以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書中の図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、ボンド基板である半導体基板から分離させた半導体膜をベース基板に接合してSOI基板を製造する。そして、製造されたSOI基板を元に半導体装置を製造する。以下、図1乃至図6、図8を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一つについて説明する。
まず図1(A)のような、ボンド基板100を準備する。ボンド基板100としては、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。その他に、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体で形成された単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を、ボンド基板100として用いることができる。また、単結晶半導体基板は、CZ(Czochralski)法やFZ(Floating Zone)法を用いることで、作製することができる。
市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的であるが、ボンド基板100の形状は円形に限られるものではない。本実施の形態では、矩形状または多角形状のボンド基板100を用いるのが好ましい。例えば、円形のシリコン基板を矩形状等に加工して、ボンド基板100に用いることができる。なお、本明細書中で矩形状とは、正方形及び長方形を含むものとする。以下の説明では、ボンド基板100として、単結晶シリコン基板を用いる場合について示す。
次に図1(B)に示すように、ボンド基板100上に絶縁膜102を形成する。絶縁膜102は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。例えば本実施の形態では、酸化シリコンを絶縁膜102として用いる。絶縁膜102を構成する膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などのシリコンを組成に含む絶縁膜を用いることが好ましい。また、あらかじめボンド基板100の表面を、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、塩酸過水(HPM)、希フッ酸(DHF)などを用いて洗浄しておくのが好ましい。
なお、本明細書において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多く、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多く、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
酸化シリコンを絶縁膜102として用いる場合、絶縁膜102はシランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場合、絶縁膜102の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。
また、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコンを、絶縁膜102として用いても良い。有機シランガスとしては、テトラエトキシシラン(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
また、ボンド基板100を熱酸化することで得られる酸化膜で、絶縁膜102を形成することもできる。上記酸化膜を形成するための、熱酸化処理としては、ドライ酸化を用いても良いし、酸化雰囲気中にさらにハロゲンを含むガスを添加しても良い。ハロゲンを含むガスとして、HCl、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF、BCl3、F2、Br2などから選ばれた一種又は複数種ガスを用いることができる。なお、図1(B)では、ボンド基板100の一方の面にしか絶縁膜102が形成されていないが、本実施の形態はこれに限定されない。ボンド基板100を酸化することで得られる酸化膜によって絶縁膜102を形成する場合、ボンド基板100を覆うように絶縁膜102が形成されていても良い。
例えば、酸素に対し塩化水素(HCl)を0.5体積%乃至10体積%(好ましくは2体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上1100℃以下の温度で熱処理を行う。例えば950℃程度で熱処理を行うとよい。処理時間は0.1時間乃至6時間、好ましくは2.5時間乃至3.5時間とすればよい。形成される酸化膜の膜厚は、15nm乃至1100nm、好ましくは50nm乃至150nmとするとよい。
このハロゲンを含む雰囲気での熱酸化処理により、酸化膜にハロゲンを含ませることができる。ハロゲンを1×1017atoms/cm3乃至1×1021atoms/cm3の濃度で酸化膜に含ませることにより、外因性不純物である重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Mo等)を酸化膜が捕獲するので、後に形成される半導体膜の汚染を防止することができる。また、酸化処理に含まれるハロゲンにより、ボンド基板100の表面の欠陥が終端化されるため、酸化膜とボンド基板100との界面の局在準位密度を低減することができる。
また、絶縁膜102に、ハロゲンを含む雰囲気での熱酸化処理などによって膜中に塩素等のハロゲンを含ませることにより、ボンド基板100に悪影響を与える不純物(例えば、Na等の可動イオン)をゲッタリングすることができる。具体的には、絶縁膜102を形成した後に行われる熱処理により、ボンド基板100に含まれる不純物が絶縁膜102に析出し、ハロゲン(例えば塩素原子)と反応して捕獲されることとなる。それにより絶縁膜102中に捕集した当該不純物を固定してボンド基板100の汚染を防ぐことができる。また、絶縁膜102はガラス基板と貼り合わせた場合に、ガラスに含まれるNa等の不純物を固定する膜として機能しうる。
ベース基板としてガラス基板のような、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物を含む基板を用いる場合、上記不純物がベース基板からSOI基板の半導体膜に拡散することを防止できるような膜を、少なくとも1層以上、絶縁膜102が有することが好ましい。このような膜には、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などがある。このような膜を絶縁膜102が有することで、絶縁膜102をバリア膜として機能させることができる。
窒化シリコン膜を絶縁膜102として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化シリコン膜を絶縁膜102として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと酸化窒素の混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
例えば、絶縁膜102を単層構造のバリア膜として形成する場合、厚さ15nm以上300nm以下の窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜で形成することができる。
絶縁膜102を、バリア膜として機能する2層構造の膜とする場合は、上層は、バリア機能の高い絶縁膜で構成する。上層の絶縁膜は、例えば厚さ15nm以上300nm以下の窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜で形成することができる。これらの膜は、不純物の拡散を防止するブロッキング効果が高いが、内部応力が高い。そのため、ボンド基板100と接する下層の絶縁膜には、上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある膜を選択することが好ましい。上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある絶縁膜として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜およびボンド基板100を熱酸化して形成した熱酸化膜などがある。下層の絶縁膜の厚さは5nm以上200nm以下とすることができる。
例えば、絶縁膜102をブロッキング膜として機能させるために、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜などの組み合わせで絶縁膜102を形成すると良い。
また、バリア膜として機能する2層構造の膜にさらにもう一層上に膜を形成して、絶縁膜102を3層構造としても良い。その場合、最上層の絶縁膜はベース基板との接合面となるので、平滑で親水性の高い表面を有するのが好ましい。よって、最上層の絶縁膜には、化学的気相反応により形成される絶縁膜が好ましく、酸化シリコン膜が好ましい。最上層の絶縁膜として、プラズマ励起CVD法で酸化シリコン膜を形成する場合には、ソースガスに有機シランガスおよび酸素(O2)ガスを用いることが好ましい。ソースガスに有機シランを用いることで、プロセス温度が350℃以下で、平滑な表面を有する酸化シリコン膜を形成することができる。また、熱CVD法を用いて、加熱温度が200℃以上500℃以下で形成されるLTO(低温酸化物、low temperature oxide)で形成することができる。LTOの形成には、シリコンソースガスにモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si2H6)などを用い、酸素ソースガスに一酸化二窒素(N2O)などを用いることができる。また、最上層の絶縁膜の厚さは5nm以上500nm以下とすることができ、より好ましくは10nm以上200nm以下とする。
例えば、最上層の絶縁膜を、ソースガスにTEOSとO2を用いて、酸化シリコン膜で形成する場合、TEOSの流量15sccm、O2の流量750sccm、成膜圧力100Pa、成膜温度300℃、RF出力300W、電源周波数13.56MHzとすれば良い。
なお、有機シランを用いて形成された酸化シリコン膜、または低温で成膜した窒化酸化シリコン膜などの、比較的低温で成膜された絶縁膜は、表面にOH基を多く有する。OH基は水分子と水素結合することでシラノール基を形成して、ベース基板と絶縁膜とを低温で接合する。そして、最終的には共有結合であるシロキサン結合が、ベース基板と絶縁膜との間に形成される。よって、上記の有機シランを用いて形成された酸化シリコン膜、または比較的低温で成膜されたLTOなどの絶縁膜は、Smart Cutなどで用いられているOH基が存在しない或いは飛躍的に少ない熱酸化膜よりも、低温での接合に向いていると言える。
次に図1(C)に示すように、ボンド基板100に、電界で加速されたイオンでなるイオンビームを、矢印で示すように絶縁膜102を介してボンド基板100に照射し、ボンド基板100の表面から一定の深さの領域に、微小ボイドを有する脆化層104を形成する。脆化層104が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧などにより調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に脆化層104が形成される。イオンを添加する深さで、後にボンド基板100から分離される半導体膜112の厚さが決定される。脆化層104が形成される深さは、例えばボンド基板100の表面から50nm以上500nm以下とすることができ、好ましい深さの範囲は50nm以上200nm以下、例えば100nm程度とすると良い。なお、本実施の形態では、イオンの照射を絶縁膜102の形成後に行っているが、これに限られず、絶縁膜102の形成前にイオンの照射を行っても良い。ただし、絶縁膜102として、ボンド基板100の熱酸化膜を用いる場合には、700℃以上の高温で絶縁膜102を成膜するので、イオン照射の前に絶縁膜102の形成を行う必要がある。
イオンをボンド基板100に照射するには、質量分離を伴わないイオンドーピング法で行うことがタクトタイムを短縮するという点で望ましいが、本実施の形態では質量分離を伴うイオン注入法を用いていても良い。イオンドーピング法は、イオンドーピング装置を用いて行うことができる。イオンドーピング装置の代表的な装置は、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全ての種類のイオンをチャンバー内に配置された被処理体に照射する非質量分離型の装置である。非質量分離型の装置は、プラズマ中のイオンを質量分離しないで、全ての種類のイオンを被処理体に照射する。これに対して、イオン注入法に用いるイオン注入装置は質量分離型の装置である。イオン注入装置は、プラズマ中のイオンを質量分離し、ある特定の質量のイオンを被処理体に照射する装置である。
