JPH08423B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法

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JPH08423B2
JPH08423B2 JP6085105A JP8510594A JPH08423B2 JP H08423 B2 JPH08423 B2 JP H08423B2 JP 6085105 A JP6085105 A JP 6085105A JP 8510594 A JP8510594 A JP 8510594A JP H08423 B2 JPH08423 B2 JP H08423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被覆用、結束用あるいは
外装用等の包装材料分野において特に好適な特性を発揮
する熱収縮性ポリエステル系フィルム(シートを含む:
以下同じ)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性プラスチックフィルムを素材と
して形成されるチユーブ状体は、例えば容器、瓶(プラ
スチックボトルを含む:以下同じ)、缶、長尺物(パイ
プ、棒、木材、各種棒状体等)等(以下容器類と略す)
の被覆用、結束用あるいは外装用として、特にこれ等の
キヤップ部、肩部、胴部等の一部または全面を被覆し、
標示、保護、結束、商品価値向上等を目的として利用さ
れる他、箱、瓶、板、棒、ノート等のような集積包装あ
るいはスキンパックのように被包装物に密着させて包装
する分野等において広く使用されており、収縮性及び収
縮応力を利用した用途展開が期待される。
【0003】従来上記用途にはポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリエチレン、塩酸ゴム等の熱収縮性フィルム
を用い、これをチユーブ状体にしてから前記容器類にか
ぶせたり、集積包装して熱収縮させていた。しかしこれ
らのフィルムは耐熱性が乏しく、ボイル処理やレトルト
処理をしたときに溶融または破裂し易くフィルム状態を
維持することができないという欠点があった。更に印刷
の必要な用途ではインクの転移不良による印刷ピンホー
ル(フィルム内の添加剤やポリマーのゲル状物によるフ
イツシユアイに基づく微小凹凸)の発生が見られたり、
仮にうまく印刷できたとしてもその後徐々にフィルムの
収縮(常温収縮)が進行して印刷ピッチに寸法変化をき
たすという問題もあった。
【0004】すなわち、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリエチレン等の汎用熱収縮性フィルムを使う上記
従来技術には、以下に述べる様な問題点があった。 (a) 完全に近い一軸収縮性の欠如 ある特定方向には大きい収縮性を示してもこれと直交す
る方向には全く収縮しないことが理想とされる用途にお
いては、上記従来フィルムは全く不向きである。例えば
横方向に収縮させてボトル表面に収縮ラベルをつける場
合を考えると、ラベルの縦方向即ちボトルの上下方向に
収縮することは、所定の位置にラベルが来ずにラベルが
縮み上がることを意味し外観不良を招く。これを防止す
るには縦方向の収縮を小さくしなければならないが、こ
の目的の為に単純にフィルムを横方向にのみ配向させた
とすると、高分子化学物質の性質上の常識から直ちに理
解される様に引裂け易くなり、またフィブリン化し易く
なる為強度も弱くなる。特にボトルが落下する場合は縦
方向の強度が破瓶防止上重要であることを考え合わせる
と、単純な一方向延伸は良い方法とは言えない。またそ
の他の用途でも耐衝撃性がないと使用できない場合が多
く存在する。この様なところから、ある特定の温度領域
において、ある特定方向には十分大きい収縮性を示すが
それと直角な方向には極めて小さな収縮性しか示さない
様なフィルムの開発が望まれる。
【0005】(b) 耐熱性の不足 前記従来フィルムはいずれも高温のボイル処理やレトル
ト処理に耐えることができず、殺菌処理には不適当なフ
ィルムである。例えばレトルト処理を行うと、前記従来
フィルムは処理中に破壊乃至破裂し、フィルムとしての
全機能が失なわれる。従ってボイル処理やレトルト処理
に耐え得る熱収縮性フィルムの提供が望まれている。
