JP2010176091A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電生成物などの付着による画像流れ、画像ボケなどの白抜けや濃度ムラを抑制し、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した画像形成方法および画像形成装置の提供。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体に画像を形成するに当たり、前記電子写真感光体の表面に潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布することを特徴とする画像形成方法および画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体の耐摩耗性の向上により発生しやすくなった放電生成物の付着による白抜け(画像流れ、画像ボケ)や濃度ムラを抑制し、高耐久性と高画質化、さらに画像安定化を実現した画像形成方法および画像形成装置に関する。
従来、感光体は表層(最表面層)に、硬く削れにくい保護層を設け、この表層にシリカやアルミナなどの無機微粒子を分散させて摩耗量を低減させて耐久性を向上させてきた。さらに、感光体の摩耗を低減させるために金属石鹸などの潤滑剤を感光体表面に保護膜として塗布されていた。
このような方法で感光体に耐摩耗性を向上させることができるが、感光体表面に放電生成物が多量に付着したり、劣化した潤滑剤が付着する、さらなる問題等を有していた。
このように放電生成物が付着することによって引き起こされる課題として、白抜け(画像流れ、画像ボケ)やLL濃度ムラが挙げられる。このLL濃度ムラは低温低湿環境〔=LL(Low temperature and Low humidity)、例えば、10℃/30%RH〕で連続作像を行った後、静放置して作像すると、ハーフトーン画像において、スタート1枚目よりコピー上に黒帯模様の濃度ムラが現れるという問題である。
この白抜けは、複写機などの電子写真法を使用した画像形成装置において、放電を伴う帯電方式を使用しているために生じる問題であり、この白抜けの原因となるオゾン、NOx等の放電生成物が、最初、点状(しみ状)に感光体に付着し、次第に感光体全面に拡大してゆくことによって、白抜けが発生する。初期の放電生成物の付着では、白抜けは起こらないが、この放電生成物が感光体表面から除去されないと次第に付着面積が広がり、感光体表面には吸湿性の低抵抗層が形成される。白抜け現象は画像形成中の電荷が感光体表面もしくはその近傍で拡散し、正常な静電潜像が形成されず、エッジが不鮮明でぼやけた画像となる。すなわち、静電潜像が形成される際に、感光体表層又は感光体の層中に低抵抗層が生じるとその領域で電荷の歪みが生じ、静電潜像が乱されることによって前記したような白抜け画像となる。
これらの白抜けの現象は時間経過と共に悪化し、また湿度の上昇と共に悪化する傾向にある。
前記した白抜けの改善手段としては、原因物質を必要最小限になるように感光体の表面を研磨したり、研磨できない場合には感光体を加熱するなどの改善手段を講じることが挙げられる。しかし、これにより、感光体寿命の低下を引き起こしたり、このための電力やその加熱手段を設けるスペースを確保したり、この加熱手段を適度に加熱制御するための制御手段の新たな確保が必要となる。
この黒帯模様は、発生した低温低湿環境状態に作像を多数枚繰り返してもほとんど回復しない。濃度ムラが消失しないままに作像を行って停止しておくか、感光体の停止位置を変えてそのままにしておくと新たな黒帯模様が発生し、コピー上にいくつもの黒帯模様が発生して、濃淡の多いコピーとなる。この濃度ムラは常温常湿環境又はそれ以上の環境では起こりにくく、低温低湿環境で起こりやすい。
さらに、LL濃度ムラは以下の1)〜2)のような特徴を持っている。
1)放置時間が長いほど濃度ムラが悪化する(濃度が高くなる)傾向がある。
これは、放置時間が長くなると帯電チャージャのケーシング内、及びグリッドに付着し堆積した放電生成物が感光体表面にミスト状になって降り注ぎ、感光体に付着し時間とともに堆積するためと考えられる。
2)帯電チャージャが停止した位置で発生し、その幅はほぼ帯電チャージャの幅に相当する。
これは、感光体とコロナ帯電器の間隔が1mm程度であるため、感光体直下に放散しても側面への広がりが少ないため、ほぼグリッドの幅で汚染されることによる。
LL環境下のランニング後に感光体の表面電位を測定すると、濃度ムラが発生した部位はハーフトーン部電位Vh、帯電部電位Vdの跳び上がり箇所に合致し、跳び上がりの幅はほぼ帯電チャージャの幅となる。
電位の跳び上がりは常温常湿環境下(例えば25℃/60%RH)で放置すると回復傾向があり、それにしたがって濃度ムラも解消するが、低温低湿環境で放置しても殆ど回復しない。
放電生成物により最も汚染されるのは帯電チャージャ直下にある感光体である。
帯電チャージャと感光体との間は安定した帯電が行われるために、1〜2mm程度の一定間隔を設けて固定されていることが多い。そのため放電生成物による感光体の汚染を抑制するためには放電後に帯電チャージャと感光体との間に遮蔽物を入れるか、または帯電チャージャおよび感光体を移動させるなどの複雑な機構の導入が考えられるが、コストの面や、コンパクト性などの観点から、実用化は難しい。
そこで、最近では白抜けや濃度ムラの原因となる放電生成物を吸着する吸着剤を用いて感光体表面への付着を防止するために、以下の提案がなされている。
(1)特許文献1(特開2002−268488)には、ゼオライトなどの極性吸着剤よりなる除去粒子を担持し、かつ像担持体表面に除去粒子を塗布し、その塗布した除去粒子によって、像担持体表面に付着した放電生成物を吸着させて除去する放電生成物除去方法が提案されている(特許文献1の特許請求の範囲など参照)。ゼオライトなどの吸着剤の粉末状のものを塗布することで感光体表面の放電生成物を除去する手段は表面が硬く耐摩耗性に非常に優れているアモルファスシリコン感光体を用いた場合、非常に有効な手段である。しかし、アモルファスシリコン感光体に比べ、耐摩耗性に劣る有機感光体の場合、ゼオライトなどの吸着剤の除去粒子を塗布することで表面の摩耗が非常に大きくなる可能性がある。感光体表面を必要最小限に研磨することで白抜け(画像流れ、画像ボケ)や濃度ムラが改善されることは一般に知られている。ゼオライトなどの微粉末を表面に塗布した場合、吸着剤の微粉末が放電生成物を吸着して感光体表面から除去されたのか、吸着剤の微粉末により感光体表面が適度に研磨されて除去されたのか不明である。ゼオライトなどの微粉末の硬さを考慮すると、後者の可能性が高い。このため、感光体表面に接触しているクリーニングブレードのエッジの摩耗も促進され、クリーニング不良が発生する可能性がある。
(2)特許文献2(特開2002−123144)には、感光体表面に、ローラ状に形成した放電生成物除去部材を当接させ、その放電生成物除去部材に担持された極性吸着剤によって感光体表面に付着した放電生成物を除去すると共に、放電生成物除去部材に担持された極性吸着剤をヒータによって加熱し、その極性吸着剤から放電生成物を脱離させる方法が提案されている。しかしローラ上に形成した放電生成物除去部材は感光体の一部にしか接していない。また、帯電チャージャ直下が最も放電生成物が堆積するが、堆積した放電生成物は感光体の表面だけでなく、その内部まで侵入すると考えられる。このため、帯電チャージャ直下以外の部分では、感光体に付着した放電生成物を除去しきれない可能性がある。また上記したような放電生成物を除去するための加熱ヒータの設定は、実用化が難しい。
