JP5371824B2 - 分散組成物の製造方法、遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法、遮光性カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
第1に、チタンブラック粒子の沈降を抑え、分散安定性に優れた分散組成物の製造方法を提供することを目的とする。第2に、遮光能に優れた遮光性カラーフィルタの作製が可能で、構造のある基板上に遮光性カラーフィルタを作製する場合においても基板からの剥がれを抑制できる遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。第3に、遮光能に優れ、基板からの剥がれが少ない遮光性カラーフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。第4に、ノイズが少なく色再現性に優れた固体撮像素子を提供することを目的とする。
<1> チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対して分散処理を行なう工程と、分散処理して得られた混合液に更に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう工程とを含み、前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部が、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤であり、粘度の変化が5mPa・s/パス以上となった時点、あるいは体積平均粒子径の変化が10nm以下/パスとなった時点で、第二の分散剤を添加して分散処理を行なう分散組成物の製造方法である。
<2> チタンブラックの量(P)に対する分散剤の総量(D)の比率(D/P[質量比])が、0.2以上1.2以下である前記<1>に記載の分散組成物の製造方法である。
<3> 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である前記<1>又は前記<2>に記載の分散組成物の製造方法である。
<4> 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、グラフト部位として下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の分散組成物の製造方法である。
下記式(1)〜式(5)において、X 1 、X 2 、X 3 、X 4 、X 5 、及びX 6 は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Y 1 、Y 2 、Y 3 、Y 4 、及びY 5 は、それぞれ独立に2価の連結基を表す。Z 1 、Z 2 、Z 3 、Z 4 、及びZ 5 は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。式(5)中のRは、1価の有機基を表す。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数を表す。
<5> 下記式(1)〜式(5)において、Y 1 、Y 2 、Y 3 、Y 4 、及びY 5 は、それぞれ独立に、下記の(Y−1)〜(Y−20)から選ばれる連結基を表す前記<4>に記載の分散組成物の製造方法である。(Y−1)〜(Y−20)において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基、右末端基との結合を表す。
<6> 下記式(1)〜式(5)において、Y 1 、Y 2 、Y 3 、Y 4 、及びY 5 は、それぞれ独立に、下記の(Y−2)又は(Y−13)の連結基を表す前記<5>に記載の分散組成物の製造方法である。
<8> チタンブラックの量(P)に対する分散剤の総量(D)の比率(D/P[質量比])が、0.2以上1.2以下である前記<7>に記載の遮光性カラーフィルタ用感光性組成物である。
<9> 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である前記<7>又は前記<8>に記載の遮光性カラーフィルタ用感光性組成物の製造方法である。
<10> 前記<7>〜前記<9>のいずれか1つに記載の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法により作製された遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を支持体上に塗布して感光性層を形成する工程と、前記感光性層をパターン状に露光する工程と、露光後の前記感光性層を現像して着色パターンを形成する工程と、を有する遮光性カラーフィルタの製造方法である。
<11> 前記<10>に記載の遮光性カラーフィルタの製造方法により作製された遮光性カラーフィルタである。
<12> 前記<11>に記載の遮光性カラーフィルタを備えた固体撮像素子である。
本発明によれば、遮光能に優れた遮光性カラーフィルタの作製が可能で、構造のある基板上に遮光性カラーフィルタを作製する場合においても基板からの剥がれを抑制できる遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、遮光能に優れ、基板からの剥がれが少ない遮光性カラーフィルタ及びその製造方法を提供することができる。また、
本発明によれば、ノイズが少なく色再現性に優れた固体撮像素子を提供することができる。
本発明の分散組成物の製造方法は、チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対して分散処理を行なう工程(以下、この分散処理を「一段目の分散処理」ということがある。)と、分散処理して得られた混合液に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう工程(以下、この分散処理を「二段目の分散処理」ということがある。)とを含み、前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部として、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤を用い、粘度の変化が5mPa・s/パス以上となった時点、あるいは体積平均粒子径の変化が10nm以下/パスとなった時点で、第二の分散剤を添加して分散処理を行なう構成としたものである。以下、本発明においては、一段目の分散処理及び二段目の分散処理を含む分散方法を「多段分散処理」ともいい、二段目の分散処理の後にさらに分散剤を添加して三段目以降の分散処理を行なう形態も、本発明にいう「多段分散処理」に含まれるものとする。
また、本発明の分散組成物は、前記本発明の分散組成物の製造方法によって製造されたものである。