【0006】(c) 印刷性の不良 ハーフトーン印刷によるピンホールの発生、広範囲な各
種インクとの接着性等に関し、上記従来フィルムはそれ
ぞれ固有の欠点を有する。例えばポリ塩化ビニルではゲ
ル状物によるインクピンホールが発生し易く、連続的な
チユーブ加工では、長尺フィルムの途中にピンホールが
存在することになる。これを自動ラベリングマシンに供
給すると、ピンホールを残したまま製品化されてしまう
ので、最終的に全品検査を行わなければならず、その労
力と抜取りによる再加工等のため実稼動率が著しく低下
する。このピンホール欠陥を印刷終了後の段階で検査し
て除去しようとすれば、カット後再び連続フィルム状に
戻すことになり接着テープで継ぐ必要が生じる。その為
継目が入り、継目部分及びその前後は外観が悪くなって
不良品が生じ、この欠陥包装体は工程途中において取除
かなければならない。更に高精度の印刷では、印刷後に
フィルムの収縮による印刷ピッチの減少(経時収縮)を
生じ、しかもこの経時収縮は流通温度条件下で絶えず進
むという管理の難しさに遭遇する。従ってポリ塩化ビニ
ル収縮フィルム等は保冷車や低温倉庫等が必要となる。
この様なところから、ピンホール欠陥のない印刷が可能
であり、また印刷後の経時変化がない熱収縮性フィルム
の提供が望まれる。
【0007】(d) クレーズの発生 ポリスチレンフィルムはクレーズが生じ易く、耐薬品性
が悪い。従って使用中に薬液による損傷を受け易く印刷
面も汚れる。従って耐薬品性や耐久性の優れたフィルム
が望まれている。
【0008】(e) 産業廃棄物の問題 近年プラスチックボトルの使用量は急激に伸長してい
る。このボトルの回収を考えた場合、特にポリエステル
ボトルの被覆にポリ塩化ビニルやポリスチレン等の異種
フィルムが使用されていると回収再利用に付すことがで
きないという問題がある。その上ポリ塩化ビニルでは塩
素ガスによる腐食の問題もあり、廃棄物公害を招くこと
のない熱収縮性フィルムが望まれる。
【0009】(f) 収縮斑 上記従来フィルムの熱収縮性は均質性に欠けるきらいが
あり、一旦熱収縮の十分なところと不十分なところが別
々に形成されてしまうと、次にもう一度熱を与えてもそ
れ以上の再収縮がおこらず、表面に不均一な凹凸のある
ものになる。更に用途上最も重要な点は、高速収縮包装
やラベリング等において、収縮率の大きくなる部分に斑
が出易く、またメタリックインクを用いた場合は、収縮
斑は見掛け上改善されるけれども、色斑の方は仕上った
後の部分的な収縮率の差がそのまま現れる。従ってより
均一な収縮率とすることが望まれる。
【0010】上記の様な問題点を有する従来フィルムに
対し、ポリエステル系熱収縮性フィルムを用いるチユー
ブは、これまで試行的に作られたことがある程度であ
り、希望方向への熱収縮率を十分に高くすることができ
なかったり、また上記方向と直交する方向への熱収縮を
小さくすることができないという問題があり、更に従来
のポリエステル系熱収縮性フィルムは大収縮部において
被包装体に密着せず、あばた状になり易く、特に高速短
時間収縮を要する高速包装ではこの傾向が強い。とりわ
けこの現象はメタリック調の印刷インクの場合に色斑と
なって現われ高品外観上著しく大きな問題となる。従っ
て前記用途への展開が困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、上記(a) 〜(f) で述
べた様な欠陥を伴わない熱収縮性ポリエステル系フィル
ムを製造する方法の提供を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムの製造方法とは、テレフタル酸および
エチレングリコールを主たる成分とし、ネオペンチルグ
リコールを共重合成分とする共重合ポリエステル含有組
成物からなるポリエステル系フィルムにおいて、100
℃の熱風中での熱収縮率がフィルム長手方向および幅方
向の少なくともいずれか一方向において30%以上であ
り、且つ交点収縮率が5%以上になる様に、共重合ポリ
エステル含有組成物のTg以上、Tg+80℃以下の温
度で予熱を行った後、全延伸工程域の9/10以下を前
記予熱温度より低いTg+75℃以下で、残る1/10
以上は前記延伸温度より低いTg+60℃以下で、4倍
を超えて延伸するところに要旨を有する。
【0013】
【作用】本発明法において用いられる熱収縮性ポリエス
