JP6888702B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび包装体 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび包装体 Download PDF

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Description

本発明は、長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体に関するものであり、詳しくは、ラベル用途や弁当容器等を結束するバンディング用途に好適で、長手方向収縮フィルムでありながら高温保管で生じる耐自然収縮に優れていると同時に、高温保管での収縮率低下が小さいため、長手方向に収縮するフィルム特有の課題である高温保管した場合に生じる紙管潰れや表層シワの発生による製品不良ロスを無くし、年間を通して一定の加熱収縮温度で収縮仕上げができる熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
近年、ガラス瓶やPETボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(所謂、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。そのような熱収縮性フィルムの内、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時にダイオキシン発生の原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。それゆえ、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮包装用途において広く利用されるようになっていきている。
通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、幅方向に収縮させるものが広く利用されている。ここで、ボトルのラベルフィルムや、弁当容器等を結束するバンディングフィルムとして用いる場合、フィルムを環状にしてボトルや弁当容器に装着した後に周方向に熱収縮させなければならない。そのため幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムをバンディングフィルムとして装着する際には、フィルムの幅方向が周方向となるように環状体を形成した上で、その環状体を所定の長さ毎に切断し、ボトルや弁当容器に手かぶせ等で装着しなければならない。したがって、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムからなるラベルフィルムやバンディングフィルムを高速でボトルや弁当容器に装着するのは困難である。それゆえ、最近では、フィルムロールから直接、ボトルや弁当容器の周囲に巻き付けて装着し、加熱することで収縮包装が可能な長手方向に熱収縮するフィルムが求められている。長手方向に熱収縮する特性を有することで、フィルム環状体を形成してシールするセンターシール工程や、裁断、手かぶせ等の加工が不要になり、高速で装着することも可能である。
弁当容器のバンディングフィルム用途では、加熱によりフィルムを長手方向に収縮させる際に、その熱により容器が変形することを防止するため、さらには高速で収縮包装を行うために、低い温度かつ少ない熱量で十分な収縮が得られる必要がある。そのため、低温収縮性の高い長手方向の熱収縮性フィルムが求められている。このような長手方向に収縮し、かつ低温収縮率の高いフィルムとして、長手方向に延伸された熱収縮性ポリエステル系フィルムが広く使用されている。しかしながら該フィルムは自然収縮率が高く、夏場などの外気温が高くなる季節や、さらには温度が上昇しやすい搬送中のトラック荷台などの高温環境下で保管されるとフィルムの収縮が発生しやすい。結果、フィルムロールの紙管潰れや表層シワが発生してしまい、包装フィルムとしての使用が困難となりロスが生じる問題がある。更に云えば、該フィルムは一般的に高温環境下に保管されると、本来有している熱収縮性が低下してしまうため、熱風での収縮仕上げの際に収縮不足が発生することで外観が悪化する問題がある。そのため、特に外気温が上昇する季節の搬送や保管の際には保冷倉庫や保冷車等を使用して自然収縮の発生や熱収縮性の低下を抑制する必要があり、コストが嵩む一因となっている。
耐自然収縮性を向上させた熱収縮性ポリエステル系フィルムはこれまでに提案されている。たとえば特許文献1には、製膜条件を制御することにより主収縮方向の収縮率が80℃10秒の収縮条件で10%以上80%未満であり、自然収縮率は60℃8時間の条件で2.0%以下であるフィルムが開示されている。
しかしながら、該フィルムは主収縮方向が幅方向であることから、フィルムロールから直接、ボトルや弁当容器の周囲に巻き付けて装着し、加熱収縮させることができない。また、該フィルムの70℃における主収縮方向の収縮率は実質70℃10秒で3%以下であることから、低温収縮性が低く、熱風での収縮仕上げが高速化できない問題がある。
自然収縮率が良好な長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルムの製膜方法として、特許文献2では長手方向の延伸後のフィルムの冷却スピードを制御することにより良好な自然収縮率を達成している。
しかしながらこの製膜方法は、はじめに幅方向を延伸し、次いで長手方向を延伸する二軸延伸製膜法を用いている。したがって、長手方向にのみ延伸する一軸延伸熱収縮性フィルムに対し、幅方向の配向が大きくなることで分子のからみ合いが強くなることが、自然収縮率を抑制している効果に大きく寄与していると推定される。しかし、二軸延伸の大掛かりな設備が必要となりコストが嵩む問題がある。したがって、発明者らは、長手方向の配向が大きく、かつ低温収縮率が高いが耐自然収縮に優れている長手方向延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの開発が急務であると考えた。
