JP2002331581A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム

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JP2002331581A
JP2002331581A JP2001140545A JP2001140545A JP2002331581A JP 2002331581 A JP2002331581 A JP 2002331581A JP 2001140545 A JP2001140545 A JP 2001140545A JP 2001140545 A JP2001140545 A JP 2001140545A JP 2002331581 A JP2002331581 A JP 2002331581A
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film
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polyester film
shrinkage
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Tetsuya Anami
哲也 阿波
Tadashi Tahoda
多保田  規
Hiromu Nagano
▲煕▼ 永野
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、熱収縮性ポリエステル
系フィルムに関し、飲料用ボトルのラベル用、特にボト
ルの広い範囲に装着されるフルラベル用、さらにペット
ボトルのフルラベル用に好適な熱収縮性ポリエステル系
フィルムを提供する。 【解決手段】 波長380nmの光線透過率が2
0%以下、波長400nmの光線透過率が60%以下で
あって、フィルム全体のヘイズ(JIS K7105に
準拠して測定)が15%以下であり、さらに主収縮方向
における温湯収縮率が、温度70℃、時間5秒の処理条
件下で5〜50%であり、温度85℃、時間5秒の処理
条件下で65%以上であり、かつ前記主収縮方向と直行
する方向における温湯収縮率が、温度85℃、時間5秒
の処理条件下で10%以下であることを特徴とする熱収
縮性ポリエステル系フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱収縮性ポリエス
テル系フィルムに関し、飲料用ボトルのラベル用、特に
ボトルの広い範囲に装着されるフルラベル用、さらにペ
ットボトルのフルラベル用に好適な熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性フィルム、特にボトルの胴部の
ラベル用熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン等からなるフィルムが主として用いられて
いたが、ポリ塩化ビニルについては、近年、廃棄時に焼
却する際の塩素系ガス発生の問題、ポリスチレンについ
ては、印刷が困難である等の問題があり、さらに、ポリ
エチレンテレフタレートからなるペット(PET)ボト
ルの回収およびリサイクルにあたっては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン等のPET以外の樹脂ラベルを分別す
る必要がある。このため、これらの問題の無いポリエス
テル系熱収縮性フィルムが注目を集めている。
【0003】また、最近、容器内の収容物の紫外線から
の保護を目的として収縮ラベルを使用するケースが増え
ている。従来は塩化ビニル(PVC)の紫外線カットタ
イプ収縮フィルムが用いられてきたが、上記理由によ
り、PVC以外の素材からなる紫外線カットタイプフィ
ルムの要求が強まっている。具体的な紫外線カット性
は、収容物によって異なるが食品、飲料の場合、長波長
領域の紫外線である360nm〜400nmの波長の光
線で収容物の変質や着色等が起こるため、長波長領域、
特に380nm及び400nmの光線のカット性が重要
である。しかしながら、従来の熱収縮性ポリエステル系
フィルムでは上記の長波長領域の光線をカットするもの
はなかった。
【0004】さらに、容器内の収容物の保護を目的とし
て着色ボトルが用いられることがあるが、着色ボトルは
リサイクルに不向きであることからその代替手段が検討
されており、その中に無着色ボトルを使用し、着色ラベ
ルをフルラベルとしてボトル全体に収縮させる方法があ
る。しかも、衛生上の観点から、容器内の収容物を目視
で確認できるよう透明性に優れたラベルが要求されてい
る。
【0005】しかし、ポリエステル系熱収縮性フィルム
をボトルのフルラベルとして使用する場合、ボトル形状
が複雑でかつ多くの種類があるため、従来の熱収縮性フ
ィルムでは収縮仕上がり性において問題が発生する場合
があった。特に、飲料ボトル等で、上部の飲み口付近の
首部が細く、ボトルの横方向断面における首部と胴部の
口径差が大きいボトル用のフルラベルでは、従来の熱収
