JP6849141B1 - 熱収縮性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】包装資材を出発原料として用いた場合や、いかなる色の印刷が施された包装資材を出発原料として用いた場合においても、高い透明性や優れた外観を有する熱収縮性フィルムを提供する【解決手段】包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記包装資材(P)が印刷層を有し、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上である熱収縮性フィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができる熱収縮性フィルム、包装資材、成形品または容器に関する。
プラスチックフィルムは、食品、飲料、医薬・医療品、化学品、化粧品、トイレタリー、工業用品に至るまで、様々な用途に使用されている。一方で、近年、プラスチックの廃棄や海洋汚染が世界的な社会問題となっている。そのため、従来廃棄されていたプラスチック製品や包装資材を新たな資源として捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる、サーキュラーエコノミーが関心事となっている。
一方、食品包装材料、飲料用包装材料等の包装材料においては、内容物の成分表示、製造年月日、バーコード、さらには、商品の意匠性や購買意欲促進のための印刷が施されることが多い。例えば、お茶、ジュース等の飲料が充填されたペットボトル等の容器には、印刷インキにより印刷が施された熱収縮性フィルムが装着されており、印刷はフィルムの裏面(容器と接する面)に施されていることが多い。そのため、熱収縮性フィルムは、内容物の視認性や裏面に印刷された文字や図柄の視認性のために透明性が求められる。また、熱収縮性フィルムの表面(容器と接しない面)には、光沢等の意匠性の向上や傷つき防止のために、オーバーコートが施されていることが多い。
そのため、この印刷が施された熱収縮性フィルムを、サーキュラーエコノミーの観点で新たな資源として捉え、新たな熱収縮性フィルムを製造するには、印刷インキやオーバーコートが含まれていても、熱収縮性フィルムとして求められる機能や特性を阻害しないことが重要となる。
熱収縮性フィルムを原料として、新たな熱収縮性フィルムを製造する方法として、特許文献1には、熱収縮性フィルムのスクラップを熱収縮開始温度以上流動開始温度以下の温度に加熱して収縮させた後、粉砕したものを含むフィルムの製造方法や、熱収縮性フィルムのスクラップを粉砕した後、熱収縮開始温度以上流動開始温度以下の温度に加熱して収縮させたものを含むフィルムの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、アルカリ可溶性インキで印刷を施した熱収縮性ラベルや該熱収縮性ラベルからの印刷インキの剥離方法が開示されている。
特開平6−47810号公報 特開2002−60518号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、熱収縮性フィルムの製造工程において生じる、延伸後のトリミング工程およびスリッター工程で発生する耳スクラップを製造工程内で回収し原料として再利用する方法であり、市場に導入されたフィルムを資源として回収するサーキュラーエコノミーの観点とは異なる。また、特許文献1には、使用されるスクラップとして、使用済みのフィルムの回収品であってもよいとの記載が見られるが、印刷が施されたフィルムを用いることにより生じる技術課題は想定されておらず、課題を解決するための技術的思想は全く言及されていない。
また、特許文献2に開示されている熱収縮ラベルは、コロナ処理等により、印刷インキを剥離しやすくするための熱収縮ラベルの処理や、印刷インキの剥離方法が開示されているが、該熱収縮ラベルを原料として、新たに熱収縮性フィルムを製造した時に生じる課題解決方法や、熱収縮性フィルムに求められる特性等が言及されていない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、包装資材を出発原料として用いた場合や、いかなる色の印刷が施された包装資材を出発原料として用いた場合においても、高い透明性や優れた外観を有する熱収縮性フィルムを提供することにある。また、該熱収縮性フィルムを用いてなる包装資材、包装資材が装着された成形品または容器を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、包装資材を出発原料として含む熱収縮性フィルムの光線透過率を85%以上、または熱収縮性フィルムの主収縮方向の引張弾性率を4000MPa以下とすることで、上記従来技術の課題を解決し得る熱収縮性フィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記包装資材(P)が印刷層を有し、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における前記熱収縮性フィルムの光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上である熱収縮性フィルムを第1の要旨とする。
また、本発明は、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有し、前記層(I)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含み、上記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基としてネオペンチルグリコール残基を含む熱収縮性フィルムであって、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上である熱収縮性フィルムを第2の要旨とする。
さらに、本発明は、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有し、前記層(I)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含み、上記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基としてネオペンチルグリコール残基を含む熱収縮性フィルムであって、主収縮方向の引張弾性率が4000MPa以下である、熱収縮性フィルムを第3の要旨とする。
本発明によれば、包装資材(P)を出発原料として含む熱収縮性フィルムを高い透明性や優れた外観をもって得ることができるため、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができるとともに、従来廃棄されていた製品や包装資材を新たな資源として捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させるサーキュラーエコノミーの社会実現の一助として好適に利用できる。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明の熱収縮性フィルム、包装資材、成形品、容器について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、構成する成分の合計を100質量%したとき、もっとも多い質量%を占める成分であることを示し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」および「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
なお、本明細書において、「フィルム」とは、厚いシートから薄いフィルムまでを包括した意を有する。
本明細書において、「少なくとも1方向」とは、熱収縮性フィルムの製造工程において、押出機からの流れ方向を縦方向(MD)、その直交方向を横方向(TD)としたとき、縦方向と横方向のいずれかまたは両方向を意味し、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち、熱収縮率が大きい方向を意味する。
また、本明細書における数値範囲の上限値および下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
〔包装資材(P)〕
本発明の第1の態様に係る熱収縮性フィルムは、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を有し、前記包装資材(P)が印刷層を有するものである。
また、本発明の第2、第3の態様に係る熱収縮性フィルムは、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を有するものである。
前記第2、第3の態様で用いる包装資材(P)は、印刷層の有無を問わない、すなわち、包装資材(P)は、印刷層を有していてもよく、また、印刷層を有さなくてもよい。
前記包装資材(P)の形態、形状は、特に限定されるものではないが、例えば、フィルム状物、フィルム状物の端部を溶剤やヒートシール等により接着させたチューブ状物、熱収縮にて成形品または容器に装着された収縮後のチューブ状物、成形品または容器に装着された後にミシン目等により解包されたフィルム状物、またはこれらの破砕物、裁断物等が挙げられる。なかでも、サーキュラーエコノミーの観点から成形品または容器に装着されたものを用いることが好ましい。
また、前記包装資材(P)の履歴も、特に限定されるものではないが、例えば、市場に流通した製品、未使用品、中間処理品、残品、不良品、試作品、廃棄品等の包装資材であれば、いかなる履歴を有するものであってもよい。また、前記包装資材(P)は、施された印刷の印刷インキ、色、図柄や、構成する樹脂組成物が異なる包装資材(P)の混合物であってもよく、それぞれが同種である包装資材(P)であってもよい。
ここで、出発原料となる包装資材(P)は、熱収縮性フィルムであることがサーキュラーエコノミーの観点から好ましい。
前記包装資材(P)を構成する樹脂組成物は、特に限定されるものではない。前記包装資材(P)を、構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。なかでも、後述するポリエステル系樹脂(A)が好ましく、ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物から構成されていることがより好ましい。
本発明の第1〜3の態様においては、前記包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を用いる。前記包装資材(P)から、フラフ(Pf)およびリペレット(Pr)を得るにあたっては、印刷インキの剥離処理(a)、裁断処理(b)、粉砕処理(c)および乾燥処理(d)の少なくとも1種の処理を行うことが好ましい。
[印刷インキの剥離処理(a)]
前記包装資材(P)が印刷層を有する場合は、印刷インキの剥離処理(a)を行うことが好ましい。前記印刷インキの剥離処理(a)としては、公知の方法を用いることができる。剥離処理の方法としては、例えば、特開2002−60518号公報に開示されている、アルカリ水溶液に浸漬させた後、印刷インキを剥離する方法等が好適に利用できる。
また、この印刷インキの剥離処理(a)において、包装資材(P)は、容器等に装着されていない包装資材(P)のみの状態で処理されてもよく、容器に包装資材(P)が装着された状態のまま処理されてもよい。また、事前に、後述する裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行い、包装資材(P)を小さくした後、印刷インキの剥離処理(a)を行ってもよく、印刷インキの剥離処理(a)後に、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行ってもよい。また、印刷インキの剥離処理(a)において、印刷インキは完全に除去されることが好ましいが、印刷インキが残っていてもよい。
[裁断処理(b)、粉砕処理(c)]
前記裁断処理(b)や粉砕処理(c)の方法としては、特に限定されるものではない。前記裁断処理(b)の方法としては、例えば、スリッターやシュレッター等の裁断機にて裁断する方法が挙げられる。また、前記粉砕処理(c)の方法としては、例えば、粉砕機にて粉砕する方法、1次粉砕機にて粗粉砕した後、2次粉砕機にてさらに細かく粉砕する等の複数の粉砕機にて段階的に粉砕する方法等が挙げられる。これら裁断処理(b)、粉砕処理(c)は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、前記包装資材(P)からフラフ(Pf)を得る場合は、前記包装資材(P)を粉砕機にて粉砕処理(c)をすることが好ましい。また、前記粉砕機は機械的せん断方式であることが好ましい。さらに、前記粉砕機に供給できるサイズにするために、包装資材(P)を、裁断処理(b)した後、粉砕処理(c)をしてもよい。
前記粉砕機中の雰囲気温度は、特に限定されず、常温(23℃)でもよく、加熱されていてもよい。また、粉砕機中で加熱する場合は、包装資材(P)が溶融する温度以下であることが好ましく、具体的には、30℃以上150℃以下であることが好ましく、40℃以上140℃以下であることがより好ましく、50℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。粉砕機中の雰囲気温度を前記温度以上とすることにより、包装資材(P)に残存する水分や印刷溶剤を除去しやすく、また、後述する乾燥処理(d)を兼ねることもできるため好ましい。また、前記温度以下とすることにより、前記フラフ(Pf)が融着することを抑制することができるため好ましい。
