以下、本発明の実施の形態における半導体基板の製造装置について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその態様及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される、したがって、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の製造装置で製造される半導体基板の断面図を図1(A)に示す。以下、本発明の製造装置の説明のため、前記半導体基板の作製方法を示す。
本発明に係る半導体基板は、絶縁膜107と、絶縁膜107上に形成された単結晶半導体層115と、が支持基板101の上面に形成されている。
図1(A)において、支持基板101は、絶縁表面を有する基板を用いる。例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。好ましくは支持基板101としてガラス基板を用いるのがよい。
アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板の表面は、研磨面を有しているものを用いると平坦性が頗る良好であり好ましい。ガラス基板の研磨は、例えば酸化セリウム等で行えば良い。
また支持基板101上に、単結晶半導体層115が形成され、それらの間に絶縁膜107が形成されている。絶縁膜107と単結晶半導体層115とは直接接していてもよいが、絶縁膜107と単結晶半導体層115との間に、さらに別の絶縁膜が形成されていても良い。本実施の形態では絶縁膜104を形成する例を示す。
次に、図1(A)に示した本発明に係る半導体基板を作成する方法について、図2(A)〜図2(F)を参照して説明する。
まず、単結晶半導体基板111を用意する。単結晶半導体基板111の材質は単結晶シリコンが適用され、何れの面方位でも用いることができる。単結晶半導体基板111として、例えば、450mmシリコンウエハ(18インチシリコンウエハ)から切り出されたものを適用することができる。単結晶半導体基板111の平面形状は略四辺形であり、相対する辺の間隔が、280mm×350mm、335mm×300mm、又は350mm×270mmなどの外形数法を有しているものを適用することができる。
次に、図2(A)に示すように、単結晶半導体基板111表面を、熱拡散炉等の基板加熱装置にて、ハロゲン化物ガス(本実施の形態では塩酸)を含有する雰囲気で900℃〜1100℃の温度(代表的には950℃)にて熱酸化して、絶縁膜105を形成する。ハロゲンを添加することにより、より緻密で界面準位の低い熱酸化膜を得ることができる。熱酸化膜による絶縁膜105の膜厚は10nm〜200nmの間、好適には50〜100nm程度とする。
次いで、図2(B)に示すように、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム103を単結晶半導体基板111に打ち込み、単結晶半導体基板111の一方の面から所定の深さの領域に損傷層113を形成する。イオンビーム103は、ソースガスを励起して、ソースガスのプラズマを生成し、プラズマから電界の作用により、プラズマに含まれるイオンを引き出すことで生成される。
損傷層113が形成される領域の深さは、イオンビーム103の加速エネルギーとイオンビーム103の入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に損傷層113が形成される。イオンを打ち込む深さで、単結晶半導体基板から分離される単結晶半導体層の厚さが決定される。損傷層113が形成される深さは、熱酸化膜による絶縁膜105の基板側との界面から、50nm以上500nm以下であり、好ましい深さの範囲は50nm以上200nm以下である。
イオンを単結晶半導体基板111に添加するには、イオン注入装置、又はイオンドーピング装置を用いることができる。イオン注入装置では、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、イオン種を質量分離して所定の質量を有するイオン種を被処理物に添加する。イオンドーピング装置は、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、イオン種を質量分離せずに被処理物に添加する。なお、質量分離装置を備えているイオンドーピング装置では、イオン注入装置と同様に、質量分離を伴うイオンの添加を行う。
イオンを単結晶半導体基板111に添加するには、質量分離を伴うイオン注入法よりも、素子量分離を伴わないイオンドーピング法が好ましい。これにより、単結晶半導体基板111に損傷層113を形成するタクトタイムを短縮できる。
イオンドーピング装置を用いる場合、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、加速して、イオンビーム103を生成する。そのイオンビーム103を、単結晶半導体基板111に照射することで、所定の深さにイオンが高濃度に導入され、損傷層113が形成される。
ソースガスに水素(H2)を用いる場合、水素ガスを励起してH+、H2 +、H3 +を含むプラズマを生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量などを調節することで、変化させることができる。イオンビーム103に、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +が50%以上含まれるようにすることが好ましく、H3 +の割合は80%以上がより好ましい。このようにH3 +の割合を高めておくことで、損傷層113には1×1020atoms/cm3以上の水素を含ませることが可能である。
このような水素濃度で損傷層113を形成すると、結晶構造が失われ微小な空孔が形成され、多孔質構造となっている。そのため、比較的低温(600℃以下)の熱処理によって損傷層113に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、損傷層113に沿って、単結晶半導体層を劈開することができる。
水素ガスを用いて、イオンドーピング法でイオンを添加する場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。この条件で水素イオンを打ち込むことで、イオンビーム103に含まれるイオン種および、その割合にもよるが、損傷層113を単結晶半導体基板111の深さ50nm以上500nm以下の領域に形成することができる。
イオンビーム103のソースガスにヘリウム(He)を用いることもできる。ヘリウムを励起して生成されるイオン種がHe+が殆どであるため、質量分離を伴わないイオンドーピング法でも、He+を主なイオンとして単結晶半導体基板111に打ち込むことができる。よって、イオンドーピング法で、効率良く、微小な空孔を損傷層113に形成することができる。ヘリウムを用いて、イオンドーピング法でイオンを添加する場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。
ソースガスに塩素ガス(Cl2ガス)、フッ素ガス(F2ガス)などのハロゲンガス、フッ素化合物ガス(例えば、BF3)などのハロゲン化合物ガスから選ばれた一種または複数種類のガスを用いることができる。
また、複数回イオンを添加することで、損傷層113を形成することもできる。この場合、イオンを打ち込む度にソースガスを異ならせても良いし、同じソースガスを用いてもよい。例えば、ソースガスとして希ガスを用いてイオンを打ち込んだ後、水素ガスをソースガスとして用いてイオンを打ち込むことができる。また、初めにハロゲンガス又はハロゲン化合物ガスを用いてイオンを添加し、次に、水素ガスを用いてイオンを添加することもできる。