縮性フィルムを用いた場合、ボトルの上部の首部に収縮
不足が発生する。このようなボトルのフルラベルに使用
する熱収縮性フィルムは、特に、従来より高収縮率など
の熱収縮特性が必要である。このように、ボトルのフル
ラベル用途の場合、これまでのポリエステル系熱収縮性
フィルムの性能では不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、紫外線の透
過率が低減され、熱収縮によるシワ、収縮斑、歪みなど
の発生が極めて少ない熱収縮性ポリエステル系フィルム
であって、ボトルのラベル用として使用した際の収容物
の紫外線による劣化防止性に優れ、特にボトルの広い範
囲に装着されるフルラベル用、さらにペットボトルのフ
ルラベル用として好適な熱収縮性ポリエステル系フィル
ムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、波長380n
mの光線透過率が20%以下、波長400nmの光線透
過率が60%以下であって、フィルム全体のヘイズ(J
IS K7105に準拠して測定)が15%以下であ
り、さらに主収縮方向における温湯収縮率が、温度70
℃、時間5秒の処理条件下で5〜50%であり、温度8
5℃、時間5秒の処理条件下で65%以上であり、かつ
前記主収縮方向と直行する方向における温湯収縮率が、
温度85℃、時間5秒の処理条件下で10%以下である
ことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、波長38
0nmの光線透過率が20%以下、波長400nmの光
線透過率が60%以下である必要がある。長波長領域の
紫外線である波長380nmの光線透過率が20%を超
える場合、および波長400nmの光線透過率が60%
を超える場合は、ボトルのラベル用として使用した際の
ボトル内収容物の紫外線による劣化防止性が低下し、収
容物の変質や着色等が起こる。波長380nmおよび波
長400nmの光線透過率を上記範囲とする方法として
は、例えば、後述のように紫外線吸収剤を含有させる方
法が挙げられる。
【0009】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、フィルム全体のヘイズ(JISK7105に準拠し
て測定)が15%以下である必要がある。ヘイズが15
%を超えると、ボトルのラベル用として使用した際のボ
トル内収容物を目視で確認することが困難になる。ヘイ
ズを上記範囲とする方法としては、例えば、フィルムを
延伸する際の温度を調整し、低温での延伸をしない方法
などが挙げられる。
【0010】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、主収縮方向における温湯収縮率が、温度70℃、時
間5秒の処理条件下で5〜50%であり、温度85℃、
時間5秒の処理条件下で65%以上であり、かつ前記主
収縮方向と直行する方向における温湯収縮率が、温度8
5℃、時間5秒の処理条件下で10%以下である必要が
ある。各温湯収縮率を上記範囲とする方法としては、後
述のように、製造方法及び条件を調整する方法が挙げら
れる。
【0011】なお、本発明において、「温湯収縮率」と
は、正方形に裁断し、所定温度(70℃および85℃:
誤差範囲−0.5℃〜+0.5℃)の温水中に無荷重状
態で所定時間(5秒間)浸漬処理して熱収縮させた前後
の寸法を測定し、下記式1により算出して得られる。ま
た、「主収縮方向」とは、上記測定による収縮率の最も
大きい方向をさす。 温湯収縮率(単位:%) =[(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ]×100 式1
【0012】温度70℃、時間5秒の処理条件下での主
収縮方向における温湯収縮率が5%未満であると、低温
収縮性が不足するため、収縮温度を高くする必要が生じ
る。一方、50%を超えると、本発明の熱収縮フィルム
を用いたラベルの熱収縮による飛び上がりが発生する。
温度70℃、時間5秒の処理条件下での主収縮方向にお
ける温湯収縮率は、好ましくは10〜30%であるのが
よい。
【0013】温度85℃、時間5秒の処理条件下での主
収縮方向における温湯収縮率が65%未満であると、本
発明の熱収縮フィルムを用いたラベルを装着するボトル
の形状によっては、首部の収縮が不十分になる。一方、
95%を越えると、加熱収縮後もさらに収縮する力があ
るため、本発明の熱収縮フィルムを用いたラベルの熱収
縮による飛び上がりが発生することがある。温度80
℃、時間5秒の処理条件下での主収縮方向における温湯
収縮率は、好ましくは65〜95%であるのがよい。
【0014】主収縮方向と直行する方向における温湯収
縮率が、温度85℃、時間5秒の処理条件下で10%を
超えると、本発明の熱収縮フィルムを用いたラベルの収
縮後の縦方向(主収縮方向と直行する方向)のサイズ変
化が大きく、外観上問題となる。主収縮方向と直行する
方向における温湯収縮率は、温度85℃、時間5秒の処
理条件下で好ましくは6%以下であるのがよい。
