JP5664096B2 - 発光装置、発光装置の駆動方法、発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

発光装置、発光装置の駆動方法、発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、発光装置、発光装置の駆動方法、発光チップ、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に多数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
特許文献1には、複数の発光素子に対応して設けられ、その複数の発光素子を各々点灯可能状態とするスイッチ素子に対して、駆動信号発生手段から出力されるスイッチ素子を順次オンさせるための駆動信号を、スイッチ素子がターンオンする期間にレベルシフト手段によって電源電圧よりも低い電圧又は高い電圧に変更させ、低電圧駆動でも高速かつ安定的に発光素子を順次オンさせることを可能とする発光素子アレイ駆動装置が記載されている。
特開2004−195796号公報
ところで、複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられた転送素子を含んで構成される転送部を有する自己走査型の発光チップを用いた発光装置では、転送部により複数の発光素子が順に点灯または非点灯の対象として指定される。このとき、転送部においても電力を消費する。よって、発光装置の消費電力を抑制するために、転送部の消費電力を低減することが望まれる。
本発明は、消費電力を抑制した発光装置等を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における前記転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段とを備える発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記複数の発光チップのそれぞれの前記転送部は、電気的な抵抗値の異なる複数の電流経路を有し、前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップのそれぞれの前記転送部の前記抵抗値の異なる複数の電流経路においていずれかの電流経路に切り替えることで、当該転送部に流れる電流が、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該複数の電流経路のうち抵抗値が小さい電流経路を流れるように設定し、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該複数の電流経路のうち抵抗値が大きい電流経路を流れるように設定することを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記転送部は、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられた複数の転送素子と、当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子に対応して設けられ、対応する転送素子がオン状態になるとオン状態に移行可能な状態に設定される複数の保持素子とを備え、前記複数の保持素子のそれぞれの保持素子のオン状態の抵抗値は、前記複数の転送素子のそれぞれの転送素子のオン状態の抵抗値より大きく、前記転送信号供給手段は、前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該転送素子を流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、前記複数の保持素子のうち当該転送素子に対応する保持素子を流れるように切り替えることにより、当該転送部に流れる電流を設定することを特徴とする請求項に記載発光装置である。
請求項4に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に、当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子に対応して設けられ、対応する転送素子がオン状態になるとオン状態になるように設定される複数の保持素子とを備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップを備える発光装置の駆動方法であって、前記複数の保持素子のそれぞれの保持素子のオン状態の抵抗値は、前記複数の転送素子のそれぞれの転送素子のオン状態の抵抗値より大きく、前記複数の発光チップのそれぞれの前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるステップと、前記転送素子がオン状態にあるときに、当該転送素子に対応する前記保持素子をオフ状態からオン状態に移行させるステップと、前記保持素子がオン状態にあるときに、当該転送素子をオン状態からオフ状態に移行させるステップとを含み、前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間において、当該転送素子を流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間において、前記複数の保持素子における当該転送素子に対応する保持素子を流れるように切り替えて、電気的な抵抗値を変化させ、当該転送部を流れる電流を、当該転送素子を流れる期間に比べ、当該保持素子を流れる期間に、絶対値において小さく設定することを特徴とする発光装置の駆動方法である。
請求項5に記載の発明は、基板と、前記基板上に列状に設けられ、それぞれが第1のゲート端子、第1のアノード端子、第1のカソード端子を有する複数の発光サイリスタを備える発光部と、前記基板上に設けられ、それぞれが第2のゲート端子、第2のアノード端子、第2のカソード端子を有し、前記複数の発光サイリスタに対応して設けられ、順にオン状態になることで、対応する発光サイリスタを点灯または非点灯の制御の対象として指定する、複数の転送サイリスタと、当該基板上に設けられ、それぞれが第3のゲート端子、第3のアノード端子、第3のカソード端子を有し、当該複数の転送サイリスタに対応して設けられ、当該第3のゲート端子と前記第1のゲート端子および当該第2のゲート端子とが接続され、対応する転送サイリスタがオン状態になるとオン状態に移行可能な状態に設定される複数の保持サイリスタとを備える転送部とを備え、前記転送部において、前記複数の保持サイリスタのそれぞれの保持サイリスタのオン状態の抵抗値は、前記複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタのオン状態の抵抗値より大きく、前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送サイリスタのいずれかの転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該転送サイリスタを流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、前記複数の保持サイリスタのうち当該転送サイリスタに対応して設けられた保持サイリスタを流れるように切り替えることで、電気的な抵抗値を変化させることにより、当該転送部を流れる電流を、当該転送サイリスタを流れる期間に比べ、当該保持サイリスタを流れる期間に、絶対値において小さく設定できるように構成されていることを特徴とする発光チップである。
請求項6に記載の発明は、前記発光チップは、前記発光サイリスタの前記第1のゲート端子と、前記保持サイリスタの前記第3のゲート端子との間に、当該発光サイリスタを点灯または非点灯のいずれか一方に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の発光チップである。
請求項7に記載の発明は、前記複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記転送部は、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられた複数の転送素子と、当該複数の転送素子によって構成される転送素子の列において、当該列の順に当該複数の転送素子を重複しないようにずらしながら接続され、当該複数の転送素子が順にオン状態に設定されるように、位相のずれた転送信号が送信される複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線に接続される電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路とを備え、前記転送信号供給手段は、前記転送部に流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、前記複数の電流供給路のうち抵抗値が小さい電流供給路を経由して当該転送素子に接続された転送信号線に供給されるように設定し、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該複数の電流供給路のうち抵抗値が大きい電流供給路を経由して当該転送素子に接続された転送信号線を流れるように設定することを特徴とする請求項に記載発光装置である。
請求項8に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該複数の転送素子によって構成される転送素子の列において、当該列の順に当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子を重複しないようにずらしながら接続された複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線接続される、電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路とを備える転送部と、をそれぞれ有する複数の発光チップを備える発光装置の駆動方法であって、前記複数の発光チップのそれぞれの前記複数の転送素子のいずれかの転送素子を、前記複数の電流供給路のうち電気的な抵抗値が小さい電流供給路を介して当該転送素子に接続された転送信号線に転送信号を送信してオフ状態からオン状態に移行させるステップと、前記転送素子がオン状態になってから、前記電気的な抵抗値が小さい電流供給路を前記複数の電流供給路のうち電気的な抵抗値が大きい電流供給路に切り替え、当該電気的な抵抗値が大きい電流供給路を介して当該転送素子のオン状態を維持するステップとを含む発光装置の駆動方法である。
請求項9に記載の発明は、基板と、前記基板上に列状に設けられ、それぞれが第1のゲート端子、第1のアノード端子、第1のカソード端子を有する複数の発光サイリスタを備える発光部と、前記基板上に設けられ、それぞれが第2のゲート端子、第2のアノード端子、第2のカソード端子を有し、前記複数の発光サイリスタに対応して設けられ、前記第1のゲート端子と当該第2のゲート端子とが接続され、順にオン状態になることで、対応する発光サイリスタを点灯または非点灯の制御の対象として指定する、複数の転送サイリスタと、当該基板上に設けられ、当該複数の転送サイリスタによって構成される転送サイリスタの列において、当該列の順に当該複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタを重複しないようにずらしながら当該第2のアノード端子または第2のカソード端子のいずれか一方に接続される複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線に接続される、電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路と、有する転送部とを備え、前記転送部における前記複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線は、当該転送部に流れる電流が、前記複数の転送サイリスタのいずれかの転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、前記複数の電流供給路のうち抵抗値が小さい電流供給路を介して、当該転送サイリスタに接続された転送信号線に流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該抵抗値が小さい電流供給路から当該複数の電流供給路のうち抵抗値が大きい電流供給路に切り替えられて当該転送信号線に流れるように構成されていることを特徴とする発光チップである。
請求項10に記載の発明は、前記発光チップは、前記発光サイリスタの前記第1のゲート端子と、前記転送サイリスタの前記第2のゲート端子との間に、当該発光サイリスタを点灯または非点灯のいずれか一方に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の発光チップである。
請求項11に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における当該転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段とを備える発光手段と、前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段とを備えるプリントヘッドである。
請求項12に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における当該転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備える画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、転送部に流す電流を切り替えない場合に比べ、発光装置の消費電力が抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光装置の構成がより簡易になる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光チップにおける電流経路の切り替えがより容易にできる。
請求項4の発明によれば、転送部に流す電流を切り替えない場合に比べ、消費電力を抑制して発光装置の駆動ができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光チップの形成がより容易に行える。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光装置の配線の本数を抑制できる。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光チップにおける電流経路の切り替えがより容易にできる。
請求項8の発明によれば、転送部に流す電流を切り替えない場合に比べ、消費電力を抑制して発光装置の駆動ができる。
請求項9の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光チップの面積をより小さくできる。
請求項10の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光装置の配線の本数を抑制できる。
請求項11の発明によれば、転送部に流す電流を切り替えない場合に比べ、消費電力を抑制した露光ができる。
請求項12の発明によれば、転送部に流す電流を切り替えない場合に比べ、消費電力を抑制した画像形成ができる。
第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。 プリントヘッドの構成を示した断面図である。 発光装置の上面図である。 第1の実施の形態における発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第1の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第1の実施の形態における発光チップの平面レイアウト図および断面図である。 第1の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 保持サイリスタを用いない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 保持サイリスタを用いない発光チップによる発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。 第2の実施の形態における発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第2の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第2の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第3の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第3の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第4の実施の形態における発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第4の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第4の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第5の実施の形態における発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第5の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第5の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。 第6の実施の形態における発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。 第6の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。 第6の実施の形態における発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
(画像形成装置1)
図1は第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
(プリントヘッド14)
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。露光手段の一例としてのプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では、発光素子の一例としての発光サイリスタ)を備える光源部63を備えた発光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、前述した光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子における発光点がロッドレンズアレイ64の焦点面となるように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図4(b)のX方向)に沿って配置されている。
(発光装置65)
図3は、発光装置65の上面図である。
図3に示すように、発光装置65では、光源部63は、回路基板62上に、40個の発光チップC1〜C40が、主走査方向であるX方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。
本明細書では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたものおよびその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップC1〜C40は、発光チップC1から番号順に発光チップC40までを含む。
発光チップC1〜C40の構成は同一であってよい。よって、発光チップC1〜C40をそれぞれ区別しないときは、発光チップCと呼ぶ。
なお、本実施の形態では、発光チップCの数として、合計40個を用いたが、これに限定されない。
そして、発光装置65は、前述したように、光源部63を駆動する信号発生回路110を搭載している。信号発生回路110は、例えば集積回路(IC)などで構成されている。
なお、発光チップC1〜C40の配列についての詳細は後述する。
図4は、第1の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示した図である。図4(a)は発光チップCの構成を示し、図4(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示している。
はじめに、図4(a)に示す発光チップCの構成を説明する。
発光チップCは、矩形の基板80の表面において、長辺側に長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)から構成される発光部102を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の表面の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子、φa端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφa端子、φ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。さらに、基板80の裏面にはVsub端子として裏面電極85(後述する図6参照)が設けられている。
次に、図4(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップC1〜C40が搭載され、信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)が設けられている。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2および保持信号φaを送信する転送信号供給手段の一例としての転送信号発生部120を備えている。
そしてまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40に、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ送信する点灯信号発生部140を備えている。なお、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ区別しないときは点灯信号φIと表記する。
さらにまた、信号発生回路110は、発光チップC1〜C40に電位の基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、発光チップC1〜C40の駆動のための電源電位Vgaを供給する電源電位供給部170を備えている。
次に、発光チップC1〜C40の配列について説明する。
奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…は、それぞれの基板80の長辺方向に間隔を設けて一列に配列されている。偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…も、同様にそれぞれの基板80の長辺の方向に間隔を設けて一列に配列されている。そして、奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…と偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…とは、発光チップCに設けられた発光部102側の長辺が向かい合うように、互いに180°回転した状態で千鳥状に配列されている。そして、発光チップC間においても発光素子が主走査方向に予め定められた間隔で並ぶように位置が設定されている。なお、図4(b)の発光チップC1、C2、C3、…に、図4(a)に示した発光部102の発光素子の並び(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…の番号順)の方向を矢印で示している。
信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)について説明する。
回路基板62には、発光チップCの基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)に設けられたVsub端子に接続され、基準電位Vsubを供給する電源ライン200aが設けられている。
そして、回路基板62には、発光チップCに設けられたVga端子に接続され、駆動のための電源電位Vgaを供給する電源ライン200bが設けられている。
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120から、発光チップC1〜C40のφ1端子に第1転送信号φ1を送信するための第1転送信号ライン201、発光チップC1〜C40のφ2端子に第2転送信号φ2を送信するための第2転送信号ライン202、発光チップC1〜C40のφa端子に保持信号φaを送信するための保持信号ライン207が設けられている。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2および保持信号φaは、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
そしてまた、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140から、各発光チップC1〜C40のφI端子に、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ送信する点灯信号ライン204−1〜204−40が設けられている。
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaも、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップC1〜C40にそれぞれ個別に送信される。
(発光チップC)
図5は、第1の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。以下において説明する各素子は、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子、φa端子)を除き、発光チップC上のレイアウト(後述する図6参照)に基づいて配置されている。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子、φa端子)の位置は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端としている。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子を、基板80の外に引き出して示している。
ここでは、信号発生回路110との関係において発光チップC1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図5において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。他の発光チップC2〜C40の構成は、発光チップC1と同じである。
図5では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の詳細な部分を説明する。
転送信号発生部120は、第1転送信号φ1を発光チップC1〜C40に送信するためのバッファ回路BU1、第2転送信号φ2を発光チップC1〜C40に送信するためのバッファ回路BU2、保持信号φaを発光チップC1〜C40に送信するためのバッファ回路BUaを備えている。さらに、点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40を発光チップC1〜C40にそれぞれ送信するためにバッファ回路BUI1〜BUI40を備えている。図5では、点灯信号φI1およびバッファ回路BUI1を示している。
バッファ回路BU1、BU2、BUa、BUI1〜BUI40は、それぞれの信号(第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φa、点灯信号φI1〜φI40)を発光チップC1〜C40に送信する能力(駆動能力)を高めるために設けられている。よって、バッファ回路BU1、BU2、BUa、BUI1〜BUI40のそれぞれの入力端子に入力された信号が、それぞれの出力端子から送信される。
次に、発光チップC1(C)の構成を説明する。
発光チップC1(C)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…から構成される発光サイリスタ列(発光部102(図4参照))を備えている。
そして、発光チップC1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送素子の一例としての転送サイリスタT1、T2、T3、…から構成される転送素子列の一例としての転送サイリスタ列を備えている。
さらに、発光チップC1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された保持サイリスタS1、S2、S3、…から構成される保持素子列の一例としての保持サイリスタ列を備えている。
また、発光チップC1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備えている。
さらに、発光チップC1(C)は、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…を備えている。
また、発光チップC1(C)は、1個のスタートダイオードDx0を備えている。そして、後述する第1転送信号φ1が送信される第1転送信号線72と第2転送信号φ2を送信する第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた電流制限抵抗R1、R2を備えている。さらに、後述する保持信号φaが送信される保持信号線77に過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた電流制限抵抗Raを備えている。
発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、保持サイリスタ列の保持サイリスタS1、S2、S3、…は、図5中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…も、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、保持サイリスタ列は、図5において上から、転送サイリスタ列、保持サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、保持サイリスタS1、S2、S3、…、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタL、転送サイリスタT、保持サイリスタS、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgxと表記する。
発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。本実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタTおよび保持サイリスタSの数も128個である。同様に、電源線抵抗Rgxの数も128個である。しかし、結合ダイオードDxの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127個である。
なお、転送サイリスタT、保持サイリスタSの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、保持サイリスタS)は、ゲート端子、アノード端子、カソード端子の3端子を有する半導体素子である。
ここでは、発光サイリスタLのゲート端子を第1のゲート端子、アノード端子を第1のアノード端子、カソード端子を第1のカソード端子と表記することがある。転送サイリスタTのゲート端子を第2のゲート端子、アノード端子を第2のアノード端子、カソード端子を第2のカソード端子と表記することがある。保持サイリスタSのゲート端子を第3のゲート端子、アノード端子を第3のアノード端子、カソード端子を第3のカソード端子と表記することがある。
また、電流制限抵抗Raの抵抗値は、電流制限抵抗R1およびR2のそれぞれの抵抗値に比べ、大きいとする。
では次に、発光チップC1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、発光サイリスタL、保持サイリスタSのそれぞれのアノード端子は、発光チップC1(C)の基板80に接続されている(アノードコモン)。
そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)を介して電源ライン200a(図4参照)に接続されている。この電源ライン200aは、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号(奇数番目)の転送サイリスタT1、T3、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201(図4参照)が接続され、転送信号発生部120におけるバッファ回路BU1から第1転送信号φ1が送信される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号(偶数番目)の転送サイリスタT2、T4、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202(図4参照)が接続され、転送信号発生部120におけるバッファ回路BU2から第2転送信号φ2が送信される。
保持サイリスタS1、S2、S3、…のカソード端子は、保持信号線77に接続されている。そして、保持信号線77は、電流制限抵抗Raを介して、φa端子に接続されている。このφa端子には、保持信号ライン207(図4参照)が接続され、転送信号発生部120におけるバッファ回路BUaから保持信号φaが送信される。
発光サイリスタL1、L2、L3、…のカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75は、φI端子に接続されている。発光チップC1では、φI端子は、電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−1(図4参照)に接続され、バッファ回路BUI1を介して、点灯信号φI1が供給される。点灯信号φI1は、発光サイリスタL1、L2、L3、…に点灯のための電流を送信する。なお、他の発光チップC2〜C40のφI端子は、それぞれ電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−2〜204−40が接続され、点灯信号発生部140にけるバッファ回路BUI2〜BUI40から点灯信号φI2〜φI40が送信される。
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の保持サイリスタS1、S2、S3、…のゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…に、1対1で接続されている。
そして、保持サイリスタS1、S2、S3、…のゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で接続されている。
よって、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…は、同じ番号のものが電気的に同電位になっている。よって、例えばゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)と表記して、電位が同じであることを示すことにする。
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…をそれぞれ区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Gs、ゲート端子Glと表記する。そして、ゲート端子Gt(Gs、Gl)と表記して、電位が同じであることを示す。
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードDx1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4、…についても同様である。
転送サイリスタTのゲート端子Gt(Gs、Gl)は、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgxを介して、電源線71に接続されている。電源線71は、Vga端子に接続され、電源電位供給部170から電源電位Vgaが供給される。
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
図5において、発光チップC1(C)の転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgx、スタートダイオードDx0、電流制限抵抗R1、R2、保持サイリスタS、電流制限抵抗Raを備える部分を転送部101と表記する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
図6は、第1の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図である。ここでは、発光チップCと信号発生回路110との接続関係を示さないので、発光チップC1を例とすることを要しない。よって、発光チップCと表記する。
