JP5359217B2 - 飲料 - Google Patents

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本発明は、飲料に関し、更に詳細には、コラーゲンペプチドを配合する保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に応用しうる飲料に関するものである。
コラーゲンペプチドは、コラーゲンやゼラチンを加水分解により低分子化したものであり、美容効果や関節強化効果が知られている。これまでにコラーゲンペプチドの効果を期待して、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、飲料などに配合した数多くの製品が上市されている。
コラーゲンペプチドの効果を得るためには、コラーゲンペプチドを継続して摂取する必要があるが、そのためには容易に摂取できる飲料の形態が好ましい。
しかし、コラーゲンペプチドを含む飲料には、嗅覚で感じる魚臭や獣臭があるという問題があった。
従来の製品では、コラーゲンペプチドの魚臭や獣臭を、ピーチ、オレンジ、マスカットなどのフルーツの風味を利用してマスキングを試みていたが、その効果は満足できるものではなかった。
また、魚類由来コラーゲンペプチドを配合したゼリー飲料の魚臭を難消化性デキストリンを用いてマスキングすること(特許文献1)、コラーゲンペプチドを含有する飲食品の呈味を、スクラロースおよびステビア抽出物を配合することにより改善すること(特許文献2)も開示されている。
しかし、従来のコラーゲンペプチドを含有する飲食品の魚臭や獣臭のマスキングについては十分ではなく、特に商品性の点で改善の余地があるものであった。
また、他の一般的なマスキング技術として、シクロデキストリンによる苦味マスキング、香料によるチアミン由来の不快臭のマスキング等があるが(特許文献3、4)、これらは飲料中のコラーゲンペプチドに対する効果は十分でなく、コラーゲンペプチドに特に効果のあるマスキング技術は知られていないのが現状である。
特開2006−180812号公報 特開2006−204287号公報 特開2002−80369号公報 特開2004−321178号公報
従って、本発明はコラーゲンペプチドを配合した飲料において、コラーゲンペプチドに固有の不快臭を抑制したコラーゲンペプチド配合飲料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、近年の需要者の自然志向にも鑑み、天然物質、特に生薬中からコラーゲンペプチドに固有の不快臭を抑制できる素材を探索したところ、特定の生薬の抽出物は、コラーゲンペプチドを配合する飲料中で十分なマスキング効果を奏し、単なる服用性向上のみならず自然志向の期待に応えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はコラーゲンペプチドと、菟糸子、当帰および皮からなる群から選ばれる生薬の抽出物の1種以上を含有することを特徴とする飲料である。
また、本発明は、菟糸子、当帰および皮からなる群から選ばれる生薬の抽出物の1種以上を有効成分として含有することを特徴とするコラーゲンペプチドを配合した飲料の風味改善剤である。
更に、本発明は、コラーゲンペプチドを配合した飲料において、菟糸子、当帰および皮からなる群から選ばれる生薬の抽出物の1種以上を配合することを特徴とする該飲料の不快臭を低減させる方法である。
本発明によれば、コラーゲンペプチドに起因する魚臭や獣臭(不快臭)を抑制した風味良好な飲料を得ることができる。
従って、本発明の飲料はコラーゲンペプチドの有する美容効果や関節強化効果を得るための各種保健機能食品(特定保険用食品、機能性食品)、病者用食品、各種医薬品、医薬部外品及び食品等に利用することができる。
本発明の飲料に配合されるコラーゲンペプチドは、ウシや豚等の動物の骨、腱等から抽出されたゼラチンを酵素や酸で加水分解して得られる平均分子量が700〜20,000程度のものまたは魚皮、魚骨、魚鱗、牛皮、牛骨、豚皮、豚骨、豚肝臓等から抽出されたコラーゲンを上記と同様の加水分解により低分子化して得られる平均分子量が1,000〜10,000程度のペプチドである。本発明においては、コラーゲンペプチドとしていずれの由来、平均分子量のものであっても特に制限無く使用できる。このようなコラーゲンペプチドは例えばマリンマトリックス(焼津水産化学工業製)として市販されているので、これを利用することができる。本発明の飲料におけるコラーゲンペプチドの含有量は、特に制限されないが、美容効果、関節強化に対する効果の点から、1回あたりの服用量が0.5〜10gになる量が好ましい。
また、本発明の飲料には、上記コラーゲンペプチドと共に、菟糸子、当帰、桂皮および生姜からなる群から選ばれる生薬の抽出物の1種以上が添加、配合される。