【0015】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
を構成するポリエステルは特に限定されないが、ジカル
ボン酸成分とジオール成分とを構成成分とするポリエス
テルが挙げられる。なお、本発明の熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムを構成するポリエステルは2種以上のポリ
エステルを含有していても良い。
【0016】上記のポリエステルを構成するジカルボン
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸等が挙げられる。
【0017】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分として脂
肪族ジカルボン酸(例えばアジピン酸、セバシン酸、デ
カンジカルボン酸等)の含有率を3モル%未満となるよ
うにすることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸を3モル
%以上含有するポリエステルからなる熱収縮性ポリエス
テル系フィルムは、ボトル等への高速装着時のフィルム
腰が不十分となりやすい。
【0018】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分と
して多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメ
リット酸及びこれらの無水物等)を含有させないことが
好ましい。上記多価カルボン酸を含有するポリエステル
からなる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、必要な高
収縮率を達成しにくくなる。
【0019】上記のポリエステルを構成するジオール成
分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げら
れる。
【0020】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
を構成するポリエステルとしては、炭素数3〜6個を有
するジオール(例えばプロパンジオール、ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)の
うち1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を6
0〜75℃に調整したポリエステル(ポリエステル組成
物を含む)が好ましい。
【0021】また、収縮仕上り性が特に優れた熱収縮性
ポリエステル系フィルムとするためには、本発明の熱収
縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステル
に、ネオペンチルグリコールをジオール成分の1種とし
て用いることが好ましく、特にネオペンチルグリコール
をジオール成分に対して16モル%以上含有することが
好ましい。
【0022】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムを構成するポリエステルは、炭素数8個以上のジ
オール(例えばオクタンジオール等)、および/または多
価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を含
有しないことが好ましい。これらのジオール、および/
または多価アルコールを含有するポリエステル系樹脂か
らなる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、必要な高収
縮率を達成しにくくなる。
【0023】さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系
フィルムを構成するポリエステルは、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ルをできるだけ含有しないことが好ましい。特にジエチ
レングリコールは、ポリエステル重合時の副生成成分の
ため存在することが多いが、本発明で使用するポリエス
テルは、ジエチレングリコールの含有率が4モル%未満
であることが好ましい。
【0024】なお、本発明において、ジカルボン酸成分
あるいはジオール成分の含有率とは、2種以上のポリエ
ステルを混合して使用する場合、ポリエステル全体のジ
カルボン酸成分、あるいはジオール成分に対する含有率
であり、ポリエステル混合後にエステル交換がなされて
いるかどうかにはかかわらない。
【0025】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
を構成するポリエステルは、いずれも従来の方法により
重合して製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオー
ルとを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸
ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交
換法などを用いて、ポリエステルが得られる。重合は、
回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
【0026】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は紫外線吸収剤を含有するのが好ましい。紫外線吸収剤
を含有することにより、前述のように波長380nmお
よび波長400nmの光線透過率を特定範囲とすること
が可能となる。
【0027】上記紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収
する有機系紫外線吸収剤、紫外線を遮断する無機系紫外
線吸収剤が挙げられる。有機系紫外線吸収剤としては、
インドール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン
系、シアノアクリレート系、フェニルサリシレート系等
の有機系低分子量化合物、高分子有機系化合物が挙げら
れる。紫外線吸収剤は市販のものを使用でき、このよう
な高分子有機系化合物として具体的にはノバペックスU
110(日本ユニペット(株)製)等が挙げられる。ま
た、このような有機系低分子量化合物として具体的に
は、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ(株)製)、ボナソーブUA3901(オリエント化
学工業(株)製)、ユビナール3049(BASF
(株)製)等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤として
は、可視光線の波長よりも短い粒子径の微粒子酸化チタ
ンなどの粒子が挙げられる。微粒子酸化チタンの場合、
粒子径は0.04μm以下であるのが好ましい。
【0028】本発明において、熱収縮性ポリエステル系
フィルム中の紫外線吸収剤含有量は、特に限定されず使
用する紫外線吸収剤の種類や後述のような層構成により
適宜設定できる。紫外線吸収剤として、有機系低分子量
化合物を使用する場合、層構成に関わらず、好ましく
は、フィルムを構成する樹脂組成物全体に対し、紫外線
吸収剤が0.1〜5重量%となるようにするのがよい。
紫外線吸収剤の含有量が0.1重量%未満であると、上
述のような波長380nmおよび波長400nmの光線
透過率を得るなどの紫外線吸収剤を含有させる効果が得
られにくい。有機系低分子量化合物はフィルム製造にお
ける溶融時の熱によって劣化が生じるが、紫外線吸収剤
の含有量が5重量%を超えると、その劣化に起因するフ
ィルムの機械的特性の低下が大きくなりやすい。紫外線
吸収剤として、高分子有機系化合物を使用する場合、層
構成に関わらず、好ましくは、フィルムを構成する樹脂
組成物全体に対し、紫外線吸収剤が2〜50重量%とな
るようにするのがよい。紫外線吸収剤が2重量%未満で
あると、紫外線吸収剤を含有させる効果が得られにく
く、50重量%を超えると、上述のような収縮特性が低
下し、所望の収縮特性が得られにくくなる。
【0029】上記紫外線吸収剤を含有させる方法として
は、熱収縮性ポリエステル系フィルム内に上記紫外線吸
収剤を混練する方法、含浸させる方法、フィルム面に必
要に応じてバインダー等を用いて塗布する方法等が挙げ
られ、紫外線吸収剤の種類等に応じて適宜選択できる。
好ましくは、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
をボトルのラベル用として使用した際のボトル内収容物
の紫外線による劣化防止性を向上させるために、紫外線
吸収剤を含有するフィルムあるいは層の厚みを大きくで
きる、フィルム内に紫外線吸収剤を混練する方法が好ま
しい。
【0030】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、紫外線吸収剤を含有する場合、単層のフィルムとし
て、フィルム内に紫外線吸収剤を含有させてもよいが、
2層以上の多層構成としてもよい。単層とする場合は、
有機系紫外線吸収剤の内、耐熱性の点から紫外線吸収剤
として高分子有機系化合物を用いるのが好ましい。紫外
線吸収剤が低分子量である場合は、ポリエステルの溶融
時に紫外線吸収剤の耐熱性が不足して劣化したり、紫外
線吸収剤の昇華が生じたりして、紫外線吸収剤の配合効
果が低下するため、少なくとも2層以上の多層構成とす
るのが好ましく、特に好ましくは、最外層側の少なくと
も1層が紫外線吸収剤を含有せず、他の層の内少なくと
も1層に紫外線吸収剤を含有するのがよい。例えば、2
層の場合は、1層に紫外線吸収剤を含有し、他の1層は
紫外線吸収剤を含有しないのが好ましい。さらに好まし
くは、3層以上とし、最外層側は紫外線吸収剤を含有せ
ず、内側となる少なくとも1層に紫外線吸収剤を含有す
るのがよい。
【0031】さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系
