JP5667403B2 - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録する情報記録装置が知られている。このような情報記録装置としては、代表的なものとして、例えば、ハードディスクドライブ装置等が挙げられる。ハードディスクドライブ装置は、基板上に記録層を形成した情報記録媒体としての磁気ディスクに磁気ヘッドによって磁気的に情報を記録する装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスクドライブ装置は、磁気ディスクに情報を記録させる際、磁気ヘッドを、磁気ディスクに接触することなく、磁気ディスクに対し浮上させておくものである。そして、磁気ヘッドの浮上量を低減させることによって、記録密度の向上が図れることが知られている。よって、磁気ヘッドの浮上量を低減させて、記録密度を高めるためには、情報記録媒体用ガラス基板の平滑性が高く、清浄度が高いことが求められる。
このような情報記録媒体用ガラス基板は、ガラス素板を複数回研磨すること等によって、製造される。具体的には、特許文献1〜3に記載の方法が挙げられる。
特許文献1には、全体の90体積%以上が1次粒子径3〜60μmの炭酸セリウムを原料に用いて製造した酸化セリウム粒子を含有する酸化セリウム研磨剤で所定の基板を研磨する研磨法が記載されている。このような方法によれば、SiO絶縁膜等の被研磨面を傷なく高速に研磨できることが開示されている。
また、特許文献2には、タップ法による見掛け密度が1.7〜3.5g/mlであるとともに、CeO/TREO(希土類酸化物)が95質量%以上である酸化セリウム系研磨剤が記載されている。そして、特許文献2には、このような酸化セリウム系研磨剤を用いてガラス研磨を行えば、研磨速度が大きく、研磨傷の少ない研磨が行えることが開示されている。
また、特許文献3によれば、ガラス基板の主表面を研磨砥粒を用いて研磨した後、強酸処理を行う工程を有する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨砥粒として、前記強酸処理の際に用いる処理液成分と反応して、前記ガラス基板表面を浸蝕する成分を生成する原因物質であるフッ素の含有量が所定量以下であるものを用いる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法が記載されている。このような方法によれば、強酸処理で研磨残りを完全に除去すると同時に、強酸処理による表面粗れの発生を防止して欠陥のない高い平滑性を有する情報記録媒体用ガラス基板を得ることができることが開示されている。
特開2010−30041号公報 特開2008−88325号公報 特開2002−109727号公報
また、情報記録装置は、ノート型パーソナルコンピュータ、車載機器、及びゲーム機器等の強度信頼性が求められる用途での使用機会が増えている。よって、情報記録媒体用ガラス基板としては、平滑性や清浄度が高いことに加え、耐衝撃性に優れていることも求められている。ガラス基板の耐衝撃性を高める方法としては、例えば、ガラス素板を化学強化処理液に浸漬させる化学強化法を施すことが挙げられる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法により、研磨されたガラス素板に対して、化学強化法を施すことによって得られたガラス基板は、耐衝撃性の充分に高いものではない場合があった。
本発明者等は、ガラス基板の耐衝撃性が充分に高まらない場合がある理由として、以下のことによると推察した。
まず、化学強化法とは、具体的には、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合溶融液等の化学強化処理液に、ガラス基板を接触させて加熱する方法である。そうすることによって、ガラス基板の表面が硬くなることが知られている。このことは、化学強化処理液に接触させることにより、ガラス基板に含まれているイオンが、化学強化処理液に含まれているイオンに交換されることによると考えられる。その際、ガラス基板に存在していたイオンよりイオン半径の大きなイオンに交換され、イオン交換されたガラス素材の表面には、圧縮応力が発生する強化層が形成されると考えられる。そうすることによって、ガラス基板の耐衝撃性が高まると考えられる。
そして、化学強化法を適用したにもかかわらず、ガラス基板の耐衝撃性が充分に高まらない場合がある理由としては、研磨された後に化学強化法を適用するガラス基板の素材によっては、化学強化法が充分に施されない場合があることによると考えられる。具体的には、ガラス基板の表面に化学強化処理液を接触させて加熱しても、イオン交換が好適に進行せず、好適な強化層が形成されない場合があることによると考えられる。具体的には、特許文献1や特許文献2に記載の発明は、研磨速度等を高めるものであって、ガラス基板の組成等に着目して、化学強化法により耐衝撃性を高めるものではなかった。
さらに、化学強化法により、耐衝撃性を高めることが可能と思われる組成のガラス基板であっても、化学強化法により、耐衝撃性を充分に高めることができない場合があった。このことは、以下のことによると考えられる。まず、研磨後のガラス基板の表面には、アルカリ土類金属が付着しやすいと考えられる。よって、研磨剤に含有されるアルカリ土類金属が、研磨後のガラス基板の表面に付着しやすいと考えられる。そして、アルカリ土類金属が表面に付着されていると、ガラス基板に対する化学強化が均一になされず、耐衝撃性を充分に高めることができない場合があると考えられる。
特許文献1や特許文献2に記載の発明は、研磨速度を高め、研磨傷の発生を抑制するために、CeO含有量を高めた研磨剤であって、使用する研磨剤における、TREO以外の元素には着目されていない。また、特許文献3に記載の発明は、研磨処理の後に行う、研磨残りを除去するための強酸処理において、ガラス基板を浸蝕する成分を生成する原因物質であるフッ素の含有量の少ない研磨剤を用いたものであって、使用する研磨剤における、TREOや、TREO以外の元素には着目されていない。すなわち、これらの研磨剤は、アルカリ土類金属の含有量が少なくなるように組成されたものではない。よって、用いた研磨剤によっては、研磨後のガラス基板に化学強化法を適用しても、ガラス基板の耐衝撃性を充分に高めることができない場合があると考えられる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス素板の表面を、研磨剤を用いて研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後に、研磨されたガラス素板の表面を、化学強化処理液を用いて強化する化学強化工程とを備え、前記ガラス素板として、そのガラス組成が、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%、ZrOが0〜5質量%(ただし、0を含む)、CeOが0〜2質量%(ただし、0を含む)、SiOとAlとBとの合計が72〜85質量%、LiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%、MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計が1〜5質量%であるものを用い、前記研磨剤として、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いることを特徴とする。
このような構成によれば、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のようなガラス組成のものを用いることによって、化学強化工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。なお、カリウムイオンは、ナトリウムイオンより大きい。
次に、化学強化工程の前に行われる研磨工程において用いられる研磨剤が、CeOの含有量が多く、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができる理由としては、以下のような理由によると考えられる。まず、研磨の際にガラス素板の表面に圧力が加わった状態で、ガラス素板とCeOとが接触すると、ガラス素板の表面で主な組成であるSi−Oの結合が、Ce−Oの結合に置き換わると考えられる。そして、この結合は、容易に分解するが、Siとの結合が再度形成されにくいと考えられる。よって、CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
