラス基板の表面粗さ、例えばRaは、一般的な表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
<ラッピング行程>
前記ラッピング工程は、前記ガラス素板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、ガラス素板の両面を研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。このように加工することによって、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを調整することができる。また、このラッピング工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目のラッピング工程(第1ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目のラッピング工程(第2ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを微調整することが可能となる。
より具体的には、前記第1ラッピング工程としては、ガラス素板の表面全体が略均一の表面粗さとなるようにする工程等が挙げられる。その際、例えば、ガラス素板の算術平均粗さRaを複数個所測定した際に、得られたRaの最小値と最大値との差が0.01〜0.4μm程度にすることが好ましい。
また、前記第2ラッピング工程としては、粗面化されたガラス基板の主表面を、さらに固定砥粒研磨パッドを用いて研削する行程等が挙げられる。この第2ラッピング工程においては、例えば、粗面化されたガラス基板をラッピング装置にセットし、ダイヤモンドタイル(Diamond Tile)のような表面模様付きの三次元固定研磨物を用いることで、ガラス基板の表面をラッピングすることができる。具体的にはスリーエム(登録商標)社のトライザクト(登録商標)を用いてラッピングすることができる。
前記第2ラッピング行程を施すと、後述する粗研磨行程にて行われる研磨を効率良く行うことができる。また、第2ラッピング行程によって施された研磨工程に用いるガラス素板ガラス素板の表面粗さRaは0.10μm以下であることが好ましい。なお、前記表面粗さRaは、0.01μm以上であることが好ましい。0.01μmより小さいと、表面が平滑になりすぎてラッピング行程での加工が難しくなることがある。
<洗浄工程>
前記洗浄工程は、前記粗研磨工程が施されたガラス素板を洗浄する工程である。
前記粗研磨工程による粗研磨後のガラス素板は、洗浄工程によって洗浄することが好ましい。洗浄工程としては、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のような洗浄工程が挙げられる。
まず、pH13以上のアルカリ洗剤を用いて、ガラス素板の洗浄を行い、ガラス素板にリンスを行う。次に、pH1以下の酸系洗剤を用いて、ガラス素板の洗浄を行い、ガラス素板にリンスを行う。最後に、フッ化水素酸(HF)溶液を用いて、ガラス素板の洗浄を行う。酸化セリウムに関しては、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄の順で洗浄を行うことが最も効率的である。これは、まずアルカリ洗剤で研磨材を分散除去し、次に酸洗剤で研磨材を溶解除去し、最後に、HFによってガラス素板をエッチングし、ガラス素板に深く刺さっている研磨材を除去するのである。
前記洗浄工程は、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄において、それぞれ別の槽で行うことが好ましい。これらの洗浄を単一の槽で行った場合には、効率的な洗浄ができない場合があるからである。特に、酸洗剤とHFを同一槽に入れた場合、HFのエッチング速度は、研磨材の多い場所で低下するため、基板内を均一にエッチングできなくなる傾向があるからである。また、各洗浄の後にリンス槽を用いることが好ましい。これらの洗剤には、場合によって界面活性剤、分散材、キレート剤、還元材などを添加しても良い。また、各洗浄槽には、超音波を印加し、それぞれの洗剤には脱気水を使用することが好ましい。
また、他の方法としては、まず、HFが1質量%、硫酸が3質量%の洗浄液にガラス素板を浸漬させる。その際、その洗浄液に、80kHzの超音波振動を印加させる。その後、ガラス素板を取り出す。そして、取り出したガラス素板を中性洗剤液に浸漬させる。その際、その中性洗剤液に、120kHzの超音波振動を印加させる。最後に、ガラス素板を取り出し、純水でリンスを行い、IPA乾燥させる。
また、前記洗浄工程後のガラス素板は、その表面に残存したアルカリ土類金属が、10ng/cm以下であることが好ましく、5ng/cm以下であることがより好ましい。そうすることによって、耐衝撃性により優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。このことは、化学強化工程を施すガラス素板の表面に、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の付着量が少ないことによると考えられる。よって、化学強化がガラス素板全面に均一に起こり、耐衝撃性により優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を得ることができると考えられる。すなわち、記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が多すぎると、化学強化工程が好適に行われずに、得られたガラス基板の耐衝撃性を充分に高めることができない場合がある。
