JP2004090526A - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上であり、全光線透過率、ヘーズが特定範囲の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムとその製造方法に関し、さらに詳しくは、光線カット性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
最近、容器の内容物の紫外線からの保護を目的として収縮ラベルを使用するケースが増えている。従来はポリ塩化ビニルの紫外線カットタイプ収縮フィルムが用いられてきたが、他素材の紫外線カットタイプの要求が強まっている。具体的なカット性は内容物によって異なるが、食品・飲料の場合、長波長領域の紫外線である360nm〜400nmの波長で内容物の変質や着色等が起こるため長波長領域、特に380nm及び400nmのカット性が重要である。
しかしながら、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムでは上記の長波長領域の紫外線をカットするものはなかった。
【0003】
このようなラベルに用いられる熱収縮性フィルムとしては、従来から、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム等の延伸フィルムが多く使用されている。
【0004】
しかし、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、廃棄時に焼却する際の塩素系ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となるなどの問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系フィルムをペットボトルなど容器の収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
【0005】
一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後のラベル仕上がり外観が良好な点は評価できるが、耐溶剤性が劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、ポリスチレン系樹脂は、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生する問題がある。
【0006】
これらの問題の無いポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、ペットボトル等の容器の使用量増大に伴って、注目を集めている。
【0007】
しかしながら、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その収縮特性のさらなる改良が求められていた。特に、収縮時に発生するムラやシワが原因で収縮前に印刷した文字や図柄が歪んでいた。
【0008】
また、従来、これらの熱収縮性フィルムを使用する場合は、通常ラベルの内側に図柄印刷した後に白色印刷を施している。印刷インキの厚みは通常3μm程度であり光線遮断をするには充分で無かった。さらに、白色印刷を2回実施する方法で光線遮断を試みているが、品質要因(インキの厚みによる収縮特性の変化等)や納期及びコスト的にも不利であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム製膜後にさらなる印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有し、かつ、収縮ムラ、シワ、歪み等の発生が極めて少なく、ラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明者の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上であり、全光線透過率、ヘーズを特定範囲とすることによって、目的が達成できることを見出し、これに基づき本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、主にポリエステル樹脂からなるフィルムであって、フィルムの全光線透過率が40%以下であり、且つヘーズが90%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムに係るものである。
【0012】
あるいは、主にポリエステル樹脂からなるフィルムであって、フィルムの90℃での主収縮方向の収縮応力の最大値が10MPa以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムに係るものである。
【0013】
あるいは、主にポリエステル樹脂からなるフィルムであって、溶剤接着性に優れることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムに係るものである。
【0014】
この場合において、酸化チタンを添加している層が少なくとも1つあることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記酸化チタンの含有量が、フィルム換算で0.1〜20.0重量%の範囲であることが好適である。
【0015】
またこの場合において、ポリスチレン系樹脂を添加している層が少なくとも1つあることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記ポリスチレン系樹脂の含有量が、フィルム換算で1.0〜20.0重量%の範囲であることが好適である。
【0016】
さらにまた、この場合において、温湯収縮率が、主収縮方向において処理温度98℃・処理時間10秒で50%以上であり、主収縮方向と直交する方向において10%以下であることが好適である。
【0017】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、溶剤接着性の観点から多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10〜50モル%であることが望ましい。
【0018】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、酸化チタンおよび/またはポリスチレンを添加したポリエステル樹脂と、該酸化チタンおよび/またはポリスチレンを添加していないポリエステル樹脂と共押出して、2層以上の積層フィルムとすることで製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルムの全光線透過率が40%以下であり、且つヘーズが90%以上であることを特徴とし、そのことにより上記目標が達成される。
【0020】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、実質的にポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂及び後記酸化チタン、ポリスチレン樹脂からなっている。ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを構成成分とするポリエステルから好ましく使用できる。
【0021】