イオンドーピング装置の主要な構成は、被処理体を配置するチャンバー、所望のイオンを発生させるイオン源、およびイオンを加速し、照射するための加速機構である。イオン源は、所望のイオンを生成するためのソースガスを供給するガス供給装置、ソースガスを励起して、プラズマを生成するための電極などで構成される。プラズマを生成するための電極として、フィラメント型の電極や容量結合高周波放電用の電極などが用いられる。加速機構は、引出電極、加速電極、減速電極、接地電極等の電極など、およびこれらの電極に電力を供給するための電源などで構成される。加速機構を構成する電極には複数の開口やスリットが設けられており、イオン源で生成されたイオンは電極に設けられた開口やスリットを通過して加速される。なお、イオンドーピング装置の構成は上述したものに限定されず、必要に応じた機構が設けられる。
ソースガスに水素(H2)を用いる場合、水素ガスを励起してH+、H2 +、H3 +を生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量などを調節することで、変化させることができる。イオンドーピング法でイオン照射を行う場合、イオンビームに、H+、H2 +、H3 +の総量に対してH3 +が50%以上含まれるようにすることが好ましく、H3 +の割合は80%以上がより好ましい。H3 +の割合を50%以上とすることで、イオンビームに含まれるH2 +イオンの割合が相対的に小さくなる。これによって、イオンビームに含まれる水素イオンの平均侵入深さのばらつきが小さくなるので、イオンの添加効率が向上し、タクトタイムを短縮することができる。
また、H3 +はH+、H2 +に比べて質量が大きい。そのため、イオンビームにおいて、H3 +の割合が多い場合と、H+、H2 +の割合が多い場合とでは、ドーピングの際の加速電圧が同じであっても、前者の場合の方が、ボンド基板100の浅い領域に水素を添加することができる。また前者の場合、ボンド基板100に添加される水素の、厚さ方向における濃度分布が急峻となるため、脆化層104の厚さ自体も薄くすることができる。
水素ガスを用いて、イオンドーピング法でイオン照射を行う場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm2以上6×1016ions/cm2以下とする。イオンビームに含まれるイオン種及びその割合、絶縁膜102の膜厚にもよるが、脆化層104をボンド基板100の深さ50nm以上500nm以下、好ましくは、50nm以上200nm以下、例えば100nm程度の領域に形成することができる。
次に、絶縁膜102が形成されたボンド基板100の表面処理を行う。絶縁膜102の表面処理は、オゾン水による洗浄、純水による超音波洗浄、純水と窒素による2流体ジェット洗浄、原子ビーム若しくはイオンビームの照射処理、オゾン処理、プラズマ処理、若しくはラジカル処理で行うことができる。又はこれらの方法を組み合わせて行うことができる。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。超音波洗浄はメガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。また、洗浄において、一般的な洗浄剤を使ってもよい。以上の表面処理を行うことによって、有機物の除去と、絶縁膜102表面の親水性を向上させる表面の活性化処理を行うことができる。これによって、ボンド基板とベース基板の接合強度の向上を図ることができる。
ここで、オゾン処理の一例を説明する。例えば、酸素を含む雰囲気下で紫外線(UV)を照射することにより、被処理体表面にオゾン処理を行うことができる。酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射するオゾン処理は、UVオゾン処理または紫外線オゾン処理などとも言われる。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光と200nm以上の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに、オゾンから一重項酸素を生成させることができる。紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに、オゾンから一重項酸素を生成させることもできる。
酸素を含む雰囲気下で、200nm未満の波長を含む光および200nm以上の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
O2+hν(λ1nm)→O(3P)+O(3P) (1)
O(3P)+O2→O3 (2)
O3+hν(λ2nm)→O(1D)+O2 (3)
上記反応式(1)において、酸素(O2)を含む雰囲気下で200nm未満の波長(λ1nm)を含む光(hν)を照射することにより基底状態の酸素原子(O(3P))が生成される。次に、反応式(2)において、基底状態の酸素原子(O(3P))と酸素(O2)とが反応してオゾン(O3)が生成される。そして、反応式(3)において、生成されたオゾン(O3)を含む雰囲気下で200nm以上の波長(λ2nm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素O(1D)が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともに、200nm以上の波長を含む光を照射することによりオゾンを分解して一重項酸素を生成する。上記のようなオゾン処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下での低圧水銀ランプの照射(λ1=185nm、λ2=254nm)により行うことができる。
また、酸素を含む雰囲気下で、180nm未満の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
O2+hν(λ3nm)→O(1D)+O(3P) (4)
O(3P)+O2→O3 (5)
O3+hν(λ3nm)→O(1D)+O2 (6)
上記反応式(4)において、酸素(O2)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λ3nm)を含む光を照射することにより、励起状態の一重項酸素O(1D)と基底状態の酸素原子(O(3P))が生成する。次に、反応式(5)において、基底状態の酸素原子(O(3P))と酸素(O2)とが反応してオゾン(O3)が生成する。反応式(6)において、生成されたオゾン(O3)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λ3nm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素と酸素が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともにオゾンまたは酸素を分解して一重項酸素を生成する。上記のようなオゾン処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下でのXeエキシマUVランプの照射(λ3=172nm)により行うことができる。
200nm未満の波長を含む光により被処理体表面に付着する有機物などの化学結合を切断する。そして、オゾンまたはオゾンから生成された一重項酸素により、被処理体表面に付着する有機物、または化学結合を切断された有機物などを、酸化分解して除去することができる。上記のようなオゾン処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性を高めることができ、接合を良好に行うことができる。
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射することによりオゾンが生成される。オゾンは、被処理体表面に付着する有機物の除去に効果を奏する。また、一重項酸素も、オゾンと同等またはそれ以上に、被処理体表面に付着する有機物の除去に効果を奏する。オゾン及び一重項酸素は、活性状態にある酸素の例であり、総称して活性酸素とも言われる。上記反応式等で説明したとおり、一重項酸素を生成する際にオゾンが生じる、またはオゾンから一重項酸素を生成する反応もあるため、ここでは一重項酸素が寄与する反応も含めて、便宜的にオゾン処理と称する。
次に、ベース基板となるガラス基板108とボンド基板100との貼り合わせの準備を行う。ガラス基板108としては、アルミノシリケートガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどの電子工業用に使われる各種ガラス基板を用いることができる。また、ガラス基板108として無アルカリガラス基板を用いると、不純物による半導体装置の汚染を抑えることができる。また、ガラス基板108は、酸化セリウムなどで研磨され、平坦性が良好な表面を有しているものを用いることが好ましい。ガラス基板108の表面が良好な平坦性を有するほど接合強度を高めることができる。よって、ガラス基板108の表面を接合面とする場合は、ガラス基板108の表面を研磨することで、接合強度が高まり接合不良を低減することができる。
また、ガラス基板108として、液晶パネルの製造用に開発されたマザーガラス基板を用いることが好ましい。マザーガラスとしては、例えば、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm)、第4世代(680mm×880mmまたは、730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2850mm×3050mm)などのサイズの基板が知られている。大面積のマザーガラス基板をガラス基板108として用いてSOI基板を製造することで、SOI基板の大面積化が実現できる。SOI基板の大面積化が実現すれば、一度に多くのIC、LSI等のチップを製造することができ、1枚の基板から製造されるチップ数が増加するので、生産性を飛躍的に向上させることができる。
ガラス基板108の表面は、あらかじめ洗浄しておくことが好ましい。具体的には、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて、ガラス基板108の超音波洗浄(メガヘルツ超音波洗浄)を行う。例えば、塩酸過水を用いて、ガラス基板108表面を超音波洗浄することが好ましい。また、2流体ジェット洗浄や、オゾン水による洗浄を行ってもよい。また、洗浄において、一般的なガラス洗浄液を使ってもよい。このような洗浄処理を行うことによって、ガラス基板108表面の平坦化や残存する研磨粒子の除去を行うことができる。
また、図2(A)に示すように、ガラス基板108上に絶縁膜106を形成しておくのが好ましい。ガラス基板108の表面に絶縁膜106として、バリア膜として機能する窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを形成しておくことで、ガラス基板108からボンド基板100に、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。膜厚は、10nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下の範囲で設けることが好ましい。なお、ガラス基板108は、その表面に絶縁膜106が必ずしも形成されている必要はない。
ガラス基板108上に絶縁膜106を形成する場合、絶縁膜102と同様に、絶縁膜106の表面にオゾン処理などの表面処理を行ってから貼り合わせを行うのが好ましい。
次に図2(B)に示すように、絶縁膜102がガラス基板108側を向くように、ボンド基板100とガラス基板108を貼り合わせる。
貼り合わせは、ボンド基板100表面の絶縁膜102とガラス基板108表面の絶縁膜106とを密着させてから、ガラス基板108の一箇所に0.1N/cm2乃至500N/cm2、好ましくは1N/cm2乃至20N/cm2程度の圧力を加える。ガラス基板108の圧力をかけた部分から絶縁膜102と絶縁膜106とが接合し始め、自発的に接合が形成されて全面におよび、ガラス基板108とボンド基板100とが貼り合わされる。
接合はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固な接合が形成される。ボンド基板100とガラス基板108とに圧力を加えることで、水素結合により強固な接合を形成することが可能である。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、上述したようにガラス基板108は様々なものを用いることが可能である。
しかし、ボンド基板100の周辺部には、エッジロールオフ(Edge Roll Off:E.R.O.)と呼ばれる中央部より基板の厚みが薄く、平坦性の低い領域があるので、ボンド基板100周辺部においてガラス基板108とボンド基板100が貼り合わせられないことがある。