このような処理にて、支持基板101と貼り合わせる前の単結晶半導体基板111が完成する。
一方、支持基板101はなるべく表面が平坦化されたものを準備する。この準備段階として、支持基板101を塩酸過水(HPM)にて洗浄後、純水で超音波洗浄を行い、研磨剤に用いられる重金属を洗浄する。前記準備した段階からさらに支持基板101の表面平坦性を向上させるために、図2(C)に示すような表面平坦化処理108を行っても良い。表面平坦化処理108は、損傷層形成工程又は接合層形成工程と同一装置内で行うことが可能な、簡便な工程によることが好ましい。このような工程として、プラズマ処理を行う。プラズマ処理は、真空のチャンバーに不活性ガス、例えばアルゴンガスを導入し、被処理面を陰極とする電界をかけることでプラズマ処理を行う。その原理としてはプラズマドライエッチ法と同等であるが、不活性ガスを用いることで、通常のスパッタ成膜チャンバーにて処理可能であり簡便な方法である。すなわち、このプラズマ処理は、被処理面に不活性ガスのイオンを照射して、スパッタリング効果により表面の微細な凹凸を平坦化する処理である。このことから本明細書では、このプラズマ処理を「逆スパッタ」ともいう。
この逆スパッタ時、プラズマ中には電子とアルゴンの陽イオンが存在し、陰極方向にアルゴンの陽イオンが加速される。加速されたアルゴンの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。また逆スパッタ以外にも、装置が簡便ではないものの、フッ素や塩素を例とするハロゲンガス等反応性ガスを混合したプラズマドライエッチ法により平坦性を高めても良い。
上記逆スパッタ法では被処理面にアルゴンイオンが衝突して表面平坦性を向上させるが、大きなパーティクル等を除去したい時には、さらにエネルギーの大きなクラスタイオンビーム処理を用いることが有効である。クラスタイオンビーム法は超音速にて希ガス等のガスをクラスター状にしてイオン化後電界で加速し、表面に衝突させる方法であるが、希ガスとしてはアルゴンが好適に用いられる。表面平坦性を向上する目的として、このようなクラスタイオンビーム処理と逆スパッタ処理を組み合わせても良い。
上記何れの場合も、プラズマ処理を行うチャンバー内壁は、基板への不純物汚染を避けるため、基板の主成分で被覆されたもの、もしくは基板の主成分で成るものが望ましい。一例としては石英製のものが挙げられる。
次に図2(D)の様に、表面が平坦化された支持基板101上に絶縁膜107を形成する。絶縁膜107は、単結晶半導体基板111との接合層として機能し、支持基板101が単結晶半導体基板111と接合する面(以下、「接合面」とも記す)に設ける。特に本発明では、前記絶縁膜107としてアルミ、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、カルシウム、マグネシウム、の何れか一の酸化物を含んだ膜を用い、膜厚5nm〜200nmとする。これらはスパッタ法で形成され、前記の金属からなるターゲット、あるいは前記の金属の酸化物からなるターゲットにて酸素をスパッタガスの一としながら反応性スパッタにて成膜する。ターゲットの例としては、アルミニウム、アルミニウムとマグネシウムの混合物、アルミニウムとストロンチウムの混合物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの混合物、酸化アルミニウムと酸化ストロンチウムの混合物、が挙げられる。スパッタガスとしては他にアルゴンを混合させると、プラズマが安定する。ターゲットが酸化物の場合、スパッタ成膜用電源は高周波電源を用いる。また、ターゲットが上記元素の金属の場合、直流電源にて成膜可能であるが、放電の安定上、高周波電源を用いることが好ましい。
こうして形成される絶縁膜107は、親水性を有する表面となる。また、絶縁膜107と支持基板101との間に他の絶縁膜を挟んだ構造としてもよい。前記絶縁膜107は、後に単結晶半導体基板111の一部を支持基板に貼り合わせて単結晶半導体層を設けた際に、支持基板側からの不純物汚染を防ぐ効果を有する。すなわち、前記絶縁膜107は支持基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が単結晶半導体層に拡散することを防ぐためのバリア層として機能する。前記バリア層として機能させるためには、膜厚は50nm以上が望ましい。
次に、図2(E)のように、絶縁膜105を表面とする単結晶半導体基板111と、絶縁膜107を表面とする支持基板101と、を重ね合わせる。
その後、単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせた状態で、真空チャンバーへと搬送し、その後、真空チャンバー内を減圧する。真空チャンバー内の圧力は、1×10−3Pa以下とすることが好ましく、1×10−4Pa以下がより好ましい。真空チャンバー内を減圧することで、単結晶半導体基板111、または、第1及び第2の絶縁膜が設けられた支持基板101の僅かな反りによって、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙から空気が排出され、間隙を減圧状態とすることができる。なお、単結晶半導体基板111及び支持基板101をそれぞれあらかじめ真空チャンバーに搬入しておき、真空チャンバー内を減圧状態としてから、真空チャンバー内で当該2枚の基板を重ね合わせても構わない。
支持基板101と単結晶半導体基板111とがほぼ接触した状態にて、真空チャンバー内を緩やかに大気開放する。大気開放後の2枚の基板の間隙の内外における気圧差は、0.5気圧以上1気圧以下であるのが好ましい。
支持基板101上に形成された絶縁膜107の表面と単結晶半導体基板111の表面とを密着させることにより接合が形成される。この接合は、水素結合やファン・デル・ワールス力が作用している。水素結合は、基板表面が親水性であること、水酸基や水分子が接着剤として働き、熱処理で水分子が拡散し、残留成分がシラノール基(Si−OH)を形成して水素結合で接合を形成する。このときの接合を形成する速度は、珪素を有する表面と、アルミ、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、カルシウム、マグネシウム、の何れか一の酸化物を含んだ前記絶縁膜107表面と、の様に異なる材料の表面同士を用いた場合、速やかに進行する。さらにこの接合部は、水素が抜けることでシロキサン結合(O−Si−O)が形成されることで共有結合になり、単結晶半導体基板111と支持基板101の接合が強固なものとなる。
支持基板101及び単結晶半導体基板111を大気開放後、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行うことが好ましい。加熱処理や加圧処理を行うことにより支持基板101と単結晶半導体基板111の接合強度を向上させることが可能となる。加熱処理の温度は、支持基板101の耐熱温度以下で行う。加圧処理は、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行い、支持基板101及び単結晶半導体基板111の耐圧性を考慮して行う。
図2(F)は、大気開放後の支持基板101及び単結晶半導体基板111に、加熱処理を行い損傷層113を劈開面として単結晶半導体基板111の一部を支持基板101から剥離する段階を示す。加熱処理の温度は、支持基板101の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば400℃乃至600℃の加熱処理を行うことにより、損傷層113に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、当該損傷層113に沿って劈開する。支持基板101上には、絶縁膜107上に形成された単結晶半導体層115が残存することとなる。単結晶半導体層115は、単結晶半導体基板111と同じ結晶性を有する。