フィルムを構成するポリエステルには、熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムの昜滑性を向上させるために、無機滑
剤、有機滑剤を含有させてもよい。また、必要に応じ
て、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、静電防止剤
等の添加剤など他の成分を本発明の作用を阻害しない範
囲で含有させてもよい。
【0032】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、さらに本発明の作用を阻害しない範囲で他層を有し
ていてもよい。
【0033】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
の厚みは特に限定されないが、ラベル用として使用する
場合は、10〜200μmであるのが好ましく、20〜
100μmであるのがさらに好ましい。
【0034】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、厚み分布(下記式2により算出)が6%以下である
のが好ましい。 厚み分布=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100(%) 式2
【0035】厚み分布が6%以下のフィルムは、例えば
収縮仕上り性評価時に実施する3色印刷で、色の重ね合
せが容易であるのに対し、6%を超えたフィルムは色の
重ね合せの点で不具合が生じやすい。
【0036】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
の製造法は、フィルムが上記各特性を現出することが可
能であれば特に限定されず、例えば具体的には次のよう
な方法が挙げられる。本発明に用いるポリエステル原料
をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、
または真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜300℃の
温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際して
は、Tダイ法、チューブラー法等、通常一般に使用する
方法を使用できる。押し出し後、口金より回転ドラム上
にキャストするなどして急冷固化し、未延伸フィルムを
得る。
【0037】少なくとも2層以上の多層構成とする場合
の積層方法は、各層を別個に形成しラミネートする方法
や、各層を構成する樹脂を別々の押出機に供給して溶融
し、共押出する方法が挙げられる。
【0038】次に、本発明においては、得られた未延伸
フィルムを延伸処理するのが好ましい。未延伸フィルム
は、ガラス転移温度(Tg)の−5℃以上+15℃未満
の温度で延伸するのが好ましい。ガラス転移温度(T
g)の−5℃未満の温度で延伸した場合、上記の必要と
する温湯収縮率などの熱収縮率を得にくいばかりではな
く、得られたフィルムの透明性が低下しやすい。また、
ガラス転移温度(Tg)の+15℃以上の温度で延伸し
た場合、得られたフィルムは高速装着時に必要なフィル
ム腰が不充分となりやすく、かつフィルムの厚み分布が
著しく損なわれるなどの問題が生じやすい。
【0039】延伸倍率としては、好ましくは横方向に
3.0倍以上、さらに好ましくは3.5倍以上延伸する
のがよい。延伸倍率が3.0倍未満であると、十分な収
縮率が得にくい。
【0040】さらに、必要により、70〜100℃の温
度で熱処理を行ってもよい。
【0041】延伸の方法は、テンターでの横一軸延伸の
みではなく、付加的に縦方向に延伸し二軸延伸してもよ
い。このような二軸延伸は、逐次二軸延伸法、同時二軸
延伸法のいずれによってもよい。縦方向に延伸する場合
には、さらに必要に応じて縦方向または横方向に再延伸
を行ってもよい。
【0042】なお、上記のような特定の物性を得るなど
本発明の目的を達成するには、主収縮方向として横方向
が実用的であるので、以上では、主収縮方向が横方向で
ある場合のフィルム形成法の例を示したが、主収縮方向
を縦方向とする場合も、上記方法における延伸方向を9
0度変えるほかは、上記方法の操作に準じてフィルム形
成することができる。
【0043】本発明において、熱収縮性ポリエステル系
フィルムの厚み分布を均一化させるためには、テンター
を用いて横方向に延伸する際、延伸工程に先立って実施
される予備加熱工程において、熱伝達係数を0.001
3カロリー/(cm・sec・℃)以下となるような
低風速で所定のフィルム温度になるまで加熱を行うこと
が好ましい。
【0044】また、延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑
制し、巾方向のフィルム温度斑を小さくするためには、
延伸工程における熱伝達係数は0.0009カロリー/
(cm・sec・℃)以上、好ましくは0.0011
〜0.0017カロリー/(cm・sec・℃)の条