抽出物の原料である生薬のうち、菟糸子とは、ヒルガオ科の一年生寄生つる草マメダオシ(学名:Cuscuta australis)またはネナシカズラ(学名:Cuscuta japonica)の種子を乾燥させたものである。また、当帰とは、トウキ(学名:A.acutiloba Kitagawa)またはホッカイトウキ(学名:A.acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino)の根を湯通し、乾燥させたものであり、桂皮とは、シナモン(学名:Cinnamomum cassia Blume(Lauranceae))の樹脂または周皮の一部を乾燥させたものである。更に、生姜とは、ショウガ(学名:Zingiber officinale Roscoe(Zingiberaceae))の根茎を乾燥させたものである。
これら生薬のうち、当帰、桂皮および生姜については第15改正日本薬局方に収載されているものである。菟糸子については第15改正日本薬局方への収載はないが食品、医薬品、医薬部外品等では使用実績、前例に基づいて配合されているものである。
本発明の飲料に配合される生薬の抽出物としては、上記生薬から常法に従い、適切な抽出溶媒を用いて適当な温度(低温や加温条件等)で抽出される液状抽出物や、当該液状抽出物の希釈物、濃縮物、乾固物等が挙げられる。すなわち、本発明に使用する生薬の抽出物としては、第15改正日本薬局方に収載の乾燥エキス、軟エキス、流エキス、チンキおよびこれらに準じたものがいずれも利用できる。
上記生薬の抽出物の飲料中への配合量は、コラーゲンペプチドのマスキングができる濃度であれば特に制限はないが、一般には、原生薬換算で10mg/L以上、好適には100mg/L以上である。より具体的に、生薬抽出物として菟糸子であれば原生薬換算で10mg/L以上、好適には100mg/L以上である。また、当帰抽出物を用いる場合であれば原生薬換算で150mg/L以上、好適には300mg/L以上である。更に、桂皮抽出物であれば原生薬換算で15mg/L以上、好適には150mg/L以上である。また更に、生姜抽出物であれば原生薬換算で100mg/L以上、好適には1000mg/L以上である。
上記したコラーゲンペプチドおよび生薬の抽出物を配合した本発明の飲料は、一般的な飲料の製造方法に準じ、各成分を混合することにより製造することができる。例えば、通常の飲料であれば、コラーゲンペプチド、生薬の抽出物およびその他成分を規定量以下の精製水にて混合した後、pHを調整し、更に精製水にて規定量に容量調整し、必要に応じて濾過、滅菌処理をすることにより得られる。なお、飲料中に脂溶性成分を含むときは、通常用いられる界面活性剤又は可溶化剤により乳化又は可溶化してもよく、また、分散剤を用いて懸濁させてもよい。また、お茶飲料であれば、植物の加工物(例えば、茶葉、茶葉醗酵物等)に10倍〜30倍量の熱水を加え、数分程度保持して得られる茶抽出物に、コラーゲンペプチド、生薬の抽出物およびその他の成分を混合し、更に上記と同様にして容量調整、滅菌処理等を行うことにより得られる。また、茶抽出物としては、植物の加工物に粉砕等の処理をし、これが0.5〜1.5%(w/w)程度の量となるように熱水を加え、数分間程度保持して得られるものを用いても良い。
また、本発明の飲料には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない程度に、一般の飲料または製剤に一般に使用される任意成分を適宜配合することができる。このような任意成分としては、水、アルコール、ビタミンおよびその塩類、ミネラル、アミノ酸およびその塩類、ハーブおよびハーブエキス、生薬および生薬抽出物、ローヤルゼリー、カフェイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、甘味剤、矯味剤、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、着色剤等が挙げられる。
更に、本発明の飲料のpHに特に限定はないが、飲料としての観点からは、pH2.0〜7.0の範囲が好ましく、飲み心地の観点からは、pH2.5〜4.5の範囲の酸性飲料であることが好ましい。更に、本発明の飲料を茶抽出物と組み合わせた茶飲料とする場合は、そのpHは、4.5〜6.5であることが好ましい。
上記のようにして製造された本発明の飲料は、瓶(無色または有色ガラス製)、缶(アルミニウム製、スチール製等)、ポリエチレンテレフタレート製ボトル等の容器に封入して流通させることができる。