分離された単結晶半導体基板111は、基板の端部に剥離されずに残った単結晶半導体層が付着している。この端部を含め、単結晶半導体基板111の表面を平坦化処理することで再利用することができる。すなわち、本形態によれば、水素のクラスタイオンを添加して、単結晶半導体基板111の表面から1μm以下、好ましくは500nm以下の厚さで単結晶半導体層を剥離することができるので、単結晶半導体基板111をリサイクルできる回数を増やすことができる。
以上の工程により、支持基板101上に絶縁層を介して単結晶半導体層115が設けられた半導体基板が得られる。この単結晶半導体層115を活性層として用いトップゲート型薄膜トランジスタを形成した場合、絶縁膜107と絶縁膜105とが下地となり、支持基板101中もしくは表面の不純物元素が薄膜トランジスタに拡散することを防ぐ。
これらの工程を流れ図にて描くと、図3の様になる。
まず半導体基板準備201にて単結晶半導体基板111を用意した後、絶縁膜形成工程202にて熱酸化膜による絶縁膜105を形成する。その後イオン注入による損傷層形成工程203にて単結晶半導体基板111に損傷層113を形成する。その後、絶縁膜105の表面平坦性を向上させたいときには、逆スパッタ工程により絶縁膜表面平坦化工程207を入れる。
一方、図2(C)のように支持基板準備工程211にてガラス基板などを例とする支持基板101を用意した後、塩酸過水洗浄や超音波洗浄、逆スパッタ法の組み合わせにより支持基板表面平坦化及び汚染物質、パーティクルの除去213を行う。その後、図2(D)のようにスパッタ法にて絶縁膜形成215を行う。絶縁膜形成215はさらに逆スパッタ工程により絶縁膜の表面処理217を行っても良い。表面処理217は、表面のダングリングボンド密度を増加させ、反応性を高め、支持基板101と単結晶半導体基板111との接合強度に寄与する。
このような工程を経た半導体基板111は基板表裏反転209され、図2(E)の様な支持基板と半導体基板との貼り合せ工程219にて、支持基板101と貼り合せられる。
半導体基板111と支持基板101とが貼り合せられた後、さらに、図2(F)の様なガラス基板と半導体基板とを剥離し、支持基板に半導体層形成221される工程を経て、支持基板上に絶縁層を介して単結晶半導体層が設けられた半導体基板が得られる。前記単結晶半導体層が設けられた半導体基板は、ゲート配線、接続配線などを形成する薄膜トランジスタ層形成工程223を経た後、所望の素子を完成することができる。
本発明の製造装置の一は、図3にて点線で示される工程を一貫して行うことができる。点線で示される範囲内の工程は、装置構成が小規模で済むためマルチチャンバーとして接続することが容易である。この製造装置により、基板の移動距離を少なくし、基板表面に付着するゴミ量の低減、生産性の向上を図ることが出来る。
一方、点線で示される範囲外である損傷層形成は、拡散炉、ドーピング装置、インプラ装置等、単独の装置としては規模の大きな装置を用いるため、装置のメンテナンス上、別の装置として設置することが好ましい。ガラス基板と半導体基板を剥離する工程は、上記装置構成の一つとしてもよいが、本実施の形態では別の装置にて行うものとする。本実施の形態では、これらの装置間では、自動で制御された搬送システムにより基板の受け渡しを行う。
図3にて点線で示される工程を処理することができる製造装置例を図4に示す。図4は、カセット室251、252と、搬送室254、255と、受渡室256と、第1成膜室257と、第2成膜室258と、第3成膜室259と、プラズマ処理室260と、クラスタイオンビーム室261と、反転室262a、262bと、貼り合せ室263と、熱処理室264と、冷却室265と、取出室266と、を有するマルチチャンバー式の製造装置である。
尚、図4では洗浄室267がカセット室252に接続して示されているが、これは必要に応じ設ければ良い。洗浄室267では塩酸過水洗浄、超音波(メガソニック)洗浄が出来るものとし、支持基板がガラスであるとき、研磨剤に用いられる重金属を洗浄するために用いると良い。洗浄室267は大気雰囲気もしくは窒素雰囲気であり、ここへの基板の搬送は大気圧としたカセット室252より行う。また搬送部を有する。
ここで第1成膜室257と、第2成膜室258とは、プラズマCVD成膜が可能である。第3成膜室259は、スパッタ成膜が可能である。第1成膜室257と、第2成膜室258とで行うプラズマCVD成膜は、基板表面を上にして成膜するものとし、第3成膜室259で行うスパッタ成膜は、基板表面を下にして成膜するものとする。また、プラズマ処理室260と、クラスタイオンビーム室261とは、ここではパーティクル対策として、基板表面を下にして処理できるものとする。前記の各室には、処理に必要なガスラインが接続されている。
カセット室251、252とは、大気圧でカセットの出し入れが可能であり、内部圧力を高真空まで真空引きできるものとする。搬送室254、255と、受渡室256と、第1成膜室257と、第2成膜室258と、第3成膜室259と、プラズマ処理室260と、クラスタイオンビーム室261と、反転室262a、262bと、は内部を高真空状態で維持する。上記各室には真空排気手段として、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはドライポンプが備えられている。これにより各室内の到達真空度を10−5〜10−6Paにすることが可能であり、さらにポンプ側および排気系からの不純物の逆拡散を制御することができる。装置内部に不純物が導入されるのを防ぐため、導入するガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。装置内部に導入されるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。従って、ガスが高純度化された後に本製造装置に導入されるようにガス精製機を備えておく必要がある。これにより、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去することができるため、装置内部にこれらの不純物が導入されるのを防ぐことができる。但しシランなど可燃性ガスを排気する成膜室には、専用の排気ポンプを用いる。また貼り合せ室263は大気圧と高真空までの真空引きとを繰り返すことができるものとし、排気速度の高い真空ポンプを具備することが好ましい。
本製造装置の設置面積を減らす目的で、製造装置の構成を縮小したいときには、プラズマ処理室260と、第3成膜室259とを一つのチャンバーに兼ねることができる。第3成膜室259にてスパッタ成膜するときは、第3成膜室259内に設けられたターゲットを陰極とするようなバイアス電圧を印加し、プラズマ処理特を行うときは、基板側を陰極とするようなバイアス電圧を印加する。前記プラズマ処理は逆スパッタ処理とし、アルゴンガスを用いると、ガスラインを共有することとなりチャンバー構成の複雑化を避けることが出来る。また、逆スパッタ時の基板への不純物元素の付着を防ぐため、基板ホルダを酸化珪素等基板主成分にて被覆する、もしくは石英でなるものを用いると良い。
また搬送室254、255にはそれぞれ基板搬送機構254a、255a、が内部に設けられている。基板搬送機構254a、255aは基板の端部にのみ接触し、基板の表、裏面いずれを上面としても搬送できるものとする。
以下、予め損傷層が形成された単結晶半導体基板111、および支持基板101を図4に示す製造装置に搬入し、半導体基板を作製する手順を示す。
まず、カセット室252に上記単結晶半導体基板111をセットする。単結晶半導体基板111は最初に絶縁膜表面平坦化工程207処理が行われるため、あらかじめ基板表面を下として基板をセットする。