特許第5249996 特許第4411556
本発明の目的は、長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体に関するものであり、詳しくは、ラベル用途や弁当容器等を結束するバンディング用途に好適で、長方向収縮フィルムでありながら高温保管で生じる耐自然収縮に優れていると同時に、高温保管での収縮率低下が小さいため、長手方向に収縮するフィルム特有の課題である高温保管により場合に生じる紙管潰れや表層シワの発生による製品不良ロスを無くし、年間を通して一定の加熱収縮温度で収縮仕上げができる長手方向延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
すなわち、本発明は以下の構成よりなる。
1.熱収縮性ポリエステル系フィルムをロール状に巻き取ってなる熱収縮性ポリエステル系フィルムロールであって、該熱収縮性ポリエステル系フィルムはエチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中の非晶成分となりうる1種以上のモノマー成分の合計が10モル%以上で、主収縮方向が長手方向であり、下記要件(1)〜(3)を満たし、ボトル又は容器の周囲に巻き付けて装着する用途に用いられることを特徴とする、熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
(1)70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率が20%以上60%以下
(2)55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した場合の主収縮方向の自然収縮率が6%未満
(3)下式で示される屈折率差が0.06以上
屈折率差=(主収縮方向の屈折率)―(主収縮方向に対して直交する方向の屈折率)
2.90℃の熱風下で測定した前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの主収縮方向の最大収縮応力が15MPa以下であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
3.前記熱収縮性ポリエステル系フィルムを70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率について、下式で示される収縮率差が15%以下であることを特徴とする上記第1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
収縮率差=(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管する前の温湯収縮率)−(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した後の温湯収縮率)
本発明者らが鋭意検討した結果、低温収縮性を得るために長手方向の延伸を行い、配向を高くした際に悪化する耐自然収縮性は、延伸温度を高くして長手方向に延伸することや長手方向の延伸後にロールやIRヒーター等の設備によって延伸温度と同等以上に加熱処理を行うことで、長手方向に配向した分子の緊張を緩和することで改善できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明によれば、長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体に関するものであり、詳しくは、ラベル用途や弁当容器等を結束するバンディング用途に好適で、長方向収縮フィルムでありながら高温保管で生じる耐自然収縮に優れていると同時に、高温保管での収縮率低下が小さいため、長手方向に収縮するフィルム特有の課題である高温保管により場合に生じる紙管潰れや表層シワの発生による製品不良ロスを無くし、年間を通して一定の加熱収縮温度で収縮仕上げができる長手方向延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供できる。
以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムについて詳しく説明する。尚、熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法は、後に詳述するが、フィルムは通常、ロール等を用いて搬送し、延伸することにより得られる。このとき、フィルムの搬送方向を長手方向と称し、前記長手方向に直交する方向をフィルム幅方向と称する。従って、以下で示す熱収縮性ポリエステル系フィルムの幅方向とは、ロール巻き出し方向に対し垂直な方向であり、フィルム長手方向とは、ロールの巻き出し方向に平行な方向をいう。実施例および比較例で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムにおける主収縮方向は長手方向である。
本発明の主収縮方向が長手方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムは55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した場合の主収縮方向の自然収縮率が6%未満であり、好ましくは4%未満、より好ましくは2%未満である。55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した場合の主収縮方向の自然収縮率が6%以上であると、保管時の気温上昇に伴い、フィルムの熱収縮が発生し、フィルムロールの紙管が変形したり、フィルム表層にシワが発生したりすることで使用が困難となり製品不良ロスが発生するため好ましくない。さらには、保管後のフィルムの収縮率の低下が大きくなるため好ましくない。