テルフィルムの構成素材は、テレフタル酸およびエチレ
ングリコールを主成分としネオペンチルグリコールを共
重合成分とする共重合ポリエステル含有組成物である。
酸成分としてはテレフタル酸以外に、例えばアジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸:イ
ソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−第3級ブチ
ルイソフタル酸、2,2,6,6 −テトラメチルビフェニル−
4,4 −ジカルボン酸等の芳香族二塩基酸:2,6 −ナフタ
レンジカルボン酸、1,1,3 −トリメチル−3−フェニル
インデン−4,5 −ジカルボン酸等の芳香族二塩基酸を共
重合させることができる。
【0014】同様にグリコール成分はエチレングリコー
ネオペンチルグリコール以外に、ジエチレングリコ
ール、プロピレンクリコール、ブタンジオール、ヘキサ
ンジオール等の脂肪族系ジオール、あるいは1,4 −シク
ロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ビス
(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2 −(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体等の脂環族系ま
たは芳香族系のジオール等を共重合させることができ
る。
【0015】ネオペンチルグリコールの存在量は全組成
物中3〜40モル%の範囲であることが好ましい。特に
好ましいのは5〜25モル%である。ネオペンチルグリ
コー が3モル%未満の場合は、本発明法を用いて延伸
しても、加熱収縮処理中にフィルムの内部残留応力の保
持時間が短くなり、例えば瓶に被覆した場合、収縮及び
その後の殺菌処理により肩部がゆるみを生ずる等の好ま
しくない現象を引き起こし易い。一方ネオペンチルグリ
コールが40モル%を超えると熱処理した時の残留応力
保持時間を改良する効果が飽和し、本発明法の後述の要
件を満たしても、非晶性の進行、耐担持性の低下等とい
った欠点が出てくる。
【0016】本発明法に用いられる共重合ポリエステル
自体は従来から一般的に行われているポリエステルの製
造方法によって製造することができる。例えばテレフタ
ル酸等に対してエチレングリコール等を直接エステル化
させる方法、またはジメチルテレフタレート等にエチレ
ングリコール等を作用させるエステル交換法などが示さ
れる。更に本発明法に使用できる共重合ポリエステル組
成物は、上記で示した範囲内および範囲外の共重合ポリ
エステルやホモポリエステルあるいは他の共重合ポリエ
ステルとのブレンドにより製造することもでき、これら
の制御により一層好ましいフィルムを得ることができ
る。即ち本発明法による前記残留収縮応力の保持特性を
改良できるだけでなく、収縮時の感温性を調節し収縮速
度をコントロールし得るため、本来収縮時に発生する収
縮斑を減少できることを発見した。
【0017】本発明法に使用される共重合ポリエステル
組成物には、必要に応じて二酸化チタン、微粒子シリ
カ、カオリン、炭酸カルシウム等の滑剤を添加してもよ
く、更に帯電防止剤、老化防止剤、紫外線防止剤、着色
剤(染料等)を添加することもできる。なおフィルム基
材にする上での好ましい固有粘度は0.55〜1.3 dl/gであ
り、好ましくは0.58〜1.2 dl/g、特に好ましくは0.63〜
1.2 dl/gである。
【0018】本発明法は、高速収縮作業に適するフィル
ムを製造するものであり、交点収縮率が5%以上になる
様に延伸する必要がある。交点収縮率とは、図1に示す
様にして求められるもので、フィルムにある任意の収
縮率を与えた時の内部残留応力曲線と、いったんその
収縮率よりも大きく収縮させた後、前記任意の収縮率に
対応する収縮量まで引張りによって戻すのに要する引張
力の曲線との交点に当たる収縮率をもって定義する。従
ってこの交点収縮率以下では、フィルムに局部収縮に基
づく色斑や収縮斑が生じても、その内部収縮応力は局部
収縮した部分を引伸ばす力よりも大きく、局部収縮部は
一時的に収縮してもまた戻そうとする力が常に作用し、
斑が解消されるという極めて新しい事実の発見に基づ
く。
【0019】このような交点収縮率が5%未満では、僅