一段目の分散処理は、チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対し、分散処理を行なう分散処理である。
一段目の分散処理の分散を終了して分散剤を追添するタイミングは、分散液の粘度(25℃)が上記の範囲に達したか否かで判定することができる。
また、分散処理は、ビーズを用いて行なうことが好ましい。ビーズの組成やサイズ(直径)については、特に限定はなく、公知の組成や直径を適用できる。ビーズとしては、例えば、直径が0.01mm〜0.10mmのビーズが好適である。
二段目の分散処理は、前記一段目の分散処理にて分散処理して得られた混合液に、更に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう分散処理である。
混合液に対する分散処理を開始した当初は1パス毎に粘度、体積平均粒子径が変化していき、分散が進むにつれて1パス毎の粘度は増加し、体積平均粒子径の変化が小さくなっていく系において、1パス毎の粘度、又は体積平均粒子径の変化量が、0.2mPa・s以上、又は10nm以下となった状態が「0.2mPa・s/パス以上」、「10nm/パス以下」である。
ここで、「パス」とは、分散装置において分散液の全量が分散装置を通過する回数をさす。例えば、分散装置において、25L(リットル)の混合液を流量5L/hで分散処理する場合には、5hの分散処理が「1パス」となる。パス回数は、以下の式(A)で求められる。
パス回数=(流量[L/h]×処理時間[h])/処理液量[L] …式(A)
本発明におけるチタンブラックは、チタン原子を有する黒色粒子(黒色顔料)である。チタンブラックは、好ましくは低次酸化チタンやTiNxOy(x,yは2未満の実数)で表される酸窒化チタン等である。
チタンブラックは、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に記載の撥水性物質での処理も可能である。
チタンブラックは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、分散処理に分散剤(例えば第一及び第二の分散剤)が用いられる。前記一段目の分散処理及び二段目の分散処理には、第一の分散剤及び第二の分散剤が用いられる。必要により、三段目以降の分散処理が行なわれる場合は、前記分散剤は第三の分散剤及びそれ以上の分散剤を含んでいてもよい。前記分散剤の少なくとも一種は、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤である。なお、多段分散処理に用いる分散剤は、全て同一種であっても、異なる種であってもよく、また、多段分散処理の各段階ではそれぞれ、分散剤を一種のみ用いても、二種以上用いてもよい。
分散剤の酸価が50mgKOH/g以上であると、チタンブラック(及び場合により併用する顔料)の表面に吸着しやすく、再凝集を防止するように作用するため、酸価が50mgKOH/g未満であるとチタンブラックの沈降防止効果が低下し、従来に比べてより優れた分散安定性を得ることができない。
上記の中でも、前記同様の理由から、酸価が50〜275mgKOH/gの分散剤がより好ましく、酸価が60〜250mgKOH/gの分散剤が更に好ましく、特に好ましくは、酸価が70〜200mgKOH/gの分散剤である。
本発明の分散組成物における分散剤にアルカリ可溶性の部分構造を導入することで、本発明の分散組成物を用いた後述の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物において、組成物中に存在するチタンブラックの分散に不可欠な分散剤それ自体にもアルカリ可溶性が与えられることになり、感光性樹脂組成物を用いてパターン形成する際に未露光部のアルカリ現像性を向上できる点で好ましい。
前記グラフトポリマーの主鎖構造としては、特に限定はなく、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造などが挙げられるが、合成の簡便性の点から、ポリ(メタ)アクリル構造が好ましい。
グラフト共重合体としては、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有することが好ましい。この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
分散組成物において、このグラフト共重合体は、チタンブラックに分散性を付与する分散樹脂であり、優れた分散性と、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、チタンブラックの分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。また、感光性樹脂組成物としたとき、グラフト鎖による重合性化合物もしくはその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
式(1)〜式(5)において、Y1、Y2、Y3、Y4、及び、Y5はそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(5)において、n、m、p、q、及び、rはそれぞれ1から500の整数である。
本発明のグラフト共重合体に好適に含有される「酸基を有する構造単位」の含有量は、0.1モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、R1が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R4、R5、及びR6が水素原子又はメチル基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物の反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
これらの分散剤は、一種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の分散組成物は、溶剤として、種々の有機溶剤を用いることができる。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
本発明の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」ともいう。)の製造方法は、チタンブラック、分散剤、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、及び溶剤を含む遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を製造する過程で、チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対して分散処理を行なう工程と、分散処理して得られた混合液に更に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう工程とを含み、分散処理に用いる前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部に、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤を用いる。