次いで単結晶半導体基板111に、絶縁膜表面平坦化工程207を施す。単結晶半導体基板111はプラズマ処理室260にて逆スパッタ処理が行われる。ここでさらに膜表面のゴミを減らしたい場合、搬送室255を経て、クラスタイオンビーム室261にて表面をクラスタイオンビーム処理しても良い。こうして表面が平坦化された単結晶半導体基板111をカセット室252に搬送する。
こうして所望する絶縁膜が設けられ、表面が平坦化された単結晶半導体基板111をカセット室252に搬送する。
一方、支持基板101は、支持基板表面平坦化及び汚染物質、パーティクルの除去213を行う。この工程は予め行っておくことが望ましく、その場合カセット室252に支持基板101をセットする。支持基板101を搬送室255を経て逆スパッタ室に搬送し、ここで逆スパッタ処理を行う。同様に必要に応じ、クラスタイオンビーム室261にてクラスタイオンビーム処理をおこなう。その後、カセット室251へ搬送される。尚、カセット室251、252には2以上のカセットを備え、上記単結晶半導体基板111、および支持基板101は各々のカセットに区別しセットされる。以上は基板表面を下として処理される。
また、支持基板101の材質がガラスであるとき、洗浄室267を設け、支持基板101の表面研磨時に用いられる、セリウムを一例とした重金属を含む研磨剤を洗浄し除去する処理を行うと良い。
その後、支持基板101は搬送室254を経て第3の成膜室259に搬送される。第3の成膜室259ではアルミ、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、カルシウム、マグネシウム、の何れか一の酸化物を含んだ絶縁膜107を成膜する。本実施の形態では、酸化アルミを成膜するが、このとき第3の成膜室259内には、アルミニウムからなるターゲット、または酸化アルミニウムからなるターゲットが備えられている。何れのターゲットを用いてもよいが、成膜室雰囲気を酸素雰囲気または酸素とアルゴンを含む雰囲気とすることによって酸化アルミニウム膜を形成することができる。
さらにこのとき、第3の成膜室259にて前記絶縁膜成膜中に、基板を陰極とするバイアス電圧を印加してもよい。前記処理はバイアススパッタと呼ばれ、スパッタ成膜しつつ、同時に基板表面を平坦化できる。
その後、支持基板101をカセット室252に搬送する。この搬送途中にて、絶縁膜107の表面平坦性を向上させるために、必要に応じて再度逆スパッタ処理、クラスタイオンビーム処理を各処理室にて行い、絶縁膜の表面処理217を行ってもよい。
以上の工程にて、カセット室252には単結晶半導体基板111と、支持基板101とがそれぞれ別のカセットに格納される。さらに支持基板101を貼り合せ室263に搬送し、単結晶半導体基板111を、反転室262bにて基板の表裏を反転させた後、貼り合せ室263に搬送する。貼り合せ室は図6(B)のように、下部基板ホルダ280と、上部基板ホルダ281と、が設けられ、それぞれに支持基板101と、単結晶半導体基板111とが、搬送機構255aにより、表面を向かい合わせとしセットされる。
反転室262a、262bの構成は同じであり、その例としては図5(A)のように基板270を支持するピン271、基板の位置あわせを行うアライメント機構272、を備え、基板端面を支持し回転する搬送機構273にて基板の表裏を反転させる。本実施の形態では反転室をチャンバーの一つとしたが、受渡室256にこの機能を設けても良い。
この状態で水を含むガスを貼り合せ室に流す。この処理により、両基板表面に、水酸基が付着する。この水酸基による水素結合により、単結晶半導体基板111と、支持基板101とは接合しやすくなる。さらに貼り合せ室263の内部の圧力を減圧し、1×10−3Pa以下とする。
そして、単結晶半導体基板111と、支持基板101とを、表面同士で近づけ、押圧装置282にて基板の一部を押さえる。すると基板同士が密着し、密着した領域すなわち接合面は基板全域に広がる。このとき下部基板ホルダ280と、上部基板ホルダ281とを振動させると、接合面が形成されず間隙が生じる基板面内の領域が減り、歩留まり向上につながる。さらにこの状態で貼り合せ室263内部の圧力を大気圧とし、基板同士を密着させ、前記間隙と貼り合せ室263の圧力差を生じさせ、接合面が形成されない基板面内の領域を減らす。
こうして単結晶半導体基板111と、支持基板101とを貼り合わせた一対の基板を、熱処理室264に搬送する。搬送時、熱処理室264内の圧力は、貼り合せ室263の圧力と等しくする。熱処理室264内で、前記一対の基板を400℃以下にて加熱処理を行うことにより、接合は強められる。ここでの熱処理は接合を強める目的であり、損傷層が劈開しない熱処理条件とする。その後、貼り合わせた一対の基板を冷却室265に搬送し、十分冷えてから取出室266に搬送して取り出す。
その後、本製造装置とは別の装置にて、前記一対の基板を400℃乃至600℃の加熱処理を行うことにより、損傷層113に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、当該損傷層113に沿って劈開し、図1に示されるような支持基板101上に単結晶半導体層115が形成される。
以上のように、図4に示した製造装置を用いることで、基板の移動距離を最小限に済むため、基板上のゴミを減らすことができ、不良の少ない半導体基板を作製することが可能となる。
なお、ここでは図示しないが、基板を個々の処理室に移動させる経路を制御して全自動化を実現するコントロール制御装置を設けている。
なお、本実施の形態で示す製造装置を用いて作製される基板は、本明細書の他の実施の形態に適宜用いることができる。
(実施の形態2)
図1(A)では支持基板101上に、単結晶半導体層115が形成され、それらの間に絶縁膜107が形成されている。実施の形態1では、絶縁膜107と単結晶半導体層115との間に、絶縁膜104を形成する例を示したが、本実施の形態では、図1(B)のように絶縁膜107と単結晶半導体層115との間の膜を、絶縁膜104と絶縁膜105と、にて形成する例を示す。尚、同様の機能をもつ部分については、呼称および番号を共通して用いる。
図6(A)〜図6(F)に、本実施の形態の、半導体基板の作製工程を示す断面図を示す。まず実施の形態1のように単結晶半導体基板111を用意する。
次いで、図6(B)に示すように、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム103を単結晶半導体基板111に打ち込み、単結晶半導体基板111の一方の面から所定の深さの領域に損傷層113を形成する。
イオンビームを打ち込んだ後、単結晶半導体基板111の上面に、珪素を含有する絶縁膜104を形成する。珪素を含有する絶縁膜104は、CVD法、スパッタ法等を用いて窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層又は酸化窒化シリコン層を単層構造又は積層構造で形成する。珪素を含有する絶縁膜104は、50nm乃至200nmの範囲で設けることが好ましい。例えば、単結晶半導体基板111側から酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層を積層させて窒素を含有する絶縁膜104とすることができる。絶縁膜104は、半導体素子となったとき、支持基板101側の界面準位密度を低減することができる。
なお、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。
そしてその上に、絶縁膜105を形成する。前記絶縁膜105としては、水素を含有する酸化シリコン、水素を含有する窒化シリコン、酸素と水素を含有する窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を適用することができる。前記絶縁膜105は平滑面を有し、また親水性を有する表面とする。