上記ポリエステルを構成する多価カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸など公知の多価カルボン酸の1種又は2種以上を使用すれば良い。また、多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、テトラメチレングリコールエチレンオキサイド付加物など公知の多価アルコールの1種又は2種以上を使用すれば良い。
【0022】
さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上でなければならない。
【0023】
さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、耐破れ性、強度、耐熱性などを発揮させるために、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とすることが望ましい。これに対し、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分は、フィルムの結晶性を下げて非晶化度合いを高め、より高収縮性を発現するものである。
【0024】
従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、熱収縮工程でフィルムが加熱されて、ある温度まで達すると熱収縮が飽和してしまう場合がある。この場合、その温度以上に加熱しても熱収縮することはなく、局所的に発生すると収縮ムラ、シワ等の仕上がり不良に繋がっていると考えられる。特に、熱伝導率の低い熱風トンネルで熱収縮させた場合や、熱収縮前に30℃以上の雰囲気化で長期間保管された後に熱収縮させた場合において起こり易い。この現象は、ポリエステルの分子鎖が部分的に擬似結晶化して、収縮速度が非結晶部分と異なるため、起こるのではないかと考えられる。
【0025】
しかし本発明者は、フィルムの結晶性を下げて非晶化度合いを高め得る1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を多価アルコール成分100モル%中、5モル%以上とすることで、上記収縮ムラ、シワを抑制し得ることを見出したのである。
【0026】
本発明フィルム特定の全光線透過率、ヘーズを達成して、フィルムに光線カット性を付与するためには、例えば、フィルム中に、無機滑剤、有機滑剤等の微粒子をフィルム重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%含有させることが、好適である。該微粒子の含有量が0.1重量%未満の場合は、光線カット性を得ることが困難な傾向にあり、一方20重量%を超えるとフィルム強度が低下して製膜が困難になる傾向にある。
【0027】
微粒子は、ポリエステル重合前に添加しても良いが、通常は、ポリエステル重合後に添加される。微粒子として添加される無機滑剤としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、カーボンブラック等の公知の不活性粒子、ポリエステル樹脂の溶融製膜に際して不溶な高融点有機化合物、架橋ポリマー及びポリエステル合成時に使用する金属化合物触媒、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などによってポリエステル製造時に、ポリマー内部に形成される内部粒子であることができる。
【0028】
フィルム中に含まれる該微粒子の平均粒径は、通常、0.001〜3.5μmの範囲である。ここで、微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法により、測定したものである。本発明のポリエステルの極限粘度は好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。ポリエステルの極限粘度が0.50未満であると結晶性が高くなり、十分な収縮率が得られなくなり、好ましくない。
【0029】
本発明において、適度な光線透過率を得るためには、例えば、内部に微細な空洞を含有させることが好ましい。例えば発泡材などを混合して押出してもよいが、好ましい方法としてはポリエステル中に非相溶な熱可塑性樹脂を混合し少なくとも1軸方向に延伸することにより、空洞を得ることである。本発明に用いられるポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂は任意であり、ポリエステルに非相溶性のものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などがあげられる。特に空洞の形成性からポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0030】
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン構造を基本構成要素として含む熱可塑性樹脂を指し、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等のホモポリマーのほか、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合した改質樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂等、更にはこれらのポリスチレン系樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエーテルとの混合物を含む。
【0031】
前記ポリエステルと非相溶な樹脂を混合してなる重合体混合物の調整にあたっては、例えば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融混練して押出してもよいし、予め混練機によって両樹脂を混練したものを更に押出機より溶融押出ししてもよい。また、ポリエステルの重合工程においてポリスチレン系樹脂を添加し、撹拌分散して得たチップを溶融押出しても構わない。
【0032】
本発明におけるフィルムは内部に多数の空洞を含有する層Bの少なくとも片面にB層よりも空洞の少ない層Aを設けることが好ましい。この構成にするためには異なる原料をA,Bそれぞれ異なる押出機に投入、溶融し、T−ダイの前またはダイ内部にて溶融状態で貼り合わせ、冷却ロールに密着固化させた後、少なくとも1方向に延伸することが好ましい。このとき、原料としてA層の非相溶な樹脂はB層より少ないことが好ましい。こうすることによりA層の空洞が少なく、また表面の荒れが少なくなり、印刷の美観を損なわないフィルムとなる。また、空洞が多数存在しないため、フィルムの腰が弱くならず装着性に優れるフィルムとなる。
【0033】
さらに、本発明におけるフィルムは内部に多数の空洞を含有する層Bを中間層とし、両表層に空洞の少ないA層を設ける事が特に好ましい。ポリスチレン系樹脂を添加することで溶融押出時に煙が発生し、工程を汚して操業性悪化を引き起こしている。B層を中間層にする事により発煙の問題が解消され、長時間の安定生産が実施可能となる。
【0034】
また、本発明フィルムは、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤を含有するものであっても良い。
【0035】