(3)特許文献3(特開2004−077963)では、感光体上の潜像を現像するために用いるトナーとして、イオン吸着性材料を表面に添加したトナーを用い、個別に放電生成物除去装置を設けずに、放電生成物を感光体表面から除去する提案がなされている。しかし上記したように、帯電チャージャ直下で最も放電生成物が堆積し、トナーは、現像より下流で、クリーニングより上流の感光体表面に存在しているため、感光体に付着した多量の放電生成物を帯電チャージャ直下で除去しきれない可能性がある。
(4)特許文献4(特開2005−227470)には、コロナ発生器のSUS材質の帯電グリッドが、グラファイト粒子、ニッケル粒子、アルミニウム化合物粒子と有機樹脂バインダーを含有する導電性塗料を塗布したもので構成されている。これにより、制御電極の放電生成物による腐食を防止し、生成した放電生成物を導電性皮膜が吸収して、被帯電体の汚染を抑制する提案がなされている。しかし皮膜中の微粒子が放電生成物を吸収する作用を利用してはいるが、吸収可能な量は粒子の吸着サイト(吸着質分子が吸着する、粒子の部位)の数で決まってしまうため、経時での使用により吸着サイトが早期に埋もれ、早期に効果が薄れてしまうことが予想される。
また、劣化した潤滑剤が感光体表面に付着することによって、上記した白抜けや濃度ムラが促進されるという問題もある。これは感光体に塗布された潤滑剤が、感光体に代わって帯電エネルギーを受けて、感光体を保護する際に、潤滑剤の分子鎖が切断されて低分子化し、これに極性を持つ空気中の水分や、放電生成物が結合して、感光体表面から除去されにくくなることによる。この結果、白抜けや濃度ムラが発生しやすくなる。この除去には、クリーニングブレードだけでは足りず、研磨剤などを用いる必要があるため、感光体の寿命が益々低下するなどの問題が生じる。
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は電子写真感光体の耐摩耗性が向上したことにより発生しやすい放電生成物などの付着による画像流れ、画像ボケなどの白抜けや濃度ムラを抑制し、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1) 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段および吸着剤塗布手段を用いて、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体に画像を形成するに当たり、前記電子写真感光体の表面に潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布することを特徴とする画像形成方法。
(2) 前記吸着剤がゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土の中から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(1)に記載の画像形成方法。
(3) 前記吸着剤がゼオライトであることを特徴とする前記(2)に記載の画像形成方法。
(4) 前記潤滑剤が有機酸の第2族〜第8族(非アルカリ)の金属の塩(金属石鹸)であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
(5) 電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段および潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布する吸着剤塗布手段を有する画像形成装置であり、前記吸着剤塗布手段が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体の表面に前記混合物を塗布する手段であることを特徴とする画像形成装置。
(6) 前記吸着剤塗布手段が、帯電手段の上流側であり、かつ、クリーニング手段の下流側に位置することを特徴とする前記(5)に記載の画像形成装置。
(7) 前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を反応硬化することにより形成されたものであることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の画像形成装置。
(8) 前記ラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基であることを特徴とする前記(7)に記載の画像形成装置。
(9) 前記ラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記(7)または(8)に記載の画像形成装置。
(10) 前記架橋型電荷輸送層の反応硬化は、加熱手段又は光エネルギー照射手段を用いて行われることを特徴とする前記(7)乃至(9)のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明によれば、放電生成物などの異物付着による白抜けや濃度ムラが抑制され、高耐久性と高画質化、画質安定化が実現できる画像形成方法および画像形成装置が提供される。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明に使用される電子写真感光体の断面図の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の画像形成装置は、耐摩耗性及び耐傷性が非常に高い架橋型電荷輸送層を表面に有する積層型感光体を用い、前記感光体表面に放電生成物を吸着する吸着剤を潤滑剤と共に塗布する吸着剤塗布手段を有する。さらに本発明の画像形成装置では、電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段を具備している。前記吸着剤は潤滑剤と共に塗布され、本発明の画像形成装置に用いられる導電性支持体及び感光層を有する前記感光体の感光層が、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層、および架橋型電荷輸送層を順次積層した構成をとることが好ましい。該架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を反応硬化することにより形成されたものを用いることが好ましい。本発明では、放電生成物を吸着するゼオライトなどの吸着剤が潤滑剤と共に前記感光体表面に塗布されることによって、耐摩耗性の向上によって発生しやすい放電生成物などの異物の付着を防止できるので、これによる白抜けや濃度ムラを抑制することができる。さらに、劣化した潤滑剤とともに前記した放電生成物などの異物をクリーニング手段で除去できるため、本発明に使用される吸着剤の劣化や吸着サイトが飽和することがなく、感光体表面に放電生成物が付着することを常に防ぐことが出来る。これによって、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した画像形成装置が得られる。なお記録紙は、印刷用として使用可能な紙、OHP用のシートなど印刷可能なフィルム状のシート体、合成樹脂を繊維状にしてシート体とした印刷可能な合成樹脂シートなどを含み、画像形成装置を用いて感光体上に形成した画像を転写し、記録が可能な紙状のシート体も含む意味で用いている。
この理由としては主に以下の3つの要因が挙げられる。