ガラス基板108にボンド基板100を貼り合わせた後、絶縁膜102と絶縁膜106の接合界面での結合力を増加させるための加熱処理を行うことが好ましい。この処理温度は、脆化層104に亀裂を発生させない温度とし、200℃以上450℃以下の温度範囲で処理することができる。また、この温度範囲で加熱しながら、ガラス基板108にボンド基板100を貼り合わせてもよい。
加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。接合界面での結合力を増加させるための加熱処理は、貼り合わせを行った装置或いは場所で、そのまま連続して行うことが好ましい。また、接合界面での結合力を増加させるための加熱処理からそのまま連続して、脆化層104を境としたボンド基板100を分離する熱処理を行ってもよい。
通常、このような温度で熱処理を行った場合には、接合強度をある程度は増加させることは可能であるが、十分な接合強度を得ることは難しい。これは、ボンド基板とベース基板を接合させた後に熱処理を行うと、接合界面において脱水縮合反応が生じ共有結合が形成されることにより接合が強化されるが、脱水縮合反応を促進させるためには、脱水縮合反応により接合界面に生じる水分を高温で熱処理を行うことにより除去する必要があるためである。つまり、接合後の熱処理温度を高くすることにより、脱水縮合反応で接合界面に生じた水分を除去し接合強度を向上させることができるが、熱処理温度が低い場合には、脱水縮合反応で接合界面に生じた水分を効果的に除去できないため、脱水縮合反応が進まず接合強度を十分に向上させることができない。
一方で、絶縁膜102として、塩素原子等を含有させた酸化膜を用いた場合、絶縁膜102が水分を吸収し拡散させることができるため、接合後の熱処理を低温で行う場合であっても、脱水反応で接合界面に生じた水分を絶縁膜102へ吸収、拡散させ脱水反応を効率良く促進させることができる。この場合、ベース基板としてガラス等の耐熱性が低い基板を用いた場合であっても、絶縁膜102と絶縁膜106の接合強度を十分に向上させることが可能となる。また、バイアス電圧を印加してプラズマ処理を行うことにより、絶縁膜102の表面近傍にマイクロポアを形成し、水分を効果的に吸収し拡散させ、低温の熱処理であっても絶縁膜102と絶縁膜106の接合強度を向上させることができる。
なお、ボンド基板100とガラス基板108とを貼り合わせるときに、接合面をゴミなどにより汚染されてしまうと、汚染部分は接合されなくなる。接合面の汚染を防ぐために、ボンド基板100とガラス基板108との貼り合わせは、気密な処理室内で行うことが好ましい。また、ボンド基板100とガラス基板108との貼り合わせるとき、処理室内を5.0×10−3Pa程度の減圧状態とし、接合処理の雰囲気を清浄にするようにしても良い。
次いで、ボンド基板100に加熱処理を行うことで、脆化層104において隣接する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、脆化層104においてボンド基板100が急激な反応を伴って分離し、図2(C)に示すように、ボンド基板100は、半導体膜112と分離後のボンド基板110に分離する。絶縁膜102はガラス基板108表面の絶縁膜106に接合しているので、ガラス基板108上にはボンド基板100から分離された半導体膜112が固定される。半導体膜112をボンド基板100から分離するための加熱処理の温度は、ガラス基板108の歪み点を越えない温度とするのが好ましい。
この加熱処理も接合界面での結合力を増加させるための加熱処理と同様の装置を用いて行うことができる。つまり、加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。
GRTA装置を用いる場合は、加熱温度550℃以上650℃以下、処理時間0.5分以上60分以内とすることができる。抵抗加熱装置を用いる場合は、加熱温度200℃以上650℃以下、処理時間2時間以上4時間以内とすることができる。
また、上記加熱処理は、マイクロ波などの高周波による誘電加熱を用いて行っても良い。誘電加熱による加熱処理は、高周波発生装置において生成された周波数300MHz乃至3THzの高周波をボンド基板100に照射することで行うことができる。具体的には、例えば、2.45GHzのマイクロ波を900W、14分間照射することで、脆化層において隣接する微小ボイドどうしを結合させ、最終的にボンド基板100を分離させることができる。
しかし、ボンド基板100及び絶縁膜102の周辺部は、E.R.O.領域等によってガラス基板108と接合されていないことが多い。その状態でボンド基板100から半導体膜112を分離させると、ガラス基板108と接合されていないボンド基板100及び絶縁膜102の周辺部が分離後のボンド基板110に残存し、分離後のボンド基板110の周辺部に凸部が形成される。また、ガラス基板108上には、ボンド基板100よりもサイズの小さい半導体膜112が貼り付けられるが、半導体膜112及び絶縁膜102の周辺領域も、接合強度が弱くなっている。
なお、分離後のボンド基板110は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などの処理を施して、分離後のボンド基板110の周辺部に形成された凸部を除去し、再びボンド基板100として使用するのが望ましい。再生した半導体基板は他の用途に用いてもよい。
次に、ガラス基板108上の半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域を除去し、半導体膜112より外側にガラス基板108の一部を露出させる。
半導体膜112及び絶縁膜102の周辺領域は結合力が弱くなっているため、そのままSOI基板としてTFTの作製に用いると、ゲート電極として用いる導電膜を成膜する際に、導電膜の加える応力によって、半導体膜112及び絶縁膜102がはがれる恐れがある。特に、ベース基板が矩形状又は多角形状の場合、角の部分に応力が集中するため、半導体膜112及び絶縁膜102のはがれる危険性は高くなる。さらに、本実施の形態では、ベース基板としてガラス基板108を用いているので、ベース基板としてシリコン等の半導体基板を用いた場合と比較すると、ベース基板の平坦性が低く、基板が反っていることもある。故に、ガラス基板108上の半導体膜112及び絶縁膜102がはがれる危険性はより高くなる。よって、絶縁膜106との結合力が弱くなっている半導体膜112及び絶縁膜102の周辺領域をあらかじめ除去する必要がある。また、このとき半導体膜112及び絶縁膜102と共に絶縁膜106も除去してしまうのが好ましい。
半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域の除去は、フォトリソグラフィ法とエッチングを用いて行うのが好ましい。まず、図3(A)に示すように、半導体膜112上にレジストマスク114を形成する。半導体膜112の周辺領域を除去できるように、レジストマスク114の形状は、半導体膜112の形状と同様で、最外縁が半導体膜112の内側になるようにする。レジストマスク114は、該レジストマスク114の最外縁が半導体膜112の最外縁から1mm乃至10mm内側になるように形成するのが好ましい。例えば、該レジストマスク114の最外縁が半導体膜112の最外縁から6mm程内側になるようにレジストマスク114を形成するとよい。このとき、周辺露光装置を用いると、容易にレジストマスク114の形状を、半導体膜112の形状と同じで、最外縁が半導体膜112の内側になるように形成することが可能である。
矩形状のボンド基板100を用いた場合、レジストマスク114の形状を、図8(A)に示すような、半導体膜112の形状と同じで、最外縁が半導体膜112の内側になるような矩形状にして、周辺領域除去を行って、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106を最外縁が周辺領域除去前の半導体膜112の内側になるような矩形状に形成しても良い。また、レジストマスク114の形状を、図8(C)に示すような4隅の角をとって丸みを持たせた矩形状にして、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106を同様の形状にしても良い。
次に、レジストマスク114を用いて、図3(B)に示すように、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域をエッチングによって除去する。このとき、平面形状は図8(B)に示すようになる。エッチングとしては、ドライエッチングまたはウェットエッチングを行うことができるが、ガラス基板108がエッチングされないようにするのが好ましい。フッ素系ガス、塩素系ガスなどを用いたドライエッチングによって、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106を除去するのがより好ましい。
半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域のエッチングとしては、例えば、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置を用いて、平行平板のバイアスパワーを150W、チャンバー内圧力800mTorr、エッチングガスにフッ素系ガスを用い、ガス流量をSF6:He=28sccm:12sccmとして、半導体膜112を110秒間程度エッチングする。次に、平行平板のバイアスパワーを300W、チャンバー内圧力200mTorr、エッチングガスにフッ素系ガスを用い、ガス流量をSF6:He=20sccm:20sccmとして、絶縁膜102および絶縁膜106を2分間エッチングする。
レジストマスク114を用いて、上記エッチング処理を行うことによって、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106を上記のレジストマスク114と同様の形状に形成し、ガラス基板108の一部を露出させる。このとき、エッチングを行う、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域としては、絶縁膜106の最外縁から、除去する以前の半導体膜112の最外縁の1mm乃至10mm内側までの帯状の領域が好ましい。例えば、絶縁膜106の最外縁から、周辺領域を除去する以前の半導体膜112の最外縁の6mm程度内側までエッチングするとよい。ここで、半導体膜112を形成する際に露出された絶縁膜106についても、上記エッチング処理によって除去し、ガラス基板108の一部を露出させるのが好ましい。また、絶縁膜106を形成していない場合には、半導体膜112及び絶縁膜102の周辺領域として、半導体膜112の最外縁から、除去する以前の半導体膜112の最外縁の1mm乃至10mm内側までの帯状の領域をエッチングするのが好ましい。
このように、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域を除去することによって、半導体膜112及び絶縁膜102の絶縁膜106との結合力が弱い領域が除去されることになる。これにより、該半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がガラス基板108上に形成されたSOI基板は、TFT形成においてゲート電極形成に用いる導電膜を成膜する際に、導電膜の加える応力によって、該半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がはがれる危険性が低減される。よって、半導体装置の作製途中で半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がはがれて歩留まりが低下する危険性を低減し、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができるようになる。
次に図3(C)に示すように、半導体膜112の表面を研磨等により平坦化しても良い。平坦化を行うことで、半導体膜と後に形成されるゲート絶縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に研磨はCMPまたは液体ジェット研磨などによって行うことができる。半導体膜112の厚さは、上記平坦化により薄膜化される。
また研磨ではなく、半導体膜112の表面をエッチングすることでも、半導体膜112の表面を平坦化することができる。エッチングには、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング法、平行平板型(容量結合型)エッチング法、マグネトロンプラズマエッチング法、2周波プラズマエッチング法またはヘリコン波プラズマエッチング法等のドライエッチング法を用いれば良い。
上記エッチングにより、後に形成される半導体素子にとって最適となる膜厚まで半導体膜112を薄膜化できるのみならず、半導体膜112の表面を平坦化することができる。
なお、ガラス基板108上に形成された半導体膜112は、脆化層104における分離、および脆化層104の形成によって、結晶欠陥が形成されている。また、その表面は平坦性が損なわれている。結晶欠陥の低減及び平坦性向上のために、半導体膜112にレーザ光を照射しても良い。