そして、このようなCeOの含有量が多い研磨剤であって、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、平滑性を充分に高めることができるだけではなく、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着が抑制されると考えられる。このようなアルカリ土類金属の付着が抑制されたガラス素板に対して、化学強化工程を施すことによって、均一な化学強化がなされると考えられる。
なお、前記研磨剤を水に分散させた状態の研磨液を用いて研磨する際、前記水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス素板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス素板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、アルカリ土類金属の少ない研磨剤を用いることによって、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
これらのことから、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。さらに、この製造方法によれば、研磨速度が充分に高く、平滑性の充分に高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99.99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して5ppm以下であることが好ましい。
このような構成によれば、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。このことは、研磨性を高めるCeOの含有量が多く、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の含有量が少ないことによると考えられる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、CeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましい。
このような構成によれば、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。このことは、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の含有量が少なく、さらに、研磨性を高めるCeOの含有量が、研磨剤に含有される希土類酸化物に対して単に多いだけではなく、研磨剤全量に対しても多いことによると考えられる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記化学強化工程の前に、前記研磨工程で研磨されたガラス素板を洗浄する洗浄工程を備え、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、10ng/cm以下であることが好ましい。
このような構成によれば、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。このことは、化学強化工程を施すガラス素板の表面に、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の付着量が少ないことによると考えられる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記研磨剤が、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.4〜1.6μmであることが好ましい。
このような構成によれば、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。このことは、上記のような粒径の研磨剤が、高い研磨速度を確保しながら、研磨による傷の発生を抑制できることによると考えられる。
本発明によれば、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。 本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス素板の表面を、研磨剤を用いて研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後に、研磨されたガラス素板の表面を、化学強化処理液を用いて強化する化学強化工程とを備え、前記ガラス素板として、そのガラス組成が、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%、ZrOが0〜5質量%(ただし、0を含む)、CeOが0〜2質量%(ただし、0を含む)、SiOとAlとBとの合計が72〜85質量%、LiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%、MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計が1〜5質量%であるものを用い、前記研磨剤として、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いる製造方法である。
また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、前記研磨工程と前記化学強化工程とを備えていれば、特に限定されない。具体的には、前記化学強化工程の前に行う研磨工程で用いる研磨剤、及び情報記録媒体用ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のものを用いること以外は、特に限定されず、従来公知の製造方法であればよい。
情報記録媒体用ガラス基板の製造方法としては、例えば、円盤加工工程、ラッピング工程、粗研磨工程(1次研磨工程)、洗浄工程、化学強化工程、精密研磨工程(2次研磨工程)、及び最終洗浄工程等を備える方法等が挙げられる。そして、前記各工程を、この順番で行うものであってもよいし、化学強化工程と精密研磨工程(2次研磨工程)との順番が入れ替わったものであってもよい。さらに、これら以外の工程を備える方法であってもよい。例えば、ラッピング工程と粗研磨工程(1次研磨工程)との間に、端面研磨工程を行うものであってもよい。
前記円盤加工工程は、所定の組成のガラス素材から板状に成形したガラス素板から、図1に示すように、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔10aが形成された円盤状のガラス素板10に加工する工程である。具体的には、例えば、以下のようにして加工する。まず、板状に成形したガラス素板、例えば、後述するフロート法により製造された板状のガラス素板であって、そのガラス組成が、後述する組成であって、その厚み0.95mmであるガラス素板を所定の大きさの四角形に切断する。そして、その切断されたガラス素板の一方の表面に、ガラスカッターで、上述した内周及び外周を形成するように、円形の切り筋を形成する。そして、この切り筋を形成したガラス素板を、その切り筋を形成させた側の表面から加熱する。そうすることによって、前記切り筋が、ガラス素板の他方の表面に向かって、深くなる。そして、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔10aが形成された円盤状のガラス素板10に加工される。この円盤加工工程で、例えば、外径r1が2.5インチ(約64mm)、1.8インチ(約46mm)、1インチ(約25mm)、0.8インチ(約20mm)等で、厚みが2mm、1mm、0.63mm等の円盤状のガラス素板に加工される。また、外径r1が2.5インチ(約64mm)のときは、内径r2が0.8インチ(約20mm)等に加工される。なお、図1は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。
