以下、本発明の実施の形態における半導体基板の作製方法について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその態様及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される、したがって、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明に係る半導体基板を図1に示す。図1(A)は、本発明に係る半導体基板の斜視図であり、また、図1(B)はその断面図である。
本発明に係る半導体基板は、枠状の第1の絶縁層105と、第1の絶縁層105に囲まれた領域内に島状に複数形成された第2の絶縁層107と、第1の絶縁層105上に形成された第1の単結晶半導体層114と、第2の絶縁層107上に形成された第2の単結晶半導体層115と、が支持基板101の上面に形成されている。
図1において、支持基板101は、絶縁表面を有する基板を用いる。例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。好ましくは支持基板101としてガラス基板を用いるのがよく、例えば、第3.5世代(600mm×720mm、又は620mm×750mm)、第4世代(680mm×880mm、又は730mm×920mm)の液晶用マザーガラス基板を用いることができる。さらに、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)といわれる大面積のマザーガラス基板を用いることもできる。大面積のマザーガラス基板を支持基板101として用いることで、1枚の基板から製造できる表示パネルの数(面取り数)を増大させることが可能となり、生産性を向上させることができる。
アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板の表面は、研磨面を有しているものを用いると平坦性が頗る良好であり好ましい。ガラス基板の研磨は、例えば酸化セリウム等で行えば良い。
次に、図1に示した本発明に係る半導体基板を作成する方法について、図2を参照して説明する。
図2(A)に示すように、単結晶半導体基板111を用意する。単結晶半導体基板111の材質は単結晶シリコン、多結晶シリコンなどが適用される。単結晶半導体基板111として、例えば、450mmシリコンウエハ(18インチシリコンウエハ)から切り出されたものを適用することができる。単結晶半導体基板111の平面形状は略四辺形であり、相対する辺の間隔が、280mm×350mm、335mm×300mm、又は350mm×270mmなどの外形数法を有しているものを適用することができる。
次いで、図2(B)に示すように、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム121を単結晶半導体基板111に打ち込み、単結晶半導体基板111の一方の面から所定の深さの領域に損傷層113を形成する。イオンビーム121は、ソースガスを励起して、ソースガスのプラズマを生成し、プラズマから電界の作用により、プラズマに含まれるイオンを引き出すことで生成される。
損傷層113が形成される領域の深さは、イオンビーム121の加速エネルギーとイオンビーム121の入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に損傷層113が形成される。イオンを打ち込む深さで、単結晶半導体基板から分離される単結晶半導体層の厚さが決定される。損傷層113が形成される深さは50nm以上500nm以下であり、好ましい深さの範囲は50nm以上200nm以下である。
イオンを単結晶半導体基板111に添加するには、イオン注入装置、又はイオンドーピング装置を用いることができる。イオン注入装置では、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、イオン種を質量分離して所定の質量を有するイオン種を被処理物に添加する。イオンドーピング装置は、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、イオン種を質量分離せずに被処理物に添加する。なお、質量分離装置を備えているイオンドーピング装置では、イオン注入装置と同様に、質量分離を伴うイオンの添加を行うことができる。
イオンを単結晶半導体基板111に添加するには、質量分離を伴うイオン注入法よりも、素子量分離を伴わないイオンドーピング法が好ましい。これにより、単結晶半導体基板111に損傷層113を形成するタクトタイムを短縮できる。
イオンドーピング装置を用いる場合、ソースガスを励起しプラズマを生成し、プラズマ中からイオン種を引き出し、加速して、イオンビーム121を生成する。そのイオンビーム121を、単結晶半導体基板111に照射することで、所定の深さにイオンが高濃度に導入され、損傷層113が形成される。
ソースガスに水素(H2)を用いる場合、水素ガスを励起してH+、H2 +、H3 +を含むプラズマを生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量などを調節することで、変化させることができる。イオンビーム121に、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +が50%以上含まれるようにすることが好ましく、H3 +の割合は80%以上がより好ましい。このようにH3 +の割合を高めておくことで、損傷層113には1×1020atoms/cm3以上の水素を含ませることが可能である。
このような水素濃度で損傷層113を形成すると、結晶構造が失われ微小な空孔が形成され、多孔質構造となっている。そのため、比較的低温(600℃以下)の熱処理によって損傷層113に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、損傷層113に沿って、単結晶半導体層を劈開することができる。
水素ガスを用いて、イオンドーピング法でイオンを添加する場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。この条件で水素イオンを打ち込むことで、イオンビーム121に含まれるイオン種および、その割合にもよるが、損傷層113を単結晶半導体基板111の深さ50nm以上500nm以下の領域に形成することができる。
イオンビーム121のソースガスにヘリウム(He)を用いることもできる。ヘリウムを励起して生成されるイオン種がHe+が殆どであるため、質量分離を伴わないイオンドーピング法でも、He+を主なイオンとして単結晶半導体基板111に打ち込むことができる。よって、イオンドーピング法で、効率良く、微小な空孔を損傷層113に形成することができる。ヘリウムを用いて、イオンドーピング法でイオンを添加する場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とすることができる。