なお、レーザ光を照射する前に、ドライエッチングにより半導体膜112の表面を平坦化している場合、ドライエッチングにより半導体膜112の表面付近で結晶欠陥などの損傷が生じていることがある。しかし上記レーザ光の照射により、ドライエッチングにより生じる損傷をも補修することが可能である。
このレーザ光の照射工程では、ガラス基板108の温度上昇が抑えられるため、ガラス基板のような耐熱性の低い基板をガラス基板108に用いることが可能になる。レーザ光の照射によって半導体膜112は部分溶融させることが好ましい。完全溶融させると、液相となった半導体膜112での無秩序な核発生により、半導体膜112が再結晶化することとなり、半導体膜112の結晶性が低下するからである。部分溶融させることで、半導体膜112では、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する、いわゆる縦成長が起こる。縦成長による再結晶化によって、半導体膜112の結晶欠陥が減少され、結晶性が回復される。なお、半導体膜112が完全溶融状態であるとは、半導体膜112が絶縁膜102との界面まで溶融され、液体状態になっていることをいう。また、半導体膜112が部分溶融状態であるとは、上層が溶融して液相であり、下層が固相である状態をいう。
次にレーザ光を照射した後に、半導体膜112の表面をエッチングしても良い。レーザ光の照射後に半導体膜112の表面をエッチングする場合は、必ずしもレーザ光の照射を行う前に半導体膜112の表面をエッチングする必要はない。また、レーザ光の照射を行う前に半導体膜112の表面をエッチングした場合は、必ずしもレーザ光の照射後に半導体膜112の表面をエッチングする必要はない。また本実施の形態では、レーザ光の照射前と照射後の両方のタイミングでエッチングを行っても良い。
上記エッチングにより、後に形成される半導体素子にとって最適となる膜厚まで半導体膜112を薄膜化できるのみならず、半導体膜112の表面を平坦化することができる。
レーザ光を照射した後、半導体膜112に500℃以上700℃以下の加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理によって、レーザ光の照射で回復されなかった、半導体膜112の欠陥の消滅、半導体膜112の歪みの緩和をすることができる。この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。例えば、抵抗加熱炉を用いた場合は、600℃で4時間程度加熱するとよい。
このようにして、本発明の一態様に係る半導体装置の作製に用いられるSOI基板を作製することができる。
続いて、上記のSOI基板を用いて本発明の一態様に係る半導体装置を作製する。図4乃至図6の図面を参照して、nチャネル型電界効果トランジスタ、およびpチャネル型電界効果トランジスタを作製する方法を説明する。複数の薄膜トランジスタ(TFT)を組み合わせることで、各種の半導体装置を形成することができる。
まず、半導体膜112に、nチャネル型電界効果トランジスタ及びpチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に合わせて、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型不純物元素を添加することが好ましい。例えば、nチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に対応してp型不純物元素を添加し、pチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に対応してn型不純物元素を添加して、所謂ウェル領域を形成する。不純物イオンのドーズ量は1×1012ions/cm2乃至1×1014ions/cm2程度で行えばよい。さらに、電界効果トランジスタのしきい値電圧を制御する場合には、これらのウェル領域にn型不純物元素若しくはp型不純物元素を添加すればよい。
次に、エッチングにより、半導体膜112を素子分離して、図4(A)に示すように半導体膜116及び半導体膜118を形成する。本実施の形態において、半導体膜116はnチャネル型のTFTを構成し、半導体膜118はpチャネル型のTFTを構成する。
次に図4(B)に示すように、半導体膜116、半導体膜118、絶縁膜102及びガラス基板108を覆うようにゲート絶縁膜120を形成する。ゲート絶縁膜120は、プラズマCVD法を用いて、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル等を含む絶縁膜を、単層構造又は積層構造で形成することにより形成するのが好ましい。
プラズマCVD法以外の作製方法としては、スパッタリング法や、高密度プラズマ処理による半導体膜116及び半導体膜118の酸化または窒化による方法が挙げられる。高密度プラズマ処理は、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(亜酸化窒素を含む)、アンモニア、窒素、水素などのガスの混合ガスを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体層の表面を酸化または窒化することにより、1nm以上20nm以下、好ましくは2nm以上10nm以下の絶縁層を半導体層に接するように形成する。なお、高密度プラズマ処理による半導体膜116及び半導体膜118の酸化または窒化によってゲート絶縁膜120を形成した場合、ゲート絶縁膜120は図4(B)とは異なり、半導体膜116及び半導体膜118のみを覆うように形成される。
上述した高密度プラズマ処理による半導体層の酸化または窒化は固相反応であるため、ゲート絶縁膜120と半導体膜116及び半導体膜118との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、高密度プラズマ処理により半導体層を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁層の厚さのばらつきを抑えることが出来る。また、半導体層が結晶性を有するため、高密度プラズマ処理を用いて半導体層の表面を固相反応で酸化させる場合であっても、結晶粒界における不均一な酸化を抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁層を形成することができる。このように、高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜をトランジスタのゲート絶縁膜の一部または全部に用いることで、特性のばらつきを抑制することができる。
プラズマ処理による絶縁膜の作製方法のより具体的な一例について説明する。亜酸化窒素(N2O)を、アルゴン(Ar)を用いて1倍以上3倍以下(流量比)に希釈し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して、半導体膜116及び半導体膜118の表面を酸化または窒化させる。この処理により1nm以上10nm以下(好ましくは2nm以上6nm以下)のゲート絶縁膜120の下層を形成する。さらに、亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成し、ゲート絶縁膜120の上層とする。このように、固相反応と気相成長法を組み合わせてゲート絶縁膜120を形成することにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁膜120を形成することができる。なお、この場合においてゲート絶縁膜120は2層構造となる。
或いは、半導体膜116及び半導体膜118を熱酸化させることで、ゲート絶縁膜120を形成するようにしても良い。このような熱酸化を用いる場合には、耐熱性の比較的高いベース基板を用いることが好ましい。なお、半導体膜116及び半導体膜118の熱酸化によってゲート絶縁膜120を形成した場合、ゲート絶縁膜120は図4(B)とは異なり、半導体膜116及び半導体膜118のみを覆うように形成される。
なお、ゲート絶縁膜120は半導体層との界面を形成するため、酸化シリコン膜若しくは酸化窒化シリコン膜が界面となるように形成することが好ましい。これは、窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜のように酸素よりも窒素の含有量が多い膜を形成すると、トラップ準位が形成され界面特性が問題となる恐れがあるからである。
なお、水素を含むゲート絶縁膜120を形成し、その後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行うことで、ゲート絶縁膜120中に含まれる水素を半導体膜116及び半導体膜118中に拡散させるようにしても良い。この場合、ゲート絶縁膜120として、プラズマCVD法を用いた窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを用いることができる。なお、プロセス温度は350℃以下とすると良い。このように、半導体膜116及び半導体膜118に水素を供給することで、半導体膜116中、半導体膜118中、ゲート絶縁膜120と半導体膜116の界面及びゲート絶縁膜120と半導体膜118の界面における欠陥を効果的に低減することができる。
次に、図4(C)に示すように、ゲート絶縁膜120を覆うように第1の導電膜122を成膜し、さらに第1の導電膜122を覆うように第2の導電膜124を成膜し、2層構造の積層導電膜125を形成する。第1の導電膜122及び第2の導電膜124はゲート電極を構成する2層構造の積層導電膜である。ここで、第1の導電膜122は、圧縮応力を有し、第2の導電膜124は同程度の大きさの引っ張り応力を有することが好ましい。また、第1の導電膜122は、引っ張り応力を有し、第2の導電膜124は同程度の大きさの圧縮応力を有していてもよい。第1の導電膜122の上に第2の導電膜124が形成された2層構造の積層導電膜125の有する応力の大きさが0.1GPa以下であることが好ましい。
上述したように、第1の導電膜122及び第2の導電膜124の下に形成される半導体膜116、半導体膜118、絶縁膜102及び絶縁膜106には、第1の導電膜122及び第2の導電膜124から応力を加えられる。絶縁膜106との結合力が弱い、半導体膜116及び半導体膜118の元となる半導体膜112、絶縁膜102の周辺領域は、上述の工程において除去した。しかし、第1の導電膜122と第2の導電膜124の2層構造の積層導電膜125が加える応力が大きい場合、それだけでは積層導電膜125、半導体膜116、半導体膜118及び絶縁膜102がはがれる危険性がある。
そこで、第1の導電膜122の上に第2の導電膜124が形成された2層構造の積層導電膜125が加える応力を0.1GPa以下の低応力に抑えることが好ましい。そのため、本実施の形態では、第1の導電膜122が圧縮応力を有し、第2の導電膜124が引っ張り応力を有するようにして、第1の導電膜122が有する応力を第2の導電膜124が有する応力によって緩和して、2層構造の積層導電膜125を低応力にする。なお、本明細書で低応力とは、応力の絶対値の大きさが0に近い応力、具体的には、応力の絶対値の大きさが0.1GPa以下の応力を指す。また、加えられる応力が無い状態を応力0GPaとするのに対して、引っ張り応力の大きさはプラスの符号を付けて表し、圧縮応力の大きさはマイナスを付けて表すものとする。
第1の導電膜122及び第2の導電膜124から成る2層構造の積層導電膜125を低応力で成膜する条件について説明する。第1の導電膜122及び第2の導電膜124をスパッタリング法で形成する場合、成膜時の電力又は圧力を調整することにより、第1の導電膜122と第2の導電膜124の2層構造の積層導電膜125の応力を調整することができる。一般に、圧力を高くし、電力を低くすることで、応力を引っ張り応力の方向に大きくすることができ、圧力を低くし、電力を高くすることによって、応力を圧縮応力の方向に大きくすることができる。よって、第1の導電膜122が圧縮応力を有している場合には、第2の導電膜124を高圧力、低電力の条件で成膜することによって、第1の導電膜122と第2の導電膜124からなる2層構造の積層導電膜125を低応力で成膜することができる。ただし、この成膜条件は、成膜する導電膜の材質、導電膜の膜厚、成膜される基板の材質、基板温度などに依存するため、必ずしも上述の条件が成り立つとは限らない。
例えば、第1の導電膜122として窒化タンタル膜を、第2の導電膜124としてタングステン膜を用いて、低応力の積層導電膜125を形成する場合には、以下のような条件でスパッタリングを行う。まず、タンタルをターゲットとして、成膜電力1kW、成膜圧力0.6Pa、ガス流量Ar(アルゴン):N2(窒素)=50sccm:10sccmの条件で膜厚30nmの窒化タンタル膜を成膜する。ここで、上記条件で成膜した窒化タンタル膜は圧縮応力を有しているので、タングステン膜は引っ張り応力を有するように形成する。タングステンをターゲットとして、成膜電力4kW、成膜圧力2.0Pa、基板温度230℃、アルゴンのガス流量100sccmの条件で膜厚370nmのタングステン膜を成膜する。上記条件で成膜されたタングステン膜は、引っ張り応力を有するので、窒化タンタル膜の有する圧縮応力を緩和し、低応力の積層導電膜125を形成することができる。
