JP2006044179A - 熱収縮性積層フィルム及びそれからなるラベルを装着した容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂組成物Aにより形成される層を両外層(A)とし、樹脂組成物Bにより形成される層を接着層(B)とし、樹脂組成物Cにより形成される層を中間層(C)とする熱収縮性積層フィルム。<樹脂組成物A>ポリエステル系共重合体からなる樹脂組成物。<樹脂組成物B>スチレン―ブタジエン共重合体水素添加物の無水マレイン酸付加物。<樹脂組成物C>ポリスチレン系共重合体からなる樹脂組成物。
【選択図】 なし
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Description
これ等のラベルを使って、ペットボトル等の容器を包装するまでの工程は、一般には次ぎの通りである。
まず横方向を主体に所定量延伸された熱収縮性フィルムが製造される。そして該フィルムの内面に印刷を行い、ミシン目を穿設し、両端面を重ね合わせ、有機溶剤により接着して筒状に成形される。そしてペットボトル1本分の筒状ラベルにカットされ、容器に被覆、熱収縮され包装されるというものである。
また、熱収縮性ポリスチレン系フィルムの場合には、熱収縮特性(収縮率及び収縮応力)に優れ、その取り扱いのし易さから多くのラベル用途に使用されている。また、ミシン目のカット性も優れる。その反面、耐溶剤性に劣り、印刷溶剤による収縮やセンターシール加工でのシール部の白化等、問題を抱えている。また、耐熱性もないことから、ホット飲料用途として使用される例はほとんどない。
<樹脂組成物A>
ポリエステル系共重合体からなる樹脂組成物。
<樹脂組成物B>
スチレン―ブタジエン共重合体水素添加物の無水マレイン酸付加物からなる樹脂組成物。
<樹脂組成物C>
ポリスチレン系共重合体からなる樹脂組成物。
該層を形成する樹脂組成物Bは、スチレン含有が20〜80質量%、無水マレイン酸付加量が0.8〜2.4質量%であるスチレン―ブタジエン共重合体水素添加物の無水マレイン酸付加物からなる。
該層を形成する樹脂組成物Aは、ポリエステル系共重合体、またはそれを主体とする樹脂組成物からなる。具体的には、例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が一般的であるが、その他にイソフタル酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸及びその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種以上のものと、ジオール成分として、エチレングリコールが一般的であるが、その他にジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、及びその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種以上のものから重縮合されたものが例示できる。
これら2点のポリエステル系共重合体は比較的結晶性の低い樹脂である。この結晶性に寄与するのが、ジオール成分における1,4-シクロヘキサンジメタノールの含量であり、15モル%〜40モル%、さらには18〜35モル%が好ましい。1,4−シクロヘキサンジメタノールの含量が、15モル%より少なくても、また40モル%より多くても、ポリエステル系共重合体の結晶性は高くなり、収縮特性を得るためには好ましくない。
ジエチレングリコールは0〜15モル%の含量が好ましい。加える目的はポリエステル系共重合体のガラス転移点(Tg)を下げることである。従って、ガラス転移点をさらに下げる必要がない場合には、加える必要がない。また、15モル%を超えると、ガラス転移点が低くなりすぎ、自然収縮率が大きくなるので、好ましくない。
収縮性フィルムの製造工程において、延伸耳のトリミング片、及び一次スリット加工工程でのトリミング片等を粉砕し、押出工程へリターンすることは一般的に行われていることである。これは生産性(歩留まり等)の点から、必要な工程であるといえる。しかしながら、本発明における熱収縮性積層フィルムのように、異種素材が積層されている場合には、透明性の低下等いろいろな問題が生じる。
印刷性等を考慮すると、外層の表面状態は常に一定に保っておくのが好ましい。すると、必然的に粉砕物のリターンは、中間層へ入れられることになる。該熱収縮性積層フィルムの場合には、スチレン系共重合体樹脂組成物Cからなる中間層(C)へ、ポリエステル系共重合体樹脂組成物Aからなる両外層(A),スチレン―ブタジエン共重合体水素添加物の無水マレイン酸付加物である樹脂組成物Bからなる接着層(B)、及びポリスチレン系共重合体樹脂組成物Cからなる中間層(C)が、ある配合比率で添加されることになる。つまり、スチレン系共重合体樹脂組成物C中に、少量のポリエステル系共重合体樹脂組成物Aが添加される。
該層を形成する樹脂組成物Cは、ポリスチレン系共重合体、またはそれを主体とする樹脂組成物からなる。具体的には、例えば、スチレン―共役ジエンブロック共重合体、スチレン―脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、及びグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンの群から選ばれる少なくとも1種からなるものが例示できる。
両外層(A)の比率が15よりも小さいと、中間層(C)の特性である、収縮応力は小さくなり、ミシン目カット性も良好となるが、両外層(A)の特性である耐熱性や耐溶剤性は低下することになり好ましくない。また、両外層(A)の比率が40を越えると、ミシン目カット性が低下し、収縮応力も大きくなり好ましくない。
該フィルムの製造手段には、丸ダイとTダイによる5層共押出成形があるが、Tダイによるのが好ましいので、以下Tダイによる方法を説明する。