55℃35%RH雰囲気下にて48時間保管した場合の主収縮方向の自然収縮率を6%未満に抑えるには、フィルムの長手方向の延伸条件を制御することが有用である。例えば、ロールの速度差を用いて長手方向に延伸した場合、延伸温度、または熱処理温度を制御する必要がある。延伸温度については延伸後の長手方向の厚み斑が悪化しない範囲で極力高い温度で延伸を行うことで、高温保管時の自然収縮率を抑制することができる。熱処理については、延伸温度と同等以上の温度で熱処理を施すことで、高温保管時の自然収縮率を抑制することができる。以上の様に、延伸温度や熱処理温度を制御することで、長手方向に配向した分子の緊張の緩和が可能となり、高温保管時の自然収縮率を抑制することができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率が20%以上60%以下であり、好ましくは25%以上55%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。
70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率が20%未満であると、熱風での加熱収縮仕上げの際に必要な熱風温度が高くなり、弁当容器などの包装体を熱で痛める場合があり好ましくない。さらには、収縮仕上げに必要な加熱時間が長くなり生産性が悪くなるため好ましくない。また、70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率が60%より高いとフィルムの自然収縮率が高くなってしまうため好ましくない。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは下式(1)で示される屈折率差が0.06以上であり、好ましくは0.07以上であり、より好ましくは0.08以上である。屈折率差が0.06より小さくなると低温収縮性が低くなり、熱風での収縮仕上げが悪化するため好ましくない。
屈折率差=(主収縮方向の屈折率)―(主収縮方向に対して直交する方向の屈折率)・・・式(1)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは90℃の熱風下で測定したフィルム主収縮方向の最大収縮応力が15MPa以下であり、好ましくは14MPa以下であり、より好ましくは13MPa以下である。90℃の熱風下で測定したフィルム主収縮方向の最大収縮応力が15MPaより大きいと、フィルムロールを高温下で保管した場合に紙管潰れや表層シワが発生しやすく、好ましくない。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率について、下式(2)で示される収縮率差が15%以下であることが好ましい。収縮率差が15%より大きい場合、熱風での収縮仕上りが悪化することから、収縮仕上げ温度を都度調整する必要があるため好ましくなく、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下である。
収縮率差=(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管する前の温湯収縮率)−(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した後の温湯収縮率)・・・式(2)
フィルムの最大収縮応力は、フィルムの材質や成分、ならびに延伸条件により制御することができる。長手方向に収縮するフィルムの材質としては、ポリ塩化ビニルやポリオレフィン系樹脂が使用されるが、本発明の効果を達成するには上記材質に比べて自然収縮率が低く、かつ低温収縮性に優れたポリエステル系樹脂であることが重要である。ポリエステル系フィルムを構成する成分としては結晶性が高いフィルム成分であると収縮応力が高くなることから、結晶性を抑えるようなフィルム成分とすることが好ましい。延伸条件については、延伸温度、熱処理温度を調整することで収縮応力を制御することができるが、なかでも延伸温度が特に影響し、延伸温度を高くすることで収縮応力を抑制することができる。
本発明で使用するポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸(たとえば、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)を含有させる場合、含有率は3モル%未満であることが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸を3モル%以上含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、高速装着時のフィルムの腰が不十分となり安定した装着性が得られない。
また、3価以上の多価カルボン酸(たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)を含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
本発明で使用するポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1−3プロパンジオール、1−4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(たとえば、1−3プロパンジオール、1−4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調整したポリエステルが好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、全ポリステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中の非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分の合計が10モル%以上であることが必要であり、15モル%以上であることが好ましく、17モル%以上であることがより好ましく、特に20モル%以上であることが好ましい。ここで、非晶質成分となりうるモノマーとしては、たとえば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールやイソフタル酸を挙げることができる。