本発明のポリエステル系フィルムは、JIS K 7136に準じて測定されたフィルムの全光線透過率が40%以下であることが必要である。該透過率が40%以上であると、内容物が透けて見えたり、光線カットできずに内容物が劣化したりしていずれも好ましくない。該透過率は、30%以下であることが、特に好ましい。
【0036】
本発明のポリエステル系フィルムは、JIS K 7136に準じて測定されたフィルムのヘーズが90%以上であることが必要である。該ヘーズが90%未満であると、内容物が透けて見えたり、光線カットできずに内容物が劣化したりしていずれも好ましくない。該ヘーズは、95%以上であることが、特に好ましい。
【0037】
本発明のフィルムの主収縮方向に温湯98℃、10秒の収縮率が50%以上であり、好ましくは、55〜80%である。収縮率が55%未満では瓶の細い部分で、ラベルの収縮不足が発生する。一方、80%を越えると収縮率が大きいために、収縮トンネル通過中にラベルの飛び上がりが発生する場合があるので、いずれも好ましくない。ここで、主収縮方向とは、収縮率の大きい方向を意味する。
【0038】
また、主収縮方向に直角方向の収縮率が0〜10%であることが、好ましい。収縮率が0%未満で伸びる方向になると収縮時に生じたラベルの横シワが消えにくくなる傾向にあり、一方10%を超えるとラベルの縦収縮が大きくなり、使用するフィルム量が多くなり経済的に問題が生ずるので、いずれも好ましくない。
【0039】
本発明のフィルムのガラス転移温度Tgは50〜90℃程度、好ましくは55〜85℃、さらに好ましくは55〜80℃の範囲である。Tgがこの範囲内にあれば、低温収縮性は十分でかつ自然収縮が大きすぎることがなく、ラベルの仕上がりが良好である。
【0040】
本発明のフィルムは、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、フェノール等のフェノール類、テトラヒドロフラン等のフラン類、1,3−ジオキソラン等のオキソラン類等の有機溶剤による溶剤接着性を有することが好ましい。特に、安全性の面からすれば、1,3−ジオキソランによる溶剤接着性を有することがより好ましい。溶剤接着強度は、4N/15mm以上であることが好ましい。4N/15mm未満では、ラベルを容器に収縮させる際に接合部が剥がれ、好ましくない。
【0041】
本発明のフィルムを1,3−ジオキソランで接着可能とするためには、フィルムの非結晶化度合いをある程度高めることが推奨され、具体的には、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を10モル%以上、好ましくは12モル%以上とすることが望ましい。
【0042】
しかしながら、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量が多すぎると、フィルムの収縮率が必要以上に高くなり、収縮仕上げ時のラベル飛び上がりや図柄の歪みを発生する恐れがある。また、フィルムの耐溶剤性が低下して、印刷工程でインキ溶媒(酢酸エチルなど)によって、フィルムの耐破れ性が低下するため好ましくない。1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量は50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましい。
【0043】
以上の特性を満足するために本発明のフィルムは単一の層からなるものでもよいが、好ましい層構成はA/B/Aである。A層とB層の厚み比率はA/B/A=25/50/25から10/80/10が好ましい。B層の厚み比率を50%未満では、光線カット性が不足し、内容物が透けて見えたり、光線カットできずに内容物が劣化したりしていずれも好ましくない。
【0044】
以下、本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明する。
【0045】
滑剤として無機粒子等を必要に応じて適量含有するポリエステルまたは共重合ポリエステルを通常のホッパードライヤー、パドルドライヤー、真空乾燥機等を用いて乾燥した後、200〜320℃の温度で押出しを行う。押出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の方法を使用しても構わない。
【0046】
押出し後、急冷して未延伸フィルムを得るが、Tダイ法の場合、急冷時にいわゆる静電印加密着法を用いることにより、厚み斑の少ないフィルムが得られ好ましい。
得られた未延伸フィルムを、最終的に得られるフィルムが本発明の構成要件を満たすように、1軸延伸または2軸延伸する。
【0047】
延伸方法としては、ロール縦1軸のみに延伸したり、テンターで横1軸にのみ延伸する方法の外、公知の2軸延伸に際し縦または横のいずれか一方向に強く延伸し、他方を極力小さく延伸することも可能であり、必要に応じて再延伸を施してもよい。
【0048】
上記延伸において、主収縮方向には少なくとも2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上延伸し、必要に応じて主収縮方向と直交する方向に延伸し、次いで熱処理を行う。
【0049】
熱処理は通常、緊張固定下、実施されるが、同時に20%以下の弛緩または幅出しを行うことも可能である。熱処理方法としては加熱ロールに接触させる方法やテンター内でクリップに把持して行う方法等の既存の方法を行うことも可能である。
【0050】
前記延伸工程中、延伸前または延伸後にフィルムの片面または両面にコロナ処理を施し、フィルムの印刷層および/または接着剤層に対する接着剤層等に対する接着性を向上させることも可能である。
【0051】
また、上記延伸工程中、延伸前または延伸後にフィルムの片面または両面に塗布を施し、フィルムの接着性、離型性、帯電防止性、易滑性、遮光性等を向上させることも可能である。
【0052】
本発明のフィルム厚みは好ましくは15〜300μm、さらに好ましくは25〜200μmの範囲である。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
(1)全光線透過率及びフィルムヘーズ
日本電飾工業(株)製NDH−2000Tを用い、JIS K 7136に準じ測定した。
【0055】
(2)収縮応力
東洋精機社製のエアーオーブン付きテンシロン(型式:UTL−4L)を用いてチャック間を100mm、サンプル形状は収縮応力を測定する方向150mm、測定方向と直交する方向を20mmとし、90℃エアーオーブン中で1分間加熱した際に、発現する力をレコーダーに記録し、最大値及び測定開始から30秒後の値を読み取り、下式より収縮応力を算出し、収縮応力とした。
【0056】
収縮応力=(読み取り値/加熱前のサンプル断面積)×9.807(MPa)
【0057】
(3)温湯収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、98±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬処理して熱収縮させた後、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときのフィルム縦及び横方向の寸法を測定し、下式に従い収縮率を求めた。該収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