図6(a)は、発光チップCの平面レイアウト図であって、発光サイリスタL1〜L4、保持サイリスタS1〜S4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子、φa端子)は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端部に設けている。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子を、基板80の外に引き出して示している。図4に対応させて端子を設けるとすると、φ2端子、φI端子、電流制限抵抗R2は、図6(a)において基板80の右端部に設けられる。また、スタートダイオードDx0を基板80の右端部に設けてもよい。
図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線での断面図である。よって、図6(b)の断面図には、図中下より発光サイリスタL1、保持サイリスタS1、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1、電源線抵抗Rgx1の断面が示されている。なお、図6(a)および(b)の図中には、主要な素子や端子を名前により表記している。
なお、図6(a)では、各素子間を接続する配線が実線で示している。また、図6(b)では、各素子間を接続する配線の記載を省略している。
発光チップCは、図6(b)に示すように、例えばGaAsやGaAlAsなどの化合物半導体において、p型の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が順に積層されたのち、周囲のp型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を除去することで相互に分離された複数の島(アイランド)(第1アイランド301〜第7アイランド307および符号付さないアイランド)を備えている。
図6(a)に示すように、第1アイランド301には、発光サイリスタL1および保持サイリスタS1が設けられている。
第2アイランド302には、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1が設けられている。第3アイランド303には、電源線抵抗Rgx1が設けられている。第4アイランド304には、スタートダイオードDx0が設けられている。第5アイランド305には電流制限抵抗R1、第6アイランド306には電流制限抵抗R2、第7アイランド307には電流制限抵抗Raが設けられている。
そして、発光チップCには、第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303と同様なアイランドが、並列して形成されている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、保持サイリスタS2、S3、S4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…、結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4,…等が、第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303と同様に設けられている。これらについては、説明を省略する。
そしてまた、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面電極85が設けられている。
ここで、図6(a)および(b)により、第1アイランド301〜第7アイランド307について詳細に説明する。
第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1は、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域311上に設けられたn型オーミック電極321をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極331をゲート端子Gl1とする。そして、n型オーミック電極321が設けられた部分を除くn型の第4半導体層84の領域311表面から光を放出する。
第1アイランド301に設けられた保持サイリスタS1は、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域312に設けられたn型オーミック電極322をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上のp型オーミック電極331をゲート端子Gs1とする。p型オーミック電極331は、ゲート端子Gl1とゲート端子Gs1とを兼ねている。
第2アイランド302に設けられた転送サイリスタT1は、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域313上に設けられたn型オーミック電極323をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極332をゲート端子Gt1とする。
同じく、第2アイランド302に設けられた結合ダイオードDx1は、n型の第4半導体層84の領域314上に設けられたn型オーミック電極324をカソード端子、p型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極332をアノード端子として設けられている。結合ダイオードDx1のアノード端子と転送サイリスタT1のゲート端子Gt1とはp型オーミック電極332で共通である。
第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1は、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極333と334との間のp型の第3半導体層83を抵抗として設けられている。
第4アイランド304に設けられたスタートダイオードDx0は、n型の第4半導体層84の領域315上に設けられたn型オーミック電極325をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極335をアノード端子としている。
第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2、第7アイランド307に設けられた電流制限抵抗Raは、第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1と同様に、それぞれが2個のp型オーミック電極(符号なし)間のp型の第3半導体層83を抵抗として設けられている。
図6(a)において、各素子間の接続関係を説明する。
第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1のゲート端子Gl1および保持サイリスタS1のゲート端子Gs1であるp型オーミック電極331は、第2アイランド302のゲート端子Gt1であるp型オーミック電極332に接続されている。
発光サイリスタL1のカソード端子であるn型オーミック電極321は点灯信号線75に接続されている。発光サイリスタL2、L3、L4、…のカソード端子も点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75はφI端子に接続されている。
保持サイリスタS1のカソード端子であるn型オーミック電極322は保持信号線77に接続されている。保持信号線77は、第7アイランド307に設けられた電流制限抵抗Raを介して、φa端子に接続されている。
第2アイランド302に設けられた転送サイリスタT1のカソード端子であるn型オーミック電極323は、第1転送信号線72に接続されている。他の奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子も第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。
なお、符号を付さないアイランドに設けられた偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
第2アイランド302に設けられた結合ダイオードDx1のカソード端子であるn型オーミック電極324は、隣接して設けられている転送サイリスタT2のゲート端子Gt2であるp型オーミック電極(符号なし)に接続されている。
そして、ゲート端子Gt1であるp型オーミック電極332は、第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1の一方の端子であるp型オーミック電極333に接続されている。電源線抵抗Rgx1の他方の端子であるp型オーミック電極334は、電源線71に接続されている。他の電源線抵抗Rgxの他方の端子も電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。
第2アイランド302のゲート端子Gt1であるp型オーミック電極332は、第4アイランド304に設けられたスタートダイオードDx0のカソード端子であるn型オーミック電極325に接続されている。スタートダイオードDx0のアノード端子であるp型オーミック電極335は、第2転送信号線73に接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、保持サイリスタS、結合ダイオードDx等についても同様である。
このようにして、図5に示した発光チップC1(C)が構成される。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。以下の説明においては、信号ライン、端子および信号線の電位の説明において、“電位”と断らないことがある。
発光装置65は発光チップC1〜C40を備えている(図3、4参照)。
図4に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に(並行して)供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaは、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップC1〜C40のそれぞれに個別に送信される。点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、各発光チップC1〜C40の発光サイリスタLを点灯または非点灯に設定する信号である。よって、点灯信号φI1〜φI40は、画像データによって相互に波形が異なる。しかし、40個の点灯信号φI1〜φI40は、同じタイミングで並列に送信される。
よって、発光チップC1〜C40は並列に駆動されるので、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
なお、発光サイリスタLの光量を補正するために、点灯信号φI1〜φI40を送信するタイミングを、各発光チップCで互にずらすようにしてもよい。
<サイリスタ>
発光チップC1の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL、保持サイリスタS)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、前述したように、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
以下では、一例として、Vsub端子である裏面電極85(図5、図6参照)に供給される基準電位Vsubをハイレベルの電位(以下では「H」と表記する。)として0V、Vga端子に供給される電源電位Vgaをローレベルの電位(以下では「L」と表記する。)として−3.3Vとする。
本実施の形態では、発光装置65は負の電位で駆動される。
サイリスタのアノード端子であるp型の第1半導体層81はp型の基板80と同電位であるので、サイリスタのアノード端子は裏面電極85に供給される基準電位Vsub(「H」(0V))になっている。
サイリスタは、例えば、図6に示したように、GaAs、GaAlAs等によるp型半導体層、n型半導体層を積層して構成される。そこで、pn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを一例として1.5Vとする。そして、GaAs、GaAlAs等に対するショットキー接合の順方向電位Vsを一例として0.5Vとする。
アノード端子とカソード端子との間に電流が流れていないオフ状態のサイリスタは、しきい電圧より低い電位(絶対値が大きい負の値)がカソード端子に印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。サイリスタは、ターンオンすると、アノード端子とカソード端子との間に電流が流れた状態(オン状態)になる。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値である。よって、サイリスタは、ゲート端子の電位が0Vであると、しきい電圧が−1.5Vとなる。すなわち、−1.5Vより低い電位がカソード端子に印加されると、サイリスタがターンオンする。
オン状態のサイリスタのゲート端子の電位は、アノード端子の電位に近い電位になる。ここでは、アノード端子を基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、ゲート端子の電位は「H」(0V)になるとする。また、オン状態のサイリスタのカソード端子は、アノード端子の電位からpn接合の順方向電位Vdを引いた電位に近い電位となる。ここでは、アノード端子を基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.5Vになるとする。
サイリスタは、一度ターンオンすると、カソード端子の電位が、オン状態を維持するために必要な電位より高い電位(絶対値が小さい負の値、0Vまたは正の値)になるまで、オン状態を維持する。オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.5Vであるので、カソード端子に−1.5Vより低い電位(絶対値が大きい負の値)が継続的に印加され、サイリスタのオン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態を維持する。一方、カソード端子に−1.5Vより高い電位が印加されると、オン状態のサイリスタは、オフ状態に移行(ターンオフ)する。例えば、カソード端子が「H」(0V)になると、−1.5Vより高い電位であるとともに、カソード端子の電位とアノード端子の電位とが同じになるので、サイリスタはターンオフする。
サイリスタは、オン状態になると電流が流れた状態を維持し、ゲート端子の電位が変化しても、オフ状態に移行しない。すなわち、サイリスタはオン状態を維持(記憶、保持)する機能を有している。
そして、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非点灯)する。オン状態の発光サイリスタLの光量は、カソード端子とアノード端子との間に流す電流によって決められる。
<タイミングチャート>
図7は、第1の実施の形態における発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7では、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御する部分のタイミングチャートを示している。前述したように、他の発光チップC2〜C40は、発光チップC1と並行して動作するため、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。よって、図7では発光チップC1の動作を示している。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。
図7において、時刻aから時刻nへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光サイリスタL1は、時刻bから時刻gの期間T(1)において、発光サイリスタL2は、時刻gから時刻lの期間T(2)において、発光サイリスタL3は、時刻lから時刻mの期間T(3)において、発光サイリスタL4は、時刻mから時刻nの期間T(4)において点灯または非点灯の制御(点灯制御)がされる。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
本実施の形態では、期間T(1)、T(2)、T(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと呼ぶ。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間T(1)、T(2)、T(3)、…の長さを可変としてもよい。
第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φa、点灯信号φI1の波形について説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップC1(発光チップC2〜C40も同じ。)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
φ1端子(図5、図6参照)に送信される第1転送信号φ1およびφ2端子(図5、図6参照)に送信される第2転送信号φ2は、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。そして、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、連続する2つの期間T(例えば、期間T(1)と期間T(2))を単位として波形が繰り返される。
第1転送信号φ1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」から「L」に移行し、時刻eで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻lにおいて、「H」から「L」に移行する。
第2転送信号φ2は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻gで「H」から「L」に移行する。そして、時刻jで「L」から「H」に移行し、期間T(2)の終了時刻lにおいて「H」を維持している。
第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、期間T(1)およびT(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返される。
ここで、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較する。第2転送信号φ2は、第1転送信号φ1を期間T(期間T(1)の期間)、時間軸上で後ろにずらしたものに当たる。
第1転送信号φ1と第2転送信号φ2との一組の転送信号は、後述するように、図5、図6に示した転送サイリスタTを番号順にオン状態を伝播させることにより、オン状態の転送サイリスタTと同じ番号の発光サイリスタLを、点灯または非点灯の制御(点灯制御)の対象として指定する。
φa端子(図5、図6参照)に送信される保持信号φaは、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。そして、保持信号φaは、期間T(例えば、期間T(1))を単位として波形が繰り返される。なお、期間T(1)は、発光装置65が動作を開始した直後であって、保持信号φaは繰り返しの波形となっていない。よって、期間T(2)において、保持信号φaを説明する。
保持信号φaは、期間T(2)の開始時刻gにおいて「L」であって、時刻hで「L」から「H」に移行し、時刻iで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻lにおいて「L」を維持している。保持信号φaは、期間T(2)での波形が期間T(3)以降においても繰り返される。
なお、保持信号φaは、期間T(1)では、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(1)の終了時刻gにおいて「L」を維持している。なお、期間T(1)の保持信号φaが、期間(2)の保持信号φaの繰り返し波形であるとすると、破線で示すように、時刻bで「L」であって、時刻cにおいて、「L」から「H」に移行する。
次に、発光チップC1のφI端子に送信される点灯信号φI1について説明する。なお、他の発光チップC2〜C40には、それぞれ点灯信号φI2〜φI40が送信される。点灯信号φI1〜φI40は、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。なお、点灯信号φI1〜φI40は、画像データに応じて、発光サイリスタLの点灯制御を行う。よって、点灯信号φI1〜φI40は、画像データによって異なる信号である。
ここでは、発光チップC1の発光サイリスタL1に対する点灯制御の期間T(1)において、点灯信号φI1を説明する。なお、発光サイリスタL1は点灯させるとしている。
点灯信号φI1は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行する。そして、時刻fで「L」から「H」に移行し、期間T(1)の終了時刻gにおいて「H」を維持している。
では、図4、図5を参照しつつ、図7に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。なお、以下では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は期間T(1)およびT(2)を周期として変化するので、発光サイリスタL1およびL2を点灯制御する期間T(1)およびT(2)において発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する(図4参照)。電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する(図4参照)。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される(図5参照)。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」に設定される。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」に設定される(図5参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201および第2転送信号ライン202が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図5参照)。
さらに、信号発生回路110の転送信号発生部120は保持信号φaを「H」に設定する。すると、保持信号ライン207が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφa端子が「H」になる。電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている保持信号線77も「H」になる(図5参照)。
さらにまた、信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図5参照)。
次に、発光チップC1〜C40の動作を、発光チップC1で説明する。
なお、図7および以下における説明では、各端子の電位がステップ(階段)状に変化するとしているが、各端子の電位は徐々に変化している。よって、電位変化の間であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタがターンオンまたはターンオフして、状態の変化を生じうる。
<発光チップC1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」(0V)に設定される。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
保持サイリスタSのカソード端子は、「H」の保持信号線77に接続されている。よって、保持サイリスタSも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
図5中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。ゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rgx1を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は第2転送信号線73に接続され、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)のφ2端子に接続されている。よって、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)の電位は、スタートダイオードDx0のアノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。また、ゲート端子Gt1の電位が−1.5Vになると、結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)の電位が−1.5Vで、カソード端子が電源線抵抗Rgx2を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されているので、順バイアスになる。よって、ゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。しかし、3以上の番号のゲート端子Gtには、スタートダイオードDx0のアノード端子が「H」(0V)であることの影響は及ばず、3以上の番号のゲート端子Gtは、電源線71の電位である「L」(−3.3V)になっている。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Gsおよびゲート端子Glに接続されているので、ゲート端子Gsおよびゲート端子Glの電位は、ゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、保持サイリスタS、発光サイリスタLのしきい電圧はゲート端子Gt、Gs、Glの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、保持サイリスタS、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(2)時刻b
<発光装置65>
図7に示す時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65、すなわち発光チップC1〜C40が動作状態に入る。
<発光チップC1>
第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号線72が、「H」から「L」に移行する。これにより、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、第1転送信号線72にカソード端子が接続された、番号が3以上の奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンできない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、第2転送信号φ2が「H」(0V)であって、第2転送信号線73が「H」であるのでターンオンできない。転送サイリスタT1がターンオンすることで、第1転送信号線72は、アノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1は、転送サイリスタT1のアノード端子の電位である「H」(0V)になる。そして、ゲート端子Gt2が−1.5V、ゲート端子Gt3が−3V、番号が4以上のゲート端子Gtが「L」(-3.3V)になる。
これにより、保持サイリスタS1、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT3、保持サイリスタS3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、保持サイリスタS、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.8Vになる。
しかし、第1転送信号線72は、オン状態の転送サイリスタT1により−1.5Vになっているので、オフ状態の奇数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。第2転送信号線73は、「H」であるので、偶数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。保持信号線77、点灯信号線75は「H」であるので、保持サイリスタS、発光サイリスタLはいずれもターンオンしない。
時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、保持サイリスタS、発光サイリスタLはオフ状態にある。ここでは、転送部101に電流が流れる経路(電流経路)は転送サイリスタT1を介する経路となる。
以下の各時刻では、発光チップC1を例として、発光チップC1〜C40の動作を説明する。なお、時刻cは、前述したように、保持信号φaの波形を説明するために設けた時刻であるため、発光チップC1の状態は変化しない。
(3)時刻d
時刻dにおいて、保持信号φaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
すると、φa端子が「H」から「L」に移行し、電流制限抵抗Raを介して保持信号線77が「H」から「L」に移行する。これにより、しきい電圧が−1.5Vである保持サイリスタS1がターンオンする。そして、保持信号線77が、オン状態の保持サイリスタS1のアノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。なお、保持サイリスタS2はしきい電圧が−3Vであるが、しきい電圧が−1.5Vと高い(絶対値が小さい負の値である)保持サイリスタS1がターンオンして保持信号線77を−1.5Vにするので、保持サイリスタS2はターンオンしない。3以上の番号の保持サイリスタSは、しきい電圧が−4.5Vより低いので、ターンオンしない。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1がオン状態にある。ここでは、転送部101の電流経路は転送サイリスタT1および保持サイリスタS1を経由する経路となる。
(4)時刻e
時刻eにおいて、第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、φ1端子が「L」から「H」に移行し、電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72も「L」から「H」になる。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」(0V)となるので、ターンオフする。
一方、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75が−1.5Vになる。なお、発光サイリスタL2はしきい電圧が−3Vであるが、しきい電圧が−1.5Vと高い(絶対値が小さい負の値である)発光サイリスタL1がターンオンして点灯信号線75を−1.5Vにするので、発光サイリスタL2はターンオンしない。3以上の番号の発光サイリスタLは、しきい電圧が−4.5Vより低いので、ターンオンしない。
なお、時刻eでは、第1転送信号φ1の「L」から「H」への移行と、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行とを同時に行っているが、いずれが先であってもかまわない。
すなわち、第1転送信号φ1の「L」から「H」への移行が、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行より先である場合、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行の前に、転送サイリスタT1がターンオフする。しかし、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)は、保持サイリスタS1がオン状態にあることで、「H」(0V)に維持されている。よって、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行により、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
一方、転送サイリスタT1がターンオフする前に、発光サイリスタL1が先にターンオンしても、転送サイリスタT1はターンオフが妨げられることがない。
時刻eの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。ここでは、転送部101の電流経路は保持サイリスタS1を経由する経路となる。すなわち、転送部101の電流経路は、時刻bでの転送サイリスタT1を経由する経路から、時刻eでの保持サイリスタS1を経由する経路に切り替わっている。
(5)時刻f
時刻fにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して、点灯信号線75が「L」から「H」に移行する。すると、発光サイリスタL1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になるのでターンオフして消灯(非点灯)する。よって、発光サイリスタL1の点灯期間は、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行した時刻eから、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する時刻fまでとなる。すなわち、発光サイリスタLの点灯期間は、点灯信号φI1が「L」である期間となる。
なお、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)は、保持サイリスタS1がオン状態であるので、「H」(0V)に維持されている。
時刻fの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にある。
(6)時刻g
時刻gにおいて、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行する。ここで、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、φ2端子を介して第2転送信号線73が「H」から「L」に移行する。
時刻gでは、保持サイリスタS1がオン状態にあるので、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)は「H」(0V)である。すると、ゲート端子Gt2(Gs2、Gl2)は−1.5Vであって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3Vである。よって、時刻gにおいて、第2転送信号線73が「H」から「L」に移行すると、転送サイリスタT2がターンオンし、第2転送信号線73が−1.5Vになる。なお、第2転送信号線73にカソード端子が接続された、番号が4以上の偶数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンしない。
転送サイリスタT2がオン状態になると、ゲート端子Gt2(Gs2、Gl2)が「H」(0V)、ゲート端子Gt3(Gs3、Gl3)が−1.5V、ゲート端子Gt4(Gs4、Gl4)が−3Vになる。そして、保持サイリスタS2、発光サイリスタL2のしきい電圧が−1.5V、保持サイリスタS3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−3V、保持サイリスタS4、発光サイリスタL4のしきい電圧が−4.5Vになる。なお、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)は、保持サイリスタS1がオン状態にあるので、「H」(0V)になっている。
時刻gの直後において、保持サイリスタS1および転送サイリスタT2がオン状態にある。
(7)時刻h
時刻hにおいて、保持信号φaが「L」から「H」に移行する。
保持信号φaが「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗Raを介して保持信号線77が「L」から「H」に移行する。すると、オン状態の保持サイリスタS1は、アノード端子およびカソード端子が「H」になるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)が、電源線抵抗Rgx1を介して接続された電源線71の電位である電源電位Vga(「L」(−3.3V))に向かって移行する。すると、結合ダイオードDx1が、電流が流れる方向とは逆の方向に電圧が印加された状態(逆バイアス)になって、ゲート端子Gt2(Gs2、Gl2)が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)に及ばなくなる。これにより、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(8)時刻i
時刻iにおいて、保持信号φaが「H」から「L」に移行する。
保持信号φaが「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗Raを介して保持信号線77が「H」から「L」に移行する。
このとき、ゲート端子Gt2(Gs2、Gl2)が「H」(0V)であるので、時刻dにおける保持サイリスタS1と同様に、しきい電圧が−1.5Vである保持サイリスタS2がターンオンする。そして、保持信号線77が−1.5Vになる。
時刻iの直後において、転送サイリスタT2および保持サイリスタS2がオン状態にある。
(9)時刻j
時刻jにおいて、第2転送信号φ2が「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
第2転送信号φ2が「L」から「H」に移行すると、時刻eにおける転送サイリスタT1と同様に、オン状態の転送サイリスタT2は、アノード端子およびカソード端子がともにが「H」(0V)となるのでターンオフする。