[乾燥処理(d)]
前記包装資材(P)は水分や印刷溶剤が残留していることが多いため、乾燥処理(d)を行うことが好ましい。乾燥処理(d)を行うことにより、特に包装資材(P)からリペレット(Pr)や、新たに熱収縮性フィルムを得る際に用いる、押出機での溶融混錬工程にて、前記包装資材(P)の熱分解や熱劣化を抑制できる。また、包装資材(P)に印刷層に含まれる印刷溶剤が多く残留している場合、押出機に供給した直後に、印刷溶剤が揮発し、発煙や発火、爆発が生じる可能性があるため、乾燥処理(d)を行うことが好ましい。
前記乾燥処理(d)の乾燥方法は特に限定されないが、熱風式乾燥機や真空乾燥機を用いることが好ましい。
乾燥処理(d)における乾燥温度や乾燥時間としては、残留する印刷溶剤の種類(沸点)や残留量によって適宜調整することが好ましい。
前記乾燥温度としては、包装資材(P)が溶融する温度以下であることが好ましく、具体的には、30℃以上150℃以下であることが好ましく、40℃以上140℃以下であることがより好ましく、50℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。乾燥温度を前記温度以上とすることにより、包装資材(P)に残存する水分や印刷溶剤を除去しやすくなる傾向がある。また、前記温度以下とすることにより、前記乾燥処理(d)において包装資材(P)同士が融着することを抑制することができる傾向がある。
乾燥処理(d)後において包装資材(P)に残留する各種印刷溶剤は、60ppm以下であることが好ましい。また、残留する水分は、400ppm以下であることが好ましい。
本発明においては、包装資材(P)を出発原料として、フラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を得るにあたり、前記印刷インキの剥離処理(a)、裁断処理(b)、粉砕処理(c)、乾燥処理(d)の少なくとも1種の処理を行うことが好ましいが、これらの処理の回数や順序は限定されるものではない。例えば、粉砕処理(c)を続けて複数回行った後、乾燥処理(d)を行うことや、粉砕処理(c)を行った後、乾燥処理(d)を行い、再度、粉砕処理(c)を行うこと等も許容できる。
前記フラフ(Pf)を得るにあたり好適に用いられる方法としては、包装資材(P)の形態、形状、履歴、印刷層の有無等によっても異なるが、例えば、包装資材(P)に粉砕処理(c)を行い、フラフ(Pf)を得る方法、包装資材(P)を、粉砕処理(c)後、乾燥処理(d)を行って、フラフ(Pf)を得る方法、包装資材(P)に印刷インキの剥離処理(a)を行った後、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行い、その後、乾燥処理(d)をして、フラフ(Pf)を得る方法、包装資材(P)を、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行った後、印刷インキの剥離処理(a)を行い、その後、乾燥処理(d)をして、フラフ(Pf)を得る方法等が挙げられる。
このようにして得られる前記フラフ(Pf)の平均粒径は、0.1mm以上25mm以下であることが好ましく、0.5mm以上20mm以下であることがより好ましく、1mm以上15mm以下であることがさらに好ましい。前記フラフ(Pf)の平均粒径が前記数値を超えると、かさ密度が小さくなり押出機への定量供給性が低下する傾向がある。また、保管や輸送においても大きな体積空間が必要となり費用の面でも好ましくない傾向がある。一方、平均粒径が前記数値未満では、押出機への供給経路においてブリッチング等の供給不具合が生じやすくなる傾向がある。また、粉砕の回数や時間が掛かるため費用の面でも好ましくない傾向がある。
また、前記リペレット(Pr)を得るにあたり好適に用いられる方法としては、包装資材(P)の形態、形状、履歴、印刷層の有無等によっても異なるが、例えば、包装資材(P)を、乾燥処理(d)した後、押出機に供給してリペレット(Pr)を得る方法、包装資材(P)に、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行ったものを、押出機に供給してリペレット(Pr)を得る方法、包装資材(P)に、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行ったものを、乾燥処理(d)した後、押出機に供給してリペレット(Pr)を得る方法、包装資材(P)に、印刷インキの剥離処理(a)した後、裁断処理(b)や粉砕処理(c)を行ったものを、乾燥処理(d)した後、押出機に供給してリペレット(Pr)を得る方法等が挙げられる。
また、包装資材(P)を押出機に供給してリペレット(Pr)を得る方法としては、包装資材(P)を溶融混錬し、吐出した溶融樹脂をペレット状にカットする方法等が好ましい。
前記押出機の種類は特に限定されないが、二軸押出機であることが好ましい。また、押出機はベント(脱気)機構があることが好ましい。さらに、リペレット(Pr)を得るにあたり、前記包装資材(P)とともに、バージン樹脂原料を混合して押出機に供給することもできる。
前記リペレット(Pr)を得るにあたり、押出機の設定温度は150℃以上300℃以下であることが好ましく、170℃以上280℃以下であることがより好ましく、190℃以上260℃以下であることがさらに好ましい。押出機の設定温度が前記温度未満の場合、包装資材(P)を出発原料としたものが溶融流動しにくいため好ましくない。また、押出機の設定温度が前記温度を超える場合、包装資材(P)を出発原料としたものが熱分解する恐れがあるため好ましくない。特に、前記包装資材(P)が、後述するポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物から構成されている場合、押出機の設定温度が前記温度を超えると、得られるリペレット(Pr)の還元粘度や重量平均分子量を著しく低下させるため好ましくない。
また、ペレット状にカットする方法は特に限定されないが、例えば、吐出された溶融樹脂を吐出口にてペレット状にカットした後、冷却してリペレット(Pr)を得る方法、吐出された樹脂をストランド状にして水槽等で冷却しながら搬送し、冷却したストランドをペレット状にカットしてリペレット(Pr)を得る方法等が好ましく用いられる。
このようにして包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、リペレット(Pr)が得られる。
前記包装資材(P)が、後述のポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物から構成されている場合、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方の還元粘度は、0.4dL/g以上1.5dL/g以下であることが好ましく、0.5dL/g以上1.2dL/g以下であることがより好ましく、0.6dL/g以上1.0dL/g以下であることがさらに好ましい。還元粘度が前記数値以上であれば、フィルム強度特性や耐熱性が低下することを抑えられる傾向がある。一方、還元粘度が前記数値以下であれば、押出時における溶融樹脂の流動性を確保することができる傾向がある。なお、前記還元粘度は、自動粘度測定装置により測定することができる。
また、前記包装資材(P)が、後述するポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物から構成されている場合、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方の重量平均分子量は、40,000以上100,000以下であることが好ましく、50,000以上90,000以下であることがより好ましく、60,000以上80,000以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量が前記数値以上であれば、フィルム強度特性や耐熱性が低下することを抑えられる傾向がある。一方、重量平均分子量が前記数値以下であれば、押出時における溶融樹脂の流動性を確保することができる傾向がある。なお、前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い測定することができる。
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、このようにして得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムである。
一方で、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、リペレット(Pr)を用いる場合は、包装資材(P)の表面(容器と接しない面)に塗布されているオーバーコートを考慮しなければならない。このオーバーコートは通常、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が塗布されていることが多いが、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は、アルカリ水に対し耐性を有するため、上述した印刷インキの剥離処理(a)において除去されない場合がある。また、前記(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は、包装資材(P)の主成分である樹脂と非相溶であることから、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量によっては、得られる熱収縮性フィルムの透明性が低くなる傾向がある。そのため、前記樹脂組成物(Z1)においては、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量を考慮しなければならない。
したがって、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量は、樹脂組成物(Z1)中、0.7質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。なお、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量は、少なければ少ない方が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量が前記数値以下であることにより熱収縮性フィルムの透明性を維持することができる傾向がある。また、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が前記数値を超える場合は、得られる熱収縮性フィルムの透明性を低下させる傾向がある。
これは、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の平均屈折率が1.490〜1.500程度であること、および、樹脂組成物(Z1)の主成分である樹脂と(メタ)アクリル酸エステル系樹脂との溶融混錬において両者が非相溶であるため、両者の界面で散乱が生じるためである。
また、前記包装資材(P)に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量は、包装資材(P)の意匠性(デザイン)によって、種類や塗布量が異なるため不定となることが多い。そのため、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量を測定し、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が上述の範囲に入るように、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方の添加量を調整することが必要となる。
そのため、前記樹脂組成物(Z1)における、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方の含有量は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、15質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方の含有量が、前記数値以上であることにより、サーキュラーエコノミーのリサイクル性が向上する傾向がある。また、前記数値以下であることにより、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量を上述の範囲に調整しやすい傾向がある。
本発明の第1の態様において、前記樹脂組成物(Z1)を、主成分として構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、第1の態様においては前記樹脂組成物(Z1)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物であることが好ましい。
また、本発明の第2、第3の態様においては、前記樹脂組成物(Z1)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含むものである。
[ポリエステル系樹脂(A)]
本発明の第1〜3の態様で用いるポリエステル系樹脂(A)は、主鎖にエステル結合を有する樹脂であれば、特にその種類を限定するものではない。前記ポリエステル系樹脂(A)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等のジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のカルボン酸残基とアルコール残基とを1分子中に持つモノマーを重合したポリエステル樹脂、およびこれらの共重合体等を挙げることができる。これらのポリエステル系樹脂(A)は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のポリエステル系樹脂(A)を使用していてもよい。
