JP5352998B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5352998B2
JP5352998B2 JP2007329277A JP2007329277A JP5352998B2 JP 5352998 B2 JP5352998 B2 JP 5352998B2 JP 2007329277 A JP2007329277 A JP 2007329277A JP 2007329277 A JP2007329277 A JP 2007329277A JP 5352998 B2 JP5352998 B2 JP 5352998B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
charge transport
cleaning
image
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007329277A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009151121A (ja
Inventor
理 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2007329277A priority Critical patent/JP5352998B2/ja
Publication of JP2009151121A publication Critical patent/JP2009151121A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5352998B2 publication Critical patent/JP5352998B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に感光体表面を一様に帯電させるコロナ放電ワイヤとグリッドを有する帯電装置を有する画像形成装置に関する。
一般に、電子写真装置においては、一様に帯電された感光体表面上に、画像データにより変調された書込光を照射して、感光体表面上に静電潜像を形成し、この静電潜像の形成された感光体表面に現像装置によりトナーを供給してトナー画像を感光体表面上に形成して現像している。そして、画像形成装置は、この感光体上のトナー画像を転写手段で転写材(転写紙、或いは中間転写体)に転写した後、定着部で転写紙上に転写したトナーを加熱・加圧して定着させ、感光体表面に残留したトナーをクリーニング部でクリーニングブレードにより掻き取る等の方法により回収する。以上のような画像形成プロセスが取られる。
従来、感光体表面の一様帯電を行う帯電装置として帯電装置方式といわれるコロナ帯電装置を用いることが多い。このコロナ帯電装置は、高電圧を印加したコロナ放電電極と当該放電電極に対向したグリッド電極の間に発生する強い電界によって生じるコロナ放電現象で発生した電荷を利用して感光体表面を一様に帯電するようになっている。コロナ放電現象の強さは、放電電極の表面状態の影響を受け易く、放電電極の表面は静電的な集塵作用によって異物が付着しやすい。このため、コロナ放電装置では、繰り返し使用された場合、放電分布にムラが発生することが知られている。
コロナ帯電装置の放電ムラは、感光体表面の一様帯電で画像の濃度ムラとなって現れ、画像の品質さらには画像形成装置の動作の安定性を著しく悪化させていた。このようなコロナ帯電装置の帯電ムラは、低湿度環境、装置周辺の空気に多量の粉塵が浮遊する環境等で使用された場合には、コロナ帯電装置の放電電極の汚れは、急速に進むため、放電電極を清掃するだけでは、コロナ放電装置の放電ムラは防止しきれないという問題が発生していた。
このようなコロナ放電装置の放電ムラを防止するために、帯電装置から発生するオゾンを排気するオゾン排気装置と帯電装置を清掃する清掃装置を備え、帯電装置を清掃した後、一定時間帯電装置を放電させるようにし、清掃、放電終了後の感光体とオゾン廃棄手段の回転時間を通常の画像形成動作終了後より長くすることが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2004−325994公報
特許文献1記載の方法では、帯電装置の清掃後の放電時に発生するオゾンによる感光体の劣化を良好に抑制することが可能である。しかしながら、例えば、10℃/30%RH等の低温低湿環境の下で連続作像を行った後、静放置して再度作像すると、ハーフトーン画像において、作像開始の1枚目から黒帯模様の濃度ムラが発生する。この黒帯模様は、発生した低温低湿環境下で作像を繰り返してもほとんど回復しないという問題がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、低温低湿環境の下で連続作像を行った後、静放置して再度作像しても黒帯模様の濃度ムラの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、感光体表面を一様に帯電させるコロナ放電電極と該コロナ放電電極に対向したグリッド電極を有する帯電装置と、前記帯電装置によって一様に帯電された前記感光体表面に、画像情報に対応する光を照射して前記感光体表面に画像の静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像にトナーを供給してトナー像化する現像装置と、前記コロナ放電電極と前記グリッド電極を清掃する清掃装置と、前記帯電装置内で発生する放電生成物を前記帯電装置の上方開口部から前記清掃装置を経由して吸気し、前記清掃装置の清掃部材移動の一方向に対して発生させる排気流によって当該帯電装置外に排出する排気装置と、を有する電子写真方式の画像形成装置において、前記感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層し、当該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された感光体であり、前記排気装置の前記排気流の停止後に前記コロナ放電電極と前記グリッド電極を清掃するように、前記清掃装置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記清掃装置は、前記コロナ放電電極と前記グリッド電極の表面を不織布で払拭することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記清掃装置は、前記放電生成物を溶解する液体を含浸していることを特徴とする。
本発明によれば、前記排気装置の排気流の停止後に前記コロナ放電電極とグリッド電極を清掃するように、前記清掃装置を制御する制御装置を備えることによって、低温低湿環境の下で連続作像を行った後、静放置して再度作像しても黒帯模様の濃度ムラの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
本発明者は、低温低湿環境(以下LL環境という)の下で連続作像を行った後、静放置して再度作像しても黒帯模様の濃度ムラが発生することについての検討を行った。その結果、下記のことが判明した。
図9に示すような導電性支持体30上に電荷発生層31、電荷輸送層(CTL)32を順次形成し、さらに、電荷輸送層32上に1官能アクリルモノマーと多官能モノマーからなる表面保護層33を積層した感光体を、LL環境(例えば、10℃/30%RH)で連続作像を行った後、静放置して再度作像すると、ハーフトーン画像において、作像開始1枚目より転写用紙上に黒帯模様(濃度ムラ)が現れる現象が発生した。この黒帯模様は発生した状態(LL環境)で作像を多数枚繰り返してもほとんど回復しない。
消失しないまま作像を行い停止しておくか、感光体の停止位置を変えてそのままにしておくと新たな黒帯模様が発生し、転写用紙上にいくつもの黒帯模様が発生して、濃淡の多いコピーとなる。この濃度ムラは、常温常湿環境又はそれ以上の環境では起こりにくく、LL環境で起こりやすい事からLL濃度ムラと称される。この濃度ムラは、表面保護層が積層されていない通常の3層感光体でも発生するが、表面保護層を有する感光体では現れ易い傾向にあり、新品の感光体よりも使用した感光体の方が発生し易い傾向がある。
さらに、LL濃度ムラは、
(1)放置時間が長いほど濃度ムラが悪化する(濃度が高くなる)傾向がある。
これは、放置時間が長くなるとコロナ帯電装置のケーシング内、及びグリッド電極に付着し堆積したコロナ生成物(又は放電生成物)が感光体面にミスト状になって降り注ぎ、感光体に付着し時間とともに堆積するためと考えられる。
(2)コロナ帯電装置が作動を停止した位置で発生し、その幅はほぼコロナ帯電装置の幅に相当する。これは、感光体とコロナ帯電装置の間隔が1mm程度であるため、放電生成物が感光体直下に放散しても側面への広がりが少ないため、ほぼグリッド電極の幅で汚染されることによると考えられる。