点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−1.5Vの発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75が−1.5Vになる。
時刻jの直後において、保持サイリスタS2がオン状態にあって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(10)時刻k
時刻kにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して、点灯信号線75が「L」から「H」に移行する。よって、時刻fにおける発光サイリスタL1と同様に、発光サイリスタL2は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯する。
時刻kの直後において、保持サイリスタS2がオン状態にある。
(11)時刻l
時刻lにおいて、第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行する。これにより、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
期間T(3)以降では、転送サイリスタTおよび発光サイリスタLの番号が異なるが、期間T(1)および期間T(2)で説明した動作の繰り返しとなるので、説明を省略する。
なお、発光サイリスタLを点灯(発光)させないで、消灯(非点灯)のままとするときは、例えば、図7の発光サイリスタL4を点灯制御する時刻mから時刻nまでの期間T(4)において示すように、点灯信号φIを「H」(0V)から「L」に移行せず、「H」(0V)のままとすればよい。このようにすることで、発光サイリスタLのしきい電圧が−1.5Vであっても、発光サイリスタLを消灯(非点灯)のままとしうる。
このように、画像データに応じて、点灯信号φIの波形を設定して、各発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御している。
以上説明したように、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象である発光サイリスタLを指定し、点灯信号φIは、点灯制御の対象の発光サイリスタLを点灯または非点灯に設定する。
発光サイリスタLの光量は、製造条件のばらつきなどにより、発光チップC間、発光サイリスタL間で異なることがある。発光サイリスタLの光量の補正(光量補正)には、発光サイリスタLに流す電流を調整して行う方法と、発光サイリスタLの点灯期間を調整して行う方法とがある。発光サイリスタLの光量補正のため、点灯信号φIを「H」から「L」に移行する時刻(例えば、図7の時刻e)または点灯信号φIを「L」から「H」に移行する時刻(例えば、図7の時刻f)を時間軸上で前後にずらして、発光サイリスタLの点灯期間を変えてもよい。
以上説明した発光チップCの動作をまとめて説明する。
第1の実施の形態では、転送サイリスタTのゲート端子Gtは保持サイリスタSのゲート端子Gsおよび発光サイリスタLのゲート端子Glと接続されている。
そして、発光チップCの転送サイリスタTは2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)により、転送サイリスタ列において転送サイリスタTが順にオン状態が伝搬するように駆動される。そこで、それぞれ隣接する転送サイリスタT、Ti+1、保持サイリスタS、Si+1、発光サイリスタL、Li+1で説明する。
すなわち、2相の転送信号の内の一方の転送信号が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行して、しきい電圧が−3Vの転送サイリスタTをターンオンさせるとする(例えば、図7における時刻b)。すると、ゲート端子Gt(Gs、Gl)が「H」(0V)になって、保持サイリスタSおよび発光サイリスタLのしきい電圧が−1.5Vになる。そして、転送サイリスタTがオン状態にある期間に、保持信号φaを「H」から「L」に移行して、しきい電圧が−1.5Vの保持サイリスタSをターンオンさせる(時刻d)。
その後、一方の転送信号を「L」から「H」に移行させる(時刻e)ことにより、オン状態であった転送サイリスタTをターンオフさせる。このとき、保持サイリスタSがオン状態に維持されているので、ゲート端子Gt(Gs、Gl)は「H」(0V)に維持されている。これにより、「H」(0V)であるゲート端子Gt(Gs、Gl)に順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接するゲート端子Gti+1(Gsi+1、Gli+1)が−1.5Vとなって、ゲート端子Gti+1(Gsi+1、Gli+1)を有する転送サイリスタTi+1のしきい電圧が−3Vになっている。
そこで、保持サイリスタSがオン状態である期間、すなわち隣接するゲート端子Gti+1(Gsi+1、Gli+1)を有する転送サイリスタTi+1のしきい電圧が−3Vになっているとき(時刻g)に、他方の転送信号を「H」から「L」に移行させることで、転送サイリスタTi+1をターンオンする。
一方、ゲート端子Gt(Gs、Gl)が「H」(0V)であって、発光サイリスタLのしきい電圧が−1.5Vであるとき(時刻e)に、点灯信号φIを「H」から「L」にすることで、発光サイリスタLをターンオンして、点灯(発光)させている。
さて、図7中に示す重なり期間ta、待ち期間tb、オフ期間tcについて説明する。ここでは、期間T(2)の時刻gから時刻jの間で説明する。
重なり期間taは、第2転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行した時刻gから転送サイリスタT2がターンオンするまでの期間である。つまり、重なり期間taは、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行した時刻から、保持信号φaを「L」から「H」に移行させうるまでの期間である。
一般に、転送サイリスタTのカソード端子(転送信号線(第1転送信号線72または第2転送信号線73))の電位は緩やかに変化する。このため、転送サイリスタT2は、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行しても、直ちにはターンオンせず、第2転送信号線73の電位が転送サイリスタT2のしきい電圧(−3V)より低くなってからターンオンする。
もし、重なり期間taを待たないで、保持信号φaを「L」から「H」に移行すると、保持サイリスタS1がターンオフして、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)の電位が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に向かって変化する。これにより、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−3Vより低い(絶対値が大きい負の値)側に移行し、第2転送信号線73の電位が「L」(-3.3V)になってもターンオンしなくなってしまう。この結果、転送サイリスタ列において、転送サイリスタTのオン状態の伝播が中断してしまう。
他の転送サイリスタTにおいても同様である。
すなわち、重なり期間taは、転送信号(第1転送信号線72または第2転送信号線73)が「H」から「L」に移行した時刻から、転送サイリスタTがターンオンするまでの期間であるとともに、保持信号φaを「L」から「H」に移行するまでの期間である。
一方、待ち期間tbは、時刻hで保持信号φaが「L」から「H」に移行してから、点灯信号φI1を「H」から「L」に移行しても発光サイリスタL1が、ターンオンしなくなるまでの期間である。つまり、待ち期間tbは、保持信号φaが時刻hで「L」から「H」に移行した時刻から、点灯信号φI1を「H」から「L」に移行させうるまでの期間である。
保持信号φaを「L」から「H」に移行すると、保持サイリスタS1がターンオフして、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に向かって変化する。これにともなって、発光サイリスタL1のしきい電圧は、−1.5Vから−4.8Vに向かって変化する。このため、時刻jにおいて点灯信号φI1が「H」から「L」(-3.3V)に移行したとき、発光サイリスタL1がターンオンしないためには、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3.3Vより低くなっていること、すなわちゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)が−1.8Vより低くなっていることが好ましい。
なお、発光サイリスタL2のしきい電圧は−1.5Vであるので、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5Vより低くて、時刻jにおいて発光サイリスタL2が発光サイリスタL1に優先してターンオンすればよい。よって、待ち期間tbは、発光サイリスタL2が発光サイリスタL1に優先してターンオンするように、発光サイリスタL1のしきい電圧が変化するまでの期間としてもよい。
そして、オフ期間tcは、保持信号φaが時刻hで「L」から「H」に移行してから、保持信号φaが「H」から「L」に移行しても、保持サイリスタS1が、ターンオンしなくなるまでの期間である。つまり、オフ期間tcは、保持信号φaが時刻hで「L」から「H」に移行した時刻から、再び保持信号φaを「H」から「L」に移行させうるまでの期間である。
保持信号φaを「L」から「H」に移行すると、保持サイリスタS1がターンオフして、ゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)が「H」(0V)から「L」(-3.3V)に向かって変化する。これにともなって、保持サイリスタS1のしきい電圧は、−1.5Vから−4.8Vに向かって変化する。このため、時刻iにおいて保持信号φaが「H」から「L」(-3.3V)に移行したとき、保持サイリスタS1がターンオンしないためには、保持サイリスタS1のしきい電圧が−3.3Vより低くなっていること、すなわちゲート端子Gt1(Gs1、Gl1)の電位が−1.8Vより低くなっていることが好ましい。
なお、保持サイリスタS2のしきい電圧は−1.5Vであるので、保持サイリスタS1のしきい電圧が−1.5Vより低くて、時刻iにおいて保持サイリスタS2が保持サイリスタS1に優先してターンオンすればよい。よって、オフ期間tcは、保持サイリスタS2が保持サイリスタS1に優先してターンオンするように、保持サイリスタS1のしきい電圧が変化するまでの期間としてもよい。
図7では、待ち期間tbとオフ期間tcとを異なる長さとして示したが、ゲート端子Gtとゲート端子Gsとゲート端子Glとが同電位であるので、待ち期間tbとオフ期間tcとを同じ長さの期間としてもよい。
次に、ゲート端子Gt(Gs、Gl)の電位を「H」(0V)に維持するために、保持サイリスタSを用いることを説明する。
転送サイリスタ列において転送サイリスタTをオン状態が順に伝搬するように駆動するには、ゲート端子Gtを「H」(0V)(オン状態のサイリスタのゲート端子の電位)に維持して、順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接する転送サイリスタTi+1のゲート端子Gti+1の電位を、「H」(0V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)に維持し、転送サイリスタTi+1のしきい電圧を−3Vに設定することを要する。
第1の実施の形態では、転送サイリスタTi+1がターンオンする前に、転送サイリスタTをターンオフしているが、保持サイリスタSをオン状態に維持することでゲート端子Gt(Gs、Gl)の電位を「H」(0V)に維持し、転送サイリスタTi+1がターンオンするようにしている。
転送サイリスタTがターンオンするとき、ゲート端子Gt(Gs、Gl)は−1.5Vから「H」(0V)に移行する。このため、転送サイリスタTには、ゲート端子Gt(Gs、Gl)の寄生容量に蓄積された電荷を速やかに(小さい時定数で)引き抜く電流駆動能力が求められる。転送サイリスタTの電流駆動能力を高めようとすると、転送サイリスタTのサイズが大きくなる。すると、転送サイリスタTをオン状態に維持するために流れる電流(維持電流)も大きくなってしまう。
これに対し、保持サイリスタSは、ゲート端子Gl(Gs、Gl)が「H」(0V)になった後にターンオンする。このため、保持サイリスタSには、ゲート端子Gt(Gs、Gl)の寄生容量に蓄積された電荷を、小さい時定数で引き抜く電流駆動能力は求められない。よって、保持サイリスタSは、ゲート端子Gl(Gs、Gl)を「H」(0V)に維持できればよく、転送サイリスタTに比べて小さいサイズでよい。したがって、保持サイリスタSのオン状態を維持するために流れる電流(維持電流)は、転送サイリスタTに比べて小さくてよい。また、電流制限抵抗Raの抵抗値の値は電流制限抵抗R1またはR2の抵抗値と別に設定しうる。そこで、電流制限抵抗Raの抵抗値の値を、電流制限抵抗R1またはR2の抵抗値に比べて、大きく設定し、保持サイリスタSのオン状態を維持するために流れる電流(維持電流)を転送サイリスタTの維持電流より小さな値に設定している。
すなわち、第1の実施の形態では、転送サイリスタTがターンオンしてオン状態になると、オン状態の転送サイリスタTの位置(番号)を保持するように、維持電流の小さい保持サイリスタSをターンオンさせる。そして、維持電流の大きい転送サイリスタTをターンオフさせる。これにより、転送部101における電流が流れる経路(電流経路)を、オン状態の転送サイリスタTを流れる経路から、オン状態の保持サイリスタSを流れる経路に切り替えている。オン状態の転送サイリスタTを流れる経路は、維持電流が大きいので、電気的な抵抗値が小さく、オン状態の保持サイリスタSを流れる経路は、維持電流が小さいので、電気的な抵抗値が大きいことになる。
すなわち、抵抗値が小さい電流経路と抵抗値が大きい電流経路とを切り替えることにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101で消費される電力を抑制している。
図8は、保持サイリスタSを用いない自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。この保持サイリスタSを用いない発光チップCでは、図5に示した第1の実施の形態の発光チップCの等価回路図において、保持サイリスタSと保持信号線77、電流制限抵抗Ra、φa端子を省いている。これにともない、信号発生回路110の構成も異なっている。なお、他の構成は、図5に示した第1の実施の形態と同様であるので、同様のものには同じ符号を付して説明を省略する。
図9は、保持サイリスタSを用いない発光チップCによる発光装置65の動作を説明するためのタイミングチャートである。保持サイリスタSを用いないので、保持信号φaがない。以下では、図7に示したタイミングチャートと異なる部分を説明する。
図7の期間T(1)において、保持信号φaを「H」から「L」にして、保持サイリスタS1をオン状態にした時刻dから時刻hまでの期間においても、図9では、第1転送信号φ1を「L」に維持している。これは、保持サイリスタSを用いていないので、転送サイリスタT1をオン状態に維持して、ゲート端子Gt1(Gl1)の電位を「H」(0V)に維持するためである。他の期間Tにおいても同様である。
すなわち、保持サイリスタSを用いない発光チップCでは、ゲート端子Gt(Gl)の電位を「H」(0V)に維持するために、転送サイリスタT1をオン状態にしている。よって、保持サイリスタSを用いない発光チップCを用いた発光装置65では、抵抗値が小さい電流経路と抵抗値が大きい電流経路とを切り替えていないので、転送部101で消費される電力を抑制できない。
以上説明したように、第1の実施の形態では、転送部101に保持サイリスタSを設け、ゲート端子Gt(Gs、Gl)の電位を「H」(0V)に維持する役割を、転送サイリスタTに比べ維持電流が小さい保持サイリスタSに置き換えることで、転送部101で消費される電力を抑制している。なお、図6において第1アイランド301と第2アイランド302とは分離されずに一体で構成されてもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、転送部101の消費電力を抑制しつつ、第1の実施の形態の発光チップC(図5参照)における保持サイリスタSを削除している。
図10は、第2の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示した図である。図10(a)は発光チップCの構成を示し、図10(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示している。
図10(a)に示すように、第2の実施の形態における発光チップCは、基板80の表面の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子、φa1端子、φa2端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφa1端子、φa2端子、φ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。
すなわち、第1の実施の形態のφa端子の代わりに、第2の実施の形態ではφa1端子、φa2端子を備えている。他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同じものには同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図10(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップC1〜C40が搭載され、信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)が設けられている。以下では、第1の実施の形態と異なるものについて説明し、同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110の転送信号発生部120は、各種の制御信号に基づき、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2に加え、保持信号φa1、保持信号φa2を送信する。すなわち、第1の実施の形態における保持信号φaの代わりに、保持信号φa1、保持信号φa2を送信する。
次に、信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)について説明する。
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120から、発光チップC1〜C40のφa1端子に保持信号φa1を送信する保持信号ライン207aが設けられ、発光チップC1〜C40のφa2端子に保持信号φa2を送信する保持信号ライン207bが設けられている。保持信号φa1および保持信号φa2は、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
(発光チップC)
図11は、第2の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、発光チップC1を例に、発光チップCを説明する。よって、図11において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。以下では、第1の実施の形態と異なるものについて説明し、同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
図11では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の構成の詳細な部分を説明する。
第2の実施の形態では、図11に示すように、信号発生回路110の転送信号発生部120は、第1の実施の形態におけるバッファ回路BU1に代えて、制御端子を備えたスリーステートバッファ回路BU3を備えている。そして、スリーステートバッファ回路BU3の入力端子には、第1転送元信号φs1が送信され、制御端子には第1転送制御信号φg1が送信される。そして、スリーステートバッファ回路BU3の出力端子から第1転送信号φ1が、発光チップCのφ1端子に送信される。
スリーステートバッファ回路BU3の出力端子から発光チップC1(C)のφ1端子に送信される第1転送信号φ1は、制御端子に送信される第1転送制御信号φg1が「H」(0V)のとき、高抵抗(ハイインピーダンス)状態(「Hi」)となり、第1転送制御信号φg1が「L」(-3.3V)のとき、第1転送元信号φs1と同じ波形となる。
さらに、第1の実施の形態におけるバッファ回路BU2に代えて、制御端子を備えたスリーステートバッファ回路BU4を備えている。そして、スリーステートバッファ回路BU4の入力端子には、第2転送元信号φs2が送信され、制御端子には第2転送制御信号φg2が送信される。そして、スリーステートバッファ回路BU4の出力端子から第2転送信号φ2が、発光チップCのφ2端子に送信される。
スリーステートバッファ回路BU4の出力端子から発光チップC1(C)のφ2端子に送信される第2転送信号φ2は、制御端子に送信される第2転送制御信号φg2が「H」(0V)のとき、高抵抗(ハイインピーダンス)状態(「Hi」)となり、第2転送制御信号φg2が「L」(-3.3V)のとき、第2転送元信号φs2と同じ波形となる。
そして、第1の実施の形態におけるバッファ回路BUaに代えて、バッファ回路BUa1およびBUa2を備えている。バッファ回路BUa1およびBUa2は、第1の実施の形態におけるバッファ回路BUaと同様に、発光チップC1〜C40に保持信号φa1およびφa2を送信する能力(駆動能力)を高めるために設けられている。よって、バッファ回路BUa1およびBUa2のそれぞれの入力端子に入力された保持信号φa1およびφa2が、バッファ回路BUa1およびBUa2のそれぞれの出力端子から発光チップC1(C)のφa1端子およびφa2端子に送信される。
他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
次に、発光チップC1(C)の構成を説明する。
発光チップC1(C)は、第1の実施の形態における保持サイリスタSおよび保持信号線77を備えていない。そして、発光チップC1(C)は、第1の実施の形態における電流制限抵抗Raの代わりに、電流制限抵抗Ra1、Ra2を、φa端子の代わりに、φa1端子とφa2端子を備えている。他の構成は、図5に示した第1の実施の形態の発光チップC1(C)と同様である。よって、同じようなものには同じ符号を付して説明を省略する。
各素子の電気的な接続関係について説明する。なお、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、同様な部分は説明を省略する。
電流制限抵抗Ra1の一方の端子は、電流制限抵抗R1と第1転送信号線72との接続点に接続されている。電流制限抵抗Ra1の他方の端子は、φa1端子に接続されている。電流制限抵抗Ra2の一方の端子は、電流制限抵抗R2と第2転送信号線73との接続点に接続されている。電流制限抵抗Ra2の他方の端子は、φa2端子に接続されている。
なお、電流制限抵抗Ra1、Ra2のそれぞれの抵抗値は、電流制限抵抗R1、R2のそれぞれの抵抗値より大きいとする。
すなわち、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路と、電流制限抵抗Ra1を介してφa1端子に接続される電流供給路とに接続されている。同様に、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路と、電流制限抵抗Ra2を介してφa2端子に接続される電流供給路とに接続されている。
なお、電流制限抵抗R1は電流制限抵抗Ra1より電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、電流制限抵抗Ra1を介してφa1端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。同様に、電流制限抵抗R2は電流制限抵抗Ra2より電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、電流制限抵抗Ra2を介してφa2端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。
第2の実施の形態において、図11に示すように、発光チップC1(C)の転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgx、スタートダイオードDx0、電流制限抵抗R1、R2、電流制限抵抗Ra1、Ra2を備える部分が転送部101に該当する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
第2の実施の形態における発光チップC1(C)は、第1の実施の形態の発光チップC1(C)(図6参照)と同様に構成されるので、第2の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図を省略する。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
図10に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φa1、φa2は、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、発光チップC1〜C40のそれぞれに個別に送信される。第1の実施の形態と同様に、発光チップC1〜C40は並列に駆動されるので、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
図12は第2の実施の形態における発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図12では、第1の実施の形態と同様に、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御する部分のタイミングチャートを示している。なお、発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。
図12においても、時刻aから時刻nへとアルファベット順に時刻が経過するとする。時刻aから時刻nは、図7に示した第1の実施の形態と同じである。
図12では、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φa1、φa2を示している。これらの信号は、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。
なお、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2の波形は、それぞれ第1の実施の形態における第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の波形と同じである。しかし、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の波形は、第1の実施の形態における第1転送信号φ1、第2転送信号φ2と異なっている。また、保持信号φa1、φa2は第1の実施の形態の保持信号φaと異なっている。
一方、点灯信号φI1も、「H」と「L」との2つの電位を有する信号であって、その波形は第1の実施の形態の点灯信号φI1と同じである。
よって、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、同じ部分の説明は省略する。
第1転送元信号φs1、第1転送制御信号φg1、第1転送信号φ1、保持信号φa1は、期間Tの2倍の期間を周期とする信号である。期間T(1)およびT(2)において、これらの信号の波形を説明する。
第1転送元信号φs1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行し、時刻eで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻lで「H」から「L」に移行する。
一方、第1転送制御信号φg1は、期間T(1)の開始時刻bで「L」で、時刻eで「L」から「H」に移行し、時刻hで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻lで「L」を維持する。
前述したように、第1転送元信号φs1はスリーステートバッファ回路BU3の入力端子に送信され、第1転送制御信号φg1はスリーステートバッファ回路BU3の制御端子に入力される。第1転送信号φ1は、第1転送制御信号φg1が「H」(0V)のとき、高抵抗(ハイインピーダンス)状態(「Hi」)となり、第1転送制御信号φg1が「L」(−3.3V)のとき、第1転送元信号φs1と同じ波形となる。
よって、第1転送信号φ1は、第1転送制御信号φg1が「L」である時刻bで、第1転送元信号φs1と同じ波形であって、「H」から「L」に移行し、第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行する時刻eで「Hi」になる。その後、第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行する時刻hで「Hi」から第1転送元信号φs1の「H」に移行する。そして、第1転送制御信号φg1が「L」である期間T(2)の終了時刻lで、第1転送元信号φs1と同じく「H」から「L」に移行する。
第1転送元信号φs1、第1転送制御信号φg1、第1転送信号φ1は、期間T(1)およびT(2)における波形が、期間T(3)以降において繰り返される。
保持信号φa1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。そして、時刻lで「H」から「L」に移行する。
保持信号φa1は、期間T(1)およびT(2)における波形が、期間T(3)以降において繰り返される。
第2転送元信号φs2、第2転送制御信号φg2、第2転送信号φ2、保持信号φa2も、期間Tの2倍の期間を周期とする信号である。これらの信号の波形は、それぞれ第1転送元信号φs1、第1転送制御信号φg1、第1転送信号φ1、保持信号φa1を、期間Tの期間(期間T(1)の期間)、時間軸の後ろにシフトさせた波形である。よって、これらの信号の波形についての説明を省略する。
なお、第2転送制御信号φg2は、発光チップCが動作を介する時刻aから時刻cの間、「L」である。なお、期間T(1)の第2転送制御信号φg2が、期間T(3)以降の繰り返し波形であるとすると、破線で示すように、時刻bで「H」であって、時刻cで「H」から「L」に移行する。
では、図10、図11を参照しつつ、図12に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。以下では、期間T(1)およびT(2)において発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。なお、第1の実施の形態と異なる部分を説明し、同様の部分は説明を省略する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に、電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」に設定される。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」に設定される(図10、図11参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は、第1転送制御信号φg1が「L」で第1転送元信号φs1が「H」であるので、第1転送信号φ1を「H」に設定し、第2転送制御信号φg2が「L」で第2転送元信号φs2が「H」であるので、第2転送信号φ2を「H」に設定する。これにより、第1転送信号ライン201および第2転送信号ライン202が「H」になって、発光チップC1〜C40のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる(図10、図11参照)。
さらに、転送信号発生部120は、保持信号φa1およびφa2をそれぞれ「H」に設定する。これにより、保持信号ライン207aおよび207bが「H」になって、発光チップC1〜C40のそれぞれのφa1端子およびφa2端子がそれぞれ「H」になる(図10、図11参照)。
すると、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して「H」のφ1端子に接続されるとともに、電流制限抵抗Ra2を介して「H」のφa1端子に接続されているので、電位が「H」になる。同様に、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続されるとともに、電流制限抵抗Ra2を介して「H」のφa2端子に接続されているので、電位が「H」になる(図11参照)。
信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図10参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図11参照)。
次に、発光チップC1〜C40の動作を、発光チップC1で説明する。
<発光チップC1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続され、「H」(0V)に設定されている。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、「H」に設定された第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
図11中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。第1の実施の形態と同様に、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は−1.5V、順バイアスの結合ダイオードDx1でゲート端子Gt1に接続されたゲート端子Gt2は−3Vになる。そして、3以上の番号のゲート端子Gtは、「L」(−3.3V)になる。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Glに接続されているので、ゲート端子Glは、ゲート端子Gtと同じである。よって、転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は同じ値となる。すなわち、転送サイリスタT1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(2)時刻b
<発光装置65>
図12に示す時刻bにおいて、第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するとともに、保持信号φa1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65が動作状態に入る。
第1転送制御信号φg1が「L」であるので、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は、第1転送元信号φs1となる。よって、時刻bで第1転送元信号φs1が「H」から「L」に移行すると、第1転送信号φ1は「L」になって、発光チップC1〜C40のφ1端子が「L」になる。
一方、保持信号φa1は、バッファ回路BUa1を介して、発光チップC1〜C40のφa1端子に送信される。よって、時刻bで保持信号φa1が「H」から「L」に移行すると、発光チップC1〜C40のφa1端子が「L」になる。
<発光チップC1>
φ1端子およびφa1端子がともに「L」であるので、発光チップC1の第1転送信号線72が「L」になる。
すると、第1の実施の形態と同様に、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。転送サイリスタT1がターンオンしてオン状態になるとき、電流制限抵抗R1および電流制限抵抗Ra1を介して電流が流れる。そして、転送サイリスタT1がオン状態になると第1転送信号線72は−1.5Vになる。
転送サイリスタT1のオン状態を維持する電流は、φa1端子の「L」と第1転送信号線72の電位(−1.5V)との電位差を電流制限抵抗Ra1で除した値と、φ1端子の「L」と第1転送信号線72の電位(−1.5V)との電位差を電流制限抵抗R1で除した値との和となる。
そして、ゲート端子Gt1が「H」(0V)、ゲート端子Gt2が−1.5V、ゲート端子Gt3が−3V、番号が4以上のゲート端子Gtが「L」(-3.3V)になる。
これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.8Vになる。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、発光サイリスタLはオフ状態にある。ここでは、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路を電流が流れる経路と、電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路を電流が流れる電流経路とになる。
以下の各時刻では、発光チップC1を例として、発光チップC1〜C40の動作を説明する。なお、時刻cは、前述したように、第2転送制御信号φg2の波形を説明するために設けた時刻である。よって、時刻cでは発光チップC1の状態は変化しない。また、時刻dは、第1の実施の形態の図7に示したタイミングチャートと時刻を同じにするために設けられている。よって、時刻dでは発光チップC1の状態は変化しない。
(3)時刻e
時刻eにおいて、第1転送元信号φs1および第1転送制御信号φg1がともに「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第1転送信号φ1およびφ1端子は電位が定まらない浮遊状態になる(図12では“Hi”と表記する)。これによって、オン状態の転送サイリスタT1には、φ1端子への電流が流れなくなる。