水素を含有する酸化シリコンとしては、例えば有機シランを用いてプラズマCVD法により作製される酸化シリコンは好ましい。有機シランを用いて形成された絶縁膜105、例えば酸化シリコン膜を用いることによって、支持基板と単結晶半導体層との接合を強固にすることができるためである。有機シランとしては、テトラエトキシシラン(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスを用いてプラズマCVD法により作製することができる。前記ガスに水素が加えられていても良い。酸素と水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスと亜酸化窒素ガスを用いてプラズマCVD法で作製することができる。いずれにしても、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法等の化学気相成長法により、シランガス等を原料ガスとして用いて作製される酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンであって水素が含まれるものであれば適用することができる。いずれにしても絶縁膜105としては、平滑面を有し、水酸基が付いた表面を有するものであれば良い。
絶縁膜105の厚さは10nm以上200nm以下とすることができる。好ましい厚さは10nm以上100nm以下であり、より好ましくは20nm以上50nm以下である。
以後、実施の形態1同様に支持基板101上に絶縁膜107を形成し、支持基板101と単結晶半導体基板111とを貼り合せ、損傷層113に沿って劈開し、図6(F)に示されるような支持基板101上に単結晶半導体層115が形成される。この単結晶半導体層115を活性層として用いトップゲート型薄膜トランジスタを形成した場合、絶縁膜107と熱酸化膜による絶縁膜105が下地となり、支持基板101中の不純物が薄膜トランジスタに拡散することを防ぐ。
これらの工程の流れ図を図7に示す。
図7では、図3と異なり、半導体基板準備201にて単結晶半導体基板111を用意した後、イオン注入による損傷層形成工程203にて単結晶半導体基板111に損傷層113を形成する。その後、図6(B)のように絶縁膜形成工程205にて絶縁膜104、絶縁膜105を形成する。絶縁膜105の表面平坦性を向上させたいときには、逆スパッタ工程により絶縁膜表面平坦化工程207を入れても良い。その後は図3と同様である。
図7の工程にて、図3と同様に、実施の形態1の製造装置を用いて処理可能な工程を、点線で示される範囲内に示す。図7の工程は、図3に比べて、単結晶半導体基板111への絶縁膜形成工程205が追加される。
以下に図7にて点線で示される範囲内の処理を、図4の装置図を用いて順を追って説明する。
まず、カセット室251に上記単結晶半導体基板111をセットする。単結晶半導体基板111は最初にCVDによる成膜工程を経るためあらかじめ基板表面を上として基板をセットする。
次いで単結晶半導体基板111に、絶縁膜形成工程205が行われる。本実施の形態では下地絶縁膜として絶縁膜104、絶縁膜105を成膜するため、単結晶半導体基板111は、第1の成膜室にて絶縁膜104、第2の成膜室にて絶縁膜105を形成する。第1の成膜室にて絶縁膜104と絶縁膜105とを連続成膜しても良い。
次いで反転室262aで基板表面を下とした後、単結晶半導体基板111に、絶縁膜表面平坦化工程207を施す。単結晶半導体基板111は、プラズマ処理室260にて逆スパッタ処理が行われる。ここでさらに膜表面のゴミを減らしたい場合、クラスタイオンビーム室261にて表面をクラスタイオンビーム処理しても良い。こうして表面が平坦化された単結晶半導体基板111をカセット室252に搬送する。
以降は実施の形態1同様、基板表裏反転209、支持基板と半導体基板の貼り合せ工程219以降の処理を行う。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示された製造装置を含む、製造システムを示す。すなわち、図3に示された、半導体基板準備工程201から、支持基板101に半導体層形成221するまでの工程を処理でき、また前記工程にて支持基板101に単結晶半導体層115を貼り合せた後に、単結晶半導体基板111を回収し、再生して再度半導体基板準備工程201に用いることのできる製造システムを示す。
図8には、支持基板ストッカ351、単結晶半導体基板ストッカ352、洗浄機353、スパッタ成膜装置354、洗浄機355、貼り合わせ装置357、熱処理装置360、イオンドープ装置361、熱処理装置362、プラズマエッチング装置363、レーザーアニール装置364、半導体基板ストッカ365、単結晶半導体基板周辺エッチング装置370、熱処理装置371、洗浄機付CMP装置372、の各装置がクリーンルーム380に沿い設置され、クリーンルーム380内にて単結晶半導体基板111及び支持基板101の搬送を行い各装置の処理をすることが可能な製造システムを示す。スパッタ成膜装置354は絶縁膜107を成膜する成膜室と、プラズマ処理、特に逆スパッタ処理が可能なプラズマ処理室を備える。
上記製造システム内では、支持基板101は実線の経路381に沿って処理され、単結晶半導体基板111は破線の経路382に沿って処理される。
すなわち、図3に示された支持基板101は、支持基板表面平坦化及び汚染物質、パーティクルの除去213を洗浄機353及びスパッタ成膜装置354にて行い、絶縁膜形成215及び絶縁膜の表面処理217をスパッタ成膜装置354にて行う。一方、単結晶半導体基板111は、絶縁膜形成202処理を熱処理装置360にて行い、損傷層形成203処理をイオンドープ装置361にて行い、絶縁膜表面平坦化207を、洗浄機355、及びスパッタ成膜装置354にて行う。
その後支持基板と半導体基板との貼り合せ219処理は、貼り合わせ装置357にて行う。特に該処理時には清浄度を高めるため、クリーンルーム380内は容積に関わらず、清浄度の高い環境とし、基板へのゴミ付着を抑える。そのため本発明の一である製造装置356にて、洗浄機353、スパッタ成膜装置354、貼り合わせ装置357、をマルチチャンバー可することは特に効果的である。
次いで支持基板に半導体層形成221は、熱処理装置360にて行う。このとき熱処理装置360にて処理後支持基板101と単結晶半導体基板111とは分離する。
このとき、支持基板101の表面に形成された単結晶半導体層115を、所望の膜厚とするためプラズマエッチング装置363にてドライエッチ処理を行う。さらに結晶性を回復したい場合はレーザーアニール装置364にて熱処理を行う。所望の膜厚の単結晶半導体層115が形成された支持基板101は、半導体基板ストッカ365に蓄えられる。
以上の製造システムで製造された、単結晶半導体層115が形成された支持基板101は、ゴミによる歩留まりが少ないものとなる。
一方、支持基板と半導体基板との貼り合せ工程219後の単結晶半導体基板111は、再生して再度半導体基板準備工程201に用いるため、図9(A)〜図9(C)に示された処理を行う。支持基板と半導体基板との貼り合せ工程219後の単結晶半導体基板111は、図9(A)の様に、絶縁膜105、絶縁膜113、および単結晶半導体の一部からなる残渣部分290が端部に形成されている。
次に、単結晶半導体基板111の端部における残渣部分290を除去する。残渣部分290は、ウェットエッチング処理を行うことにより除去することができる。具体的には、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムと界面活性剤を含む混合溶液(例えば、ステラケミファ社製、商品名:LAL500)をエッチャントとして用いてウェットエッチングを行う。