(3)コロナ帯電装置の使用頻度が高いほど発生しやすい傾向に有るが、新しいコロナ帯電装置でも発生する。これは、コロナ帯電装置にはケーシングにニッケル(Ni)メッキが施されているため、触媒作用により汚染が少ない新品の間は、抑制効果が働くが、次第にケーシング内が汚染され触媒作用が低下することによるものと考えられる。
事実、図9に示すような表面保護層33を有する感光体をLL環境でランニング後の表面電位を測定すると、図10に示すような電位パターンが観測される。即ち、濃度ムラが発生した部位は、ハーフトーン部電位Vh、帯電部電位Vdの電位の跳び上がり部A及びBに合致し、跳び上がり部A及びBの幅d1及びd2はコロナ帯電装置の幅とほぼ等しい幅になる。正常部と濃度ムラの発生した部位との電位差は汚染の度合いによって違ってくるが、通常10V〜50V程度観測される。電位の跳び上がり部A及びBは常温常湿環境下(例えば25℃/60%RH)で放置すると回復傾向があり、それにしたがって濃度ムラも解消するがLL環境に放置した場合には、殆ど回復しない。なお、図10上のVbは、現像バイアス電位を示す。
コロナ帯電装置で生成されるコロナ生成物には、オゾンのほか硝酸イオン(NO3 -、NO2 -、NO-など)、硫酸イオン(SO4 -)、アンモニウムイオン(NH4 +)などの酸化性物質がある。これらの物質が感光体に付着、或いは侵入し、吸湿すると感光層を低抵抗化させ、解像度低下や光減衰特性異常などの不具合が生じる。この場合、硝酸化物が感光体に付着しても、湿度が10%RHや20%RH程度に低いときには感光体表層の抵抗率低下は小さいため、表面抵抗率ρsは1014〜1016Ωの高抵抗率が維持される。その結果、電荷が拡散する頻度は少なく解像度低下はほとんど生じない。しかし、LL濃度ムラが発生した状態で湿度を高くすると、硝酸化物が少しずつ吸湿し抵抗低下を起こすため電荷の拡散が生じ、濃度ムラのエッジが少しずつ崩れはじめ画像濃度が低下し、それと同時に解像度低下も起こり始める。この現象を考慮すると、LL濃度ムラは、LL環境下で硝酸化物が放電電極やグリッド電極に付着して発生するものと考えられる。このように、一旦放電電極やグリッド電極に付着した硝酸化物は、LL環境下では、帯電装置内で発生する放電生成物を排気流によって排出する排気装置では、除去されず、残存してしまう。
本発明においては、このような現象の解析に基づいて検討の結果、画像形成装置をLL環境下に放置した場合に、前記排気装置によって帯電装置内で発生する放電生成物を排気流によって排出後に、放電電極とグリッド電極の表面から硝酸化物を払拭すれば、LL濃度ムラの発生を抑制できることを究明した。この究明に基づきさらに検討を行い、排気装置による帯電装置内の気流の発生を停止させた後に、コロナ放電電極及びグリッド電極を清掃するように、清掃装置を制御装置で制御するようにしたものである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置である電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。本実施形態の画像形成装置は、矢印A方向に回転するドラム状の感光体1の周囲に、感光体1の表面を一様に帯電するコロナ帯電方式の帯電装置2、画像露光装置3、感光体1の表面の表面電位を検出する表面電位計4及び、感光体1の表面にトナーを供給する現像ローラ5aとトナーを収納する現像装置5が配設されている。さらに、感光体1の表面に圧接して、レジストローラ9から搬送された転写紙Pに後述する感光体1の表面のトナー像を転写して転写紙Pを矢印B方向に搬送する転写装置6を備えている。転写装置6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bとに張架された無端状の転写搬送ベルト6cを有しており、駆動ローラ6aの回転によって、転写搬送ベルト6cを移送させて、転写紙Pを矢印B方向に搬送すると共に、感光体1の表面上のトナー像を転写紙P上に転写する。また、感光体1の周囲には、転写紙P上にトナー像を転写した後に残存するトナーを感光体1の表面から除去するクリーニング装置7と感光体1の表面に残存する電位を除電する除電装置8を備えている。クリーニング装置7は、感光体1の表面と摺接するクリーニングブラシ7aとクリーニングブレード7bとを備えており、クリーニングブラシ7aで感光体1の表面に残存するトナーを掃き落とし、クリーニングブレード7bで、感光体1の表面に付着しているトナーを削り落とすようになっている。
このような画像形成装置によって転写紙P上にトナー像を形成する場合には、感光体1の表面が帯電装置2により(±)600〜1400Vが一様に帯電される。このように、帯電された感光体1の表面に、画像情報に対応した光が画像露光装置4により照射されて静電潜像の形成が行われる。この静電潜像の形成は、アナログ複写機の場合、露光ランプで照射された原稿像がミラーにより逆像の形で感光体に可視光投影され結像されるが、デジタル複写機の場合には、CCD(電荷結合素子)で読み取られた原稿画像は400〜780nmのLDやLED等の発光素子のデジタル信号に変換されて、感光体1上に結像される。従って、アナログ複写機とデジタル複写機の場合の波長域は異なる。結像によって感光体1では電荷分離が行われ、感光体1に静電潜像の形成が行われる。原稿画像に応じた静電潜像の形成が行われた感光体1は、現像装置5で静電潜像にトナーが供給されて現像が行われ、原稿像は顕像化(トナー像)される。
次に、感光体1上のトナー像は、転写装置6に電圧を印加することにより転写紙Pに転写される。転写で印加する電圧は感光体1に流れる電流が一定となるよう定電流制御となっている。このようにして、転写紙P上に転写されたトナー像は、定着装置10に送られ、加熱ローラ10a及び加圧ローラ10bで加熱、加圧され、転写紙P上に定着される。一方、感光体1は、転写装置6で転写紙Pにトナー像を転写後、クリーニング装置7で残存トナーが清掃され清浄化される。クリーニング後の感光体1にはトナー像を形成されたあとの潜像(原稿像)が多少なりとも保持されているため、消去し均一化するために除電装置(一般に赤色光が使用される)8で除電され、次の潜像形成の準備を終え一連の複写プロセスが終了する。
本実施形態に係る画像形成装置においては、図2に示すように、帯電装置2に取り付けられた2本のワイヤ状のコロナ放電電極2aとコロナ放電の放電量を制御する網目状のグリッド電極2bを清掃する清掃装置11が帯電装置2上に取り付けられている。さらに、帯電装置2の周囲には、温湿度検出センサ12(温湿度検出手段)が配設されており、温湿度検出センサ12で検出された温湿度に応じて、後述するように、清掃装置11の駆動手段13が清掃装置11を駆動するように、駆動手段13を制御装置14で制御するようになっている。また帯電装置2の上方には、排気装置16(図5参照)が取り付けられており、帯電装置2内の空気を吸引して気流を発生させて、帯電装置2内の放電生成物や異物を気流と共に帯電装置2外に排出するようになっている。なお、コロナ放電電極2aとグリッド電極2bには、それぞれ、高圧電源19及びグリッドバイアス電源20から直流高圧電圧とグリッドバイアス電圧が印加されて帯電装置2内でコロナ放電が発生し、このコロナ放電量がグリッドバイアス電圧によって調製されるようになっている。
清掃装置11は、図3及び図4に示すように、帯電装置2の上部に一体に、回転自在に設けられた搬送スクリュー11aと、この搬送スクリュー11aに螺合した移動部材11bと、移動部材11bに一体に設けられ、コロナ放電電極2aを挟持するコロナ放電電極清掃部材11cと、グリッド電極2bと摺接してグリッド電極2bを清掃するグリッド電極清掃部材11dを備えている。そして、搬送スクリュー11aは、駆動モータ等の前述の駆動手段13の駆動により回転され、搬送スクリュー11aの回転に伴い移動部材11bが矢印C方向に移動する。この移動部材11bの移動に伴い、コロナ放電電極清掃部材11cとグリッド電極清掃部材11dがコロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの表面と摺接しながらコロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの表面に付着している放電生成物を払拭除去して清掃するようになっている。
この場合に、コロナ放電電極清掃部材11cとグリッド電極清掃部材11dには、コロナ放電電極2a及びグリッド電極に付着した硝酸化物を適切に払拭することができる清掃部材が使用され、スポンジや不織布等からなるシート部材等の弾性部材が好適である。さらに、硝酸化物を溶解する液体、例えば、水などを前記スポンジや不織布等からなるシート部材に含浸させて、このシート部材で、コロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの表面を払拭した場合には、コロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの表面に付着している硝酸化物を液で溶解して払拭することが可能となるので、より効果的である。