一方、保持信号φa1は「L」を維持しているので、φa1端子は「L」を維持している。よって、オン状態の転送サイリスタT1は、「L」のφa1端子へ電流が流れてオン状態を維持する。そして、転送サイリスタT1を流れる電流は、φa1端子の「L」(−3.3V)と−1.5Vとの電位差を電流制限抵抗Ra1で除した値となる。転送サイリスタT1を流れる電流は、φ1端子への電流が流れないこと、電流制限抵抗Ra1の抵抗値が電流制限抵抗R1の抵抗値より大きく設定されていることから、時刻bから時刻eまでの間に転送サイリスタT1を流れる電流に比べ、1/2以下になる。
すなわち、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路を電流が流れる電流経路になる。このように、転送部101の電流供給路を切り替えることにより、電流経路が切り替えられている。
点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75が−1.5Vになる。
なお、時刻eでは、第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行と、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行とを同時に行っている。第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行を、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行より先に行うと、第1転送信号φ1が「H」になって、φ1端子が「H」になる期間が生じる。すると、「H」のφ1端子と、「L」のφa1端子との間に、電流制限抵抗R1とRa1とを介して、電流が流れる。このため、第1転送信号線72の電位が高くなって、−1.5Vを維持することができなくなると、オン状態の転送サイリスタT1がターンオフしてしまう。これにより、転送部101の動作が中断されてしまう。一方、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行を第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行より先に行えば、第1転送信号φ1が一時的に「H」になる期間が生ぜず、オン状態の転送サイリスタT1がターンオフしてしまうことがない。よって、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行を第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行より先に行うことが好ましい。
さらに、時刻eでは、点灯信号φI1の「L」から「H」への移行を、第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行および第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行と同時に行っている。
点灯信号φI1の「L」から「H」への移行は、ゲート端子Gt1(Gl1)が「H」(0V)に維持されている期間に行えばよく、第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行および第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行のいずれの前であっても後であってもよい。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(4)時刻f
時刻fにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL1のアノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻fの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(5)時刻g
時刻gにおいて、第2転送元信号φs2が「H」から「L」に移行するとともに、保持信号φa2が「H」から「L」に移行する。なお、時刻gで、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
時刻gでは、第2転送制御信号φg2は「L」を維持しているので、スリーステートバッファ回路BU4の出力である第2転送信号φ2は、第2転送元信号φs2である。よって、時刻gで第2転送元信号φs2が「H」から「L」に移行すると、第2転送信号φ2も「H」から「L」になって、発光チップC1のφ2端子が「L」になる。
一方、保持信号φa2は、バッファ回路BUa2を介して、発光チップC1のφa2端子に送信される。よって、時刻gで保持信号φa2が「H」から「L」に移行すると、発光チップC1のφa2端子が「H」から「L」になる。
φ2端子およびφa2端子がともに「L」であるので、第2転送信号線73が「L」になる。
すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT2がターンオンし、第2転送信号線73は−1.5Vになる。そして、ゲート端子Gt2が「H」(0V)、ゲート端子Gt3が−1.5V、ゲート端子Gt4が−3V、番号が5以上のゲート端子Gtが「L」(-3.3V)になる。
これにより、発光サイリスタL2のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT4、発光サイリスタL4のしきい電圧が−4.5V、番号が5以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.8Vになる。
時刻gの直後において、転送サイリスタT1およびT2がオン状態にある。
(6)時刻h
時刻hにおいて、第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行するとともに、保持信号φa1が「L」から「H」に移行する。
すると、第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行するので、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は、第1転送元信号φs1となる。時刻hで、第1転送元信号φs1は「H」であるので、第1転送信号φ1は「H」になり、φ1端子が「H」になる。
一方、保持信号φa1が「L」から「H」に移行すると、バッファ回路BUa1を介して、φa1端子が「L」から「H」に移行する。
φ1端子およびφa1端子がともに「H」であるので、第1転送信号線72が「H」になる。すると、転送サイリスタT1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフする。そして、ゲート端子Gt1(Gl1)の電位が、電源線抵抗Rgx1を介して、「L」(-3.3V)に向かって変化する。
なお、時刻hでは、第1転送制御信号φg1の「H」から「L」への移行と、保持信号φa1の「L」から「H」に移行とを同時に行っている。第1転送制御信号φg1の「H」から「L」への移行を、保持信号φa1の「L」から「H」への移行より先に行うと、φ1端子が「H」で、φa1端子が「L」となって、φ1端子とφa1端子との間で、電流制限抵抗R1およびRa1とを介して、電流が流れることになる。一方、保持信号φa1の「L」から「H」への移行を第1転送制御信号φg1の「H」から「L」への移行より先に行うときは、φ1端子が浮遊状態にあるので、φ1端子とφa1端子との間で電流が流れない。よって、保持信号φa1の「L」から「H」への移行を第1転送制御信号φg1の「H」から「L」への移行より先に行うことが好ましい。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
時刻iは、第1の実施の形態の図7に示したタイミングチャートと時刻を同じにするために設けられている。よって、時刻iでは発光チップC1の状態は変化しない。
(7)時刻j
時刻jにおいて、第2転送元信号φs2および第2転送制御信号φg2がともに「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
時刻eと同様に、スリーステートバッファ回路BU4の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第2転送信号φ2およびφ2端子は電位が定まらない浮遊状態になる。これによって、オン状態の転送サイリスタT2には、φ2端子からは電流が供給されない。
一方、保持信号φa2は「L」を維持しているので、φa2端子は「L」になっている。よって、オン状態の転送サイリスタT2は、「L」のφa2端子へ電流が流れてオン状態を維持する。そして、転送サイリスタT2を流れる電流は、φa2端子の「L」(-3.3V)と−1.5Vとの電位差を電流制限抵抗Ra2で除した値となる。転送サイリスタT2を流れる電流は、φ2端子への電流が流れないこと、電流制限抵抗Ra2の抵抗値が電流制限抵抗R2の抵抗値より大きく設定されていることから、時刻gから時刻jまでの間に転送サイリスタT2を流れる電流に比べ、1/2以下になる。
点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75が−1.5Vになる。
時刻jの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(8)時刻k
時刻kにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL2のアノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻kの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(9)時刻l
時刻lにおいて、第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するとともに、保持信号φa1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、時刻lで、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
第1転送元信号φs1が「H」から「L」に移行するとともに、保持信号φa1が「H」から「L」に移行すると、時刻bの転送サイリスタT1と同様に、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT3がターンオンする。
期間T(3)以降では、転送サイリスタTおよび発光サイリスタLの番号が異なるが、期間T(1)および期間T(2)で説明した動作の繰り返しとなるので、説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施の形態では、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2により、スリーステートバッファ回路BU3、BU4の出力端子をそれぞれハイインピーダンス状態(「Hi」)と、入力端子に送信された第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2が出力される状態とに切り替えている。すなわち、転送サイリスタTをターンオンさせるときには、抵抗値が小さい電流供給路を経由する電流経路で流れる電流を多くし、転送サイリスタTのオン状態を維持するときには、抵抗値が大きい電流供給路を経由する電流経路で流れる電流を少なくしている。これにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101の消費電力を抑制している。
また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態における発光チップCにおいて、保持サイリスタSを削除している。よって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態に比べ、発光チップCの基板80のサイズを抑制している。
第2の実施の形態では、電流供給路は2個としているが、3個以上設けてもよい。
また、本実施の形態では、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2と、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2との組み合わせによって、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を、「L」、「H」、「Hi」(ハイインピーダンス状態)の3つの状態に設定している。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を「H」にすると、第1転送信号線72、第2転送信号線73を速やかに「H」に設定しうる。しかし、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の「H」の期間が「Hi」であっても動作は可能であるため、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2を、図12における第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2と同じ波形とし、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の「H」の期間(例えば、第1転送信号φ1における時刻hから時刻l)を「Hi」としてもよい。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、転送部101の消費電力を抑制しつつ、第1の実施の形態の発光チップC(図5参照)における保持サイリスタSを削除している。ただし、第2の実施の形態の発光チップC(図11参照)と異なって、φa1端子およびφa2端子を備えず、第1の実施の形態の発光チップC(図5参照)と同様に、φa端子を備えている。
よって、第3の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成は、図4に示した第1の実施の形態と同じである。よって、発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成についての説明を省略する。
(発光チップC)
図13は、第3の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、発光チップC1を例に、発光チップCを説明する。よって、図13において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。以下では、第1の実施の形態と異なるものについて説明し、同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
図13では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の構成の詳細な部分を説明する。
第3の実施の形態では、図13に示すように、信号発生回路110の転送信号発生部120は、第1の実施の形態におけるバッファ回路BU1に代えて、第2の実施の形態と同様に、制御端子を備えたスリーステートバッファ回路BU3を備えている。同様に、第1の実施の形態におけるバッファ回路BU2に代えて、制御端子を備えたスリーステートバッファ回路BU4を備えている。
スリーステートバッファ回路BU3、BU4の動作は、第2の実施の形態で説明したと同様であるので、説明を省略する。
他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、発光チップC1(C)の構成を説明する。
発光チップC1(C)は、第1の実施の形態における保持サイリスタSおよび保持信号線77を備えていない。そして、発光チップC1(C)は、ショットキーダイオードであるダイオードD1およびD2を備えている。他の構成は、図5に示した第1の実施の形態の発光チップC1(C)と同様である。よって、同じようなものには同じ符号を付して説明を省略する。なお、ショットキー接合の順方向電位Vsは0.5Vである。
各素子の電気的な接続関係について説明する。なお、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、同様な部分は説明を省略する。
ダイオードD1のアノード端子は、第1転送信号線72と電流制限抵抗R1との接続点に接続されている。ダイオードD1のカソード端子は、電流制限抵抗Raの一方の端子に接続されている。ダイオードD2のカソード端子は、第2転送信号線73と電流制限抵抗R2との接続点に接続されている。ダイオードD2のアノード端子は、電流制限抵抗Raの一方の端子に接続されている。そして、電流制限抵抗Raの他方の端子は、φa端子に接続されている。
第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されるとともに、直列接続されたダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている。一方、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されるとともに、直列接続されたダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている。そして、ダイオードD1のカソード端子がダイオードD2のアノード端子に接続されている。
すなわち、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路と、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路とに接続されている。同様に、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路とに接続されている。
なお、電流制限抵抗R1は電流制限抵抗Raより電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。同様に、電流制限抵抗R2は電流制限抵抗Raより電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。
第3の実施の形態において、図13に示すように、発光チップC1(C)の転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgx、スタートダイオードDx0、電流制限抵抗R1、R2、電流制限抵抗Ra、ダイオードD1、D2を備える部分が転送部101に該当する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
第3の実施の形態における発光チップC1(C)は、第1の実施の形態の発光チップC1(C)(図6参照)と同様に構成されるので、第3の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図を省略する。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
図4に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaは、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、発光チップC1〜C40のそれぞれに個別に送信される。第1の実施の形態と同様に、発光チップC1〜C40は並列に駆動されるので、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
図14は第3の実施の形態における発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図14では、第1の実施の形態と同様に、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御する部分のタイミングチャートを示している。なお、発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。 図14においても、時刻aから時刻nへとアルファベット順に時刻が経過するとする。時刻aから時刻nは、図7に示した第1の実施の形態と同じである。
図14では、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaを示している。これらの信号は、第1の実施の形態と同様に、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。
なお、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の波形は、第2の実施の形態における第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の波形と同じである。そして、保持信号φaの波形は、第1の実施の形態の保持信号φaと同じである。さらに、点灯信号φIの波形は第1の実施の形態の点灯信号φIと同じである。よって、これらの波形の説明は省略する。
では、図4、図13を参照しつつ、図14に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。なお、第1の実施の形態と異なる部分を説明し、同様の部分は説明を省略する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に、電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」に設定される。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」に設定される(図4、図13参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は、第1転送制御信号φg1が「L」で第1転送元信号φs1が「H」であるので、第1転送信号φ1を「H」に設定し、第2転送制御信号φg2が「L」で第2転送元信号φs2が「H」であるので、第2転送信号φ2を「H」に設定する。これにより、第1転送信号ライン201および第2転送信号ライン202が「H」になって、発光チップC1〜C40のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる(図13参照)。
さらに、転送信号発生部120は、保持信号φaを「H」に設定する。これにより、保持信号ライン207が「H」になって、発光チップC1〜C40のそれぞれのφa端子は、「H」になる(図13参照)。
すると、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して「H」のφ1端子に接続されているとともに、直列接続されたダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている。φ1端子およびφa端子は「H」であるので、ダイオードD1のアノード端子およびカソード端子はともに「H」であって、第1転送信号線72は「H」になる。
同様に、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続されているとともに、直列接続されたダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている。φ2端子およびφa端子は「H」であるので、ダイオードD2のアノード端子およびカソード端子はともに「H」であって、第2転送信号線73は「H」になる。
信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図13参照)。
次に、発光チップC1〜C40の動作を、発光チップC1で説明する。
<発光チップC1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続され、「H」(0V)に設定されている。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、「H」に設定された第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
図13中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。第1の実施の形態と同様に、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、−1.5V、順バイアスの結合ダイオードDx1でゲート端子Gt1に接続されたゲート端子Gt2は、−3Vになる。そして、3以上の番号のゲート端子Gtは、「L」(−3.3V)になる。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Glに接続されているので、ゲート端子Glの電位は、ゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は同じ値となる。すなわち、転送サイリスタT1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(2)時刻b
<発光装置65>
図14に示す時刻bにおいて、第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65が動作状態に入る。
第1転送制御信号φg1が「L」であるので、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は、第1転送元信号φs1となる。よって、時刻bで第1転送元信号φs1が「H」から「L」に移行すると、第1転送信号φ1は「L」になって、発光チップC1〜C40のφ1端子の電位が「L」になる。
<発光チップC1>
ダイオードD1は、アノード端子が電流制限抵抗R1を介して「L」のφ1端子に接続され、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「H」のφa端子に接続されているので、逆バイアスである。よって、φ1端子が「L」になると、電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72が「L」になる。
すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。このとき、転送サイリスタT1には、電流制限抵抗R1を介してφ1端子へと電流が流れる。そして、第1転送信号線72が−1.5Vになる。そして、ダイオードD1のアノード端子も−1.5Vになる。この状態でも、ダイオードD1は逆バイアスである。よって、オン状態の転送サイリスタT1には、電流制限抵抗R1を介してオン状態を維持する電流(維持電流)が流れる。第1転送信号線72の電位(−1.5V)とφ1端子の電位(「L」(−3.3V))との電位差は、電流制限抵抗R1で保持される。
すなわち、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路を経由して電流が流れる電流経路となる。
一方、ダイオードD2は、アノード端子が電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続され、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「H」のφa端子に接続されているので、ダイオードD2はアノード端子およびカソード端子がともに「H」である。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、発光サイリスタLはオフ状態にある。
以下の各時刻では、発光チップC1を例として、発光チップC1〜C40の動作を説明する。なお、時刻cは、前述したように、第2転送制御信号φg2の波形を説明するために設けた時刻である。よって、時刻cでは発光チップC1の状態は変化しない。
(3)時刻d
時刻dにおいて、保持信号φaが「H」から「L」に移行する。
すると、バッファ回路BUaを介してφa端子が「L」になる。これにより、ダイオードD1は、アノード端子が−1.5Vで、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」(−3.3V)のφa端子に接続されているので、順バイアスになる。そして、ダイオードD1のカソード端子の電位は、アノード端子の電位(−1.5V)からショットキー接合の順方向電位Vs(0.5V)を引いた−2Vになる。なお、ダイオードD2のカソード端子の電位も−2Vになる。
よって、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路を経由して電流が流れる電流経路と、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路を経由して電流が流れる電流経路とになる。
一方、ダイオードD2は、アノード端子が電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続され、カソード端子が−2Vであるので、順バイアスになる。よって、「H」のφ2端子から、電流制限抵抗R2、順バイアスのダイオードD2、電流制限抵抗Raを介して電流が流れる。これにより、ダイオードD2のアノード端子は−1.5Vになる。
しかし、偶数番号の転送サイリスタTのしきい電圧は、−3Vより低いので、いずれの転送サイリスタTもターンオンしない。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(4)時刻e
時刻eにおいて、第1転送制御信号φg1および第1転送元信号φs1がともに「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第1転送信号φ1およびφ1端子は電位が定まらない浮遊状態になる(図14では“Hi”と表記する)。これによって、オン状態の転送サイリスタT1に電流制限抵抗R1を介して流れていたφ1端子への電流が流れなくなる。一方、保持信号φaは「L」を維持しているので、φa端子は「L」を維持している。よって、転送サイリスタT1には順バイアスのダイオードD1および電流制限抵抗Raを介して「L」のφa端子に電流が流れるので、転送サイリスタT1はオン状態を維持する。
すなわち、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続される電流供給路を経由して電流が流れる電流経路になる。よって、転送部101に流れる電流は、オン状態の転送サイリスタT1を経由して電流制限抵抗R1を介してφ1端子への電流が流れなくなることにより、少なくなる。
一方、点灯信号φI1が「H」から「L」になると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
時刻eにおいて、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行と、第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行と、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行を同時に行っている。第2の実施の形態で説明したと同様に、第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行を第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行より先に行うことが好ましい。また、同様に、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行は、第1転送元信号φs1の「L」から「H」への移行および第1転送制御信号φg1の「L」から「H」への移行のいずれの前であっても後であってもよい。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(5)時刻f
時刻fにおいて、点灯信号φI1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻fの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(6)時刻g
時刻gにおいて、第2転送元信号φs2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、時刻gで、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
時刻eで説明したように、第2転送信号線73は−1.5Vになっている。そして、保持信号φaは、「L」であるので、発光チップC1のφa端子は「L」になっている。また、φ1端子は浮遊状態になっている。
時刻gでは、第2転送制御信号φg2は「L」を維持しているので、スリーステートバッファ回路BU4の出力である第2転送信号φ2は、第2転送元信号φs2である。よって、時刻gで第2転送元信号φs2が「H」から「L」に移行すると、第2転送信号φ2も「H」から「L」になって、発光チップC1のφ2端子が「H」から「L」になる。これにより、第2転送信号線73が−1.5Vから「L」(−3.3V)に急激に変化する。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT2がターンオンする。そして、オン状態の転送サイリスタT2により第2転送信号線73が−1.5Vに設定される。
すなわち、第2転送信号φ2が「H」から「L」に急激に変化することで、第2転送信号線73が一時的に「L」(−3.3V)になることで、転送サイリスタT2をターンオンさせている。
第2転送信号線73が−1.5Vに戻ると、転送サイリスタT2には、電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に流れる電流と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のφa端子に流れる電流とが加わって流れている。
なお、保持信号φaは「L」に維持されているので、転送サイリスタT1はオン状態が維持されている。そして、転送サイリスタT1にはダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してφa端子に流れる電流が流れている。
時刻gの直後において、転送サイリスタT1、T2がオン状態にある。
(7)時刻h
時刻hにおいて、第1転送制御信号φg1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するとともに、保持信号φaが「L」から「H」に移行する。
第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は第1転送元信号φs1となる。時刻gにおいて、第1転送元信号φs1は「H」であるので、第1転送信号φ1は「Hi」から「H」となる。これにより、第1転送信号線72が−1.5Vから「H」(0V)に急激に変化する。すると、オン状態の転送サイリスタT1のアノード端子およびカソード端子がともに「H」になって、ターンオフする。
一方、保持信号φaが「L」から「H」に移行すると、バッファ回路BUaを介して、φa端子が「L」から「H」に移行する。すると、ダイオードD2のアノード端子は第2転送信号線73に接続されているので、オン状態の転送サイリスタT2により−1.5Vになっている。ダイオードD2のカソード端子は、電流制限抵抗Raを介して「H」のφa端子に接続されている。よって、ダイオードD2は逆バイアスとなる。これにより、転送サイリスタT2には、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してφa端子に流れる電流がなくなる。しかし、φ2端子は「L」であるので、転送サイリスタT2は、電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に流れる電流により、オン状態を維持する。
ダイオードD1のアノード端子が電流制限抵抗R1を介して「H」のφ1端子に接続されている。ダイオードD1のカソード端子は電流制限抵抗Raを介して「H」のφa端子に接続されている。ダイオードD2は逆バイアスであるので、ダイオードD1のカソード端子の電位を設定しない。よって、ダイオードD1のアノード端子およびカソード端子はともに「H」になって、第1転送信号線72も「H」になる。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(8)時刻i
時刻iにおいて、保持信号φaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
すると、バッファ回路BUaを介してφa端子が「H」から「L」になる。すると、ダイオードD2は、アノード端子は−1.5V、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」のφa端子に接続されているので、順バイアスになる。そして、ダイオードD2のカソード端子を−2Vに設定する。
これにより、ダイオードD1は、カソード端子が−2Vになり、アノード端子が−1.5Vになる。第1転送信号線72は、ダイオードD1のアノード端子に接続されているので、第1転送信号線72も−1.5Vになる。この状態は、時刻dの直後の状態と同様である。
しかし、奇数番号の転送サイリスタTのしきい電圧は−3Vより低いので、いずれの転送サイリスタTもターンオンしない。
なお、オン状態の転送サイリスタT2には、電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に流れる電流と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のφa端子に流れる電流とを加えた電流が流れる。
時刻iの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(9)時刻j
時刻jにおいて、第2転送制御信号φg2および第2転送元信号φs2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
第2転送制御信号φg2が「L」から「H」になると、スリーステートバッファ回路BU4の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第2転送信号φ2およびφ2端子は電位が定まらない浮遊状態になる。