ソースガスに塩素ガス(Cl2ガス)、フッ素ガス(F2ガス)などのハロゲンガス、フッ素化合物ガス(例えば、BF3)などのハロゲン化合物ガスから選ばれた一種または複数種類のガスを用いることができる。
また、複数回イオンを添加することで、損傷層113を形成することもできる。この場合、イオンを打ち込む度にソースガスを異ならせても良いし、同じソースガスを用いてもよい。例えば、ソースガスとして希ガスを用いてイオンを打ち込んだ後、水素ガスをソースガスとして用いてイオンを打ち込むことができる。また、初めにハロゲンガス又はハロゲン化合物ガスを用いてイオンを添加し、次に、水素ガスを用いてイオンを添加することもできる。
また、イオンビームを打ち込む前に、単結晶半導体基板111の上面に、窒素を含有する絶縁層を形成しても良い。窒素を含有する絶縁層は、窒化酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁性を有する材料を用いて形成することができる。窒素を含有する絶縁層は、後に単結晶半導体基板111の一部を支持基板に貼り合わせて単結晶半導体層を設けた際に、支持基板側からの不純物汚染を防ぐ目的で設けておくことが好ましい。すなわち、窒素を含有する絶縁層は支持基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が単結晶半導体層に拡散することを防ぐためのバリア層として機能する。従って、不純物汚染が問題とならない場合には、窒素を含有する絶縁層は省略することも可能である。
窒素を含有する絶縁層は、プラズマCVD法、スパッタリング法等を用いて窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層又は酸化窒化シリコン層を単層構造又は積層構造で形成する。窒素を含有する絶縁層は、50nm乃至200nmの範囲で設けることが好ましい。例えば、単結晶半導体基板111側から酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層を積層させて窒素を含有する絶縁層とすることができる。
なお、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。
また、窒素を含有する絶縁層は、前記した材質又は物性の異なる絶縁材料でなる層を複数層組み合わせて形成しても良い。例えば、単結晶半導体基板111側から窒化シリコン層、酸化シリコン層を積層させても良い。
次に、図2(C)に示すように、支持基板101上に絶縁膜103を形成する。絶縁膜103は、単結晶半導体基板111との接合層として機能し、支持基板101が単結晶半導体基板111と接合を形成する面に設ける。単層構造としても積層構造としてもよいが、支持基板と接合する面(以下、「接合面」とも記す)が平滑面を有し親水性表面となる絶縁膜を用いることが好ましい。
平滑面を有し親水性表面を形成できる絶縁膜としては、水素を含有する酸化シリコン、水素を含有する窒化シリコン、酸素と水素を含有する窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を適用することができる。
水素を含有する酸化シリコンとしては、例えば有機シランを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコンは好ましい。有機シランを用いて形成された絶縁膜103、例えば酸化シリコン膜を用いることによって、支持基板と単結晶半導体層との接合を強固にすることができるためである。有機シランとしては、テトラエトキシシラン(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスを用いてプラズマCVD法により作製することができる。前記ガスに水素が加えられていても良い。酸素と水素を含有する窒化シリコンは、シランガスとアンモニアガスと亜酸化窒素ガスを用いてプラズマCVD法で作製することができる。いずれにしても、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法等の化学気相成長法により、シランガス等を原料ガスとして用いて作製される酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンであって水素が含まれるものであれば適用することができる。いずれにしても絶縁膜103としては、平滑面を有し、水酸基が付いた表面を有するものであれば良い。
接合層に用いられる絶縁膜103の厚さは10nm以上200nm以下とすることができる。好ましい厚さは10nm以上100nm以下であり、より好ましくは20nm以上50nm以下である。
次に、図2(D)に示すように、絶縁膜103をパターン形成して、枠状の第1の絶縁層105と、第1の絶縁層105に囲まれた領域内に複数設けられた島状の第2の絶縁層107と、を形成する。なお、第1の絶縁層105は、100μm乃至1cmの幅で形成することが好ましい。また、第1の絶縁層105と第2の絶縁層107との距離、または第2の絶縁層107同士の距離は、数10μm乃至数100μmとすることができる。本実施の形態においては、支持基板101と単結晶半導体基板111は、同程度の面積を有し、第1の絶縁層105は、支持基板101の外周を囲むような形状で形成されている。支持基板101が、単結晶半導体基板111と同程度、又は単結晶半導体基板111よりも小さい面積を有している場合、第1の絶縁層105を支持基板101の外周を囲むような形状で形成すると、支持基板101において第2の絶縁層107を形成する面積を広くすることができるため、好ましい。
絶縁膜103をパターン形成する際には、種々の方法を用いることができるが、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、パターン形成された第1の絶縁層105及び第2の絶縁層107の側壁が鋭くなり、微細なパターンを成膜することができる。
次に、単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせる。その後、単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせた状態で、真空チャンバーへと搬送し、その後、真空チャンバー内を減圧する。真空チャンバー内の圧力は、1×10−5Torr以下とすることが好ましく、1×10−6Torr以下がより好ましい。真空チャンバー内を減圧することで、単結晶半導体基板111、または、第1及び第2の絶縁膜が設けられた支持基板101の僅かな反りによって、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙から空気が排出され、間隙を減圧状態とすることができる。なお、単結晶半導体基板111及び支持基板101をそれぞれあらかじめ真空チャンバーに搬入しておき、真空チャンバー内を減圧状態としてから、真空チャンバー内で当該2枚の基板を重ね合わせても構わない。