また、排気装置16は、図4及び図5に示すように、矢印D方向に排気流を発生させる吸気ファン17と、一端が吸気ファン17に接続され他端が帯電装置2のコロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの全長を被覆するように帯電装置2の側壁2cに密着して取り付けられる排気ダクト15と、を備えている。吸気ファン17は、ファン駆動手段18によって回転駆動され、ファン駆動手段18は前述の制御装置14によって制御され、例えば、感光体1が回転して作像動作中は、回転して帯電装置2内の吸気を行って帯電装置2内から放電生成物や異物を帯電装置2内から除去するようになっている。なお、符号21は、異物等を排気流から取除くフィルターである。
本実施形態に係る帯電装置2は、制御装置14によって、ファン駆動手段18の作動が停止したときに、参考例として温湿度センサ12の検出温湿度に応じてこのファン駆動手段18の作動停止を検知して所定時間経過後(例えば、吸気ファン17が完全に停止した状態後)に、駆動手段13を作動させて清掃装置11を駆動させ、清掃装置の矢印C方向への移動によって、コロナ放電電極2a及びグリッド電極2bの表面を清掃するようにしている。
前述のように、LL濃度ムラは、低温低湿状態のとき発生し易くなるため、本実施形態においては、参考例として温湿度センサ12によって、帯電装置2の近傍の温湿度を検出し、LL環境下のときに、清掃装置11を作動させるようにしている。LL濃度ムラは、15℃、40%RH以下の低温、低湿状態で発生しやく、温度、湿度とも低下するにつれ発生頻度が多くなる。従って、温湿度センサ12によって帯電装置2の近傍の温湿度を検出し、LL環境下のときに、清掃装置11を作動させるようにした方が効果的である。
LL濃度ムラは、感光体1の表面保護層33として、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された架橋型電荷輸送層を使用したときにし易い。従って、当該架橋型電荷輸送層について、感光体1の構成と共に説明する。
図6は、本発明による一実施形態の感光体1の断面構造を示す図である。本実施形態の感光体は、導電性支持体30上に、電荷ブロッキング層やモアレ防止層等の下引き層34を形成し、この下引き層34上に、電荷発生層31、電荷輸送層32及び表面保護層33が順次形成されている。そして、表面保護層33として、電荷輸送機能を有しながら、架橋によって被膜強度を向上させた少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された架橋型電荷輸送層が使用されている。
先ず、架橋型電荷輸送層について説明する。本実施形態において使用される架橋型電荷輸送層は、電荷輸送層32上に、架橋型電荷輸送層塗工液を塗布し、必要に応じて乾燥処理を施した後、熱や光照射の外部エネルギーにより硬化反応を行うことにより、架橋型電荷輸送層33が形成される。
架橋型電荷輸送層33は、電荷輸送機能を有する架橋構造を有する層であり、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷輸送層37上に塗布、乾燥することにより形成される。
架橋型電荷輸送層33形成用の材料について説明する。本発明においては、この架橋型電荷輸送層33の形成用材料として、少なくとも、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用いる点に特徴を有している。
上記電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指すものである。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
先ず、1−置換エチレン官能基を、下記式(A)に示す。
CH2=CH−X1− ・・・(A)
但し、上記式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。
上記置換基を具体的に例示する。例えば、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
次に、1,1−置換エチレン官能基としては、例えば下記式(B)で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH(Y)−X2− ・・・(B)
但し、式(B)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基)、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい)、また、X2は上記式(A)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
これらの置換基を具体的に例示する。例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。なお、上記X1、X2、Yについての置換基に、さらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記ラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーの例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種類以上を併用してもよい。
また、感光体構成層中の、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するために、このモノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が250以下であることが望ましい。 また、上記分子量の割合が250より大きい場合、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80重量%であるものとし、30〜70重量%がより好ましい。モノマー成分が20重量%未満であるとすると架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるが、電気特性と耐摩耗性とのバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好適である。
次に、架橋型電荷輸送層33に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物について具体的に説明する。例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造(例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造を有しており、かつ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す)を有する化合物が適用できる。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高く、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続されることが確かめられた。
Figure 0005352998

Figure 0005352998
上記一般式(1)、(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
上記一般式(1)、(2)の具体例を下記に示す。一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及び帯電装置ゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は、下記に示す置換基を有してもよい。
(a)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(b)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(c)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(d)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(e)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(f)
Figure 0005352998
上記式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(b)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(g)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(h)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
