JP4196586B2 - 発光素子アレイチップ、光書き込みヘッドおよび光書き込みヘッドの駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子アレイおよび発光素子アレイチップ、特に、平均光出力を調整することのできる発光素子アレイおよび発光素子アレイチップ、さらには、メモリ素子、光書き込みヘッドおよびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数個の発光素子を同一基板上に集積した発光素子アレイは、その駆動用ICと組み合わせて光プリンタヘッド等の光書込みヘッドとして利用されている。本発明者らは、発光素子アレイの構成要素としてPNPN構造を持つ3端子発光サイリスタに注目し、発光点の自己走査が実現できることを既に特許出願(特開平1−238962号公報、特開平2−14584号公報、特開平2−92650号公報、特開平2−92651号公報)し、光プリンタ用光源として実装上簡便となること、発光素子ピッチを細かくできること、コンパクトな自己走査型発光素子アレイを作製できること等を示した。
【0003】
さらに本発明者らは、スイッチ素子(発光サイリスタ)アレイをシフト部として、発光部である発光素子(発光サイリスタ)アレイと分離した構造の自己走査型発光素子アレイを提案している(特開平2−263668号公報)。
【0004】
図1に、シフト部と発光部を分離したタイプのダイオード結合自己走査型発光素子アレイチップ100の等価回路図を示す。この自己走査型発光素子アレイは、スイッチ素子T1 ,T2 ,T3 …、発光素子L1 ,L2 ,L3 …からなる。スイッチ素子および発光素子のいずれも3端子発光サイリスタが用いられる。シフト部の構成は、ダイオード接続を用いている。すなわち、スイッチ素子のゲート電極間は、ダイオードDで結合されている。VGAは電源(通常−5V)であり、共通電源ライン113から負荷抵抗Rを経て各スイッチ素子のゲート電極に接続されている。また、スイッチ素子のゲート電極は、発光素子のゲート電極にも接続される。スイッチ素子T1 のゲート電極は、電流制限用抵抗Rs を経てスタートパルス端子φS に接続されている。スイッチ素子のカソード電極は、交互に転送用クロックパルスライン111,112を経て、クロックパルス端子φ1,φ2に接続されている。抵抗R1,R2は、ライン111,112にそれぞれ挿入された電流制限用抵抗である。また、発光素子のカソード電極は、発光電流ライン110を経て、発光電流供給端子φI に接続されている。抵抗RI は、ライン110に挿入された電流制限用抵抗である。
【0005】
スタートパルス端子φS 、クロックパルス端子φ1,φ2、発光電流供給端子φI は、駆動回路(図示せず)に接続される。
【0006】
動作を簡単に説明する。まず転送用クロックパルスφ2の電圧がLレベルで、スイッチ素子T2 がオン状態であるとする。このとき、スイッチ素子T2 のゲート電極の電位はVGAの−5Vからほぼ0Vにまで上昇する。この電位上昇の影響はダイオードDによってスイッチ素子T3 のゲート電極に伝えられ、その電位を約−1Vに(ダイオードDの順方向立上り電圧(拡散電位に等しい))に設定する。しかし、ダイオードDは逆バイアス状態であるためゲート電極G1 への電位の接続は行われず、ゲート電極G1 の電位は約−5Vのままとなる。発光サイリスタのオン電圧は、ゲート電極電圧+ゲート・カソード間のPN接合の拡散電位(約1V)で近似されるから、次の転送用クロックパルスφ2のHレベル電圧は約−2V(スイッチ素子T3 をオンせるために必要な電圧)以下でありかつ約−4V(スイッチ素子T5 をオンさせるために必要な電圧)以上に設定しておけばスイッチ素子T3 のみがオンし、これ以外のスイッチ素子はオフのままにすることができる。従って2本の転送用クロックパルスでオン状態が転送されることになる。
【0007】
スタートパルスφS は、このような転送動作を開示させるためのパルスであり、スタートパルスφS をHレベル(約0V)にすると同時に転送用クロックパルスφ2 をLレベル(約−2〜約−4V)とし、スイッチ素子T1 をオンさせる。その後すぐ、スタートパルスφS はLレベルに戻される。
【0008】