支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙が十分減圧状態となった後に、真空チャンバー内を緩やかに大気解放する。大気解放後の2枚の基板の間隙の内外における気圧差は、0.5気圧以上1気圧以下であるのが好ましい。
本発明の半導体基板の作製方法においては、支持基板上に形成され接合層として機能する第1の絶縁層105及び第2の絶縁層107は、パターン形成されているために、支持基板101と単結晶半導体基板111との接触面積が小さく、また、支持基板101上に形成されたパターンと、単結晶半導体基板111との間隙に空気が存在するために、大気圧中で重ね合わせるのみでは、2枚の基板を十分に密着させることができない。しかしながら、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とし、その後2枚の基板を大気解放することで、支持基板101と単結晶半導体基板111には大気圧がかかるが、基板間の間隙には、枠状の第1の絶縁層105が壁となるために減圧状態のまま空気が侵入しない。これによって、特別な治具を使用することなく、支持基板101と単結晶半導体基板111との密着性を向上させることができる(図2(E))。また、基板間の間隙は減圧状態となっているため、加熱処理時の空気の膨張による基板の剥離を妨げることができる。
支持基板101上に形成された第1の絶縁層105及び第2の絶縁層107の表面と単結晶半導体基板111の表面とを密着させることにより接合が形成される。この接合は、水素結合やファン・デル・ワールス力が作用している。水素結合は、基板表面が親水性であること、水酸基や水分子が接着剤として働き、熱処理で水分子が拡散し、残留成分がシラノール基(Si−OH)を形成して水素結合で接合を形成する。さらにこの接合部は、水素が抜けることでシロキサン結合(O−Si−O)が形成されることで共有結合になり、単結晶半導体基板111と支持基板101の接合が強固なものとなる。
支持基板101及び単結晶半導体基板111を大気解放後、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行うことが好ましい。加熱処理や加圧処理を行うことにより支持基板101と単結晶半導体基板111の接合強度を向上させることが可能となる。加熱処理の温度は、支持基板101の耐熱温度以下で行う。加圧処理は、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行い、支持基板101及び単結晶半導体基板111の耐圧性を考慮して行う。
図2(F)は、大気解放後の支持基板101及び単結晶半導体基板111に、加熱処理を行い損傷層113を劈開面として単結晶半導体基板111の一部を支持基板101から剥離する段階を示す。加熱処理の温度は、支持基板101の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば400℃乃至600℃の加熱処理を行うことにより、損傷層109に形成された微小な空洞の堆積変化が起こり、当該損傷層109に沿って劈開する。支持基板101上には、第1の絶縁層105上に形成された第1の単結晶半導体層114と、第2の絶縁層107上に形成された第2の単結晶半導体層115と、が残存することとなる。第1の単結晶半導体層114及び第2の単結晶半導体層115は、単結晶半導体基板111と同じ結晶性を有する。島状に複数形成された第2の単結晶半導体層115を用いて様々な半導体素子を作製することができる。
分離された単結晶半導体基板111は、表面を平坦化処理することで再利用することができる。すなわち、本形態によれば、水素のクラスタイオンを添加して、単結晶半導体基板111の表面から1μm以下、好ましくは500nm以下の厚さで単結晶半導体層を剥離することができるので、単結晶半導体基板111をリサイクルできる回数を増やすことができる。
以上の工程により、支持基板上に絶縁層を介して複数の島状の単結晶半導体層が設けられた半導体基板が得られる。
なお、本実施の形態では、支持基板101と単結晶半導体基板111が、同程度の大きさの場合を図示したが、本発明の実施はこれに限られず、支持基板101と単結晶半導体基板111の大きさが異なる場合にも適用できる。例えば、支持基板101として、大判のガラス基板を用いることができる。
なお、支持基板101が単結晶半導体基板111よりも大きい場合は、図3(A)に示すように、支持基板101上に、単結晶半導体基板111の接合面の外周を囲む形状で第1の絶縁層105を形成し、第1の絶縁層105に囲まれた領域内に複数の島状の第2の絶縁層107を形成するのが好ましい。第1の絶縁層105を単結晶半導体基板111の接合面の外周を囲む形状で形成することで、単結晶半導体基板111において、第2の絶縁層107の面積を広くすることができる。また、第1の絶縁層105を枠状とすることで、図3(B)に示すように、支持基板101と単結晶半導体基板111とを重ね合わせ、間隙を減圧状態とした際に、第1の絶縁層105が壁となるために、間隙は減圧状態のままで空気が侵入しない。これによって、支持基板101と、単結晶半導体基板111とを大気圧下で貼り合わせることができる。なお、図3には、支持基板101上に第1の絶縁層105を1つ設けた例を示したが、支持基板101上に、第1の絶縁層105を複数設けても良いことはいうまでもないことである。
また、本実施の形態では、第1の絶縁層と第2の絶縁層とは、同じ膜厚を有するが、ハーフトーン露光等により、第1の絶縁層を第2の絶縁層よりも厚い膜厚で形成しても構わない。また、図4に図示するように、支持基板101に絶縁膜103を形成し(図4(A))、絶縁膜103をエッチングして、幅100μm乃至1cmの枠状の絶縁層104を形成した後に(図4(B))、絶縁層104及び支持基板101上に絶縁膜106を形成し(図4(C))、絶縁膜106をエッチングして、枠状の第1の絶縁層105と、第1の絶縁層105に囲まれた領域内に複数形成された島状の第2の絶縁層107と、を形成しても良い(図4(D))。なお、第1の絶縁層105は、支持基板101の外周を囲む形状とするのが好ましい。図4において、第1の絶縁層105は、先に形成された絶縁層104上に形成されており、第2の絶縁層107よりも厚い膜厚を有する。なお、絶縁膜103または絶縁膜106のエッチングは、ウェットエッチングとドライエッチングのどちらを採用しても良いが、微細加工にはドライエッチングが適しているため、ドライエッチングが好ましい。また、絶縁膜106は、絶縁膜103と同じ材料を用いて作製するのが好ましく、10nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下、より好ましくは20nm以上50nm以下の膜厚で形成するのが好ましい。