Xは、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 0005352998
で表わされる。R5は水素、アルキル基、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、感光体の構成層に適用する1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として、更に好ましい化合物として、下記一般式(3)の化合物が挙げられる。
Figure 0005352998
上記一般式(3)中、o、p、qは、それぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、すなわち下記の構造を表す。
Figure 0005352998
上記一般式(3)の化合物において、Rb、Rcの置換基としては、特にメチル基、エチル基が好適である。
本発明の感光体層の構成材料である、上記一般式(1)及び(2)、特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
上述した1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物について、具体例を以下、No.1〜160に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998

Figure 0005352998
また、上述した、本発明の感光体層を構成する1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能を付与するために重要であり、この成分の含有量は、架橋型電荷輸送層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%であるものとする。この成分が20重量%未満であると、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると、電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
感光体を構成する架橋型電荷輸送層33は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減等の機能を付与する目的で、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用してもよい。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー等が挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレート等のフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。また、架橋型電荷輸送層33は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために架橋型電荷輸送層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系、またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを、単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。上述した各重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、架橋型電荷輸送層33を形成するための塗工液は、必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤を含有したものであってもよい。これらの添加剤は、公知の材料をいずれも使用可能であり、具体的には、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下であるものとする。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーを適用でき、使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が好適である。
架橋型電荷輸送層33は、少なくとも上記電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。この塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して用いる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系等が挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法等を用いて行う。
上記のように、架橋型電荷輸送層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えて硬化させ架橋型電荷輸送層を形成するが、この外部エネルギーとしては、熱、光、放射線を適用できる。熱エネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱する方法が挙げられる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温であると、硬化反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層33中に、歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。なお硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
光エネルギーとしては、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を適用できる。上述した各エネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さの観点から、熱及び光のエネルギーが好適である。
架橋型電荷輸送層33を形成するための塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー、及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる。具体的には、塗工液の総固形分に対し、上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。
また、架橋密度が希薄になることを防止するため、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。更に電荷発生層、電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を順次積層した構成において、最表面の架橋型電荷輸送層が有機溶剤に対し不溶性であることが、耐摩耗性、耐傷性が達成させる観点から好ましい。
架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型電荷輸送層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型電荷輸送層の塗工方法の選択、(4)架橋型電荷輸送層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要である。
架橋型電荷輸送層33の塗工液を希釈する溶媒として、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ等が有用であるが、塗工法を考慮して選択することが好ましい。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型電荷輸送層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、架橋型電荷輸送層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
架橋型電荷輸送層33の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対する溶解性が高くなる。逆に高エネルギーで硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対する溶解性が高くなってしまうことがある。
有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃で、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm2で5秒〜5分、かつ温度上昇を50℃以下に制御することにより、不均一な硬化反応を抑制することができる。