いま、スイッチ素子T2 がオン状態にあるとすると、スイッチ素子T2 のゲート電極の電位は、VGAより上昇し、約0Vとなる。したがって、発光電流φI ラインの電圧が、PN接合の拡散電位(約1V)以下であれば、発光素子L2 を発光状態とすることができる。
【0009】
これに対し、スイッチ素子T1 のゲート電極は約−5Vであり、スイッチ素子T3 のゲート電極は約−1Vとなる。したがって、発光素子L1 のオン電圧は約−6V、発光素子L3 のオン電圧は約−2Vとなる。これから、発光素子L2 をオンできる発光電流φI ラインの電圧は、−1〜−2Vの範囲となる。発光素子L2 がオン、すなわち発光状態に入ると、発光強度は発光電流φI ラインに流す電流量で決められ、任意の強度にて画像書込みが可能となる。また、発光状態を次の発光素子に転送するためには、発光電流φI ラインの電圧を一度0Vにまでおとし、発光している発光素子をいったんオフにしておく必要がある。
【0010】
上記のような自己走査型発光素子アレイチップは、多数個の自己走査型発光素子アレイをウエファに作り込み、ウエファを切断することによって得られる。
【0011】
光書き込みヘッドは、このような自己走査型発光素子アレイチップを複数個、略直線状に配列して構成される。
【0012】
チップ内では光量分布が小さいが、ウエファ内光量分布やウエファ間の光量分布差により、チップ間の光量差は広い分布を持つ。このため、光量の平均値を合わせてやることで、光量のばらつきの少ない発光点列を得るようにしている。
【0013】
従来は、次に示す手法によりチップ間の光量平均値をそろえていた。
(1)ウエファ状態で各チップの光量平均値を求める。
(2)各チップの光量平均値から、所望の光量を得るために必要な外付け抵抗値を計算し、抵抗値の範囲毎に、5〜20個ほどのランクに振り分けたマップを作成する。
(3)ウエファを切断し、マップに従って、ランク毎のトレイに仕分けする。
(4)同じランクのトレイからチップを拾い、基板上に配列する。このチップを駆動するための基板として、ランクに対応した抵抗を実装した駆動基板を接続する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、以下のような問題点があった。
(1)ランク数が多くなると、取り分けが複雑となる。また、トレイ管理が複雑となる。
(2)ランクに対応した複数種類の駆動基板を用意しなければならない。
(3)ランク毎にトレイなどに取り分ける必要があるため、ウエファ切断後テープから直接ダイボンダにかけることができない。
(4)駆動回路や、電流制限抵抗に、高い精度が要求される。
(5)チップ光量のランク分に基づく補正では、光書き込みヘッド内のレンズ毎の平均光伝達率の差や、レンズ内の光量伝達率の分布を補正することはできない。
【0015】
これらの問題を解決するには、駆動回路に平均光量を補正する回路を設け、レンズ透過後の光量分布測定値をもとに電流,電圧,点灯時間などを変調により、補正を行えばよい。しかし、これらの回路は複雑であり、コストアップにつながるという問題点がある。
【0016】
以上のような問題点は、PNPN構造の発光サイリスタを用いた自己走査型発光素子アレイのみならず、例えばLEDを用いた通常の発光素子アレイにも存在する。
【0017】
本発明の目的は、発光素子アレイとメモリ素子とを集積し、これらメモリ素子に記憶されたデータを元に、発光素子アレイの平均光出力を調整することにより、上述した問題点を解決した発光素子アレイチップを提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、このような発光素子アレイチップを用いた光書き込みヘッドを提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、このような光書き込みヘッドの駆動方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、発光素子アレイであり、略直線状に配列された複数個の発光素子と、前記発光素子に流れる電流を分流する手段と、前記発光素子の発光量を調整するために、前記分流する電流値を調整する調整手段とを備えている。
【0021】
本発明の第2の態様は、発光素子アレイチップであり、複数個の発光素子が略直線状に配列された発光素子アレイと、外部から電気的にデータの書き込み/消去が可能な1ビット以上のメモリ素子複数個とが集積されている。