また、前記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属は、少なければ少ないほど好ましいものである。このことは、前記化学強化工程の前に、前記研磨工程で研磨されたガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、化学強化工程を阻害し、均一な化学強化を阻害すると考えられるからである。そして、本実施形態においては、前記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、少なければ少ないほど好ましく、その量10ng/cm以下であれば、耐衝撃性により優れた磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造することができることを見出したものである。
また、この粗研磨後のガラス素板の洗浄は、ガラス素板表面の酸化セリウム量が0.125ng/cm以下となるように行なわれる。ガラス素板表面の酸化セリウム量が多すぎると、後述する精密研磨工程による精密研磨後のガラス素板の平坦度を良好にできない傾向がある。
<化学強化工程>
本発明の製造方法における化学強化工程は、公知の方法であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス素板を化学強化処理液に浸漬させる工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の表面、例えば、ガラス素板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
より詳しくは、化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス素板を浸漬させることによって、ガラス素板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス素板の表面が強化される。
本実施形態では、ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のようなガラス組成のものを用いることによって、この化学強化工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。さらに、化学強化工程を施す前の研磨工程、ここでは粗研磨工程で用いる研磨剤が、上記のような組成の研磨剤であるので、ガラス素板の表面に付着しているアルカリ土類金属の量が少なく、化学強化が均一になされると考えられる。よって、本実施形態のように、好適な化学強化がなされたガラス素板に、精密研磨工程を行うことによって、耐衝撃性に優れたガラス基板を製造することができる。
化学強化処理液としては、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等が挙げられる。
これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス素板の変形を防止する観点から好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量ずつの混合させた混合液であることが好ましい。
<精密研磨工程(2次研磨工程)>
前記精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば、主表面の表面粗さ(Rmax)が6nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である、この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が挙げられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。そして、前記研磨剤を含む研磨スラリー液をガラス素板に供給し、研磨パッドとガラス素板とを相対的に摺動させて、ガラス素板の表面を鏡面研磨する。
<最終洗浄工程>
前記最終洗浄工程は、研磨されたガラス素板の表面から研磨剤を除去するように洗浄する工程である。具体的には、精密研磨工程を終えたガラス素板に対して、例えば、下記のように行う工程等が挙げられる。
まず、精密研磨工程を終えたガラス素板を乾燥(自然乾燥を含む)させることなく、水中で保管し、湿潤状態のまま次の洗浄工程へ搬送する。研磨残渣が残った状態のままガラス素板を乾燥させてしまうと、洗浄処理により研磨材(コロイダルシリカ)を除去することが困難になる場合があるからである。ここでの洗浄は、鏡面仕上げされたガラス素板の表面をあらすことなく、研磨剤を除去することが求められる。
そして、上記実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
図3は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の磁気情報記録媒体用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102の形成には、公知の常套手段による形成方法が用いられる。例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を磁気情報記録媒体用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、磁気情報記録媒体用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、磁気情報記録媒体用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等が挙げられる。
磁性膜102の膜厚は、スピンコート法による場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法による場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法による場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法による膜形成が好ましく、また、無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が挙げられる。
磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。
また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。
なお、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
このような本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、磁気情報記録媒体用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
なお、上述では、本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101を磁気記録媒体に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
<ガラス素板組成>
まず、ガラス素板の各成分についてさらに詳述する。
まず、SiO、Al、及びBが、ガラス素板の骨格成分である。また、LiO、NaO、及びKOが、ガラス素板のアルカリ成分である。MgO、CaO、BaO、SrO、及びZnOが、ガラス素板のアルカリ土類成分である。
次に、ガラス素板の骨格成分について説明する。
本実施形態で使用するガラス素板の骨格成分としては、上記のように、SiOが58〜70質量%、Alが12〜18質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)であって、それらの合計、すなわちSiOとAlとBとの合計が72〜85質量%である。
SiOは、ガラスの骨格(マトリックス)を形成する成分である。SiOの含有量が少なすぎると、ガラスの構造が不安定となり化学的耐久性が劣化するとともに、溶融時の粘性特性が悪くなり成形性に支障を来す場合がある。また、SiOの含有量が多すぎると、溶融性が悪くなり生産性が低下するとともに、充分な剛性が得られなくなる場合がある。そこで、SiOの含有量としては、58〜70質量%であることが好ましい。
Alも、ガラスの骨格を形成する成分であり、ガラスの耐久性向上や強度および表面硬度の向上に資するものである。Alの含有量が少なすぎると、磁気情報記録媒体用ガラス基板としてその耐久性および強度が充分ではない場合がある。また、Alの含有量が多すぎると、ガラスの失透傾向が強まり、安定したガラス形成が困難である場合がある。そこで、Alの含有量としては、12〜18質量%であることが好ましい。
は、溶融性を改善し生産性を向上させるとともに、ガラスの骨格中に入りガラス構造を安定化させ、化学的耐久性を向上させる効果を奏する。しかしながら、Bは、溶融時に揮発しやすく、ガラス成分比率が不安定になりやすい傾向がある。また、強度を低下させるため硬度が低くなり、ガラス基板に傷が入りやすくなるとともに、破壊靭性値が小さくなり、基板が破損しやすい傾向を示す。これらの理由から、Bの含有量は、3質量%以下にすることが好ましい。また、Bを含まない組成とすること可能である。上記において、Bの含有量0〜3質量%における0質量%とは、Bを含まない態様を含み得ることを意味する。なお、本出願書類のガラス組成における「0質量%」の表記は、これと同意であり、その成分を含まない態様を含み得ることを意味する(以下、同様の表記において同意とする)。
そして、SiOとAlとBとの合計量w(FMO)が、70〜85質量%であることが好ましい。これは、ガラスの構造を安定化させるためである。この合計量が少なすぎると、ガラス構造が不安定化する傾向がある。また、この合計量が多すぎると、溶融時の粘性特性が悪化し生産性が低下する傾向がある。
次に、ガラス素板のアルカリ成分について説明する。
本実施形態で使用するガラス素板のアルカリ成分としては、上記のように、LiOが1〜8質量%、NaOが2〜13質量%、KOが0.2〜2質量%であって、それらの合計、すなわちLiOとNaOとKOとの合計が3.2〜23質量%である。
LiOは、アルカリ金属元素の中でも特異な性質を有しており、ガラスの溶解性を改善する作用を有しつつ、ガラスの構造におけるイオン充填率を向上させることでヤング率を大きく向上させる効果を有している。LiOの含有量が、少なすぎると、溶解性の改善およびヤング率の向上に対して充分な効果を発揮させることができない傾向がある。また、LiOの含有量が、多すぎると、上述したように、情報記録媒体の記録層の表面に非常に微小かつ薄い反応析出物のトリガーとなる場合がある。そこで、LiOの含有量としては、1〜8質量%であることが好ましい。
NaOは、ガラスの溶融温度を低下させる作用を有し、線膨張係数を増大させる効果を奏する。さらに、化学強化工程における化学強化の効果に大きく影響を与える成分であると考えられる。すなわち、NaOの含有量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向があるだけではなく、化学強化工程により充分に強度を高めることができない傾向がある。また、NaOの含有量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、NaOの含有量としては、2〜13質量%であることが好ましい。なお、この含有量は、一般的なガラス基板における含有量より多いものである。