1つ目として、吸着剤を感光体表面に塗布することによって、放電生成物が感光体表面に付着するのを防止出来る。印刷中に発生した放電生成物は、感光体上に塗布された吸着剤に吸着され、感光体に付着することはない。さらに2つ目として、潤滑剤と共に帯電よりも上流であり、かつ、クリーニングよりも下流に、吸着剤が感光体に塗布される。これによって、印刷終了後に感光体上の帯電チャージャ直下部分に堆積する放電生成物が吸着剤に吸着されるため、感光体表面への付着を防止できる。さらに3つ目として、全ての吸着サイトが放電生成物によって覆われた吸着剤で満たされる前に、本発明では、潤滑剤とともに常に新しい吸着剤が感光体に塗布されるため、長期に亘って感光体表面への付着を防止し、感光体の感光特性を維持でき、これによって本発明の画像形成装置は、高耐久性と高画質化、さらには画質安定化を実現できる。
本発明では、吸着剤と潤滑剤との混合物を塗布することによって、劣化した潤滑剤を感光体表面から効率よく除去することが出来る。
これは、劣化した潤滑剤は空気中の水分や放電生成物と反応して極性を持った低分子となり、粘度が増加し、感光体に付着してしまうために除去されにくくなるが、潤滑剤と共にゼオライトなどの硬い微粒子の吸着剤が感光体表面にクリーニングブレードによって塗布されることによって、劣化した潤滑剤が容易に除去される。すなわちその際に、粘度が増加した潤滑剤を掻き取りながら除去されていくため、感光体表面に劣化した潤滑剤が堆積することはない。また本発明では、クリーニングブレードによるクリーニング後に感光体表面に新しい潤滑剤が吸着剤とともに塗布されるので、感光体表面に潤滑性を付与する機能や、帯電エネルギーによる感光体表面の劣化を保護する機能は、長期に亘って維持される。
また本発明では感光体の最表層に架橋型電荷輸送層を用いているので、吸着剤による摩耗の影響を抑制することが出来る。このように本発明は潤滑剤と吸着剤との混合物、好ましくは棒状体の混合物とし、これを感光体表面に塗布して使用している。このため、この潤滑剤と吸着剤との混合物は、好ましくは前記棒状体の先端部から終端部までが、ほぼ均一の濃度で成形されていてもよく、また、棒状体の先端部から終端部までが、連続的な濃度勾配を有して成形されていてもよい。
<画像形成方法及び装置>
本発明を適用できる画像形成装置の一例を示す部分断面概略図を、図1に示す。
本発明の画像形成装置は、耐摩耗性及び耐傷性が非常に高い架橋型電荷輸送層を表面に有する積層型感光体を用い、前記感光体表面に放電生成物を吸着する吸着剤を潤滑剤と共に塗布する吸着剤塗布手段を有する。さらに本発明の画像形成装置では、電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段を具備している。このような本発明の画像形成方法としては、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体に画像を形成するに当たり、前記電子写真感光体の表面に潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布することを特徴としている。また本発明の画像形成方法において、少なくとも感光体に負帯電、画像露光、現像の過程を経た後、転写体へのトナー画像の転写、定着、感光体表面のクリーニング、吸着剤を含有した潤滑剤塗布、除電というプロセスを実行可能である。なお静電潜像を直接転写体に転写し、現像する画像形成方法では、上記プロセスを必ずしも有していなくてもよい。
帯電手段としては、感光体を均一に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が好ましく用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
露光手段としては、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するための画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
現像手段としては、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するための現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に負帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には負の静電潜像が形成される。これを正極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また負極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
転写手段としては、感光体上で可視化されたトナー像を転写体9上に転写するための転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
クリーニング手段としては、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためのファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ、単独の方式又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
(吸着剤塗布手段)
吸着剤と潤滑剤との混合物を塗布する吸着剤塗布手段は、吸着剤と潤滑剤との混合物(棒状体)16、該吸着剤と潤滑剤との混合物16を掻き取り、感光体に塗布するローラ17および吸着剤を均一に塗布する塗布ブレード18で構成されている。
吸着剤と潤滑剤との混合物16を掻き取る手段として、前記したローラ17が挙げられ、ローラ17としてはブラシローラやスポンジローラなど任意のものを用いることが出来る。中でも、本装置においてはブラシローラが好ましい。
吸着剤塗布ブレードは公知のブレードを用いることが出来る。
[潤滑剤]
吸着剤と潤滑剤との混合物に用いられる潤滑剤としては、固体に成型された公知の潤滑剤を用いることが出来る。例えば下記のものあるいは下記の化合物の金属塩(いわゆる金属石鹸)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種単独で使用可能であり、また、これらを2種以上混合して使用することも出来る。
マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト等の無機潤滑剤;流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等の炭化水素系化合物;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の脂肪酸系化合物;ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド系化合物;脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコール等のエステル系化合物;セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系化合物;カルナウバロウ、カルデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等の天然ワックス;その他シリコーン化合物、フッ素化合物等が挙げられる。
中でも、金属石鹸を用いることが好ましい。金属石鹸とは、上記した脂肪酸等、有機酸の非アルカリ金属塩、すなわちアルカリ金属以外の第2族から第8族の金属の有機酸の塩であり、一般に市販されている、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸バリウム等を使用することが出来る。特に金属として亜鉛を含有する金属石鹸は、繰り返し使用時の電荷の蓄積性が他に比較して特に少ないので好ましい。