斯くして得られる本発明の飲料は、各種保健機能食品(特定保険用食品、機能性食品)、病者用食品、各種医薬品、医薬部外品等とすることができる。より具体的には、コラーゲンペプチドと生薬の抽出物を他の食品素材と組み合わせることにより、一般に、茶、ウーロン茶、コーヒー、紅茶、酢含飲料、炭酸飲料、果汁や果汁入り飲料、カクテルやチューハイ等のアルコール飲料、ニアウォーター、スポーツドリンク、ヨーグルトドリンク等と認識される飲料とすることができる。また、コラーゲンペプチドと生薬の抽出物を他の医薬品素材と組み合わせることにより、ドリンク剤、液剤等の経口製剤とすることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
飲料の製造(1):
表1に示す処方の飲料を製造した。まず、生薬の抽出物を表1に示す原生薬換算量で精製水に添加した。次に、精製水にマリンマトリックス(商品名:焼津水産化学工業製:魚皮由来のコラーゲンペプチド:平均分子量3,000)を1.0%(w/v)の濃度で添加した。これらを50ml容のガラス容器に充填し、キャップを施し、飲料(実施品1〜4)とした。
これら飲料を65℃の恒温槽にて1日保管後、開栓し、専門パネル4名により、下記の評価基準にて評価した。結果を表1に示した。
<官能評価の基準>
( 内 容 ) (評価)
不快臭を非常に感じる :0点
不快臭をかなり感じる :1点
不快臭を感じる :2点
不快臭をやや感じる :3点
不快臭を僅かに感じる :4点
不快臭を感じない :5点
Figure 0005359217
表1の官能評価の結果から明らかなように、生薬(菟糸子、当帰、桂皮、生姜)抽出物の添加により、コラーゲンペプチドを配合した飲料の不快臭は確かに顕著に軽減されることが確認された。
実 施 例 2
飲料の製造(2):
表2に示す処方の飲料を製造した。まず、生薬の抽出物を表2に示す原生薬換算量で精製水に添加した。次に、精製水にコラーゲンペプチド、 酸分解(商品名:和光純薬工業製:牛皮由来のコラーゲンペプチド:平均分子量1,000)を1.0%(w/v)の濃度で添加した。これらを50ml容のガラス容器に充填し、キャップを施し、飲料(実施品5〜8)とした。
これら飲料を65℃の恒温槽にて1日保管後、開栓し、専門パネル4名により、実施例1と同様の評価基準にて不快臭を評価した。結果を表2に示した。
Figure 0005359217
表2の官能評価の結果から明らかなように、生薬(菟糸子、当帰、桂皮、生姜)抽出物の添加により、コラーゲンペプチドを配合した飲料の不快臭は確かに顕著に軽減されることが確認された。また、牛皮または魚皮のいずれ由来のコラーゲンペプチドであっても生薬抽出物により不快臭が抑制されることも確認された。
比 較 例 1
飲料の製造(3):
表3の処方に従い、各成分を精製水中に混合溶解し、飲料を得た。これらをガラス容器に充填し、キャップを施し、飲料(比較品1〜17)とした。
これら飲料を65℃恒温槽にて1日保管後、専門パネル4名により、実施例1と同様の評価基準にて評価した。結果を表3に示した。
Figure 0005359217
表3の官能評価の結果から明らかなように、上記の添加物を配合した飲料は本発明の飲料のように生薬の抽出物を添加していないため、コラーゲンペプチド由来の不快臭を感じ、風味改善効果は限られたものだった。なお、生薬でもロクジョウチンキ、オウギ流エキス、サンヤク流エキスおよびサイコ流エキスの風味改善効果は不十分であった。
比 較 例 2
飲料の製造(4):
表4の処方に従い、各成分を精製水中に混合溶解し、飲料を得た。これらをガラス容器に充填し、キャップを施し、飲料(比較品18〜33)とした。
これら飲料を65℃恒温槽にて1日保管後、専門パネル4名により、実施例1と同様の評価基準にて評価した。結果を表4に示した。
Figure 0005359217
表4の官能評価の結果から明らかなように、上記の添加物を配合した飲料は本発明の飲料のように生薬の抽出物を添加していないため、コラーゲンペプチド由来の不快臭を感じ、風味改善効果は限られたものだった。なお、生薬でもハンピ流エキス、サンヤク流エキスおよびサイコ流エキスの風味改善効果は不十分であった。
本発明によれば、コラーゲンペプチドを含有する飲料の風味、特に嗅覚で知覚される魚臭や獣臭を改善することができる。
従って、本発明は、コラーゲンペプチドの継続的な摂取を可能とし得る飲料に好適に用いることができる。

以 上

Claims (2)

  1. コラーゲンペプチドを含有し、当帰乾燥エキス、当帰軟エキス、当帰流エキス、当帰チンキ、桂皮乾燥エキス、桂皮軟エキス、桂皮流エキスまたは桂皮チンキからなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする飲料。
  2. コラーゲンペプチドを配合した飲料において、当帰乾燥エキス、当帰軟エキス、当帰流エキス、当帰チンキ、桂皮乾燥エキス、桂皮軟エキス、桂皮流エキスまたは桂皮チンキからなる群から選ばれる1種以上を配合することを特徴とする該飲料の不快臭を低減させる方法。
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