また、ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上で構成される場合、その合計がポリエステル系樹脂(A)の質量となり、前記樹脂組成物(Z1)中におけるポリエステル系樹脂(A)の質量比率が算出される。
本発明の第1〜3の態様で用いる前記ポリエステル系樹脂(A)としては、ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
また、本発明の第1〜3の態様で用いるポリエステル系樹脂(A)としては、共重合ポリエステル系樹脂であることが好ましい。すなわち、上記ポリエステル系樹脂(A)の重合成分であるジカルボン酸残基、およびジオール残基の少なくとも一方が、2種以上の残基からなる混合物であることが好ましい。
なお、前記ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上のジカルボン酸残基で構成される場合、全ジカルボン酸残基100モル%に対して、最も多いモル%を占めるジカルボン酸残基を第1ジカルボン酸残基とし、以下、モル%の多い順に第2ジカルボン酸残基、第3ジカルボン酸残基、・・・とする。(以下、これらを纏めて、第2以下ジカルボン酸残基と称す。)
また、前記ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上のジオール残基で構成される場合も同様に、全ジオール残基100モル%に対して、最も多いモル%を占めるジオール残基を第1ジオール残基とし、以下、モル%の多い順に第2ジオール残基、第3ジオール残基、・・・とする。(以下、これらを纏めて、第2以下ジオール残基と称す。)
前記ポリエステル系樹脂(A)において、ジカルボン酸残基とジオール残基の少なくとも一方が2種以上の残基からなることにより、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を低くできるため、熱収縮性フィルムの結晶化の進行を抑制し、充分な熱収縮特性を付与できる傾向がある。
前記ジカルボン酸残基としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フランジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸残基、ダイマー酸、水添ダイマー酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸残基、またはそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、または2種以上を含有していてもよい。
本発明の第1〜3の態様で用いるポリエステル系樹脂(A)は、第1ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含むことが好ましい。また、第2以下ジカルボン酸残基としてイソフタル酸、フランジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の残基を含むことが好ましく、第2以下ジカルボン酸残基としてイソフタル酸残基を含むことがより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上のジカルボン酸残基で構成される場合、前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有量は、全ジカルボン酸残基100モル%に対して、1モル%以上40モル%以下であることが好ましく、5モル%以上35モル%以下であることがより好ましい。前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有率が前記数値以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(A)の結晶化度を低く抑えることができ、熱収縮性フィルムの収縮性を向上させることができる傾向がある。また、前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有率が前記数値以下であれば、ポリエステル系樹脂(A)の耐熱性を阻害しにくい傾向がある。
前記ジオール残基としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、イソソルビド等が挙げられる。これらのジオール残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上のジオール残基で構成される場合、前記第2以下ジオール残基の合計含有率は、全ジオール残基100モル%に対して、1モル%以上45モル%以下であることが好ましく、10モル%以上40モル%以下であることがより好ましい。前記第2以下ジオール残基の合計含有率が前記数値以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(A)の結晶化度を低く抑えることができ、熱収縮性フィルムの収縮性や耐破断性を向上させることができる傾向がある。また、前記第2以下ジオール残基の合計含有率が前記数値以下であれば、ポリエステル系樹脂(A)の耐熱性や耐薬品性を阻害しにくい傾向がある。
本発明の第1の態様で用いる、前記ポリエステル系樹脂(A)は、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基、または、1,4−ブタンジオール残基を含むことが好ましく、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むことがより好ましい。
前記第2以下ジオール残基としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、イソソルビドからなる群から選ばれる少なくとも1種の残基を含むことが好ましく、第2以下ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、ネオペンチルグリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、ジエチレングリコール残基から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、およびネオペンチルグリコール残基の少なくとも一方を必須成分として含むことがさらに好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、およびネオペンチルグリコール残基を必須成分として含むことが特に好ましい。
本発明の第2の態様で用いる、前記ポリエステル系樹脂(A)は、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基、または、1,4−ブタンジオール残基を含むことが好ましく、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むことがより好ましい。
前記第2以下ジオール残基としては、手切れ性の観点からネオペンチルグリコール残基を含むものである。また、手切れ性の観点からは、第2以下ジオール残基として、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とネオペンチルグリコール残基を含むことがより好ましい。
本発明の第3の態様で用いる、前記ポリエステル系樹脂(A)は、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基、または、1,4−ブタンジオール残基を含むことが好ましく、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むことがより好ましい。
前記第2以下ジオール残基としては、手切れ性の観点からネオペンチルグリコール残基を含むものである。また、手切れ性の観点からは、第2以下ジオール残基として、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とネオペンチルグリコール残基を含むことがより好ましい。
本発明においては、上述したように、前記ポリエステル系樹脂(A)を、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のポリエステル系樹脂(A)を使用していてもよい。ポリエステル系樹脂(A)が2種類以上で構成される場合、その合計がポリエステル系樹脂(A)の質量となり、前記樹脂組成物(Z1)中におけるポリエステル系樹脂(A)の質量比率が算出される。また、前記フラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方にポリエステル系樹脂(A)が含まれる場合、ポリエステル系樹脂(A)の質量には、これらの量も含まれる。
また、前記ポリエステル系樹脂(A)の合計を100質量%としたとき、第1ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含み、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むポリエステル系樹脂(以下、「PET系樹脂」と称す。)が50質量%以上含まれることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましく、70質量%以上含まれることがさらに好ましい。なお、PET系樹脂の含有量の上限は、通常100質量%である。
前記ポリエステル系樹脂(A)中に、前記PET系樹脂が前記数値以上含まれることにより、熱収縮性フィルムとして好適な収縮特性を付与することができる傾向がある。
前記PET系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のPET系樹脂を使用していてもよい。PET系樹脂が2種類以上で構成される場合、その合計がPET系樹脂の質量となり、前記ポリエステル系樹脂(A)中におけるPET系樹脂の質量比率が算出される。
前記PET系樹脂の市販例としては、例えば、「PETGcopolyester」(イーストマンケミカル社製)、「Embrace」(イーストマンケミカル社製)、「PETGSKYGREEN」(SKケミカル社製)等が挙げられる。
また、前記ポリエステル系樹脂(A)の合計を100質量%としたとき、第1ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含み、第1ジオール残基として1,4−ブタンジオール残基を含むポリエステル系樹脂(以下、「PBT系樹脂」と称す。)が50質量%以下含まれることが好ましく、40質量%以下含まれることがより好ましく、30質量%以下含まれることがさらに好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)中に、前記PBT系樹脂が前記数値以下含まれることにより、熱収縮性フィルムの耐熱性の向上や熱収縮挙動を調整することができる傾向がある。すなわち、前記PET系樹脂のガラス転移温度(Tg)と前記PBT系樹脂のTgは大きく相違するため、相溶する両者を溶融混錬することにより、樹脂組成物(Z1)のTgをシフトさせることができるため、熱収縮が開始する温度を調整したり、熱収縮開始からの急激な収縮を抑制したりすることができる傾向がある。
一方、前記ポリエステル系樹脂(A)中に、前記PBT系樹脂が前記数値を超えて含まれると、Tgが比較的室温に近い温度まで低下するため、包装材料として使用する前の保管において寸法変化が生じる傾向がある。また、結晶化が促進され熱収縮性フィルムに必要な熱収縮率が得られにくい傾向がある。
また、前記PBT系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のPBT系樹脂を使用していてもよい。PBT系樹脂が2種類以上で構成される場合、その合計がPBT系樹脂の質量となり、前記ポリエステル系樹脂(A)中におけるPBT系樹脂の質量比率が算出される。
前記PBT系樹脂の市販例としては、例えば、「ノバデュラン」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、「トレコン」(東レ社製)等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂(A)として好ましく使用できる樹脂(PET系樹脂、PBT系樹脂等)、および、それらの好ましい含有量を示したが、ポリエステル系樹脂(A)は、成形加工時の溶融状態においてエステル交換反応が生じるため、2種以上のポリエステル系樹脂(A)を使用した場合、それぞれの樹脂の含有比率の同定や、混合物か共重合体かの判別が困難となる場合がある。そのため、前記樹脂組成物(Z1)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物である場合、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる残基の種類、および、残基の含有量により、熱収縮性フィルムとしての特性を精査することができる。
すなわち、本発明において、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジカルボン酸残基100モル%に対して、テレフタル酸残基が75モル%以上含まれることが好ましく、80モル%以上含まれることがより好ましく、85モル%以上含まれることがさらに好ましい。なお、上限は通常100モル%である。テレフタル酸残基が前記数値以上含まれることにより、熱収縮性フィルムに必要な耐熱性と剛性を維持することができる傾向がある。