かの収縮によっても内部残留応力が放出されてしまい、
他の収縮部を修正する上述の力を生じない。または著し
い収縮斑によって、それを緩和するだけの内部残留応力
がなくなる為、何れにせよ、一度生じた斑は取除けな
い。従って仕上がりにおいて著しく外観を失するものと
なる。
【0020】また交点収縮率のみ高ければ良いかという
と、それだけでは本発明法の目的を達成できない。それ
は熱収縮しない様な剛性度の高いフィルムでは交点収縮
率が高くなるからであり、100℃の熱風中での熱収縮
率がフィルム長手方向および幅方向の少なくともいずれ
か一方向において30%以上であるという前記熱収縮率
の条件をも満足する様なフィルムを製造しなければなら
ない。一方、一般的に剛性度が低い未配向及び低配向度
のフィルムでは、残留応力の低減が少なく、また回復率
に対する引張力の上昇の仕方も低い為、交点収縮率が高
くなる。従ってあくまでも前記熱収縮率を満たすフィル
ムを製造する必要があり、そのために、本発明法では以
下の様な延伸方法採用する必要がある
【0021】フィルムに上記好適特性を発揮させる為に
は、後述の延伸倍率だけでなく、重合体組成物が有する
平均ガラス転移温度(Tg)以上、Tg+80℃以下の
温度で予熱を行った後、全延伸工程域の9/10以下
は、予熱温度より低いTg+75℃以下で延伸し、残る
1/10以上は前記延伸温度より低いTg+60℃以下
で延伸する必要がある。さらに好ましくは残る1/10
以上をTg+50℃以下で延伸する。この延伸方法は、
上記交点収縮率および熱収縮率を満足する特異な収縮挙
動を得るための重要なポイントである。主方向延伸(主
収縮方向)における上記処理温度は、該方向と直交す
方向の熱収縮率を抑制し、且つ80±25℃の温度範囲
に、その最小値を持ってくる上で極めて重要である。更
に延伸後、伸張あるいは緊張状態に保ってフィルムにス
トレスをかけながら冷却するかあるいは更に引続いて冷
却することにより、前記収縮特性はより良好且つ安定し
たものとなる。
【0022】延伸倍率は、前述の共重合ポリエステル
有組成物を用いて押出法やカレンダー法等任意の方法で
得たフィルムを一方向に4倍以上とすべきである。好ま
しくは一方向に10倍以下、さらに好ましくは4.6 倍か
ら7.0 倍に延伸する。該方向と直角方向に1倍から2
倍以下、好ましくは1.1 倍から1.8 倍延伸することが好
ましい。この延伸の順序はどちらが先であっも支障はな
い。主延伸方向と直交する方向への延伸は、本発明法で
得られるフィルムに対し更に耐衝撃性や引裂抵抗性を向
上させるのに有効である。しかしながら2倍を超えて延
伸すると、主収縮方向と直交する方向への熱収縮も大き
くなり過ぎ、仕上がりが波打ち状となる。この波打ちを
抑えるには、主収縮方向と直角方向の熱収縮率を15%
以下、好ましくは8〜9%以下、最も好ましくは5%以
下の収縮、または5%以下の伸び以内にすることが推奨
される。
【0023】延伸方法としては通常の装置が使用され、
ロール延伸、長間隙延伸、テンター延伸、チユーブラー
延伸等の方法が適用され、また形状面においてもフラツ
ト状、チユーブ状等の如何は問わない。また延伸は遂次
2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸あるいはこれらの組
合せ等で行われる。また本発明フィルムに対しては例え
ば縦1軸、横1軸、縦横2軸等の延伸を行うが、特に2
軸延伸では縦横方向の延伸は、どちらか一方を先に行う
遂次2軸延伸が有効であり、その順序はどちらが先でも
よい。尚同時2軸延伸を行なうときはその延伸順序が、
縦横同時、縦先行、横先行のどちらでもよい。またこれ
ら延伸におけるヒートセットは目的に応じて実施される
が、夏期高温下の寸法変化を防止する為には30℃〜1
50℃の加熱ゾーンを約1秒から60秒間通すことが推
奨される。またかかる処理の前後どちらか一方または両
方で最高70%迄の伸張をかけてもよい。特に主方向に
伸張し、非収縮方向(主収縮方向に対して直角方向)に
は緩和させるのが良く、該直角方向への伸張は行わない
方が良い。
【0024】このようにして得られるフィルムの面配向
係数は40×10-3〜120×10-3以下のものが好まし
い。面配向係数が40×10-3未満では前記収縮特性が発
現できず収縮の仕上がり不足、皺の発生、色斑の発生、
2次加熱によるたるみ等種々の欠点が認められる。更に