また、水素イオンが導入された損傷層113は、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)に代表される有機アルカリ系水溶液を用いてウェットエッチングすることにより、除去することができる。以上の処理は、単結晶半導体基板周辺エッチング装置370にて行う。このような処理を行うことにより、単結晶半導体基板111の端部における残渣部分290による段差が緩和される。
次に、単結晶半導体基板111を熱処理装置371にてハロゲン雰囲気中で酸化することにより、酸化膜を形成し、その後当該酸化膜を除去する。ハロゲンとしてはHClを用いることができる。このように熱酸化処理により絶縁膜を形成した後、当該絶縁膜の除去を行うことによって、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリング効果としては、金属不純物を除去する効果が得られる。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。この絶縁膜の除去は洗浄機付CMP装置にてフッ化水素酸等を用いて行う。
引き続き、図9(B)のように、単結晶半導体基板111の表面平坦化処理108を洗浄機付CMP装置372にてCMP処理で行う。その結果、単結晶半導体基板111の端部における残渣部分290を充分に除去し、単結晶半導体基板111の表面を平坦にすることができる。その後、図9(C)のように得られた単結晶半導体基板111を再度利用する。
本実施の形態で示したように、半導体基板の再生処理工程により半導体基板を繰り返し利用することによって、低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態で示した半導体基板の再生処理工程を用いることにより、半導体基板を繰り返し利用した場合であっても、半導体基板の表面を十分に平坦化することができるため、半導体基板とベース基板との密着性を向上させ、貼り合わせ不良を低減することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態1に示された、本発明の製造装置を用いて製造された基板を用いて、半導体装置を作製する方法を説明する。
まず、図10および図11を参照して、半導体装置の作製方法として、nチャネル型トランジスタ、およびpチャネル型トランジスタを作製する方法を説明する。複数のトランジスタを組み合わせることで、各種の半導体装置を形成することができる。
図10(A)に示すように、基板101の上面には、上記実施の形態で示した方法によって形成した絶縁膜107及び絶縁膜105上に、単結晶半導体層115を、エッチングした単結晶半導体層151、152が形成されている。なお、単結晶半導体層115のパターンの大きさによっては、島状に形成された単結晶半導体層115を、エッチングせずに単結晶半導体層151、152として利用することもできる。単結晶半導体層151はnチャネル型のトランジスタを構成し、単結晶半導体層152はpチャネル型のトランジスタを構成する。
図10(B)に示すように、単結晶半導体層151、152上に絶縁層154を形成する。次に、絶縁層154を介して単結晶半導体層151上にゲート電極155を形成し、単結晶半導体層152上にゲート電極156を形成する。
なお、絶縁層154を形成する前に、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのアクセプタとなる不純物元素、またはリン、ヒ素などのドナーとなる不純物元素を単結晶半導体層151、152に添加することが好ましい。例えば、nチャネル型トランジスタが形成される領域にアクセプタを添加し、pチャネル型トランジスタが形成される領域にドナーを添加する。
次に、図10(C)に示すように単結晶半導体層151にn型の低濃度不純物領域157を形成し、単結晶半導体層152にp型の高濃度不純物領域159を形成する。まず、単結晶半導体層151にn型の低濃度不純物領域157を形成する。このため、pチャネル型トランジスタとなる単結晶半導体層152をレジストでマスクし、ドナーを単結晶半導体層151に添加する。ドナーとしてリンまたはヒ素を添加すればよい。イオンドーピング法またはイオン注入法によりドナーを添加することにより、ゲート電極155がマスクとなり、単結晶半導体層151に自己整合的にn型の低濃度不純物領域157が形成される。単結晶半導体層151のゲート電極155と重なる領域はチャネル形成領域158となる。
次に、単結晶半導体層152を覆うマスクを除去した後、nチャネル型トランジスタとなる単結晶半導体層151をレジストマスクで覆う。次に、イオンドーピング法またはイオン注入法によりアクセプタを単結晶半導体層152に添加する。アクセプタとして、ボロンを添加することができる。アクセプタの添加工程では、ゲート電極155がマスクとして機能して、単結晶半導体層152にp型の高濃度不純物領域159が自己整合的に形成される。高濃度不純物領域159はソース領域またはドレイン領域として機能する。単結晶半導体層152のゲート電極156と重なる領域はチャネル形成領域160となる。ここでは、n型の低濃度不純物領域157を形成した後、p型の高濃度不純物領域159を形成する方法を説明したが、先にp型の高濃度不純物領域159を形成することもできる。
次に、単結晶半導体層151を覆うレジストを除去した後、プラズマCVD法等によって窒化シリコン等の窒素化合物や酸化シリコン等の酸化物からなる単層構造または積層構造の絶縁膜を形成する。この絶縁層を垂直方向の異方性エッチングすることで、図11(A)に示すように、ゲート電極155、156の側面に接するサイドウォール絶縁層161、162を形成する。この異方性エッチングにより、絶縁層154もエッチングされる。
次に、図11(B)に示すように、単結晶半導体層152をレジスト165で覆う。単結晶半導体層151にソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域を形成するため、イオン注入法またはイオンドーピング法により、単結晶半導体層151に高ドーズ量でドナーを添加する。ゲート電極155およびサイドウォール絶縁層161がマスクとなり、n型の高濃度不純物領域167が形成される。次に、ドナーおよびアクセプタの活性化のための加熱処理を行う。
活性化の加熱処理の後、図11(C)に示すように、水素を含んだ絶縁層168を形成する。絶縁層168を形成後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行い、絶縁層168中に含まれる水素を単結晶半導体層151、152中に拡散させる。絶縁層168は、プロセス温度が350℃以下のプラズマCVD法により窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを堆積することで形成できる。単結晶半導体層151、152に水素を供給することで、単結晶半導体層151、152中および絶縁層154との界面での捕獲中心となるような欠陥を効果的に補償することができる。
その後、層間絶縁層169を形成する。層間絶縁層169は、酸化シリコン膜、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜などの無機材料でなる絶縁膜、または、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜から選ばれた単層構造の膜、積層構造の膜で形成することができる。層間絶縁層169にコンタクトホールを形成した後、図11(C)に示すように配線170を形成する。配線170の形成には、例えば、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜などの低抵抗金属膜をバリアメタル膜で挟んだ3層構造の導電膜で形成することができる。バリアメタル膜は、モリブデン、クロム、チタンなどの金属膜で形成することができる。