本発明において、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、エチレングリコール残基が50モル%以上90モル%以下含まれることが好ましく、55モル%以上85モル%以下含まれることがより好ましく、60モル%以上80モル%以下含まれることがさらに好ましい。含まれるエチレングリコール残基が前記数値範囲内であることにより、熱収縮性フィルムに必要な耐熱性と耐薬品性を維持することができる傾向がある。
また、本発明において、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、ネオペンチルグリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、ジエチレングリコール残基から選ばれる少なくとも1種が10モル%以上50モル%以下含まれることが好ましく、15モル%以上45モル%以下含まれることがより好ましく、20モル%以上40モル%以下含まれることがさらに好ましい。含まれる1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、ネオペンチルグリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、ジエチレングリコール残基から選ばれる少なくとも1種が前記数値範囲内であることにより、熱収縮性フィルムに必要な耐熱性と耐薬品性を維持することができる傾向がある。
前記樹脂組成物(Z1)に1,4−シクロヘキサンジメタノール残基が含まれる場合、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基が1モル%以上40モル%以下含まれることが好ましく、5モル%以上35モル%以下含まれることがより好ましい。
前記樹脂組成物(Z1)にネオペンチルグリコール残基が含まれる場合、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、ネオペンチルグリコール残基が1モル%以上40モル%以下含まれることが好ましく、2モル%以上20モル%以下含まれることがより好ましい。
前記樹脂組成物(Z1)に1,4−ブタンジオール残基が含まれる場合、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、1,4−ブタンジオール残基が3モル%以上25モル%以下含まれることが好ましく、6モル%以上20モル%以下含まれることがより好ましい。
前記樹脂組成物(Z1)にジエチレングリコール残基が含まれる場合、前記樹脂組成物(Z1)に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、ジエチレングリコール残基が0.5モル%以上7モル%以下含まれることが好ましく、1モル%以上6モル%以下含まれることがより好ましい。
(その他の成分)
前記樹脂組成物(Z1)には、前記ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、以外の他の樹脂を含有してもよい。
他の樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
また、樹脂組成物(Z1)には、熱可塑性エラストマーが含有されていてもよく、含有し得る熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーや、アクリル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー、および、これらのブレンドやアロイ、変性物、動的架橋物、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、コアシェル型多層構造ゴム等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。ただし、エステル系熱可塑性エラストマーは主鎖にエステル結合を有するため、前記ポリエステル系樹脂(A)に含まれる。
また、前記樹脂組成物(Z1)には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳等のトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂(印刷が施されていない熱収縮性フィルムのフラフやリペレット)や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤等の添加剤が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
〔熱収縮性フィルムの製造方法〕
本発明の熱収縮性フィルムは、前記樹脂組成物(Z1)を用いて従来公知の製造方法により製造することができる。また、本発明の熱収縮性フィルムの形態は特に限定されず、平面状、チューブ状のいずれであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や印刷の容易さの観点から、平面状の形態であることが好ましい。
前記平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、押出機を用いて前記樹脂組成物(Z1)を溶融し、Tダイ等の口金から平面状に溶融樹脂を押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸フィルムを得た後、得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸をし、その後、アニール、冷却、必要に応じてコロナ放電処理等を経る工程により、平面状の熱収縮性フィルムを製造する方法が挙げられる。
また、押出機を用いて樹脂組成物(Z1)を溶融し、丸ダイ等の口金からチューブ状に溶融樹脂を押出し、空冷装置や水冷装置で冷却固化して未延伸フィルムを得た後、チューブラー法により加熱されたトンネル炉内でチューブに内圧を掛け、風船状に膨らませることにより少なくとも1方向に延伸を行い、その後、アニール、冷却したチューブ状延伸フィルムを切り開くことにより平面状のフィルムを製造することもできる。
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有すればよいため、例えば、複数の押出機を用いて、共押出を行うことにより前記層(I)と、その他の層を有する積層フィルムも同様に製造できる。
延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、長間隔延伸法等により、少なくとも1方向に延伸する方法が挙げられる。また、延伸は、これらの延伸方法の組み合わせで行うこともでき、縦方向のみ延伸してもよく、横方向のみ延伸してもよく、縦方向に延伸した後、横方向に延伸してもよく、横方向に延伸した後、縦方向に延伸してもよい。また、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸した後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。また、チューブラー成形により内圧によってチューブ状の未延伸フィルムを放射状に延伸してもよい。
延伸温度は、熱収縮性フィルムを構成する樹脂の軟化温度や熱収縮性フィルムに要求される収縮特性等によって変える必要があるが、60℃以上130℃以下であることが好ましく、70℃以上120℃以下であることがより好ましく、80℃以上110℃以下であることがさらに好ましい。
また、延伸倍率は、熱収縮性フィルムの構成成分、延伸方法、延伸温度、求められる熱収縮率等によって変える必要があるが、主収縮方向の延伸倍率が2倍以上8倍以下であることが好ましく、3倍以上7倍以下であることがより好ましく、4倍以上6倍以下であることがさらに好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムを容器やトレーのオーバーラップ等の用途に用いる場合、縦方向、および、横方向に延伸されることが好ましい。このとき、主収縮方向は、縦方向でもよく、横方向でもよい。また、食品用容器や飲料用容器等に装着されるラベル等のように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途に用いる場合、主収縮方向の1軸に延伸されることが好ましいが、主収縮方向と直交する方向に、1.03倍以上1.5倍以下の延伸倍率で延伸をすることも、良好な収縮特性を付与する点で効果的となる。
また、本発明の熱収縮性フィルムにおいては、主収縮方向が横方向(TD)、主収縮方向と直交する方向が縦方向(MD)であることが好ましい。
延伸後は、必要に応じて、熱収縮性フィルムの熱収縮率や諸物性の調整を目的として、50℃以上120℃以下の温度で熱処理や弛緩処理を行うことができる。また、延伸や、熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却することにより、熱収縮性フィルムに収縮特性を付与することができる。さらに、冷却した熱収縮性フィルムは、耳等をトリミングし、巻取り機等を用いて熱収縮性フィルムをコアに巻き付け、フィルムロール状物にすることができる。
[熱収縮性フィルムの層構成]
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有すればよい。したがって、本発明の熱収縮性フィルムは、前記層(I)単層フィルムであってもよく、前記層(I)とその他の層が積層されたフィルムであってもよい。また、層構成は特に限定されるものではない。
なかでも、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、前記包装資材(P)からなる原料を含まない樹脂組成物(Z2)からなる層(II)と、前記層(I)の少なくとも2層からなることが好ましい。
前記樹脂組成物(Z2)を、主成分として構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。なかでも、本発明では、前記樹脂組成物(Z2)が、前記ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物(Z2)に含まれるポリエステル系樹脂(A)は、手切れ性の点から、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、およびネオペンチルグリコール残基の少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムが、前記層(I)と前記樹脂組成物(Z2)からなる層(II)の少なくとも2層からなる熱収縮性フィルムである場合、好適な積層構成としては、例えば、「層(I)/層(II)」からなる2層構成、「層(I)/層(II)/層(I)」や、「層(II)/層(I)/層(II)」からなる2種3層構成、他の層(III)をさらに積層させた「層(I)/層(II)/層(III)」、「層(II)/層(I)/層(III)」、「層(I)/層(III)/層(II)」からなる3種3層構成、「層(I)/層(III)/層(II)/層(III)」、「層(III)/層(I)/層(III)/層(II)」、「層(III)/層(I)/層(II)/層(III)」からなる3種4層構成、「層(I)/層(III)/層(II)/層(III)/層(I)」、「層(II)/層(III)/層(I)/層(III)/層(II)」、「層(III)/層(II)/層(I)/層(II)/層(III)」、「層(III)/層(I)/層(II)/層(I)/層(III)」からなる3種5層構成等の構成を採用することができ、層の数や上述した他の層(III)としては、特に種類の制限はない。さらに前記層(III)としてその他の層、例えば、不織布、紙、金属からなる層等を積層してもよい。
また、各層は、共押出によって積層としてもよいし、別工程で得たフィルムをプレスやラミネート等により積層してもよい。
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムが、前記層(I)と樹脂組成物(Z2)からなる層(II)の少なくとも2層からなる熱収縮性フィルムである場合、「層(II)/層(I)/層(II)」からなる2種3層構成であることが好ましい。層(II)には、前記包装資材(P)からなる原料を含まないため、「層(II)/層(I)/層(II)」からなる2種3層構成を採用することにより、光沢や滑り性、印刷特性等の表面特性を、従来の熱収縮性フィルムと同等に維持することができる。
本発明の熱収縮性フィルムが、前記層(I)単層フィルムである場合においても、前記層(I)と層(II)の少なくとも2層からなる積層フィルムである場合においても、表面層を形成する層には、フィルムの滑り性の付与やブロッキング防止のために、アンチブロッキング剤を添加することが好ましい。
前記アンチブロッキング剤としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子、無機酸化物、炭酸塩、または、架橋アクリル系、架橋ポリエステル系、架橋ポリスチレン系、シリコーン系等の有機粒子等が挙げられる。また、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、シリカや有機粒子が好ましい。