[吸着剤]
潤滑剤との混合物中に含有され、帯電時に生じる放電生成物を吸着する吸着剤としては、ゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土のうちの少なくとも1つより成る吸着剤を用いることが出来る。中でもゼオライトを用いることが有利である。
以下、本発明に使用される吸着剤として好ましく用いられるゼオライトについて説明する。
ゼオライトは多孔性のアルミノケイ酸塩である。アルミノケイ酸塩はケイ酸塩のSiの一部がAlに置換された縮合酸塩であり、ケイ酸塩の縮合酸の構造をとる。ゼオライトは3次元の骨格を形成することで、空隙が多量に出来る。多量に形成された空隙には水分子と交換性カチオンが含まれている。そして、カチオンの種類と数によって多様な構造をとることができる。このようなゼオライトは、吸着分離機能、イオン交換機能、触媒機能などの機能を有している。以下にこれらの機能について説明する。
吸着分離機能
ゼオライトは骨格内のアニオンと交換可能なカチオンにより形成される静電場によって、その表面は強い極性を有する。そのため、極性分子、不飽和分子などを分極し、静電気的に引き付ける等により、高い吸着能を示す。この極性効果は極性吸着剤であるシリカゲルや活性アルミナよりもはるかに強い。ゼオライトはこのような極性効果を有することによって、常温で水蒸気や硫化水素、アンモニア、二酸化硫黄、二酸化炭素などを強く吸着する。
イオン交換機能
ゼオライトは多量の交換可能なカチオンを含んでいるので、放電生成物のカチオン成分などをイオン吸着する。
触媒機能
ゼオライトは触媒としての機能があり、この機能を利用して、窒素酸化物の分解等が起こるものと期待される。
ゼオライトはこれら上記した機能を有しているため、感光体を帯電させる際に生じる放電生成物を除去したり、感光体への付着を防止することが出来ると考えられる。放電によって発生するオゾンや、窒素酸化物などの放電生成物が空気中の水分などと反応し、硝酸イオン、硝酸アンモニウムなどを形成したり、イオン化して感光体に付着し、白抜けや濃度ムラの発生を、ゼオライトによる吸着分離機能、イオン交換機能、触媒機能によって、吸着、分解する結果、感光体には放電生成物が付着せず、白抜けや濃度ムラを有効に防止することが出来る。
本発明に使用される吸着剤として好ましく用いられるゼオライトの種類は問わないが、ゼオライトは結晶系と陽イオンの種類により細孔の大きさが変化するため、吸着できる分子が異なる。そのため、目的物質(ターゲット物質)により結晶形と陽イオン種を選択することで、効果的な除去が可能である。結晶系にはA型・X型・Y型・L型・モルデナイト型・フェリエライト型・ZSM−5型・ベータ型などがあり、陽イオン種にはカリウム・ナトリウム・カルシウム・アンモニウム・水素などがある。また、ゼオライトを構成するアルミニウムとケイ素との比率により吸着能や触媒能は変化し、最適な比率にすることで目的物質の除去を効果的に行うことが出来る。
上記した潤滑剤と吸着剤との混合物16が潤滑剤塗布手段によって感光体1上に塗布される。潤滑剤と吸着剤との混合比率によって、放電生成物の吸着能や感光体表面の潤滑性が変化する。このため、最適な比率にすることで、目的物質の除去および、感光体の潤滑化を効果的に行うことが出来る。しかし、吸着剤が多すぎると感光体は傷つく可能性があり、摩耗量の増加につながる惧れがある。また、ゼオライトは帯電性を悪化させる可能性があるため、吸着剤と潤滑剤を混合する際の吸着剤含有量(重量%)は全量の30%以下(たとえば1〜30%)であることが好ましく、さらに、1%〜20%であることがより好ましい。潤滑剤を混合した吸着剤は感光体に粉体の状態で塗布しても良いが、棒状に成型したものを用い、これを、ブラシなどで掻き取って感光体に塗布する方が、制御が容易なので、より好ましい。潤滑剤を含有する吸着剤の成型は、押出成型などの一般的な方法を用いることが出来る。
除電手段
また本発明の画像形成装置では、感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段を用いることができる。
除電手段としては、除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
本発明の画像形成装置では、上記した各手段の他に、転写体9を感光体1より分離する分離手段を用いることができる。転写体9を感光体1から分離する分離手段としては、分離チャージャ11などの電気的な分離手段を用いたり、また、機械的な応力あるいは機械的に剥離するような機械的な分離手段、たとえば分離爪12が用いられる。また他の分離手段としては、電気的な分離手段として、静電吸着誘導分離などを挙げることができ、また機械的分離手段として、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等を挙げることができる。前記した分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
[感光体]
次に、本発明の画像形成装置に使用される感光体1について説明する。
本発明の画像形成装置に使用される感光体1は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した感光体である。
このような感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層している。
本発明に用いる感光体1の架橋型電荷輸送層について説明する。この架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を重合することにより形成されたものである。架橋型電荷輸送層を重合する前の架橋型電荷輸送層塗布液について、その構成材料を、まず説明する。
(電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー)
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造や、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記(1)〜(2)にそれぞれ示す、1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
CH=CH−X− ・・・・式(10)
ただし、式(10)中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、または−S−基を表わす。
上記置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
CH=C(Y)−X− ・・・・式(11)