また、本発明の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物は、前記本発明の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法により製造されたものである。
また、本発明の分散組成物の製造方法において、樹脂、重合性化合物、及び光重合開始剤の全てを分散組成物に添加し、分散組成物として感光性樹脂組成物を作製してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、樹脂(前記分散剤以外の樹脂)を含有する。
樹脂としては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用することができ、好ましくは、水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号等の各公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解もしくはハーフエステル化もしくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
線状有機ポリマーのうち、弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーを、以下、「アルカリ可溶性樹脂」ともいう。
感光性樹脂組成物の全固形分中における樹脂の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に制限はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有する。
重合性化合物としては、例えば、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH … (A)
〔但し、一般式(A)中、R4及びR5は、それぞれ独立にH又はCH3を表す。〕
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤は、上記の光重合性化合物を重合させ得るものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、上記の光重合開始剤のほかに他の公知の開始剤を使用してもよい。
感光性樹脂組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明による効果をより効果的に得る観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、3〜20質量%が好ましく、4〜19質量%がより好ましく、5〜18質量%が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤の少なくとも一種を含有することができる。溶剤の具体例については、既述の「分散組成物及びその製造方法」の項で既述した通りであり、好ましい範囲も同様である。
また、感光性樹脂組成物は、増感剤、共増感剤、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる密着向上剤(シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等)、並びに硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤などの成分を含有してもよい。また、必要に応じて、連鎖移動剤、露光、現像後の後加熱で膜の硬化度を上げるためのアゾ系化合物や過酸化物系化合物などの熱重合開始剤、熱重合成分、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、低分子量有機カルボン酸などの現像性向上剤、その他充填剤、上記のアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、酸化防止剤、凝集防止剤などの各種添加物、並びに、膜の強度、感度を高める目的で多官能チオールやエポキシ化合物を含有することができる。
前記増感剤としては、既述の光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましく、例えば、以下に列挙する化合物類に属し、かつ300〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類、チオキサントン類、シアニン類、メロシアニン類、フタロシアニン類、チアジン類、アクリジン類、アントラキノン類、スクアリウム類、アクリジンオレンジ、クマリン類、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
また、前記共増感剤は、前記光重合開始剤や前記増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。共増感剤の例としては、アミン類(トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等)、チオール及びスルフィド類(2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等)、アミノ酸化合物(例:N−フェニルグリシン等)、有機金属化合物(例:トリブチル錫アセテート等)、水素供与体、イオウ化合物(例:トリチアン等)等が挙げられる。
前記熱重合防止剤を添加することにより、組成物の製造中あるいは保存中に光重合性化合物の不要な熱重合を阻止することができる。熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミド等の高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。
熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に各種の界面活性剤を添加することにより、塗布性をより向上させることができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤の各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に流動性)をより向上させ、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。すなわち、感光性樹脂組成物がフッ素系界面活性剤を含有する場合、被塗布面と塗布液との間の界面張力を低下することにより被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合でも、厚みムラの小さい均一厚の膜形成がより好適に行なえる点で有効である。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として、例えば、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種単独で用いるほか、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明の遮光性カラーフィルタは、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。本発明の遮光性カラーフィルタは、遮光能に優れ、構造のある基板上に形成された場合の剥がれの発生が抑制された本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されており、剥がれが抑制されたものである。
遮光性カラーフィルタは、例えば、固体撮像素子において、受光素子形成面における受光部以外の部分を遮光する用途、受光素子形成面の反対側の面を遮光する用途、色調整用の画素(黒、灰色等の無彩色の画素であってもよいし、有彩色の色味が混ざった黒色、灰色等の画素であってもよい)としての用途など種々の用途に好適に用いることができる。
光学濃度(OD)は、(株)島津製作所製UV-3600を用い、得られた膜の透過率測定を行ない、得られた透過率(%T)を下記式Bにより変換しOD値とする。
OD値=−Log(%T/100) … 式B
可視域と赤外域との遮光能のバランスの観点、及び本発明の効果をより効果的に得る観点より、遮光性カラーフィルタの光学濃度としては以下の条件が好適である。即ち、
前記〔OD1200/OD365〕は、1.0以上2.5以下がより好ましく、1.3以上2.0以下が特に好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの波長1200nmにおける光学濃度(OD1200)は、1.5〜10であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの波長365nmにおける光学濃度(OD365)は、1〜7であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの、900nm〜1300nmの波長領域における光学濃度は、2以上10以下であることが好ましく、2以上9以下であることがより好ましく、2以上8以下であることが特に好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの比〔OD900/OD365〕は、1.0以上2.5以下であることが好ましく、1.1以上2.5以下であることがより好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの比〔OD1100/OD365〕は、0.6以上2.5以下であることが好ましく、0.7以上2.5以下であることがより好ましい。
前記遮光性カラーフィルタの比〔OD1300/OD365〕は、0.4以上2.3以下であることが好ましく、0.5以上2.0以下であることがより好ましい。
本発明の遮光性カラーフィルタの製造方法は、支持体上に既述の本発明の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を塗布して感光性層を形成する工程(以下、「感光性層形成工程」ともいう。)と、前記感光性層をパターン状に露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、露光後の前記感光性層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ともいう。)とを設けて構成されたものである。
以下、本発明の遮光性カラーフィルタの製造方法における各工程を説明する。
感光性層形成工程では、支持体上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布して感光性層を形成する。
感光性樹脂組成物の塗布膜厚(乾燥膜厚)としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm〜3.0μmが好ましく、0.50μm〜2.5μmがより好ましい。
露光工程では、前記感光性層形成工程で形成された感光性層を、例えばマスクを介して、パターン状に露光して硬化させる(マスクを介して露光する場合には、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる)。
前記露光工程に引き続いて、露光後の感光性層を例えばアルカリ現像処理により現像して着色パターンを形成する。現像工程では、露光工程における感光性層の非照射部分をアルカリ水溶液等に溶出させることにより、光照射部分だけが残る。
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明の遮光性カラーフィルタを設けて構成されたものである。本発明の固体撮像素子は、遮光能に優れ、剥がれが少ない本発明の遮光性カラーフィルタを備えるため、ノイズが低減され、色再現性に優れる。
−分散剤1の合成−
500mL三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、2−エチル−1−ヘキサノール22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、ガスクロマトグラフィーにて原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、1H−NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を200g得た。M1であることは、1H−NMR、IR、質量分析により確認した。
分散剤1の組成比、酸価、及び重量平均分子量(Mw)を下記表1に示す。なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出した値である。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)として測定した。
前記分散剤1の合成方法と同様の合成法により、下記の分散剤2〜6、及び比較樹脂1〜2を合成した。これらの組成比、酸価、重量平均分子量(Mw)を下記表1に示す。
<チタンブラック分散液の調製>
下記組成の諸成分を混合し、ビーズミルにより分散処理を施すことにより分散液を得た。
<組成>
・チタンブラック(13M−T,三菱マテリアル電子化成(株)製)・・・29.4部
・前記分散剤1 ・・・26.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)・・・44.1部