前記アンチブロッキング剤はフィルム表面を荒らすことにより、滑り性や耐ブロッキング性を発現させるため、適切な添加量、および、種類を選択しなければ、透明性や、フィルムの光沢を阻害してしまう。そのため、アンチブロッキング剤の添加量は、表面層を形成する層を構成する樹脂組成物全体の質量を基準(100質量%)として、0.01質量%以上2質量%以下とすることが好ましく、0.015質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。前記アンチブロッキング剤の添加量が少なすぎる場合、フィルム表面へアンチブロッキング剤が析出しづらく、フィルム表面に凹凸を形成しづらいため、充分な滑り性や耐ブロッキング性を発現しづらい傾向がある。また、逆に多すぎる場合、フィルム表面の過剰な凹凸が生じやすく、表面荒れによる透明性の阻害や、過剰な滑り性の付与によるフィルムロールの巻きづれ等が生じやすい傾向がある。
前記アンチブロッキング剤の形状は、特に限定されるものではないが、凝集抑制、均一分散の観点、透過する光の乱反射抑制、およびフィルム表面に形成される凹凸の観点から球状のものが好ましく用いられる。前記アンチブロッキング剤の粒径は、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、1μm以上6μm以下がさらに好ましい。前記アンチブロッキング剤の粒径が小さすぎる場合、表面へ析出しづらく、また、表面に析出したアンチブロッキング剤においても、滑り性や耐ブロッキング性を発現するに充分な凹凸を付与しづらい傾向がある。一方、前記アンチブロッキング剤の粒径が大きすぎる場合、本発明の熱収縮性フィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合において、インキ抜け等が生じやすく、印刷図柄の外観を損ねる傾向がある。前記アンチブロッキング剤の粒径分布は、特に制限されるものではないが、前記粒径の大小による弊害の関係より、粒径分布が狭いものの方が好ましい。粒径分布が広くなりすぎると、前述した好ましく用いられる粒径の範囲より逸脱するものが含まれる可能性がある。
本発明の熱収縮性フィルムの総厚さは特に限定されないが、包装資材への適用の観点から、5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上150μm以下であることがより好ましく、15μm以上70μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムが、前記層(I)と樹脂組成物(Z2)からなる層(II)との少なくとも2層からなる熱収縮性フィルムである場合、各層厚さや積層比は特に限定されないが、サーキュラーエコノミーにおけるリサイクル性向上の観点から、全層厚さに対する、層(I)の層厚さの比率が50%以上99%以下であることが好ましく、55%以上95%以下であることがより好ましく、60%以上90%以下であることがさらに好ましい。ここで、層(I)の層厚さとは、前記層(I)が、「層(I)/層(II)/層(I)」構成のように、複数有する場合においては、層(I)の合計厚さを示す。
また、本発明の熱収縮性フィルムが、前記層(I)と、前記層(II)の少なくとも2層からなる場合、前記層(I)と、前記層(II)が隣接する2層である連続層部を有し、かつ、前記層(I)を主成分として構成する樹脂と前記層(II)を主成分として構成する樹脂が同種であることが好ましい。さらには、前記層(I)と、前記層(II)が隣接する2層である連続層部を有し、かつ、前記樹脂組成物(Z1)が、前記ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物であり、かつ、前記樹脂組成物(Z2)が、前記ポリエステル系樹脂(A)を主成分としてなる樹脂組成物であることがより好ましい。
前記層(I)と、前記層(II)が隣接する2層である連続層部を有し、かつ、前記層(I)を主成分として構成する樹脂と前記層(II)を主成分として構成する樹脂が同種であることにより、層(I)と層(II)の界面における層間剥離が生じにくい傾向がある。
一方で、未知の熱収縮性フィルムの分析において、層(I)と層(II)が隣接する2層である連続層部を有し、かつ、層(I)を主成分として構成する樹脂と層(II)を主成分として構成する樹脂が同種である場合、隣接する層(I)と層(II)との界面が明確に区分できない場合がある。ここで、隣接する層(I)と層(II)との界面が明確に区分できないとは、走査型電子顕微鏡(SEM)または、透過型電子顕微鏡(TEM)にて、熱収縮性フィルムの断面観察を行った際に、隣接する層(I)と層(II)においてコントラストが付かず、界面が判断できない状態を示す。
そのため、本発明の技術的範囲に包含されるものかを判断するための、未知の熱収縮性フィルムの分析において、層(I)と層(II)が隣接する2層である連続層部を有し、かつ、層(I)を主成分として構成する樹脂と層(II)を主成分として構成する樹脂が同種であり、かつ、隣接する層(I)と層(II)との界面が明確に区分できない場合、前記層(I)と前記層(II)とを、合わせて1つの層と判断することを許容する。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、必要に応じて、スリット、コロナ処理、印刷、粘着剤の塗布、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工を施すことができる。
(透明性)
本発明の第1、第2の態様に係る熱収縮性フィルムの透明性は、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率により評価することが重要となる。これは、前記第1、第2の態様に係る熱収縮性フィルムは、包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含むため、包装資材(P)に施された印刷インキによる影響を抑える必要があるためである。しかしながら、印刷は、多種多様な色から施される。すなわち、いかなる色の印刷が施された包装資材(P)を出発原料として用いても、得られる熱収縮性フィルムの外観や透明性を阻害しないことが本発明において最も重要となる。
そのため、本発明の第1、第2の態様に係る熱収縮性フィルムは、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上であることが重要となる。
熱収縮性フィルムの分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%を下回る場合、熱収縮性フィルムは紫色の光を吸収し赤味掛かったフィルムとなり、熱収縮性フィルムの外観を阻害する。
また、本発明の第3の態様に係る熱収縮性フィルムは、JIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上であることが好ましい。
熱収縮性フィルムの分光光度測定における光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%を下回る場合、熱収縮性フィルムは紫色の光を吸収し赤味掛かったフィルムとなり、熱収縮性フィルムの外観を阻害する傾向がある。
さらに、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、400nm以上800nm以下のいずれの測定波長においても光線透過率が85%以上であることがより好ましい。400nm以上800nm以下のいずれの測定波長においても光線透過率が85%以上であれば、より熱収縮性フィルムの外観に優れる傾向がある。例えば、光線透過率が700nm〜800nmの範囲で85%を下回ると、熱収縮性フィルムは、赤色の光を吸収し青味掛かったフィルムとなり外観を阻害する傾向がある。
また、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムの透明性は、JIS K7361−1(1997)に準拠して測定された全光線透過率、JIS K7136(2000)に準拠して測定されたヘーズ値によっても評価される。なおヘーズ値は、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義される。
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、全光線透過率が87.5%以上であることが好ましく、88.0%以上であることがより好ましく、88.5%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率が前記数値以上であれば、熱収縮性フィルムの透明性が高く、容物や裏面印刷の視認性が向上する傾向がある。
また、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、ヘーズ値が10%以下であることが好ましく、9%以下であることがより好ましく、8%以下がさらに好ましい。ヘーズ値が前記数値以下であれば、熱収縮性フィルムの散乱が少なく、内容物や裏面印刷の視認性が向上する傾向がある。
また、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、JIS K7373(2006)に準拠して測定されたの黄色度(YI)によって評価されることも好ましい。本発明の熱収縮性フィルムは、黄色度(YI)が、−5以上5以下であることが好ましく、−3以上3以下であることがより好ましい。黄色度(YI)が、前記範囲内であることにより、色味による熱収縮性フィルムの外観阻害が少なくなる傾向がある。
(熱収縮性フィルムの熱収縮率)
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることが好ましい。また、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が40%以上90%以下であることがより好ましく、50%以上80%以下であることがさらに好ましい。
一般に、熱収縮性フィルムは、装着する容器等の被覆対象物を被覆した後、ヒーターや熱風、水蒸気等により加熱された雰囲気内を比較的短時間(数秒〜十数秒程度)で通過させることで、熱収縮性フィルムを収縮させ、被覆対象物へ装着される。そのため、熱収縮性フィルムの熱収縮率は、被覆対象物への密着性や形状追随性を判断するための指標となる。
したがって、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が前記数値以上であることにより、熱収縮性フィルムが収縮加工時間内に充分に被覆対象物に装着することができると判断することができる。
また、90℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率は、20%以上であることが好ましく、25%以上80%以下であることがより好ましく、30%以上75%以下であることがさらに好ましい。
さらに、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率は、15%以上であることが好ましく、20%以上70%以下であることがより好ましく、25%以上60%以下であることが好ましい。
また、70℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率は、5%以上であることが好ましく、6%以上60%以下であることがより好ましく、8%以上55%以下であることが好ましい。
収縮工程においては、熱収縮性フィルムを被覆対象物に対して完全に被覆する前に、低温で少し収縮(プレシュリンク)させ、被覆対象物へフィルムの位置固定が行われることがある。その際、各温度における熱収縮率が上述の好ましい範囲にある場合、より低温から少しずつ被覆対象物にフィルムを収縮させることができる傾向がある。
また、50℃温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率は、主収縮方向、および主収縮方向と直交する方向のいずれにおいても、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0%であることが最も好ましい。
50℃温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率が前記数値より大きくなる場合、フィルムの自然収縮率が大きくなる可能性が高く、ロール状に巻いて保管した際の巻き絞まりや、ロール端面が不揃いとなる外観不良を引き起こす傾向がある。
さらに、食品用容器や飲料用容器等に装着されるラベル等のように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途に用いる場合、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、−5%以上15%以下であることが好ましく、−5%以上10%以下であることがより好ましい。ここで、熱収縮率がマイナスの値を示す場合は、フィルムが、その方向に膨張することを示す。
100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が、前記範囲内であることにより、被覆対象物への装着において、熱収縮性フィルムに印刷された文字や図柄が歪むことを抑制することができる傾向がある。また、主収縮方向と直交する方向に、膨張または収縮させることで、装着時に生じるシワを緩和するアイロン効果をもたらすため好ましい。
また、食品用容器や飲料用容器等に装着されるラベル等のように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途に用いる場合、70℃〜90℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、−5%以上10%以下であることが好ましく、−5%以上7%以下であることがより好ましい。