また、板状に成形したガラス素板は、その製造方法は特に限定されないが、例えば、フロート法により製造されたもの等が挙げられる。フロート法とは、例えば、ガラス素材を溶融させた溶融液を、溶融したスズの上に流し、そのまま固化させる方法である。得られたガラス素板は、一方の面がガラスの自由表面であり、他方の面が、ガラスとスズとの界面であるため、平滑性の高い、例えば、算術平均粗さRaが0.001μm以下の鏡面を備えたものとなる。そして、その厚みとしては、例えば、0.95mmのものが挙げられる。なお、ガラス素板やガラス基板の表面粗さ、例えばRaやRmaxは、一般的な、表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
前記ラッピング工程は、前記ガラス素板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、例えば、ガラス素板の両面を研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを調整する。また、このラッピング工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目のラッピング工程(第1ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目のラッピング工程(第2ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを微調整する。より具体的には、前記第1ラッピング工程としては、ガラス素板の表面全体が略均一の表面粗さとなるようにした工程等が挙げられる。その際、例えば、ガラス素板の算術平均粗さRaを複数個所測定した際に、得られたRaの最小値と最大値との差が0.01〜0.4μm程度にすることが好ましい。また、前記第2ラッピング工程としては、ガラス素板の算術平均粗さRaを0.1μm以下となるようにした工程等が挙げられる。
前記粗研磨工程(1次研磨工程)は、前記ラッピング工程が施されたガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。この粗研磨は、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、後述する研磨装置を用いて実施する。なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、ガラス素板の面方向に平行な面、すなわち主表面である。
前記洗浄工程は、前記粗研磨工程が施されたガラス素板を洗浄する工程である。
前記化学強化工程は、化学強化液にガラス素板を浸漬してガラス素板に化学強化層を形成する工程である。
前記精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば、主表面の表面粗さ(Rmax)が6nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である、この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。
前記最終洗浄工程は、研磨されたガラス素板の表面から研磨剤を除去するように洗浄する工程である。
また、前記端面研磨工程を行う場合、その端面研磨工程としては、前記ガラス素板の内周端面及び外周端面を研磨する工程である。具体的には、例えば、前記ガラス素板の内周端面及び外周端面を、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う工程等が挙げられる。このとき用いる研磨剤としては、前記粗研磨工程で用いる研磨剤と同様のものを用いる。また、前記端面研磨工程は、内周端面及び外周端面の表面粗さを、Rmaxで0.4μm程度以下、Raで0.1μm程度以下となるように研磨することが好ましい。なお、内周端面とは、内周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。また、外周端面とは、外周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、例えば、上記のような各工程を施す。そうすることによって、情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
本実施形態においては、まず、ガラス素板として、そのガラス組成が、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%、ZrOが0〜5質量%(ただし、0を含む)、CeOが0〜2質量%(ただし、0を含む)、SiOとAlとBとの合計が72〜85質量%、LiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%、MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計が1〜5質量%であるものを用いる。そうすることによって、前記化学強化工程が好適になされ、得られるガラス基板の強度を高めることに寄与できると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。
以下、ガラス素板の各成分についてさらに詳述する。
まず、SiO、Al、及びBが、ガラス素板の骨格成分である。また、LiO、NaO、及びKOが、ガラス素板のアルカリ成分である。MgO、CaO、BaO、SrO、及びZnOが、ガラス素板のアルカリ土類成分である。
次に、ガラス素板の骨格成分について説明する。
本実施形態で使用するガラス素板の骨格成分としては、上記のように、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)であって、それらの合計、すなわちSiOとAlとBとの合計が72〜85質量%である。
SiOは、ガラスの骨格(マトリックス)を形成する成分である。SiOの含有量が少なすぎると、ガラスの構造が不安定となり化学的耐久性が劣化するとともに、溶融時の粘性特性が悪くなり成形性に支障を来す場合がある。また、SiOの含有量が多すぎると、溶融性が悪くなり生産性が低下するとともに、充分な剛性が得られなくなる場合がある。そこで、SiOの含有量としては、60〜70質量%であることが好ましい。
Alも、ガラスの骨格を形成する成分であり、ガラスの耐久性向上や強度および表面硬度の向上に資するものである。Alの含有量が少なすぎると、情報記録媒体用ガラス基板としてその耐久性および強度が充分ではない場合がある。また、Alの含有量が多すぎると、ガラスの失透傾向が強まり、安定したガラス形成が困難である場合がある。そこで、Alの含有量としては、12〜17質量%であることが好ましい。
は、溶融性を改善し生産性を向上させるとともに、ガラスの骨格中に入りガラス構造を安定化させ、化学的耐久性を向上させる効果を奏する。しかしながら、Bは、溶融時に揮発しやすく、ガラス成分比率が不安定になりやすい傾向がある。また、強度を低下させるため硬度が低くなり、ガラス基板に傷が入りやすくなるとともに、破壊靭性値が小さくなり、基板が破損しやすい傾向を示す。これらの理由から、Bの含有量は、3質量%以下にすることが好ましい。また、Bを含まない組成とすること可能である。上記において、Bの含有量0〜3質量%における0質量%とは、Bを含まない態様を含み得ることを意味する。なお、本出願書類のガラス組成における「0質量%」の表記は、これと同意であり、その成分を含まない態様を含み得ることを意味する(以下、同様の表記において同意とする)。
そして、SiOとAlとBとの合計量w(FMO)が、72〜85質量%であることが好ましい。これは、ガラスの構造を安定化させるためである。この合計量が少なすぎると、ガラス構造が不安定化する傾向がある。また、この合計量が多すぎると、溶融時の粘性特性が悪化し生産性が低下する傾向がある。
次に、ガラス素板のアルカリ成分について説明する。