【0058】
収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)
【0059】
(4)溶剤接着性
1、3−ジオキソランを用いてフィルムをチューブ状に接合加工し、該チューブ状体を加工時の流れ方向と直交方向に15mm幅に切断してサンプルを取り、東洋精機社製のテンシロン(型式:UTL−4L)を用いてチャック間を20mmで引っ張り剥離し、剥離抵抗力を測定した。測定値が4N以上であれば、「○」とした。
【0060】
(5)収縮仕上がり性
Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間5秒、ゾーン温度80℃で500mlの丸型ペットボトル(高さ210mm、底部の直径65mm:(株)大和製罐製で(株)サントリーの涼屋麦茶に使用されているボトル
)を用いてテストした(測定数=20)。
【0061】
評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
【0062】
シワ、飛び上がり、収縮不足の何れも発生なし : ○
シワ、飛び上がり、または収縮不足が発生 : ×
【0063】
本実施例および比較例に使用したポリエステル系樹脂を表1に示す。なお、表1中、TPAはテレフタル酸を、EGはエチレングリコールを、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノールを、NPGはネオペンチルグリコールを意味する。
【0064】
【表1】
【0065】
(実施例1)
表2に示すように、A層の原料して、ポリエステルAを7重量%、ポリエステルBを73重量%、ポリエステルCを20重量%混合したポリエステル組成物を、B層の原料して、ポリエステルAを10重量%、ポリエステルBを50重量%、ポリエステルCを20重量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン(株)製)10重量%及び二酸化チタン(TA‐300富士チタン製)10重量%をそれぞれ別々の押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合し、280℃でTダイから延伸後のA/B/Aの厚み比率が12.5μm/25μm/12.5μmとなるように積層しながら溶融押し出しし、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
該未延伸フィルムを、テンターでフィルム温度75℃で横方向に4.0倍延伸し、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0066】
(実施例2及び比較例1〜3)
表2に示すように、原料混合組成を変えたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0067】
実施例1〜2及び比較例1〜3で得られたフィルムの評価結果を表3に合わせて示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
表3から明らかなように、実施例1〜2で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、いずれも良好な光線カット性を有するものであった。
【0071】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、高品質で実用性が高く、特に劣化しやすい内容物の包装収縮ラベル用として好適である。
【0072】
一方、比較例1〜2で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、光線カット性を有するものの比較例1は溶剤接着強度が劣り、比較例2は収縮仕上がり性が劣っていた。
【0073】
また、比較例3で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、光線カット性が劣っていた。このように比較例の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、品質が劣り、実用性の低いものであった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有し、かつ、収縮ムラ、シワ、歪み等の発生が極めて少ない熱収縮性ポリエステル系フィルムが得られる。
【0075】
従って、ラベル用、特に商品価値の高いラベル用の熱収縮性ポリエステル系フィルムとして極めて有用である。
Claims (8)
- 熱収縮ポリエステル系フィルムにおいて、
多価アルコール成分100%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上であり、熱収縮前のフィルムについて全光線透過率が40%以下であり、かつヘーズが90%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。 - 請求項1の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、90℃での主収縮方向の収縮応力の最大値が10MPa以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、溶剤接着性に優れることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、2、3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、酸化チタンを添加している層が少なくとも1つあることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、2、3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムフィルムであって、ポリスチレン系樹脂を添加している層が少なくとも1つあることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、温湯収縮率が、主収縮方向において処理温度98℃・処理時間10秒で50%以上であり、主収縮方向と直交する方向において10%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10〜50モル%である請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1〜7に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するに当たり、
酸化チタンおよび/またはポリスチレンを添加したポリエステル系樹脂と該酸化チタンおよび/またはポリスチレンを添加していないポリエステル系樹脂を共押出して、2層以上の積層フィルムとすることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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- 2002-09-02 JP JP2002256953A patent/JP2004090526A/ja active Pending
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