第1の導電膜122及び第2の導電膜124には、タングステン、タンタル、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、或いはニオブ等から選択された元素、前述の元素を含む合金材料、前述の元素を含む化合物材料、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料などの導電材料を用いることができる。その際、第1の導電膜122の応力を、第2の導電膜124の応力が緩和するように、導電材料及びその成膜条件を適宜選択してやればよい。以上の導電材料をスパッタリング法やCVD法により、積層構造で形成する。導電膜の積層構造は、2層に限られるものではなく、3層以上の構造としても良い。本実施の形態では、ゲート電極を形成する積層導電膜125を、第1の導電膜122及び第2の導電膜124の2層構造で形成する。
本実施の形態のように、第1の導電膜122及び第2の導電膜124の2層の積層構造でゲート電極を形成する場合は、例えば、窒化タンタル層とタングステン層、窒化チタン層とタングステン層、窒化モリブデン層とモリブデン層などの積層構造を形成することができる。窒化タンタル層とタングステン層との積層構造を形成すると、両者のエッチングレートに差がつけやすく、エッチングの選択比を高くできるため好ましい。なお、例示した2層の積層導電膜125において、先に記載した層(例えば窒化タンタル層)をゲート絶縁膜120上に接して形成することが好ましい。例えば、第1の導電膜122を20nm乃至100nmの厚さで形成し、第2の導電膜124を100nm乃至400nmの厚さで形成する。
このように、ゲート電極を形成する導電膜を第1の導電膜122及び第2の導電膜124からなる積層導電膜125とし、第1の導電膜の有する応力を第2の導電膜の有する応力によって緩和することができる。これにより、第1の導電膜122及び第2の導電膜124の下層に形成される半導体膜116、半導体膜118及び絶縁膜102が、積層導電膜125の加える応力によってはがれる危険性が低減される。また、積層導電膜125が自身の有する応力によって、はがれる危険性も低減される。さらに、上述したように、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域を除去しておくことによって、半導体膜112及び絶縁膜102の絶縁膜106との結合力が弱い領域が除去されるので、半導体膜116、半導体膜118及び絶縁膜102が、積層導電膜125の応力によってはがれる危険性が著しく低減される。よって、半導体装置の作製途中で積層導電膜125、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がはがれて歩留まりが低下することを防止し、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
次に、第2の導電膜124の上にレジストマスク126及びレジストマスク128を選択的に形成する。それから、レジストマスク126及びレジストマスク128を用いて第1の導電膜122及び第2の導電膜124に第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理を行う。
まず、図4(D)に示すように、レジストマスク126及びレジストマスク128を用いた第1のエッチング処理により第1の導電膜122、第2の導電膜124を選択的にエッチングして、半導体膜116上に第1の導電膜130および第2の導電膜134を、半導体膜118上に第1の導電膜132及び第2の導電膜136を形成する。第1のエッチング処理では、第1の導電膜130、132および第2の導電膜134、136がテーパー(傾斜)を有する形状となるようにする。
次に、図5(A)に示すように、レジストマスク126及びレジストマスク128を用いた第2のエッチング処理により第2の導電膜134、136を選択的にエッチングして、半導体膜116上に第2の導電膜138を、半導体膜118上に第2の導電膜140を形成する。第2のエッチング処理では、異方性エッチングを行うことによって、第2の導電膜138、140のテーパーが垂直に近い形状となるようにする。なお、第2の導電膜138は第1の導電膜130よりも幅が小さくなるように形成する。同様に、第2の導電膜140は、第1の導電膜132よりも幅が小さくなるように形成する。ここで幅とは、キャリアがチャネル形成領域を流れる方向(ソース領域とドレイン領域を結ぶ方向)に平行な方向の長さのことを指す。このようにして、第1の導電膜130及び第2の導電膜138からなる2層構造のゲート電極142、並びに第1の導電膜132及び第2の導電膜140からなる2層構造のゲート電極144を形成する。
第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理に適用するエッチング法は適宜選択すればよいが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)方式やICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)方式などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いるとエッチング速度を向上できるため好ましい。第1のエッチング処理および第2のエッチング処理のエッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することで、第1の導電膜130、132、及び第2の導電膜138、140の側面を所望のテーパー形状とすることができる。所望のゲート電極142、144を形成した後、レジストマスク126、128は除去すればよい。
次に、図5(B)に示すように、半導体膜116を覆うようにレジストマスク146を選択的に形成する。そして、レジストマスク146をマスクとして、半導体膜118にp型不純物元素148を添加する。半導体膜118には、上方に形成された第1の導電膜132および第2の導電膜140がマスクとなって、自己整合的に一対の高濃度不純物領域150と、一対の低濃度不純物領域152と、チャネル形成領域154が形成される。
ここでは、半導体膜118にpチャネル型電界効果トランジスタを形成するため、p型不純物元素148としては、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素を添加する。ここでは、pチャネル型電界効果トランジスタを形成するため、p型不純物元素148として硼素を添加する。また、高濃度不純物領域150に、1×1020atoms/cm3乃至5×1021atoms/cm3程度の濃度で硼素が含まれるようにする。高濃度不純物領域150は、ソース領域又はドレイン領域として機能する。
半導体膜118において、第1の導電膜132と重ならない領域に高濃度不純物領域150が形成され、第1の導電膜132と重なり、第2の導電膜140と重ならない領域に低濃度不純物領域152が形成され、第2の導電膜140と重なる領域にチャネル形成領域154が形成される。低濃度不純物領域152は、高濃度不純物領域150よりも低不純物濃度となる。
レジストマスク146を除去した後、図5(C)に示すように、半導体膜118を覆うようにレジストマスク156を選択的に形成する。そして、レジストマスク156をマスクとして、半導体膜116にn型不純物元素158を添加する。半導体膜116には、上方に形成された第1の導電膜130および第2の導電膜138がマスクとなって、自己整合的に一対の高濃度不純物領域160と、一対の低濃度不純物領域162と、チャネル形成領域164が形成される。
ここでは、半導体膜116にnチャネル型電界効果トランジスタを形成するため、n型不純物元素158としてリン、砒素などのn型不純物元素を添加する。例えばn型不純物元素158としてリンを添加し、高濃度不純物領域160に5×1019atoms/cm3乃至5×1020atoms/cm3程度の濃度でリンが含まれるようにする。高濃度不純物領域160は、ソース領域又はドレイン領域として機能する。
半導体膜116において、第1の導電膜130と重ならない領域に高濃度不純物領域160が形成され、第1の導電膜130と重なり第2の導電膜138と重ならない領域に低濃度不純物領域162が形成され、第2の導電膜138と重なる領域にチャネル形成領域164が形成される。低濃度不純物領域162は、高濃度不純物領域160よりも低不純物濃度となる。
なお、半導体膜118に高濃度不純物領域150、低濃度不純物領域152、チャネル形成領域154を形成し、半導体膜116に高濃度不純物領域160、低濃度不純物領域162、チャネル形成領域164を形成する順序などは本実施の形態に限られるものでなく、適宜変更することができる。また、半導体膜116、118に不純物領域(高濃度不純物領域150、低濃度不純物領域152、高濃度不純物領域160及び低濃度不純物領域162)形成後は、熱処理やレーザビームの照射などを適宜行うことにより、活性化(低抵抗化)するのが好ましい。
次に、図6(A)に示すように、ゲート電極142、ゲート電極144、およびゲート絶縁膜120上を覆う絶縁膜166を形成する。絶縁膜166は、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、又は窒化シリコン膜などを形成する。例えば、絶縁膜166として、プラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。次に、400℃以上支持ガラス基板108の歪み点温度以下で熱処理を行うことで、不純物領域(高濃度不純物領域150、低濃度不純物領域152、高濃度不純物領域160及び低濃度不純物領域162)の活性化を行うことができる。例えば、窒素雰囲気下で480℃、1時間の熱処理を行う。絶縁膜166を形成した後に熱処理を行うことで、該熱処理によるゲート電極の酸化を防ぐことができる。なお、熱処理の際に雰囲気を制御することで、絶縁膜166を形成しなくともゲート電極の酸化を防ぐこともできる。
次に、図6(B)に示すように、絶縁膜166上に、第1の層間絶縁膜168および第2の層間絶縁膜170を形成する。第1の層間絶縁膜168、第2の層間絶縁膜170としては、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化シリコン層、又は窒化酸化シリコン層等を形成することができる。また、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル若しくはエポキシ等の有機材料、シロキサン樹脂等のシロキサン材料、又はオキサゾール樹脂などを用いて、スピンコート法などの塗布法により形成することができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。
なお、ゲート電極142、144上層に形成される絶縁膜としては、水素を含有する絶縁膜を少なくとも1層形成し、熱処理を行うことにより、単結晶半導体膜に存在するダングリングボンドの水素終端化を図ることが好ましい。水素を含有する絶縁膜を形成した後、例えば350℃以上470℃以下、好ましくは400℃以上450℃以下の処理温度で熱処理を行うことで、絶縁膜に含有された水素が熱処理により熱的に励起して拡散され、絶縁膜を通過して単結晶半導体膜に到達する。そして、到達した水素により単結晶半導体膜に存在するダングリングボンドが水素終端される。半導体層、特にチャネル形成領域にダングリングボンドが存在すると、完成するトランジスタの電気的特性に悪影響を与えかねないため、本実施の形態のように水素終端化を行うことは効果的である。水素終端化を行うことで、ゲート絶縁膜と単結晶半導体膜との界面特性の改善を図ることができる。
水素を含有する絶縁膜は、プラズマCVD法により、水素を含む成膜用のプロセスガスを用いることで形成することができる。また、水素を含有する絶縁膜を形成しなくとも、水素を含む雰囲気中で熱処理を行うことにより、単結晶半導体膜の水素終端化を行うこともできる。例えば、第1の層間絶縁膜168として水素を含有する絶縁膜を形成し、その上層に第2の層間絶縁膜170を形成した後、水素終端する熱処理を行う。この場合、第2の層間絶縁膜170は、第1の層間絶縁膜168に含まれる水素が脱水素化しない成膜条件で成膜する。
例えば、プラズマCVD法により、第1の層間絶縁膜168である窒化酸化シリコン膜(膜厚300nm)と第2の層間絶縁膜170である酸化窒化シリコン膜(膜厚450nm)とを連続成膜する。窒化酸化シリコン膜は成膜用のプロセスガスとしてモノシラン、アンモニア、水素および酸化窒素を用いる。酸化窒化シリコン膜は成膜用のプロセスガスとしてモノシランと酸化窒素を用いる。また、処理温度は200℃乃至300℃程度とすることで、窒化酸化シリコン膜に含有される水素を脱水素化することなく、絶縁膜を形成できる。そして、第2の層間絶縁膜170を形成した後、窒素雰囲気下で410℃1時間の熱処理を行うことにより、単結晶半導体膜の水素終端化を行う。