件であるのがよい。
【0045】前記予備加熱工程における熱伝達係数が
0.0013カロリー/(cm・sec・℃)を超え
る場合、また、延伸工程における熱伝達係数が0.00
09カロリー/(cm・sec・℃)未満の場合、フ
ィルムの厚み分布が均一になりにくく、本発明の熱収縮
性ポリエステル系フィルムに対し、多色印刷加工する
際、多色の重ね合せ時の図柄のずれが発生しやすい。
【0046】本発明のラベルは、ボトルのフルラベル
用、特にペットボトルのフルラベル用として特に好適に
使用できる。また、本発明のラベルは、内面部および/
または外面部に印刷などにより画像が形成されていても
よい。
【0047】以下、試験例および実施例により、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超え
ない限り、これらに限定されるものではない。 試験例 1.試験方法 (1)温湯収縮率 実施例1〜8、比較例1〜7の熱収縮性ポリエステル系
フィルムを、10cm×10cmの正方形に裁断し、所
定温度(70℃および85℃:誤差範囲−0.5℃〜+
0.5℃)の温水中に無荷重状態で所定時間(5秒間)
浸漬処理して熱収縮させた後、フィルムの縦方向および
横方向(隣り合う2辺)の寸法を測定し、下記式1に従
いそれぞれ温湯収縮率を求めた。該温湯収縮率の大きい
方向を主収縮方向とし、実施例及び比較例のフィルムに
おいては横方向が主収縮方向であった。 温湯収縮率(単位:%) =[(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ]×100 式1
【0048】(2)光線透過率 実施例1〜8、比較例1〜7の熱収縮性ポリエステル系
フィルムを、38mm×13mmに裁断してサンプルと
し、各サンプルについて、日立ダブルビーム分光光度計
(U−2001)を用い、波長380nm、および波長
400nmの光線透過率を測定した。
【0049】(3)厚み分布 実施例1〜8、比較例1〜7の熱収縮性ポリエステル系
フィルムを縦方向5cm、横方向50cmに裁断し、サ
ンプルとした。各サンプルについて、アンリツ(株)製
の接触厚み計(型式:KG60/A)を用いて厚みを測
定し(1サンプルにつき測定数=20)、下記式2によ
り厚み分布(厚みのバラツキ)を求め、この厚み分布の
平均値(n=50)を,下記の基準に従って評価した。 厚み分布=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100(%) 式2 [評価基準] 6%以下 : ○ 6%より大きく10%未満: △ 10%以上 : ×
【0050】(4)ヘイズ(フィルム曇度) 実施例1〜8、比較例1〜7の熱収縮性ポリエステル系
フィルムについて、日本電飾工業(株)製1001DP
を用い、JIS K7105に準拠してヘイズ(%)の
測定を行った。
【0051】収縮仕上り性 実施例1〜8、比較例1〜7の熱収縮性ポリエステル系
フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色
のインキを用いてスキン層側に3色印刷し、500ml
のガラス瓶(高さ206mm、中央部胴径65mm、
(株)吉野工業所製で、キリンビバレッジ(株)「午後
の紅茶」に使用されているボトル)用のフルラベルとな
る形状に成形してラベルとした。上記ガラス瓶に上記ラ
ベルを装着し、Fuji Astec Inc製スチー
ムトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過
時間2.5秒、ゾーン温度80℃で通過させ、ラベルの
収縮仕上がり性を目視で下記の基準に基づいて評価し
た。(測定数=20)。 シワ、飛び上り、収縮不足の何れも未発生: ○ シワ、飛び上り、又は収縮不足が発生 : ×
【0052】上記試験(1)〜(5)の結果を表2に示
す。表2から明らかなように、実施例1〜8の熱収縮性
ポリエステル系フィルムはいずれも紫外線カット性(光
線透過率より)、収縮仕上り性、および厚み分布が良好
であり、高品質で実用性が高く、特に収縮ラベル用とし
て好適であることがわかる。一方、比較例1〜7の熱収
縮性ポリエステル系フィルムは、紫外線カット性、ある
いは収縮仕上り性に劣る。このように比較例の熱収縮性
ポリエステル系フィルムはいずれも品質が劣り、実用性
が低いものであった。
【0053】
【実施例】下記のポリエステルおよび紫外線吸収剤を使
用し、実施例および比較例の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムを製造した。 [ポリエステル] ポリエステルA:ポリエチレンテレフタレート(極限粘
度IV 0.75dl/g) ポリエステルB:エチレングリコール70モル%、ネオ
ペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸とからな
るポリエステル(IV 0.72dl/g) ポリエステルC:ポリブチレンテレフタレート(IV