ここで、上記の「非晶質成分となりうる」の用語の解釈について詳細に説明する。
本発明において、「非晶性ポリマー」とは、具体的にはDSC示差走査熱量分析装置における測定で融解による吸熱ピークを有さない場合を指す。非晶性ポリマーは実質的に結晶化が進行しておらず、結晶状態をとりえないか、結晶化しても結晶化度が極めて低いものである。
また、本発明において「結晶性ポリマー」とは上記の「非晶性ポリマー」ではないもの、即ち、DSC示差走査熱量分析装置における測定で融解による吸熱ピークを有する場合を指す。結晶性ポリマーは、ポリマーが昇温すると結晶化されうる、結晶化可能な性質を有する、あるいは既に結晶化しているものである。
一般的には、モノマーユニットが多数結合した状態であるポリマーについて、ポリマーの立体規則性が低い、ポリマーの対象性が悪い、ポリマーの側鎖が大きい、ポリマーの枝分かれが多い、ポリマー同士の分子間凝集力が小さい、などの諸条件を有する場合、非晶性ポリマーとなる。しかし存在状態によっては、結晶化が十分に進行し、結晶性ポリマーとなる場合がある。例えば、側鎖が大きいポリマーであっても、ポリマーが単一のモノマーユニットから構成される場合、結晶化が十分に進行し、結晶性となり得る。そのため、同一のモノマーユニットであっても、ポリマーが結晶性になる場合もあれば、非晶性になる場合もあるため、本発明では「非晶質成分となりうるモノマー」という表現を用いた。
ここで、本発明においてモノマーユニットとは、1つの多価アルコール分子および1つの多価カルボン酸分子から誘導されるポリマーを構成する繰り返し単位のことであり、また、ε−カプロラクトンの場合は、ラクトン環の開環で得られる構成単位を示す。
テレフタル酸とエチレングリコールからなるモノマーユニットがポリマーを構成する主たるモノマーユニットである場合、イソフタル酸とエチレングリコールからなるモノマーユニット、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなるモノマーユニット、テレフタル酸と1.4−シクロヘキサンジメタノールからなるモノマーユニット、イソフタル酸とブタンジオールからなるモノマーユニット等が、上記の非晶質成分となりうるモノマーとして挙げられる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステル中には、炭素数8個以上のジオール(たとえばオクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(たとえば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を、含有させないことが好ましい。これらのジオール、または多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、層構成が限定されるものでは無く、単層フィルムであってもよく、積層フィルムであっても良い。積層フィルムの場合、本発明の要件を満たしていれば、積層するフィルムの材質や層の数には特に限定は無く、本発明のフィルムと同質の材料であっても異質の材料であっても構わない。しかし、本フィルムの特徴である優れた低自然収縮性を維持するためには、積層フィルムとした場合の各層がポリエステル系樹脂で構成されていることが好ましい。また、積層フィルムとした場合の本フィルムの厚さについて特に限定されるものでは無いが、全層の厚さに対して50%以上であれば、耐自然収縮性を阻害しにくいので好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その製造方法について何ら制限される物ではないが、例えば、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す方法により、延伸することによって得ることができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
さらに得られた未延伸フィルムは、熱風、温水、赤外線等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラー法などにより、長手方向に一軸延伸されることが好ましい。なかでもロール法が装置としては安価であるため、より好ましい。延伸温度は熱収縮性フィルムを構成する各樹脂のガラス転移温度(Tg)や要求される特性によって変える必要があるが、生産性や収縮特性の観点から、概ねTg+18℃以上Tg+40℃以下の温度で2.5倍以上6.0倍以下の倍率となるように行う必要がある。延伸温度がTg+18℃を下回ると、延伸時に破断を起こし易くなるので好ましくなく、更に自然収縮率や収縮応力が高くなるため好ましくない。反対にTg+40℃を上回ると、長手方向の厚み斑が悪くなるので好ましくない。なお、延伸温度の下限は、Tg+20℃以上であると好ましく、Tg+22℃以上であるとより好ましい。また、延伸温度の上限は、Tg+37℃以下であると好ましく、Tg+34℃以下であるとより好ましい。一方、延伸倍率が2.5倍を下回ると、生産性が悪いばかりでなく十分な収縮性が得られず、さらには長手方向の厚み斑も悪くなるので好ましくない。反対に6.0倍を上回ると、延伸時に破断を起こし易くなる上、収縮応力が大きくなり、かつ自然収縮率も大きくなることから好ましくない。延伸倍率の下限は、3.0倍以上であると好ましく、3.5倍以上であるとより好ましい。また、延伸倍率の上限は、5.5倍以下であると好ましく、5.0倍以下であるとより好ましい。