架橋型電荷輸送層33を、有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示する。例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7とする。また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、架橋型電荷輸送層の下層である電荷輸送層37において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量とすることが好ましい。
次に本発明による感光体1の各構成について説明する。
導電性支持体30としては、体積抵抗1010 Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記導電性支持体30上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体30として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。また、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
電荷発生層に併用できる電荷輸送物質には電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
正孔輸送物質としては、以下に表される電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成出来る。また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成出来る。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行うことが出来る。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成出来る。電荷輸送層の膜厚は、10〜100μm程度が適当であり、解像力が要求される場合、10〜30μm程度が適当である。
本発明において、電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、その他)、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、また、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。電荷輸送物質として用いることのできる材料は、上述の低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質が挙げられる。電荷輸送物質の使用量は高分子化合物100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部程度である。
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。
電荷輸送層には、膜厚の凹凸を低減する方法として、例えば、レベリング剤を添加する方法などは有効である。レベリング剤としては、公知の材料を用いることができるが、微量で高い平滑性を付与することができ、静電特性に対する影響が小さい、シリコーンオイル系のレベリング剤がとくに好ましい。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等が挙げられる。また、塗工時の条件等によっても凹凸を低減することは可能である。例えば浸漬塗工において、感光体を引き上げた後、塗膜表面がまだウェットな状態の時に、フードで覆ったりすることで風の流れなどで表面を乱されないようにしたりすることで凹凸が低減される。
更に、電荷輸送層が感光体の最表面層になる場合には、電荷輸送層の表面部位に無機微粒子を含有させる。無機微粒子材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらの微粒子の中で、微粒子の硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。また、これらの微粒子材料は単独もしくは2種類以上を混合して用いられる。また、無機微粒子と合わせて、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等を含有してもよい。これらの微粒子材料は、電荷輸送物質や結着樹脂、溶媒等とともに適当な分散機を用いることにより分散できる。また、微粒子の一次粒径の平均は、0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmであることが電荷輸送層の透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
また、これらの微粒子を電荷輸送層全体に含有させることも可能であるが、露光部電位が高くなるような場合があるため、電荷輸送層の最表面側が最も微粒子含有率が高く、支持体側が低くなるように微粒子濃度傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、微粒子濃度が順次高くしたりするような構成にすることが好ましい。
導電性支持体30と電荷発生層31及び電荷輸送層32の感光層との間には、必要に応じて、下引き層34を設けてもよい。設けられる下引き層34は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層34は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に上記感光層を、溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を分散し含有させてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
さらに、本発明の下引き層34として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。この他に、本発明の下引き層34にはAl23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0.1〜20μmが適当であり、好ましくは1〜10μmである。
本発明の感光体においては、上記当該架橋型電荷輸送層以外の表面保護層33が感光層の上に設けることができる。表面保護層33に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、表面保護層を用いる場合、該保護層中に微粒子材料を添加しても良く、微粒子材料としては、有機性微粒子材料と無機性微粒子材料とがある。有機性微粒子材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性微粒子材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。
無機顔料からなる微粒子は、有機材料からなる微粒子に比べ硬度が高いため、感光体最表層の耐摩耗性をより向上させることができる。ところが、一般的に、潜像担持体の耐摩耗性を向上させると該潜像担持体の表面部はほとんど摩耗しなくなるが、帯電時に発生するオゾン、NOx等の反応性ガスによって該表面部が低抵抗化し、次第に該表面部の静電荷が保持されなくなり、該静電荷が表面方向に移動してしまうことが知られている。その結果、静電潜像が滲んでしまい、該静電潜像がトナーなどで現像されたときに見られる画像ボケや画像流れと呼ばれる異常画像が起こるようになる。そこで、本発明で用いる微粒子としては1010Ωcm以上という高い抵抗を有することが好ましい。このような微粒子を用いることで、潜像担持体の最表層の低抵抗化が抑えられ、上記異常画像の発生を大幅に抑制することができる。これらの微粒子の中で、特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。また、これらの微粒子材料は他の金属酸化物微粒子に比べ価格が安く入手も容易なため、潜像担持体の製造コスト低減を図ることが可能となる。その中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。このような微粒子材料は単独もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの微粒子材料は、電荷輸送物質や結着樹脂、溶媒等とともにボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。微粒子の一次粒径の平均は、0.1〜1.0μmであることが保護層等の透過率や耐摩耗性の点から好ましい。また、表面保護層33に電荷輸送層で挙げた電荷輸送物質を添加することは、画質向上に対して有効な手段である。表面保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができる。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度であり、好適には2〜5μmである。