すると、転送サイリスタT2には、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に流れる電流がなくなる。しかし、転送サイリスタT2にはダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のφa端子に電流が流れるので、転送サイリスタT2はオン状態を維持する。
なお、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に流れる電流がなくなるため、転送サイリスタT2に流れる電流が少なくなる。
一方、点灯信号φI1が「H」から「L」になると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。
第2転送制御信号φg2の「L」から「H」への移行と、第2転送元信号φs2の「L」から「H」への移行と、点灯信号φI1の「H」から「L」への移行との関係は、時刻eで説明した第1転送制御信号φg1と第1転送元信号φs1と点灯信号φI1との関係と同様である。
時刻jの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(10)時刻k
時刻kにおいて、点灯信号φI1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL2は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻kの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(11)時刻l
時刻lにおいて、第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、時刻lで、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、時刻bの転送サイリスタT1と同様に、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT3がターンオンする。
期間T(3)以降では、転送サイリスタTおよび発光サイリスタLの番号が異なるが、期間T(1)および期間T(2)で説明した動作の繰り返しとなるので、説明を省略する。
以上説明したように、第3の実施の形態では、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2により、スリーステートバッファ回路BU3、BU4の出力端子をそれぞれハイインピーダンス状態(「Hi」)と、入力端子に送信された第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2が出力される状態とに切り替えている。これにより、転送サイリスタTをターンオンさせるときには、抵抗値が小さい電流供給路を経由する電流経路により流れる電流を多くし、転送サイリスタTのオン状態を維持するときには、抵抗値が大きい電流供給経路を経由する電流経路により流れる電流を少なくしている。これにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101の消費電力を抑制している。
また、第3の実施の形態では、第2の実施の形態における保持信号φa1およびφa2の代わりに、保持信号φaを用いている。このため、第3の実施の形態では、第2の実施の形態に比べ、発光装置65における信号ライン(配線)の数および発光チップCに設ける端子の数を抑制している。
第3の実施の形態では、電流供給路は2個としているが、3個以上設けてもよい。
また、第2の実施の形態で説明したように、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2を、図14における第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2と同じ波形とし、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2の「H」の期間(例えば、第1転送信号φ1における時刻hから時刻l)を「Hi」としてもよい。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、転送部101の消費電力を抑制しつつ、第3の実施の形態の発光チップC(図13参照)におけるφa端子を削除している。すなわち、第4の実施の形態では、保持信号φaを用いない。
図15は、第4の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示した図である。図15(a)は発光チップCの構成を示し、図15(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示している。
第3の実施の形態では、発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成は、図4に示した第1の実施の形態と同じであった。よって、図4を参照しつつ、図15に示す第4の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を説明する。
図15(a)に示すように、第4の実施の形態における発光チップCは、図4(a)に示した発光チップCと異なり、φa端子を備えない。
また、図15(b)に示すように、第4の実施の形態における回路基板62は、図4(a)に示した保持信号φaが送信される保持信号ライン207を備えない。他の構成は、第3の実施の形態(第1の実施の形態と同じ。)と同様であるので、説明を省略する。
(発光チップC)
図16は、第4の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、ここでも、発光チップC1を例に、発光チップCを説明する。よって、図16において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。以下では、図14に示した第3の実施の形態と異なるものについて説明し、同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
図16では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の構成の詳細な部分を説明する。
第4の実施の形態では、保持信号φaを用いないので、図16に示すように、信号発生回路110の転送信号発生部120は、図13に示した第3の実施の形態における保持信号φaを送信するためのバッファ回路BUaを備えない。
他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
次に、発光チップC1(C)の構成を説明する。
発光チップC1(C)は、第3の実施の形態と同様に、ショットキーダイオードであるダイオードD1およびD2を備えている。そして、ダイオードD1およびD2のそれぞれのカソード端子は、電流制限抵抗Raを介して、電源電位Vgaが供給される電源線71に接続されている。
各素子の他の接続関係は第3の実施の形態と同様である。
なお、電流制限抵抗Raの抵抗値は、電流制限抵抗R1およびR2のそれぞれの抵抗値より大きく設定されている。
すなわち、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路と、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路とに接続されている。同様に、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路とに接続されている。
なお、電流制限抵抗R1は電流制限抵抗Raより電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。同様に、電流制限抵抗R2は電流制限抵抗Raより電気的な抵抗値が小さいので、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続される電流供給路は抵抗値が小さい電流供給路であり、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路は抵抗値が大きい電流供給路である。
第4の実施の形態において、図16に示すように、発光チップC1(C)の転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgx、スタートダイオードDx0、電流制限抵抗R1、R2、電流制限抵抗Ra、ダイオードD1、D2を備える部分が転送部101に該当する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
第4の実施の形態における発光チップC1(C)は、第1の実施の形態の発光チップC1(C)(図6参照)と同様に構成されるので、第4の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図を省略する。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
図15に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2は、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、発光チップC1〜C40のそれぞれに個別に送信される。第1の実施の形態と同様に、発光チップC1〜C40は並列に駆動されるので、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
図17は第4の実施の形態における発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図17では、第1〜第3の実施の形態と同様に、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御する部分のタイミングチャートを示している。なお、発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。
図17においても、時刻aから時刻nへとアルファベット順に時刻が経過するとする。時刻aから時刻nは、第1から第3の実施の形態と同じである。
図17では、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を示している。これらの信号は、第1の実施の形態と同様に、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。
なお、第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2、点灯信号φIの波形は第3の実施の形態の点灯信号φIと同じである。よって、これらの波形の説明は省略する。
第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2について説明する。
第1転送制御信号φg1、第2転送制御信号φg2、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2は、期間Tの2倍の期間を周期とする信号である。期間T(1)およびT(2)において、これらの信号の波形を説明する。
第1転送制御信号φg1は、期間T(1)の開始時刻bにおいて、「L」(−3.3V)であって、時刻eで「L」から「H」(0V)に移行する。そして、時刻hにおいて、「H」から「L」に移行し、時刻jで「L」から「H」に移行する。期間T(2)の終了時刻lにおいて、「H」から「L」に移行する。
第2の実施の形態において説明したように、第1転送元信号φs1はスリーステートバッファ回路BU3の入力端子に送信され、第1転送制御信号φg1はスリーステートバッファ回路BU3の制御端子に入力される。第1転送信号φ1は、第1転送制御信号φg1が「H」(0V)のとき、高抵抗(ハイインピーダンス)状態(「Hi」)となり、第1転送制御信号φg1が「L」(−3.3V)のとき、第1転送元信号φs1と同じ波形となる。
よって、第1転送信号φ1は、第1転送制御信号φg1が「L」である時刻bで、第1転送元信号φs1と同じ波形であって、「H」から「L」に移行し、第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行する時刻eで「Hi」になる。第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行する時刻hで「Hi」から第1転送元信号φs1の「H」に移行し、第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行する時刻jで「Hi」になる。そして、第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行する期間T(2)の終了時刻lで、第1転送元信号φs1と同じく「H」から「L」に移行する。
第1転送制御信号φg1、第1転送信号φ1は、期間T(1)およびT(2)における波形が、期間T(3)以降において繰り返される。
一方、第2転送制御信号φg2の期間T(1)およびT(2)における波形は、第1転送制御信号φg1の期間T(1)およびT(2)における波形を入れ替えた波形となっている。なお、第2転送制御信号φg2は、第1転送制御信号φg1を期間T、時間軸上を後ろにずらした波形と見ることもできる。よって、第2転送制御信号φg2および第2転送信号φ2の説明を省略する。
ただし、期間T(1)は、発光装置65が動作を開始する期間であるため、第1転送制御信号φg1および第2転送制御信号φg2の波形は、期間T(3)以降の波形と異なっている。よって、期間T(1)では、繰り返し波形としたときの、第1転送制御信号φg1および第2転送制御信号φg2の波形を破線で示している。
では、図15、図16を参照しつつ、図17に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。なお、第3の実施の形態と異なる部分を説明し、同様の部分は説明を省略する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に、電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」に設定される。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」に設定される(図15、図16参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は、第1転送制御信号φg1が「L」で第1転送元信号φs1が「H」であるので、第1転送信号φ1を「H」に設定する。同様に、第2転送制御信号φg2が「L」で第2転送元信号φs2が「H」であるので、第2転送信号φ2を「H」に設定する。これにより、第1転送信号ライン201および第2転送信号ライン202が「H」になって、発光チップC1〜C40のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる(図15、図16参照)。
すると、ダイオードD1は、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに接続され、アノード端子が電流制限抵抗R1を介して「H」(0V)のφ1端子に接続されている。よって、ダイオードD1は順バイアスになって、「H」のφ1端子から、電流制限抵抗R1、ダイオードD1、電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に電流が流れる。これにより、第1転送信号線72の電位は、「H」と「L」との間の電位に設定される。ただし、電流制限抵抗R1の抵抗値は、電流制限抵抗Raの抵抗値より小さく設定されているので、第1転送信号線72は「H」に近い値となる。よって、第1転送信号線72の電位は「H」であるとして説明する。
同様に、ダイオードD2は、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに接続され、アノード端子が電流制限抵抗R2を介して「H」(0V)のφ1端子に接続されている。よって、ダイオードD2は順バイアスになって、「H」のφ2端子から、電流制限抵抗R2、ダイオードD2、電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に電流が流れる。これにより、第2転送信号線73の電位は、「H」と「L」との間の電位に設定される。ただし、電流制限抵抗R2の抵抗値は、電流制限抵抗Raの抵抗値より小さく設定されているので、第2転送信号線73の電位は、「H」に近い値となる。よって、第2転送信号線73の電位は「H」であるとして説明する。
信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図15参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図15、図16参照)。
次に、発光チップC1〜C40の動作を、発光チップC1で説明する。
<発光チップC1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続され、「H」(0V)に設定されている。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、「H」に設定された第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
図16中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。第1の実施の形態と同様に、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は−1.5V、順バイアスの結合ダイオードDx1でゲート端子Gt1に接続されたゲート端子Gt2は−3Vになる。そして、3以上の番号のゲート端子Gtは「L」(−3.3V)になる。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Glに接続されているので、ゲート端子Glの電位はゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は同じ値となる。すなわち、転送サイリスタT1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(2)時刻b
<発光装置65>
図17に示す時刻bにおいて、第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65が動作状態に入る。
第1転送制御信号φg1が「L」であるので、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は、第1転送元信号φs1となる。よって、時刻bで第1転送元信号φs1が「H」から「L」に移行すると、第1転送信号φ1は「L」になって、発光チップC1〜C40のφ1端子が「L」になる。
<発光チップC1>
ダイオードD1は、アノード端子が電流制限抵抗R1を介して「L」のφ1端子に接続され、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に接続されている。よって、ダイオードD1は、アノード端子およびカソード端子がともに「L」であるので、第1転送信号線72が「L」になる。すると、しきい電圧が−3Vであった転送サイリスタT1がターンオンして、第1転送信号線72が−1.5Vになる。これにより、ダイオードD1のアノード端子が−1.5Vになる。このとき、ダイオードD1は、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に接続されているので、順バイアスになる。そして、ダイオードD1のカソード端子は−2Vになる。
ダイオードD2のカソード端子は、ダイオードD1のカソード端子に接続されているので、電位が−2Vになる。すると、ダイオードD2は、アノード端子が電流制限抵抗R2を介して「H」のφ2端子に接続されているので、順バイアスである。よって、第2転送信号線73は−1.5Vになる。
なお、オン状態の転送サイリスタT1には、電流制限抵抗R1を介して「L」のφ1端子へ流れる電流と、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に流れる電流とを加えた電流が流れる。
すなわち、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続される電流供給路に電流が流れる電流経路と、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路に電流が流れる電流経路となる。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、発光サイリスタLはオフ状態にある。
以下の各時刻では、発光チップC1を例として、発光チップC1〜C40の動作を説明する。なお、時刻cは、第2転送制御信号φg2の波形を説明するために設けた時刻である。よって、時刻cでは発光チップC1の状態は変化しない。また、時刻dは、第1の実施の形態の図7に示したタイミングチャートと時刻を同じにするために設けられている。よって、時刻dでは発光チップC1の状態は変化しない。
(3)時刻e
時刻eにおいて、第1転送元信号φs1および第1転送制御信号φg1がともに「L」から「H」に移行する。また、第2転送制御信号φg2が「L」から「H」に移行する。さらに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第1転送信号φ1およびφ1端子は電位が定まらない浮遊状態になる(図17では“Hi”と表記する)。
すなわち、転送部101の電流経路は、転送サイリスタT1を経由し、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介してVga端子に接続される電流供給路に電流が流れる電流経路となる。よって、転送部101に流れる電流が少なくなる。
同様に、第2転送制御信号φg2が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU4の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第2転送信号φ2およびφ2端子は電位が定まらない浮遊状態になる。
点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75が−1.5Vになる。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(4)時刻f
時刻fで、点灯信号φI1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になって、ターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻fの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
(5)時刻g
時刻gにおいて、第2転送制御信号φg2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するとともに、第2転送元信号φs2が「H」から「L」に移行する。そして、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
第2転送制御信号φg2が「H」から「L」になるので、スリーステートバッファ回路BU4の出力である第2転送信号φ2は、第2転送元信号φs2となる。よって、時刻gで第2転送元信号φs2が「H」から「L」に移行すると、第2転送信号φ2が「Hi」から「L」に移行する。すると、φ2端子が「Hi」から「L」になる。ダイオードD2は、アノード端子が電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に接続され、カソード端子が−2Vになっている。よって、ダイオードD2は逆バイアスであるので、ダイオードD2は、第2転送信号線73の電位に影響を及ぼさず、第2転送信号線73は「L」になる。
転送サイリスタT1はオン状態を維持しているので、ゲート端子Gt1は「H」(0V)、ゲート端子Gt2は−1.5Vであって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3Vである。よって、転送サイリスタT2がターンオンして、第2転送信号線73が−1.5Vになる。そして、ダイオードD2は、アノード端子が−1.5Vで、カソード端子が−2Vであるので、順バイアスになる。
そして、転送サイリスタT2には、電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に流れる電流と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に流れる電流を加えた電流が流れる。
なお、転送サイリスタT1は、ダイオードD1および電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に流れる電流により、オン状態が維持されている。
時刻gの直後において、転送サイリスタT1、T2がオン状態にある。
(6)時刻h
時刻hにおいて、第1転送制御信号φg1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
第1転送制御信号φg1が「H」から「L」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力である第1転送信号φ1は、第1転送元信号φs1となる。時刻hにおいて、第1転送元信号φs1は「H」であるので、第1転送信号φ1は「H」となる。
すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号線72の電位が「H」に向かって急激に変化し、オン状態の転送サイリスタT1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になって、ターンオフする。
この後、ダイオードD1は、カソード端子が電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に接続され、アノード端子が電流制限抵抗R1を介して「H」のφ1端子に接続されているので、順バイアスである。よって、ダイオードD1のカソード端子の電位は、ダイオードD2のカソード端子と接続されているので、−2Vになり、第1転送信号線72は−1.5Vになる。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。そして、転送サイリスタT2は、電流制限抵抗R2を介して「L」のφ2端子に流れる電流と、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に流れる電流とを加えた電流が流れ、オン状態が維持されている。
(7)時刻j
時刻jにおいて、第1転送制御信号φg1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。また、第2転送制御信号φg2および第2転送元信号φs2が「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
時刻eでと同様に、第1転送制御信号φg1が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU3の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第1転送信号φ1およびφ1端子は浮遊状態になる。すると、これにより、φ1端子から電流制限抵抗R1、ダイオードD1、電流制限抵抗Raを介してVga端子に流れる電流が流れなくなる。奇数番号の転送サイリスタTはいずれもオン状態にないので、第1転送信号線72も浮遊状態になる。
第2転送制御信号φg2が「L」から「H」に移行すると、スリーステートバッファ回路BU4の出力端子はハイインピーダンス状態(「Hi」)になって、第2転送信号φ2およびφ2端子は電位が定まらない浮遊状態(「Hi」)になる。
すると、転送サイリスタT2には、電流制限抵抗R2を介してφ2端子へ流れる電流がなくなる。しかし、転送サイリスタT2は、ダイオードD2および電流制限抵抗Raを介して「L」のVga端子に流れる電流により、オン状態が維持される。
このように、電流制限抵抗R2を介してφ2端子へ流れる電流をなくすことで、転送サイリスタT2に流れる電流が小さくなっている。
一方、点灯信号φI1が「H」から「L」になると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。
時刻jの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL2がオン状態で点灯(発光)している。
(8)時刻k
時刻kにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
すると、オン状態の発光サイリスタL2のアノード端子およびカソード端子がともに「H」になってターンオフして消灯(非点灯)する。
時刻kの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(9)時刻l
時刻lにおいて、第1転送制御信号φg1および第1転送元信号φs1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、時刻lにおいて、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
第1転送元信号φs1が「H」から「L」に移行すると、時刻bの転送サイリスタT1と同様に、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT3がターンオンする。
期間T(3)以降では、転送サイリスタTおよび発光サイリスタLの番号が異なるが、期間T(1)および期間T(2)で説明した動作の繰り返しとなるので、説明を省略する。
第4の実施の形態でも、第3の実施の形態と同様に、スリーステートバッファ回路BU3、BU4の出力端子をハイインピーダンス状態(「Hi」)と、入力端子に送信された第1転送元信号φs1、第2転送元信号φs2が出力される状態とに切り替えている。すなわち、転送サイリスタTをターンオンさせるときには、抵抗値が小さい電流供給路を経由する電流経路により流れる電流を多くし、転送サイリスタTのオン状態を維持するときには、抵抗値が大きい電流供給経路を経由する電流経路により流れる電流を少なくしている。これにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101の消費電力を抑制している。
また、第4の実施の形態では、第3の実施の形態における発光チップCにおいて、φa端子を削除している。よって、第4の実施の形態では、第3の実施の形態に比べ、発光装置65における信号ライン(配線)の数および発光チップCに設ける端子の数を抑制している。
第4の実施の形態では、電流供給路は2個としているが、3個以上設けてもよい。また、ダイオードD1、D2はショットキーダイオードとしたが、他の方式のダイオードであってもよい。
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態では、回路基板62において、40本の点灯信号ライン204−1〜204−40を用いていた。第5の実施の形態では、回路基板62上に設けられる点灯信号ラインの本数を抑制している。このため、第1の実施の形態における発光チップCにおいて、転送部101、発光部102に加え、発光サイリスタLを点灯または非点灯の何れか一方に設定する設定手段の一例としてのセット部103を備えている(後述する図19参照)。なお、転送部101の構成は、第1の実施の形態(図8参照)と同様である。
図18は、第5の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示した図である。図18(a)は発光チップCの構成を示し、図18(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示す。以下では、第1の実施の形態と異なる部分を説明し、同様の部分については説明を省略する。
本実施の形態では、40個の発光チップCを2つの発光チップ群(#aおよび#b)に分割している。20個の発光チップCa1〜Ca20(発光チップ群#a)と、同じく20個の発光チップCb1〜Cb20(発光チップ群#b)である。図18(b)では、発光チップCa1〜Ca5と、発光チップCb1〜Cb5の部分を示している。
はじめに、図18(a)に示す発光チップCの構成を説明する。
発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φa端子、φE端子、φ1端子、Vga端子、φ2端子、φW端子、φI端子)を備えている。なお、これらの入力端子は、基板80の一端部からφa端子、φE端子、φ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φW端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。
次に、図18(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)が搭載され、信号発生回路110と発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20とを相互に接続する配線が設けられている。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aと保持信号φaaとを送信する転送信号発生部120aと、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、第1転送信号φ1bと第2転送信号φ2bと保持信号φabとを送信する転送信号発生部120bとを備えている。
さらに、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、許可信号φEaを送信する許可信号発生部130aと、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、許可信号φEbを送信する許可信号発生部130bとを備えている。
さらにまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca20)に対して、点灯信号φIaを送信する点灯信号発生部140aと、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb20)に対して、点灯信号φIbを送信する点灯信号発生部140bとを備えている。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとを一つの発光チップ組にして、発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW20を送信する書込信号発生部150を備えている。ここでは、発光チップ組を組と略すことがある。
例えば、書込信号発生部150は、発光チップ群#aに属する発光チップCa1と発光チップ群#bに属する発光チップCb1との発光チップ組#1に対して、書込信号φW1を送信する。発光チップ群#aに属する発光チップCa2と発光チップ群#bに属する発光チップCb2との発光チップ組#2に対して、書込信号φW2を送信する。以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップCa20と発光チップ群#bに属する発光チップCb20との発光チップ組#20に対して、書込信号φW20を送信する。
なお、上述したように、図18(b)では、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示したが、これらをまとめて転送信号発生部120と呼ぶ。
同様に、許可信号発生部130aと許可信号発生部130bとを分けて示したが、これらをまとめて許可信号発生部130と呼ぶ。
さらに同様に、点灯信号発生部140aと点灯信号発生部140bとを分けて示したが、これらをまとめて点灯信号発生部140と呼ぶ。
同様に、第1転送信号φ1aと第1転送信号φ1bとを区別しない場合には第1転送信号φ1と呼び、第2転送信号φ2aと第2転送信号φ2bとを区別しない場合には第2転送信号φ2と呼ぶ。同様に、許可信号φEaと許可信号φEbとを区別しない場合には許可信号φEと、点灯信号φIaと点灯信号φIbとを区別しない場合には点灯信号φIと、書込信号φW1〜φW20をそれぞれ区別しない場合には書込信号φWと呼ぶ。
次に、発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20の配列について説明する。
発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20は、それぞれの長辺の方向に間隔を設けて一列に配列されている。発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20も、同様にそれぞれの長辺の方向に一列に間隔を設けて配列されている。そして、発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20および発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20が互いに180°回転して向かい合い、発光素子が主走査方向(図18(b)のX方向)に予め定められた間隔で並ぶように、千鳥状に配列されている。
信号発生回路110と発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)とを相互に接続する配線について説明する。