70℃〜90℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が、前記範囲内であることにより、被覆対象物への装着において、熱収縮性フィルムに印刷された文字や図柄が歪むことを抑制することができる傾向がある。また、プレシュリンクでの位置固定において、固定位置のずれを抑制できる傾向がある。
(引張弾性率)
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)の観点から、主収縮方向と直交する方向(以下「直交方向」ともいう)の、雰囲気温度23℃における引張弾性率が1500MPa以上であることが好ましく、1600MPa以上であることがより好ましく、1700MPa以上であることがさらに好ましい。また、直交方向の引張弾性率の上限は特に制限されないが、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値を考慮すれば、上限値は4000MPa以下であるのが好ましい。直交方向の引張弾性率が前記数値以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)が高く、特にフィルムの厚さを薄くしていった場合にも、熱収縮性フィルムをラベリングマシン等で容器に被覆する際に、熱収縮性フィルムが折れてしまう等の加工不具合が生じにくい傾向がある。
本発明の第1の態様に係る熱収縮性フィルムの主収縮方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率は、通常使用される熱収縮性フィルムとして、5500MPa以下であることが好ましく、4750MPa以下であることがより好ましく、4000MPa以下であることがさらに好ましい。主収縮方向の引張弾性率を前記数値以下とすることで、主収縮方向と直交方向の引張弾性率との差を抑えることができ、手切れ性も確保できる傾向がある。
また、本発明の第2の態様に係る熱収縮性フィルムの主収縮方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率は、4000MPa以下であることが好ましく、3950MPa以下であることがより好ましく、3900MPa以下であることがさらに好ましい。主収縮方向の引張弾性率を前記数値以下とすることで、フィルムの主収縮方向と直交方向の縦方向より生じた切れ目から、主収縮方向に切れ目が伝播することを防ぐことができ、手切れ性が向上する傾向がある。
さらに、本発明の第3の態様に係る熱収縮性フィルムの主収縮方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率は、4000MPa以下である。好ましくは3950MPa以下であり、より好ましくは3900MPa以下である。主収縮方向の引張弾性率を前記数値以下とすることで、フィルムの主収縮方向と直交方向の縦方向より生じた切れ目から、主収縮方向に切れ目が伝播することを防ぐことができ、手切れ性を向上することができる。
また、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、主収縮方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率と、直交方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率との差(主収縮方向の引張弾性率−直交方向の引張弾性率)は、2000MPa以下であることが好ましく、1900MPa以下であることがより好ましく、1850MPa以下であることがさらに好ましい。主収縮方向の引張弾性率と直交方向の引張弾性率との差を上記数値以下とすることで、フィルムの主収縮方向と直交方向の縦方向より生じた切れ目から、主収縮方向に切れ目が伝播することを防ぐことができ、手切れ性が向上する傾向がある。
さらには、本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、直交方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率に対する、主収縮方向の雰囲気温度23℃における引張弾性率との比率(主収縮方向の引張弾性率/直交方向の引張弾性率)は、2.0以下であることが好ましく、1.9以下であることがより好ましく、1.8以下であることがさらに好ましい。直交方向の引張弾性率に対する、主収縮方向の引張弾性率の比率を上記数値以下とすることで、フィルムの主収縮方向と直交方向の縦方向より生じた切れ目から、主収縮方向に切れ目が伝播することを防ぐことができ、手切れ性が向上する傾向がある。
(収縮応力)
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、80℃のシリコンオイルに10秒間浸漬したときの主収縮方向の最大収縮応力が10MPa以下、好ましくは9MPa以下、さらに好ましくは8MPa以下であることが好ましい。一方、主収縮方向の最大収縮応力の下限は、被覆対象物と熱収縮性フィルムとの密着性を維持する観点から0.5MPa以上であることが好ましい。フィルム主収縮方向の最大収縮応力が前記数値以下であれば、熱収縮性フィルムの熱収縮により、被覆対象物を変形させる恐れが少ない傾向がある。
(引張破断強度)
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、縦方向(MD)の引張破断強度が、35MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましい。縦方向(MD)の引張破断強度が前記数値以上であることにより、印刷工程等の二次加工工程において、熱収縮性フィルムが破断する等の不具合が生じにくい傾向がある。
(引張破断伸度)
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、縦方向(MD)の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましく、150%以上であることがより好ましく、200%以上であることがさらに好ましい。縦方向(MD)の引張破断伸度が前記数値以上であることにより、印刷工程等の二次加工工程において、熱収縮性フィルムが破断する等の不具合が生じにくくなる傾向がある。
〔包装資材〕
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、各種用途への利用が可能であるが、好ましくは、熱収縮性フィルムの片面または両面に印刷層を形成して、ガラス製容器やペットボトル等のプラスチック製容器に装着する熱収縮性ラベル等の包装資材を形成することができる。
一般に、ラベル用途に用いられる熱収縮性フィルムの表面および裏面の少なくとも一方には、全面および部分の少なくとも一方にグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、バーコータ等の公知方法により印刷層やオーバーコート層を形成する。印刷インキは特に限定されず、前記印刷法に応じて適宜選択でき、例えば、溶剤系(非水性)または水性のアクリル樹脂系やウレタン樹脂系インキ、発泡性インキ、加熱発泡性インキ等を挙げることができる。
ラベル用途の包装資材は、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものは、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ、印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすればよい。センターシール方法としては、有機溶剤によるシール法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、およびインパルスシーラーによる方法があるが、外観の見栄えを考慮すると、有機溶剤のシール法を用いることが好ましい。
〔成形品、容器〕
本発明の第1〜3の態様に係る熱収縮性フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、透明性、機械的強度等に優れ、かつ自然収縮および収縮応力が小さいため、成形品または容器に装着する際、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱等)の成形品または容器であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗に装着する包装資材とすることができる。よって、本発明の熱収縮性フィルムを装着する対象物としては、例えば、ペットボトル、プラスチック製容器、金属、磁器、ガラス、紙、瓶、ペットボトル、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等、様々な形状の成形品または容器が挙げられる。
特に本発明の熱収縮性フィルムをブローボトルの熱収縮性ラベルとして用いた場合には、前述のように複雑な形状であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる点で特に優れている。
本発明の包装資材が装着されたプラスチック製容器を構成する材質としては、ポリエチレテレフタレート、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック製容器は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例、比較例によって何ら限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例、参考例では、熱収縮性フィルムの押出機からの流れ方向を(MD)と表記し、MDの直交方向を(TD)と表記する。
なお、以下の実施例、比較例、参考例に示す測定値、および、評価は次のように行った
(1)分光光度測定における光線透過率
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K0115(2004)に準拠して測定波長400nm以上800nm以下の光線透過率を測定した。測定は、測定開始波長800nmとし、スキャンスピード300nm/分にて測定波長を測定終了波長400nmまで変化させ、測定波長0.5nm間隔にて、光線透過率を測定した。
このとき、熱収縮性フィルムの光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%以上であるものを(○)と判断した。また、熱収縮性フィルムの光線透過率が、測定波長400nmにおいて85%を下回る場合を(×)と判断した。
また、測定波長400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nmにおける光線透過率を代表値として抽出した。
(2)熱収縮率
得られた熱収縮性フィルムを、MD200mm、TD10mmの大きさで短冊状に切り取り、MDに対し間隔100mmで標線をマークした。その後、100℃、90℃、80℃、70℃、50℃のそれぞれの温度に設定した温水バスに短冊状フィルムを10秒間それぞれ浸漬し、収縮後の標線間隔を測定し、収縮量(=収縮前の標線間隔−収縮後の標線間隔)を測定した。熱収縮率は、収縮前の標線間隔に対する収縮量の比率(=(収縮量/収縮前の標線間隔)×100%)として算出した。
また、得られた熱収縮性フィルムを、MD10mm、TD200mmの大きさに切り取り、TDに対し間隔100mmで標線をマークした。その後、MDの熱収縮率測定と同様の測定を行い、TDの熱収縮率を測定した。
(3)引張破断強度、引張破断伸度
得られた熱収縮性フィルムを、MD120mm、TD15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/分で、雰囲気温度23℃におけるフィルムのMDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を算出した。
また、得られた熱収縮性フィルムを、MD15mm、TD120mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/分で、雰囲気温度23℃におけるフィルムのTDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を算出した。
(4)全光線透過率、拡散透過率、ヘーズ
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K7361−1(1997)に準拠して全光線透過率を測定した。また、JIS K7136(2000)に準拠して拡散透過率、ヘーズ値を測定した。

(5)黄色度(YI)
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K7373(2006)に準拠して黄色度(YI)を測定した。
(6)手切れ性
各実施例および、比較例で得られた熱収縮性フィルムから主収縮方向に50mm 、これに対する直交方向に75mm の大きさに切り出し、主収縮方向より25mmの位置に直交方向に10mmの切れ目を入れた。その後、切れ目の入ったフィルムに関して、切れ目よりフィルムの直交方向に指先で裂き、以下の判断基準で3回測定後の判定を行った。
[判断基準]
○:問題なく、または途中で抵抗を感じながらも、直交方向に直線的に切れたものが2回以上の場合
△:ある程度切れるが、切れ目が主収縮方向に波打ちを生じ、一部湾曲したものが2回以上の場合
×:殆ど切れず、切れ目が主収縮方向に湾曲したものが2回以上の場合
各参考例、実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