ここで、電荷輸送層32上に表面保護層33を形成した場合、帯電時の表面電荷は表面保護層33上に存在していると考えられるので、本発明における近隣の凹凸の膜厚差は、電荷輸送層32と表面保護層33を合わせた膜厚差といえる。そのため、表面保護層33の形成時においても前述の電荷輸送層32と同様に凹凸を低減する方法が適用される。
また、このように表面保護層33を設け、耐摩耗性を高くすることは、感光体形成時の電荷輸送物質を含有する層の凹凸の履歴が長期間にわたって維持されることを意味する。すなわち、耐摩耗性が比較的小さい電子写真感光体においては、長期間画像を出力することで表面が摩耗するが、部分的な摩耗量の差で凹凸が発生してしまうことも考えられる。従って、本発明のように、使用前から凹凸の膜厚差を小さくし、さらに保護層を設けるなどして耐摩耗性を高くして感光体一本内の摩耗量の差による凹凸の発生を抑えることは、長期間にわたって、良好な画像をえるための非常に有効な手段となる。耐摩耗性の高い電子写真感光体とは、前述のような保護層を形成したものや、最表層に高分子電荷輸送物質を含有し、低分子電荷輸送物質の含有量を小さくしたものなどが挙げられる。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(b) パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物:流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。(b)脂肪酸系化合物:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。(c)脂肪酸アミド系化合物:ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。(d)エステル系化合物:脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。(e)アルコール系化合物:セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。(f)金属石けん:ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。(g)天然ワックス:カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。(h)その他:シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
次に、本発明による具体的な実施例について説明する。
(電荷ブロッキング層用樹脂合成例)
6−ナイロン100部をメタノール160部に溶解し、これにホルムアルデヒド75部、リン酸2部を混合、撹拌し、125℃まで1時間かけて昇温した。125℃で30分間持続させた後、室温まで45分かけて冷却した。混合物は、半透明なゲル状であった。リン酸を中和するために、過剰のアンモニアを含む95%エタノールに、前記ゲルを溶解した。この溶液を水中に注ぎ、ポリアミドを析出させた。析出させたポリアミドを濾過し、1Lの水道水にて洗浄を行い、更に乾燥を行って、N−メトキシメチル化ナイロンを得た。
(電荷ブロッキング層用塗工液)
N−メトキシメチル化ナイロン(樹脂) 6.4部
メタノール 70部
n―ブタノール 30部
上記組成比で溶媒に樹脂のN−メトキシメチル化ナイロンを溶解し電荷ブロッキング層用塗工液を作製した。
(モアレ防止層用塗工液)
酸化チタン (純度:99.8%) 70部
アルキッド樹脂 14部
[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、大日本インキ化学工業製]
メラミン樹脂 10部
[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、大日本インキ化学工業製]
2−ブタノン 100部
上記組成比からなる混合物をボールミルで72時間分散し、モアレ防止層用塗工液を作製した。
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 80部
Figure 0005352998
(感光体の作製)
導電性支持体30としての直径100mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)上に上記電荷ブロッキング層用塗工液を用いて0.3μm厚の電荷ブロッキング層と、上記モアレ防止層用塗工液を用いて4μm厚のモアレ防止層とからなる下引き層34を設けた。なお、アルミニウムシリンダーには、モアレが発生しないような切削処理を施した。
次に、CuKαのX線回折における回折角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料を10部、ポリカーボネートZ樹脂(重量平均分子量28,000)10部及びシクロヘキサン60部を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で20時間分散した。この分散液にメチルエチケトン100部を加えた溶液を、上記下引き層34上に塗布し、乾燥することによって電荷発生層31を形成した。膜厚は0.12μmであった。
次に下図に示すトリアリールアミン化合物7部と、
Figure 0005352998
下図で示されるスチリル化合物3部をポリカーボネートZ樹脂(重量平均分子量80,000)10部及びモノクロルベンゼン60部に溶解した。この溶液を上記電荷発生層31上に塗布し、乾燥することによって電荷輸送層32を形成した。乾燥後の膜厚は20μmであった。

Figure 0005352998
さらにこの電荷輸送層32上に下記組成の架橋型電荷輸送層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない塗布膜を硬化させ、さらに、130℃で20分乾燥を行い、5.3μm厚の表面保護層33としての架橋型電荷輸送層を形成して電子写真感光体を得た。
〔架橋型電荷輸送層用塗工液〕
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(上記例示化合物No.54)
光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(実施例1)
上記のようにして作製した感光体1を用いて、10℃、15%RH環境に設置した上記図1で示す画像形成装置によって転写紙上に画像を形成し、10,000枚作像を行った後、同環境下に10時間放置した。放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電装置2の直下における濃度ムラ発生の有無および表面電位計により電位低下量を測定した。この場合、帯電装置2は、10,000枚作像後に、ファン駆動手段18を作動させて吸気ファン17を停止させた。そしてファン駆動手段18の停止信号に基づいて、停止信号出力後5分経過後に、清掃装置11を作動させて、帯電装置2のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを、水を含浸させた不織布からなるコロナ帯電電極清掃部材11c及びグリッド電極清掃部材11dで往復動させて清掃した。
(比較例1)
上記のようにして作製した感光体1を用いて、10℃、15%RH環境に設置した画像形成装置Imagio Neo 1050proにて10,000枚作像を行った後、同環境下に10時間放置した。この場合に、10,000枚作像後に、ファン駆動手段18を作動させて吸気ファン17を停止させた。しかし、上記画像形成装置においては、帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに、10時間放置した。そして、放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電装置の直下における濃度ムラ発生の有無および表面電位計により電位低下量を測定した。
(比較例2)
上記のようにして作製した感光体1を用いて、20℃、50%RH環境に設置した画像形成装置Imagio Neo 1050proにて10,000枚作像を行った後、同環境下に10時間放置した。しかし、上記画像形成装置においては、帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに、10時間放置した。そして、放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電器直下における濃度ムラ発生の有無および表面電位計により電位低下量を測定した。
(比較例3)