本実施形態で使用するガラス素板のアルカリ成分としては、上記のように、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%であって、それらの合計、すなわちLiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%である。
LiOは、アルカリ金属元素の中でも特異な性質を有しており、ガラスの溶解性を改善する作用を有しつつ、ガラスの構造におけるイオン充填率を向上させることでヤング率を大きく向上させる効果を有している。LiOの含有量が、少なすぎると、溶解性の改善およびヤング率の向上に対して充分な効果を発揮させることができない傾向がある。また、LiOの含有量が、多すぎると、上述したように、情報記録媒体の記録層の表面に非常に微小かつ薄い反応析出物のトリガーとなる場合がある。そこで、LiOの含有量としては、1〜6質量%であることが好ましい。
NaOは、ガラスの溶融温度を低下させる作用を有し、線膨張係数を増大させる効果を奏する。さらに、化学強化工程における化学強化の効果に大きく影響を与える成分であると考えられる。すなわち、NaOの含有量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向があるだけではなく、化学強化工程により充分に強度を高めることができない傾向がある。また、NaOの含有量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、NaOの含有量としては、10〜13質量%であることが好ましい。なお、この含有量は、一般的なガラス基板における含有量より多いものである。
Oは、ガラスの溶融温度を低下させる作用を有し、線膨張係数を増大させる効果を奏する。KOの含有量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向がある。また、KOの含有量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合があるだけではなく、化学強化工程により充分に強度を高めることができない傾向がある。このことは、化学強化工程が、NaOのナトリウムイオンの代わりにカリウムイオンに置き換わることによって、強化層が形成されると考えられ、この交換を阻害することによると考えられる。そこで、KOの含有量としては、0.2〜1.1質量%であることが好ましい。
そして、LiOとNaOとKOとの合計量w(R2O)が、11.2〜17.5質量%であることが好ましい。この合計量が少なすぎると、充分に溶融温度を低下させることができない傾向があり、また、この合計量が少ないと、NaOの含有量も少ないことになり、化学強化が充分に発揮しにくい傾向がある。また、この合計量が多すぎると、その溶出量が増大し記録層に悪影響を及ぼす場合がある。
また、ガラス素板のアルカリ土類成分であるMgO、CaO、BaO、SrO、及びZnOは、熱膨張係数や剛性等を高めるとともに溶融性を改善する効果を奏する。MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計量w(MgO+CaO+BaO+SrO+ZnO)が1〜5%であることが好ましい。この合計量が少なすぎると、剛性を上げると共に溶融性を改善する効果が充分ではない傾向がある。また、この合計量が多すぎると、ガラス構造が不安定となり溶融生産性が低下するとともに化学的耐久性が低下する傾向がある。
また、ガラス素板としては、上記以外の成分を含有してもよい。具体的には、例えば、ZrOやCeOを含有してもよい。そして、ZrOの含有量としては、0〜5質量%であることが好ましい。また、CeOの含有量としては、0〜2質量%が好ましい。なお、CeOは、CeOを含有する研磨剤を用いて、ガラス素板を研磨する際、微細な凹凸の発生を抑制する効果を有する。
次に、粗研磨工程について説明する。
まず、粗研磨工程で用いる研磨装置は、ガラス基板の製造に用いる研磨装置であれば、特に限定されない。具体的には、図2に示すような研磨装置1が挙げられる。なお、図2は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置1の一例を示す概略断面図である。
図2に示すような研磨装置1は、両面同時研削可能な装置である。また、この研磨装置1は、装置本体部1aと、装置本体部1aに研磨液を供給する研磨液供給部1bとを備えている。
装置本体部1aは、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とを備えており、それらが互いに平行になるように上下に間隔を隔てて配置されている。そして、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とが、互いに逆方向に回転する。
この円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3との対向するそれぞれの面にガラス素板10の表裏の両面を研磨するための研磨パッドが貼り付けられている。この粗研磨工程で使用する研磨パッドは、粗研磨工程で用いられる研磨パッドであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリウレタン製の硬質研磨パッド等が挙げられる。また、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3との間には、回転可能な複数のキャリア5が設けられている。
このキャリア5は、複数の素板保持用孔51が設けられており、この素板保持用孔51にガラス素板10をはめ込んで配置することができる。キャリア5としては、例えば、素板保持用孔51を100個有していて、100枚のガラス素板10をはめ込んで配置できるように構成されていてもよい。そうすると、一回の処理(1バッチ)で100枚のガラス素板10を処理できる。
研磨パッドを介して定盤2、3に挟まれているキャリア5は、複数のガラス素板10を保持した状態で、自転しながら定盤2,3の回転中心に対して下定盤3と同じ方向に公転する。なお、円盤状の上定盤2と円盤状の下定盤3とは、別駆動で動作することができる。このように動作している研磨装置1において、研磨液7(スラリー液)を上定盤2とガラス素板10との間、及び下定盤3とガラス素板10との間、夫々に供給することでガラス素板10の粗研磨を行うことができる。
研磨液供給部1bは、液貯留部11と液回収部12とを備えている。液貯留部11は、液貯留部本体11aと、液貯留部本体11aから装置本体部1aに延ばされた吐出口11eを有する液供給管11bとを備えている。
液回収部12は、液回収部本体12aと、液回収部本体12aから装置本体部1aに延ばされた液回収管12bと、液回収部本体12aから研磨液供給部1bに延ばされた液戻し管12cとを備えている。
そして、液貯留部本体11aに入れられた研磨液7は、液供給管11bの吐出口11eから装置本体部1aに供給され、装置本体部1aから液回収管12bを介して液回収部本体12aに回収される。
また、回収された研磨液7は、液戻し管12cを介して液貯留部11に戻され、再度、装置本体部1aに供給可能とされている。
ここで用いる研磨液7は、研磨剤を水に分散させた状態の液体、すなわち、スラリー液である。そして、この研磨剤としては、上述したように、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いる。
そうすることによって、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のようなガラス組成のものを用いることによって、後述する化学強化工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。
次に、化学強化工程の前に行われる研磨工程において用いられる、この研磨剤が、CeOの含有量が多く、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができる理由としては、以下のような理由によると考えられる。まず、研磨の際にガラス素板の表面に圧力が加わった状態で、ガラス素板とCeOとが接触すると、ガラス素板の表面で主な組成であるSi−Oの結合が、Ce−Oの結合に置き換わると考えられる。そして、この結合は、容易に分解するが、Siとの結合が再度形成されにくいと考えられる。よって、CeOの含有量が多い研磨剤を用いると、研磨速度を高め、研磨後のガラス素板の平滑性を充分に高めることができると考えられる。