延伸されたフィルムは、自然収縮率を抑制する目的で、熱処理工程にて熱処理されることが好ましい。熱処理はロール、テンター、IRヒーター等、公知のどの方法を採用しても構わないが、ロールおよびIRヒーターが装置としては安価であるため、より好ましい。熱処理条件は特に限定されないが、生産性や収縮特性の観点から、延伸温度以上延伸温度+40℃以下で1〜5秒間で処理するのが好ましい。熱処理温度が延伸温度より低い場合は、十分な熱処理効果が得られないため好ましくない。また熱処理温度が延伸温度+40℃より高い場合は、急激なフィルムの収縮挙動が発生しフィルムの厚み斑が悪化するため好ましくない。熱処理時間が1秒より少ない場合は十分な熱処理効果が得られないため好ましくない。また熱処理時間が5秒より多い場合は、生産速度を低くする必要があり生産性が悪化する、もしくは大掛かりな設備が必要となり、いずれもコストが嵩む要因となるため好ましくない。
本発明者らが鋭意検討した結果、低温収縮性を得るために長手方向の延伸を行い、配向を高くした際に悪化する耐自然収縮性は、延伸温度を高くして長手方向に延伸することや長手方向の延伸後にロールやIRヒーター等の設備によって延伸温度と同等以上に加熱処理を行うことで、長手方向に配向した分子の緊張を緩和することで改善できることを見出し、本発明に至った。尚、耐自然収縮性向上の観点から、延伸温度を高くして長手方向に延伸する工程や長手方向の延伸後にロールやIRヒーター等の設備によって延伸温度と同等以上に加熱処理を行う工程については、少なくとも一つを行う必要がある。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、ラベル用途やバンディング用途の熱収縮性フィルムとして5〜100μmが好ましく、10〜95μmがより好ましい。
本発明の包装体は、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたバンディングフィルム(及びラベル)が、包装対象物の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成されるものである。包装対象物としては、(飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や)弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。なお、通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られるラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該バンディングフィルム(及びラベル)を約5〜70%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるバンディングフィルム(及びラベル)には、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
バンディングフィルム(及びラベル)を作製する方法としては、長方形状のフィルムを長手方向に丸めて端部を重ね合わせて接着してラベル状にするか、あるいは、ロール状に巻き取ったフィルムをロール長手方向に丸めて端部をフィルムに重ね合わせて接着して、チューブ状体としたものをカットしてラベル状とする。フィルム同士を接着する方法は、溶断シール、溶剤接着、ホットメルト接着剤による接着、エネルギー線硬化型接着剤による接着など、既知の方法を用いて行うことができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。なお実施例に示す測定値および評価は次の通り実施した。
[Tg(ガラス転移点)]
示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業株式会社製、DSC220)を用いて、JIS−K7121−1987に基づいて求めた。未延伸フィルム5mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で−40℃から120℃に10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、昇温プロファイルを得た。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
[収縮率(温湯熱収縮率)]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、70±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの長手方向の寸法を測定し、下式1にしたがって、熱収縮率を求めた。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) ・・式1
[最大収縮応力]
熱収縮性フィルムから長手方向の長さが150mm、幅方向の長さが20mmの短冊状フィルムサンプルを切り出し、東洋ボールドウィン社製(現社名オリエンテック)の加熱炉付き強伸度測定機(テシロンPTM−250(オリエンテック社の登録商標))を用いて収縮応力を測定した。強伸度測定機の加熱炉は予め炉内を90℃に加熱しておき、フィルムサンプルを把持するためのチャック間距離は100mmとした。サンプルを強伸度測定機のチャックに取り付ける際には、加熱炉の送風を一旦止めて加熱炉の扉を開け、長さ方向150mmのサンプルの両端25mmずつをチャック間に挟み、チャック間距離は100mmとして、チャック間とサンプルの長さ方向とが一致し且つサンプルが水平となるように緩みなく固定した。サンプルをチャックに取り付けた後、速やかに加熱炉の扉を閉めて、送風を再開した。加熱炉の扉を閉め送風を再開した時点を収縮応力の測定開始時点とし、収縮応力の測定開始時点から、測定開始後30秒までの間における収縮応力測定値の最大値を収縮応力の最大値(最大収縮応力(MPa))とした。