Oは、ガラスの溶融温度を低下させる作用を有し、線膨張係数を増大させる効果を奏する。KOの含有量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向がある。また、KOの含有量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合があるだけではなく、化学強化工程により充分に強度を高めることができない傾向がある。このことは、化学強化工程が、NaOのナトリウムイオンの代わりにカリウムイオンに置き換わることによって、強化層が形成されると考えられ、この交換を阻害することによると考えられる。そこで、KOの含有量としては、0.2〜2質量%であることが好ましい。
そして、LiOとNaOとKOとの合計量w(R2O)が、3.2〜23質量%であることが好ましい。この合計量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向があり、また、この合計量が少ないと、NaOの含有量も少ないことになり、化学強化が充分に発揮しにくい傾向がある。また、この合計量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合がある。
また、ガラス素板のアルカリ土類成分であるMgO、CaO、BaO、SrO、及びZnOは、熱膨張係数や剛性等を高めるとともに溶融性を改善する効果を奏する。MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計量w(MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO)が1〜10質量%であることが好ましい。この合計量が少なすぎると、剛性を上げると共に溶融性を改善する効果が充分ではない傾向がある。また、この合計量が多すぎると、ガラス構造が不安定となり溶融生産性が低下するとともに化学的耐久性が低下する傾向がある。
また、ガラス素板としては、上記以外の成分を含有してもよい。具体的には、例えば、ZrOや酸化セリウムを含有してもよい。そして、ZrOの含有量としては、0〜5質量%であることが好ましい。また、酸化セリウムの含有量としては、0〜2質量%が好ましい。なお、酸化セリウムは、酸化セリウムを含有する研磨剤を用いて、ガラス素板を研磨する際、微細な凹凸の発生を抑制する効果を有する。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、表1に示すガラス組成(質量%)のガラス素板を3種類、異なる分級を行う等、条件の異なる方法で製造した研磨剤を各種用意した。なお、研磨剤の組成は、酸化セリウム等の希土類酸化物の成分は、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的な研磨剤に含まれているもの、例えばアルカリ土類金属や分散剤等が含まれている。
また、表1において、「−」は、不可避的に混入されるものを除けば、含有されていないことを示す。
Figure 2012079370
(実施例1)
表1に示すガラス素板1を用い、公知の方法により、円盤加工工程、ラッピング工程を施した。そして、表2に示す研磨スラリーを用いたこと以外、公知の方法と同様の粗研磨工程を施した。
主表面研磨工程においては、まず、ラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するための粗研磨工程を、上述した両面研磨装置を用いて行なった。この粗研磨工程においては、ポリシャが硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)である研磨パッドを用いて、ガラス基板の主表面の研磨を行った。
上記で使用した研磨剤は通常研磨を100バッチ(ガラス素板100枚、研磨スラリー30L)行い、回収後に分級したものを使用した。分級方法としては、研磨スラリーを回収後に、3.5μmのフィルターに通し3.5μm以上の研磨剤及びその他の異物を除去し、その後二回目の分級として0.2μmのフィルターを通し、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用した。
その後、公知の方法により、洗浄工程、化学強化工程、精密研磨工程(2次研磨工程)、及び最終洗浄工程を施した。
(実施例2)
粗研磨工程において、研磨スラリーの分級において、研磨スラリーを回収後に、二回目の分級として0.1μmのフィルターを通し、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用したこと以外、実施例1と同様である。
(実施例3)
粗研磨工程において、研磨スラリーの分級において、研磨スラリーを回収後に、二回目の分級として0.4μmのフィルターを通し、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用したこと以外、実施例1と同様である。
(実施例4)
粗研磨工程において、通常研磨を300バッチ(ガラス素板100枚、研磨スラリー30L)行ったこと以外、実施例1と同様である。
(実施例5)
粗研磨工程において、通常研磨を10バッチ(ガラス素板100枚、研磨スラリー30L)行ったこと以外、実施例1と同様である。
(実施例6)
研磨工程に用いるガラス素板において、第2ラッピング行程に用いた三次元固定研磨物を実施例1に用いた径より2倍の粗さの径のものを用いた。
(実施例7)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板2に変更したこと以外、実施例1と同様である。
(実施例8)
粗研磨工程において、通常研磨を400バッチ(ガラス素板100枚、研磨スラリー30L)行ったこと以外、実施例1と同様である。
(実施例9)
粗研磨工程において、通常研磨を3バッチ(ガラス素板100枚、研磨スラリー30L)行ったこと以外、実施例1と同様である。
(実施例10)
粗研磨工程において、表1に示すガラス素板3に変更したこと以外、実施例1と同様である。
(比較例1)