そして、このようなCeOの含有量が多い研磨剤であって、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、平滑性を充分に高めることができるだけではなく、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着が抑制されると考えられる。このようなアルカリ土類金属の付着が抑制されたガラス素板に対して、化学強化工程を施すことによって、均一な化学強化がなされると考えられる。
なお、前記研磨剤を水に分散させた状態の研磨液を用いて研磨する際、前記水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス素板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス素板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、アルカリ土類金属の少ない研磨剤を用いることによって、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
これらのことから、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。さらに、この製造方法によれば、研磨速度が充分に高く、平滑性の充分に高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。
また、研磨剤に含有する希土類酸化物の含有量に対するCeOの含有量の比率が、高ければ高いほど好ましい。すなわち、研磨剤に含有する希土類酸化物が、全てCeOであることが好ましい。このことは、CeOがガラス素板の研磨性に最も影響することによると考えられる。一方、研磨剤に含有する希土類酸化物の含有量に対するCeOの含有量の比率が高すぎると、単離精製にコストがかかりすぎる傾向がある。すわなち、研磨剤に含有する希土類酸化物の含有量に対するCeOの含有量の比率が高すぎると、CeOが多く含まれることによって発揮される効果が飽和し、コストのみが高くなる傾向がある。このことから、前記希土類酸化物の含有量に対するCeOの含有量の上限値は、99.9999質量%であることが好ましい。
また、前記研磨剤全量に対するアルカリ土類金属の含有量の比率は、低ければ低いほど好ましい。前記研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が少なければ、アルカリ土類金属による化学強化工程の阻害が抑制されることによると考えられる。そして、本実施形態においては、アルカリ土類金属の含有量は、低ければ低いほど好ましく、前記研磨剤全量に対して、10ppm以下であれば、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造することができることを見出したものである。
さらに、前記研磨剤は、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99.99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して5ppm以下であることが好ましい。そうすることによって、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができると考えられる。このことは、研磨性を高めるCeOの含有量が多く、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の含有量が少ないことによると考えられる。
また、CeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましい。そうすることによって、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。このことは、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の含有量が少なく、さらに、研磨性を高めるCeOの含有量が、研磨剤に含有される希土類酸化物に対して単に多いだけではなく、研磨剤全量に対しても多いことによると考えられる。
なお、前記研磨剤は、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であって、さらに、CeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましいものである。よって、この研磨剤は、希土類酸化物としては、CeOがほとんどで、そのCeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましいものである。そして、アルカリ土類金属の含有量が、非常に少ないものである。また、前記研磨剤の、CeO等の希土類酸化物やアルカリ土類金属以外の成分は、情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的な研磨剤に含まれているものが含まれていてもよい。すなわち、前記研磨剤は、上記のように、CeOの含有量が多く、アルカリ土類金属の含有量が少ないこと以外、情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的な研磨剤と同様のものを用いることができる。
また、前記研磨液7は、前記研磨剤を水に分散させた状態のものであり、CeOの含有量が、前記研磨液全量に対して、3〜15質量%であることが好ましい。そうすることによって、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。このことは、まず、CeOの含有量が、研磨液としては高いものであるので、研磨速度をより高めることができ、さらに、平滑性のより高いガラス基板を得ることができると考えられる。また、前記研磨剤を水に分散させた状態の研磨液の場合、上述したように、前記水にアルカリ土類金属が含有されていても、アルカリ土類金属が溶解しているため、ガラス素板の表面に付着しにくく、研磨剤に含まれるアルカリ土類金属が、ガラス素板の表面に付着しやすいと考えられる。よって、前記研磨剤として、アルカリ土類金属の少ないものを用いることによって、研磨後のガラス素板に対するアルカリ土類金属の付着を充分に抑制できると考えられる。
また、前記研磨剤が、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.4〜1.6μmであることが好ましい。
前記研磨剤の粒径が小さすぎると、研磨速度が低下する傾向がある。また、前記研磨剤の粒径が大きすぎると、研磨によってガラス素板上に形成されうる傷が発生しやすくなる。よって、前記研磨剤として、上記のような粒径の研磨剤を用いることによって、高い研磨速度を確保しながら、研磨による傷の発生を抑制できることによると考えられる。このことにより、耐衝撃性に優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造でき、さらに、研磨速度をより高めることができ、平滑性のより高い情報記録媒体用ガラス基板を製造することができる。
なお、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブの最大値となる点の粒子径を意味する。また、D50とは、レーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を意味する。
また、前記研磨液7としては、粗研磨工程では、フッ素含有量が5質量%以下であることが好ましい。
前記粗研磨工程による粗研磨後のガラス素板は、洗浄工程によって洗浄することが好ましい。洗浄工程としては、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のような洗浄工程が挙げられる。