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφ1端子に第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、φ2端子に第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202a、φa端子に保持信号φaaを送信するための保持信号ライン207aが設けられている。第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、保持信号φaaは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の転送信号発生部120bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφ1端子に第1転送信号φ1bを送信するための第1転送信号ライン201b、φ2端子に第2転送信号φ2bを送信するための第2転送信号ライン202b、φa端子に保持信号φabを送信するための保持信号ライン207bが設けられている。第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、保持信号φabは、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
そして、回路基板62には、信号発生回路110の許可信号発生部130aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφE端子に、許可信号φEaを送信するための許可信号ライン203aが設けられている。許可信号φEaは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の許可信号発生部130bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφE端子に、許可信号φEbを送信するための許可信号ライン203bが設けられている。許可信号φEbは、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20のφI端子に、点灯信号φIaを送信するための点灯信号ライン204aが設けられている。点灯信号φIaは、発光チップCa1〜Ca20のそれぞれに対して設けられた電流制限抵抗RIを介して、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20に共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の点灯信号発生部140bから、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20のφI端子に、点灯信号φIbを送信するための点灯信号ライン204bが設けられている。点灯信号φIbは、発光チップCb1〜Cb20のそれぞれに対して設けられた電流制限抵抗RIを介して、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20に共通(並列)に送信される。
さらにまた、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとを発光チップの組(発光チップ組)にして、発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW20を送信する書込信号ライン205−1〜205−20が設けられている。
例えば、書込信号ライン205−1は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφW端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して書込信号φW1を送信する。書込信号ライン205−2は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφW端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して書込信号φW2を送信する。以下同様にして、書込信号ライン205−20は、発光チップ群#aの発光チップCa20のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb20のφW端子とに接続され、発光チップCa20と発光チップCb20とで構成する発光チップ組#20に対して書込信号φW20を送信する。
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップCには、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に送信される。
そして、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、保持信号φaa、点灯信号φIa、許可信号φEaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、保持信号φab、点灯信号φIb、許可信号φEbは、発光チップ群#bに対して共通に送信される。
一方、書込信号φW1〜φW20は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとの構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信される。
ここで、配線の数について説明する。
第1の実施の形態のように、発光装置65の発光チップCを発光チップ群および発光チップ組に分けない場合には、図4に示したように、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップC毎に送信されるため、発光チップCの数が40個のとき、40本の点灯信号ライン204−1〜204−40が必要であった。これに加え、第1転送信号ライン201、第2転送信号ライン202、保持信号ライン207、電源ライン200a、200bが必要となる。よって、発光装置65に設ける配線の数は45本となる。
また、点灯信号ライン204−1〜204−40は、発光サイリスタLに点灯のための電流を送信するため、抵抗が小さいことを要する。よって、点灯信号ライン204−1〜204−40には、幅の広い配線が必要になる。このため、第1の実施の形態では、発光装置65の回路基板62の面積が大きくなってしまう。
第5の実施の形態では、図18(b)に示すように、発光チップ群の数を2としているので、点灯信号ライン204a、204bの2本となる。さらに、第1転送信号ライン201aおよび201b、第2転送信号ライン202aおよび202b、保持信号ライン207aおよび207b、電源ライン200a、200bに加え、許可信号ライン203a、203b、書込信号ライン205−1〜205−20が必要になる。よって、本実施の形態では、発光装置65に設ける配線の数は32本となる。
第5の実施の形態では、配線の数は、第1の実施の形態に比べ3/4になる。
さらに、第5の実施の形態では、電流を送信する幅の広い配線は点灯信号ライン204a、204bの2本に削減される。後述するように、書込信号ライン205−1〜205−20はショットキー型書込ダイオードSDw1、SDw2、SDw3、…のカソード端子に与えられ、ショットキー型書込ダイオードSDw1、SDw2、SDw3、…を順バイアスまたは順バイアスでない状態に設定するためのものである。よって、書込信号ライン205−1〜205−20には大きな電流が流れない。したがって、書込信号ライン205−1〜205−20に幅の広い配線を要しない。このことから、第5の実施の形態では、回路基板62上に幅の広い配線を多数設けることを要せず、回路基板62の面積を抑制できる。
図19は、第5の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。
ここでは、発光チップCa1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図19において、発光チップCを発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca20およびCb1〜Cb20の構成は、発光チップCa1と同じである。
なお、入力端子(φa端子、φE端子、φ1端子、Vga端子、φ2端子、φW端子、φI端子)は、図18(a)に示した位置とは異なっているが、説明の便宜上、図中左端に示した。なお、第1の実施の形態と異なるものを説明し、同様なものについては同じ符号を付して説明を省略する。
図19では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の詳細な部分を説明する。
転送信号発生部120aは、発光チップ群#aに第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、保持信号φaaを送信するためのバッファ回路BU1a、BU2a、BUaを備えている。図示しないが、転送信号発生部120bは、発光チップ群#bに第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、保持信号φabを送信するためのバッファ回路BU1b、BU2b、BUbを備えている。
点灯信号発生部140aは、発光チップ群#aに点灯信号φIaを送信するためのバッファ回路BUIaを備えている。図示しないが、点灯信号発生部140bは、発光チップ群#bに点灯信号φIbを送信するためのバッファ回路BUIbを備えている。
書込信号発生部150は、書込信号φW1〜φW20を送信するためのバッファ回路BUW1〜BUW20を備えている。
さらに、許可信号発生部130aは、発光チップ群#aに許可信号φEaを送信するためのバッファ回路BUEaを備えている。図示しないが、許可信号発生部130bは、発光チップ群#bに許可信号φEbを送信するためのバッファ回路BUEbを備えている。
図19では、転送信号発生部120a、許可信号発生部130a、点灯信号発生部140a、書込信号発生部150内の書込信号φW1に関連するバッファ回路BUW1の部分のみを示している。
バッファ回路BU1a、BU1b、BU2a、BU2b、BUa、BUb、BUIa、BUIb、BUEa、BUEb、BUW1〜BUW20は、それぞれの信号(第1転送信号φ1a、φ1b、第2転送信号φ2a、φ2b、保持信号φaa、φab、点灯信号φIa、φIb、許可信号φEa、φEb、書込信号φW1〜φW20)を発光チップ群#a(Ca1〜Ca20)と発光チップ群#b(Cb1〜Cb20)とに送信する能力(駆動能力)を高めるために設けられている。よって、バッファ回路BU1a、BU1b、BU2a、BU2b、BUa、BUb、BUIa、BUIb、BUEa、BUEb、BUW1〜BUW20のそれぞれの入力端子に入力された信号が、それぞれの出力端子から送信される。
発光チップCa1(C)の発光サイリスタL1、L2、L3、…を含んで構成される発光部102、転送サイリスタT1、T2、T3、…および保持サイリスタS1、S2、S3、…を含んで構成される転送部101は、第1の実施の形態と同様である。よって、説明を省略する。
第5の実施の形態における発光チップCa1(C)は、上記の転送部101、発光部102に加え、発光チップCを選択して、書込(点灯)を許可するセット部103を備えている。
セット部103は、保持サイリスタS1、S2、S3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…との間に、ショットキー型許可ダイオードSDe1、SDe2、SDe3、…、同じくショットキー型書込ダイオードSDw1、SDw2、SDw3、…、接続抵抗Rs1、Rs2、Rs3、…を備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、接続抵抗Rs1、Rs2、Rs3、…、ショットキー型許可ダイオードSDe1、SDe2、SDe3、…、ショットキー型書込ダイオードSDw1、SDw2、SDw3、…のそれぞれを区別しないときは、接続抵抗Rs、ショットキー型許可ダイオードSDe、ショットキー型書込ダイオードSDwと表記する。ここでは、ショットキー型許可ダイオードSDeとショットキー型書込ダイオードSDwとを区別したが、区別する必要はない。
なお、発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…と同様に、接続抵抗Rs1、Rs2、Rs3、…、ショットキー型許可ダイオードSDe1、SDe2、SDe3、…、ショットキー型書込ダイオードSDw1、SDw2、SDw3、…も、図中左側から番号順に配列されている。
保持サイリスタSのゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で、それぞれ接続抵抗Rs1、Rs2、Rs3、…を介して接続されている。
ショットキー型書込ダイオードSDwのカソード端子は、書込信号線74に接続されている。そして、書込信号線74は、書込信号φW1〜φW20のいずれかが送信されるφW端子に接続されている。なお、発光チップCa1のφW端子には、書込信号ライン205−1(図18参照)が接続され、書込信号φW1が送信される。
ショットキー型書込ダイオードSDwのアノード端子は、発光サイリスタLのゲート端子Glに接続されている。
同様に、ショットキー型許可ダイオードSDeのカソード端子は、許可信号線76に接続されている。そして、許可信号線76は、許可信号φEaまたはφEbのいずれかが送信されるφE端子に接続されている。なお、発光チップCa1のφE端子には、許可信号ライン203a(図18参照)が接続され、許可信号φEaが送信される。
ショットキー型許可ダイオードSDeのアノード端子は、発光サイリスタLのゲート端子Glに接続されている。
第5の実施の形態における発光チップCa1(C)は、第1の実施の形態の発光チップC1(C)(図6参照)と同様に構成されるので、第5の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図を省略する。なお、ショットキー型書込ダイオードSDwおよびショットキー型許可ダイオードSDeのカソード電極は、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上にショットキー接合するショットキー電極を設けることで構成される。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
発光装置65は、発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca20と発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb20とを備えている(図18参照)。
図18に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca20と発光チップCb1〜Cb20)には、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20には、前述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、保持信号φaa、点灯信号φIa、許可信号φEaが共通に送信される。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20は並列に駆動される。
同様に、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20には、前述したように、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、保持信号φab、点灯信号φIb、許可信号φEbが共通に送信される。よって、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20は並列に駆動される。
一方、書込信号φW1〜φW20は、発光チップ群#aの一つの発光チップCと発光チップ群#bの一つの発光チップCとが構成する発光チップ組#1〜#20のそれぞれに対して共通に送信される。例えば、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とを発光チップ組#1として、書込信号φW1が共通に送信される。また、20個の書込信号φW1〜φW20は、同じタイミングで並列に送信される。よって、発光チップ組#1〜#20は並列に駆動される。
発光チップ群#aの発光チップCa2〜Ca20は発光チップCa1と並行して駆動され、発光チップ群#bの発光チップCb2〜Cb20は発光チップCb1と並行して駆動されるので、発光チップ組#1に属する発光チップCa1およびCb1の動作を説明すれ足りる。同様に、発光チップ組#2〜#20は発光チップ組#1と並行して駆動されるので、発光チップCa1とCb1とが属する発光チップ組#1を説明すれば足りる。
<セット部103の動作>
発光装置65の動作を説明する前に、ショットキー型書込ダイオードSDwおよびショットキー型許可ダイオードSDeの動作を説明する。
ショットキー型書込ダイオードSDw、ショットキー型許可ダイオードSDe、接続抵抗Rsは、3入力AND回路ANDを構成する。
3入力AND回路ANDを、図19において一点鎖線で囲って示すショットキー型書込ダイオードSDw1、ショットキー型許可ダイオードSDe1、接続抵抗Rs1で説明する。
3入力AND回路ANDは、接続抵抗Rs1の一方の端子であるO端子に、ショットキー型書込ダイオードSDw1のアノード端子およびショットキー型許可ダイオードSDe1のアノード端子が接続されて構成されている。そして、接続抵抗Rs1の他方の端子であるP端子が転送サイリスタT1のゲート端子Gt1および保持サイリスタS1のゲート端子Gs1に接続されている。ショットキー型書込ダイオードSDw1のカソード端子であるQ端子が書込信号線74に接続され、ショットキー型許可ダイオードSDe1のカソード端子であるZ端子が許可信号線76に接続されている。前述したように、書込信号線74はφW端子に、許可信号線76はφE端子に接続されている。なお、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1と保持サイリスタS1のゲート端子Gs1とは接続されているので、ゲート端子Gt1と略す。
接続抵抗Rs1のO端子は発光サイリスタL1のゲート端子Gl1に接続されている。
そして、P端子、Q端子、Z端子が入力端子となり、O端子が出力端子となっている。後述するように、P端子、Q端子、Z端子のすべての電位(信号)が「H」(0V)になったとき、O端子の電位(信号)が「H」(0V)になる。よって、3入力AND回路ANDは、3入力のANDとして働く。
表1は、接続抵抗Rs1のP端子の電位(Gt(P)と表記する。)が「H」(0V)であるとき、φW端子(3入力AND回路ANDのQ端子)の電位(φW(Q)と表記する。)およびφE端子(3入力AND回路ANDのZ端子)の電位(φE(Z)と表記する。)と、O端子の電位(Gl(O)と表記する。)との関係を説明する表である。
すなわち、φW(Q)とφE(Z)とがともに、「H」(0V)であると、3入力AND回路ANDはANDとして働いて、Gl(O)が「H」(0V)になる。しかし、φW(Q)とφE(Z)とのいずれか一方または両方が「L」(−3.3V)であると、ショットキー型書込ダイオードSDw1またはショットキー型許可ダイオードSDe1のいずれか一方または両方が順バイアスになり、Gl(O)は「L」(−3.3V)にショットキー接合の順方向電位Vs(0.5V)を加えた−2.8Vになる。
Figure 0005664096
表2は、接続抵抗Rs1のP端子の電位(Gt(P)と表記する。)が−1.5Vであるとき、φW(Q)およびφE(Z)とGl(O)との関係を説明する表である。
Gt(P)が−1.5Vであるので、φW(Q)とφE(Z)とがともに「H」(0V)であると、ショットキー型書込ダイオードSDw1およびショットキー型許可ダイオードSDe1はともに逆バイアスとなる。このため、φW(Q)とφE(Z)とがともに「H」(0V)である影響はGl(O)に及ばず、Gl(O)は、Gt(P)の−1.5Vになる。
そして、φW(Q)またはφE(Z)のいずれか一方または両方が「L」(−3.3V)であると、ショットキー型書込ダイオードSDw1またはショットキー型許可ダイオードSDe1のいずれか一方または両方が順バイアスになり、Gl(O)は「L」(−3.3V)にショットキー接合の順方向電位Vs(0.5V)を加えた−2.8Vになる。
Figure 0005664096
表3は、接続抵抗Rs1のP端子の電位(Gt(P)と表記する。)が−3Vであるとき、φW(Q)およびφE(Z)とGl(O)との関係を説明する表である。
すなわち、Gt(P)が−3Vであるので、φW(Q)とφE(Z)とがともに「H」(0V)であると、ショットキー型書込ダイオードSDw1とショットキー型許可ダイオードSDe1とはともに逆バイアスになる。このため、φW(Q)とφE(Z)とがともに「H」(0V)である影響は、Gl(O)に及ばず、Gl(O)の電位は、Gt(P)の電位である−3Vになる。
そして、φW(Q)またはφE(Z)のいずれか一方または両方が「L」(−3.3V)になっても、Gt(P)との電位差が、ショットキー接合の順方向電位Vs(0.5V)より絶対値において小さいので、ショットキー型書込ダイオードSDw1およびショットキー型許可ダイオードSDe1はいずれも順バイアスにならず、Gl(O)の電位は、Gt(P)の電位である−3Vになる。
すなわち、3入力AND回路ANDのP端子の電位(Gt(P))が「L」(−3.3V)にショットキー接合の順方向電位Vs(0.5V)を加えた値である−2.8Vより低い場合は、φW(Q)およびφE(Z)の電位の変化に無関係に、Gl(O)の電位はGt(P)の電位となる。
Figure 0005664096
<タイミングチャート>
図20は、第5の実施の形態における発光装置65および発光チップCa1、Cb1の動作を説明するためのタイミングチャートである。図20では、発光チップ組#1(発光チップCa1およびCb1)に加えて、発光チップ組#2(発光チップCa2およびCb2)のタイミングチャートも示している。そして、図20では、それぞれの発光チップCにおいて、発光サイリスタL1〜L4の4個の発光サイリスタLの点灯制御の部分を示している。
そして、発光チップ組#1(発光チップCa1およびCb1)では、それぞれの発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯させるとした。発光チップ組#2(発光チップCa2およびCb2)では、発光チップCa2の発光サイリスタL2、L3、L4を点灯させるとし、発光チップCb2の発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させるとした。発光チップCa2の発光サイリスタL1および発光チップCb2の発光サイリスタL2は非点灯とした。
以下では、発光チップ組#1(発光チップCa1およびCb1)の動作を中心に説明する。
図20において、時刻aから時刻xへとアルファベット順に時刻が経過するとする。なお、ここでの時刻aから時刻xは、第1から第4の実施の形態で示した時刻aから時刻nと異なっている。
発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻bから時刻oの期間Ta(1)において点灯制御される。発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL2は、時刻oから時刻tの期間Ta(2)において点灯制御される。発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL3は、時刻tから時刻vの期間Ta(3)において点灯制御される。発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL4は、時刻vから時刻xの期間Ta(4)において点灯制御される。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
一方、発光チップ群#bの発光チップCb1の発光サイリスタL1は、時刻iから時刻sの期間Tb(1)において点灯制御される。発光チップ群#bの発光チップCb1の発光サイリスタL2は、時刻sから時刻uの期間Tb(2)において点灯制御される。発光チップ群#bの発光チップCb1の発光サイリスタL3は、時刻uから時刻wの期間Tb(3)において点灯制御される。以下、同様にして番号が4以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
本実施の形態では、期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…および期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca20を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…と、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb20を制御する期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…とは、期間Tの半分の長さ(位相でいうと180°)ずれているとする。すなわち、期間Tb(1)は、期間Ta(1)が開始したのち、期間Tの半分の期間が経過したときに開始する。
したがって、以下では、発光チップ群#aの発光チップCa1を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…について説明する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…における信号波形は、画像データによって変化する書込信号φW(φW1〜φW20)および期間Ta(1)における保持信号φaaを除いて、同じ波形の繰り返しである。
したがって、以下では、時刻bから時刻oまでの期間Ta(1)のみを説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップCa1(C)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、保持信号φaa、許可信号φEa、点灯信号φIaの、期間Ta(1)における信号波形について説明する。
第1転送信号φ1aは、期間Ta(1)の開始時刻bで「H」から「L」に移行し、時刻eで「L」から「H」に移行し、期間Ta(1)の終了時刻oで「H」を維持している。
第2転送信号φ2aは、期間Ta(1)の開始時刻bで「H」であって、期間Ta(1)の終了時刻oで「H」から「L」に移行する。
ここで、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを比較すると、期間Ta(1)における第1転送信号φ1aの波形が、期間Ta(2)における第2転送信号φ2aの波形になっている。そして、期間Ta(1)における第2転送信号φ2aの波形が、期間Ta(2)における第1転送信号φ1aの波形になっている。
すなわち、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは期間Tの2倍の期間(2T)を単位として繰り返す信号波形である。
第1の実施の形態と同様に、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの一組の転送信号により、図19に示した転送サイリスタTが、後述するように、順番にオン状態になって、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを設定する。
保持信号φaaは、期間Ta(1)の開始時刻bで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、期間Ta(1)の終了時刻oで「L」を維持している。なお、期間Ta(1)は、発光装置65が動作を開始する期間であるため、保持信号φaaの波形は、期間Ta(2)以降において繰り返す波形になっていない。
保持信号φaaが期間Ta(2)以降において繰り返す波形であるためには、保持信号φaaは、図20中に破線で示すように、期間Ta(1)の開始時刻bで「L」であって、時刻cで「L」から「H」に移行し、時刻dで「H」から「L」に移行し、期間Ta(1)の終了時刻oで「L」を維持する波形であることを要する。
許可信号φEaは、時刻bで「L」であって、時刻fで「L」から「H」に移行し、時刻jで「H」から「L」に移行する。そして、期間Ta(1)の終了時刻oで「L」を維持している。
許可信号φEaは、後述するように、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLの点灯可能な状態に設定する。
点灯信号φIaは、期間Ta(1)の開始時刻bで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、期間Ta(1)の終了時刻oにおいて、「L」を維持している。
点灯信号φIaは、発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給する信号である。
書込信号φW1は、期間Ta(1)の開始時刻bで「L」であって、時刻gで「L」から「H」に移行し、時刻hで「H」から「L」に移行する。さらに、時刻mで「L」から「H」に移行し、時刻nで「H」から「L」に移行し、時刻oで「L」を維持する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「H」になる期間が2つある。
そして、書込信号φW1と許可信号φEaとの関係を見ると、書込信号φW1は許可信号φEaが「H」である時刻fから時刻jまでの期間に含まれる時刻gから時刻hまでの期間おいて「H」になっている。
一方、書込信号φW1と、許可信号φEaに対して位相が180°ずれて送信される許可信号φEbとの関係を見ると、書込信号φW1は期間Tb(1)における許可信号φEbが「H」である時刻lから時刻qまでの期間に含まれる時刻mから時刻nまでの期間おいて「H」になっている。
すなわち、期間Ta(1)において、書込信号φW1が最初に「H」となる期間(時刻gから時刻h)は、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号であって、書込信号φW1が後に「H」となる期間(時刻mから時刻n)は、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号である。
このため、許可信号φEaが「H」である期間(時刻fから時刻j)は、書込信号φW1の発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「H」となる期間(時刻mから時刻n)と重ならないように設定されている。同様に、許可信号φEbが「H」である期間(時刻lから時刻q)は、書込信号φW1の発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「H」となる期間(時刻gから時刻h)と重ならないように設定されている。
後述するように、発光サイリスタLは、許可信号φEと書込信号φWとがともに「H」にあるとき、点灯状態に移行する。よって、許可信号φEおよび書込信号φWの波形は、図20では許可信号φEが書込信号φWより先に「L」から「H」に移行するが、書込信号φWが許可信号φEより先に「L」から「H」に移行してもよい。
では、図18および図19を参照しつつ、図20に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。なお、第1の実施の形態と異なる部分を説明し、同様な部分の説明を省略する。
(1)時刻a(初期状態)
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。これにより、発光チップCのそれぞれの電源線71は「L」に設定される(図18参照)。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120aは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2aをそれぞれ「H」に、転送信号発生部120bは第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2bをそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201a、201bおよび第2転送信号ライン202a、202bが「H」になる(図18参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図19参照)。
さらに、信号発生回路110の転送信号発生部120は保持信号φaaおよびφabを「H」に設定する。すると、保持信号ライン207aおよび207bが「H」になる(図18参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)のそれぞれのφa端子が「H」になる。電流制限抵抗Raを介してφa端子に接続されている保持信号線77も「H」になる(図19参照)。
さらに、信号発生回路110の許可信号発生部130aは許可信号φEaを「H」に、許可信号発生部130bは許可信号φEbを「H」に設定する。すると、許可信号ライン203a、203bが「H」になる(図18参照)。これにより、発光チップCのφE端子が「H」になる。φE端子に接続されている許可信号線76も「H」になる(図19参照)。
さらにまた、信号発生回路110の点灯信号発生部140aは点灯信号φIaを「H」に、点灯信号発生部140bは点灯信号φIbを「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204a、204bが「H」になる(図18参照)。これにより、発光チップCのφI端子が「H」になる。φI端子に接続されている点灯信号線75も「H」になる(図19参照)。
信号発生回路110の書込信号発生部150は書込信号φW1〜φW20を「H」に設定する。すると、書込信号ライン205−1〜205−20が「H」になる(図18参照)。これにより、発光チップCのφW端子が「H」になる。φW端子に接続されている書込信号線74も「H」になる(図19参照)。
次に、図19を参照しつつ、図20に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca20および発光チップCb1〜Cb20)の動作を、発光チップ組#1に属する発光チップCa1とCb1とを中心に説明する。
<発光チップCa1>
転送サイリスタT、保持サイリスタS、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」に設定される。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
保持サイリスタSのカソード端子は、「H」の保持信号線77に接続されている。よって、保持サイリスタSも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子はともに「H」であるためオフ状態にある。
図19中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、第1の実施の形態と同様に、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。ゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rgx1を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は第2転送信号線73に接続され、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)のφ2端子に接続されている。よって、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。また、ゲート端子Gt1が−1.5Vになると、結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が−1.5Vで、カソード端子が電源線抵抗Rgx2を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されているので、順バイアスになる。よって、ゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。しかし、3以上の番号のゲート端子Gtには、スタートダイオードDx0のアノード端子が「H」(0V)であることの影響は及ばず、3以上の番号のゲート端子Gtの電位は、電源線71の電位である「L」(−3.3V)になっている。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Gsに接続されているので、ゲート端子Gsの電位は、ゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、保持サイリスタSのしきい電圧はゲート端子Gt、Gsの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、保持サイリスタSのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
<発光チップCb1>
発光チップCb1においても、発光チップCa1と同じであるので、説明を省略する。
(2)時刻b
<発光装置65>
時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65、すなわち発光チップ群#a(Ca1〜Ca20)が動作状態に入る。
<発光チップCa1>
第1転送信号φ1aが「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号線72が、「H」から「L」に移行する。これにより、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。そして、第1転送信号線72が−1.5Vになる。
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1が「H」(0V)になる。これにより、保持サイリスタS1はしきい電圧が−1.5Vになる。また、転送サイリスタT2はしきい電圧が−3Vになる。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
時刻cは、前述したように、保持信号φaaの波形を説明するために設けた時刻であるため、発光チップCa1、Cb1の状態は変化しない。