30℃、80%RH環境にて比較例2と同様の評価を行った。
(比較例4)
実施例1における場合と同様に、帯電装置2は、5,000枚作像後に、ファン駆動手段18を作動させて吸気ファン17を停止させた。そしてファン駆動手段18の停止信号に基づいて、停止信号出力後5分経過後に、清掃装置11を作動させて、帯電装置2のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを、水を含浸させた不織布からなるコロナ帯電電極清掃部材11c及びグリッド電極清掃部材11dで往復動させて清掃した。さらに5,000枚作像して10時間放置した。この場合に、最後の5,000枚の作像後に、帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに、10時間放置した。そして、この放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電器直下における濃度ムラ発生の有無および表面電位計により電位低下量を測定した。
実施例1、比較例1〜4についての濃度ムラ発生の有無及び電位低下量の測定結果を図7に示す。この結果から、比較例1で示すように、10℃、15%RH環境下で帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに10時間放置した場合には、帯電装置直下での電位が低下しており、ハーフトーンでの濃度ムラが発生していることが明らかである。また、比較例2の20℃、50%RH環境下で帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに、10時間放置した場合には、20℃、50%RHと比較的高温、高湿のために、電位の低下も濃度ムラも発生しておらず、LL濃度ムラは認められない。
同様に、比較例3の30℃、80%RH環境においても、高温、高湿の環境下での放置のために、同様にLL濃度ムラの発生はなかった。また、比較例4で示すように、10,000枚作像途中の5,000枚の作像後に清掃を実施したが、続いて残りの5,000枚の作像をした後、帯電装置のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃せずに、10時間放置した場合には、帯電装置直下での電位が低下しており、軽微な濃度ムラが発生している。
これに対し、本発明による実施例1の結果から明らかなように、10,000枚作像後に、ファン駆動手段18を作動させて吸気ファン17を停止させ、そしてファン駆動手段18の停止信号に基づいて、停止信号出力後5分経過後に、清掃装置11を作動させて、帯電装置2のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを水を含浸させた不織布からなるコロナ帯電電極清掃部材11c及びグリッド電極清掃部材11dで往復動させて清掃した場合には、LL濃度ムラの発生が認められないだけでなく、電位低下も認められなかった。
参考例1
参考例においては、湿度センサ12によって検出された湿度に基づいて制御装置14によって帯電装置2のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃装置11で自動的に清掃する機構を搭載した画像形成装置を使用した。この画像形成装置で作像を行い電源OFFにより排気装置16による排気流が停止した際に、湿度センサ12が30%RH以下を検知した場合、帯電装置2のコロナ帯電電極2aとグリッド電極2bを清掃装置11で自動的に清掃する帯電器のワイヤおよびグリッドを自動清掃する設定とした。そして、温湿度の水準を変化させて10,000枚作像後電源OFFし、10時間放置した。放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電器直下における濃度ムラ発生の有無を測定した。
(比較例5)
参考例1で用いた画像形成装置にて、湿度検知に基づく清掃装置による自動清掃(以下本制御という)を行わずに、参考例1と同様に温湿度を変化させて10,000枚作像後電源OFFして吸気ファン17を停止させ、帯電装置の清掃を行わずに10時間放置した。放置後にハーフトーン画像を出力し、帯電器直下における濃度ムラ発生の有無を測定した。その結果を図8に示す。なお、図8において、(実施例2)は、(参考例1)と読み替えるものとする。この結果から明らかなように、比較例5で示す本制御を行わない場合には、30%RH以上の高湿下では、10℃で僅かに濃度ムラの発生が認められるもののほとんど濃度ムラはみとめられない。しかし、15%RHの低湿度においては10℃〜30℃の温度の状況下では、濃度ムラの発生が認められる。
これに対して、本参考例1の場合で示すように、本制御を行う場合には、30%RK以下で自動清掃を行うようにしているので、濃度ムラの発生が認められない。30%RHを超える湿度の状況下では、自動清掃を行わなかったが、比較例5の場合とどうように、濃度ムラの発生が認められない。このように、湿度が30%RHを基準として、自動清掃の作動の有無を制御するようにしたので、清掃装置の無駄な作動を抑制し、しかも、濃度ムラの発生を広範囲の温湿度で対応可能となった。
なお、上記実施例1、参考例1及び比較例1〜5における濃度ムラの評価は次のようにして行った。
(帯電装置直下濃度ムラ評価法について)
帯電装置直下部の濃度ムラは、Trek表面電位計Model344のプローブを現像位置に設置し、作像動作において感光体を回転させたときの表面電位の推移を測定する。帯電装置直下に相当する部分に予め印をつけておくことで電位が低下している箇所での低下量の測定値がわかる。また、画像での測定法も有効である。ハーフトーン画像を出力することにより濃度ムラが検出されるため、場合により正常部と濃度ムラ発生部との画像濃度差を測定することで評価が可能となる。
本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。 本発明による一実施形態の帯電装置及び清掃装置の制御を示す概略構成を示す模式図である。 本発明による一実施形態の清掃装置の概略構成を示す側面図である。 図3のA−A線上で切断した断面図である。 本発明による一実施形態の排気装置の概略構成を示す断面図である。 本発明による一実施形態の感光体の概略構成を示す断面図である。 本発明による実施例1及び比較例1〜4の濃度ムラ及び電位低下量を測定した結果を表で示す図である。 本発明に係る参考例1及び比較例5の濃度ムラを評価した結果を表で示す図である。 従来の感光体の概略構成を示す断面図である。 従来のLL濃度ムラの発生した感光体の表面電位パターンを示すグラフ図である。
符号の説明
1 感光体、2 帯電装置、2a コロナ放電電極、2b グリッド電極、2c 側壁、3 画像露光装置、4 表面電位計、5 現像装置、6 転写装置、7 クリーニング装置、8 除電装置、9 レジストローラ、10 定着装置、11 清掃装置、11a 搬送スクリュー、11b 移動部材、11c コロナ放電電極清掃部材、11d グリッド電極清掃部材、12 温湿度検出センサ、13 駆動手段、14 制御装置、15 排気ダクト、16 排気装置、17 吸気ファン、18 吸気ファン駆動手段、30 導電性支持体、31 電荷発生層、32 電荷輸送層、33 表面保護層、34 下引き層

Claims (3)

  1. 感光体表面を一様に帯電させるコロナ放電電極と該コロナ放電電極に対向したグリッド電極を有する帯電装置と、前記帯電装置によって一様に帯電された前記感光体表面に、画像情報に対応する光を照射して前記感光体表面に画像の静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像にトナーを供給してトナー像化する現像装置と、前記コロナ放電電極と前記グリッド電極を清掃する清掃装置と、前記帯電装置内で発生する放電生成物を前記帯電装置の上方開口部から前記清掃装置を経由して吸気し、前記清掃装置の清掃部材移動の一方向に対して発生させる排気流によって当該帯電装置外に排出する排気装置と、を有する電子写真方式の画像形成装置において、
    前記感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層し、当該架橋型電荷輸送層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された感光体であり、
    前記排気装置の前記排気流の停止後に前記コロナ放電電極と前記グリッド電極を清掃するように、前記清掃装置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記清掃装置は、前記コロナ放電電極と前記グリッド電極の表面を不織布で払拭することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2記載の画像形成装置において、
    前記清掃装置は、前記放電生成物を溶解する液体を含浸していることを特徴とする画像形成装置。