〔ポリエステル系樹脂(A)〕
・ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基65モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基32モル%、ジエチレングリコール残基3モル%からなるポリエステル系樹脂:ガラス転移温度78℃(以下、「PET−1」と略する。)
・ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基70モル%、イソフタル酸残基30モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基100モル%からなるポリエステル系樹脂:ガラス転移温度68℃(以下、「PET−2」と略する。)
・ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、1,4−ブタンジオール残基100モル%からなるポリエステル系樹脂:ガラス転移温度38℃(以下、「PBT−1」と略する。)
<参考例1>
表1に示す配合、構成に従い、層(I)に用いる原料として、「PET−1」を58質量%、「PET−2」を27質量%、「PBT−1」を15質量%の割合にて混合した。また、層(II)に用いる原料として、「PET−1」を58質量%、「PET−2」を27質量%、「PBT−1」を15質量%の割合にて混合した。その後、2台の二軸押出機、導管、合流ブロック、2種3層マルチマニホールド口金が接合された共押出設備にて、混合した原料を、設定温度を250℃とした各二軸押出機にそれぞれ供給し、各押出機にて溶融混錬を行うことで、「層(II)/層(I)/層(II)」構成の未延伸シートを共押出し、70℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸フィルムを得た。また、全層厚さに対する、層(I)の層厚さの比率は75%となるように調整した。次いで、予熱温度85〜95℃、延伸温度83℃、熱処理温度96℃に設定したフィルムテンター設備にて、得られた未延伸フィルムを、延伸倍率5倍にてTDに延伸し、厚さ20μmの熱収縮性フィルム(包装資材)を得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
〔印刷層を有さない熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたフラフの作製〕
参考例1で得られた熱収縮性フィルムを用いて、機械的せん断方式の粉砕機にて粉砕処理を行い、平均粒径5mmのフラフ(以下、「Nf−1」と略する。)を得た。なお、粉砕機内の加熱処理は行わなかった。
〔印刷層を有さない熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたリペレットの作製〕
200℃に設定した二軸押出機の先端にストランドダイを接合したコンパウンド設備にて、前記で得られたフラフ(Nf−1)を二軸押出機のフィード孔に、テフロン(登録商標)棒を用いて押し込みながら溶融混錬を行い、吐出された溶融樹脂を、水槽で冷却しながらストランド状にし、ペレタイザーにてペレット状にカットすることにより、リペレット(以下、「Nr−1」と略する。)を得た。
得られたリペレット(Nr−1)の還元粘度測定結果、分子量測定結果、組成分析結果を表2に示す。なお、還元粘度は自動粘度測定装置にて測定を行った。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、リペレット(Nr−1)20mgをクロロホルム4mL、ヘキサフルオロ2−プロパノール0.2mLに溶解したものを20μL注入し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を測定した。また、組成分析は、溶媒CDCl3にて、1H−NMR測定により行った。
〔印刷層を有する熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたリペレット(Pr)の作製〕
参考例1で得られた熱収縮性フィルムの一方の面に、白インキと赤インキの2色の全面印刷を行った。また、全面印刷を行っていない他方の面に(メタ)アクリル系樹脂でオーバーコートを行い、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−1)を作製した。そして、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−1)のフィルム端面を溶剤シールして、飲料用ラベルに用いられるサイズに裁断処理を行った。その後、裁断されたフィルムの印刷インキの剥離処理を行い、フィルムを回収した。回収したフィルムを確認した結果、印刷インキはフィルム面積に対し3%程度残っていた。次に、回収したフィルムを、40℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥処理を行い、粗方の水分を除去したフィルムを、シュレッターを用いて幅5mm程度に裁断処理を行い、裁断フィルムを得た。
その後、裁断フィルムを100℃に設定した真空乾燥機にて1時間乾燥処理を行った。真空乾燥後の裁断フィルムにおいて、残留溶媒量を確認したところ、酢酸エチル1ppm、イソプロピルアルコール13ppm、1,3−ジオキソラン36ppm、酢酸プロピル5ppm、1−プロパノール1ppmの残留溶剤が確認された。なお、残留溶媒量は、裁断フィルムをバイアル瓶に入れて80℃で30分加熱後、ヘッドスペース部にて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、得られたピーク面積より算出した。
次に、200℃に設定した二軸押出機の先端にストランドダイを接合したコンパウンド設備にて、真空乾燥した裁断フィルムを二軸押出機のフィード孔に、テフロン棒を用いて押し込みながら溶融混錬を行い、吐出された溶融樹脂を、水槽で冷却しながらストランド状にし、ペレタイザーにてペレット状にカットした。これらの処理により、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−1)を出発原料としたリペレット(Pr)(以下、「Pr−1」と略する。)を得た。
得られたリペレット(Pr−1)の還元粘度測定結果、分子量測定結果、組成分析結果を表2に示す。なお、還元粘度は自動粘度測定装置にて測定を行った。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、リペレット(Pr−1)20mgをクロロホルム4mL、ヘキサフルオロ2−プロパノール0.2mLに溶解したものを20μL注入し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を測定した。また、組成分析は、溶媒CDCl3にて、1H−NMR測定により行った。
このとき、1H−NMR測定のスペクトルにおいて、前記で得られたリペレット(Nr−1)のスペクトルに見られないシグナルが0.8〜0.9ppm、および、3.6〜3.7ppmに見られた。前者のシグナルは、ポリメタクリル酸メチルのα位のメチル基に由来するシグナルであり、後者はポリメタクリル酸メチルの側鎖のメチルエステルに由来するシグナルであるため、これらのシグナル面積より、リペレット(Pr−1)における(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量を算出した。
〔印刷層を有する熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたフラフ(Pf)の作製1〕
参考例1で得られた熱収縮性フィルムの一方の面に、白インキと赤インキの2色の全面印刷を行い、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−2)を作製した。このとき、全面印刷を行っていない他方の面へのオーバーコートは実施しなかった。そして、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−2)のフィルム端面を溶剤シールして、飲料用ラベルに用いられるサイズに裁断処理を行った。その後、裁断されたフィルムの印刷インキの剥離処理を行い、フィルムを回収した。回収したフィルムを確認した結果、印刷インキはフィルム面積に対し3%程度残っていた。次に、回収したフィルムを、40℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥処理を行い、粗方の水分を除去したフィルムを、機械的せん断方式の粉砕機を用いて粒径10mm程度に粉砕処理を行い、粉砕フラフを得た。
その後、粉砕フラフを80℃に設定した熱風乾燥機にて16時間乾燥処理を行った。これらの処理により、印刷層を有する熱収縮性フィルム(P−2)を出発原料としたフラフ(Pf)(以下、「Pf−1」と略する。)を得た。
なお、熱風乾燥後の粉砕フラフにおいて、残留溶媒量を確認したところ、イソプロピルアルコール1ppm、1,3−ジオキソラン1ppm、酢酸プロピル1ppmの残留溶剤が確認された。なお、残留溶媒量は、裁断フィルムをバイアル瓶に入れて80℃で30分加熱後、ヘッドスペース部にて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、得られたピーク面積より算出した。
得られたフラフ(Pf−1)の還元粘度測定結果、分子量測定結果、組成分析結果を表2に示す。なお、還元粘度は自動粘度測定装置にて測定を行った。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、フラフ(Pf−1)20mgをクロロホルム4mL、ヘキサフルオロ2−プロパノール0.2mLに溶解したものを20μL注入し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を測定した。また、組成分析は、溶媒CDCl3にて、1H−NMR測定により行った。
このとき、1H−NMR測定のスペクトルにおいて、前記で得られたリペレット(Nr−1)のスペクトルに見られないシグナルは観測されなかったことから、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は含まれていなかった。
〔印刷層を有する熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたフラフ(Pf)の作製2〕
白インキと赤インキの2色で片面印刷された未知の熱収縮性ラベル(P−3)(フィルム端面が溶剤シールされた筒状の熱収縮性フィルム)の印刷インキの剥離処理を行い、ラベルを回収した。回収したラベルを確認した結果、印刷インキはフィルム面積に対し3%程度残っていた。次に、回収したラベルを、40℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥処理を行い、粗方の水分を除去したフィルムを、機械的せん断方式の粉砕機を用いて粒径10mm程度に粉砕処理を行い、粉砕フラフを得た。
その後、粉砕フラフを80℃に設定した熱風乾燥機にて16時間乾燥処理を行った。これらの処理により、印刷層を有する熱収縮性ラベル(P−3)を出発原料としたフラフ(Pf)(以下、「Pf−2」と略する。)を得た。
なお、熱風乾燥後の粉砕フラフにおいて、残留溶媒量を確認したところ、イソプロピルアルコール2ppm、1,3−ジオキソラン2ppm、酢酸プロピル1ppmの残留溶剤が確認された。なお、残留溶媒量は、裁断フィルムをバイアル瓶に入れて80℃で30分加熱後、ヘッドスペース部にて、ガスクロマトグラフィー測定を行い、得られたピーク面積より算出した。
得られたフラフ(Pf−2)の還元粘度測定結果、分子量測定結果、組成分析結果を表2に示す。なお、還元粘度は自動粘度測定装置にて測定を行った。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、フラフ(Pf−2)20mgをクロロホルム4mL、ヘキサフルオロ2−プロパノール0.2mLに溶解したものを20μL注入し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を測定した。また、組成分析は、溶媒CDCl3にて、1H−NMR測定により行った。
このとき、1H−NMR測定のスペクトルにおいて、0.8〜0.9ppm、および、3.6〜3.7ppmにシグナルが見られた。前者のシグナルは、ポリメタクリル酸メチルのα位のメチル基に由来するシグナルであり、後者はポリメタクリル酸メチルの側鎖のメチルエステルに由来するシグナルであるため、これらのシグナル面積より、フラフ(Pf−2)における(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の含有量を算出した。
〔印刷層を有する熱収縮性フィルム(包装資材)を出発原料としたフラフ(Pf)の作製3〕
白インキと赤インキの2色で片面印刷された未知の熱収縮性ラベル(P−4)(フィルム端面が溶剤シールされた筒状の熱収縮性フィルム)の印刷インキの剥離処理を行い、ラベルを回収した。回収したラベルを確認した結果、印刷インキはフィルム面積に対し3%程度残っていた。次に、回収したラベルを、40℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥処理を行い、粗方の水分を除去したフィルムを、機械的せん断方式の粉砕機を用いて粒径10mm程度に粉砕処理を行い、粉砕フラフを得た。
その後、粉砕フラフを80℃に設定した熱風乾燥機にて16時間乾燥処理を行った。これらの処理により、印刷層を有する熱収縮性ラベル(P−4)を出発原料としたフラフ(Pf)(以下、「Pf−3」と略する。)を得た。