まず、pH13以上のアルカリ洗剤を用いて、ガラス素板の洗浄を行い、ガラス素板にリンスを行う。次に、pH1以下の酸系洗剤を用いて、ガラス素板の洗浄を行い、ガラス素板にリンスを行う。最後に、フッ化水素酸(HF)溶液を用いて、ガラス素板の洗浄を行う。酸化セリウムに関しては、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄の順で洗浄を行うことが最も効率的である。これは、まずアルカリ洗剤で研磨材を分散除去し、次に酸洗剤で研磨材を溶解除去し、最後に、HFによってガラス素板をエッチングし、ガラス素板に深く刺さっている研磨材を除去するのである。
前記洗浄工程は、アルカリ洗浄、酸洗浄、HF洗浄において、それぞれ別の槽で行うことが好ましい。これらの洗浄を単一の槽で行った場合には、効率的な洗浄ができない場合があるからである。特に、酸洗剤とHFを同一槽に入れた場合、HFのエッチング速度は、研磨材の多い場所で低下するため、基板内を均一にエッチングできなくなる傾向があるからである。また、各洗浄の後にリンス槽を用いることが好ましい。これらの洗剤には、場合によって界面活性剤、分散材、キレート剤、還元材などを添加しても良い。また、各洗浄槽には、超音波を印加し、それぞれの洗剤には脱気水を使用することが好ましい。
また、他の方法としては、まず、HFが1質量%、硫酸が3質量%の洗浄液にガラス素板を浸漬させる。その際、その洗浄液に、80kHzの超音波振動を印加させる。その後、ガラス素板を取り出す。そして、取り出したガラス素板を中性洗剤液に浸漬させる。その際、その中性洗剤液に、120kHzの超音波振動を印加させる。最後に、ガラス素板を取り出し、純水でリンスを行い、IPA乾燥させる。
また、前記洗浄工程後のガラス素板は、その表面に残存したアルカリ土類金属が、10ng/cm以下であることが好ましく、5ng/cm以下であることがより好ましい。そうすることによって、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。このことは、化学強化工程を施すガラス素板の表面に、化学強化工程を阻害しうるアルカリ土類金属の付着量が少ないことによると考えられる。よって、化学強化がガラス素板全面に均一に起こり、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板を得ることができると考えられる。すなわち、前記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が多すぎると、化学強化工程が好適に行われずに、得られたガラス基板の耐衝撃性を充分に高めることができない場合がある。
また、前記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属は、少なければ少ないほど好ましいものである。このことは、前記化学強化工程の前に、前記研磨工程で研磨されたガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、化学強化工程を阻害し、均一な化学強化を阻害すると考えられるからである。そして、本実施形態においては、前記洗浄工程後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、少なければ少ないほど好ましく、その量10ng/cm以下であれば、耐衝撃性により優れた情報記録媒体用ガラス基板を製造することができることを見出したものである。
また、この粗研磨後のガラス素板の洗浄は、ガラス素板表面の酸化セリウム量が0.125ng/cm以下となるように行なわれる。ガラス素板表面の酸化セリウム量が多すぎると、後述する精密研磨工程による精密研磨後のガラス素板の平坦度を良好にできない傾向がある。
化学強化工程は、ガラス素板の表面を、化学強化処理液を用いて強化する工程である。そして、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス素板を化学強化処理液に浸漬させる工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の表面、例えば、ガラス素板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
より詳しくは、化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス素板を浸漬させることによって、ガラス素板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス素板の表面が強化される。
本実施形態では、ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のようなガラス組成のものを用いることによって、この化学強化工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。さらに、化学強化工程を施す前の研磨工程、ここでは粗研磨工程で用いる研磨剤が、上記のような組成の研磨剤であるので、ガラス素板の表面に付着しているアルカリ土類金属の量が少なく、化学強化が均一になされると考えられる。よって、本実施形態のように、好適な化学強化がなされたガラス素板に、精密研磨工程を行うことによって、耐衝撃性に優れたガラス基板を製造することができる。
化学強化処理液としては、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等が挙げられる。これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを単独で溶融させて得られた溶融液や、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス素板の変形を防止する観点から好ましく、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液との混合溶融液がより好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量づつの混合させた混合液であることが好ましい。
次に、精密研磨工程について説明する。
精密研磨工程は、上述した粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば主表面の表面粗さの最大高さ(Rmax)が6nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である。この精密研磨工程は、例えば上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行なわれる。
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が挙げられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。そして、本実施形態では、このコロイダルシリカを含む研磨剤が用いられる。
そして、前記研磨剤を含む研磨液(スラリー液)をガラス素板に供給し、研磨パッドとガラス素板とを相対的に摺動させて、ガラス素板の表面を鏡面研磨する。なお、スラリー液は、例えば、上記研磨装置1の研磨液供給部1bによって循環使用してもよい。
前記最終洗浄工程は、研磨されたガラス素板の表面から研磨剤を除去するように洗浄する工程である。具体的には、精密研磨工程を終えたガラス素板に対して、例えば、下記のように行う工程等が挙げられる。
まず、精密研磨工程を終えたガラス素板を乾燥(自然乾燥を含む)させることなく、水中で保管し、湿潤状態のまま次の洗浄工程へ搬送する。研磨残渣が残った状態のままガラス素板を乾燥させてしまうと、洗浄処理により研磨材(コロイダルシリカ)を除去することが困難になる場合があるからである。ここでの洗浄は、鏡面仕上げされたガラス素板の表面をあらすことなく、研磨材を除去することが求められる。