次に、図6(C)に示すように、第2の層間絶縁膜170、第1の層間絶縁膜168、絶縁膜166およびゲート絶縁膜120にコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールを埋めるように配線172、配線174を形成する。ここでは、一対の高濃度不純物領域160それぞれに達する一対のコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールを通じて高濃度不純物領域160に達する一対の配線172を形成する。同時に、一対の高濃度不純物領域150それぞれに達する一対のコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールを通じて高濃度不純物領域150に達する一対の配線174を形成する。配線172、配線174は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。配線172は高濃度不純物領域160と電気的に接続する。配線174は、高濃度不純物領域150と電気的に接続する。
配線172、配線174は、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、ネオジム、或いは銅等から選択された元素、前述の元素を含有する合金材料、又は前述の元素を含有する化合物材料を用いて形成する。前述の元素を含有する合金材料としては、例えば、チタンを含有したアルミニウム合金、ネオジムを含有したアルミニウム合金、シリコンを含有するアルミニウム合金(アルミニウムシリコンとも言われる)などが挙げられる。また、上記元素を含有する化合物としては、窒化タングステン、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒化物が挙げられる。配線172、配線174は、上述の材料を用いてスパッタリング法やCVD法により全面に形成した後、選択的にエッチングして所望の形状に加工すればよい。また、配線172、配線174は、単層構造又は2層以上の積層構造で形成することができる。例えば、チタン層、窒化チタン層、アルミニウム層およびチタン層を順に積層した構造とすることができる。アルミニウム層をチタン層で挟む構成とすることで、耐熱性を向上させることができる。また、チタン層とアルミニウム層との間に形成する窒化チタン層はバリア層として機能できる。
以上の工程により、単結晶半導体膜を有するSOI基板を用いてnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを有する半導体装置を作製することができる。
本実施の形態に示すように、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域を除去し、ゲート電極142及びゲート電極144を形成する導電膜を、圧縮応力を有する第1の導電膜122及び引っ張り応力を有する第2の導電膜124からなる積層導電膜125とすることによって、積層導電膜125の加える応力によって、積層導電膜125、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の剥離を防止でき、はがれた導電膜、絶縁膜及び半導体膜のパーティクルを原因とする配線パターン形成の阻害を防ぐことができる。よって、半導体装置の作製途中で半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がはがれて歩留まりが低下する危険性を低減し、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができるようになる。
また、配線172および配線174を電気的に接続させることでnチャネル型電界効果トランジスタとpチャネル型電界効果トランジスタを電気的に接続させ、CMOSトランジスタとすることもできる。
なお本発明の一態様は、本実施の形態で説明したトランジスタを複数組み合わせて、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路や、質問器とデータの送受信が非接触でできるRFタグ、半導体表示装置等、各種機能を有する半導体装置の作製に用いることができる。半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の半導体表示装置がその範疇に含まれる。また、本実施の形態で示したトランジスタの構造は一例であり、図示した構造に限定されるものではない。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、サイドウォールを形成することによって、半導体膜中に高濃度不純物領域、低濃度不純物及びチャネル形成領域を形成する半導体装置の製造方法について図7を参照して説明する。
まず、実施の形態1と同様の方法で、図4(C)に示されるように、ガラス基板108上に、絶縁膜106、絶縁膜102、半導体膜116及び半導体膜118を形成し、さらにその上をゲート絶縁膜120、第1の導電膜122、第2の導電膜124で覆う。
次に、第2の導電膜124の上にレジストマスク126及びレジストマスク128を選択的に形成する。それから、レジストマスク126及びレジストマスク128を用いて第1の導電膜122及び第2の導電膜124にエッチング処理を行う。これにより、図7(A)に示すように、半導体膜116上に第1の導電膜200と第2の導電膜204から成る2層構造のゲート電極208と、半導体膜118上に第1の導電膜202と第2の導電膜206から成る2層構造のゲート電極210を形成する。このとき、実施の形態1とは異なり、ゲート電極208及びゲート電極210にテーパー形状を設けない方が好ましい。
次に図7(B)に示すように、ゲート電極208及びゲート電極210をマスクとして一導電型を付与する不純物元素を半導体膜116及び半導体膜118に添加する。ここでは、半導体膜118にpチャネル型電界効果トランジスタを形成するため、p型不純物元素として、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物元素を添加する。そして、半導体膜116にnチャネル型電界効果トランジスタを形成するため、n型不純物元素として、リン、砒素などのn型不純物元素を添加する。なお、p型を付与する不純物元素を半導体膜118に添加する際、n型の不純物元素が添加される半導体膜116はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、n型を付与する不純物元素を半導体膜116に添加する際、p型の不純物元素が添加される半導体膜118はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。或いは、先に半導体膜116及び半導体膜118にp型もしくはn型のいずれか一方を付与する不純物元素を添加した後、一方の半導体膜のみに選択的により高い濃度でp型もしくはn型のうちの他方を付与する不純物元素のいずれか一方を添加するようにしても良い。上記不純物元素の添加により、自己整合的に、半導体膜116に低濃度不純物領域212、チャネル形成領域214が、半導体膜118に低濃度不純物領域216、チャネル形成領域218が形成される。
次に、図7(C)に示すように、ゲート電極208の側面にサイドウォール220及びゲート電極210の側面にサイドウォール222を形成する。サイドウォール220及びサイドウォール222は、例えば、ゲート絶縁膜120及びゲート電極208及びゲート電極210を覆うように新たに絶縁膜を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、新たに形成された該絶縁膜を部分的にエッチングすることで、形成することが出来る。上記異方性エッチングにより、新たに形成された絶縁膜が部分的にエッチングされて、ゲート電極208の側面にサイドウォール220が、ゲート電極210の側面にサイドウォール222が形成される。なお上記異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜120を部分的にエッチングしても良い。サイドウォール220及びサイドウォール222を形成するための絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層または積層して形成することができる。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化シリコン膜をプラズマCVD法によって形成する。またエッチングガスとしては、CHF3とヘリウムの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール220及びサイドウォール222を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次に図7(D)に示すように、ゲート電極208、ゲート電極210、サイドウォール220及びサイドウォール222をマスクとして、半導体膜116、半導体膜118に一導電型を付与する不純物元素を添加する。なお、半導体膜116、半導体膜118には、それぞれ先の工程で添加した不純物元素と同じ導電型の不純物元素をより高い濃度で添加する。なお、p型を付与する不純物元素を半導体膜118に添加する際、n型の不純物元素が添加される半導体膜116はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、n型を付与する不純物元素を半導体膜116に添加する際、p型の不純物元素が添加される半導体膜118はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。
上記不純物元素の添加により、半導体膜116に、一対の高濃度不純物領域224と、一対の低濃度不純物領域226と、チャネル形成領域228とが自己整合的に形成される。また上記不純物元素の添加により、半導体膜118に、一対の高濃度不純物領域230と、一対の低濃度不純物領域232と、チャネル形成領域234とが自己整合的に形成される。高濃度不純物領域224、230はソース領域又はドレイン領域として機能し、低濃度不純物領域226、232はLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。
実施の形態1と同様に、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の周辺領域を除去し、ゲート電極208及びゲート電極210を形成する導電膜を、圧縮応力を有する第1の導電膜122及び引っ張り応力を有する第2の導電膜124からなる積層導電膜125としているので、積層導電膜125の加える応力によって、積層導電膜125、半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106の剥離を防止でき、はがれた導電膜、絶縁膜及び半導体膜のパーティクルを原因とする配線パターン形成の阻害を防ぐことができる。よって、半導体装置の作製途中で半導体膜112、絶縁膜102及び絶縁膜106がはがれて歩留まりが低下する危険性を低減し、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができるようになる。
以降の工程については、実施の形態1を参照することで半導体装置を作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用して作製した半導体装置の具体的な態様について、図9及び図10を参照しながら、説明する。
まず、半導体装置の一例として、マイクロプロセッサについて説明する。図9はマイクロプロセッサ500の構成例を示すブロック図である。
マイクロプロセッサ500は、演算回路501(Arithmetic logic unit。ALUともいう。)、演算回路制御部502(ALU Controller)、命令解析部503(Instruction Decoder)、割り込み制御部504(Interrupt Controller)、タイミング制御部505(Timing Controller)、レジスタ506(Register)、レジスタ制御部507(Register Controller)、バスインターフェース508(Bus I/F)、読み出し専用メモリ(ROM)509、およびROMインターフェース510を有している。
バスインターフェース508を介してマイクロプロセッサ500に入力された命令は、命令解析部503に入力され、デコードされた後、演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505に入力される。演算回路制御部502、割り込み制御部504、レジスタ制御部507、タイミング制御部505は、デコードされた命令に基づき様々な制御を行う。