これにとどまらず、熱収縮させた時またはさせた後にボ
イル、レトルト処理、熱湯殺菌等の加熱処理を受けると
白濁し外観が著しく悪化する。一方120×10-3を超え
ると、破瓶防止効果が低減し、破壊しやすくなり、少し
の外傷によっても破れ易くなる。一方複屈折率は20×
10-3〜175×10-3が好ましく、複屈折率が20×10-3
未満では前記の交点収縮率が得られ難く、皺、メタリッ
ク調インクにみられる色斑等は好ましくない。また17
5×10-3を超えると収縮速度が早くなり過ぎ加熱時の温
度斑、例えば熱源に近いところと遠いところの温度差、
熱風の当り易い場所とそうでない場所との温度差等から
くる温度斑によって収縮斑が極度に発生しやすくなる。
【0025】以下本発明法によって得られるフィルムを
用途面から説明する。包装用途、特に食品や飲料の包装
においてはボイル処理やレトルト処理が行われている。
現存する熱収縮性フィルムではこれらの処理に十分耐え
得るものはない。本発明のフィルムはボイル処理やレト
ルト処理による加熱殺菌に耐えることができ、しかも万
一発生した収縮斑によるクレーター状の収縮部や、メタ
リック調インクの色斑も加熱中に修正されるという、新
たな特性を与えることに成功したものであり、ポリ塩化
ビニルフィルムよりも高い熱収縮応力を有し、結束性も
優れている。従って直径比の大きい容器類であっても均
一な密着性を有する被覆状態を得ることができ、また変
形容器類も同様である。更にはポリエステルボトルの他
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチ
レン容器等のプラスチックボトルの加熱変形を生じない
ように低温で収縮させることも可能であり、ボトルが変
形する温度に達する迄にフィルムの収縮が完了してい
る。
【0026】この他重量物や変形成形物に対しても荷く
ずれしない強固な被覆乃至結束包装が可能であり、また
包装上必要とされる50〜70%の熱収縮率レベルにお
いて、主収縮方向に対し直角方向の熱収縮率が最低値を
示すというブロードな熱収縮性を有する為、熱収縮初期
から収縮包装完了迄のプロセスは前記最小収縮量を示す
温度領域(80±25℃)で熱収縮させることになる。
その結果、仕上がり寸法の誤差が小さくなるという特徴
が得られた。
【0027】尚熱収縮性を利用する包装においては、熱
収縮完了(被包装物に密着し、更に縮む能力を有してい
ても、それ以上は縮めない状態になること)後、引続き
加熱するのが一般的手順になっており、これは数多い製
品のばらつきに対応し完全な収縮を達成する上で重要な
役割を果たしている。ボイル、レトルト処理も同様であ
る。このとき、もしフィルムの収縮能が飽和に達してお
り、且つこれだけでなく、相隣り合う高収縮部分の引張
力がこの残留収縮応力よりも高いと、既に発生済みの収
縮斑や色斑は連続する加熱によっても是正されず、且つ
フィルムが逆に線膨張し、折角きっちり収縮させておい
たにも拘らず、かえって緩みが生じてくるという問題が
ある。本発明法では、その様な事態になるのを防止する
意味で、単に収縮応力を高くするだけでなく、収縮応力
の残留保持水準を高め、この収縮応力から相隣り合う高
収縮部を引伸ばすに足りるような保持水準にすることに
よって、完成した熱収縮性フィルムを製造することがで
きた。
【0028】以下更に具体的に述べる。 (a) 一方向収縮性: 収縮フィルムの役割りのひとつは被包装物の破壊や荷く
ずれ等を防止する点にあるが、その為には高い耐衝撃性
を有し且つ主方向に大きい収縮率を得ることが必要であ
る。その点本発明法で得られるフィルムは高い収縮率と
高い耐衝撃性を有するので美しい包装が得られ、しかも
被包装物の保護という面で優れた耐久性を示す。この傾
向は容器類の落下テストによって証明される。また完全
に近い一方向収縮性は主延伸方向に4倍以上延伸するこ
とによって極めて確実な、しかも寸法比の大きい容器類
でも収縮包装後の仕上がり寸法安定性が良い。
【0029】(b) 耐熱性: 従来の汎用フィルムはいずれも高温のボイル処理やレト
ルト処理には耐えることができず高温殺菌処理には適合
しない。例えばフィルムの破れ、引裂き、白濁化等を生
じる。更にそのうえ上記処理中に収縮斑が修正される特
性を有する。これに対し本発明法で得られるフィルムは
ボイルやレトルト処理ができる熱収縮性フィルムとして