【0022】
本発明の第3の態様は、発光素子アレイまたは発光素子アレイチップに用いられるメモリ素子であり、1個以上のPNPNサイリスタ構造の素子と、前記PNPNサイリスタ構造の素子をオン/オフするために、複数個の入力端子を持ち複数個のダイオードからなるダイオード論理回路とを有している。
【0023】
本発明の第4の態様は、光書き込みヘッドであり、前記発光素子アレイチップが複数個略直線状に配置されている。
【0024】
本発明の第5の態様は、光書き込みヘッドの駆動方法であり、前記メモリ素子へのデータ書き込みを、電源投入後、光書き込み動作開始前に行い、光書き込み動作中は、前記メモリ素子のデータの書き換えを禁止している。
【0025】
【発明の実施の形態】
【0026】
【実施例1】
本発明の発光素子アレイチップの実施例を図2に示す。この発光素子アレイチップ120は、図1で説明した自己走査型発光素子アレイチップに、外部から電気的に書き込み/消去が可能な1ビットのメモリ素子を4個集積している。これら4個のメモリ素子を、200a,200b,200c,200dで示す。各メモリ素子は、3個の入力端子X1,X2,Yを備えている。
【0027】
図2では、メモリ素子200a,200bのデータ端子X1は、φ1ライン111に、メモリ素子200c,200dのデータ端子X1はφ2ライン112に接続される。また、メモリ素子200a,200cのデータ端子X2はdata1に、メモリ素子200b,200dのデータ端子X2はdata2に接続される。さらに、各メモリ素子の入力端子Yは抵抗Ra ,Rb ,Rc ,Rd を介してφI ライン110に、電源端子VS はVGAライン113に接続されている。これらのメモリ素子は、自己走査型発光素子アレイと同一チップ内に集積されている。
【0028】
メモリ素子200a〜200dの等価回路を図3に示す。メモリ素子は、1個の発光サイリスタ201と、3個のショトキーバリアダイオードD1,D2,D3と、2個の抵抗Rk ,Ro とから構成されている。
【0029】
発光サイリスタ201のカソードがカソード抵抗Rk を介して電源端子VS に接続されており、ゲートには、3個のショトキーバリアダイオードD1〜D3からなる論理回路であるANDゲートが接続されている。いま、VS =−5Vと考えると、ゲート電圧VG が
VG >−5+VD
の条件でオンする。ここで、VD はPN接合の順方向立ち上がり電圧であり、おおよそ、VD =1.2V程度である。したがって、
VG >−3.8V
となると、サイリスタ201はオンし、その後はVS を0Vとしないかぎりオン状態を保ち続ける。
【0030】
このメモリ素子の3個の入力端子X1,X2,YはANDゲートにつながっているため、入力端子X1,X2,Yの3つが同時にHレベルとなったときのみ、発光サイリスタ201のゲート電圧はHレベル(=0V)となり、サイリスタ201がオンする。一方、これ以外ではいずれかのダイオードがオンするため、VG =−5+VDS=−4.2V程度となり、サイリスタ201はオンできない。ここに、VDSはショトキーバリアダイオードの順方向立ち上がり電圧であり、0.8V程度である。このように、サイリスタ201のオン/オフによって、メモリ素子は外部から電気的にデータの書き込み/消去が可能な1ビットのメモリ素子として機能する。
【0031】
メモリ素子に、発光素子アレイの平均光出力を補正するための補正データを書き込む。書き込まれた補正データを書き換えたくないときは、3つのいずれかの端子をLレベルとしておけばよい。ここでは、入力端子X2をLレベルにするものとする。すなわち入力端子X2を、メモリ素子の書き込み許可指定のための端子とする。
【0032】
さて、発光サイリスタ201のオン/オフは、ダイオードD3、抵抗Ra 〜Rd を介して発光素子Lを流れる電流に影響を与える。
【0033】
まず、メモリ素子200aのみについて考える。メモリ素子200aの発光サイリスタ201がオフしている場合、サイリスタのゲート電圧は入力端子X2がLレベルであるから、VG =−5+VDS=−4.2Vとなる。この状態で、φI ライン110がLレベルとなり、ある発光サイリスタLがオンすると、φI ライン110の電圧は約−1.5V程度となる。このため、端子Yに接続されるダイオードD3はオフ状態となり、φI ラインに影響を与えない。φI ラインがHレベルの場合もダイオードD3はオフのため、φI ラインに影響を与えない。