1.20dl/g) [紫外線吸収剤] チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
(株)製) ノバペックスU110(日本ユニペット(株)製) ボナソーブUA3901(オリエント化学工業(株)
製) ユビナール3049(BASF(株)製)
【0054】実施例1 コア層として、表1に示す割合で各ポリエステル(A,
B,C)を混合したポリエステル99重量部に対し、表
1に示す紫外線吸収剤を1重量部配合した樹脂組成物
を、スキン層として、表1に示す割合で各ポリエステル
(A,B,C)を混合した樹脂組成物を、それぞれ28
0℃で溶融してTダイから共押出し、急冷してスキン層
/コア層/スキン層の3層構成の未延伸積層フィルムを
得た。前記未延伸積層フィルムを、フィルム温度が85
℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に83
℃で5倍に延伸し、コア層と各スキン層の厚み比率が1
2.5μm/25μm/12.5μmの熱収縮性ポリエ
ステルフィルムを得た。
【0055】実施例2〜8、比較例1〜7 各ポリエステルの配合比率、紫外線吸収剤の種類とフィ
ルム全体に対する配合量、コア層及びスキン層における
紫外線吸収の含有の有無、延伸条件延を表1に示すよう
にした以外は、実施例1と同様にして、コア層と各スキ
ン層の厚み比率が12.5μm/25μm/12.5μ
mの熱収縮性ポリエステルフィルムを得た。
【0056】
【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル
ムは、紫外線の透過率が低減され、高収縮率で、熱収縮
によるシワ、収縮斑、歪み及び収縮不足の発生が極めて
少ない。従って、ボトルのフルラベル用として使用する
場合、飲料用ボトルのラベル用として使用した際の収容
物の紫外線による劣化防止性に優れ、かつ良好な仕上が
り性が得られ、フルラベルなどのラベル用、特にペット
ボトルのフルラベル用として好適に使用される。
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/00 C08K 5/00 C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29K 67:00 105:02 105:02 105:32 105:32 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 永野 ▲煕▼ 愛知県犬山市大字木津字前畑334番地 東 洋紡績株式会社犬山工場内 Fターム(参考) 4F071 AA44 AB18 AC07 AC10 AC12 AE05 AF27Y AF30Y AF61Y AH04 AH06 BB07 BB08 BC01 BC12 4F100 AK42A AK42B AK42C AL05A AL05B AL05C BA02 BA03 BA06 BA10A BA10C BA16 CA07B DA01 EH20 EJ38 GB16 JA03A JN01A 4F210 AA24 AB14 AG01 AG03 AH54 AR06 AR08 AR12 RA03 RC02 RG02 RG04 4J002 CF041 DE130 EE020 EH120 ET000 EU020 EU170 FD056 GF00 GG00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長380nmの光線透過率が20%以
    下、波長400nmの光線透過率が60%以下であっ
    て、フィルム全体のヘイズ(JIS K7105に準拠
    して測定)が15%以下であり、さらに主収縮方向にお
    ける温湯収縮率が、温度70℃、時間5秒の処理条件下
    で5〜50%であり、温度85℃、時間5秒の処理条件
    下で65%以上であり、かつ前記主収縮方向と直行する
    方向における温湯収縮率が、温度85℃、時間5秒の処
    理条件下で10%以下であることを特徴とする熱収縮性
    ポリエステル系フィルム。
  2. 【請求項2】 厚み分布が6%以下であることを特徴と
    する請求項1記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収剤を含有することを特徴とす
    る請求項1または2記載の熱収縮性ポリエステル系フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 少なくとも2層以上の多層構成であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 【請求項5】 最外層側の少なくとも1層が紫外線吸収
    剤を含有せず、他の層の内少なくとも1層に紫外線吸収
    剤を含有することを特徴とする請求項4記載の熱収縮性
    ポリエステル系フィルム。
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