演算回路制御部502は、演算回路501の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部504は、マイクロプロセッサ500のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を処理する回路であり、割り込み制御部504は、割り込み要求の優先度やマスク状態を判断して、割り込み要求を処理する。レジスタ制御部507は、レジスタ506のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ500の状態に応じてレジスタ506の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部505は、演算回路501、演算回路制御部502、命令解析部503、割り込み制御部504、およびレジスタ制御部507の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば、タイミング制御部505は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えている。図9に示すように、内部クロック信号CLK2は他の回路に入力される。
次に、非接触でデータの送受信を行う機能、および演算機能を備えた半導体装置の一例を説明する。図10は、このような半導体装置の構成例を示すブロック図である。図10に示す半導体装置は、無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作するコンピュータ(以下、「RFCPU」という)と呼ぶことができる。
図10に示すように、RFCPU511は、アナログ回路部512とデジタル回路部513を有している。アナログ回路部512として、共振容量を有する共振回路514、整流回路515、定電圧回路516、リセット回路517、発振回路518、復調回路519、変調回路520及び電源管理回路530を有している。デジタル回路部513は、RFインターフェース521、制御レジスタ522、クロックコントローラ523、CPUインターフェース524、中央処理ユニット(CPU)525、ランダムアクセスメモリ(RAM)526、読み出し専用メモリ(ROM)527を有している。
RFCPU511の動作の概要は以下の通りである。アンテナ528が受信した信号は共振回路514により誘導起電力を生じる。誘導起電力は、整流回路515を経て容量部529に充電される。この容量部529はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部529は、RFCPU511を構成する基板に集積されている必要はなく、他の部品としてRFCPU511に組み込むこともできる。
リセット回路517は、デジタル回路部513をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路518は、定電圧回路516により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。復調回路519は、受信信号を復調する回路であり、変調回路520は、送信するデータを変調する回路である。
例えば、復調回路519はローパスフィルタで形成され、振幅変調(ASK)方式の受信信号を、その振幅の変動をもとに、二値化する。また、送信データを振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信するため、変調回路520は、共振回路514の共振点を変化させることで通信信号の振幅を変化させている。
クロックコントローラ523は、電源電圧または中央処理ユニット(CPU)525における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路530が行っている。
アンテナ528からRFCPU511に入力された信号は復調回路519で復調された後、RFインターフェース521で制御コマンドやデータなどに分解される。制御コマンドは制御レジスタ522に格納される。制御コマンドには、読み出し専用メモリ(ROM)527に記憶されているデータの読み出し、ランダムアクセスメモリ(RAM)526へのデータの書き込み、中央処理ユニット(CPU)525への演算命令などが含まれている。
中央処理ユニット(CPU)525は、CPUインターフェース524を介して読み出し専用メモリ(ROM)527、ランダムアクセスメモリ(RAM)526、制御レジスタ522にアクセスする。CPUインターフェース524は、中央処理ユニット(CPU)525が要求するアドレスより、読み出し専用メモリ(ROM)527、ランダムアクセスメモリ(RAM)526、制御レジスタ522のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
中央処理ユニット(CPU)525の演算方式は、読み出し専用メモリ(ROM)527にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、専用回路で演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の演算処理を行い、プログラムを使って、残りの演算を中央処理ユニット(CPU)525が処理する方式を適用できる。
本実施の形態のマイクロプロセッサ及びRFCPUに用いる半導体装置の作製過程で、ガラス基板上に形成した半導体膜及び絶縁膜の周辺領域を除去し、ゲート電極を形成する導電膜を低応力の積層導電膜としてやることによって、積層導電膜の有する応力によって半導体膜及び絶縁膜がはがれることを防止することができる。それによって、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができる。また、半導体装置の作製途中で半導体膜及び絶縁膜がはがれて歩留まりが低下することを防止することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置を適用して作製した表示装置について、図11及び図12を参照しながら、説明する。
まず、液晶表示装置について、図11を参照して説明する。図11(A)は液晶表示装置の画素の平面図であり、図11(B)は、J−K切断線による図11(A)の断面図である。
図11(A)に示すように、画素は、単結晶半導体膜320、単結晶半導体膜320と交差している走査線322、走査線322と交差している信号線323、画素電極324、画素電極324と単結晶半導体膜320を電気的に接続する電極328を有する。単結晶半導体膜320は、ガラス基板108上に設けられた単結晶半導体膜から形成された層であり、画素のTFT325を構成する。
SOI基板には上記実施の形態で示したSOI基板が用いられている。図11(B)に示すように、ガラス基板108上に、第2の絶縁膜106及び第1の絶縁膜102を介して単結晶半導体膜320が積層されている。TFT325の単結晶半導体膜320は、SOI基板の単結晶半導体膜をエッチングにより素子分離して形成された膜である。単結晶半導体膜320には、チャネル形成領域340、不純物元素が添加されたn型の高濃度不純物領域341が形成されている。TFT325のゲート電極は走査線322に含まれ、ソース電極およびドレイン電極の一方は信号線323に含まれている。
層間絶縁膜327上には、信号線323、画素電極324および電極328が設けられている。層間絶縁膜327上には、柱状スペーサ329が形成されている。信号線323、画素電極324、電極328および柱状スペーサ329を覆って配向膜330が形成されている。対向基板332には、対向電極333、対向電極を覆う配向膜334が形成されている。柱状スペーサ329は、ガラス基板108と対向基板332の隙間を維持するために形成される。柱状スペーサ329によって形成される隙間に液晶層335が形成されている。信号線323および電極328と高濃度不純物領域341との接続部は、コンタクトホールの形成によって層間絶縁膜327に段差が生じるので、この接続部では液晶層335の液晶の配向が乱れやすい。そのため、この段差部に柱状スペーサ329を形成して、液晶の配向の乱れを防ぐ。
次に、エレクトロルミネセンス表示装置(以下、EL表示装置という。)について図12を参照して説明する。図12(A)はEL表示装置の画素の平面図であり、図12(B)は、J−K切断線による図12(A)の断面図である。
図12(A)に示すように、画素は、TFTでなる選択用トランジスタ401、表示制御用トランジスタ402、走査線405、信号線406、および電流供給線407、画素電極408を含む。エレクトロルミネセンス材料を含んで形成される層(EL層)が一対の電極間に挟んだ構造の発光素子が各画素に設けられている。発光素子の一方の電極が画素電極408である。また、半導体膜403は、選択用トランジスタ401のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。半導体膜404は、表示制御用トランジスタ402のチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。半導体膜403、404は、ベース基板上に設けられた単結晶半導体膜から形成された層である。
選択用トランジスタ401において、ゲート電極は走査線405に含まれ、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線406に含まれ、他方は電極410として形成されている。表示制御用トランジスタ402は、ゲート電極412が電極411と電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の一方は、画素電極408に電気的に接続される電極413として形成され、他方は、電流供給線407に含まれている。
表示制御用トランジスタ402はpチャネル型のTFTである。図12(B)に示すように、半導体膜404には、チャネル形成領域451、およびp型の高濃度不純物領域452が形成されている。なお、SOI基板は、実施の形態で作製したSOI基板が用いられている。
表示制御用トランジスタ402のゲート電極412を覆って、層間絶縁膜427が形成されている。層間絶縁膜427上に、信号線406、電流供給線407、電極411、413などが形成されている。また、層間絶縁膜427上には、電極413に電気的に接続されている画素電極408が形成されている。画素電極408は周辺部が絶縁性の隔壁層428で囲まれている。画素電極408上にはEL層429が形成され、EL層429上には対向電極430が形成されている。補強板として対向基板431が設けられており、対向基板431は樹脂層432によりガラス基板108に固定されている。
EL表示装置の階調の制御は、発光素子の輝度を電流で制御する電流駆動方式と、電圧でその輝度を制御する電圧駆動方式とがあるが、電流駆動方式は、画素ごとでトランジスタの特性値の差が大きい場合、採用することは困難であり、そのためには特性のばらつきを補正する補正回路が必要になる。SOI基板の作製工程、およびゲッタリング工程を含む製造方法でEL表示装置を作製することで、選択用トランジスタ401および表示制御用トランジスタ402は画素ごとに特性のばらつきがなくなるため、電流駆動方式を採用することができる。
また、本実施の形態の半導体装置である、液晶表示装置及びEL表示装置に用いる半導体装置の作製過程で、ガラス基板上に形成した半導体膜及び絶縁膜の周辺領域を除去し、ゲート電極を形成する導電膜を低応力の積層導電膜としてやることによって、積層導電膜の有する応力によって半導体膜及び絶縁膜がはがれることを防止することができる。それによって、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができる。また、半導体装置の作製途中で半導体膜及び絶縁膜がはがれて歩留まりが低下することを防止することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置を適用して作製した電子機器について、図13及び図14を参照しながら、説明する。
SOI基板を用いることで、様々な電気機器を作製することができる。電気機器としては、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポなど)、コンピュータ、ノート型コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍など)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)などの記録媒体に記憶された音声データを再生し、かつ記憶された画像データを表示しうる表示装置を備えた装置)などが含まれる。それらの一例を図13、図14に示す。
図13は、携帯電話の一例であり、図13(A)が正面図、図13(B)が背面図、図13(C)が2つの筐体をスライドさせたときの正面図である。携帯電話700は、筐体701及び筐体702二つの筐体で構成されている。携帯電話700は、携帯電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