優れた有用性を示す。
【0030】(c) 印刷性: 従来フィルムはハーフトーン印刷によるピンホールの発
生やインクとの接着性等に関し固有の欠点を有するが、
本発明法で得られるポリエステルフィルムは耐薬品性を
有する点と共重合体にすることにより接着性が向上する
ことから印刷性は改善された。
【0031】(d) 産業廃棄物の問題: 近年プラスチックボトルの利用が急速に広まっている。
この様なボトルの回収を考えた場合、同質性は再利用品
の品質安定上好ましいことであり、本発明法で得られる
フィルムをポリエステル系ボトルの包装に適用すること
はこの点有利である。
【0032】(e) 収縮斑: 本発明法で得られるフィルムは大きな収縮率と高い収縮
応力を有し、2次加熱でも引続き加熱すれば、過剰収縮
部が、それより低収縮部の収縮応力により引張り修正さ
れる特徴を有する為、収縮斑は修正されてなくなり、従
ってメタリック調インク等の色斑もなくなる。
【0033】
【実施例】以下実施例を説明するが、実施例で用いた測
定方法は次の通りである。 (1) ヘイズ JIS−K 6714に基づいて測定した。 (2) 熱収縮率(%) サンプル標線間を200mmにとり、フィルムを幅15mm
に切断して各温度で測定した。加熱には80℃及び10
0℃の熱風を用い夫々1分間加熱した。
【0034】(3) 交点収縮率(%) 熱収縮応力を求める為にテンシロンを使用し、幅20m
m、長さ150mmの試料片を採取してそのフィルムに1
00mmの標線を記し、100mmよりも小さく、50mmよ
り大きい任意の寸法(L1 )に設定した上下チヤツクに
試料片を装着し、100℃の熱風中で処理し、フィルム
を収縮させた。この時の収縮力を求め次式により残留収
縮応力を求めた。 収縮力/断面積=残留収縮応力 またその時の収縮率は次式より算出した。 収縮率=100×(100−L1 )/100 (%)
【0035】一方引張応力は前記残留収縮応力の測定に
おいて50%熱収縮させた後に、チャック間距離が50
mmより大きく、100mm以下の任意のチヤック間距離L
2 に戻す為に要する引張力を求め次式により引張応力を
求めた。 引張力/断面積=引張応力 再膨張率=100×(L2 −50)/50 (%) 上記の残留収縮応力と収縮率,並びに引張応力と再伸張
率の両関係を示すグラフ(図1)より求めた交点に相当
する収縮率を交点収縮率と定義する。
【0036】(4) 熱収縮残留応力保持時間(50%緩和
時) テンシロンを使用し、熱収縮応力と同様に試料片を作成
し、試料片のフィルムに100mmの標線を記し、50mm
に設定した上下チヤツクに正確に100mmの標線を合せ
て装着し、170℃の熱風中で処理し、収縮応力が0に
なるまでの時間または10分後の残留応力を求める。1
0分後応力を保持する場合は熱収縮応力と同様に算出す
る。
【0037】実施例1 ステンレス鋼製オートクレーブを使用し、二塩基酸成分
としてテレフタル酸を100モル%、グリコール成分と
してエチレングリコールを85モル%とネオペンチルグ
リコール15モル%を用い、触媒として三酸化アンチモ
ン0.05モル(酸成分に対し)を用いて直接エステル化法
により重縮合した。この共重合体は固有粘度0.75dl/gで
あった。このポリエステルを300℃で溶融押出し、厚
さ180μmの未延伸フィルムを得た。
【0038】該フィルムを横方向に延伸する為、130
℃で8秒予熱し、次いで全延伸区間の1/2域を88℃
とし、残る1/2域を80℃にし5.2 倍延伸した。延伸
後、約3%の横方向への伸張をかけながら40℃に冷却
した。得られたフィルムは厚さ40μm の熱収縮フィル
ムで、複屈折率及び面配向係数は、それぞれ、105×
10-3及び68×10-3であった。このフィルムの物性値を
表1に示した。
【0039】実施例2、3及び比較例1、2 実施例1と同様にして、表1に記載した組成のポリエス
テルに、ポリエチレンテレフタレート(極限粘度 0.8dl
/g)を、前者が60重量%で後者が40重量%となる様
に加えて混合ポリエステル組成物を作った。比較例1は
極限粘度が0.6のポリエチレンテレフタレートである。
比較例2はポリ塩化ビニルである。実施例2及び3につ
いて実施例1と同様に延伸を行った。得られたフィルム
の面配向係数は、実施例2で71×10-3、実施例3で6
