JP5320737B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび熱収縮性ラベル - Google Patents
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このフィルムから10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を98℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上75%以下、面配向度AOが0.055以上であって、前記フィルムを構成するポリエステルは、全てのユニット中、エチレンテレフタレートユニットを最も多く含み、フィルムの極限粘度[η]が0.55dl/g以上0.63dl/g以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
AO=(Nx+Ny)/2−Nz
溶媒:フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン=60/40(質量比)
管:ウベローデ粘度管
温度:30±0.1℃
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、PETボトル再生原料を40質量%以上と、ネオペンチルグリコール成分を多価アルコール成分100モル%に対して40〜60モル%共重合した共重合ポリエステルを30質量%以上60質量%以下含有することが好ましい。ネオペンチルグリコールを高い共重合比率で共重合したポリエステルを上記範囲内の量で使用することにより、PETボトル再生原料を40質量%以上という高い配合比率で添加しても、熱収縮率等の必要な熱収縮特性等を確保することができる。
本発明のフィルムを得るためには、押出機のホッパに供給する前のポリエステル系樹脂チップの水分率を10ppm以上50ppm以下に調整する必要がある。チップの水分率が50ppmを超えると、得られたフィルムの機械強度が劣るものとなる等の不具合が生じるので好ましくなく、反対に、チップの水分率が10ppmを下回ると、製造時に延伸しにくくなるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、押出機のスクリューを冷却する必要がある。そのように押出機のスクリューを冷却しない場合には、非晶質ポリエステルチップがスクリューフィード部に粘着し、正常に押出しできなくなる等の不具合が生じるので好ましくない。
本発明のフィルムを得るためには、押出機の予熱部分の温度を200℃以上270℃以下に調整し、押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下に調整する必要がある。押出機の予熱部分の温度を200℃以上270℃以下にしないと、ポリエステルチップの滑りによる喰い込み不良やスクリューへの粘着等によって正常な押出しができなくなる等の事態が生ずるので好ましくない。また、押出機のコンプレッションゾーンの温度を290℃以上310℃以下とすることで、未溶融樹脂の吐出や押出機内で熱劣化が進行する等の不具合を防止し、フィルムの極限粘度を所定範囲内に制御しやすくなる。
下記の測定条件で、溶液の質量濃度cに対する相対粘度[ηsp]の関係から質量濃度c=0としたときの値を極限粘度[η]とした。
溶媒:フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン=60/40(質量比)
管:ウベローデ粘度管
温度:30±0.1℃
面配向度は、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」(A法)に準拠して、フィルムから得られる厚さ方向の屈折率Nz、主収縮方向の屈折率Nx、それと直交する方向の屈折率Nyより、次式から得られる値を採用した。
AO=(Nx+Ny)/2−Nz
フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、98±0.5℃、または70±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25±0.5℃の水中に10秒浸漬し、その後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。最も収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
30℃、相対湿度85%の雰囲気下で所定日数保管した後の熱収縮性ポリエステル系フィルムから、複数の試験片を切り出し、最大収縮方向に直交する方向についての引張試験を、JIS K7127に準じ、試験片長さ200mm、チャック間距離20mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張り速度200mm/分の条件下で行った。伸度5%未満で破断した試験片数を数え、全試験片(10個以上)に対する百分率(%)を求め、破断率P(%)とした。
JIS K7105に準拠し、積分球式光線透過率測定装置で得た拡散透過率Tdと全光線透過率Tiの比をヘーズHとし、次の基準で評価した。◎:ヘーズが5%未満(透明性が非常に高い)、○:ヘーズが5%以上10%未満(透明性が高い)、△:ヘーズが10%以上20%未満(透明性が低い)、×:ヘーズが20%以上(透明性が非常に低い)。