ただし、式(11)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基)、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、同一でも異なっていてもよい。)であり、また、Xは上記式(10)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(アクリル塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物もアクリロイルオキシ基を有する化合物と同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA(ヒドロキシプロピルアクリレート)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO(エチレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、又、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくない。また、架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%であり、実質的には、塗工液固形分中の3官能以上のラジカル重合反応性モノマーの割合に依存する。モノマー成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
(1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)
本発明の架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、上記式(10)又は式(11)で示される官能基が挙げられる。さらに具体的には、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高く、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2010176091
Figure 2010176091
〔式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。〕
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子またはメチル基である。
Ar、Arは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、炭素数1〜12(以下、C〜C12などと記載する)とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 2010176091
〔式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい〕
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表わされるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 2010176091
で表わされ、Rは水素、アルキル基〔前記(2)で定義されるアルキル基と同じ〕、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3の整数を表わす。
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2010176091
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、これらの基が複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 2010176091
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれる。また3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)する。また主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーである。これは鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少ない。また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2010176091
Figure 2010176091
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Figure 2010176091
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Figure 2010176091
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また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋型電荷輸送層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。
また、80重量%を超えると電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き、高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を重合(硬化)したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー、及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
シロキサン骨格の繰り返し単位(ポリジメチルシロキサン骨格)が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが、前記したラジカル重合性モノマーまたは機能性モノマーとして挙げられる。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の架橋型電荷輸送層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を重合したものであるが、必要に応じてこの重合反応を効率よく進行させるために架橋型電荷輸送層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。このような重合開始剤として、以下の熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパン−ジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明に使用される架橋型電荷輸送層を形成するための塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも上記の電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を、後述する電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、係る架橋型電荷輸送層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えて硬化(重合硬化)させ、架橋型電荷輸送層を形成するものである。このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱エネルギーを印加する方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し架橋型電荷輸送層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、50mW/cm未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
また放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。
これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明に使用される架橋型電荷輸送層の膜厚は、1μm以上、15μm以下、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。15μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や重合条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まない場合や、不均一になる場合がある。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下で、この膜厚以下の架橋型電荷輸送層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型電荷輸送層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。架橋型電荷輸送層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、重合反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の架橋型電荷輸送層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分ができるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには架橋型電荷輸送層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
本発明は更に電荷発生層、電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を順次積層した構成において、最表面の架橋型電荷輸送層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成される。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性の感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもりが生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)架橋型電荷輸送層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)架橋型電荷輸送層の塗工方法の選択、(4)架橋型電荷輸送層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
架橋型電荷輸送層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20重量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物の構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10重量%以下にすることが好ましい。
架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。その結果、有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。このため架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒として、具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型電荷輸送層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、架橋型電荷輸送層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
架橋型電荷輸送層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
以下、本発明の電子写真感光体をその層構造に従い説明する。
<電子写真感光体の層構造>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明に用いられる電子写真感光体を表わす断面図である。
導電性支持体31上に、電荷発生機能を有する電荷発生層35と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層37と、さらに架橋型電荷輸送層39が積層された積層構造の感光体である。
<導電性支持体>
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として、用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として、良好に用いることができる。
<感光層>
(電荷発生層)
電荷発生層35は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファスセレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコン等が挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層35に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
また、電荷発生層35には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層35に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独で、または2種以上の混合物として用いることができる
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独で、または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
(電荷輸送層)
電荷輸送層37は電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層35上に塗布、乾燥することにより形成させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層35で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、架橋型電荷輸送層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層35と同様な塗工法が可能である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。このようにして形成された電荷輸送層上に、前述の架橋型電荷輸送層塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光照射の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋型電荷輸送層が形成される。
<中間層>
本発明の感光体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。このため、中間層としては架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性または難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
<下引き層>
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層33との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO(Indium−Tin−Oxide)、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<各層への酸化防止剤の添加>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型電荷輸送層、電荷輸送層、電荷発生層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た(融点:64.0〜66.0℃)。
Figure 2010176091
Figure 2010176091
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g、水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し、反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た(融点:117.5〜119.0℃)。
Figure 2010176091
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されて解釈されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。また比率は重量比率を表す。
評価装置としてはリコー製デジタル複写機imagio MP 1350の感光体ユニットを改造し、潤滑剤塗布装置(吸着剤塗布手段)をクリーニング装置と除電装置の間に設置した。
該評価装置(感光体線速=630mm/sec)を用い、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材(放電ワイヤーは直径50μmの金メッキを施したタングステン−モリブデン合金)を用いて下記の帯電条件で帯電し、画像露光光源として780nmのLD光(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度1200dpi)、現像は黒色トナーを用いた2成分現像を行ない、転写部材として転写ベルトを用い、除電は除電ランプを用いて、23℃−55%RHの常温常湿環境下で下記帯電条件にて書き込み率6%チャートを用い連続20万枚印刷を行ない、印刷後の画像評価および渦電流式膜厚測定装置を用いて印刷前後の感光体の膜厚を測定し、その差から摩耗量を算出し、摩耗量評価を行った。また、20万枚印刷前後で固形の吸着剤の重さを測定し、その差を計算することで消費量を求めた。そして、20万枚のラン後に、10℃、15%RHの低温低湿環境下で1000枚印刷した後、装置の電源を切り、一晩放置した後に中間調グレー画像を3枚印刷して画像評価(画像濃度ムラ評価)を行った。その後、感光体の画像濃度ムラが回復したことを確認した後に、27℃、80%RHの高温高湿環境下で1000枚印刷した後、装置の電源を切り、一晩放置した後に中間調グレー画像を3枚印刷して画像評価(白抜け評価)を行った。最後に、感光体の表面観察を行った。
(帯電条件)
ワイヤーへの印加電圧:−6.0KV
グリッド電圧:−860V(感光体の帯電電位は−850V)
次に、評価で用いる感光体の製造方法について述べる。
<製造例1>
電子写真感光体1の作製
[導電層形成]
φ100mm(直径100mm)、長さ380mmのAlシリンダーの支持体に、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層(導電性支持体31)を形成した。
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール(0.2/0.8) 20部
[中間層形成]
次に、この導電層上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、0.5μmの中間層を形成した。
[電荷発生層形成]
次にCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2度の9.0度、14.2度、23.9度、27.1度に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアン(TiOPc)4部と、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学工業製)2部及びシクロヘキサノン60部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し0.3μmの電荷発生層を形成した。
[電荷輸送層形成]
次に下記構造式のアミン化合物9部、
Figure 2010176091
下記構造式のアミン化合物1部、
Figure 2010176091
とビスフェノールZポリカーボネート(商品名パンライトTS−2050、帝人化成製)10部を、モノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン50部の混合溶媒に溶解した。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃、2時間乾燥し、20μmの電荷輸送層を形成した。
[架橋型電荷輸送層形成]
この電荷輸送層上に下記組成の架橋型電荷輸送層用塗工液をスプレー塗工し、20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cmを用い、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分間乾燥を加え5μmの架橋型電荷輸送層を設け、電子写真感光体を得た。
(架橋型電荷輸送層用塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製 分子量:296、官能基数:3、分子量/官能基数=99) 10部
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.144)
10部
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
1部
テトラヒドロフラン 100部
<製造例2>
電子写真感光体2の作製
製造例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記の電荷輸送性構造を有さない3官能のラジカル重合性モノマー10部に換え、光重合開始剤を下記の化合物1部に換えた以外は製造例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製 分子量:1263、官能基数:6、分子量/官能基数=211)
10部
光重合開始剤:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
1部
<製造例3>
電子写真感光体3の作製
製造例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記の電荷輸送性構造を有さない3官能のラジカル重合性モノマー10部に換えた以外は製造例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製 分子量:1947、官能基数:6、分子量/官能基数=325)
10部