粗研磨工程において、研磨スラリーの分級において、研磨スラリーを回収後に、1.0μmのフィルターに通し1.0μm以上の研磨剤及びその他の異物を除去し、その後二回目の分級として0.1μmのフィルターを通し、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用したこと以外、実施例1と同様である。
(比較例2)
粗研磨工程において、研磨スラリーの分級において、二回目の分級として1.0μmのフィルターを通し、そのフィルターに残った残存を回収し、研磨スラリーとして使用したこと以外、実施例1と同様である。
(比較例3)
粗研磨工程において、研磨スラリーの分級を行わなかったこと以外、実施例1と同様である。
(割れ試験)
まず、得られた磁気情報記録媒体用ガラス基板の表面上に、公知の方法により磁性膜を形成することによって磁気ディスクを製造した。そして、その磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ装置(HDD)を製造した。
そして、得られたHDDに対して1000Gの衝撃が与えられるように、前記HDDを各水準にて10枚落下させた。その際、HDDに備えられた磁気ディスクが割れた枚数が0回であれば「◎」、1回又は2回であれば「○」、3〜5回以上であれば「△」、6枚より多ければ「×」と評価した。なお、1Gは、約9.80665m/sである。
Figure 2012079370
表3の結果から明らかなように、分級を2度行い、分級後のD50値が1.1である研磨スラリーを用いた実施例1は、割れ試験において非常に優れた結果が得られた。また、ガラス基板の表面についてもキズ等が全く存在せず、表面平滑性が向上したと考えられる。同様に、2度目の分級のフィルターの大きさを異なるものにした実施例2,3においても、実施例1と同様に非常に優れた結果を得ることができた。
実施例1のバッチ数より多く研磨した実施例4については、分級後の研磨スラリーにおけるアルミノシリケートの主成分であるSiOの含有量が多くなっていたが、優れた結果を得ることができた。一方で、実施例1のバッチ数より少なく研磨した実施例5については、SiOの含有量が少なくなっていたが、実施例4と同様に優れた結果を得ることができた。
また、第2ラッピング行程において、実施例1に用いた三次元固定研磨物より2倍の粗さの径にした実施例6は、粗研磨前における表面粗さが0.145μmと大きくなり、上記実施例より劣る結果となったものの、良好な結果となった。また、ガラス素板の組成に酸化セリウムを含有しないものを用いた実施例7についても良好な結果となった。
また、実施例4のバッチ数より多く研磨した実施例8については、分級後の研磨スラリーにおけるアルミノシリケートの主成分であるSiOの含有量がさらに多くなっていたが、良好な結果を得ることができた。一方で、実施例4のバッチ数より少なく研磨した実施例9については、SiOの含有量が少なくなっていたが、上記実施例8と同様に良好な結果を得ることができた。
さらに、骨格成分にB2O3を含まないガラス素板3を用いた場合についても、実施例1と同様に非常に優れた結果を得ることができた。
上述の実施例が、製品として満足のいく結果が得られた一方で、1度目の分級にてさらに細かい1.0μmのフィルターを用いた比較例1では、分級後の研磨スラリーの粒径が細かくなったために、充分な研磨を行うことができなかった。その結果、第2ラッピング行程による粗面がそのままガラス基板に残ってしまったため、評価に劣る結果となった。また、1度目の分級にて3.5μm、2度目の分級にて1.0μmのフィルターを用いた比較例2では、分級後の研磨スラリーの粒径がかなり大きくなってしまったために、非常に研磨処理を施すことになった。その結果、大きなキズがガラス基板に付着してしまい、評価に劣る結果となった。
また、分級を全く行わなかった比較例3についても、評価に劣る結果となった。これは、研磨スラリーの粒径にばらつきが生じており、同一の力で研磨を施すことができず、表面粗さの低減に結びつかなかったためであると考えられる。
1 研磨装置
6 研磨パッド
10 ガラス素板
101 磁気情報記録媒体用ガラス基板
102 磁性膜

Claims (4)

  1. 粗研磨行程を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
    前記粗研磨行程は、
    ガラス素板の主面を、酸化セリウムを含有する研磨スラリーにて研磨した後に、前記研磨スラリーを研磨装置外に取り出す行程、
    前記取り出した研磨スラリー中の研磨剤のレーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.5〜1.5μmとなるように分級する行程、
    前記分級した研磨剤を含む研磨スラリーにて、前記ガラス素板とは異なるガラス素板の主面及び端面を研磨する行程、
    を備えることを特徴とする磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記分級した研磨剤が、前記酸化セリウムと、SiO,AlOを含むアルミノシリケートとを含有し、
    前記アルミノシリケートの含有量が、前記酸化セリウムの含有量に対して0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記アルミノシリケートの含有量が、前記酸化セリウムの含有量に対して1〜10質量%であることを特徴とする請求項2に記載の磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記研磨工程に用いるガラス素板が、表面粗さRa≦0.10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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