10mm間隔の格子をマジックインキで書き込んだ熱収縮性フィルム(縦118mm×横250mm)をヒートシール接着で筒状にし、これを容量350mlのPETボトル(全高160mm、首廻りφ25mm、胴周囲長58mm)に装着した後、スチームによる加熱機構を有した収縮トンネル(90℃〜95℃)を15〜20秒で通過させて、フィルムを密着させる。上記の工程で得られた30枚のフィルムに対して、シワやずれ、格子のひずみなどの異常を目視で判断し、仕上がり性に関する下記の評価を行った。
◎:異常なし
○:異常が1〜2ヶ所認められるが、1枚のみ
△:異常が1〜2ヶ所認められ、2枚以上
×:異常が3ヶ所以上認められる。
フィルムに1,3−ジオキソランを綿棒で塗布(幅約5mm、塗布量約5g/m2)して、2枚のフィルムを貼り合わせる。JIS K6854−3に準拠して、15mm幅(主延伸方向)の試料を用いて、23℃、引張速度200mm/分の条件で、T型剥離試験を行い、次の基準で評価した。
○:2.5N/15mm以上(実用に充分耐える)
△:1.5N/15mm以上、2.5N/15mm未満(実用に耐える)
×:1.5N/15mm未満(実用に耐えられない)。
<ポリエステル系樹脂A(PET:ポリエチレンテレフタレート)>
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)をエステル化反応釜に仕込み、圧力0.25MPa、温度220〜240℃の条件下で120分間エステル化反応を行った後、反応釜内を常圧にして、重合触媒であるチタニウムテトラブトキシドを加えて、撹拌しながら反応系内を徐々に減圧し、75分間で0.5hPaとすると共に、温度を280℃に昇温して、280℃で溶融粘度が所定の値となるまで撹拌を続けて重合反応を行い、その後、水中に吐出して冷却し、ポリエステル系樹脂Aを得た。
<ポリエステル系樹脂B・C(PET:ポリエチレンテレフタレート)>
使用済みPETボトルを洗浄後に粉砕し、275〜280℃に設定した押出し機から水中に吐出して冷却し、ポリエステル系樹脂を得た。このポリエステル系樹脂で極限粘度[η]の高い部分のものを樹脂B、極限粘度[η]の低い部分のものを樹脂Cとした。
<ポリエステル系樹脂D(PBT:ポリブチレンテレフタレート)>
テレフタル酸ジメチル(DMT)と、1,4−ブタンジオール(BD)をエステル化反応釜に仕込み、常圧、170〜210℃で180分間、エステル交換反応を行った以外は、調製例1と同様にして、ポリエステル系樹脂Dを得た。
<ポリエステル系樹脂E1〜E4>
テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、ネオペンチルグリコール(NPG)をそれぞれ表1に記載の所定のmol比になるようにエステル化反応釜に仕込み、調製例1と同様にして、ポリエステル系樹脂E1〜E4を得た。なお、上記の各樹脂を表1に示す。
充分に乾燥(水分率50ppm以下)したポリエステル系樹脂A、B、C、D、E1〜E4を表2に示した配合で均一に混合した。これを二軸押出し機(池貝製PCM45)を用いて、表2のように押出温度と滞留時間を変更して混練押出し、極限粘度の異なる厚さ180μmの未延伸フィルムを成形し、この未延伸フィルムを一軸延伸装置内で約10秒間の予熱ゾーン(約90℃)で予熱し、延伸ゾーン(約70℃)で延伸速度1,500%/分で実倍率約4.0倍に延伸した後、約10秒間の固定ゾーン(約80℃)で熱処理を施すことで、所定の極限粘度[η]および面配向度AOの厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。なお、得られた試料に関する物性などを表2、表3に示す。
Claims (4)
- ペットボトル再生原料を40質量%以上含有する単層構成の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
このフィルムから10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を98℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上75%以下、面配向度AOが0.055以上0.062以下であって、前記フィルムを構成するポリエステルは、全てのユニット中、エチレンテレフタレートユニットを最も多く含み、ネオペンチルグリコール成分を多価アルコール成分100モル%に対して40〜60モル%共重合した共重合ポリエステルを30質量%以上60質量%以下含有し、フィルムの極限粘度[η]が0.55dl/g以上0.582dl/g以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。 - フィルムから10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を98℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が0〜8%、試料を70℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が5〜30%、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が−5〜5%である請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- フィルムを、30℃、相対湿度85%の雰囲気下で2週間保管した後の主収縮方向と直交する方向における引張り試験で、全試験片数に対する破断伸度5%未満の試料片の発生率(破断率P)が10%以下である請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いたことを特徴とする熱収縮性ラベル。
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