【0034】
次に、メモリ素子200aの発光サイリスタ201がオンしている場合、サイリスタのゲート電圧は、おおよそ0Vとなる。このとき、φI ライン110がLレベルとなり、ある発光サイリスタLがオン状態となると、φI ラインの電圧は約−1.5Vとなる。このため、端子Yに接続されるダイオードD3はオン状態となる。このとき、端子Yの電圧は、ダイオードD3の順方向立ち上がり電圧の−0.8Vとなる。
【0035】
以上のように、ダイオードD3がオンしているときには、抵抗Ra が発光素子Lに並列に挿入された状態になる。
【0036】
一方、電流制限抵抗RI を流れる電流は、(−5+1.5)/RI で決まり、この電流が、抵抗Ra と発光素子Lに分かれて流れる。抵抗Ra を流れる電流をI(Ra )とすると、I(Ra )=(−1.5+0.8)/Ra で決まる。すなわち、メモリ素子200aがオン状態(発光サイリスタ201がオン)となることにより、発光素子Lを流れる電流は、I(Ra )だけ減少する。
【0037】
いま、RI =350Ωとすると、発光サイリスタLを流れる電流IL は、IL =10mAである。Ra =700Ωとすると、I(Ra )=1mAである。すなわち、メモリ素子200aがオン(発光サイリスタ201がオン)しているときは、発光素子Lには9mAの電流、オフしているときには10mAの電流が流れることになる。
【0038】
なお、φI ライン110がHレベルの場合はダイオードD3がオフのためにφI ラインには影響を与えない。
【0039】
次に、4つのメモリ素子について考える。Rb =1.4kΩ、Rc =2.8kΩ、Rd =5.6kΩとし、メモリ素子200a,200b,200c,200dの状態をA,B,C,Dで表すとする。A,B,C,Dは、オン状態では1,オフ状態では0の値を持つ。
【0040】
IL =10mA−(A+B/2+C/4+D/8)mA
となり、8mA〜10mAの範囲を1/8mAのステップで調整できる。ここで、抵抗RI ,Ra 〜Rd は同じ半導体層から作られる抵抗のため、抵抗値の絶対値は変動しても、比率は変動しにくいため、直線性のよい補正が可能である。
【0041】
メモリ素子の構造を図4に示す。図4(a)は上面図であり、図4(b)は、図4(a)のX−X線断面図である。メモリ素子は、自己走査型発光素子アレイと同様に、PNPN構造を用いて作り込まれる。図中、51は基板電極、52はP型基板、53はP型層、54はN型層、55はP型層、56はN型層である。また、10はダイオードANDゲートアレイ、20は発光サイリスタ、30は抵抗RO 、40は抵抗RK である。ダイオードANDゲートのカソード側電極11は、P型層55へのショトキー電極材料としてアルミニウムを使った。一方、アノード側電極はオーミック電極材料として、AuZn/Auを使った。このほか、各抵抗30,40の電極31,41はオーミック電極材料として、AuZn/Auを使った。各抵抗30,40およびダイオードANDゲート10は、PNPの3層構造(53,54,55)のP層54上に作った。また、サイリスタ20には、さらに上にN型層56がある。この断面構造は、PNPN構造を持った自己走査型発光素子と同じ構成であり、全く同一のプロセスで同時に形成可能である。
【0042】
なお、以上の例では、P型基板の上にP型層,N型層,P型層,N型層の順で積層したPNPN構造を用いたが、N型基板上にN型層,P型層,N型層,P型層の順で積層したPNPN構造を用いることもできる。
【0043】
なお、本実施例では、メモリ素子を4個を集積し、これらメモリ素子に接続される4個の抵抗を1:2:4:8の比率としたが、補正の程度により、メモリ素子の数、抵抗値などは自由に選んでもよい。
【0044】
例えば、メモリ素子を2個だけ集積した場合を図5に示す。図中、2個のメモリ素子を、200a,200bで示す。この場合、データを書き込むdata線は1本でよく、4段階の調整が可能である。
【0045】
逆にメモリ素子を6個に増やした場合を図6に示す。図中、6個のメモリ素子を、200a,200b,200c,200d,200e,200fで示す。データ線がdata1〜3の3本となるが、26 =64段階の調整が可能となる。