[屈折率]
アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に測定した。
[自然収縮率]
得られたフィルムを、主収縮方向×直交方向=200mm×30mmのサイズに切り取り、55℃35%RHの雰囲気下で48時間放置(高温保管)した後、フィルムの長手方向の寸法を測定し、下式(3)によって自然収縮率を求めた。
自然収縮率={(高温保管前の長さ−高温保管後の長さ)/高温保管前の長さ}×100(%) ・・式(3)
[高温保管後の収縮率差]
得られたフィルムより50mm幅4000m巻のフィルムロールを作成し、55℃35%RHの雰囲気下で48時間放置(高温保管)した後にロール表層より10m分のフィルムを除去した。ついで、得られたフィルムロールの表層より長さ30cmのフィルムを採取し、上記収縮率の評価方法にて70℃の温水に10秒間浸漬したときの収縮率を求め、下式(4)より収縮率差(高温保管後の収縮率低下)を求めた。
収縮率差=(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管する前の温湯収縮率)−(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した後の温湯収縮率)・・・式(4)
[収縮仕上がり性(ラップ・ラウンド)]
弁当のプラスチック容器(辺 150×150mm、高さ100mm)に対して、容器の胴部と蓋部をフィルムが結束するように、幅50mmのフィルムを容器の周方向をフィルムの収縮方向(長手方向)にして巻き付け、170℃で溶断シール後、設定温度90℃の熱風トンネルにて加熱し熱収縮仕上げを実施した。シワの評価に関しては、図1において、弁当容器の辺方向に入る長さ5cm以上のシワの個数で判断し、基準は下記のようにした
○:0〜4個
△ : 5〜14個
× : 15個以上
収縮不足については、収縮仕上り後に収縮不足が生じているかで判断し、基準は以下のようにした。
○:収縮不足なし
×:収縮不足あり
[収縮仕上がり性(ラップ・ラウンド)の安定性]
上記、高温保管後の収縮率低下の評価後の高温保管フィルムロールを用いて、上記収縮仕上がり性評価と同様の方法にて収縮仕上げを実施し、高温処理前の仕上がりと比較を行い、収縮仕上がり性の安定性の評価を実施した。収縮仕上りの安定性の基準は以下のようにした。
○:高温保管前と同等以上
×:高温保管前より悪化
[紙管潰れ]
上記、高温保管後の収縮率低下の評価にて作成した高温保管フィルムロールの紙管の内径の寸法を測定し、下式4より得られた紙管内径減少量より判断した。基準は以下のようにした。
紙管内径の減少=高温保管前の内径−高温保管後の内径 ・・式4
○:内径の減少1mm未満
×:内径の減少1mm以上
[表層シワ]
上記、高温保管後の収縮率低下の評価にて作成した高温保管フィルムロールの表層シワを確認し判断した。基準は以下のようにした。
○:シワの発生なし
×:シワの発生あり
以下の実施例および比較例で使用した原料の組成を表1に、各層に用いた混合原料の比率を表2に、フィルムの製造条件を表3に、実施例、比較例における評価結果を、表4に示す。
Figure 0006888702
Figure 0006888702
Figure 0006888702
Figure 0006888702
<ポリエステル原料の調製>
合成例1
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件のもとで重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル1を得た。組成を表1に示す。
合成例2〜3
合成例1と同様の方法により、表1に示すポリエステル2、3を得た。なお、表中、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4−ブタンジオール、DEGは副生成物のジエチレングリコールである。各ポリエステルの固有粘度は、それぞれ、2:0.74dl/g,3:1.20dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
〔実施例1〕
上記したポリエステル1、ポリエステル2およびポリエステル3を質量比30:60:10で混合して、スキン層用の樹脂混合物とした。上記したポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3を質量比30:30:40で混合して、コア層用の樹脂混合物とした。上記、スキン層およびコア層の各層用の樹脂混合物を、2台の2軸押出機を使用して2層マルチマニホールドを備えたTダイ金型を用いて280℃の温度で共押出し、速やかに冷却ロールで冷却し、スキン層/コア層の2層の厚さが48μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは62℃であった。この時、スキン層とコア層の厚み比がスキン層:コア層=1:4となるように共押出しした。次いで、当該未延伸フィルムを複数のロール群が連続的に配置した縦延伸機に導き、予熱ロール状でフィルム温度95℃になるまで加熱した後に、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を4.0倍、延伸後のフィルムの厚さが12μmになるように縦延伸した。縦延伸後は表面温度25℃に設定された冷却ロールで冷却し、次いでロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。評価結果を表3に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例2〕
長手方向の延伸温度を80℃とし、長手方向への延伸後、80℃のロールで5秒間熱処理を行った以外は実施例1と同様とした。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例3〕