<分散条件>
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・ミル周速:12m/sec
・分散処理する混合液量:680g
・循環流量(ポンプ供給量):13kg/hour
・処理液温度:25〜30℃
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
また、上記とは別に1パス分の処理時間ごとに分散液における体積平均粒子径の測定も行なった。このとき、体積平均粒子径は分散時間(パス回数)とともに減少し、次第にその変化量は少なくなった。上記粘度変化による場合とは別に、分散時間を更に延長したときの1パスあたりの体積平均粒子径の変化が10nm以下となった時点(即ち、体積平均粒子径の変化が10nm/パス以下となった時点)で、分散液に以下に示す分散剤1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液120gを追加した。
<組成>
・前記分散剤1 ・・・30部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・70部
以上のようにして、チタンブラック分散液を調製した。得られたチタンブラック分散液のチタンブラックに対する分散剤の比率(D/P;質量比)は0.45であった。
得られたチタンブラック分散液について、沈降性試験を行なった。
沈降性試験は、所定時間経時前の分散液の固形分濃度に対する経時後の分散液の固形分濃度を求め、これを指標にチタンブラックの沈降性を評価した。
具体的には、固形分濃度の測定は、分散液を1g秤量し、165℃のオーブンで60分加熱し、加熱後の分散液量を測定し、固形分量[質量%]=加熱後の分散液量/加熱前の分散液量×100を算出した。このとき、経時後の固形分濃度の測定のために、チタンブラック分散液を50mLの樹脂製容器に入れて室温と−5℃(冷蔵)の環境に6ヶ月間静置したものを用い、液面上部から1cmの深さまでの上澄み液5gを採取し、固形分量の測定を行なった。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
A:固形分の変化量が3%未満であった。
B:固形分の変化量が3%以上10%未満であった。
C:固形分の変化量が10%以上であった。
下記組成を混合し、感光性樹脂組成物を得た。
<感光性樹脂組成物の組成>
・上記で調製したチタンブラック分散液 ・・・50部
(粘度変化を基準に調製した前記チタンブラック分散液)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(下記T−1)・・・ 8部
・オキシム系光重合開始剤(下記K−1) ・・・ 5部
・樹脂(下記J−1;重量平均分子量Mwは以下に示す。) ・・・10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・27部
上記の感光性樹脂組成物をスピンコート法でガラス基板上に塗布し、その後、ホットプレート上で120℃で2分間加熱して感光性層を得た。次いで、この感光性層に対し、i線ステッパーを用いて露光量50mJ/cm2による露光と露光量200mJ/cm2による露光とをそれぞれ行なうことにより遮光膜を得た。得られた遮光膜を分光器UV3600〔(株)島津製作所製〕により波長550nmにおける吸光度を測定し、吸光度(i)とした。これとは別に、上記の感光性樹脂組成物をガラス製の100mL容器に封入して室温で6ヶ月静置し、液面から2cmまでの感光性樹脂組成物をサンプリングした。サンプリングした感光性樹脂組成物を用いて同様に遮光膜を形成し、吸光度を測定して吸光度(ii)とした。測定された吸光度(i)及び(ii)から、6ヶ月静置前後における吸光度の変化率を求め、下記評価基準にしたがって経時安定性(保存安定性)を評価した。
<評価基準>
A:吸光度の変化率が3%未満であった。
B:吸光度の変化率が3%以上10%未満であった。
C:吸光度の変化率が10%以上であった。
−パターン構造物付き基板の作製−
市販品の6インチのシリコンウエハに、日立化成工業(株)製のSR7200を塗布して塗布膜を形成し、得られた塗布膜をパターン露光し、現像し、200℃で30分間加熱処理してパターン構造物を形成した。このようにして、高さ15μm、パターンサイズ300μm×300μmのパターン構造物が規則的に配列された、パターン構造物付き基板を得た。
上記のパターン構造物付き基板のパターン構造物形成面側に、上記で得られた感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分間加熱して感光性層を得た。次いで、感光性層に対し、i線ステッパーを用い、上記で作製したパターン構造物と一致するように(即ち、上記で作製したパターン構造物と同じパターンサイズとなるように)、露光量50mJ/cm2による露光と露光量200mJ/cm2による露光とをそれぞれ行なった。露光後の遮光膜に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行なった。その後、スピンシャワーにてリンスを行ない、さらに純水にて水洗し、膜厚2.0μmの遮光性カラーフィルタを得た。なお、遮光性カラーフィルタは、パターン構造物の上に形成した。即ち、遮光性カラーフィルタは、パターン構造物と同じパターンサイズとし、かつパターン構造物と同じ位置に形成することによりパターン構造物上に重なるようにした。
上記で得られた遮光性カラーフィルタについて、光学顕微鏡観察(倍率1000倍)により剥がれの有無を観察し、下記評価基準にしたがって遮光性カラーフィルタの剥がれを評価した。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
A:露光量50mJ/cm2で形成された箇所に剥がれがない。
B:露光量50mJ/cm2で形成された箇所には剥がれがあるが、露光量200mJ/cm2で形成された箇所には剥がれがない。
C:露光量50mJ/cm2で形成された箇所及び露光量200mJ/cm2で形成された箇所のいずれにも剥がれがある。
実施例1において、「チタンブラック分散液の調製」に用いた分散剤1を、それぞれ下記表1に示す分散剤に代えると共に、分散剤の分割添加(多段分散処理)の有無を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、チタンブラック分散液を調製し、感光性樹脂組成物の調製及び遮光性カラーフィルタの作製を行なうと共に、評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
<チタンブラック分散液の調製>
下記組成の諸成分を混合し、ビーズミルにより分散処理を施すことにより分散液を得た。
<組成>
・チタンブラック(13M−T,三菱マテリアル電子化成(株)製)・・・29.4部