第1の絶縁層105の膜厚を第2の絶縁層107よりも厚くすることで、支持基板101と単結晶半導体基板111とを重ね合わせた時に、第2の絶縁層107が単結晶半導体基板111と接触するのを避けることができるため、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とするのが容易になる。また、2枚の基板の間隙を減圧状態とした後に減圧状態を保つためには、第1の絶縁層105を厚くするのが望ましい。ただし、第1の絶縁層105の最表面と第2の絶縁層107の最表面との段差が大きすぎると、支持基板101の端部における密着性が悪くなるため、第2の絶縁層107の膜厚をd2としたとき、第1の絶縁層105の膜厚d1は、d2≦d1≦2d2とするのが好ましい。
なお、本実施の形態で示す半導体基板の作製方法は、本明細書の他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる、本発明の半導体基板の作製方法について図5を用いて説明する。具体的には、単結晶半導体基板側に、接合層として機能するパターン形成した絶縁層を設けた場合の本発明の半導体基板の作製方法を示す。なお、上記実施の形態1と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
図5(A)に示すように、単結晶半導体基板111に、イオンビーム121を打ち込み、損傷層113を形成する。単結晶半導体基板111に損傷層113を形成するまでの工程は、上記実施の形態1の作製工程に準ずるため、説明は省略する。
次いで、図5(B)に示すように、単結晶半導体基板111の上面に絶縁膜117を形成する。絶縁膜117は、支持基板との接合層として機能し、単結晶半導体基板111が支持基板と接合する面に設ける。単層構造としても積層構造としても良いが、接合面が平滑面を有し、親水性表面となる絶縁膜を用いることが好ましい。
平滑面を有し、親水性表面を形成できる絶縁膜117としては、実施の形態1で示した絶縁膜103の材料と同様なものを適用することができる。
接合層に用いられる絶縁膜117の厚さは10nm以上200nm以下とすることができる。好ましい厚さは10nm以上100nm以下であり、より好ましくは20nm以上50nm以下である。
絶縁膜117を化学気相成長法で成膜する場合、単結晶半導体基板111に形成した損傷層113から脱ガスが起こらない程度の温度を適用する。例えば、成膜温度を350℃以下とすることが好ましい。なお、単結晶半導体基板111から単結晶半導体層を剥離する加熱処理では、化学気相成長法による成膜温度よりも高い加熱温度が適用される。
次いで、図5(C)に示すように、絶縁膜117をパターン形成して、枠状の第1の絶縁層118と、第1の絶縁層118に囲まれた領域内に複数設けられた島状の第2の絶縁層119と、を形成する。なお、第1の絶縁層118は、100μm乃至1cmの幅で形成することが好ましい。本実施の形態においては、支持基板101と単結晶半導体基板111は、同程度の面積を有し、第1の絶縁層118は、単結晶半導体基板111の外周を囲むような形状で形成されている。単結晶半導体基板111が、支持基板101と同程度、又は支持基板101よりも小さい面積を有している場合、第1の絶縁層118を単結晶半導体基板111の外周を囲むような形状で形成すると、単結晶半導体基板111において第2の絶縁層119を形成する面積を広くすることができるため、好ましい。
絶縁膜117をパターン形成する際には、種々の方法を用いることができるが、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、パターン形成された第1の絶縁層118及び第2の絶縁層119の側壁が鋭くなり、微細なパターンを成膜することができる。
次いで、パターン形成された絶縁層を有する単結晶半導体基板111を、図5(D)に示した支持基板101と重ね合わせる。単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせた状態で、真空チャンバーへと搬送する。真空チャンバー内を減圧することで、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とすることができる。
支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙が十分減圧状態となった後に、真空チャンバー内を緩やかに大気解放する。大気解放後の2枚の基板の間隙の内外における気圧差は、0.5気圧以上1気圧以下であるのが好ましい。支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とし、その後2枚の基板を大気解放すると、支持基板101と単結晶半導体基板111とが大気圧により圧迫されるが、基板間の間隙には、枠状の第1の絶縁層118が壁となるために減圧状態のまま空気が侵入しない。これによって、特別な治具を使用することなく、支持基板101と単結晶半導体基板111との密着性を向上させることができる(図5(E))。
支持基板101と単結晶半導体基板111を大気解放した後、実施の形態1で示したように、加熱処理又は加圧処理等によって接合強度を高める処理を行う。次いで、図5(F)に示すように、単結晶半導体基板111を加熱処理して、損傷層113を劈開面として単結晶半導体基板111の一部を支持基板101から剥離する。単結晶半導体基板111を加熱する温度は、絶縁膜117の成膜温度以上で、支持基板101の耐熱温度以下が好ましい。支持基板101上には、第1の絶縁層118上に形成された第1の単結晶半導体層114と、第2の絶縁層107上に形成された第2の単結晶半導体層115と、が残存することとなる。第1の単結晶半導体層114及び第2の単結晶半導体層115は、単結晶半導体基板111と同じ結晶性を有する。
以上の工程により、支持基板上に絶縁層を介して複数の島状の単結晶半導体層が設けられた半導体基板が得られる。
また、本実施の形態では、第1の絶縁層と第2の絶縁層とは、同じ膜厚を有するが、ハーフトーン露光等により、第1の絶縁層を第2の絶縁層よりも厚い膜厚で形成しても構わない。第1の絶縁層118の膜厚を第2の絶縁層119よりも厚くすることで、支持基板101と単結晶半導体基板111とを重ね合わせた時に、第2の絶縁層119が単結晶半導体基板111と接触するのを避けることができるため、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とするのが容易になる。また、2枚の基板の間隙を減圧状態とした後に減圧状態を保つためには、第1の絶縁層118を厚くするのが望ましい。ただし、第1の絶縁層118の最表面と第2の絶縁層119の最表面との段差が大きすぎると、支持基板101の端部における密着性が悪くなるため、第2の絶縁層119の膜厚をd2としたとき、第1の絶縁層118の膜厚d1は、d2≦d1≦2d2とするのが好ましい。