長手方向の延伸温度を80℃とし、長手方向への延伸後、IRヒーターで1秒間熱処理を行った以外は実施例1と同様とした。この時、熱処理後のフィルム温度は100℃であった。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例4〕
上記したポリエステル1、ポリエステル2およびポリエステル3を質量比30:60:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが48μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは68℃であった。次いで、当該シートを95℃に加熱し、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を4.0倍、延伸後のフィルムの総厚さが12μmとなるように縦延伸した。縦延伸後は冷却ロールで冷却し、次いでロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例5〕
長手方向の延伸温度を80℃とし、長手方向への延伸後、80℃のロールで5秒間熱処理を行った以外は実施例4と同様とした。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例6〕
長手方向の延伸温度を80℃とし、長手方向への延伸後、IRヒーターで1秒間熱処理を行った以外は実施例4と同様とした。この時、熱処理後のフィルム温度は100℃であった。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔実施例7〕
長手方向の延伸倍率を5.0倍とし、長手方向への延伸後、IRヒーターで1秒間熱処理を行った以外は実施例4と同様とした。この時、熱処理後のフィルム温度は110℃であった。評価の結果、十分な収縮性を有し、高温保管前後共に収縮仕上がり性が良好で高温保管による紙管潰れやシワの発生のない良好な結果であった。
〔比較例1〕
長手方向の延伸温度を80℃とした以外は実施例1と同様とした。評価の結果、高温保管前のフィルムでは収縮仕上り良好であったが、高温保管後では仕上りが悪化し、紙管つぶれおよび表層シワが発生した。
〔比較例2〕
長手方向の延伸温度を80℃とした以外は実施例4と同様とした。評価の結果、高温保管前のフィルムでは収縮仕上り良好であったが、高温保管後では仕上りが悪化し、紙管つぶれおよび表層シワが発生した。
〔比較例3〕
長手方向の延伸温度を120℃とした以外は実施例4と同様とした。評価の結果、高温保管後では、紙管つぶれおよび表層シワは発生しなかったが、高温保管前の時点で低温収縮性が低く、収縮仕上り不良が発生した。
〔比較例4〕
長手方向への延伸後、70℃のロールで5秒間熱処理を行った以外は実施例5と同様とした。評価の結果、高温保管前のフィルムでは収縮仕上り良好であったが、高温保管後では仕上りが悪化し、紙管つぶれおよび表層シワが発生した。
〔比較例5〕
長手方向への延伸後、IRヒーターで1秒間熱処理後のフィルム温度を75℃とした以外は実施例6と同様とした。評価の結果、高温保管前のフィルムでは収縮仕上り良好であったが、高温保管後では仕上りが悪化し、紙管つぶれおよび表層シワが発生した。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記の如く優れた特性を有しているので、ラベル用途や弁当容器等を結束するバンディング用途に好適に用いることができる。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムがラベルとして用いられて得られたボトルやバンディングフィルムとして用いられた弁当容器等の包装体は美麗な外観を有するものである。

Claims (3)

  1. 熱収縮性ポリエステル系フィルムをロール状に巻き取ってなる熱収縮性ポリエステル系フィルムロールであって、該熱収縮性ポリエステル系フィルムはエチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中の非晶成分となりうる1種以上のモノマー成分の合計が10モル%以上で、主収縮方向が長手方向であり、下記要件(1)〜(3)を満たし、ボトル又は容器の周囲に巻き付けて装着する用途に用いられることを特徴とする、熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
    (1)70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率が20%以上60%以下
    (2)55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した場合の主収縮方向の自然収縮率が%未満
    (3)下式で示される屈折率差が0.06以上
    屈折率差=(主収縮方向の屈折率)―(主収縮方向に対して直交する方向の屈折率)
  2. 90℃の熱風下で測定した前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの主収縮方向の最大収縮応力が15MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
  3. 前記熱収縮性ポリエステル系フィルムを70℃の温水に10秒間浸漬したときの主収縮方向の温湯収縮率について、下式で示される収縮率差が15%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
    収縮率差=(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管する前の温湯収縮率)−(55℃35%RH雰囲気下で48時間保管した後の温湯収縮率)
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