(3)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ群#aに送信される保持信号φaaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
φa端子が「H」から「L」に移行し、電流制限抵抗Raを介して保持信号線77が「H」から「L」に移行する。これにより、しきい電圧が−1.5Vである保持サイリスタS1がターンオンする。
よって、時刻dの直後においては、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
(4)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φIaが「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
第1転送信号φ1aが「L」から「H」に移行すると、φ1端子が「L」から「H」に移行し、電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72も「L」から「H」になる。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」(0V)となるので、ターンオフする。
なお、ゲート端子Gt1(Gs1)は、保持サイリスタS1がオン状態にあるので、「H」(0V)に維持されている。すなわち、第1の実施の形態と同様に、維持電流が小さい保持サイリスタSをターンオンさせたのち、維持電流が大きい転送サイリスタTをターンオフにしているので、転送部101における電力の消費を抑制している。
一方、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。しかし、時刻eでは、ゲート端子Gt1が0Vであっても、許可信号φEaは「L」、書込信号φW1は「L」である。よって、ゲート端子Gl1は表1から−2.8Vで、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.3Vである。したがって、発光サイリスタL1はターンオンしない。
ちなみに、ゲート端子Gt2は−1.5Vであるので、表2から、ゲート端子Gl2は−2.8Vとなって、発光サイリスタL2のしきい電圧も−4.3Vである。同様に、ゲート端子Gt3は−3Vであるので、表3から、ゲート端子Gl3は−3Vとなって、発光サイリスタL3のしきい電圧は−4.5Vとなる。4以上の番号の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなる。よって、2以上の番号の発光サイリスタLもターンオンしない。
時刻eの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
(5)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
許可信号φEaが「L」から「H」に移行すると、φE端子が「L」から「H」に移行し、許可信号線76が「L」から「H」になる。
しかし、表1に示すようにゲート端子Gl1は−2.8Vであって、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.3Vのままである。よって、点灯信号φIaが「L」であっても、発光サイリスタL1はターンオンしない。他の発光サイリスタLについても同様である。
よって、時刻fの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1は初期状態が維持されている。
(6)時刻g
時刻gにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
前述したように、発光チップCa1の許可信号φEaは、時刻fにおいて、「H」に移行している。許可信号φEaおよび書込信号φW1がともに「H」になるので、表1に示したように、ゲート端子Gl1は「H」(0V)になって、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5Vになる。
同様に、表2に示したように、ゲート端子Gl2は−1.5Vになって、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3Vになる。
時刻eにおいて点灯信号φIaは「L」(−3.3V)であるので、しきい電圧が−3Vの発光サイリスタL2よりしきい電圧が−1.5Vと高い発光サイリスタL1がターンオンする。なお、発光サイリスタL1がターンオンして点灯信号線75が−1.5Vになるので、しきい電圧が−3Vの発光サイリスタL2はターンオンしない。
時刻gの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。許可信号φEbは、「H」を維持している。そして、ゲート端子Gt1の電位は、時刻aで説明した発光チップCa1と同様に、−1.5Vになっている。
すると、表2に示すように、発光サイリスタL1のゲート端子Gl1は、−2.8Vとなり、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.3Vとなる。しかし、点灯信号φIbは「H」であるので、発光サイリスタL1はターンオンしない。同様に、他の発光サイリスタLもターンオンしない。
(7)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
前述したように、許可信号φEaは「H」で、書込信号φW1が「L」であるので、表1に示したように、ゲート端子Gl1は−2.8Vになって、発光サイリスタL1のしきい電圧も−4.3Vに戻る。他の発光サイリスタLについても同様である。
しかし、点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻hの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、初期状態に戻る。
(8)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号には変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
発光チップCb1の動作は、時刻bにおける発光チップCa1の動作と同様である。すなわち、転送サイリスタT1がターンオンする。これにより、第1転送信号線72が−1.5Vになる。
時刻iの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
つまり、発光チップCb1は、発光チップCa1の動作をシフトしたタイミング(位相が180°ずれた関係)で動作する。
(9)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが「H」から「L」に移行する。また、発光チップ群#bに送信される保持信号φabが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
許可信号φEaが「H」から「L」に移行すると、表1に示すように、ゲート端子Gl1は−2.8Vになる。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.3Vである。しかし、点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持する。
時刻jの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
時刻dにおける発光チップCa1と同様に、φa端子が「H」から「L」に移行し、電流制限抵抗Raを介して保持信号線77が「H」から「L」に移行する。これにより、しきい電圧が−1.5Vである保持サイリスタS1がターンオンする。
よって、時刻jの直後においては、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1がオン状態にある。
(10)時刻k
時刻kにおいて、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが「L」から「H」に移行するとともに、点灯信号φIbが「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号には変化がないので、時刻jの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
発光チップCa1における時刻eと同様であるので詳細な説明を省略する。すなわち、転送サイリスタT1がターンオフする。
時刻kの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にある。
(11)時刻l
時刻lにおいて、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
発光チップCa1が属する発光チップ群#aに送信される信号には変化がないので、時刻jの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1>
発光チップCb1における時刻fと同様であるので詳細な説明を省略する。
時刻lの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にある。
(12)時刻m
時刻mにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。並行して、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2も、「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行するが、許可信号φEaは「L」である。発光サイリスタLのゲート端子Glの電位は、表1から表3に示したようになる。しかし、点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻mの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
時刻gの発光チップCa1と同様に、ゲート端子Glの電位が表1から表3に示したようになる。そして、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
時刻mの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(13)時刻n
時刻nにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」から「L」に移行する。並行して、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2も、「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
許可信号φEaは「L」で、書込信号φW1が「L」であるので、発光サイリスタLのゲート端子Glの電位は、表1から表3に示したようになる。しかし、点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻nの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
時刻hの発光チップCa1と同様に、ゲート端子Glの電位が表1から表3に示したようになる。点灯信号φIbは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻nの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(14)時刻o
時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「H」から「L」に移行する。時刻oにおいて、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光チップCa1の発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
<発光チップCa1>
時刻bでの転送サイリスタT1と同様に、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT2がターンオンする。
なお、点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻oの直後において、転送サイリスタT2、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号には変化がないので、時刻nの直後の状態が維持される。
(15)時刻p
時刻pにおいて、発光チップ群#aに送信される保持信号φaaが「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
オン状態の保持サイリスタS1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になるので、ターンオフする。
点灯信号φIaは「L」を維持しているので、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻pの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号には変化がないので、時刻nの直後の状態が維持される。
(16)時刻q
時刻qにおいて、発光チップ群#aに送信される保持信号φaaが「H」から「L」に移行する。また、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「L」から「H」に移行する。さらに、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
時刻dにおける保持サイリスタS1と同様に、保持信号φaaが「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vである保持サイリスタS2がターンオンする。
一方、点灯信号φIaが「L」から「H」に移行すると、オン状態の発光サイリスタL1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になって、発光サイリスタL1がターンオフする。
時刻qの直後において、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2がオン状態にある。
<発光チップCb1>
許可信号φEbが「H」から「L」に移行すると、表1から表3に示すように、ゲート端子Glの電位が設定される。
時刻qの直後において、保持サイリスタS1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
(17)時刻r
時刻rにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「L」から「H」に移行するとともに、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「H」から「L」に移行する。
<発光チップCa1>
第2転送信号φ2aが「L」から「H」に移行すると、時刻eにおける転送サイリスタT1と同様に、転送サイリスタT2がターンオフする。
一方、点灯信号φIaが「H」から「L」に移行しても、発光サイリスタL2のしきい電圧は、−4.3Vであるので、ターンオンしない。
時刻rの直後において、保持サイリスタS2がオン状態にある。
<発光チップCb1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#bに送信される信号には変化がないので、時刻qの直後の状態が維持される。
時刻r以降は、時刻eからの状態が繰り返すことになる。よって、詳細な説明を省略する。
なお、発光チップ組#1と#2とで示したように、発光チップ組#1〜#20は並行して動作する。
そして、発光サイリスタLを点灯させないで消灯のままとするときは、例えば時刻gでの書込信号φW2のように、書込信号φWを「L」から「H」に移行させることなく、「L」に維持すればよい。
以上説明したように、第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、転送サイリスタTをターンオンさせるときには、転送部101に流れる電流を多くし、転送サイリスタTのゲート端子Gtの電位を維持するときには、転送サイリスタTの替わりに、保持サイリスタSをオン状態にして、転送部101に流れる電流を少なくしている。ゲート端子Gl(Gs)の電位を「H」(0V)に維持する役割を、維持電流の小さい保持サイリスタSに置き換えている。
すなわち、抵抗値が小さい電流経路と抵抗値が大きい電流経路とを切り替えることにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101の消費電力を抑制している。
第5の実施の形態で示した転送部101は第1の実施の形態と同じであるが、第5の実施の形態の転送部101に第2〜第4の実施の形態で示した転送部101を用いてもよい。
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、発光チップCあたり複数の発光サイリスタLを並行して点灯させうる。このため、第1の実施の形態における転送部101、発光部102に加え、発光サイリスタLを点灯または非点灯の何れか一方に設定する設定手段の一例としてのラッチ部104を備えている。
第6の実施の形態では、発光装置65の回路基板62上の信号発生回路110、回路基板62上の配線、発光チップCの構成が、第1の実施の形態と異なっている。ただし、発光装置65は、第1の実施の形態と同様に、回路基板62上に、信号発生回路110と40個の発光チップC1〜C40とを備えている(後述する図21参照)。
図21は、第6の実施の形態における発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示した図である。図21(a)は発光チップCの構成を示し、図21(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示す。
はじめに、図21(a)に示す発光チップCの構成を説明する。
発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、φa端子、φm端子、φI端子、Vga端子)を備えている。これらの端子は、基板80の一端部からVga端子、φ2端子、φm端子の順に設けられ、基板80の他端部からφa端子、φI端子、φ1端子の順に設けられている。そして、発光部102は、φm端子とφ1端子との間に設けられている。
図21(b)に示す発光装置65の回路基板62には、図4に示した第1の実施の形態と同様に、信号発生回路110および発光チップC1〜C40が搭載され、信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線が設けられている。
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110は、第1の実施の形態と同様に、基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、電源電位Vgaを供給する電源電位供給部170、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40に共通に、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを共通に送信する転送信号発生部120を備えている。
また、信号発生回路110は、発光チップC1〜C40に共通に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaを送信する転送信号発生部120を備えている。さらに、信号発生回路110は、発光チップC1〜C40に共通に、点灯信号φIを電流駆動で送信する点灯信号発生部140を備えている。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40毎に記憶信号φm1〜φm40を送信する記憶信号発生部180を備えている。
なお、記憶信号φm1〜φm40をそれぞれ区別しないときは記憶信号φmと呼ぶ。
発光チップC1〜C40の回路基板62上の配列は、第1の実施の形態と同様である。
信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線について説明する。基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される電源ライン200aおよび電源電位Vgaが供給される電源ライン200b、転送信号発生部120から第1転送信号φ1を送信する第1転送信号ライン201および第2転送信号φ2を送信する第2転送信号ライン202、保持信号φaを送信する保持信号ライン207については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140から発光チップC1〜C40のφI端子に接続され、点灯信号φIを共通に送信する点灯信号ライン204が設けられている。なお、第1の実施の形態と異なって、φI端子と点灯信号ライン204との間に、電流制限抵抗RIを設けていない。
ここでは、すべての発光チップC1〜C40に共通に1つの点灯信号φIを送信したが、第1の実施の形態と同様に、発光チップC1〜C40のそれぞれに1つの点灯信号φIを送信してもよく、発光チップC1〜C40を複数の発光チップのグループに分けて、発光チップのグループ毎に点灯信号φIを送信してもよい。
そして、回路基板62には、信号発生回路110の記憶信号発生部180から、発光チップC1〜C40のそれぞれのφm端子に個別に記憶信号φm1〜φm40を送信する40本の記憶信号ライン206−1〜206−40が設けられている。
図22は、第6の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。ここでは、発光チップC1を例に発光チップCを説明する。そこで、図22において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。
なお、入力端子(φ1端子、φ2端子、φa端子、φm端子、φI端子、Vga端子)は、図21(a)に示した位置とは異なっているが、説明の便宜上、図中左端に示した。なお、第1の実施の形態と異なるものを説明し、同様なものについては同じ符号を付して説明を省略する。
図22では、信号発生回路110の構成をより詳細に示している。まず、信号発生回路110の詳細な部分を説明する。
転送信号発生部120は、第1の実施の形態と同様に、発光チップC1〜C40に第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaを送信するためのバッファ回路BU1、BU2、BUaを備えている。
点灯信号発生部140は、発光チップC1〜C40に点灯信号φIを送信するためのバッファ回路BUIを備えている。
記憶信号発生部180は、記憶信号φm1〜φm40を送信するためのバッファ回路BUm1〜BUm40を備えている。
図22では、転送信号発生部120、点灯信号発生部140、記憶信号発生部180の内の記憶信号φm1に関連するバッファ回路BUm1の部分を示している。
バッファ回路BU1、BU2、BUa、BUI、BUm1〜BUm40は、それぞれの信号(第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φa、点灯信号φI、記憶信号φm1〜φm40)を発光チップC1〜C40に送信する能力(駆動能力)を高めるために設けられている。よって、バッファ回路のそれぞれの入力端子に入力された信号が、それぞれの出力端子から送信される。
発光チップCa1(C)の発光サイリスタL1、L2、L3、…を含んで構成される発光部102、転送サイリスタT1、T2、T3、…および保持サイリスタS1、S2、S3、…を含んで構成される転送部101は、第1の実施の形態と同様である。よって、説明を省略する。
第6の実施の形態における発光チップCa1(C)は、上記の転送部101、発光部102に加え、複数の発光サイリスタLを選択して、並行して点灯(発光)させるためのラッチ部104を備えている。
ラッチ部104は、保持サイリスタS1、S2、S3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…との間に、記憶サイリスタM1、M2、M3、…、接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…を備えている。
記憶サイリスタM1、M2、M3、…、接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…をそれぞれ区別しないときは、記憶サイリスタM、接続ダイオードDm、電源線抵抗Rgy、抵抗Rnと表記する。
そして、番号が同じ一組の記憶サイリスタM、接続ダイオードDm、抵抗Rn、電源線抵抗Rgyは、発光サイリスタLを点灯または非点灯のいずれか一方に設定する。これらは、保持サイリスタSのゲート端子Gsと発光サイリスタLのゲート端子Glとの間に設けられている。
なお、記憶サイリスタMは、発光サイリスタL、保持サイリスタS、転送サイリスタTと同様に、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
第1の実施の形態の発光チップCでは、図5に示したように、保持サイリスタSのゲート端子Gsと発光サイリスタLのゲート端子Glとが直接接続されていた。第6の実施の形態では、保持サイリスタS1、S2、S3、…のゲート端子Gs1、Gs2、Gs3、…と記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…とがそれぞれ接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…を介して接続されている。そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…とがそれぞれ接続されている。よって、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…とゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…とは同じである。
なお、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…をそれぞれ区別しないときはゲート端子Gmと表記する。
接続ダイオードDmは、保持サイリスタSのゲート端子Gsから、記憶サイリスタMのゲート端子Gmに電流が流れる方向に接続されている。
そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のカソード端子は、それぞれ抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…を介して、記憶信号線78に接続されている。記憶信号線78はφm端子に接続されている。発光チップC1では、φm端子は記憶信号ライン206−1に接続され、記憶信号φm1が送信される。
さらに、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、それぞれ電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…を介して、電源線71に接続されている。電源線71は、Vga端子に接続され、「L」(-3.3V)の電源電位Vgaが供給される。
図22に示す発光チップCは、図6に示した第1の実施の形態の発光チップCと同様にして形成される。よって、第6の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図を省略する。
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65および発光チップCの動作を説明する。
図23は、第6の実施の形態における発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図23において、時刻aから時刻yへとアルファベット順に時刻が経過するとする。なお、図23に示す時刻aから時刻yは、図7に示した第1の実施の形態の時刻aから時刻nおよび図20に示した第5の実施の形態の時刻aから時刻xとは異なるものとする。
以上説明したように、回路基板62上の発光チップC1〜C40には、基準電位Vsubと電源電位Vgaとが共通に供給されるとともに、発光チップC1〜C40のそれぞれに、記憶信号φm1〜φm40が個別に送信される。なお、記憶信号φm1〜φm40は、同じタイミングで送信される。
発光チップC1〜C40は並行して動作するので、発光装置65の動作の説明では、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
図23のタイミングチャートでは、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する部分を示している。そして、図23では、発光チップC1の発光サイリスタLを4個ずつ組にして点灯制御する場合を示している。すなわち、図23では、発光サイリスタL1〜L4を発光サイリスタ組#Iとして点灯制御する期間T(I)(時刻bから時刻w)、発光サイリスタL5〜L8を発光サイリスタ組#IIとして点灯制御する期間T(II)(時刻wから時刻y)とを示している。なお、期間T(I)では、発光サイリスタ組#Iの4個の発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯させるとし、期間T(II)では、発光サイリスタ組#IIの4個の発光サイリスタL5〜L8のうち、発光サイリスタL5、L7、L8を点灯させるとし、発光サイリスタL6を非点灯とした。
そして、図23には図示しないが、発光サイリスタL9〜L12の発光サイリスタ組#IIIを制御する期間T(III)が引き続き、発光チップC1のすべての発光サイリスタLが、4個ずつの発光サイリスタLの発光サイリスタ組として順に点灯制御される。
期間T(I)、期間T(II)、期間T(III)…を区別しないときは、期間Tと呼ぶ。
他の発光チップC2〜C40についても同様である。
発光チップC1は例であって、他の発光チップC2〜C40は並行して動作する。以下の説明では、発光チップC1について説明する。
期間T(I)、期間T(II)、…における電源電位Vgaおよび第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1、点灯信号φIの波形は、画像データによって変化する記憶信号φm1を除いて、同じ波形の繰り返しである。したがって、以下では、時刻bから時刻wまでの期間T(I)において、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1、点灯信号φIの波形を説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップC1が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
期間T(I)において、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、記憶信号φm1、点灯信号φIの波形を説明する。
第1転送信号φ1は、期間T(I)の開始時刻bで「H」(0V)から「L」(-3.3V)に移行し、時刻eで「L」から「H」に移行する。時刻kで「H」である。そして、時刻bから時刻kまでの波形が、時刻kから2回繰り返されている。そして、期間T(I)の終了時刻wで「H」を維持している。
第1転送信号φ1は、期間T(I)において、時刻bから時刻eまでの期間を「H」とした波形が、期間T(II)以降において繰り返されている。なお、第1転送信号φ1の時刻bから時刻eまでの波形は、発光装置65が動作を開始するために設けられている。
第2転送信号φ2は、第1転送信号φ1の時刻bから時刻kまでの波形が、時刻gから2回繰り返されている。そして、期間T(I)の終了時刻wで「H」を維持している。
第2転送信号φ2は、期間T(I)の波形が、期間T(II)以降において繰り返されている。
保持信号φaは、期間T(I)の開始時刻bで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行する。時刻hで「L」から「H」に移行し、時刻iで「H」である。そして、時刻dから時刻iまでの波形が、時刻iから3回繰り返されている。そして、期間T(I)の終了時刻wで「L」を維持している。
保持信号φaは、期間T(I)において、時刻bから時刻eまでの期間を「L」とした波形が、期間T(II)以降において繰り返されている。なお、保持信号φaの時刻bから時刻eまでの波形は、発光装置65が動作を開始するために設けられている。
記憶信号φm1は、期間T(I)の開始時刻bで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から記憶レベルの電位(記憶電位)(以下、「S」と記す。)に移行する。なお、「S」は、「H」と「L」との間の電位で、ターンオンした記憶サイリスタMのオン状態を維持できる電位レベルをいう。ここでは、「S」は、一例として「S」(−3V<「S」≦−1.5V)であるとして説明する。
そして、記憶信号φm1(φm)は、時刻iで「S」から「L」に、時刻jで「L」から「S」に、時刻mで「S」から「L」に、時刻nで「L」から「S」に、時刻qで「S」から「L」に、時刻sで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(I)の終了時刻xでは、「H」を維持する。
なお、記憶信号φm1は画像データに依存するため、期間T(I)の記憶信号φm1の波形が、期間T(II)以降において必ずしも繰り返されない。
記憶信号φm1は、保持信号φaが「L」である期間において「L」となっている。記憶信号φm1は、例えば保持信号φaが「L」である時刻dから時刻hにおける時刻dから時刻fにおいて、「L」になっている。
点灯信号φIは、期間T(I)の開始時刻bで「H」であって、時刻rにおいて点灯レベルの電位(以下では、「Le」(−3V<「Le」≦−1.5V)と表記する。)に移行し、期間T(I)の終了時刻wで「Le」を維持している。そして、時刻xにおいて「Le」から「H」に移行する。そして、点灯信号φIは発光サイリスタLに発光(点灯)のための電流を供給する信号である。
では、図21、22を参照しつつ、図23に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。
(1)時刻a(初期状態)
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」に設定される。同様に、電源ライン200bは「L」に設定され、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」に設定される。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」に設定される。
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、保持信号φaをそれぞれ「H」に、記憶信号発生部180は記憶信号φm1〜φm40を「H」に設定する。同様に、点灯信号発生部140は点灯信号φIを「H」に設定する(図21参照)。
これにより、第1転送信号ライン201が「H」になり、発光チップC1〜C40は、φ1端子を介して第1転送信号線72が「H」になる。同様に、第2転送信号ライン202が「H」になり、発光チップC1〜C40は、φ2端子を介して第2転送信号線73が「H」になる。さらに、保持信号ライン207が「H」になり、発光チップC1〜C40は、φa端子を介して保持信号線77が「H」になる(図22参照)。
そして、記憶信号ライン206−1〜206−40が「H」になり、発光チップC1〜C40は、φm端子を介して記憶信号線78が「H」になる。さらに、点灯信号ライン204が「H」になり、発光チップC1〜C40は、φI端子を介して点灯信号線75が「H」になる。
以下では発光チップC1を説明する。発光チップC2〜C40は発光チップC1と並行して、同様に動作する。
さらに、第6の実施の形態における転送部101の動作は、第1の実施の形態および第5の実施の形態と同じである。よって、転送部101の動作は概要を説明する。
<発光チップC1>
転送サイリスタT、保持サイリスタS、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続され、「H」(0V)である。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のカソード端子は、「H」の第1転送信号線72に、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、「H」の第2転送信号線73に接続されている。転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるので、オフ状態にある。
保持サイリスタSのカソード端子は、「H」の保持信号線77に接続されている。保持サイリスタSも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
同様に、記憶サイリスタMのカソード端子は、「H」の記憶信号線78に接続されている。記憶サイリスタMは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるので、オフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。発光サイリスタLは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるので、オフ状態にある。