以上の工程により、nチャネル型トランジスタとpチャネル型トランジスタを有する半導体装置を作製することができる。SOI基板の作製過程で、チャネル形成領域を構成する単結晶半導体層の金属元素の濃度を低減させているので、オフ電流が小さく、しきい値電圧の変動が抑制されたトランジスタを作製することができる。
図10および図11を参照してトランジスタの作製方法を説明したが、トランジスタの他、容量、抵抗などトランジスタと共になど各種の半導体素子を形成することで、高付加価値の半導体装置を作製することができる。以下、図面を参照しながら半導体装置の具体的な態様を説明する。
まず、半導体装置の一例として、マイクロプロセッサについて説明する。図12はマイクロプロセッサ500の構成例を示すブロック図である。
マイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ509、およびメモリインターフェース510を有している。
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき様々な制御を行う。
演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を処理する回路であり、割り込み制御部504は、割り込み要求の優先度やマスク状態を判断して、割り込み要求を処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、およびレジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば、タイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えている。図12に示すように、内部クロック信号CLK2は他の回路に入力される。
次に、非接触でデータの送受信を行う機能、および演算機能を備えた半導体装置の一例を説明する。図13は、このような半導体装置の構成例を示すブロック図である。図13に示す半導体装置は、無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)と呼ぶことができる。
図13に示すように、RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519と、変調回路520を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、インターフェース524、中央処理ユニット525、ランダムアクセスメモリ526、読み出し専用メモリ527を有している。
RFCPU511の動作の概要は以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529は、RFCPU511を構成する基板に集積されている必要はなく、他の部品としてRFCPU511に組み込むこともできる。
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。復調回路519は、受信信号を復調する回路であり、変調回路520は、送信するデータを変調する回路である。
例えば、復調回路519はローパスフィルタで形成され、振幅変調(ASK)方式の受信信号を、その振幅の変動をもとに、二値化する。また、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信するため、変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。
クロックコントローラ523は、電源電圧または中央処理ユニット525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ526へのデータの書き込み、中央処理ユニット525への演算命令などが含まれている。
中央処理ユニット525は、インターフェース524を介して読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522にアクセスする。インターフェース524は、中央処理ユニット525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
中央処理ユニット525の演算方式は、読み出し専用メモリ527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の演算処理を行い、プログラムを使って、残りの演算を中央処理ユニット525が処理する方式を適用できる。
次に、図14〜図16を用いて、半導体装置として表示装置について説明する。
上記実施の形態で説明した半導体基板の作製工程では、ガラス基板を支持基板に適用することが可能となる。
図14は支持基板101を用いた半導体基板の正面図である。1枚の半導体基板の面積内に半導体素子を形成することで、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置を作製することができる。また、このような表示装置だけでなく、半導体基板を用いて、太陽電池、フォトIC、半導体記憶装置など各種の半導体装置を製造することができる。
図14に示すように、単結晶半導体層302に表示パネルの形成領域310が含まれる。表示パネルは、走査線駆動回路、信号線駆動回路、画素部を有する。そのため表示パネルの形成領域310には、これらが形成される領域(走査線駆動回路形成領域311、信号線駆動回路形成領域312、画素形成領域313)を含んでいる。
図15は液晶表示装置を説明するための図面である。図15(A)は液晶表示装置の画素の平面図であり、図15(B)は、J−K切断線による図15(A)の断面図である。
図15(A)に示すように、画素は、単結晶半導体層320、単結晶半導体層320と交差している走査線322、走査線322と交差している信号線323、画素電極324、画素電極324と単結晶半導体層320を電気的に接続する電極328を有する。単結晶半導体層320は、支持基板に貼り合わせられた単結晶半導体層302から形成された層であり、画素のTFT325を構成する。
半導体基板には上記実施の形態に示した製造装置にて作製した基板が用いられている。図15(B)に示すように、支持基板101上に、絶縁層315及び単結晶半導体層320が積層されている。支持基板101は分割されたマザーガラス301である。単結晶半導体層320には、チャネル形成領域341、ドナーが添加されたn型の高濃度不純物領域342が形成されている。TFT325のゲート電極は走査線322に含まれ、ソース電極およびドレイン電極の一方は信号線323に含まれている。
層間絶縁膜327上には、信号線323、画素電極324および電極328が設けられている。層間絶縁膜327上には、柱状スペーサ329が形成されている。信号線323、画素電極324、電極328および柱状スペーサ329を覆って配向膜330が形成されている。対向基板332には、対向電極333、対向電極を覆う配向膜334が形成されている。柱状スペーサ329は、支持基板101と対向基板332の隙間を維持するために形成される。柱状スペーサ329によって形成される隙間に液晶層335が形成されている。信号線323および電極328と高濃度不純物領域342との接続部は、コンタクトホールの形成によって層間絶縁膜327に段差が生じるので、この接続部では液晶層335の液晶の配向が乱れやすい。そのため、この段差部に柱状スペーサ329を形成して、液晶の配向の乱れを防ぐ。
次に、エレクトロルミネセンス表示装置(以下、EL表示装置という。)について図16を参照して説明する。図16(A)はEL表示装置の画素の平面図であり、図16(B)は、J−K切断線による図16(A)の断面図である。