・前記分散剤1 ・・・26.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)・・・44.1部
<分散条件>
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・ミル周速:12m/sec
・分散処理する混合液量:680g
・循環流量(ポンプ供給量):13kg/hour
・処理液温度:25〜30℃
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
また、上記とは別に1パス分の処理時間ごとに分散液における体積平均粒子径の測定も行なった。このとき、体積平均粒子径は分散時間(パス回数)とともに減少し、次第にその変化量は少なくなった。上記粘度変化による場合とは別に、分散時間を更に延長したときの1パスあたりの体積平均粒子径の変化が10nm以下となった時点(即ち、体積平均粒子径の変化が10nm/パス以下となった時点)で、分散液に以下に示す分散剤2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液120gを追加した。
<組成>
・前記分散剤2 ・・・30部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・70部
以上のようにして、チタンブラック分散液を調製した。得られたチタンブラック分散液のチタンブラックに対する分散剤の比率(D/P;質量比)は0.45であった。
実施例9において、「チタンブラック分散液の調製」に用いた分散剤を、それぞれ下記表2に示す分散剤に代えたこと以外は、実施例9と同様にして、チタンブラック分散液を調製し、感光性樹脂組成物の調製及び遮光性カラーフィルタの作製を行なうと共に、評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
Claims (10)
- チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対して分散処理を行なう工程と、分散処理して得られた混合液に更に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう工程とを含み、
前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部が、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤であり、
粘度の変化が5mPa・s/パス以上となった時点、あるいは体積平均粒子径の変化が10nm以下/パスとなった時点で、第二の分散剤を添加して分散処理を行なう分散組成物の製造方法。 - チタンブラックの量(P)に対する分散剤の総量(D)の比率(D/P[質量比])が、0.2以上1.2以下である請求項1に記載の分散組成物の製造方法。
- 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である請求項1又は請求項2に記載の分散組成物の製造方法。
- 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、グラフト部位として下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散組成物の製造方法。
〔式中、X1、X2、X3、X4、X5、及びX6は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Y1、Y2、Y3、Y4、及びY5は、それぞれ独立に2価の連結基を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、及びZ5は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。式(5)中のRは、1価の有機基を表す。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数を表す。〕 - 前記式(1)〜式(5)において、Y1、Y2、Y3、Y4、及びY5は、それぞれ独立に、下記(Y−1)〜(Y−20)から選ばれる連結基を表す請求項4に記載の分散組成物の製造方法。
〔(Y−1)〜(Y−20)中、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基、右末端基との結合を表す。〕 - 前記式(1)〜式(5)において、Y1、Y2、Y3、Y4、及びY5は、それぞれ独立に、前記(Y−2)又は前記(Y−13)の連結基を表す請求項5に記載の分散組成物の製造方法。
- チタンブラック、分散剤、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、及び溶剤を含む遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を製造する過程で、チタンブラック、第一の分散剤、及び溶剤を含む混合液に対して分散処理を行なう工程と、分散処理して得られた混合液に更に第二の分散剤を添加して分散処理を行なう工程とを含み、
分散処理に用いる前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部が、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤であり、
粘度の変化が5mPa・s/パス以上となった時点、あるいは体積平均粒子径の変化が10nm以下/パスとなった時点で、第二の分散剤を添加して分散処理を行なう遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法。 - チタンブラックの量(P)に対する分散剤の総量(D)の比率(D/P[質量比])が、0.2以上1.2以下である請求項7に記載の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 前記第一及び第二の分散剤を含む分散剤の全体の少なくとも一部は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である請求項7又は請求項8に記載の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造方法により作製された遮光性カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を支持体上に塗布して感光性層を形成する工程と、
前記感光性層をパターン状に露光する工程と、
露光後の前記感光性層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を有する遮光性カラーフィルタの製造方法。
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