そして、最終洗浄工程で用いる洗浄液としては、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における最終洗浄工程で用いられる洗浄液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、エッチング作用やリーチング作用を有せず、精密研磨工程で用いた研磨剤、例えば、シリカ系の研磨剤に対して選択的溶解性能を備えるように組成された洗浄液が好ましい。すなわち、ガラスをエッチングする要因であるフッ化水素酸(HF)やケイフッ酸(HSiF)等を含まない組成を洗浄液として選定することが好ましい。また、例えば、洗浄液がガラス素板に対してエッチング作用やリーチング作用を有している場合、折角、鏡面仕上げしたガラス表面があらされてしまい、梨子地状の仕上げ表面となってしまうおそれがある。梨子地状の仕上げ表面では、磁気ヘッドの浮上量を十分に低減させることができないと考えられる。よって、エッチング作用やリーチング作用を有せず、精密研磨工程で用いた研磨剤に対して選択的溶解性能を備えるように組成された洗浄液が好ましい。この最終洗浄工程を経て、情報記録媒体用ガラス基板が製造される。
なお、上記実施形態では、化学強化工程を、粗研磨工程よりも後であって精密研磨工程よりも前に行なっているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。化学強化工程を、精密研磨工程の後に行ってもよい。その際、化学強化工程の前に行う精密研磨工程で用いる研磨剤として、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いる必要がある。
上記のようにして得られた情報記録媒体用ガラス基板は、耐衝撃性に優れたものである。さらに、CeOの含有量が多い研磨剤で研磨しているので、上記の研磨工程は、研磨速度が充分に高く、得られたガラス基板に傷の発生等が少なく、平滑性の高いものである。
そして、上記実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の情報記録媒体用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102の形成には、公知の常套手段による形成方法が用いられる。例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を情報記録媒体用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等が挙げられる。磁性膜102の膜厚は、スピンコート法による場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法による場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法による場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法による膜形成が好ましく、また、無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が挙げられる。磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。なお、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
このような本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、情報記録媒体用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
なお、上述では、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を磁気記録媒体に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、表1に示すガラス組成(質量%)のガラス素板を3種類、表2に示す研磨剤を7種類用意した。なお、研磨剤の組成は、CeO等の希土類酸化物やアルカリ土類金属以外の成分は、情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的な研磨剤に含まれているものが含まれている。すなわち、CeO等の希土類酸化物やアルカリ土類金属の含有量を代えたこと以外、情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的な研磨剤と同様である。
また、表1において、「−」は、不可避的に混入されるものを除けば、含有されていないことを示す。そして、研磨剤の含有成分は、以下のように測定した。まず、研磨剤を硫酸で完全に溶解させた。その溶液に含有されている各元素量を、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES、セイコーインスツル株式会社製のSPS3520UV)を用いて測定した。その結果を表2に示す。そして、表2において、「−」は、前記の方法で測定した結果、検出されなかったことを示す。
Figure 0005667403
Figure 0005667403
(実施例1)
表1に示すガラス素板1を用い、公知の方法により、円盤加工工程、ラッピング工程を施した。
そして、表2に示す研磨剤1を用いたこと以外、公知の方法と同様の粗研磨工程を施した。
その後、公知の方法により、洗浄工程を施した。
具体的には、まず、HFが1質量%、硫酸が3質量%の洗浄液にガラス素板を、6分間浸漬させた。その際、その洗浄液に、80kHzの超音波振動を印加させた。その後、ガラス素板を取り出した。そして、取り出したガラス素板を中性洗剤液に、6分間浸漬させた。その際、その中性洗剤液に、120kHzの超音波振動を印加させた。最後に、ガラス素板を取り出し、純水でリンスを行い、IPA乾燥させた。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、8ng/cm以下であった。
このイオンコンタミネーションは、以下のようにして測定した。
まず、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板を、18MΩ・cm以上の超純水(20℃)20mlに浸漬させ、10分間静置した。このとき、攪拌等は行わず、また、静置中は、容器の蓋を閉め、さらに、クラス100の部屋で作業を行った。10分間の静置後、ガラス素板のみを取り出した、そして、ガラス素板を浸漬させていた超純水をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製のICS−2100)を用いて、含有されるアルカリ土類金属の量を測定した。そして、測定されたアルカリ土類金属の量から、洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)の量を算出した。
その後、公知の方法により、化学強化工程、精密研磨工程(2次研磨工程)、及び最終洗浄工程を施した。
なお、化学強化工程としては、具体的には、まず、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとを溶融させた混合溶融液を用意した。なお、この混合溶融液は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合比が質量比で6:4となるように混合させたものである。そして、この混合溶融液を、400℃まで加熱して、その加熱した混合溶融液に、洗浄したガラス素板を、60分間浸漬させた。
(実施例2)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤2を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、3ng/cm以下であった。
(実施例3)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤3を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、9ng/cm以下であった。
(実施例4)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤4を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、2ng/cm以下であった。