なお、本実施の形態で示す半導体基板の作製方法は、本明細書の他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる、本発明の半導体基板の作製方法について図6を用いて説明する。なお、上記実施の形態と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
図6(A)に示すように、単結晶半導体基板111に、イオンビーム121を打ち込み、損傷層113を形成する。単結晶半導体基板111に損傷層113を形成するまでの工程は、上記実施の形態1の作製工程に準ずるため、説明は省略する。
図6(B)に示すように、支持基板101をエッチングして凹部123を形成する。凹部123の形成には、ウェットエッチングとドライエッチングのどちらを採用しても良いが、微細加工にはドライエッチングが適しているため、ドライエッチングが好ましい。また、凹部123は、支持基板101の上面の4辺からそれぞれ100μm乃至1cm内側の4辺を結ぶ四角形状に形成されているのが好ましい。
次いで、図6(C)に示すように、支持基板101の上面に絶縁膜103を形成する。絶縁膜103は、単結晶半導体基板111との接合層として機能し、単結晶半導体基板111が支持基板101と接合する面に設ける。単層構造としても積層構造としても良いが、接合面が平滑面を有し、親水性表面となる絶縁膜を用いることが好ましい。
平滑面を有し、親水性表面を形成できる絶縁膜としては、実施の形態1で示した絶縁膜103の材料と同様なものを適用することができる。
次いで、図6(D)に示すように、絶縁膜103をパターン形成して、枠状の第1の絶縁層105と、第1の絶縁層105に囲まれた領域内に複数設けられた島状の第2の絶縁層107と、を形成する。なお、第1の絶縁層105の少なくとも一部は、支持基板101上面において、凹部123が形成された領域以外の領域と重なるように形成されている。また、第1の絶縁層は、100μm乃至1cmの幅で形成するのが好ましい。また、第2の絶縁層107は、凹部123上に形成されている。
絶縁膜103をパターン形成する際には、種々の方法を用いることができるが、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、微細なパターンを成膜することができる。
次に、単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせる。その後、単結晶半導体基板111と支持基板101とを重ね合わせた状態で、真空チャンバーへと搬送する。真空チャンバー内を減圧することで、単結晶半導体基板111、または、第1及び第2の絶縁膜が設けられた支持基板101の僅かな反りによって、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙から空気が排出され、間隙を減圧状態とすることができる。
支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙が十分減圧状態となった後に、真空チャンバー内を緩やかに大気解放する。大気解放後の2枚の基板の間隙の内外における気圧差は、0.5気圧以上1気圧以下であるのが好ましい。
支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とし、その後2枚の基板を大気解放すると、支持基板101と単結晶半導体基板111とが大気圧により圧迫されるが、基板間の間隙には、枠状の第1の絶縁層105が壁となるために減圧状態のまま空気が侵入しない。これによって、特別な治具を使用することなく、支持基板101と単結晶半導体基板111との密着性を向上させることができる(図6(E))。
支持基板101と単結晶半導体基板111を大気解放後、実施の形態1で示したように、加熱処理又は加圧処理等によって接合強度を高める処理を行う。次いで、図6(F)に示すように、単結晶半導体基板111を加熱処理して、損傷層113を劈開面として単結晶半導体基板111の一部を支持基板101から剥離する。単結晶半導体基板111を加熱する温度は、支持基板101の耐熱温度以下が好ましい。支持基板101上には、第1の絶縁層118上に形成された第1の単結晶半導体層114と、第2の絶縁層107上に形成された第2の単結晶半導体層115と、が残存することとなる。第1の単結晶半導体層114及び第2の単結晶半導体層115は、単結晶半導体基板111と同じ結晶性を有する。
以上の工程により、支持基板上に絶縁層を介して複数の島状の単結晶半導体層が設けられた半導体基板が得られる。
本実施の形態に示した半導体基板の作製方法を用いることで、支持基板101と単結晶半導体基板111とを重ね合わせた時に、第2の絶縁層107が単結晶半導体基板111と接触するのを避けることができるため、支持基板101と単結晶半導体基板111との間隙を減圧状態とするのが容易になる。ただし、第1の絶縁層105の最表面と、第2の絶縁層107の最表面との段差が大きすぎると、支持基板101の端部における密着性が悪くなるため、第1の絶縁層105の最表面と第2の絶縁層107の最表面との距離が、第1の絶縁層105または第2の絶縁層107の膜厚以下となるように、凹部123を形成するのが好ましい。
なお、本実施の形態では、支持基板101上に凹部123を形成したが、単結晶半導体基板111をエッチングして凹部を形成してもよい。この場合、単結晶半導体基板111上に凹部を覆うように絶縁膜を形成して、当該絶縁膜をパターン形成することで、単結晶半導体基板111側に第1の絶縁層及び第2の絶縁層を形成することができる。
なお、本実施の形態で示す半導体基板の作製方法は、本明細書の他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で作製した半導体基板を用いて、半導体装置を作製する方法を説明する。
まず、図7および図8を参照して、半導体装置の作製方法として、nチャネル型トランジスタ、およびpチャネル型トランジスタを作製する方法を説明する。複数のトランジスタを組み合わせることで、各種の半導体装置を形成することができる。
図7(A)に示すように、半導体基板の上面には、上記実施の形態で示した方法によって形成した第2の単結晶半導体層115を、エッチングした単結晶半導体層151、152が形成されている。なお、第2の単結晶半導体層115のパターンの大きさによっては、島状に形成された第2の単結晶半導体層115を、エッチングせずに単結晶半導体層151、152として利用することもできる。単結晶半導体層151はnチャネル型のトランジスタを構成し、単結晶半導体層152はpチャネル型のトランジスタを構成する。
図7(B)に示すように、単結晶半導体層151、152上に絶縁層154を形成する。次に、絶縁層154を介して単結晶半導体層151上にゲート電極155を形成し、単結晶半導体層152上にゲート電極156を形成する。