【0046】
【実施例2】
図2の発光素子アレイを用いた本発明の光書き込みヘッドの実施例を図7に示す。図2に示した発光素子アレイチップ120を略直線上に配列し、光書き込みヘッドを作った。図7(a)は、1個のチップの概略平面図であり、発光点と、ボンディングパッドの配置状態を示している。ここでSubは基板電極であり、基準電圧(GND)である。図7(b)は、先頭の3チップC1,C2,C3の配列状態を示す。各チップのそれぞれのボンディングパッドは、φI 以外は全て共通のラインdata1,data2,φS ,φ1,φ2,VGA,Subに接続される。一方、φI ラインは各チップから別々に取り出されている。すなわち、チップC1からはφI 1ラインに、チップC2からはφI 2ラインに、チップC3からはφI 3ラインに取り出されている。なお、それら共通ラインおよび各φI 1,φI 2,φI 3ラインは、図示しない駆動回路に接続されている。
【0047】
いま、図2の実施例と同様、RI =350Ω、Ra =700Ω、Rb =1.4kΩ、Rc =2.8kΩ、Rd =5.6kΩであり、4個のメモリ素子がオフの時のチップC1〜C3の平均光量は、108μW,114μW,104μWであった。これらのチップの平均光量を100μWに調整して使う場合について説明する。電流値と発光量が比例しているとすると、補正後光出力Pは、前述したように、A,B,C,Dを4個のメモリ素子の状態を表す(オン状態では1,オフ状態では0の値を持つ)ものとすれば、
P=1−(0.1A+0.05B+0.025C+0.0125D)
であるから、C1〜C3の各メモリ素子を次のように指定する。
【0048】
C1:A=0,B=1,C=1,D=0(P=0.925)
C2:A=1,B=0,C=1,D=0(P=0.875)
C3:A=0,B=0,C=1,D=1(P=0.9625)
図8に、以上のようにメモリ素子を指定するための補正データのロードを実行する駆動波形を示す。図8を参照しながら、メモリ素子に補正データをロードする動作について説明する。電源電圧VGAをHレベルからLレベルにする。この時、4個のメモリ素子の発光サイリスタはオフしている。なお図8において、4個のメモリ素子の各発光サイリスタを、LET1,LET2,LET3,LET4で示している。続いて、φ1/φ2およびdata1/data2の組み合わせにより、4つのLETを選択し、各チップに接続されているφI 1〜φI 3の信号に従いオン/オフされる。
【0049】
表1に、チップC1におけるφ1/φ2およびdata1/data2とLETとの対応を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
このLETのオン/オフ状態により、前述したA=0,B=1,C=1,D=0が実現されている。
【0052】
その後、再び電源電圧VGAがHレベルとなるまで、このオン/オフ状態は保持される。続いて、data1/data2端子はLレベルとなるため、メモリ素子の内容は書き換え禁止となり、次にdata1/data2をHレベルとしてデータ書き込みを行うまで、データ内容は保持される。このように、一度電源投入後に補正データを書き込めば、その後は補正データを書き換える必要はなく、あとは、画像データに従って印刷を行えばよい。
【0053】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形,変更が可能なことは、当業者ならば明らかであろう。例えば、メモリ素子は1ビットに限るものではなく、2ビット以上としてもよい。また、発光素子アレイはPNPN構造の発光サイリスタアレイに限られるものではなく、例えば発光ダイオードアレイであってもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、発光素子アレイとメモリ素子とを集積し、これらメモリ素子に記憶されたデータを元に、発光素子アレイの平均光出力を調整するようにしているので、従来技術に比べて、簡単な構成で安価な発光素子アレイチップを実現できる。さらには、このような発光素子アレイチップを用いて、有用な光書き込みヘッドを構成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】シフト部と発光部を分離したタイプのダイオード結合自己走査型発光素子アレイチップの等価回路図を示す図である。