図16(A)に示すように、画素は、TFTでなる選択用トランジスタ401、表示制御用トランジスタ402、走査線405、信号線406、および電流供給線407、画素電極408を含む。エレクトロルミネセンス材料を含んで形成される層(EL層)が一対の電極間に挟んだ構造の発光素子が各画素に設けられている。発光素子の一方の電極が画素電極408である。また、単結晶半導体層403は、選択用トランジスタ401のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。単結晶半導体層404は、表示制御用トランジスタ402のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。単結晶半導体層403、404は、本発明に係る製造装置により作製される単結晶半導体基板から剥離された層である。
選択用トランジスタ401において、ゲート電極は走査線405に含まれ、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線406に含まれ、他方は電極410として形成されている。表示制御用トランジスタ402は、ゲート電極412が電極411と電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の一方は、画素電極408に電気的に接続される電極413として形成され、他方は、電流供給線407に含まれている。
表示制御用トランジスタ402はpチャネル型のTFTである。図16(B)に示すように、絶縁層400上に単結晶半導体層404が設けられており、単結晶半導体層404には、チャネル形成領域451、およびp型の高濃度不純物領域452が形成されている。なお、半導体基板は、上記実施の形態で示した製造装置で作製した半導体基板が用いられている。
表示制御用トランジスタ402のゲート電極412を覆って、層間絶縁膜427が形成されている。層間絶縁膜427上に、信号線406、電流供給線407、電極411、413などが形成されている。また、層間絶縁膜427上には、電極413に電気的に接続されている画素電極408が形成されている。画素電極408は周辺部が絶縁性の隔壁層428で囲まれている。画素電極408上にはEL層429が形成され、EL層429上には対向電極430が形成されている。補強板として対向基板431が設けられており、対向基板431は樹脂層432により支持基板101に固定されている。
EL表示装置の階調の制御は、発光素子の輝度を電流で制御する電流駆動方式と、電圧でその基礎を制御する電圧駆動方式とがあるが、電流駆動方式は、画素ごとでトランジスタの特性値の差が大きい場合、採用することは困難であり、そのためには特性のばらつきを補正する補正回路が必要になる。SOI基板の作製工程、およびゲッタリング工程を含む製造方法でEL表示を作製することで、選択用トランジスタ401および表示制御用トランジスタ402は画素ごとに特性のばらつきがなくなるため、電流駆動方式を採用することができる。
半導体基板を用いることで、様々な電気機器を作製することができる。電気機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポなど)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍など)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)などの記録媒体に記憶された音声データを再生し、かつ記憶された画像データを表示しうる表示装置を備えた装置などが含まれる。
図17を用いて、電気機器の具体的な態様を説明する。図17(A)は携帯電話機901の一例を示す外観図である。この携帯電話機901は、表示部902、操作スイッチ903などを含んで構成されている。表示部902に、図15で説明した液晶表示装置または図16で説明したEL表示装置を適用することで、表示むらが少なく画質の優れた表示部902とすることができる。
また、図17(B)は、デジタルプレーヤー911の構成例を示す外観図である。デジタルプレーヤー911は、表示部912、操作部913、イヤホン914などを含んでいる。イヤホン914の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部912に、図15で説明した液晶表示装置または図16で説明したEL表示装置を適用することで、画面サイズが0.3インチから2インチ程度の場合であっても。高精細な画像および多量の文字情報を表示することができる。
また、図17(C)は、電子ブック921の外観図である。この電子ブック921は、表示部922、操作スイッチ923を含んでいる。電子ブック921にはモデムを内蔵していてもよいし、図13のRFCPUを内蔵させて、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。表示部922には、図15で説明した液晶表示装置、または図16で説明したEL表示装置を適用することで、高画質の表示を行うことができる。
また、図18は本発明を適用した携帯電話8500の構成の別の一例であり、図18(A)が正面図、図18(B)が背面図、図18(C)が展開図である。携帯電話8500は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
携帯電話8500は、筐体8501及び1002二つの筐体で構成されている。筐体8501には、表示部8511、スピーカー8512、マイクロフォン8513、操作キー8514、ポインティングデバイス8515、カメラ用レンズ8516、外部接続端子8517、イヤホン端子8518等を備え、筐体8502には、キーボード8521、外部メモリスロット8522、カメラ用レンズ8523、ライト8524等を備えている。また、アンテナは筐体8501内部に内蔵されている。表示部8511に、図15で説明した液晶表示装置または図16で説明したEL表示装置を適用することで、表示むらが少なく画質の優れた表示部とすることができる。
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
表示部8511には、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部8511と同一面上にカメラ用レンズ8516を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部8511をファインダーとしカメラ用レンズ8523及びライト8524で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー8512及びマイクロフォン8513は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー8514では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体8501と筐体8502(図18(A))は、スライドし図18(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード8521、ポインティングデバイス8515を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子8517はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット8522に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
以上のようにして、本発明に係る発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。本発明に係る発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。