JP2007329277A 2007-12-20 2007-12-20 画像形成装置 Expired - Fee Related JP5352998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007329277A JP5352998B2 (ja) 2007-12-20 2007-12-20 画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007329277A JP5352998B2 (ja) 2007-12-20 2007-12-20 画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009151121A JP2009151121A (ja) 2009-07-09
JP5352998B2 true JP5352998B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=40920316

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007329277A Expired - Fee Related JP5352998B2 (ja) 2007-12-20 2007-12-20 画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5352998B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6525725B2 (ja) 2014-06-06 2019-06-05 キヤノン株式会社 画像形成装置

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0533161U (ja) * 1991-10-07 1993-04-30 株式会社リコー コロナ帯電装置
JPH08220847A (ja) * 1995-02-13 1996-08-30 Canon Inc 画像形成装置
JPH09319192A (ja) * 1996-03-27 1997-12-12 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JPH10186811A (ja) * 1996-12-27 1998-07-14 Konica Corp 放電ワイヤの清掃装置
JPH1184831A (ja) * 1997-09-08 1999-03-30 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JPH11288149A (ja) * 1998-04-03 1999-10-19 Canon Inc 帯電装置及び画像形成装置
JP2003015384A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Konica Corp コロナ放電装置及び画像形成装置
JP2003091145A (ja) * 2001-09-17 2003-03-28 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2004233498A (ja) * 2003-01-29 2004-08-19 Kyocera Mita Corp コロナ帯電器清掃装置、コロナ帯電器清掃装置を備えた感光体ユニット、及び画像形成装置
JP4307899B2 (ja) * 2003-04-28 2009-08-05 株式会社リコー 画像形成装置
JP2004347661A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Kyocera Mita Corp スコロトロン帯電器用清掃部材
JP2005003785A (ja) * 2003-06-10 2005-01-06 Konica Minolta Business Technologies Inc 画像形成装置
JP4305334B2 (ja) * 2004-08-31 2009-07-29 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 画像形成装置
JP2006145817A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP2007164010A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP4990539B2 (ja) * 2006-02-22 2012-08-01 株式会社リコー 画像形成装置及び画像形成方法、並びにプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009151121A (ja) 2009-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4248483B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4762223B2 (ja) 電子写真感光体基体の温度制御装置
JP5477683B2 (ja) 電子写真感光体とその製造方法及び画像形成装置
JP2009186969A (ja) 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法
JP2006010757A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2008261971A (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4249681B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5606848B2 (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4169726B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP4485419B2 (ja) 静電潜像担持体及びプロセスカートリッジ、並びに画像形成装置及び画像形成方法
JP5585814B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5458848B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4463129B2 (ja) 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5352998B2 (ja) 画像形成装置
JP2012137599A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5527076B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP5205809B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法及び画像形成装置用のプロセスカートリッジ
JP4763547B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4969317B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成装置用のプロセスカートリッジ、並びにこれを用いた画像形成方法
JP2006010972A (ja) 像担持体及びプロセスカートリッジ、並びに画像形成装置及び画像形成方法
JP4335645B2 (ja) 画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2007047518A (ja) 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP4195420B2 (ja) 画像形成装置
JP2010117471A (ja) 画像形成装置
JP2010176091A (ja) 画像形成方法および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101026

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20101105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130812

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5352998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees