JP5333075B2 - 発光装置、自己走査型発光素子アレイの駆動方法、プリントヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、消費電力の増大を抑制できる、複数点灯可能な自己走査型発光素子アレイによる発光装置、自己走査型発光素子アレイの駆動方法、プリントヘッド、および画像形成装置を提供することを目的とする。
前記複数のスイッチ素子を構成するそれぞれのスイッチ素子を一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定する転送信号を当該複数のスイッチ素子に供給する転送信号発生部と、前記複数の発光素子を複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光素子に対応するスイッチ素子がオン状態にあるとき、発光素子を点灯させるときは対応する記憶素子をオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、発光素子を点灯させないときは対応する記憶素子をオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶素子を再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶素子に供給する記憶信号発生部と、前記グループ毎に、点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、前記点灯させる発光素子をオン状態にする点灯信号を前記複数の発光素子に供給する点灯信号発生部とを備える点灯制御部とを備えることを特徴とする発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続される複数の消去素子をさらに備え、前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光素子がオン状態になった後、前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子がオン状態にならないようにする消去信号を前記複数の消去素子に供給する消去信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記発光素子と前記記憶素子との間に、当該発光素子および当該記憶素子に対応して設けられ、当該発光素子および当該記憶素子のそれぞれと電気的に接続され、当該記憶素子がオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子を点灯しやすくする複数の保持素子をさらに備え、前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、オン状態の記憶素子に対応する保持素子をオン状態にする保持信号を前記複数の保持素子に供給する保持信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶サイリスタを構成するそれぞれの記憶サイリスタに対応して設けられ、前記記憶サイリスタと電気的に接続される複数の消去ダイオードをさらに備え、前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光サイリスタがオン状態になった後、前記点灯させる発光サイリスタに対応する記憶サイリスタがオン状態にならないようにするための消去信号を前記複数の消去ダイオードに供給する消去信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイの消去ダイオードは、ショットキーダイオードであることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記基板上に形成され、前記発光サイリスタと前記記憶サイリスタとの間に、当該発光サイリスタおよび当該記憶サイリスタに対応して設けられ、当該発光サイリスタおよび当該記憶サイリスタのそれぞれと電気的に接続され、前記記憶サイリスタがオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光サイリスタのしきい電圧をオン状態になりやすい値に変化させる複数の保持サイリスタをさらに備え、前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光サイリスタに対応する記憶サイリスタをオン状態にした後、オン状態の記憶サイリスタに対応する保持サイリスタをオン状態にする保持信号を前記複数の保持サイリスタに供給する保持信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続される複数の消去素子をさらに備えた自己走査型発光素子アレイの駆動方法であって、前記グループの前記点灯させる発光素子がオン状態になった後、前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子がオン状態にならないようにする消去信号を前記複数の消去素子に供給するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の自己走査型発光素子アレイの駆動方法である。
請求項10に記載の発明は、前記自己走査型発光素子アレイは、前記発光素子と前記記憶素子との間に、当該発光素子および当該記憶素子に対応して設けられ、当該発光素子および当該記憶素子のそれぞれと電気的に接続され、当該記憶素子がオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子を点灯しやすくする複数の保持素子をさらに備えた自己走査型発光素子アレイの駆動方法であって、前記グループの前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、オン状態の記憶素子に対応する保持素子をオン状態にする保持信号を前記複数の保持素子に供給するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の自己走査型発光素子アレイの駆動方法である。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、発光デューティが向上する。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、より発光デューティが向上する。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、複数点灯可能な自己走査型発光素子アレイを用いた発光装置の消費電力の増大を抑制できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、発光デューティが向上する。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、寄生サイリスタ動作を抑制できる。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、より発光デューティが向上する。
請求項8の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、複数点灯可能な自己走査型発光素子アレイを用いた発光装置の消費電力の増大を抑制できる。
請求項9の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、発光デューティが向上する。
請求項10の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、より発光デューティが向上する。
請求項11の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、消費電力の増大を抑制しつつ、プリントヘッドの小型化ができる。
請求項12の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、消費電力の増大を抑制しつつ、画像形成をより高速にできる。
<第1の実施の形態>
(画像形成装置)
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙上に定着され、画像形成装置1から排出される。
図2は、本実施の形態が適用されるプリントヘッド14の構成を示した図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、複数のLED(本実施の形態では発光サイリスタ)を備えた露光手段の一例としての発光部63、発光部63や発光部63を駆動する点灯制御部の一例としての信号発生回路100(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。ここでは、発光部63、信号発生回路100等およびこれらを搭載する回路基板62を発光装置65と呼ぶ。
図3は、発光装置65の上面図である。
図3に示すように、発光装置65の発光部63は、回路基板62上に、60個の発光チップC1〜C60を、主走査方向に二列に向かい合わせて千鳥状に配置して構成されている。なお、各発光チップC1〜C60を区別しないときは、発光チップC(C1〜C60)または発光チップCと記載する。他の用語についても同様とする。
発光チップC(C1〜C60)はすべて同一の構成を有している。そして、各発光チップC(C1〜C60)は、後述するように、発光素子の一例としての発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列(発光素子列)を備えている。そして、発光サイリスタ列は発光チップCの矩形の長辺に沿って配置されている。そして、発光サイリスタ列は長辺の一方に寄せて、発光サイリスタL1、L2、L3、…が等間隔になるように配置されている。ここで、奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…と、偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…とは、向かい合わせに配置されている。さらに、破線で示す発光チップCつなぎ目においても、発光サイリスタが主走査方向に対して等間隔に配置されるように、発光チップC1〜C60が配置されている。
さらに、発光装置65は、前述したように、発光部63を駆動する信号発生回路100を備えている。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは発光サイリスタLと呼ぶ。
信号発生回路100には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。そして、信号発生回路100は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや発光強度の補正等を行う。
また、回路基板62には、信号発生回路100の転送信号発生部120から発光部63に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を、それぞれ送信する第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107が設けられている。第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107は、それぞれが各発光チップC(C1〜C60)のφ1端子、φ2端子(後述の図5参照)に並列接続されている。
そして、回路基板62には、信号発生回路100の点灯信号発生部110から各発光チップC(C1〜C60)に点灯信号φI(φI1〜φI30)を送信する30本の点灯信号ライン109(109_1〜109_30)も設けられている。各点灯信号ライン109(109_1〜109_30)は、発光チップCの2個を組として、発光チップのφI端子(後述の図5参照)に接続されている。例えば、点灯信号ライン109_1は発光チップC1およびC2のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI1が共通に供給される。同様に、点灯信号ライン109_2は発光チップC3およびC4のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI2が共通に供給される。以下同様である。よって、点灯信号φIの数(30)は、発光チップCの数(60)の半分である。
このようにすることで、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)の数を、発光チップC(C1〜C60)の数より少なくしている。
そこで、本実施の形態は、発光チップC毎に点灯信号ライン109を設ける場合に比べて、点灯信号ライン109の数を減らしているので、プリントヘッド14の小型化、低コスト化に好ましい。
すなわち、点灯信号ライン109の数を減らすことが、プリントヘッド14の小型化、低コスト化に好ましい。
図5は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップC(C1〜C60)の回路構成を説明するための図である。ここでは、発光チップC1を例として説明するが、他の発光チップC2〜C60も発光チップC1と同じ構成を有している。
ここでは、発光サイリスタLと同様に、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ区別しないときは、転送サイリスタTと呼ぶ。同様に、記憶サイリスタM1、M2、M3、…をそれぞれ区別しないときは記憶サイリスタMと呼ぶ。
そして、電源線抵抗Rt1、Rt2、Rt3、…、電源線抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、結合ダイオードDc1、Dc2、Dc3、…、接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…、電源線抵抗Rt1、Rt2、Rt3、…、電源線抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…をそれぞれ区別しないときは、結合ダイオードDc、接続ダイオードDm、電源線抵抗Rt、電源線抵抗Rm、抵抗Rnと呼ぶ。
さて、本実施の形態では、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数が128であると、転送サイリスタT、記憶サイリスタMの数も128とした。同様に、接続ダイオードDm、電源線抵抗Rt、Rm、抵抗Rnの数も128である。接続ダイオードDm、電源線抵抗Rt、電源線抵抗Rm、抵抗Rnも同様にそれぞれの数は128である。しかし、結合ダイオードDcの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127である。
なお、図5では、転送サイリスタT1〜T8、記憶サイリスタM1〜M8、発光サイリスタL1〜L8を中心とする部分のみを示している。他の部分は、これらの部分の繰り返しとなる。
なお、転送サイリスタTについては、発光サイリスタLと同数である必要はなく、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
各転送サイリスタT1、T2、T3、…のアノード端子、各記憶サイリスタM1、M2、M3、…のアノード端子、各発光サイリスタL1、L2、L3、…のアノード端子は、発光チップC1(C)の基板80に接続されている(アノードコモン)。そして、これらのアノード端子は、基板80に設けられたVsub端子を介して電源ライン104(図4参照)に接続されている。この電源ライン104には、基準電位Vsubが供給される。
そして、各転送サイリスタT1、T2、T3、…の各ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、各転送サイリスタT1、T2、T3、…に対応して設けられた電源線抵抗Rt1、Rt2、Rt3、…をそれぞれ介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン105(図4参照)に接続されて、電源電位Vgaが供給される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して第2転送信号φ2の入力端子であるφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン107(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
各記憶サイリスタM1、M2、M3、…のカソード端子は、それぞれに対応して設けられた抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…を介して、記憶信号線74に接続されている。そして、記憶信号線74は、記憶信号φm(発光チップC1の場合はφm1)の入力端子であるφm端子に接続されている。このφm端子には、記憶信号ライン108(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号ライン108_1)が接続され、記憶信号φm(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号φm1)が供給される。
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…およびゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…を区別しないときは、それぞれゲート端子Gtおよびゲート端子Gmと呼ぶ。
さらに、各記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で接続されている。
次に、発光部63の動作について説明する。発光部63を構成する各発光チップC(C1〜C60)には、図4に示したように、一組の第1転送信号φ1および第2転送信号φ2が共通に供給される。一方、各発光チップC(C1〜C60)には、画像データに基づいた記憶信号φm(φm1〜φm60)が個別に供給される。そして、各点灯信号φI(φI1〜φI30)が、発光チップCの2個を組にして、組を構成する2個の発光チップCについては共通に、異なる組を構成する発光チップCについては個別に供給される。
各発光チップC(C1〜C60)は、一組の第1転送信号φ1、第2転送信号φ2により、発光サイリスタLを点灯(発光)/消灯させる一連の操作(点灯制御)が並行して行われる。ここでは、発光サイリスタLを点灯(発光)/消灯させる一連の操作を点灯制御と呼ぶ。
以上のことから、発光部63の動作は、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。以下では、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
図6は、発光チップC1(C)の動作の概要を説明する図である。
本実施の形態では、発光チップC1(C)において、予め定められた複数の発光点(発光サイリスタL)をグループとして点灯制御する。
図6では、8個の発光サイリスタLをグループとして点灯制御する場合を示している。すなわち、本実施の形態では、最大8個の発光サイリスタLを同時に点灯する。まず、図中において、発光チップC1(C)の左端からグループ#Aで示す8個の発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する(後述の図7に示す点灯制御期間T(#A))。次に、隣接するグループ#Bの8個の発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する(後述の図7に示す点灯制御期間T(#B))。次はグループ#Cで示す8個の発光サイリスタL17〜L24を点灯制御する。以下同様に、発光チップCに設けられた発光サイリスタLの数が128であれば、発光サイリスタL128に至るまで、8個の発光サイリスタLを点灯制御する。
すなわち、本実施の形態では、グループ#A、#B、…の順に、時系列的に点灯制御されるとともに、各グループ#A、#B、…では、複数の発光点(発光サイリスタL)が同時に点灯制御されている。
図7は、本実施の形態における発光チップC1(C)の動作を説明するためのタイミングチャートである。図7においては、時刻aから時刻yへとアルファベット順に時刻が経過するとし、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1、点灯信号φI1、および、記憶素子M1〜M8のそれぞれのアノード端子とカソード端子との間に流れる電流J(M1)〜J(M8)の波形を示している。
そして、図7では、図6に示した発光サイリスタLを8個ずつグループにして点灯制御する場合であって、グループ#Aの発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する時刻cから時刻yまでの点灯制御期間T(#A)を中心に示している。なお、点灯制御期間T(#A)の後には、グループ#Bの発光サイリスタL9〜L16が点灯制御される点灯制御期間T(#B)、グループ#Cの発光サイリスタL17〜L24が点灯制御される点灯制御期間T(#C)、…が引き続く。
図7では、点灯制御期間T(#A)において、グループ#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8の内、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL4、L6、L7は消灯のままとする場合を示している。すなわち、点灯制御期間T(#A)において画像データ“11101001”を印字するとする。
第1転送信号φ1は、点灯制御期間T(#A)の開始時刻cでローレベルの電位(以下、「L」と記す。)であって、時刻fで「L」からハイレベルの電位(以下、「H」と記す。)に移行し、時刻iで「H」から「L」に移行する。時刻kで「L」を維持する。そして、時刻cから時刻kまでの期間の波形と同じ波形を、時刻kから時刻wまでの間に3回繰り返している。そして、時刻wにおいて「L」であって、点灯制御期間T(#A)の終了時刻である時刻yでも「L」を維持する。
第2転送信号φ2は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻jで「L」から「H」に移行する。時刻kで「H」を維持する。そして、時刻cから時刻kまでの期間の波形を、時刻kから時刻wまでの間において3回繰り返している。そして、時刻wにおいて「H」であって、点灯制御期間T(#A)の終了時刻である時刻yでも「H」を維持する。
ここで、時刻cから時刻wまでにおいて、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較すると、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、時刻cから時刻kの期間において、共に「L」となる期間(例えば時刻eから時刻f、時刻iから時刻j)を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。そして、第2転送信号φ2は、第1転送信号φ1を時間軸上において時刻fから時刻jに相当する期間だけ右にずらした信号にあたる。この時刻fから時刻jに相当する期間は、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2の繰返し周期(後述する期間t1の2倍の期間)の1/2にあたる。
これらの書込期間T(M1)〜T(M8)は、同じ期間t1である。
その後、書込期間T(M5)は、画像データ“11101001”の5ビット目の“1”に対応して書込期間T(M1)の波形を繰り返す。次の、書込期間T(M6)および書込期間T(M7)は、それぞれ画像データ“11101001”の6ビット目および7ビット目の“0”に対応して書込期間T(M4)の波形を繰り返す。
そして、記憶信号φm1(φm)は、点灯制御期間T(#A)の終了時刻である時刻yまで「H」を維持する。
このように、記憶信号φm1(φm)は、書込期間T(M1)〜書込期間T(M8)のそれぞれの開始時刻に画像データに基づいて、「H」から「L」または「S」のいずれかへ移行する。そして、書込期間T(M8)を除いて、期間t2を経過した後に、「L」または「S」のいずれかから「H」に移行する。なお、書込期間T(M8)では、期間t2を経過したのち、「S」に移行する。書込期間T(M8)の動作については、後述する。
点灯信号φIは、点灯制御期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻tにおいて点灯レベル電位(以下、「Le」と記す。)に移行する。時刻xにおいて「Le」から「H」に移行する。そして、点灯制御期間T(#A)の終了時刻yで「H」を維持する。
なお、点灯レベル電位「Le」は、後述するように、画像データに基づいて点灯させるように指定された発光サイリスタLをターンオンさせうる電位レベル(点灯レベル)をいう。サイリスタのターンオンについては後述する。
発光チップC1(C)の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)の基本動作を説明する。これらのサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)とは、アノード端子(アノード)、カソード端子(カソード)、ゲート端子(ゲート)の3端子を有する半導体素子である。
以下では、例として、図5に示したように、サイリスタのアノード端子(Vsub端子)に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、一例として、GaAsやGaAlAs等のp型の伝導型を有する基板80上にGaAsやGaAlAs等のp型層、n型層、p型層、n型層を順次この順に積層したpnpn構造を有するとし、pn接合の拡散電位(順方向電位)Vdを1.3Vとする。
そして、サイリスタがターンオンすると、サイリスタのゲート端子は、アノード端子の電位に近い電位となる。アノード端子を基準電位Vsub(0V)に設定しているので、ゲート端子の電位は0Vに近い電位(後述するように、厳密には−0.2V)となる。なお、以下の説明では、理解しやすいように、ターンオンしたサイリスタのゲート端子の電位は0Vとして扱う。
また、サイリスタのカソード端子は拡散電位Vdとなる。ここでは、拡散電位Vdは1.3Vであるので、カソード端子の電位は−1.3Vとなる。
ここでは、オン状態のサイリスタは、カソード端子の電位が−1.3Vとなるので、カソード端子に印加される電位が−1.3V以下(≦−1.3V)であれば、オン状態が維持される。一方、カソード端子に−1.3Vを超える高い電位(>−1.3V)が印加されると、サイリスタはターンオフ(オフと記すこともある。)する。アノード端子とカソード端子とが同電位となるように、カソード端子を「H」(0V)にしてもターンオフする。サイリスタがターンオフすると、アノード端子とカソード端子との間にオン電流が流れない状態(オフ状態)になる。
このように、サイリスタは、オン状態においては、オン電流が流れた状態が維持され、ゲート端子の電位によってはターンオフできない。すなわち、サイリスタはオン状態になることにより、記憶または保持する機能を有している。
そして、前述したように、サイリスタのオン状態を維持する電位は、サイリスタをターンオンさせるに要する電位に比べて、低くてよい。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非発光)する。
以上説明したように、サイリスタは、ゲート端子の電位によりしきい電圧を変化させてターンオンさせ、カソード端子の電位を変化させてターンオフさせる。
では、図5を参照しつつ、図7のタイミングチャートにしたがって、発光部63および発光チップCの動作を説明する。
(初期状態)
図7に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、発光部63の発光チップC(C1〜C60)のそれぞれの基板80に設けられたVsub端子は基準電位Vsub(0V)(「H」)に設定される。一方、それぞれのVga端子は電源電位Vga(−3.3V)(「L」)に設定される(図4参照)。
そして、信号発生回路100の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に、記憶信号発生部130は記憶信号φm(φm1〜φm60)を「H」に、点灯信号発生部110は点灯信号φI(φI1〜φI30)を「H」に設定する(図4参照)。これにより、第1転送信号ライン106が「H」になり、発光部63の各発光チップCのφ1端子を介して、各発光チップCの第1転送信号線72が「H」になる。同様に、第2転送信号ライン107が「H」になり、各発光チップCのφ2端子を介して、各発光チップCの第2転送信号線73が「H」になる。記憶信号ライン108(108_1〜108_60)が「H」になり、各発光チップCのφm端子を介して、各発光チップCの記憶信号線74が「H」になる。さらに、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)が「H」になり、各発光チップCのφI端子を介して、各発光チップCの点灯信号線75が「H」になる。
以下では、発光チップC1を例として、発光チップCの動作を説明する。他の発光チップC2〜C60も、発光チップC1と同時に並行して、発光チップC1と同様に動作する。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…の各カソード端子は、「H」に設定された第1転送信号線72に、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…の各カソード端子は、「H」に設定された第2転送信号線73に接続されているので、各転送サイリスタTのアノード端子およびカソード端子はともに「H」である。よって、各転送サイリスタTはオフ状態にある。
同様に、記憶サイリスタM1、M2、M3、…の各カソード端子は、「H」に設定された記憶信号線74に接続されているので、アノード端子およびカソード端子がともに「H」となり、各記憶サイリスタMはオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタL1、L2、L3、…の各カソード端子は、「H」に設定された点灯信号φI(発光チップC1では点号信号φI1)に接続されているので、各発光サイリスタLのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、各発光サイリスタLはオフ状態にある。
一方、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLのゲート端子Gt、Gm、Glは、それぞれが電源線抵抗Rt、Rmを介して、電源線71に接続されている。電源線71は、Vga端子を介して電源電位Vgaが供給されている。よって、これらのゲート端子Gt、Gm、Glの電位は、後述する場合を除いて、電源電位Vga(−3.3V)になっている。
なお、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に結合ダイオードDc1を介して接続されているため、ゲート端子Gt1の電位(−1.3V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.3V)を引いた−2.6Vの電位になる。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3.9Vになる。
なお、記憶サイリスタM2のゲート端子Gm2(発光サイリスタL2のゲート端子Gl2も同じ)の電位は、ゲート端子Gt1に対して結合ダイオードDc1と接続ダイオードDm2とを介して接続されている。しかし、ゲート端子Gm2は電源線抵抗Rm2により電源線71に接続されているため、前述した転送サイリスタT3の場合と同様に、記憶サイリスタM2のゲート端子Gm2(発光サイリスタL2のゲート端子Gl2も同じ)の電位は−3.3Vになる。このため、記憶サイリスタM2(発光サイリスタL2)のしきい電圧は−4.6Vになる。3以上の番号の記憶サイリスタM(発光サイリスタL)についても同様である。
なお、時刻bにおいては、いずれの記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLは、記憶信号φm1(φm)および点灯信号φI1(φI)が「H」を維持しているので、ターンオンしない。すなわち、時刻bにおいて、ターンオンするのは転送サイリスタT1に限られる。
すると、結合ダイオードDc1のアノード端子の電位はゲート端子Gt1の電位の0Vとなり、結合ダイオードDc1のカソード端子であるゲート端子Gt2の電位は−2.6Vであったので、結合ダイオードDc1は順バイアス状態となる。すると、ゲート端子Gt2の電位はゲート端子Gt1の電位(0V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.3V)を引いた−1.3Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧は−2.6Vになる。
転送サイリスタT2のゲート端子Gt2に結合ダイオードDc2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は、これまでと同様に計算できて、−2.6Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−3.9Vになる。これに引き続く番号が4以上の転送サイリスタTのゲート端子Gtの電位は、電源電位Vga(−3.3V)の電位が維持され、番号が4以上の転送サイリスタTのしきい電圧は−4.6Vが維持される。
なお、隣接する記憶サイリスタM2のゲート端子Gm2(ゲート端子Gl2も同じ)は、直列に接続された結合ダイオードDc1および接続ダイオードDm2を介してゲート端子Gt1に接続されているので、−2.6Vの電位となる。よって、記憶サイリスタM2(発光サイリスタL2も同じ)のしきい電圧は−3.9Vとなる。
そして、番号が3以上の記憶サイリスタM(発光サイリスタL)のゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位は電源電位Vgaの−3.3Vを維持する。よって、番号が3以上の記憶サイリスタM(発光サイリスタL)のしきい電圧は−4.6Vを維持している。
以上説明したように、時刻bの直後(ここで直後とは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの状態の変化が生じた後をいう。)においては、転送サイリスタT1のみがオン状態にある。
時刻cにおいて、記憶信号φm1(φm)が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−2.6Vである記憶サイリスタM1がターンオンする。しかし、記憶サイリスタM2は、しきい電圧が−3.9V、3以上の番号の記憶サイリスタMは、しきい電圧が−4.6Vであるので、いずれもターンオンしない。
すなわち、時刻cにおいてターンオンするのは記憶サイリスタM1に限られる。
そして、電流J(M1)に示すように、ターンオンした記憶サイリスタM1にオン電流Joが流れる。
なお、記憶サイリスタM2のゲート端子Gm2(発光サイリスタL2のゲート端子Gl2)は、−1.3Vとなったゲート端子Gt2に順バイアスの接続ダイオードDm2を介して接続されているので、−2.6Vの電位となる。すると、記憶サイリスタM2(発光サイリスタL2)のしきい電圧は−3.9Vとなる。
しかし、番号が3以上の記憶サイリスタM(発光サイリスタL)は、ゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位が−3.3Vであるので、しきい電圧が−4.6Vである。
よって、時刻cにおいて、番号が2以上の記憶サイリスタMはターンオンできない。
また、点灯信号φI1(φI)は「H」(0V)であるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。
よって、時刻cの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
すなわち、サイリスタがターンオンすると、そのゲート端子(ゲート端子Gt、ゲート端子Gm、ゲート端子Gl)の電位が「H」(0V)になる。
すると、「H」(0V)の電位になったゲート端子にダイオードを介さないで接続されたゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−1.3Vになる。
次に、「H」(0V)の電位になったゲート端子に順バイアスのダイオード1段(1個)を介して接続されたゲート端子の電位は、「H」(0V)から拡散電位Vd(1.3V)を引いた−1.3Vになる。そして、このゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−2.6Vになる。
さらに、電位が「H」(0V)になったゲート端子に順バイアスのダイオード2段(直列接続した2個)を介して接続されたゲート端子の電位は、「H」(0V)から2×拡散電位Vd(1.3V)を引いた−2.6Vになる。そして、このゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−3.9Vになる。
そして、電位が「H」(0V)になったゲート端子にダイオード3段以上を介して接続されたゲート端子には、電源線抵抗(Rt、Rm)を介して電源電位Vga(−3.3V)が供給されるため、もはや電位が「H」(0V)になったゲート端子の影響が及ばず、電源電位Vga(−3.3V)の電位が維持される。そして、このゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.6Vとなる。
よって、電位が「H」(0V)になったゲート端子にダイオードを介さないで接続されたゲート端子を有するサイリスタおよび順バイアスのダイオード1段で接続されたゲート端子を有するサイリスタのみに着目すればよい。
以下では、それぞれのタイミングにおいて、電位が「H」(0V)になったゲート端子とダイオードを介さないで接続されたゲート端子を有するサイリスタおよび順バイアスのダイオード1段で接続されたゲート端子を有するサイリスタについてのみ説明する。そして、それぞれのタイミングにおいて、ターンオンしないサイリスタおよびこれらのサイリスタのゲート端子の電位、しきい電圧の変化についての説明を省略する。
なお、電位が「H」(0V)になったゲート端子と逆バイアスのダイオードで接続されたゲート端子には、電位が「H」(0V)になった影響は及ばないので、その逆バイアスのダイオードで接続されたゲート端子を有するサイリスタおよびそのゲート端子の電位、しきい電圧の変化についての説明も省略する。
時刻dにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「H」に移行する。すると、記憶サイリスタM1のアノード端子とカソード端子とが同じ電位「H」になるため、記憶サイリスタM1がターンオフする。このため、電流J(M1)に示すように、記憶サイリスタM1に電流は流れなくなる。
すると、ゲート端子Gm1は電源線抵抗Rm1を介して電源電位Vga(−3.3V)と接続されているので、ゲート端子Gm1の電位は「H」(0V)から電源電位Vga(−3.3V)へと変化を開始する。すなわち、ゲート端子Gm1の寄生容量に蓄積された電荷が、電源線抵抗Rm1を介して放電される。
時刻dの直後においては、転送サイリスタT1のみがオン状態を維持している。
転送サイリスタT2がターンオンすると、ゲート端子Gt2の電位が「H」(0V)まで上昇する。そして、ゲート端子Gt2に順バイアスのダイオード1段(結合ダイオードDc2)で接続された転送サイリスタT3のしきい電圧が−2.6Vになる。同様に、ゲート端子Gt2にダイオード1段(接続ダイオードDm2)で接続された記憶サイリスタM2および発光サイリスタL2のしきい電圧が共に−2.6Vになる。
このとき、転送サイリスタT1はオン状態を維持している。このため、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、…のカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位は、オン状態の転送サイリスタT1によって拡散電位Vd(−1.3V)に維持されている。よって、転送サイリスタT3はターンオンできない。
時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、T2が共にオン状態を維持している。
このとき、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rt1を介して電源線71に接続されているので、電源電位Vga(−3.3V)へ向かって変化し始める。これにより、転送サイリスタT1と転送サイリスタT2との間の結合ダイオードDc1は逆バイアスとなる。すると、ゲート端子Gt2が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt1には及ばなくなる。
すなわち、前述したように、逆バイアスのダイオードで接続されたゲート端子には、電位が「H」(0V)になった影響は及ばない。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態を維持している。
ゲート端子Gm1は、時刻dにおいて、「H」(0V)から電源電位Vga(−3.3V)へと電位変化を開始している。そして、この電位変化は、ゲート端子Gm1の寄生容量と電源線抵抗Rm1とによる時定数によって決まる。時刻gにおいて、ゲート端子Gm1の電位が−2V以上を維持していれば、記憶サイリスタM1のしきい電圧は−3.3V以上となる。よって、記憶信号φm1(φm)が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する時刻gにおいて、ゲート端子Gm1の電位が−2V以上を維持していれば、記憶サイリスタM1もターンオンする。
記憶サイリスタM1およびM2がターンオンすると、電流J(M1)およびJ(M2)に示すように、記憶サイリスタM1およびM2にオン電流Joが流れる。そして、ゲート端子Gm1およびGm2の電位は「H」(0V)になる。
すなわち、時刻gの直後においては、転送サイリスタT2、記憶サイリスタM1およびM2がオン状態となっている。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態を維持している。
このとき、転送サイリスタT2はオン状態を維持しているため、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、…のカソード端子が接続された第2転送信号線73の電位は、オン状態の転送サイリスタT2によって拡散電位Vd(−1.3V)に維持されている。よって、転送サイリスタT4はターンオンしない。
時刻iの直後においては、転送サイリスタT2、T3が共にオン状態を維持している。
このとき、転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、電源線抵抗Rt2を介して電源線71に接続されているので、「H」(0V)から電源電位Vga(−3.3V)へと変化し始める。そして、転送サイリスタT2と転送サイリスタT3との間の結合ダイオードDc2は逆バイアスとなり、ゲート端子Gt2には、「H」(0V)となったゲート端子Gt3の影響は及ばない。
時刻jの直後においては、転送サイリスタT3がオン状態を維持している。
すなわち、時刻kの直後においては、転送サイリスタT3、記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態を維持している。また、記憶サイリスタM4のしきい電圧は−2.6Vになっている。
そして、時刻lにおいて、記憶信号φm1(φm)が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、記憶サイリスタM1、M2、M3がターンオフし、電流J(M1)、J(M2)、J(M3)に示すように、記憶サイリスタM1、M2、M3に電流が流れなくなる。また、記憶サイリスタM1、M2、M3のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3の電位は0Vから電源電位Vga(−3.3V)へと変化を開始する。
しかし、記憶サイリスタM1、M2、M3のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3は、時刻lにおいて、0Vから−3.3Vへと電位の変化を開始している。そして、時刻mにおいて、これらのゲート端子Gm1、Gm2、Gm3の電位が−1.2V以上であれば、記憶サイリスタM1、M2、M3のしきい電圧は−2.5V以上となる。よって、時刻mにおいて、記憶信号φm1(φm)を「H」から「S」(−2.5V)に移行すると、記憶サイリスタM1、M2、M3が再びターンオンする。しかし、前述したように、記憶サイリスタM4はターンオンしない。
記憶信号φm1(φm)が「S」であることにより、ターンオンした記憶サイリスタM1、M2、M3を流れる電流は、電流J(M1)、J(M2)、J(M3)に示すように、オン電流Joより小さい保持電流Jsとなる。なお、記憶サイリスタM4は、オフ状態にあるので、電流J(M4)に示すように、電流が流れない。
よって、時刻mの直後においては、転送サイリスタT4および記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態となっている。
すなわち、記憶信号φmに、「H」および「L」に加えて「S」の電位レベルを設けることにより、記憶信号φmの「H」から「S」への移行において、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMを再びターンオンさせ、まだターンオンしていない記憶サイリスタMをターンオンさせないまま維持している。すなわち、「S」と「L」との二つのレベルを使い分けることにより、記憶サイリスタMをターンオンさせるか否かを選択している。
このことから、記憶信号φm1(φm)が「H」から「L」に、または「H」から「S」に移行するときに、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタM(例えば、記憶サイリスタM1、M2、M3)のゲート端子Gmの電位は、「S」の電位から拡散電位Vd(1.3V)を加えた値(「S」が−2.5Vの場合は−1.2V)以上であることが好ましい。
時刻rにおいて、記憶信号φm1(φm)を、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、記憶サイリスタM8は、書込期間T(M7)において、しきい電圧が−2.6Vになっているので、ターンオンする。そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm5の電位は、前述したように−1.2V以上を維持しているので、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5のそれぞれのしきい電圧は−2.5V以上である。よって、時刻rにおいて、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5もターンオンする。
すなわち、時刻rの直後においては、転送サイリスタT8および記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8がオン状態となっている。
このとき、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8には、電流J(M1)、J(M2)、J(M3)、J(M5)、J(M8)に示すように、保持電流Jsが流れる。一方、オフ状態にある記憶サイリスタM4、M6、M7には電流が流れない。
すなわち、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8のしきい電圧は−1.3V、発光サイリスタL4、L6、L7のしきい電圧は−4.6V、発光サイリスタL9のしきい電圧は−3.9V、10以上の番号の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.6Vである。
そして、記憶信号φm1(φm)は時刻uまで「S」を維持する。この間、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8はオン状態を維持している。
ここで、点灯信号φI1(φI)の電位「Le」を説明するため、発光サイリスタL8を点灯させない場合の、発光サイリスタL8のしきい電圧について説明する。
さて、転送サイリスタT8がオン状態にあることから、そのゲート端子Gt8の電位は0Vになっている。すると、発光サイリスタL8のゲート端子Gl8は順バイアスのダイオード1段(接続ダイオードDm8)でゲート端子Gt8と接続されているので、ゲート端子Gl8の電位は−1.3Vになる。よって、発光サイリスタL8のしきい電圧は−2.6Vとなる。すなわち、点灯させない発光サイリスタLのしきい電圧が−2.6Vになる場合があることが分かる。
すなわち、発光サイリスタL1、L2、L3、L5のしきい電圧は−1.3V、発光サイリスタL4、L6、L7のしきい電圧は−4.6V、発光サイリスタL8のしきい電圧は−2.6V、発光サイリスタL9のしきい電圧は−3.9V、10以上の番号の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.6Vである。
この間、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5はオン状態を維持している。
よって、点灯させる発光サイリスタLのみを点灯するためには、点灯信号φI1(φI)の点灯レベル電位「Le」を−2.6Vを超え且つ−1.3V以下(−2.6V<「Le」≦−1.3V)に設定することになる。
しかし、これらの発光サイリスタLを除く、他の発光サイリスタLは、しきい電圧が−2.6V以下であるので、ターンオンせず点灯(発光)しない。
よって、時刻tの直後においては、転送サイリスタT8、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8がオン状態を、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻uの直後においては、転送サイリスタT8、T9がオン状態を、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻vの直後においては、転送サイリスタT9がオン状態、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻xの直後においては、転送サイリスタT9がオン状態を維持している。
時刻y以降は、図6に示すグループ#B(発光サイリスタL9〜L16)を駆動する点灯制御期間T(#B)となる。点灯制御期間T(#B)は、画像データにより設定される記憶信号φm1(φm)を除いて、点灯制御期間T(#A)の繰り返しになる。すなわち、点灯制御期間T(#B)の時刻yは点灯制御期間T(#A)の時刻cに対応する。これ以降の点灯制御期間T(#C)、…についても同様である。
本実施の形態においては、転送サイリスタTは、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2によって、隣り合う2つの転送サイリスタTがともにオン状態になる期間(例えば時刻eから時刻fの間)を設けつつ、番号の順に、オフ状態からオン状態に、オン状態からオフ状態に設定されている。すなわち、転送サイリスタ列の番号の順にオン状態がシフトしていく。
そして、第1転送信号φ1または第2転送信号φ2のいずれか一方のみが「L」である期間では、1個の転送サイリスタTのみがオン状態になっている(例えば、図7における時刻fから時刻iでは転送サイリスタT2のみがオン状態)。
このように、1個の転送サイリスタTのみがオン状態になっているタイミングで、画像データに応じて発光サイリスタLを点灯させる(例えば、画像データが“1”)場合は記憶信号φmを「L」(−3.3V)に、発光サイリスタLを点灯させない(例えば、画像データが“0”)場合は記憶信号φmを「S」(−2.5V)に移行することで、画像データが“1”に対応する(点灯させる)発光サイリスタLと同じ番号の記憶サイリスタMのみをターンオンさせる。
ターンオンした記憶サイリスタMは、ターンオフしても再びターンオンするので、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)を記憶している。このとき、点灯させる発光サイリスタLの数は複数であってよい。予め定められたビット数に対応する書込期間T(M)が終了した時点(本実施の形態では、時刻r)において、点灯させる発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMがすべてターンオンしている。
記憶サイリスタMがオン状態にあると、同じ番号の発光サイリスタLのしきい電圧が上昇する(−1.3V)ので、点灯信号φIを「H」から「Le」に移行することで、オン状態にある記憶サイリスタMと同じ番号の発光サイリスタLがターンオンして点灯(発光)する。
すなわち、記憶サイリスタMは、画像データに応じて、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)を記憶する機能(ラッチ機能)を有している。
なお、発光サイリスタLが点灯(発光)すると、もはや記憶サイリスタMは点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)を記憶している必要がなくなる。記憶サイリスタMの記憶(ターンオンした履歴)のリセットには、記憶信号φmを「L」(−3.3V)に移行させても、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMが再びターンオンしないよう、記憶サイリスタMのしきい電圧を低く(<−3.3V)、すなわちゲート端子Gmの電位を低く(<−2V)すればよい。前述したように、ゲート端子Gmの電位は、ゲート端子Gmの寄生容量と電源線抵抗Rmとの時定数にしたがって変化する。よって、例えば、記憶信号φmを「H」にしたのち、再び「L」にするまでのリセット期間t5(図7の時刻uから時刻yまで)を、ゲート端子Gmの電位が低くなるように長く設定すればよい。
本実施の形態における駆動方法は、いわゆるダイナミック駆動である。記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位(電荷)が予め定められた電位を超えて低くならない間に、リフレッシュを繰り返すことで、ターンオンした記憶サイリスタMを記憶し続けるようにしている。
なお、ターンオンしない記憶サイリスタMのしきい電圧は、前述したように−3.9Vまたは−4.6Vに維持されているので、オフ状態を維持する。
1つの点灯期間t4において同時に点灯させる発光サイリスタLの数は、発光チップCに与えられる画像データから分かるため、同時に点灯する発光サイリスタLの数に応じて電流値を設定しうる。
記憶サイリスタM1は、前述したように、時刻cで、記憶信号φmが「H」から「L」に移行することによって、ターンオンする。そして、時刻dで、記憶信号φmが「L」から「H」に移行することによって、ターンオフする。すなわち、記憶サイリスタM1は、時刻cから時刻dの、記憶信号φmが「L」である期間t2で、オン状態となり、オン電流Joが流れる。時刻gで再びターンオンし、時刻hでターンオフする。この間も、オン電流Joが流れる。時刻kから時刻lにおいても同様である。時刻mで、記憶信号φmが「H」から「S」に移行することによって、ターンオンし、時刻nで、記憶信号φmが「S」から「H」に移行することによって、ターンオフする。この間は、カソード端子が「S」であるため、オン電流Joより少ない保持電流Jsが流れる。同様にして、時刻o、p、q、rから期間t2の間、それぞれオン電流Jo、保持電流Js、保持電流Js、オン電流Joが流れる。よって、時刻cから時刻sまでの期間に、オン電流Joが流れる期間が5回、保持電流Jsが流れる期間が3回ある。
記憶サイリスタM3においても、同様で、時刻cから時刻sまでの期間に、オン電流Joが流れる期間が3回、保持電流Jsが流れる期間が3回ある。
記憶サイリスタM5においても、同様で、時刻cから時刻sまでの期間に、オン電流Joが流れる期間が2回、保持電流Jsが流れる期間が2回ある。
記憶サイリスタM8においては、時刻cから時刻sまでの期間に、オン電流Joが流れる期間が1回ある。
これに対して、記憶サイリスタM4、M6、M7においては、時刻cから時刻sまでの期間に、オン電流Joも保持電流Jsも流れない。
よって、記憶サイリスタM1〜M8では、オン電流Joが流れる期間が15回、保持電流Jsが流れる期間が11回ある。
なお、点灯制御期間T(#A)において、保持電流Jsが流れる時刻sから時刻uの期間を無視する。
これらのことから、オン電流Joが流れる期間においては、抵抗Rnの両端に−2V(=(−3.3V)−(−1.3V))の電圧が印加される。よって、オン電流Joは2mA(=2V/1kΩ)となる。
一方、保持電流Jsが流れる期間においては、抵抗Rnの両端に−1.2V(=(−2.5V)−(−1.3V))の電圧が印加される。よって、保持電流Jsは1.2mA(=1.2V/1kΩ)となる。
すると、時刻cから時刻sにおける記憶サイリスタMおよび抵抗Rnで消費されるエネルギは、1.32nJ(=15回×10nsec×2mA×3.3V+11回×10nsec×1.2mA×2.5V)と算出される。
さて、時刻cから時刻sまでの期間は710nsである。そして、発光デューティ(発光期間t4が点灯制御期間T(#A)に占める割合)を50%として、点灯制御期間T(#A)を1420nsとする。
すると、上記の時刻cから時刻yにおける記憶サイリスタMおよび抵抗Rnで消費されるエネルギは、0.93mWの平均消費電力となる。
同様に、発光チップC1の発光サイリスタL9〜L16の点灯制御の点灯制御期間T(#B)において、発光部63の他の発光チップC2〜C60のそれぞれの発光サイリスタL9〜L16が、並行して点灯制御される。他の点灯制御期間T(#C)、…においても同様である。
また、点灯信号φI毎に点灯期間t4を設定して、発光チップC間の光量のばらつきを補正してもよい。
図8と、本実施の形態を適用した場合(図7)との違いは、時刻cから時刻rまでの記憶信号φm1(φm)の波形にある。ここでの駆動方法は、ダイナミック駆動ではなくスタティック駆動である。
本実施の形態を適用する場合で(図7)では、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位が予め定められた値を超えて低下する前に、記憶信号φmを「L」または「S」として再びターンオンさせ、ターンオンした記憶が失われないようにしていた。
これに対し、本実施の形態を適用しない場合では、ターンオンした記憶サイリスタMをターンオフせず、オン状態のままで維持している。
記憶信号φm1(φm)は、書込期間T(M1)の開始時刻cで「H」から「L」に移行し、時刻dで「L」から「S」に移行する。そして、書込期間T(M1)の終了時刻である時刻gまで「S」を維持する。書込期間T(M2)の開始時刻でもある時刻gで「S」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「S」に移行する。そして、書込期間T(M2)の終了時刻である時刻kまで「S」を維持する。つまり、書込期間T(M2)の波形は、書込期間T(M1)の波形の繰り返しである。そして、その後の書込期間T(M3)でも繰り返されている。
記憶信号φm1(φm)は、図8の時刻bの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態で、記憶サイリスタM1のしきい電圧が−2.6Vになっている。
時刻cにおいて、記憶信号φm1(φm)が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−2.6Vである記憶サイリスタM1がターンオンする。
次いで時刻dにおいて、記憶信号φm1(φm)が「L」から「S」に移行する。オン状態の記憶サイリスタM1のカソード端子の電位は、アノード端子の電位(「H」(0V))から拡散電位Vd(1.3V)を引いた−1.3Vである。すると、記憶サイリスタM1のオン状態は、−2.5Vの「S」で維持される。すなわち、時刻dにおいて、記憶サイリスタM1はターンオフしないでオン状態を維持している。
よって、電流J(M1)に示すように、記憶サイリスタM1には、時刻cから時刻dまではオン電流Joが流れ、時刻dから時刻fまでは保持電流Jsが流れる。
そして、書込期間T(M4)の開始時刻mでは、記憶信号φm1(φm)は「S」を維持している。このため、書込期間T(M3)において、しきい電圧が−2.6Vになった記憶サイリスタM4はターンオンできない。よって、時刻mでは、記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態を維持している。
そして、書込期間T(M5)において、記憶信号φm1(φm)が「H」から「L」に移行するので、記憶サイリスタM5がターンオンする。しかし、書込期間T(M6)および書込期間T(M7)では、記憶信号φm1(φm)が「S」を維持するので、記憶サイリスタM6、M7はターンオンできない。その後、書込期間(M8)の開始時刻rにおいて、記憶信号φm1(φm)が「H」から「L」に移行するので、記憶サイリスタM8がターンオンする。
そして、時刻rから時刻yまでの動作は、本実施の形態を適用した場合(図7)で説明したと同じである。すなわち、時刻tにおいて、点灯信号φI1(φI)が「H」から「Le」に移行すると、オン状態の記憶サイリスタMと同じ番号の発光サイリスタL(ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8)がターンオンして点灯(発光)する。
よって、図7で説明した本実施の形態の平均消費電力(0.93mW)は、図8に示した本実施の形態を適用しない場合(4.92mW)の1/5である。
すると、本実施の形態を適用しない場合に記憶サイリスタMの部分での消費電力は、発光サイリスタLの消費電力の10%にあたる。
よって、本実施の形態では、記憶サイリスタMの消費電力を減らしうるため、発光チップCの消費電力を抑制しうる。
なお、上記した消費電力は、一例であって、点灯する発光サイリスタLの数や、発光デューティによって変化する。
図9は、記憶サイリスタMのしきい電圧およびゲート端子Gmのターンオフ後の電位の変化の一例を示す図である。横軸はターンオフ後の時間(nsec)、縦軸は、ゲート端子Gmの電位(V)および記憶サイリスタMのしきい電圧(V)である。これまで、オン状態の記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位を0Vとしてきたが、ここでは実際の値である−0.2Vとした(ターンオフ後の時間0nsecにおけるゲート端子の電位)。
また、ゲート端子Gmの寄生容量を25pF、電源線抵抗Rmを20kΩとした。よって、記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位は時定数500nsec(=25pF×20kΩ)で低下することになる。
ゲート端子Gmの電位が−1.2V、すなわち記憶サイリスタMのしきい電圧が−2.5Vに低下するのは、図9から、ターンオフ後200nsecである。
よって、図7で示す本実施の形態において、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMを再びターンオンさせるには、期間t3(例えば、図7の時刻dから時刻g、時刻lから時刻mなど)を200nsec以内とすれよい。期間t3が200nsecを超えると、しきい電圧が−2.5Vを超えて低くなるので、もはや記憶信号φm1(φm)の「S」(−2.5V)では再びターンオンせず、記憶サイリスタMからターンオンした記憶が失われる。
よって、時定数は、記憶サイリスタMのゲート端子Gmの寄生容量および電源線抵抗Rmの値より調整しうる。
図10は、第2の実施の形態における発光チップC1(C)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
第2の実施の形態では、発光装置65における信号発生回路100の構成および信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との間の配線構成は、図4に示した第1の実施の形態と同じである。また、発光チップCの回路構成は、図5に示した第1の実施の形態と同じである。
第1の実施の形態では、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位が予め定められた電位を超えて低下する前に、画像データの次のビットを書き込むための「L」または「S」の信号(記憶信号φm)を供給していた。
また、点灯制御期間T(#B)の開始時点(図7および図10の時刻y)においては、点灯制御期間T(#A)における記憶サイリスタMからターンオンの記憶がリセットされていることが必要である。これには、点灯制御期間T(#A)において最後に記憶信号φm1(φm)を「S」から「H」に移行した時刻uから、点灯制御期間T(#B)において最初に記憶信号φm1(φm)を「H」から「L」または「S」にする時刻yまでのリセット期間t5において、ゲート端子Gmの電位が−2Vを超えて低下していることを要す。図9で示した例において、ゲート端子Gmの電位が−2Vを超えて低下するには、ターンオフ後400nsec以上を要する。よって、リセット期間t5が長過ぎることがありうる。
そこで、本実施の形態では、記憶信号φmの記憶サイリスタMに画像データを書き込む書込期間T(M)内に、ターンオンした記憶をリフレッシュするため、「S」となる期間を新たに追加した。このようにすることで、期間t3を、記憶サイリスタMのゲート端子Gmの寄生容量および電源線抵抗Rmによる時定数により決まる期間より長く設定しうる。
時刻αにおける発光チップC1(C)の動作は、第1の実施の形態の図7の時刻mにおける動作において説明したと同様である。すなわち、時刻cでターンオンし、時刻dでターンオフした記憶サイリスタM1は、時刻αにおいて、ゲート端子Gm1の電位が−1.2V以上であれば、しきい電圧が−2.5V以上である。よって、時刻αにおける記憶信号φm1(φm)の「H」(0V)から「S」(−2.5V)への移行により、記憶サイリスタM1は再びターンオンする。同様に、時刻βでターンオフした記憶サイリスタM1は、時刻gにおいて、ゲート端子Gm1の電位が−1.2V以上であれば、しきい電圧が−2.5V以上となって、時刻gにおいて、記憶信号φm1(φm)の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行により、記憶サイリスタM1は再びターンオンする。
他の書込期間T(M2)〜T(M7)においても、同様である。これらについては、詳細な説明を省略する。なお、書込期間T(M8)においては、第1の実施の形態と同じである。
また、本実施の形態では、書込期間T(M)の途中に、リフレッシュための「S」とする期間を1回設けているが、複数回設けてもよい。ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMが再度ターンオンするように、リフレッシュのための「S」の期間を供給すればよい。このようにすることで、期間t3の長さとリセット期間t5とを個別に設定しうる。
図11は、本実施の形態における発光装置65における信号発生回路100の構成および信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との配線構成を示した図である。
本実施の形態と図4に示した第1の実施の形態との違いは、本実施の形態において、信号発生回路100が、各発光チップC(C1〜C60)に対して、ゲート端子Gmの寄生容量に蓄積した電荷を消去するための消去信号φeを送信する消去信号発生部140を新たに備えたことにある。
そして、回路基板62には、図4に示した第1の実施の形態に加えて、信号発生回路100の消去信号発生部140から発光部63に、消去信号φeを送信する消去信号ライン102が新たに設けられている。消去信号ライン102は、各発光チップC(C1〜C60)のφe端子(後述の図12参照)に並列接続されている。
他の構成は、図4に示した第1の実施の形態と同じである。よって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
第1の実施の形態では、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位は、ターンオフ後0Vから−3.3Vへと変化する。この変化の速度は、記憶サイリスタMのゲート端子Gmの寄生容量および電源線抵抗Rmによる時定数で決まっていた。このため、記憶サイリスタMのターンオンした記憶をリセットするためのリセット期間t5を、期間t3とは別に設定することができなかった。そこで、本実施の形態では、消去信号φeにより、ゲート端子Gmの端子の電位を強制的に設定することにより、リセット期間t5を短くするようにしている。
本実施の形態と図5に示した第1の実施の形態との違いは、消去素子の一例としての消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…を新たに備えていることにある。
発光チップC1(C)は、基板80上に、列状に配列された消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…を備えている。消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…は、ショットキーダイオードであるのが好ましい。消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…をそれぞれ区別しないときは、消去ダイオードSdと呼ぶ。
消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…のそれぞれのアノード端子は、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続されている。
消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…のそれぞれのカソード端子は、消去信号線76に接続されている。そして、消去信号線76は、消去信号φeの入力端子であるφe端子に接続されている。このφe端子には、消去信号ライン102(図11参照)が接続され、消去信号φeが供給される。
本実施の形態は、第1の実施の形態に、消去ダイオードSdが加えられている点で異なるのみである。そこで、第1の実施の形態での説明と同様に、発光部63の動作は、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。よって、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
図13においても、時刻aから時刻yへとアルファベット順に時刻が経過するとする。図13では、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1、消去信号φe、点灯信号φI1、および、記憶素子M1〜M8のそれぞれに流れる電流J(M1)〜電流J(M8)を示している。
そして、図13では、図6に示した発光サイリスタLを8個ずつグループにして点灯制御する場合において、グループ#Aの発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する点灯制御期間T(#A)を示している。なお、図示しないが、点灯制御期間T(#A)の後には、グループ#Bの発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する点灯制御期間T(#B)、グループ#Cの発光サイリスタL17〜L24を点灯制御する点灯制御期間T(#C)、…が続く。
なお、図13の点灯制御期間T(#A)においては、第1の実施の形態と同様に、グループ#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8の内、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL4、L6、L7は非点灯(消灯)のままとしている。すなわち、画像データ“11101001”を印字するとする。
図13において、消去信号φeを除く他の信号の波形は、図7で示したと同じである。よって、消去信号φeについてのみ説明する。
消去信号φeは、点灯制御期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻vで「H」から「L」に移行する。そして、時刻wにおいて「L」から「H」に移行する。そして、点灯制御期間T(#A)の終了時刻yにおいて「H」を維持する。
すなわち、消去信号φeは、点灯制御期間T(#A)において、1回のみ「L」になる。
前述したように、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位は、0Vから−3.3Vへと変化していく。この変化の速度は、ゲート端子Gmの寄生容量と電源線抵抗Rmとによる時定数により決まる。前述したように、ゲート端子Gmの電位の移行が緩やかであると、期間t3を長く設定できる点で好ましいが、リセット期間t5が長くなる点で好ましくない。
そこで、本実施の形態では、リセット期間t5を制御するため、ゲート端子Gmの寄生容量に蓄積した電荷を強制的に消去し、記憶サイリスタMのターンオンした記憶を消去する消去信号φeを設けている。
なお、図12では、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLなど、それぞれ番号が1〜4の部分のみを示している。5より大きい番号の部分もこれらの繰り返しである。以下の説明では、番号が1〜4の部分に限らず、これら以外の番号の素子についても触れる。
(初期状態)
図13に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、発光部63の発光チップC(C1〜C60)のそれぞれのVsub端子は基準電位Vsub(0V)に設定される。一方、それぞれのVga端子は電源電位Vga(−3.3V)に設定される(図11参照)。
そして、信号発生回路100の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に、記憶信号発生部130は記憶信号φm(φm1〜φm60)を「H」に、消去信号発生部140は消去信号φeを「H」に、点灯信号発生部110は点灯信号φI(φI1〜φI30)を「H」に設定する(図11参照)。
消去信号φeを除く、他の信号による発光部63および発光チップC(C1〜C60)の状態は、第1の実施の形態において説明したと同様である。以下では、消去信号φeに関連する部分を中心に説明する。
以下では、発光チップC1を例として、発光チップCの消去信号φeに関連する動作を中心に説明する。他の発光チップC2〜C60は、発光チップC1と並行して、発光チップC1と同様に動作する。
一方、第1の実施の形態において説明したように、順バイアスされたスタートダイオードDsおよび接続ダイオードDm1により、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1の電位は−2.6Vになる。番号が2以上の記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、「H」(0V)に設定されたスタートダイオードDsのアノード端子に、順方向ダイオード3段以上で接続されている(例えば、ゲート端子Gm2は、スタートダイオードDs、結合ダイオードDc1、接続ダイオードDm2の3段)ので、これらのゲート端子Gmの電位は電源電位Vga(−3.3V)となる。消去ダイオードSdのアノード端子は、ゲート端子Gmに接続されている。
したがって、いずれの消去ダイオードSdも逆バイアスになる。よって、ゲート端子Gmの電位は、消去信号φeの影響を受けない。
点灯制御期間T(#A)における時刻bから時刻sまでの期間は、記憶サイリスタM1〜M8に対する画像データの書込みの期間である。この期間において、消去信号φeは「H」を維持している。これにより、消去ダイオードSdのカソード端子の電位は、0V(「H」)となっている。一方、消去ダイオードSdのアノード端子が接続されたゲート端子Gmの電位は0Vから−3.3Vの間の値となる。ゲート端子Gmの電位が0Vになるのは、記憶サイリスタMがターンオンしたときである。一方、−3.3Vになるのは、記憶サイリスタMがターンオンすることなく、オフ状態に維持されたときである。そして、ターンオン後ターンオフした記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、0Vから−3.3Vへと変化するので、0Vから−3.3Vの間の値となる。
すると、時刻bから時刻sまでの期間において、消去ダイオードSdは少なくとも順バイアスとなることがない。よって、ゲート端子Gmの電位は、消去信号φeの影響を受けることがない。
このことから、時刻bから時刻sまでの期間における発光チップC1(C)の動作は、第1の実施の形態と同じとなる。
前述したように、「S」を−2.5V、「L」を−3.3Vとする本実施の形態では、記憶サイリスタMのターンオンした記憶をリセットするためには、ゲート端子Gmの電位が、−2Vより低くなることを要する。
Alを電極に用いたショットキーダイオードの順方向電位Vs(0.8V)はpn接合の拡散電位Vd(1.3V)より小さいため、ターンオンした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位をより低い電位に設定しうる。なお、ショットキーダイオードの電極としてはAlの他に、Au、Pt、Ti、Mo、W、WSi、TaSiなどを用いうる。
なお、記憶サイリスタM4、M6、M7のゲート端子Gm4、Gm6、Gm7の電位は、−3.3Vから変化しない。
本実施の形態に用いるサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、記憶サイリスタM)は、詳細な説明は省略するが、基板上に、p型の第1半導体層、n型の第2半導体層、p型の第3半導体層、n型の第4半導体層を順に積層したpnpn構造を用いて構成しうる。この場合、最上層のn型の第4半導体層と、この層に連続するp型の第3半導体層との間のpn接合をダイオードとして使用しうる。しかし、このダイオードの下には、n型の第2半導体層とp型の第1半導体層とが存在している。よって、n型の第4半導体層とp型の第3半導体層との間のpn接合をダイオードとし利用しようしても、p型の第1半導体層、n型の第2半導体層、p型の第3半導体層、n型の第4半導体層とで構成されるpnpn構造のサイリスタ(寄生サイリスタ)がターンオン(ラッチアップ)するおそれがある。
図14は、第4の実施の形態における発光装置65における信号発生回路100の構成および信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との配線構成を示した図である。
本実施の形態と、図4に示した第1の実施の形態との違いは、本実施の形態において、信号発生回路100が、各発光チップC(C1〜C60)に対して、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)を一時的に保持するための保持信号φbを送信する保持信号発生部150を新たに備えたことにある。
このため、回路基板62には、図4に示した第1の実施の形態に加えて、信号発生回路100の保持信号発生部150から発光部63に保持信号φbを送信する保持信号ライン103が新たに設けられている。保持信号ライン103は、各発光チップC(C1〜C60)のφb端子(後述の図15参照)に並列接続されている。
他の構成は、図4に示した第1の実施の形態と同じである。よって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
しかし、第1の実施の形態では、発光サイリスタLの点灯期間t4が終了するまで、点灯制御期間T(#B)に対応する画像データを記憶サイリスタMに書き込めない。
そこで、本実施の形態では、あるグループの発光サイリスタLの点灯期間t4においても、次のグループについての書き込みを可能としている。これにより、単位時間当たりの発光期間の割合である発光デューティを向上させうる。
本実施の形態の発光チップC1は、図5に示した第1の実施の形態の発光チップC1に加えて、基板80上に列状に配列された保持素子の一例としての保持サイリスタB1、B2、B3、…からなる保持サイリスタ列(保持素子列)を備えている。そして、発光チップC1は、第1の実施の形態の発光チップC1に加えて、接続ダイオードDb1、Db2、Db3、…を備えている。さらに、発光チップC1は、第1の実施の形態の発光チップC1に加えて、電源線抵抗Rb1、Rb2、Rb3、…、抵抗Rc1、Rc2、Rc3、…を備えている。
ここでは、第1の実施の形態でと同様に、保持サイリスタB1、B2、B3、…をそれぞれ区別しないときは、保持サイリスタBと、接続ダイオードDb1、Db2、Db3、…、電源線抵抗Rb1、Rb2、Rb3、…、抵抗Rc1、Rc2、Rc3、…をそれぞれ区別しないときは、接続ダイオードDb、電源線抵抗Rb、抵抗Rcと呼ぶ。
なお、保持サイリスタBとは、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLと同様に、アノード端子(アノード)、カソード端子(カソード)、ゲート端子(ゲート)の3端子を有する半導体素子である。
そして、第1の実施の形態のおける転送サイリスタT1、T2、T3、…等と同様に、保持サイリスタB1、B2、B3、…は、図15中において、左側からB1、B2、B3、…のように番号順で配列されている。接続ダイオードDb1、Db2、Db3、…、電源線抵抗Rb1、Rb2、Rb3、…、抵抗Rc1、Rc2、Rc3、…も、同様に、図中左側からそれぞれ番号順で配列されている。
他の構成は、図5に示した第1の実施の形態と同じである。よって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
上述したように、本実施の形態の発光チップC1では、保持サイリスタB、接続ダイオードDb、電源線抵抗Rb、抵抗Rcが加わった構成となっている。そこで、これらの新たに加わった各素子を中心に電気的な接続を説明する。
各保持サイリスタB1、B2、B3、…のアノード端子は、各転送サイリスタT1、T2、T3、…のアノード端子等と同様に、発光チップC1の基板80に接続されている。そして、これらのアノード端子は、基板80に設けられたVsub端子を介して電源ライン104(図14参照)に接続されている。この電源ライン104には、基準電位Vsubが供給される。そして、保持サイリスタB1、B2、B3、…のゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、…は、各保持サイリスタB1、B2、B3、…に対応して設けられた電源線抵抗Rb1、Rb2、Rb3、…をそれぞれ介して電源線71に接続されている。
ここでも、ゲート端子Gb1、Gb2、Gb3、…を区別しないときは、ゲート端子Gbと呼ぶ。
そして、保持サイリスタBのゲート端子Gbと発光サイリスタLのゲート端子Glとが接続されている。
本実施の形態は、第1の実施の形態と、保持サイリスタBが加えられている点で異なるが、第1の実施の形態での説明と同様に、発光部63の動作は発光チップC1の動作を説明すれば足りる。よって、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
そして、図16では、図6に示した発光サイリスタLを8個ずつグループにして点灯制御する場合において、グループ#Aの発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する点灯制御期間T(#A)(時刻cから時刻y)と、グループ#Bの発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する点灯制御期間T(#B)の一部(時刻y以降)とを示している。なお、図示しないが、点灯制御期間T(#B)の後には、グループ#Cの発光サイリスタL17〜L24が点灯制御される点灯制御期間T(#C)などが続く。
図16と図7とを比較すると、本実施の形態における点灯制御期間T(#A)の期間(時刻cから時刻y)が、第1の実施の形態における点灯制御期間T(#A)より短くなっている。すなわち、グループ#Aの発光サイリスタL1〜L8の点灯期間t4が終了する時刻aaより前である時刻yにおいて、点灯制御期間T(#B)が開始している。
なお、図16の点灯制御期間T(#A)においては、第1の実施の形態と同様に、グループ#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8の内、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL4、L6、L7は非点灯(消灯)のままとし、さらに点灯制御期間T(#B)では、発光サイリスタL9、L11、L12を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL10は消灯のままとする場合を例示している。すなわち、点灯制御期間T(#A)では画像データ“11101001”を、点灯制御期間T(#B)では“1011…”を印字するとする。
時刻aから時刻sまでの期間は、保持信号φbを除くと、第1の実施の形態での図7と同じである。
第4の実施の形態において加えられた保持信号φbは、点灯制御期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻tで「H」から「L」に移行する。時刻vで「L」から「H」に移行する。そして、点灯制御期間T(#A)の終了時刻yにおいて「H」を維持する。
点灯信号φI1は、点灯制御期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、点灯制御期間T(#A)における時刻uで「H」から「Le」に移行し、点灯制御期間T(#B)における時刻aaで「Le」から「H」に移行する。
第1の実施の形態では、それぞれグループの発光サイリスタLの点灯期間t4は点灯制御期間(例えば点灯制御期間T(#A))内にあった。しかし、本実施の形態では、発光サイリスタLの点灯期間t4(時刻uから時刻aa)は、二つのグループの点灯制御期間(例えばT(#A)とT(#B))にまたがっている。
以上の点を除けば、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1(φm)、記憶サイリスタMを流れる電流J(M1)〜J(M8)の波形は、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(初期状態)
図16に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、発光部63の発光チップC(C1〜C60)のそれぞれのVsub端子は基準電位Vsub(0V)に設定される。一方、それぞれのVga端子は電源電位Vga(−3.3V)に設定される(図14参照)。
そして、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm(φm1〜φm60)、保持信号φbがそれぞれ「H」に、点灯信号φI(φI1〜φI30)が「H」に設定される。すると、第4の実施の形態において追加された保持信号ライン103も「H」になり、各発光チップCのφb端子を介して、各発光チップCの保持信号線77が「H」になる。
他のサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)は第1の実施の形態と同様であるから、すべてのサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタB、発光サイリスタL)がオフ状態にある。
そして、転送サイリスタT2のゲート端子Gt2および記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1のそれぞれの電位は−2.6Vになっている。しかし、保持サイリスタB1のゲート端子Gb1は、−1.3Vのゲート端子Gt1と順バイアスダイオード2段(接続ダイオードDm1、接続ダイオードDb1)を介して接続されているので、ゲート端子Gt1が−1.3Vである影響は及ばず、ゲート端子Gb1の電位は電源電位Vga(−3.3V)になっている。他の保持サイリスタBのゲート端子Gbの電位も電源電位Vga(−3.3V)になっている。よって、保持サイリスタBのしきい電圧は−4.6Vである。
時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、第1の実施の形態と同様に、転送サイリスタT1がオン状態になる。
時刻cから時刻sにおける記憶サイリスタMに関する動作は、第1の実施の形態と同様である。なお、図16の時刻cから時刻sは、図7の時刻cから時刻sと同じとしている。
書込期間T(M1)の開始時刻cで記憶サイリスタM1がターンオンすると、ゲート端子Gm1が「H」(0V)になり、電流J(M1)に示すように、記憶サイリスタM1にオン電流Joが流れる。保持サイリスタB1のゲート端子Gb1は、順バイアスの接続ダイオードDb1を介して、ゲート端子Gm1と接続されている。このため、保持サイリスタB1のゲート端子Gb1の電位は−1.3Vになり、保持サイリスタB1のしきい電圧は−2.6Vになる。また、ゲート端子Gb1は発光サイリスタL1のゲート端子Gl1とも接続されているので、発光サイリスタL1のしきい電圧も−2.6Vになる。
しかし、時刻cにおいて、保持信号φbは「H」(0V)であるので、保持サイリスタB1はターンオンしない。また、点灯信号φI1(φI)も「H」(0V)であるので、発光サイリスタL1もターンオンせず、点灯(発光)しない。
なお、保持サイリスタB2のゲート端子Gb2は、「H」(0V)になったゲート端子Gt1と順バイアスのダイオード3段(結合ダイオードDc1、接続ダイオードDm2、接続ダイオードDb2)で接続されているので、ゲート端子Gt1が「H」(0V)になった影響は及ばず、電源電位Vga(−3.3V)を維持する。よって、保持サイリスタB2のしきい電圧は−4.6Vである。番号が3以上の保持サイリスタBについても同様である。また、番号が2以上の発光サイリスタLについても同様である。
時刻sで、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に移行しても、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8のオン状態は維持される。
ターンオンした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位は0Vになるので、このゲート端子Gmに順バイアスのダイオード1段(接続ダイオードDb)で接続された保持サイリスタBのゲート端子Gbの電位が−1.3Vになる。これにより、保持サイリスタBのしきい電圧が−2.6Vになる。すなわち、時刻sの直後において、保持サイリスタB1、B2、B3、B5、B8のしきい電圧が−2.6Vになっている。一方、保持サイリスタB4、B6、B7のしきい電圧は−4.6Vを維持している。さらに、番号が9以上の保持サイリスタBのしきい電圧も−4.6Vである。
すなわち、オン状態にある記憶サイリスタMと同じ番号の保持サイリスタBがターンオンすることで、記憶サイリスタMが記憶している点灯させる発光サイリスタLの番号(位置)の情報が、保持サイリスタBに複写(コピー)されたことになる。
なお、保持サイリスタBは抵抗Rcを介して保持信号線77と接続されている。そこで、1個の保持サイリスタBがオン状態になって、そのカソード端子の電位がアノード電位「H」(0V)から拡散電位Vd(1.3V)を引いた値になっても、保持信号線77は「L」を維持する。このため、複数の保持サイリスタB(ここでは、保持サイリスタB1、B2、B3、B5、B8)を同時にターンオンさせうる。
よって、時刻tの直後においては、転送サイリスタT8と、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8と、保持サイリスタB1、B2、B3、B5、B8とがオン状態を維持している。
なお、発光サイリスタLは、抵抗を設けず点灯信号線75に接続されている。しかし、点灯信号φI1(φI)は電流駆動されるので、抵抗を介さなくとも、複数の発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8をターンオンしうる。
そして、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm5、Gm8の電位が−2Vより低く(<−2V)なると、前述したように、記憶信号φm1(φm)を「L」にしても、ターンオンしなくなる。すなわち、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8がターンオンした記憶、すなわち発光サイリスタLの位置(番号)の記憶が失われる。
すなわち、第1転送信号φ1の「H」から「L」への移行を最初に行って、転送サイリスタT9がターンオンし、記憶サイリスタM9のしきい電圧が−2.6Vになっても、記憶信号φm1(φm)が「S」(−2.5V)であるので、記憶サイリスタM9はターンオンしない。また、保持サイリスタB9は、しきい電圧が−3.9Vとなるが、保持信号φbが「L」(−3.3V)であるので、ターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)の「S」から「H」への移行を最初に行った後に、第1転送信号φ1の「H」から「L」への移行を行うと、転送サイリスタT9がターンオンし、記憶サイリスタM9のしきい電圧が−2.6Vになるが、記憶信号φm1(φm)が「H」(0V)になるので、記憶サイリスタM9はターンオンしない。また、保持サイリスタB9は、しきい電圧が−3.9Vとなるが、保持信号φbが−3.3Vであるので、ターンオンしない。
第1転送信号φ1の「H」から「L」への移行を最初に行って、転送サイリスタT9をターンオンすると、記憶サイリスタM9のしきい電圧が−2.6Vになり、発光サイリスタL9のしきい電圧は−3.9Vになる。この後、点灯信号φI1(φI)を「H」から「Le」へ移行しても、発光サイリスタL9はターンオンしない。また、記憶信号φm1(φm)が「S」(−2.5V)であるので、記憶サイリスタM9はターンオンしない。
以上説明したように、上記の3つの移行の順序はどのようであってもかまわない。
時刻uの直後においては、転送サイリスタT8、T9、保持サイリスタB1、B2、B3、B5、B8がオン状態を維持し、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻vの直後においては、転送サイリスタT9、保持サイリスタB1、B2、B3、B5、B8がオン状態を維持し、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
これにより、保持サイリスタBから、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)の記憶が失われる。しかし、時刻vの前の時刻uにおいて、既に点灯させる発光サイリスタLを点灯させているので、保持サイリスタBから、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)に関する記憶が失われても構わない。
時刻vの直後においては、転送サイリスタT9がオン状態を維持し、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
書込期間T(M9)の開始時刻yにおいて、発光サイリスタL9を点灯させることを書き込むため、記憶信号φm1(φm)を「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−2.6Vになっている記憶サイリスタM9がターンオンする。
よって、時刻yの直後においては、転送サイリスタT9、記憶サイリスタM9、オン状態を維持し、点灯制御期間T(#A)の時刻uで点灯させた発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻zの直後においては、転送サイリスタT10、記憶サイリスタM9がオン状態を維持し、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態を維持している。
時刻aaの直後においては、転送サイリスタT10、記憶サイリスタM9がオン状態を維持している。
すなわち、点灯制御期間T(#A)において点灯させることを記憶した発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8は、点灯制御期間T(#A)に含まれる時刻uから点灯制御期間T(#B)に含まれる時刻aaまでの点灯期間t4において、点灯(発光)している。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8の点灯期間t4の終了時刻は、書込期間T(M10)に含まれる時刻aaでなくともよい。つまり、点灯期間t4の終了時刻は、点灯制御期間T(#B)において点灯させる発光サイリスタL9、L11、…の点灯を開始する時刻より前の時刻であればよい。
時刻abの直後においては、転送サイリスタT11、記憶サイリスタM9、M11がオン状態を維持している。
このため、プリントヘッド14による感光体ドラム12への書込時間が短くなる。
すなわち、保持サイリスタBを介在させることにより、記憶サイリスタMの状態の変化が発光サイリスタLに影響しないようにし、記憶サイリスタMと発光サイリスタLとの間の電気的な関係を断ち切ることによる。
図17は、第5の実施の形態の発光装置65における信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との配線構成を示した図である。
本実施の形態と、図14に示した第4の実施の形態との違いは、本実施の形態において、信号発生回路100が、各発光チップC(C1〜C60)に対して、第3の実施の形態で説明した、ゲート端子Gmの寄生容量に蓄積した電荷を消去するための消去信号φeを送信する消去信号発生部140を新たに備えたことにある。
このため、回路基板62には、信号発生回路100の消去信号発生部140から発光部63に、消去信号φeを送信する消去信号ライン102が新たに設けられている。消去信号ライン102は、各発光チップC(C1〜C60)のφe端子(後述の図18参照)に並列接続されている。他の構成は、図14に示した第4の実施の形態と同じである。
このため、本実施の形態では、第4の実施の形態に、第3の実施の形態で説明した消去信号φeを組み合わせ、ゲート端子Gmの電位が−2Vより低く(<−2V)なるまでのリセット期間t5を短縮する。
なお、本実施の形態においては、第4の実施の形態と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図14に示した第4の実施の形態との違いは、本実施の形態では、消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…を新たに備えていることにある。
発光チップC1(C)は、基板80上に、列状に配列された消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…を備えている。消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…は、第3の実施の形態でと同様に、ショットキーダイオードであるのが好ましい。
すなわち、消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…のそれぞれのアノード端子は、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続されている。
消去ダイオードSd1、Sd2、Sd3、…のそれぞれのカソード端子は、消去信号線76に接続されている。そして、消去信号線76は、消去信号φeの入力端子であるφe端子に接続されている。このφe端子には、消去信号ライン102(図17参照)が接続され、消去信号φeが供給される。
本実施の形態は、第4の実施の形態に、消去ダイオードSdが加えられている点で異なる。そこで、第4の実施の形態での説明と同様に、発光部63の動作は、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。よって、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
そして、図19では、図6に示した発光サイリスタLを8個ずつグループにして点灯制御する場合において、グループ#Aの発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する点灯制御期間T(#A)(時刻cから時刻y)と、グループ#Bの発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する点灯制御期間T(#B)の一部(時刻y以降)とを示している。なお、図示しないが、点灯制御期間T(#B)の後には、グループ#Cの発光サイリスタL17〜L24が点灯制御される点灯制御期間T(#C)、…が引き続く。
なお、図19の点灯制御期間T(#A)においては、第4の実施の形態と同様に、グループ#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8の内、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL4、L6、L7は非点灯(消灯)のままとし、さらに点灯制御期間T(#B)では、発光サイリスタL9、L11、L12を点灯(発光)させるとし、発光サイリスタL10は消灯のままとする場合を例示している。点灯制御期間T(#A)では画像データ“11101001”を、点灯制御期間T(#B)では“1011…”を印字するとする。
図19において、消去信号φeを除く他の信号の波形は、図16で示したと同じである。
ここでは、消去信号φeを中心に説明する。
すなわち、消去信号φeは、点灯制御期間T(#A)において、1回のみ「L」になる。
そこで、本実施の形態では、リセット期間t5を制御するため、ゲート端子Gmの寄生容量に蓄積した電荷を消去し、記憶サイリスタMのターンオンした記憶を消去する消去信号φeを設けている。
なお、図18では、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLなど、それぞれ番号が1〜4の部分のみを示している。5より大きい番号の部分もこれらの繰り返しである。以下の説明では、番号が1〜4の部分に限らず、これら以外の番号の素子についても触れる。
発光部63および発光チップC1(C)の動作は、初期状態(時刻a)から、記憶サイリスタM8に発光サイリスタL8を点灯させることを記憶させる時刻sまでは、第3の実施の形態および第4の実施の形態において説明した通りであるので、詳細な説明を省略する。
接続ダイオードDbは、アノード端子がゲート端子Gmに、カソード端子がゲート端子Gbにそれぞれ接続されている。ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm5、Gm8は、前述したように、時刻uより、0Vから−3.3Vへと変化し始めている。一方、ゲート端子Gm4、Gm6、Gm7および番号が9以上の保持サイリスタBのゲート端子Gmは−3.3Vに維持されている。よって、保持サイリスタBは少なくとも逆バイアスまたはアノード端子とカソード端子とが同電位の状態になっている。
時刻tの直後においては、転送サイリスタT8、記憶サイリスタM1、M2、M3、M5、M8がオン状態を維持し、発光サイリスタL1、L2、L3、L5、L8が点灯(オン)状態にある。
さらに、時刻uにおいて、第1転送信号φ1を「H」から「L」に移行すると、転送サイリスタT9がターンオンする。
これらの、時刻uにおける点灯信号φI1(φI)の「H」から「Le」への移行と、記憶信号φm1(φm)の「S」から「H」への移行と、第1転送信号φ1の「H」から「L」への移行との関係は、第4の実施の形態において説明したと同様である。
すなわち、消去信号φeを「H」から「L」に移行することで、ターンオンした記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位を強制的に−2.5Vにし、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm5、Gm8の電位の変化を加速している。
さらに、時刻vにおいて、第2転送信号φ2を「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT8がターンオフする。
これらの移行は、いずれを先に行ってもよい。
すなわち、消去信号φeの「H」から「L」への移行を最初に行っても、ゲート端子Gmの電位の変化が加速されるのみであって、転送サイリスタTおよび保持サイリスタBの動作に影響を与えない。
一方、保持信号φbの「L」から「H」への移行を最初に行って、保持サイリスタBがターンオフすると、接続ダイオードDbのカソード端子(ゲート端子Gb)の電位が0Vから−3.3Vへと変化する。一方、時刻uより、接続ダイオードDbのアノード端子であるゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、Gm5、Gm8の電位は0Vから−3.3Vへ向かって変化し始めている。よって、これらの電位の変化の途上において、接続ダイオードDbが順バイアスとなれば、ゲート端子Gmの電位の変化(0Vから−3.3Vへの変化)がより加速される。また、保持サイリスタBのターンオンは転送サイリスタTの動作に影響を与えない。
さらに、第2転送信号φ2の「L」から「H」への移行を最初に行って、転送サイリスタT8をターンオフすると、ゲート端子Gt8の電位が0Vから電源電位Vga(−3.3V)に向かって変化するが、前述した保持信号φbの「L」から「H」への移行を最初に行った場合と同様に、これらの電位の変化の途上において、接続ダイオードDmが順バイアスとなれば、ゲート端子Gmの電位の変化(0Vから−3.3Vへの変化)がより加速されることになる。
以上説明したように、いずれの移行を先に行っても、発光チップCの動作に影響を与えない。
なお、消去ダイオードSdによる電荷の引き抜く効果(引き抜き効果)は、消去ダイオードSdが順バイアスにある場合で得られる。よって、ゲート端子Gmの電位が−3.3V(「L」)から消去ダイオードSdの順方向電位Vsを引いた値になると、もはや消去ダイオードSdによる電荷の引き抜き効果は得られない。
よって、ゲート端子Gmの電位の変化を効率よく加速するためには、ゲート端子Gmの電位が、消去ダイオードSdによる電荷を引き抜き効果が得られなくなる直前に、消去信号φeを「L」から「H」に移行するのが好ましい。
時刻y以降は第4の実施の形態の場合と同様であるので説明を省略する。
そして、発光サイリスタLの数と転送サイリスタT、記憶サイリスタM、保持サイリスタBの数はそれぞれ同じであるとして説明した。しかし、転送サイリスタTの数は発光サイリスタLの数より多くてもかまわない。画像データを書き込まない第1転送信号φ1および第2転送信号φ2の部分を設けて駆動すればよい。
第1〜第5の実施の形態において、記憶信号φmを発光チップCに個別に供給し、点灯信号φIを2個の発光チップCに共通に供給するとした。しかし、点灯信号φIを個別に与えてもよく、3以上の発光チップCに共通に供給してもよい。
また、複数の発光チップCを直列に接続し、複数の発光チップCをあたかも1つの自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップのように構成し、記憶信号φmおよび点灯信号φIを直列に接続した複数の発光チップCに共通に供給してもよい。
また、第1〜第5の実施の形態において、発光チップCをGaAs、GaAlAs等のGaAs系の半導体で構成したが、これに限られるものではなく、例えばGaP等、イオン注入によるp型半導体、n型半導体の製作が困難な化合物半導体を用いてもよい。
Claims (12)
- 列状に配列された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を構成するそれぞれの発光素子に対応して設けられ、前記発光素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子をオン状態にしやすくする複数の記憶素子と、
前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定され、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該記憶素子をオン状態にしやすくする複数のスイッチ素子とを備える自己走査型発光素子アレイと、
前記複数のスイッチ素子を構成するそれぞれのスイッチ素子を一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定する転送信号を当該複数のスイッチ素子に供給する転送信号発生部と、
前記複数の発光素子を複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光素子に対応するスイッチ素子がオン状態にあるとき、発光素子を点灯させるときは対応する記憶素子をオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、発光素子を点灯させないときは対応する記憶素子をオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶素子を再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶素子に供給する記憶信号発生部と、
前記グループ毎に、点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、前記点灯させる発光素子をオン状態にする点灯信号を前記複数の発光素子に供給する点灯信号発生部とを備える点灯制御部と
を備えることを特徴とする発光装置。 - 前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続される複数の消去素子をさらに備え、
前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光素子がオン状態になった後、前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子がオン状態にならないようにする消去信号を前記複数の消去素子に供給する消去信号発生部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。 - 前記自己走査型発光素子アレイは、前記発光素子と前記記憶素子との間に、当該発光素子および当該記憶素子に対応して設けられ、当該発光素子および当該記憶素子のそれぞれと電気的に接続され、当該記憶素子がオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子を点灯しやすくする複数の保持素子をさらに備え、
前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、オン状態の記憶素子に対応する保持素子をオン状態にする保持信号を前記複数の保持素子に供給する保持信号発生部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。 - 基板と、
前記基板上に形成され、列状に配列された複数の発光サイリスタと、
前記基板上に形成され、前記複数の発光サイリスタのそれぞれの発光サイリスタに対応して設けられ、当該発光サイリスタと電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光サイリスタのしきい電圧をオン状態になりやすい値に変化させる複数の記憶サイリスタと、
前記基板上に形成され、前記記憶サイリスタのそれぞれに対応して設けられ、当該記憶サイリスタと電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態を有し、一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定され、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該記憶サイリスタのしきい電圧をオン状態になりやすい値に変化させる複数の転送サイリスタとを備えることを特徴とする自己走査型発光素子アレイと、
前記複数の転送サイリスタを構成するそれぞれの転送サイリスタを一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定する転送信号を当該複数の転送サイリスタに供給する転送信号発生部と、
前記複数の発光サイリスタを複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光サイリスタに対応する転送サイリスタがオン状態にあるとき、発光サイリスタを点灯させるときは対応する記憶サイリスタをオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、発光サイリスタを点灯させないときは対応する記憶サイリスタをオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶サイリスタを再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶サイリスタに供給する記憶信号発生部と、
前記グループ毎に、点灯させる発光サイリスタに対応する記憶サイリスタをオン状態にした後、前記点灯させる発光サイリスタをオン状態にするための点灯信号を前記複数の発光サイリスタに供給する点灯信号発生部とを備える点灯制御部と
を備えることを特徴とする発光装置。 - 前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶サイリスタを構成するそれぞれの記憶サイリスタに対応して設けられ、前記記憶サイリスタと電気的に接続される複数の消去ダイオードをさらに備え、
前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光サイリスタがオン状態になった後、前記点灯させる発光サイリスタに対応する記憶サイリスタがオン状態にならないようにするための消去信号を前記複数の消去ダイオードに供給する消去信号発生部をさらに備える
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。 - 前記自己走査型発光素子アレイの消去ダイオードは、ショットキーダイオードであることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
- 前記自己走査型発光素子アレイは、前記基板上に形成され、前記発光サイリスタと前記記憶サイリスタとの間に、当該発光サイリスタおよび当該記憶サイリスタに対応して設けられ、当該発光サイリスタおよび当該記憶サイリスタのそれぞれと電気的に接続され、前記記憶サイリスタがオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光サイリスタのしきい電圧をオン状態になりやすい値に変化させる複数の保持サイリスタをさらに備え、
前記点灯制御部は、前記グループの前記点灯させる発光サイリスタに対応する記憶サイリスタをオン状態にした後、オン状態の記憶サイリスタに対応する保持サイリスタをオン状態にする保持信号を前記複数の保持サイリスタに供給する保持信号発生部をさらに備える
ことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の発光装置。 - 列状に配列された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を構成するそれぞれの発光素子に対応して設けられ、前記発光素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子をオン状態にしやすくする複数の記憶素子と、
前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定され、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該記憶素子をオン状態にしやすくする複数のスイッチ素子とを備える自己走査型発光素子アレイの駆動方法であって、
前記複数のスイッチ素子を構成するスイッチ素子を一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように転送信号を前記複数のスイッチ素子に供給するステップと、
前記複数の発光素子を複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光素子に対応するスイッチ素子がオン状態にあるとき、前記発光素子を点灯させるときは対応する記憶素子をオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、当該発光素子を点灯させないときは対応する記憶素子をオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶素子を再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶素子に供給するステップと、
前記グループ毎に、点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、前記点灯させる発光素子をオン状態にするための点灯信号を前記複数の発光素子に供給するステップとを含む
ことを特徴とする自己走査型発光素子アレイの駆動方法。 - 前記自己走査型発光素子アレイは、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続される複数の消去素子をさらに備えた自己走査型発光素子アレイの駆動方法であって、
前記グループの前記点灯させる発光素子がオン状態になった後、前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子がオン状態にならないようにする消去信号を前記複数の消去素子に供給するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の自己走査型発光素子アレイの駆動方法。 - 前記自己走査型発光素子アレイは、前記発光素子と前記記憶素子との間に、当該発光素子および当該記憶素子に対応して設けられ、当該発光素子および当該記憶素子のそれぞれと電気的に接続され、当該記憶素子がオン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子を点灯しやすくする複数の保持素子をさらに備えた自己走査型発光素子アレイの駆動方法であって、
前記グループの前記点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、オン状態の記憶素子に対応する保持素子をオン状態にする保持信号を前記複数の保持素子に供給するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項8または9に記載の自己走査型発光素子アレイの駆動方法。 - 列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を構成するそれぞれの発光素子に対応して設けられ、前記発光素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子をオン状態にしやすくする複数の記憶素子と、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定され、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該記憶素子をオン状態にしやすくする複数のスイッチ素子とを備える自己走査型発光素子アレイと、前記複数のスイッチ素子を構成するそれぞれのスイッチ素子を一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定する転送信号を当該複数のスイッチ素子に供給する転送信号発生部と、前記複数の発光素子を複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光素子に対応するスイッチ素子がオン状態にあるとき、発光素子を点灯させるときは対応する記憶素子をオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、発光素子を点灯させないときは対応する記憶素子をオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶素子を再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶素子に供給する記憶信号発生部と、当該グループ毎に、点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、前記点灯させる発光素子をオン状態にする点灯信号を前記複数の発光素子に供給する点灯信号発生部とを備える点灯制御部とを備えた自己走査型発光素子アレイを複数備え、像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段とを備える
ことを特徴とするプリントヘッド。 - 像保持体を帯電する帯電手段と、
列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を構成するそれぞれの発光素子に対応して設けられ、前記発光素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該発光素子をオン状態にしやすくする複数の記憶素子と、前記複数の記憶素子を構成するそれぞれの記憶素子に対応して設けられ、前記記憶素子と電気的に接続されるとともに、オン状態とオフ状態とを有し、一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定され、オン状態になることにより、オフ状態にあるときに比べ、当該記憶素子をオン状態にしやすくする複数のスイッチ素子とを備える自己走査型発光素子アレイと、前記複数のスイッチ素子を構成するそれぞれのスイッチ素子を一端側から他端側へ順にオン状態がシフトするように設定する転送信号を当該複数のスイッチ素子に供給する転送信号発生部と、前記複数の発光素子を複数のグループに分け、前記グループ毎に、当該グループを構成する発光素子に対応するスイッチ素子がオン状態にあるとき、発光素子を点灯させるときは対応する記憶素子をオフ状態から一時的にオン状態に移行させ、発光素子を点灯させないときは対応する記憶素子をオフ状態に維持するとともに、一時的にオン状態に移行した記憶素子を再び一時的にオン状態とする記憶信号を前記複数の記憶素子に供給する記憶信号発生部と、当該グループ毎に、点灯させる発光素子に対応する記憶素子をオン状態にした後、前記点灯させる発光素子をオン状態にする点灯信号を前記複数の発光素子に供給する点灯信号発生部とを備える点灯制御部とを備えた自己走査型発光素子アレイを複数備え、前記像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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