【図2】本発明の発光素子アレイチップの実施例を示す図である。
【図3】メモリ素子の等価回路を示す図である。
【図4】メモリ素子の構造を示す図である。
【図5】メモリ素子を2個集積した場合の発光素子アレイチップの等価回路を示す図である。
【図6】メモリ素子を6個集積した場合の発光素子アレイチップの等価回路を示す図である。
【図7】図2の発光素子アレイを用いた本発明の光書き込みヘッドの実施例を示す図である。
【図8】ヘッドの駆動波形例を示す図である。
【符号の説明】
10 ダイオードANDゲートアレイ
20 発光サイリスタ
30 抵抗Ro
40 抵抗Rk
51 基板電極
52 P型基板
53,55 P型層
54,56 N型層
100,120 ダイオード結合自己走査型発光素子アレイチップ
110 発光電流ライン
111,112 クロックパルスライン
200 メモリ素子
201 発光サイリスタ
Claims (12)
- 半導体基板上に導電形が異なる半導体層が順に積層された複数個の発光素子が略直線状に配列された発光素子アレイと、
前記複数個の発光素子に並列に接続される抵抗と、
前記半導体基板上に導電形が異なる半導体層が前記複数個の発光素子の半導体層の積層順と同じ積層順に積層され当該半導体基板に最も近い半導体層は当該複数個の発光素子の当該半導体基板に最も近い半導体層と当該半導体基板を介して電気的に接続されているサイリスタ構造を有し、前記抵抗に接続され当該抵抗に流れる電流値を当該サイリスタ構造のオン/オフにより調整するとともに外部から電気的にデータの書き込み/消去が可能な1ビット以上のメモリ素子と、
を集積し、
前記メモリ素子に書き込まれた前記データを元に、前記発光素子アレイの平均光出力を調整することを特徴とする発光素子アレイチップ。 - 前記メモリ素子は、PNPNサイリスタ構造を1個以上有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子アレイチップ。
- 前記メモリ素子は、複数個の入力端子を持ち複数個のダイオードからなるダイオード論理回路をさらに有し、前記メモリ素子へのデータの書き込みは、前記ダイオード論理回路の出力によって、前記PNPNサイリスタ構造を、オン/オフすることにより行われることを特徴とする請求項2に記載の発光素子アレイチップ。
- 前記ダイオードは、ショトキーバリアダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の発光素子アレイチップ。
- 前記発光素子アレイを構成する発光素子は、PNPNサイリスタ構造を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子アレイチップ。
- 前記発光素子アレイは自己走査型発光素子アレイである請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子アレイチップ。
- 前記平均光出力を調整するために、前記発光素子に流れる電流を調整する請求項1〜6のいずれかに記載の発光素子アレイチップ。
- 各々のメモリ素子の書き込み許可指定のための端子のうちの少なくとも1個が、前記発光素子アレイのクロックラインに接続されていることを特徴とする請求項6または7に記載の発光素子アレイチップ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の発光素子アレイチップを複数個略直線状に配置したことを特徴とする光書き込みヘッド。
- 各発光素子アレイチップの発光電流供給端子が個別に駆動回路と配線されていることを特徴とする請求項9に記載の光書き込みヘッド。
- 前記メモリ素子へのデータ書き込みを、電源投入後、光書き込み動作開始前に行うことを特徴とする請求項9または10に記載の光書き込みヘッドの駆動方法。
- 光書き込み動作中は、前記メモリ素子のデータの書き換えを禁止することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の光書き込みヘッドの駆動方法。
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