なお、絶縁層154を形成する前に、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのアクセプタとなる不純物元素、またはリン、ヒ素などのドナーとなる不純物元素を単結晶半導体層151、152に添加することが好ましい。例えば、nチャネル型トランジスタが形成される領域にアクセプタを添加し、pチャネル型トランジスタが形成される領域にドナーを添加する。
次に、図7(C)に示すように単結晶半導体層151にn型の低濃度不純物領域157を形成し、単結晶半導体層152にp型の高濃度不純物領域159を形成する。まず、単結晶半導体層151にn型の低濃度不純物領域157を形成する。このため、pチャネル型トランジスタとなる単結晶半導体層152をレジストでマスクし、ドナーを単結晶半導体層151に添加する。ドナーとしてリンまたはヒ素を添加すればよい。イオンドーピング法またはイオン注入法によりドナーを添加することにより、ゲート電極155がマスクとなり、単結晶半導体層151に自己整合的にn型の低濃度不純物領域157が形成される。単結晶半導体層151のゲート電極155と重なる領域はチャネル形成領域158となる。
次に、単結晶半導体層152を覆うマスクを除去した後、nチャネル型トランジスタとなる単結晶半導体層151をレジストマスクで覆う。次に、イオンドーピング法またはイオン注入法によりアクセプタを単結晶半導体層152に添加する。アクセプタとして、ボロンを添加することができる。アクセプタの添加工程では、ゲート電極155がマスクとして機能して、単結晶半導体層152にp型の高濃度不純物領域159が自己整合的に形成される。高濃度不純物領域159はソース領域またはドレイン領域として機能する。単結晶半導体層152のゲート電極156と重なる領域はチャネル形成領域160となる。ここでは、n型の低濃度不純物領域157を形成した後、p型の高濃度不純物領域159を形成する方法を説明したが、先にp型の高濃度不純物領域159を形成することもできる。
次に、単結晶半導体層151を覆うレジストを除去した後、プラズマCVD法等によって窒化シリコン等の窒素化合物や酸化シリコン等の酸化物からなる単層構造または積層構造の絶縁膜を形成する。この絶縁層を垂直方向の異方性エッチングすることで、図8(A)に示すように、ゲート電極155、156の側面に接するサイドウォール絶縁層161、162を形成する。この異方性エッチングにより、絶縁層154もエッチングされる。
次に、図8(B)に示すように、単結晶半導体層152をレジスト165で覆う。単結晶半導体層151にソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域を形成するため、イオン注入法またはイオンドーピング法により、単結晶半導体層151に高ドーズ量でドナーを添加する。ゲート電極155およびサイドウォール絶縁層161がマスクとなり、n型の高濃度不純物領域167が形成される。次に、ドナーおよびアクセプタの活性化のための加熱処理を行う。
活性化の加熱処理の後、図8(C)に示すように、水素を含んだ絶縁層168を形成する。絶縁層168を形成後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行い、絶縁層168中に含まれる水素を単結晶半導体層151、152中に拡散させる。絶縁層168は、プロセス温度が350℃以下のプラズマCVD法により窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを堆積することで形成できる。単結晶半導体層151、152に水素を供給することで、単結晶半導体層151、152中および絶縁層154との界面での捕獲中心となるような欠陥を効果的に補償することができる。
その後、層間絶縁層169を形成する。層間絶縁層169は、酸化シリコン膜、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜などの無機材料でなる絶縁膜、または、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜から選ばれた単層構造の膜、積層構造の膜で形成することができる。層間絶縁層169にコンタクトホールを形成した後、図8(C)に示すように配線170を形成する。配線170の形成には、例えば、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜などの低抵抗金属膜をバリアメタル膜で挟んだ3層構造の導電膜で形成することができる。バリアメタル膜は、モリブデン、クロム、チタンなどの金属膜で形成することができる。
以上の工程により、nチャネル型トランジスタとpチャネル型トランジスタを有する半導体装置を作製することができる。SOI基板の作製過程で、チャネル形成領域を構成する単結晶半導体層の金属元素の濃度を低減させているので、オフ電流が小さく、しきい値電圧の変動が抑制されたトランジスタを作製することができる。
図7および図8を参照してトランジスタの作製方法を説明したが、トランジスタの他、容量、抵抗などトランジスタと共になど各種の半導体素子を形成することで、高付加価値の半導体装置を作製することができる。以下、図面を参照しながら半導体装置の具体的な態様を説明する。
まず、半導体装置の一例として、マイクロプロセッサについて説明する。図9はマイクロプロセッサ500の構成例を示すブロック図である。
マイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ509、およびメモリインターフェース510を有している。
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき様々な制御を行う。
演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を処理する回路であり、割り込み制御部504は、割り込み要求の優先度やマスク状態を判断して、割り込み要求を処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、およびレジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば、タイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えている。図9に示すように、内部クロック信号CLK2は他の回路に入力される。
次に、非接触でデータの送受信を行う機能、および演算機能を備えた半導体装置の一例を説明する。図10は、このような半導体装置の構成例を示すブロック図である。図10に示す半導体装置は、無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)と呼ぶことができる。
図10に示すように、RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519と、変調回路520を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、インターフェース524、中央処理ユニット525、ランダムアクセスメモリ526、読み出し専用メモリ527を有している。