なお、熱風乾燥後の粉砕フラフにおいて、残留溶媒量を確認したところ、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、1,3−ジオキソラン、酢酸プロピル、1−プロパノールなどの残留溶剤は確認されなかった。なお、残留溶媒量は、裁断フィルムをバイアル瓶に入れて80℃で30分加熱後、ヘッドスペース部にて、ガスクロマトグラフィー測定を行った。
得られたフラフ(Pf−3)の還元粘度測定結果、分子量測定結果、組成分析結果を表2に示す。なお、還元粘度は自動粘度測定装置にて測定を行った。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、フラフ(Pf−3)20mgをクロロホルム4mL、ヘキサフルオロ2−プロパノール0.2mLに溶解したものを20μL注入し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布を測定した。また、組成分析は、溶媒CDCl3にて、1H−NMR測定により行った。
このとき、1H−NMR測定のスペクトルにおいて、0.8〜0.9ppm、および、3.6〜3.7ppmにシグナルは確認されず、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は含まれていなかった。
<実施例1>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Pr−1」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<実施例2>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Pf−1」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<実施例3>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Pf−2」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<実施例4>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を29質量%、「PET−2」を14質量%、「PBT−1」を7質量%、「Pf−2」を50質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<実施例5>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Pf−3」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<実施例6>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を29質量%、「PET−2」を14質量%、「PBT−1」を7質量%、「Pf−3」を50質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<比較例1>
層(I)に用いる原料として、「Pr−1」を100質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<参考例2>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Nr−1」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<参考例3>
層(I)に用いる原料として、「PET−1」を44質量%、「PET−2」を20質量%、「PBT−1」を11質量%、「Nf−1」を25質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
<参考例4>
層(I)に用いる原料として、「Nr−1」を100質量%の割合にて混合した以外は、参考例1と同様の方法にて、厚さ20μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた熱収縮性フィルムについて評価した結果を表3に示す。
Figure 0006849141
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実施例1〜6の熱収縮性フィルムは、分光光度測定における測定波長400nmの光線透過率が85%以上であり、さらには400nm以上800nm以下のいずれの測定波長においても、光線透過率が85%以上であることから、着色による外観阻害が見られなかった。また、表3の結果から実施例1〜6の熱収縮性フィルムは、優れた収縮特性や機械強度を有することが分かる。また透明性においても、全光線透過率が高く、ヘーズ値が低いことから優れた透明性を有するフィルムであった。さらに、黄色度(YI)も、絶対値が小さいものであった。
そして、実施例1〜6で得られた熱収縮性フィルムは、参考例1に例示したバージン原料のみから得られる熱収縮性フィルム、参考例2に例示した印刷層を有さない熱収縮性フィルムを出発原料としたリペレットを含む熱収縮性フィルム、参考例3に例示した印刷層を有さない熱収縮性フィルムを出発原料としたフラフを含む熱収縮性フィルムと同等の収縮特性、機械物性、透明性や色味を有することからも、実施例1〜6の熱収縮性フィルムが、従来の熱収縮性フィルムと同様に、優れた特性や性能を有する熱収縮性フィルムであることが分かる。
さらに、実施例3〜6の熱収縮性フィルムは、優れた手切れ性を有するものであった。
一方、比較例1の熱収縮性フィルムは、実施例1〜6の熱収縮性フィルムと比較し、目視での外観評価において、明らかに赤味掛かったフィルムであることが判別でき、外観が阻害されたフィルムであった。これは、比較例1の熱収縮性フィルムの光線透過率が測定波長400nmにおいて、85%未満となり、本発明が規定する範囲を逸脱するため、熱収縮性フィルムの特性や性能が著しく低下したためと考える。また、比較例1の熱収縮性フィルムは、MDの引張破断伸度が著しく低下しており、熱収縮性フィルムに求められる機械強度を有していなかった。さらに、比較例1の熱収縮性フィルムは、ヘーズ値が著しく増大し、熱収縮性フィルムに求められる透明性を有していなかった。
また、比較例1の熱収縮性フィルムの特性や性能が著しく低下していることは、参考例4で例示した印刷が施されていない熱収縮性フィルムを出発原料としたリペレットを含む熱収縮性フィルムと比較しても明確である。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱収縮性フィルムもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の熱収縮性フィルムは、高い透明性や優れた外観、熱収縮性、耐破断性、耐衝撃性、剛性に優れるため、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができ、これら用途向けの包装資材として好適に用いることができる。

Claims (18)

  1. 包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有し、前記包装資材(P)が印刷層を有する熱収縮性フィルムの製造方法であって、前記包装資材(P)に、印刷インキの剥離処理(a)、裁断処理(b)、粉砕処理(c)および乾燥処理(d)の少なくとも1種の処理を行いフラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を得る工程、得られたフラフ(Pf)およびリペレット(Pf)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)を用いて熱収縮性フィルムを製造する工程を備え、得られた熱収縮性フィルムのJIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400〜800nmにおいて85%以上であり、JIS K7136(2000)に準拠して測定されたヘーズ値が13.8%以下である熱収縮性フィルムの製造方法
  2. 前記包装資材(P)が、熱収縮性フィルムである請求項1記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  3. 前記包装資材(P)が、成形品または容器に装着されたものである請求項1または2記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  4. 前記包装資材(P)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  5. 前記樹脂組成物(Z1)が、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を0.7質量%以下含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  6. 前記樹脂組成物(Z1)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  7. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含む請求項〜6のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  8. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基としてエチレングリコール残基を含む請求項〜7のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  9. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、ネオペンチルグリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、ジエチレングリコール残基から選ばれる少なくとも1種を含む請求項〜8のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  10. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、およびネオペンチルグリコール残基の少なくとも一方を必須成分として含む請求項〜8のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  11. 前記熱収縮性フィルムの100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上である請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  12. 前記熱収縮性フィルムの主収縮方向の引張弾性率が5500MPa以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  13. 前記熱収縮性フィルムが、前記包装資材(P)からなる原料を含まない樹脂組成物(Z2)からなる層(II)と、前記層(I)の少なくとも2層からなる請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  14. 前記樹脂組成物(Z2)が前記ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含む請求項13に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  15. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、およびネオペンチルグリコール残基の少なくとも一方を含む請求項14に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  16. 包装資材(P)を出発原料として得られるフラフ(Pf)、およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)からなる層(I)を少なくとも1層有し、前記層(I)が、ポリエステル系樹脂(A)を主成分として含み、上記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基としてネオペンチルグリコール残基を含む熱収縮性フィルムの製造方法であって、前記包装資材(P)に、印刷インキの剥離処理(a)、裁断処理(b)、粉砕処理(c)および乾燥処理(d)の少なくとも1種の処理を行いフラフ(Pf)およびリペレット(Pr)の少なくとも一方を得る工程、得られたフラフ(Pf)およびリペレット(Pf)の少なくとも一方を含む樹脂組成物(Z1)を用いて熱収縮性フィルムを製造する工程を備え、得られた熱収縮性フィルムのJIS K0115(2004)に準拠した分光光度測定における光線透過率が、測定波長400〜800nmにおいて85%以上であり、JIS K7136(2000)に準拠して測定されたヘーズ値が13.8%以下である熱収縮性フィルムの製造方法
  17. 前記熱収縮性フィルムの主収縮方向の引張弾性率が4000MPa以下である請求項16に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
  18. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基とネオペンチルグリコール残基を含む請求項16または17に記載の熱収縮性フィルムの製造方法
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