<製造例4>
電子写真感光体4の作製
製造例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を例示化合物No.54、10部に換えた以外は製造例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<製造例5>
電子写真感光体5の作製
製造例1の架橋型電荷輸送層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能のラジカル重合性モノマーを下記の電荷輸送性構造を有さない2官能以上のラジカル重合性モノマー10部に換えた以外は製造例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性モノマー:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(和光純薬製 分子量:226、官能基数:2、分子量/官能基数=113) 10部
<製造例6>
電子写真感光体6の作製
[導電層形成]
φ100mm、長さ380mmのAlシリンダーを支持体とし、それに以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し140℃、30分熱硬化して15μmの導電層を形成した。
塗料
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール(0.2/0.8) 20部
[中間層形成]
次に、この導電層上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
[電荷輸送層形成]
次にCuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2度の9.0度、14.2度、23.9度、27.1度に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学工業製)2部及びシクロヘキサノン60部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、0.3μmの電荷発生層を形成した。
次に下記構造式のアミン化合物9部、
Figure 2010176091
下記構造式のアミン化合物1部
Figure 2010176091
とビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製)10部を、モノクロロベンゼン50部とジクロロメタン50部の混合溶媒に溶解した。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃、2時間乾燥し、25μmの電荷輸送層を形成した。
次に吸着剤について述べる。
<吸着剤例1>
以下の材料より構成される吸着剤と潤滑剤との微粉末を混合した。
吸着剤:ゼオライト 1部
潤滑剤:ステアリン酸亜鉛 9部
次に混合した微粉末を圧縮してペレットを作製した。
<吸着剤例2>
吸着剤例1のゼオライトを活性炭に換えた以外は吸着剤例1と同様にして吸着剤例2を作成した。
<吸着剤例3>
吸着剤例1のゼオライトをシリカゲルに換えた以外は吸着剤例1と同様にして吸着剤例3を作成した。
次に吸着剤塗布手段について述べる。
吸着剤塗布手段は、以下に示す吸着剤塗布手段1および吸着剤塗布手段3を用意した。
<吸着剤塗布手段1>
感光体の回転方向に対してクリーニング手段の下流で、かつ帯電手段の上流となる位置に設置した。
<吸着剤塗布手段2>
感光体の回転方向に対して転写手段の下流で、かつクリーニング手段の上流となる位置に設置した。
各評価に用いた感光体、吸着剤および吸着剤塗布手段の組み合わせを表3に示す。
Figure 2010176091
表中、吸着剤例なしとは、潤滑剤のみを感光体に塗布することを示す。
上記評価方法にて評価を行った結果を表4に示す。
[画像評価基準]
◎:良好
○:実用上問題ないレベル
×:実用上問題あり
Figure 2010176091
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体(紙など)
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
16 吸着剤(吸着剤入り潤滑剤)
17 ブラシローラ
18 塗布ブレード
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 架橋型電荷輸送層
特開2002−268488号公報 特開2002−123144号公報 特開2004−077963号公報 特開2005−227470号公報

Claims (10)

  1. 少なくと帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段および吸着剤塗布手段を用いて、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体に画像を形成するに当たり、前記電子写真感光体の表面に潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記吸着剤がゼオライト、シリカアルミナ系吸着剤、シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ、活性白土の中から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記吸着剤がゼオライトであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記潤滑剤が有機酸の第2族〜第8族の金属の塩であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、感光体上の可視像を直接又は中間転写体を介して記録紙に転写する転写手段、クリーニング手段、除電手段および潤滑剤と放電生成物を吸着する吸着剤の混合物を塗布する吸着剤塗布手段を有する画像形成装置であり、前記吸着剤塗布手段が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体の表面に前記混合物を塗布する手段であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記吸着剤塗布手段が、帯電手段の上流側であり、かつ、クリーニング手段の下流側に位置することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記架橋型電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を反応硬化することにより形成されたものであることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記ラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基より選ばれる少なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記ラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
  10. 前記架橋型電荷輸送層の反応硬化は、加熱手段又は光エネルギー照射手段を用いて行われることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
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