RFCPU511の動作の概要は以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529は、RFCPU511を構成する基板に集積されている必要はなく、他の部品としてRFCPU511に組み込むこともできる。
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。復調回路519は、受信信号を復調する回路であり、変調回路520は、送信するデータを変調する回路である。
例えば、復調回路519はローパスフィルタで形成され、振幅変調(ASK)方式の受信信号を、その振幅の変動をもとに、二値化する。また、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信するため、変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。
クロックコントローラ523は、電源電圧または中央処理ユニット525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ526へのデータの書き込み、中央処理ユニット525への演算命令などが含まれている。
中央処理ユニット525は、インターフェース524を介して読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522にアクセスする。インターフェース524は、中央処理ユニット525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ527、ランダムアクセスメモリ526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
中央処理ユニット525の演算方式は、読み出し専用メモリ527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の演算処理を行い、プログラムを使って、残りの演算を中央処理ユニット525が処理する方式を適用できる。
次に、図11〜図13を用いて、半導体装置として表示装置について説明する。
上記実施の形態で説明した半導体基板の作製工程では、ガラス基板を支持基板に適用することが可能となる。従って、支持基板にガラス基板を用い、複数の単結晶半導体層を貼り合わせることで、一辺が1メートルを超える大面積な半導体基板を製造することができる。
半導体基板の支持基板に表示パネルを製造するマザーガラスと呼ばれる大面積ガラス基板を用いることができる。図11は支持基板101にマザーガラスを用いた半導体基板の正面図である。このような大面積な半導体基板に複数の半導体素子を形成することで、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置を作製することができる。また、このような表示装置だけでなく、半導体基板を用いて、太陽電池、フォトIC、半導体記憶装置など各種の半導体装置を製造することができる。
図11に示すように、1枚のマザーガラス301には、複数の単結晶半導体基板から剥離された単結晶半導体層302が貼り合わせられている。マザーガラス301から複数の表示パネルを切り出すために、単結晶半導体層302に表示パネルの形成領域310が含まれるようにすることが好ましい。表示パネルは、走査線駆動回路、信号線駆動回路、画素部を有する。そのため表示パネルの形成領域310には、これらが形成される領域(走査線駆動回路形成領域311、信号線駆動回路形成領域312、画素形成領域313)を含んでいる。
図12は液晶表示装置を説明するための図面である。図12(A)は液晶表示装置の画素の平面図であり、図12(B)は、J−K切断線による図12(A)の断面図である。
図12(A)に示すように、画素は、単結晶半導体層320、単結晶半導体層320と交差している走査線322、走査線322と交差している信号線323、画素電極324、画素電極324と単結晶半導体層320を電気的に接続する電極328を有する。単結晶半導体層320は、支持基板に貼り合わせられた単結晶半導体層302から形成された層であり、画素のTFT325を構成する。
半導体基板には上記実施の形態に示した方法で作製した半導体基板が用いられている。図12(B)に示すように、支持基板101上に、絶縁層315及び単結晶半導体層320が積層されている。支持基板101は分割されたマザーガラス301である。単結晶半導体層320には、チャネル形成領域341、ドナーが添加されたn型の高濃度不純物領域342が形成されている。TFT325のゲート電極は走査線322に含まれ、ソース電極およびドレイン電極の一方は信号線323に含まれている。
層間絶縁膜327上には、信号線323、画素電極324および電極328が設けられている。層間絶縁膜327上には、柱状スペーサ329が形成されている。信号線323、画素電極324、電極328および柱状スペーサ329を覆って配向膜330が形成されている。対向基板332には、対向電極333、対向電極を覆う配向膜334が形成されている。柱状スペーサ329は、支持基板101と対向基板332の隙間を維持するために形成される。柱状スペーサ329によって形成される隙間に液晶層335が形成されている。信号線323および電極328と高濃度不純物領域342との接続部は、コンタクトホールの形成によって層間絶縁膜327に段差が生じるので、この接続部では液晶層335の液晶の配向が乱れやすい。そのため、この段差部に柱状スペーサ329を形成して、液晶の配向の乱れを防ぐ。
次に、エレクトロルミネセンス表示装置(以下、EL表示装置という。)について図13を参照して説明する。図13(A)はEL表示装置の画素の平面図であり、図13(B)は、J−K切断線による図13(A)の断面図である。
図13(A)に示すように、画素は、TFTでなる選択用トランジスタ401、表示制御用トランジスタ402、走査線405、信号線406、および電流供給線407、画素電極408を含む。エレクトロルミネセンス材料を含んで形成される層(EL層)が一対の電極間に挟んだ構造の発光素子が各画素に設けられている。発光素子の一方の電極が画素電極408である。また、単結晶半導体層403は、選択用トランジスタ401のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。単結晶半導体層404は、表示制御用トランジスタ402のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。単結晶半導体層403、404は、本発明に係る作製方法によって、単結晶半導体基板から剥離された層である。