0×10-3、複屈折率は前者が107×10-3、後者が10
4×10-3であった。比較例1は横方向に95℃で4.2 倍
に延伸し40℃に冷却した。面配向係数は45×10-3
複屈折率は72×10-3であった。物性値を表1に併記し
た。
【0040】実施例4及び比較例3 実施例3と同様の原料組成物を用い、表1に示した延伸
倍率でその他は実施例1と同様の延伸条件で実施例4、
比較例3のフィルムを製膜した。その物性値及び実用テ
ストの結果を表1に示した。面配向係数は実施例4が
×10-3、比較例3は34×10-3であり、複屈折率は前
者が108×10-3で、後者が33×10-3であった。
【0041】参考例 二塩基酸成分としてテレフタル酸を100モル%、グリ
コール成分としてエチレングリコール(55モル%)と
ネオペンチルグリコール(45モル%)を用いた共重合
ポリエステルを実施例1と同様の方法で製膜したが、ポ
リエステルの耐熱性が低く、テンター内でクリップ切れ
が発生し、安定した製膜をすることができなかった。
【0042】実施例5参考例 の共重合体にポリエチレンテレフタレートを15
重量%混合した組成物を用いた場合は、実施例1と同一
条件で延伸することができ、実用上有効な特性を示し
た。面配向係数は69×10-3、複屈折率は118×10-3
であった。物性値を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかな様に、本発明法で得られ
たフィルムは、交点収縮率が高く、残留応力保持性も良
好であり、縦方向の熱収縮率も低く、高収縮部の皺は全
くなく、且つメタリックインクによる色斑は全く認めら
れなかった。またラベルの上下には、比較例でみられた
ぎざぎざの波打ちが全く認められず、そのうえラベルの
上下方向への傾きや、大きなうねりもなく、使用したポ
リエステルボトルの形状に対して狂いなく被覆できた。
【0045】一方、比較例1は交点収縮率が低いため、
残留応力保持特性が不十分で実用に耐えないものであっ
た。比較例2は塩化ビニルで耐熱性に劣っている。比較
例3は交点収縮率は満足しているが縦の熱収縮率が高
く、実用テストではボトル上部の小径部(首部)におけ
る高収縮部で皺、色斑、上下の波打ちが認められ、極め
て外観の悪い状況を呈し商品に供し得ない状態になっ
た。
【0046】
【発明の効果】本発明の製造方法は上記の様に構成され
ているので、特定方向に対する安定した熱収縮性を有す
るフィルムを製造することができた。従って得られるフ
ィルムは被覆包装や結束包装においては美麗で且つ強固
な包装状態を与えることができ、また印刷ピッチの安定
性、耐熱性の向上等の諸効果を有し、広範な分野におい
て優れた利用価値を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】交点収縮率を説明するためのグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 C08L 67:00 (72)発明者 久世 勝朗 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社 総合研究所敦賀分室内 (56)参考文献 特開 昭64−4326(JP,A) 特開 昭64−4325(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸およびエチレングリコール
    を主たる成分とし、ネオペンチルグリコールを共重合成
    とする共重合ポリエステル含有組成物からなるポリエ
    ステル系フィルムにおいて、100℃の熱風中での熱収
    縮率がフィルム長手方向および幅方向の少なくともいず
    れか一方向において30%以上であり、且つ交点収縮率
    が5%以上になる様に、共重合ポリエステル含有組成物
    のTg以上、Tg+80℃以下の温度で予熱を行った
    後、全延伸工程域の9/10以下を前記予熱温度より低
    いTg+75℃以下で、残る1/10以上は前記延伸温
    度より低いTg+60℃以下で、4倍を超えて延伸する
    ことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製
    造方法。
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