(実施例5)
洗浄工程において、HFが1質量%、硫酸が3質量%の洗浄液にガラス素板を浸漬させる時間を半分、具体的には、3分間に変更したこと以外、実施例4と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、5ng/cm以下であった。
(実施例6)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板2に変更したこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、8ng/cm以下であった。
(実施例7)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板2に変更したこと以外、実施例4と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、5ng/cm以下であった。
(比較例1)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板3に変更したこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、8ng/cm以下であった。
(比較例2)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板3に変更し、さらに、粗研磨工程において、表2に示す研磨剤5を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、7ng/cm以下であった。
(比較例3)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤6を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、19ng/cm以下であった。
(比較例4)
ガラス素板として、表1に示すガラス素板3に変更したこと以外、比較例3と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、25ng/cm以下であった。
(比較例5)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤7を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、53ng/cm以下であった。
(比較例6)
粗研磨工程において、表2に示す研磨剤5を用いたこと以外、実施例1と同様である。
なお、前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属(イオンコンタミネーション)は、表3に示すように、10ng/cm以下であった。
上記各製造方法により得られた情報記録媒体用ガラス基板を、以下のように評価した。
(割れ試験)
まず、得られた情報記録媒体用ガラス基板の表面上に、公知の方法により磁性膜を形成することによって磁気ディスクを製造した。そして、その磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ装置(HDD)を製造した。
そして、得られたHDDに対して1000Gの衝撃が与えられるように、前記HDDを落下させた。その際、HDDに備えられた磁気ディスクが割れたか否かを目視で確認した。なお、1Gは、約9.80665m/sである。
この落下試験を、5回行い、磁気ディスクが割れた回数が、0回であれば、「◎」と評価し、1回又は2回であれば、「○」と評価し、3回以上であれば、「×」と評価した。
この結果を、用いたガラス素板や研磨剤、イオンコンタミネーションの量とともに、表3に示す。
Figure 0005667403
表3からわかるように、ガラス素板として、そのガラス組成が、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%、ZrOが0〜5質量%(ただし、0を含む)、CeOが0〜2質量%(ただし、0を含む)、SiOとAlとBとの合計が72〜85質量%、LiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%、MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計が1〜5質量%であるものを用い、化学強化工程の前に行う粗研磨工程で用いる研磨剤として、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いた場合(実施例1〜7)は、ガラス素板として、上記範囲を満たさないものを用いた場合(比較例1,2,4)や、研磨剤として上記範囲を満たないものを用いた場合(比較例2〜6)と比較して、割れ試験での割れの発生が抑制されたことがわかった。このことから、実施例1〜7に係る製造方法によれば、耐衝撃性に優れたガラス基板が得られることがわかった。
さらに、実施例1〜7に係る製造方法によれば、イオンコンタミネーション量が10ng/cm以下であった。そして、イオンコンタミネーション量が5ng/cm以下である場合(実施例2,4,5,7)は、5ng/cmを超える場合(実施例1,3,6)と比較して、割れ試験での割れの発生がより抑制されたことがわかった。このことから、イオンコンタミネーション量が5ng/cm以下であれば、耐衝撃性により優れたガラス基板が得られることがわかった。
1 研磨装置
10 ガラス素板
101 情報記録媒体用ガラス基板
102 磁性膜

Claims (5)

  1. ガラス素板の表面を、研磨剤を用いて研磨する研磨工程と、
    前記研磨工程の後に、研磨されたガラス素板の表面を、化学強化処理液を用いて強化する化学強化工程と
    前記化学強化工程の後に、研磨剤として、シリカ系の砥粒を含む研磨剤を用いて、強化されたガラス素板を研磨する精密研磨工程とを備え、
    前記ガラス素板として、そのガラス組成が、SiOが60〜70質量%、Alが12〜17質量%、Bが0〜3質量%(ただし、0を含む)、LiOが1〜6質量%、NaOが10〜13質量%、KOが0.2〜1.1質量%、ZrOが0〜5質量%(ただし、0を含む)、CeOが0〜2質量%(ただし、0を含む)、SiOとAlとBとの合計が72〜85質量%、LiOとNaOとKOとの合計が11.2〜17.5質量%、MgOとCaOとBaOとSrOとZnOとの合計が1〜5質量%であるものを用い、
    前記化学強化工程の前に行う前記研磨工程のうち、少なくとも最後に行う研磨で用いる研磨剤として、希土類酸化物を含み、CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して10ppm以下であるものを用いることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. CeOの含有量が、前記希土類酸化物の含有量に対して99.99〜99.9999質量%であり、アルカリ土類金属の含有量が、前記研磨剤全量に対して5ppm以下である請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. CeOの含有量が、前記研磨剤全量に対して、90質量%以上であるものを用いる請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記化学強化工程の前に、前記研磨工程で研磨されたガラス素板を洗浄する洗浄工程を備え、
    前記洗浄工程で洗浄した後のガラス素板の表面に残存したアルカリ土類金属が、10ng/cm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記研磨剤が、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における最大値が3.5μm以下であり、レーザ回折散乱法で測定された粒度分布における累積50体積%径D50が0.4〜1.6μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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