携帯電話700は、筐体701及び筐体702で構成されている。筐体701においては、表示部703、スピーカ704、マイクロフォン705、操作キー706、ポインティングデバイス707、表面カメラ用レンズ708、外部接続端子ジャック709及びイヤホン端子710等を備え、筐体702においては、キーボード711、外部メモリスロット712、裏面カメラ713、ライト714等により構成されている。また、アンテナは筐体701に内蔵されている。
また、携帯電話700には、上記の構成に加えて、非接触型ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
重なり合った筐体701と筐体702(図13(A)に示す。)は、スライドさせることが可能であり、スライドさせることで図13(C)のように展開する。表示部703には、上記実施の形態で説明した表示装置の作製方法を適用した表示パネル又は表示装置を組み込むことが可能である。表示部703と表面カメラ用レンズ708を同一の面に備えているため、テレビ電話としての使用が可能である。また、表示部703をファインダーとして用いることで、裏面カメラ713及びライト714で静止画及び動画の撮影が可能である。
スピーカ704及びマイクロフォン705を用いることで、携帯電話700は、音声記録装置(録音装置)又は音声再生装置として使用することができる。また、操作キー706により、電話の発着信操作、電子メール等の簡単な情報入力操作、表示部に表示する画面のスクロール操作、表示部に表示する情報の選択等を行うカーソルの移動操作等が可能である。
また、書類の作成、携帯情報端末としての使用等、取り扱う情報が多い場合は、キーボード711を用いると便利である。更に、重なり合った筐体701と筐体702(図13(A))をスライドさせることで、図13(C)のように展開させることができる。携帯情報端末として使用する場合には、キーボード711及びポインティングデバイス707を用いて、円滑な操作でマウスの操作が可能である。外部接続端子ジャック709はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット712に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動が可能になる。
筐体702の裏面(図13(B))には、裏面カメラ713及びライト714を備え、表示部703をファインダーとして静止画及び動画の撮影が可能である。
また、上記の機能構成に加えて、赤外線通信機能、USBポート、テレビワンセグ受信機能、非接触ICチップ又はイヤホンジャック等を備えたものであってもよい。
図14(A)は表示装置であり、筐体801、支持台802、表示部803、スピーカー部804、ビデオ入力端子805等を含む。なお、表示装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。
図14(B)はコンピュータであり、筐体812、表示部813、キーボード814、外部接続ポート815、マウス816等を含む。
図14(C)はビデオカメラであり、表示部822、外部接続ポート824、リモコン受信部825、受像部826、操作キー829等を含む。
本実施の形態にて説明した各種電子機器は、半導体装置の作製過程で、ガラス基板上に形成した半導体膜及び絶縁膜の周辺領域を除去し、ゲート電極を形成する導電膜を低応力の積層導電膜としてやることによって、積層導電膜の有する応力によって半導体膜及び絶縁膜がはがれることを防止することができる。それによって、十分使用に耐えうる信頼性の高い半導体装置を作製することができる。また、半導体装置の作製途中で半導体膜及び絶縁膜がはがれて歩留まりが低下することを防止することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
本実施例では、SOI基板上に窒化タンタル膜とタングステン膜の積層導電膜を形成した際の半導体膜及び絶縁膜の膜はがれについて、ガラス基板上の半導体膜と絶縁膜の周辺領域の除去条件及び積層導電膜の成膜条件を変化させて比較を行った。ガラス基板上の半導体膜及び絶縁膜の除去については、半導体膜のみ周辺領域を除去する条件(半導体膜除去条件)と半導体膜と絶縁膜の両方の周辺領域を除去する条件(半導体膜及び絶縁膜除去条件)の2種類の除去条件で行い、さらに、積層導電膜の成膜については、積層導電膜が応力を有する成膜条件(通常成膜条件)と積層導電膜の有する応力が低応力となる成膜条件(低応力成膜条件)の2種類の成膜条件で行った。つまり、基板A(半導体膜除去条件かつ通常成膜条件)、基板B(半導体膜除去条件かつ低応力成膜条件)、基板C(半導体膜及び絶縁膜除去条件かつ通常成膜条件)、基板D(半導体膜及び絶縁膜除去条件かつ低応力成膜条件)、の4種類の基板を作製し、ガラス基板の上面と絶縁膜の境界を光学顕微鏡で観察して、積層導電膜による半導体膜及び絶縁膜の膜はがれについて各基板で比較した。
ボンド基板としては角5インチの矩形状単結晶シリコン基板を用いた。まず、単結晶シリコン基板上に、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜の順番で、それぞれ50nmずつCVD法を用いて成膜し、絶縁膜を形成した。
次に、窒化酸化シリコン膜の表面からイオンドーピング装置を用いて単結晶シリコン基板に水素をイオン化して照射した。本実施例では、水素をイオン化して照射することによって、単結晶シリコン基板に脆化層を形成した。イオンドーピングは加速電圧を35kV、ドーズを2.2×1016ions/cm2として行った。
次に、TEOSガスを用いたCVD法によって、窒化酸化シリコン膜上に酸化シリコン膜を形成した。それから、単結晶シリコン基板を、該酸化シリコン膜を介してガラス基板に貼り合わせた。その後200℃で120分の熱処理を行い、さらに、600℃で120分の熱処理を行って、脆化層において単結晶シリコン基板を単結晶シリコン膜と残り部分である分離単結晶基板に分離した。このとき、単結晶シリコン膜の膜厚は115nm程度であった。以上より、ガラス基板上に酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜及び酸化窒化シリコン膜からなる絶縁膜を介して単結晶シリコン膜が形成されたSOI基板を作製した。
次に、フォトリソグラフィ法を用いて単結晶シリコン膜上にレジストマスクを形成した。レジストマスクの形状は、単結晶シリコン膜の形状と同じで、最外縁が単結晶シリコン膜の内側になるような形状とし、単結晶シリコン膜の最外縁とレジストマスクの最外縁の間の距離が6mmとなるようにした。
次に、単結晶シリコン膜にフッ素系ガスを用いて平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置でドライエッチングを施した。エッチング条件は、平行平板のバイアスパワー150W、チャンバー内圧力800mTorr、ガス流量SF6:He=28sccm:12sccm、エッチング時間110秒とした。さらに、基板Cと基板Dについては、絶縁膜にもドライエッチングを行った。エッチング条件は、平行平板のバイアスパワー350W、チャンバー内圧力200mTorr、ガス流量SF6:He=20sccm:20sccm、エッチング時間120秒とした。
次に、レジストマスクをO2アッシングにより除去した後、単結晶シリコン膜の全面にドライエッチングを施し、膜厚を95nm程度にした。それから、窒素雰囲気下において、単結晶シリコン膜にレーザ光を照射し、さらに、単結晶シリコン膜をエッチングして膜厚を60nmとした。
次に、単結晶シリコン膜をパターン形成し、形成された島状単結晶シリコン膜を覆うように、ゲート絶縁膜を形成した。ゲート絶縁膜として、CVD法を用いて酸化窒化シリコン膜を10nm程度の膜厚で形成した。
次に、ゲート電極を形成する導電膜として、下層が膜厚30nmの窒化タンタル膜で、上層が膜厚370nmのタングステン膜である積層導電膜を、スパッタ法を用いて成膜する。積層導電膜の成膜は、基板Aと基板Cは積層導電膜が応力を有する成膜条件(通常成膜条件)で行い、基板Bと基板Dは積層導電膜の有する応力が低応力となる成膜条件(低応力成膜条件)で行った。
通常成膜条件では、まず、タンタルをターゲットとして、成膜電力1kW、成膜圧力0.6Pa、ガス流量Ar(アルゴン):N2(窒素)=50sccm:10sccmの条件で膜厚30nmの窒化タンタル膜を成膜した。次に、タングステンをターゲットとして、成膜電力6kW、成膜圧力1.5Pa、基板温度230℃、アルゴンのガス流量100sccmの条件で膜厚370nmのタングステン膜を成膜した。通常成膜条件で成膜した窒化タンタルとタングステンの積層導電膜の応力を測定すると−0.98GPaとなった。また、通常成膜条件でタングステン膜のみを膜厚400nmで成膜し、応力を測定すると、−0.20GPaとなった。
低応力成膜条件では、窒化タンタル膜については、通常条件と同じように成膜する。この条件で成膜された窒化タンタル膜は圧縮応力を有するため、タングステン膜は圧縮応力を緩和する引っ張り応力を有するように成膜した。通常条件で成膜したタングステン膜より大きな引っ張り応力を有するように、低応力成膜条件では成膜電力を低くし、成膜圧力を高くした。よって、タングステンをターゲットとして、成膜電力4kW、成膜圧力2.0Pa、基板温度230℃、アルゴンのガス流量100sccmの条件で膜厚370nmのタングステン膜を成膜した。低応力成膜条件で成膜した窒化タンタルとタングステンの積層導電膜の応力を測定すると−0.09GPaとなった。また、低応力成膜条件でタングステン膜のみを膜厚400nmで成膜し、応力を測定すると、0.78GPaとなった。
よって、低応力成膜条件で成膜したタングステン膜は通常条件で成膜したタングステン膜より大きい引っ張り応力を有していることが分かる。そして、低応力成膜条件で成膜されたタングステン膜の引っ張り応力によって、窒化タンタル膜の圧縮応力が緩和され、低応力成膜条件で成膜された積層導電膜の応力が低応力となっていることが推測される。
図15(A)及び図15(B)は、基板Aのガラス基板と絶縁膜との境界の光学顕微鏡写真である。図15(A)は倍率50倍、図15(B)は倍率500倍である。写真の左側には、ガラス基板900が露出されており、写真の右側には絶縁膜902が形成されている。積層導電膜904は圧縮応力によってはがれており、特に図15(B)を見ると、積層導電膜904が圧縮応力によって浮き上がっているため、光学顕微鏡写真のピントがぼけている。また、図15(A)及び図15(B)から、絶縁膜902中にも円形に膜はがれが起きてガラス基板が露出している部分906が多々見受けられる。ガラス基板900と絶縁膜902の境界周辺部全域において、図15(A)及び図15(B)のような状態であり、積層導電膜904が一部はがれていた。
図16(A)及び図16(B)は、基板Bのガラス基板と絶縁膜との境界の光学顕微鏡写真である。図16(A)は倍率50倍、図16(B)は倍率500倍である。図15と同様に写真の左側には、ガラス基板910が露出されており、写真の右側には絶縁膜912が形成されている。しかし、積層導電膜は浮き上がることなく、密着性よくガラス基板及び下地絶縁膜上に形成されている。これは、図16(B)にピントのぼけた積層導電膜が写っていないことからも分かる。絶縁膜912中に小さく円形状に膜はがれを起こして、ガラス基板が露出している部分914はあるが、基板Aと比較するとその面積は狭い。また、ガラス基板910と絶縁膜912の境界周辺部全域においては、積層導電膜及び下地絶縁膜の膜はがれは見受けられるが、基板Aと比較すると、積層導電膜及び下地絶縁膜の膜はがれの面積は小さいものとなっている。
図17(A)は、基板Cのガラス基板と絶縁膜との境界の光学顕微鏡写真である。倍率は500倍である。写真の左側及び下側には、ガラス基板920が露出されており、写真の右上側には半導体膜922が形成されている。基板Aと同様に積層導電膜924が圧縮応力によって浮き上がっているが、はがれた積層導電膜924の大きさは基板Aと比較して小さく、はがれた積層導電膜924の間隔も大きいものとなっている。また、ガラス基板920と半導体膜922の境界周辺部全域においては、積層導電膜の膜がはがれていない部分も見られた。
図17(B)は、基板Dのガラス基板と絶縁膜との境界の光学顕微鏡写真である。倍率は500倍である。写真の左側には、ガラス基板930が露出されており、写真の右側には半導体膜932が形成されている。積層導電膜は浮き上がることなく、密着性よくガラス基板及び半導体膜上に形成されている。また、半導体膜932及びその下層の絶縁膜がはがれて円形状にガラス基板が露出している部分も見られない。ガラス基板と半導体膜の境界周辺部全域において、ガラス基板上に絶縁膜、半導体膜、積層導電膜が全てはがれることなく形成されているのが観察された。
以上より、ガラス基板上の絶縁膜及び半導体膜のガラス基板との接合力の弱い周辺領域を除去し、ゲート電極を形成する積層導電膜を低応力成膜条件で成膜することによって、積層導電膜が加える応力による絶縁膜、半導体膜及び積層導電膜の膜はがれを抑制する効果があることが確認された。