図22中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、第1の実施の形態と同様に、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。よって、順バイアスのスタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。また、ゲート端子Gt1が−1.5Vになると、順バイアスの結合ダイオードDx1により、ゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。しかし、3以上の番号のゲート端子Gtには、スタートダイオードDx0のアノード端子が「H」(0V)であることの影響は及ばず、3以上の番号のゲート端子Gtの電位は、電源電位Vga(「L」(−3.3V))になっている。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Gsに接続されているので、ゲート端子Gsの電位は、ゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、保持サイリスタSのしきい電圧はゲート端子Gt、Gsの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、保持サイリスタSのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
記憶サイリスタMのゲート端子Gm(発光サイリスタLのゲート端子Glも同じ。)は、接続ダイオードDmを介してゲート端子Gsに接続されているので、ゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位は、ゲート端子Gsの電位から、接続ダイオードDmのpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、ゲート端子Gm1(ゲート端子Gl1)は−3V、ゲート端子Gm2(ゲート端子Gl2)は−4.5V、番号が3以上のゲート端子Gm(ゲート端子Gl)は−4.8Vとなる。記憶サイリスタM(発光サイリスタLも同じ。)のしきい電圧は、ゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位から、pn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となって、−4.5Vまたは−4.5Vより低い値となっている。
(2)時刻b
時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65、すなわち発光チップC1〜C40が動作状態に入る。
第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、φ1端子を介して第1転送信号線72も「H」から「L」になる。そして、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1が「H」(0V)になる。これにより、保持サイリスタS1はしきい電圧が−1.5Vになる。また、転送サイリスタT2はしきい電圧が−3Vになる。
時刻aと同様に、ゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位は、ゲート端子Gtの電位から順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となり、記憶サイリスタM(発光サイリスタL)のしきい電圧は、ゲート端子Gm(ゲート端子Gl)の電位から順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、記憶サイリスタM1(発光サイリスタL1)のしきい電圧は−3Vになり、他の記憶サイリスタM(発光サイリスタL)のしきい電圧は−3.8Vまたは−3.8Vより低くなる。
記憶信号線78および点灯信号線75はいずれも「H」(0V)であるので、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLはオフ状態にある。
時刻bの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
時刻cは、前述したように、保持信号φaの波形を説明するために設けた時刻であるため、発光チップC1の状態は変化しない。
(3)時刻d
時刻dにおいて、保持信号φaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するとともに、記憶信号φm1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
保持信号φaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、φa端子を介して保持信号線77も「H」から「L」になり、しきい電圧が−1.5Vとなっていた保持サイリスタS1がターンオンする。
一方、記憶信号φm1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、φm端子を介して記憶信号線78が「H」から「L」になり、しきい電圧が−3Vである記憶サイリスタM1がターンオンする。すると、ゲート端子Gm1(Gl1)が「H」(0V)になって、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5Vになる。しかし、点灯信号φIが「H」であるので、発光サイリスタL1はターンオンしない。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1、保持サイリスタS1、記憶サイリスタM1がオン状態にある。
(4)時刻e
時刻eにおいて、第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行する。
すると、φ1端子を介して第1転送信号線72が「L」から「H」になり、オン状態の転送サイリスタT1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」(0V)となるので、ターンオフする。
ゲート端子Gt1(Gs1)は、保持サイリスタS1がオン状態にあるので、「H」(0V)に維持されている。すなわち、第1の実施の形態と同様に、転送サイリスタTがターンオンしてオン状態にあるときに、同じ番号の保持サイリスタSをターンオンさせ、その後転送サイリスタTをターンオフさせている。このことで、維持電流が転送サイリスタTより小さい保持サイリスタSによって、ゲート端子Gt(Gs)を「H」(0V)に保持するようにし、転送部101における電力の消費を抑制している。以下では、転送部101における転送サイリスタTと保持サイリスタSとの関係については、第1の実施の形態で説明したと同様であるので、説明を省略する。
なお、オン状態になった記憶サイリスタM1のカソード端子の電位は、「H」(0V)から順方向電位Vd(1.5V)を引いた値である−1.5Vになる。しかし、記憶サイリスタM1のカソード端子は抵抗Rn1を介して記憶信号線78に接続されている。よって、抵抗Rn1が記憶サイリスタM1のカソード端子の電位(−1.5V)と記憶信号線78の電位(「L」(−3.3V))との電位差を保持して、記憶信号線78は、「L」(−3.3V)が維持されている。
時刻eの直後において、保持サイリスタS1および記憶サイリスタM1がオン状態にある。
(5)時刻f
時刻fにおいて、記憶信号φm1が「L」から「S」(−3V<「S」≦−1.5V)に移行する。
すると、φm端子を介して記憶信号線78も「L」から「S」になる。オン状態の記憶サイリスタM1のカソード端子は−1.5Vである。よって、記憶信号φm1が「S」になっても、記憶サイリスタM1はオン状態が維持される。
時刻fの直後において、保持サイリスタS1および記憶サイリスタM1がオン状態にある。
(6)時刻g
時刻gにおいて、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行する。
すると、φ2端子を介して第2転送信号線73が「H」から「L」になり、しきい電圧が−3Vになっていた転送サイリスタT2がターンオンする。オン状態の転送サイリスタT2により、第2転送信号線73が−1.5Vになる。そして、ゲート端子Gt2が「H」(0V)になるので、保持サイリスタS2のしきい電圧が−1.5Vに、転送サイリスタT3のしきい電圧が−3Vになる。さらに、記憶サイリスタM2および発光サイリスタL2のしきい電圧が−3Vになる。
ここで、記憶信号φm1が「S」(−3V<「S」≦−1.5V)であって、記憶信号線78も「S」であるので、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM2はターンオンしない。
点灯信号線75は「H」(0V)であるので、いずれの発光サイリスタLもオフ状態にある。
時刻gの直後において、転送サイリスタT2、保持サイリスタS1および記憶サイリスタM1がオン状態にある。
(7)時刻h
時刻hにおいて、保持信号φaが「L」から「H」に移行する。
すると、φa端子を介して保持信号線77が「L」から「H」になり、オン状態の保持サイリスタS1は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になるので、ターンオフする。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2および記憶サイリスタM1がオン状態にある。
(8)時刻i
時刻iにおいて、保持信号φaが「H」から「L」に移行するとともに、記憶信号φm1が「S」(−3V<「S」≦−1.5V)から「L」に移行する。
保持信号φaが「H」から「L」に移行すると、時刻dでの保持サイリスタS1と同様に、しきい電圧が−1.5Vの保持サイリスタS2がターンオンする。
一方、記憶信号φm1が「S」(−3V<「S」≦−1.5V)から「L」に移行すると、φm端子を介して記憶信号線78が「S」から「L」になり、しきい電圧が−3Vになっている記憶サイリスタM2がターンオンする。このとき、記憶サイリスタM1は、オン状態を維持する。
時刻iの直後においては、転送サイリスタT2、保持サイリスタS2および記憶サイリスタM1、M2がオン状態にある。
(9)時刻j
時刻jにおいて、記憶信号φm1が「L」から「S」(−3V<「S」≦−1.5V)に移行する。
時刻fで説明したように、オン状態の記憶サイリスタM1、M2はオン状態を維持する。
なお、転送サイリスタT2は時刻iと時刻jの間のタイミングにおいてターンオフしている。
時刻jの直後においては、保持サイリスタS2および記憶サイリスタM1、M2がオン状態にある。
(10)時刻k〜時刻q
時刻k〜時刻qについては、前述したことの繰り返しであるので、概要を説明する。
保持サイリスタSは、転送サイリスタTがターンオンしたのち、ターンオンして、ゲート端子Gt(Gs)が「H」(0V)を維持するようにしている。そして、順バイアスの結合ダイオードによって接続された隣接する転送サイリスタTをターンオンさせたのち、保持サイリスタSはターンオフさせる。この繰り返しとなる。よって、ここでは、保持サイリスタSの動作の説明は省略する。
時刻kで転送サイリスタT3をターンオンさせ、時刻mで記憶サイリスタM3をターンオンさせる。同様に、時刻oで転送サイリスタT4をターンオンさせ、時刻qで記憶サイリスタM4をターンオンさせている。この間、記憶信号φm1は、「L」または「S」(−3V<「S」≦−1.5V)であるので、オン状態になった記憶サイリスタM1、M2、M3、M4はオン状態を維持している。これにより、ゲート端子Gm1(Gl1)、Gm2(Gl2)、Gm3(Gl3)、Gm4(Gl4)は「H」(0V)になっている。すなわち、発光サイリスタL1、L2、L3、L4のしきい電圧は−1.5Vになっている。
(11)時刻r
時刻rにおいて、第2転送信号φ2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行するとともに、点灯信号φIが「H」から「Le」(−3V<「Le」≦−1.5V)に移行する。
第2転送信号φ2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、φ2端子を介して第2転送信号線73が「L」から「H」になり、オン状態の転送サイリスタT4は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」になるので、ターンオフする。
そして、点灯信号φIが「H」から「Le」に移行すると、φI端子を介して点灯信号線75が「H」から「Le」になって、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1、L2、L3、L4がターンオンして、点灯(発光)する。なお、点灯信号発生部140は、電流駆動であるので、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1、L2、L3、L4を並行して点灯させる。また、点灯信号発生部140は、並行して点灯させる発光サイリスタLの数に応じた電流を送信するので、点灯させる発光サイリスタLのそれぞれの光量が、並行して点灯させる発光サイリスタLの数により、変動することを抑制している。
時刻rの直後においては、保持サイリスタS4および記憶サイリスタM1、M2、M3、M4がオン状態にあって、発光サイリスタL1、L2、L3、L4がオン状態で点灯(発光)している。
(12)時刻s
時刻sにおいて、記憶信号φm1(φm)が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
すると、φm端子を介して記憶信号線78が「L」から「H」になって、オン状態の記憶サイリスタM1、M2、M3、M4は、カソード端子とアノード端子との電位がともに「H」(0V)になって、ターンオフする。
点灯信号φIは「Le」(−3V<「Le」≦−1.5V)であるので、発光サイリスタL1、L2、L3、L4はオン状態が維持されている。そして、ゲート端子Gm1(ゲート端子Gl1)、Gm2(Gl2)、Gm3(Gl3)、Gm4(Gl4)の電位も、オン状態の発光サイリスタL1、L2、L3、L4により、「H」(0V)に維持される。
時刻sの直後において、保持サイリスタS4がオン状態にあって、発光サイリスタL1、L2、L3、L4がオン状態で、点灯(発光)している。
(13)時刻t〜時刻w
時刻t〜時刻wについては、前述したことの繰り返しであるので、概要を説明する。
時刻tにおいて、しきい電圧が−3Vになっている転送サイリスタT5をターンオンさせる。時刻uで保持サイリスタS4をターンオフさせ、その後保持サイリスタS5をターンオンさせる。そして、時刻vで転送サイリスタT5をターンオフさせている。
時刻wにおいて、発光サイリスタL1、L2、L3、L4を点灯制御する期間T(I)が終了し、発光サイリスタL5、L6、L7、L8を点灯制御する期間T(II)が開始する。
(14)時刻x
時刻xにおいて、点灯信号φIが「Le」(−3V<「Le」≦−1.5V)から「H」(0V)に移行する。
すると、φI端子を介して点灯信号線75が「Le」から「H」になる。オン状態であった発光サイリスタL1、L2、L3、L4は、アノード端子およびカソード端子がともに「H」(0V)になって、ターンオフして、消灯(非点灯)する。
時刻xの直後においては、保持サイリスタS5がオン状態にある。
時刻wから開始する期間T(II)以降は、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLの番号が異なるが、期間T(I)で説明したことの繰り返しである。よって、これ以降の説明を省略する。
前述したように、発光チップC2〜C40は発光チップC1と並行して動作しているので、期間T(I)では、発光チップC2〜C40のそれぞれの発光サイリスタL1〜L4の点灯制御が、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L4の点灯制御と並行して行われる。
同様に、期間T(II)では、発光チップC1の発光サイリスタL5〜L8の点灯制御と、発光チップC2〜C40の発光サイリスタL5〜L8の点灯制御とが並行して行われる。期間T(III)以降においても同様である。
なお、図23の期間T(I)においては、発光チップC1の発光サイリスタL1、L2、L3、L4をすべて点灯させるとして説明した。しかし、発光サイリスタLを点灯させないときは、記憶信号φm1を、「L」(−3.3V)にするタイミング(例えば、時刻i、m)において、「L」にすることなく「S」(−3V<「S」≦−1.5V)のままとすればよい。図24の期間T(II)では、発光サイリスタL6を点灯しないので、“M6off”と表示する時刻(タイミング)において、記憶信号φm1を「S」に維持している。
なお、点灯制御される発光サイリスタ組において、番号が一番小さい発光サイリスタL(例えば、発光サイリスタL1、発光サイリスタL5)を点灯させないときは、「L」にするタイミング(例えば、時刻d)において、記憶信号φmを「H」から「L」に移行させる替わりに、「H」から「S」に移行させればよい。「S」(−3V<「S」≦−1.5V)では、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタMは、ターンオンせずオフ状態にある。よって、点灯信号φIが「Le」となっても、発光サイリスタは、ターンオンせず、点灯しない。
なお、発光サイリスタLの点灯期間(例えば、期間T(I)における時刻r〜時刻x)は、点灯信号φIで決まるため、期間T(I)、T(II)、…毎に、点灯期間を異なるように設定してもよい。また、発光チップC毎に点灯信号φIを設ければ、期間T(I)、T(II)、…毎と合わせ、発光チップC毎に点灯期間を異なるように設定しうる。これにより、発光サイリスタLの光量のばらつきを補正してもよい。また、発光チップC1〜C40を複数の発光チップのグループに分けて、発光チップのグループ毎に点灯信号φIを設け、期間T(I)、T(II)、…毎と合わせ、発光チップのグループ毎に点灯期間を異なるように設定して、発光サイリスタLの光量のばらつきを補正してもよい。
以上説明したように、第6の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、転送部101に保持サイリスタSを設け、ゲート端子Gt(Gs)の電位を「H」(0V)に維持する役割を、維持電流が転送サイリスタTより小さい保持サイリスタSに置き換えている。
すなわち、抵抗値が小さい電流経路と抵抗値が大きい電流経路とを切り替えることにより、転送部101の動作速度が損なわれないようにするとともに、転送部101の消費電力を抑制している。
第6の実施の形態では、1つの転送サイリスタTがオン状態にあるタイミング(例えば、図23の時刻d、i、m、q)において、記憶信号φmを「L」(−3.3V)にすることで、点灯させようとする発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMをターンオンさせている。これにより、点灯させようとする発光サイリスタLと同じ番号の(対応する)記憶サイリスタMをオン状態にする。このことで、点灯させようとする発光サイリスタLを記憶させている。なお、点灯させない発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMに対しては、記憶信号φmを「L」(−3.3V)にすることなく、記憶サイリスタMをオフ状態に維持する。
この後、記憶信号φmを「L」から「H」(0V)に戻すことなく、「S」(−3V<「S」≦−1.5V)にすることで、並行して点灯制御される発光サイリスタ組において点灯させようとする発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMをオン状態に、点灯させない発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMをオフ状態に維持している。
そののち、点灯信号φIを「Le」(−3V<「Le」≦−1.5V)に設定することで、オン状態の記憶サイリスタMと同じ番号の(対応する)点灯させようとする発光サイリスタLを並行して点灯させている。
すなわち、記憶サイリスタMは、画像データに応じて、点灯させようとする発光サイリスタL(の位置または番号)を記憶する機能(ラッチ機能)を有している。
そして、発光サイリスタLが点灯すると、記憶信号φmを「H」にして、オン状態の記憶サイリスタMをすべてターンオフし、点灯させようとする発光サイリスタL(の位置または番号)の記憶を消去する。
つまり、記憶信号φmの「L」は、発光サイリスタLを点灯させる指示であり、記憶信号φmの「S」は、記憶サイリスタMのオン状態を維持するとともに、発光サイリスタLを点灯させない指示であり、記憶信号φmの「H」は、記憶した指示をクリア(リセット)する指示として働いている。
なお、点灯させようとする発光サイリスタLの個数は、発光サイリスタ組の発光サイリスタLの数以内において、複数であってもよく、0であってよい。
以上説明したように、番号が同じ一組の記憶サイリスタM、接続ダイオードDm、抵抗Rn、電源線抵抗Rgyは、発光サイリスタLを点灯または非点灯のいずれか一方に設定している。
なお、記憶信号φmの「L」(−3.3V)は記憶サイリスタMをターンオンし、記憶信号φmの「S」(−3V<「S」≦−1.5V)は記憶サイリスタMのオン状態を維持するための信号である。よって、記憶信号φmとともに送信される電流は、発光サイリスタLの発光のための電流に比べ少なくてよい。このため、抵抗Rnの発光チップCの基板80上に占める面積も小さく設定しうる。また、記憶信号ライン206−1〜206−40は、低抵抗な幅広の配線(ライン)であることを要しない。
一方、点灯信号φIは、発光サイリスタLの発光のための電流を送信するため、低抵抗な幅広の配線(ライン)であることを要する。しかし、第6の実施の形態では、点灯信号φIを送信する点灯信号ライン204は1本であるので、配線(ライン)が設けられる回路基板62の幅を抑制しうる。
さらに、第6の実施の形態では、発光チップC1〜C40のそれぞれにおいて、複数の発光サイリスタLを並行して点灯させうるので、発光サイリスタLを1個ずつ点灯制御する場合に比べ、合計としての点灯期間を短くしうる。すなわち、プリントヘッド14として見たとき、感光体ドラム12への露光時間が短縮される。
なお、点灯信号φIは、電流駆動で供給されるのが好ましい。そして、点灯させようとする発光サイリスタL毎の光量のばらつきを抑制するため、並行して点灯させようとする発光サイリスタLの個数に応じて、供給する電流値を変化させることが好ましい。点灯させようとする発光サイリスタLの数は画像データによって決まるので、点灯させようとする発光サイリスタLの数に応じて、供給する電流値は容易に設定される。
一方、点灯信号φIを電圧駆動で供給する場合には、それぞれの発光サイリスタLのカソード端子と点灯信号線75との間に、抵抗Rnのような抵抗を設けてもよい。
第6の実施の形態の転送部101は、第1の実施の形態と同じである。第6の実施の形態の転送部101に第2〜第4の実施の形態で示した転送部101を用いてもよい。
第1から第6の実施の形態において示した、ハイレベルの電位である「H」、ローレベルの電位である「L」、点灯レベルの電位である「Le」、記憶レベルの電位である「S」の値は、それぞれ一例であって、相互の関係を考慮して、他の値に設定してもよい。
第1から第6の実施の形態において、転送サイリスタTは、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2との2相で駆動したが、転送サイリスタTを3個毎に3相の転送信号を送信して駆動してもよい。同様にして、4相以上の転送信号を送信しても駆動してもよい。これにともない、転送信号線(第1から第6の実施の形態における第1転送信号線72および第2転送信号線73)の数も3以上となる。
なお、第1から第6の実施の形態において、発光チップCには、自己走査型発光素子アレイ(SLED)が1個搭載されているとしたが、2個以上であってもよい。自己走査型発光素子アレイ(SLED)が2個以上搭載されている場合には、第1から第6の実施の形態における発光チップCを、自己走査型発光素子アレイ(SLED)に置き換えればよい。
第1から第6の実施の形態では、サイリスタ(転送サイリスタT、保持サイリスタS(第1、第5、第6の実施の形態)、記憶サイリスタM(第6の実施の形態)、発光サイリスタL)のアノード端子を基板80にとって共通にしたアノードコモンとして説明した。カソード端子を基板80にとって共通にしたカソードコモンにおいても、回路の極性を変更することによって用いうる。
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…光源部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、101…転送部、102…発光部、103…セット部、104…ラッチ部、110…信号発生回路、120…転送信号発生部、130…許可信号発生部、140…点灯信号発生部、150…書込信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、180…記憶信号発生部、φ1(φ1a、φ1b)…第1転送信号、φ2(φ2a、φ2b)…第2転送信号、φW(φW1〜φW20)…書込信号、φI(φI1、φI2、φIa、φIb)…点灯信号、φm(φm1〜φm40)…記憶信号、C(C1〜C40)…発光チップ、L…発光サイリスタ、T…転送サイリスタ、S…保持サイリスタ、M…記憶サイリスタ、Dx…結合ダイオード、Dm…接続ダイオード、Vga…電源電位、Vsub…基準電位

Claims (12)

  1. 基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、
    前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における前記転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段と
    を備える発光装置。
  2. 前記複数の発光チップのそれぞれの前記転送部は、電気的な抵抗値の異なる複数の電流経路を有し、
    前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップのそれぞれの前記転送部の前記抵抗値の異なる複数の電流経路においていずれかの電流経路に切り替えることで、当該転送部に流れる電流が、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該複数の電流経路のうち抵抗値が小さい電流経路を流れるように設定し、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該複数の電流経路のうち抵抗値が大きい電流経路を流れるように設定することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記転送部は、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられた複数の転送素子と、当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子に対応して設けられ、対応する転送素子がオン状態になるとオン状態に移行可能な状態に設定される複数の保持素子とを備え
    前記複数の保持素子のそれぞれの保持素子のオン状態の抵抗値は、前記複数の転送素子のそれぞれの転送素子のオン状態の抵抗値より大きく、
    前記転送信号供給手段は、前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該転送素子を流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、前記複数の保持素子のうち当該転送素子に対応する保持素子を流れるように切り替えることにより、当該転送部に流れる電流を設定することを特徴とする請求項に記載発光装置。
  4. 基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に、当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子に対応して設けられ、対応する転送素子がオン状態になるとオン状態になるように設定される複数の保持素子とを備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップを備える発光装置の駆動方法であって、
    前記複数の保持素子のそれぞれの保持素子のオン状態の抵抗値は、前記複数の転送素子のそれぞれの転送素子のオン状態の抵抗値より大きく、
    前記複数の発光チップのそれぞれの前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるステップと、
    前記転送素子がオン状態にあるときに、当該転送素子に対応する前記保持素子をオフ状態からオン状態に移行させるステップと、
    前記保持素子がオン状態にあるときに、当該転送素子をオン状態からオフ状態に移行させるステップとを含み、
    前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間において、当該転送素子を流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間において、前記複数の保持素子における当該転送素子に対応する保持素子を流れるように切り替えて、電気的な抵抗値を変化させ、当該転送部を流れる電流を、当該転送素子を流れる期間に比べ、当該保持素子を流れる期間に、絶対値において小さく設定することを特徴とする発光装置の駆動方法。
  5. 基板と、
    前記基板上に列状に設けられ、それぞれが第1のゲート端子、第1のアノード端子、第1のカソード端子を有する複数の発光サイリスタを備える発光部と、
    前記基板上に設けられ、それぞれが第2のゲート端子、第2のアノード端子、第2のカソード端子を有し、前記複数の発光サイリスタに対応して設けられ、順にオン状態になることで、対応する発光サイリスタを点灯または非点灯の制御の対象として指定する、複数の転送サイリスタと、当該基板上に設けられ、それぞれが第3のゲート端子、第3のアノード端子、第3のカソード端子を有し、当該複数の転送サイリスタに対応して設けられ、当該第3のゲート端子と前記第1のゲート端子および当該第2のゲート端子とが接続され、対応する転送サイリスタがオン状態になるとオン状態に移行可能な状態に設定される複数の保持サイリスタとを備える転送部とを備え
    前記転送部において、前記複数の保持サイリスタのそれぞれの保持サイリスタのオン状態の抵抗値は、前記複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタのオン状態の抵抗値より大きく、
    前記転送部を流れる電流が、前記複数の転送サイリスタのいずれかの転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、当該転送サイリスタを流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、前記複数の保持サイリスタのうち当該転送サイリスタに対応して設けられた保持サイリスタを流れるように切り替えることで、電気的な抵抗値を変化させることにより、当該転送部を流れる電流を、当該転送サイリスタを流れる期間に比べ、当該保持サイリスタを流れる期間に、絶対値において小さく設定できるように構成されていることを特徴とする発光チップ。
  6. 前記発光チップは、前記発光サイリスタの前記第1のゲート端子と、前記保持サイリスタの前記第3のゲート端子との間に、当該発光サイリスタを点灯または非点灯のいずれか一方に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の発光チップ。
  7. 前記複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記転送部は、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられた複数の転送素子と、当該複数の転送素子によって構成される転送素子の列において、当該列の順に当該複数の転送素子を重複しないようにずらしながら接続され、当該複数の転送素子が順にオン状態に設定されるように、位相のずれた転送信号が送信される複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線に接続される電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路とを備え
    前記転送信号供給手段は、前記転送部に流れる電流が、前記複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、前記複数の電流供給路のうち抵抗値が小さい電流供給路を経由して当該転送素子に接続された転送信号線に供給されるように設定し、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該複数の電流供給路のうち抵抗値が大きい電流供給路を経由して当該転送素子に接続された転送信号線を流れるように設定することを特徴とする請求項に記載発光装置。
  8. 基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該複数の転送素子によって構成される転送素子の列において、当該列の順に当該複数の転送素子のそれぞれの転送素子を重複しないようにずらしながら接続された複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線接続される、電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路とを備える転送部と、をそれぞれ有する複数の発光チップを備える発光装置の駆動方法であって、
    前記複数の発光チップのそれぞれの前記複数の転送素子のいずれかの転送素子を、前記複数の電流供給路のうち電気的な抵抗値が小さい電流供給路を介して当該転送素子に接続された転送信号線に転送信号を送信してオフ状態からオン状態に移行させるステップと、
    前記転送素子がオン状態になってから、前記電気的な抵抗値が小さい電流供給路を前記複数の電流供給路のうち電気的な抵抗値が大きい電流供給路に切り替え、当該電気的な抵抗値が大きい電流供給路を介して当該転送素子のオン状態を維持するステップと
    を含む発光装置の駆動方法。
  9. 基板と、
    前記基板上に列状に設けられ、それぞれが第1のゲート端子、第1のアノード端子、第1のカソード端子を有する複数の発光サイリスタを備える発光部と、
    前記基板上に設けられ、それぞれが第2のゲート端子、第2のアノード端子、第2のカソード端子を有し、前記複数の発光サイリスタに対応して設けられ、前記第1のゲート端子と当該第2のゲート端子とが接続され、順にオン状態になることで、対応する発光サイリスタを点灯または非点灯の制御の対象として指定する、複数の転送サイリスタと、当該基板上に設けられ、当該複数の転送サイリスタによって構成される転送サイリスタの列において、当該列の順に当該複数の転送サイリスタのそれぞれの転送サイリスタを重複しないようにずらしながら当該第2のアノード端子または第2のカソード端子のいずれか一方に接続される複数の転送信号線と、当該複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線に接続される、電気的な抵抗値がそれぞれ異なる複数の電流供給路と、有する転送部とを備え
    前記転送部における前記複数の転送信号線のそれぞれの転送信号線は、当該転送部に流れる電流が、前記複数の転送サイリスタのいずれかの転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させる期間においては、前記複数の電流供給路のうち抵抗値が小さい電流供給路を介して、当該転送サイリスタに接続された転送信号線に流れ、当該期間ののち、次にオン状態にする転送サイリスタをオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間においては、当該抵抗値が小さい電流供給路から当該複数の電流供給路のうち抵抗値が大きい電流供給路に切り替えられて当該転送信号線に流れるように構成されていることを特徴とする発光チップ。
  10. 前記発光チップは、前記発光サイリスタの前記第1のゲート端子と、前記転送サイリスタの前記第2のゲート端子との間に、当該発光サイリスタを点灯または非点灯のいずれか一方に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の発光チップ。
  11. 基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における当該転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段とを備える発光手段と、
    前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段と
    を備えるプリントヘッド。
  12. 像保持体と、
    前記像保持体を帯電する帯電手段と、
    基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光部と、当該基板上に、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になって、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送部と、をそれぞれ備える複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信するとともに、当該複数の転送素子のいずれかの転送素子をオフ状態からオン状態に移行させる期間における当該転送部に流れる電流に対して、当該期間ののち、次にオン状態にする転送素子をオフ状態からオン状態に移行させるまでの期間における当該転送部に流れる電流を、電気的な抵抗値を変化させることにより、絶対値において小さく設定する転送信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、
    前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
    前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
    を備える画像形成装置。
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