選択用トランジスタ401において、ゲート電極は走査線405に含まれ、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線406に含まれ、他方は電極410として形成されている。表示制御用トランジスタ402は、ゲート電極412が電極411と電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の一方は、画素電極408に電気的に接続される電極413として形成され、他方は、電流供給線407に含まれている。
表示制御用トランジスタ402はpチャネル型のTFTである。図13(B)に示すように、絶縁層400上に単結晶半導体層404が設けられており、単結晶半導体層404には、チャネル形成領域451、およびp型の高濃度不純物領域452が形成されている。なお、半導体基板は、上記実施の形態で示した方法で作製した半導体基板が用いられている。
表示制御用トランジスタ402のゲート電極412を覆って、層間絶縁膜427が形成されている。層間絶縁膜427上に、信号線406、電流供給線407、電極411、413などが形成されている。また、層間絶縁膜427上には、電極413に電気的に接続されている画素電極408が形成されている。画素電極408は周辺部が絶縁性の隔壁層428で囲まれている。画素電極408上にはEL層429が形成され、EL層429上には対向電極430が形成されている。補強板として対向基板431が設けられており、対向基板431は樹脂層432により支持基板101に固定されている。
EL表示装置の階調の制御は、発光素子の輝度を電流で制御する電流駆動方式と、電圧でその基礎を制御する電圧駆動方式とがあるが、電流駆動方式は、画素ごとでトランジスタの特性値の差が大きい場合、採用することは困難であり、そのためには特性のばらつきを補正する補正回路が必要になる。SOI基板の作製工程、およびゲッタリング工程を含む製造方法でEL表示を作製することで、選択用トランジスタ401および表示制御用トランジスタ402は画素ごとに特性のばらつきがなくなるため、電流駆動方式を採用することができる。
半導体基板を用いることで、様々な電気機器を作製することができる。電気機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポなど)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍など)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)などの記録媒体に記憶された音声データを再生し、かつ記憶された画像データを表示しうる表示装置を備えた装置などが含まれる。
図14を用いて、電気機器の具体的な態様を説明する。図14(A)は携帯電話機901の一例を示す外観図である。この携帯電話機901は、表示部902、操作スイッチ903などを含んで構成されている。表示部902に、図12で説明した液晶表示装置または図13で説明したEL表示装置を適用することで、表示むらが少なく画質の優れた表示部902とすることができる。
また、図14(B)は、デジタルプレーヤー911の構成例を示す外観図である。デジタルプレーヤー911は、表示部912、操作部913、イヤホン914などを含んでいる。イヤホン914の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。表示部912に、図12で説明した液晶表示装置または図13で説明したEL表示装置を適用することで、画面サイズが0.3インチから2インチ程度の場合であっても。高精細な画像および多量の文字情報を表示することができる。
また、図14(C)は、電子ブック921の外観図である。この電子ブック921は、表示部922、操作スイッチ923を含んでいる。電子ブック921にはモデムを内蔵していてもよいし、図10のRFCPUを内蔵させて、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。表示部922には、図12で説明した液晶表示装置、または図13で説明したEL表示装置を適用することで、高画質の表示を行うことができる。
また、図15は本発明を適用した携帯電話8500の構成の別の一例であり、図15(A)が正面図、図15(B)が背面図、図15(C)が展開図である。携帯電話8500は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
携帯電話8500は、筐体8501及び1002二つの筐体で構成されている。筐体8501には、表示部8511、スピーカー8512、マイクロフォン8513、操作キー8514、ポインティングデバイス8515、カメラ用レンズ8516、外部接続端子8517、イヤホン端子8518等を備え、筐体8502には、キーボード8521、外部メモリスロット8522、カメラ用レンズ8523、ライト8524等を備えている。また、アンテナは筐体8501内部に内蔵されている。表示部8511に、図12で説明した液晶表示装置または図13で説明したEL表示装置を適用することで、表示むらが少なく画質の優れた表示部とすることができる。
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
表示部8511には、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部8511と同一面上にカメラ用レンズ8516を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部8511をファインダーとしカメラ用レンズ8523及びライト8524で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー8512及びマイクロフォン8513は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー8514では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体8501と筐体8502(図15(A))は、スライドし図15(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード8521、ポインティングデバイス8515を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子8517はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット8522に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
以上のようにして、本発明に係る発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。本発明に係る発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。