まず、該樹脂組成物Aは、1台の溶融押出機へ、樹脂組成物Bは、他の1台の溶融押出機へ、さらに樹脂組成物Cは、他の1台の押出機に供給される。各組成物は、所定の温度に調整されたこれ等押出機から、フィードブロック内で樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは分岐され、該樹脂組成物Cを中間に、樹脂組成物Bをその両面に、樹脂組成物Aを、さらにその両面に配置されるようにフィードブロック内で一体となって5層に積層され合流し、所定温度に調整されたTダイから樹脂が同時に押出され、冷却ロ−ルにて冷却固化される。
また、積層の方法としては、フィードブロックとマルチマニホールドダイとの併用やマルチマニホールドダイのみを用いる場合(その場合、両外層及び接着層を形成する押出機の台数は前記台数と異なる場合がある)も例示でき、特に制限はない。
例えば、前記好ましく挙げる、ペットボトルの管状ラベル用である場合は、前記収縮率取得に対応して、まず縦方向へ1.8倍以下、好ましくは1.0〜1.5倍に、温度70〜90℃程度でロ−ル延伸し、引き続き横方向へ3.0〜7.5倍、好ましくは4.0〜6.5倍に、温度75〜100℃程度で10秒間で横延伸する。次いでテンター内にて弛緩熱処理を行う。該熱弛緩は弛緩率1〜5%で、温度は70〜90℃で5秒間処理する。
エ−ジング処理の条件としては、30〜40℃で10〜30時間エージング室内に保管する。
その後、一次スリット工程で、所定の幅にスリットされ、梱包される。
まず前記5層フィルムの内面に、グラビヤによるカラ−印刷が行われる。印刷インキは、一般にポリエステル系収縮性フィルムに使用される水性又は油性のグラビヤ用インキである。この印刷は、多丁付けで行われる。この印刷が終了したら、1丁分に相当する横幅で縦にスリットされてロ−ルに巻き取られる。この1丁分を図1を参照して説明する。該図で1(斜線)が実印刷部分(ペットボトルの胴回り全周)、2が縦方向に設けられた非印刷部分、3が1枚のラベルにした場合の上下端に設けられた非印刷部分、つまり1丁分は、1の実印刷部分と2の縦方向非印刷部分と3の上下端非印刷部分からなっている。この1丁分を1単位レイアウトとして、これが横方向に多丁付けされて、グラビヤ印刷が行われる。この多丁付け印刷が終了したら、左右4a〜4で示す横幅で、各4aと4の位置を縦方向にスリットされ、多丁付けした数だけのロ−ル巻き印刷フィルムが得られる。
まず該フィルムはセンターシール機のフォーマー部分に向かって巻き出されていく。この時にミシン目6が穿設される。ミシン目6は、縦1列の場合もあれば2列の場合もある。ミシン目が穿設された該フィルムの両端はセンタ−位置で、つまり図1で言えば、右側の2で示す非印刷部分が上面に、左側の4aでカットした実印刷部分の端部が下面になるように重ね合わされる。この重ね合わされたフィルムは、その重ね合わせ部分の間にノズルを差し込んで、ここから後記する有機溶剤の適正量を吐出する。直ちにその上下接合の層面は溶解又は膨潤するので、これをニップロ−ルで連続圧着する。重ね合わせ面は強固に接着シ−ルされて、筒状に成形されるので巻き取る。
この時、使用する有機溶剤に関してはテトラヒドロフランを用いるのが望ましい。あるいは、さらにn―ヘキサン等の不溶性溶剤を少量添加する事も可能である。
さらにテトラヒドロフランの代わりに、1,3−ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を用いる事も可能である。
この挿入も自動的に連続して行われるので、まず該容器はその胴部分を中心に容易に挿入できることが必要である。この為には所定の隙間(この隙間は、該容器の外径よりも該ラベルの内径を大きくすることで得られる。)が必要であるが、そのフィルムの有する収縮率との関係から、あまり隙間が大きいと装着仕上がりが十分でなくなる。この装着もある程度の残留収縮力をもって行われることが望ましい。この挿入隙間と装着仕上がりとが良くバランスする隙間を例示すると、5〜8mmである。また、この隙間と同時に、該ラベルにはある程度の腰(硬さ)が要求される。これは、自動的にラベルが開口され、容器が挿入される際に、必要な特性である。MD方向(ラベルの周方向と直交する方向)の腰の強さは、2〜75mNが好ましく、さらに好ましくは15〜35mNが好ましい。腰の強さが2mNよりも小さいと、ラベルの中へ容器がスムーズに挿入できず、折れ曲がり等の原因となる。また、75mNを超えると、フィルムが硬く、ラベルの開口の際に抵抗が大きく、開口不良の原因となり好ましくない。
挿入された該容器は、75〜95℃の蒸気トンネル内を5〜15秒間要して通過する。残留収縮力を維持してしっかりと装着される。
尚、本例で言う腰(硬さ)の強さ、熱収縮率、耐落下ミシン目破断性、落下による耐層間剥離性及びミシン目のカット性は、次ぎの条件で測定して得たものである。
得られた熱収縮フィルムを株式会社東洋精機製作所製 LOOP STIFFNESS TESTERを用いて、300mm(縦方向)×25mm(横方向)のサンプルを切り出し、測定し(10点平均値)、その値をmNで示した。
得られた熱収縮フィルムから100mm(縦方向)×100mm(横方向)のサンプル10枚を切り取る。そしてこのサンプルの1枚を80℃温水に10秒間浸漬させたら、直ちに取り出して冷水に漬ける。これの横方向の長さL(mm)を測定する。そして各々100−Lを算出し、収縮率(%)とする。
得られた熱収縮フィルムから10mm(縦方向)×150mm(横方向)のサンプル(横方向が主収縮方向)を10枚切り出し、チャック間距離100mmにセットされた、ロードセルにつながったチャックに該サンプルを取り付けた後、80℃の温水中に30秒間浸漬し、この間の最大応力を測定し、その平均値を収縮応力(N/cm)とした。
得られたラベル装着包装のペットボトルのミシン目の破れ性を女性(家庭の主婦/無作為)に依頼しテストする。破り動作は、ミシン目の上一端に手の爪先を入れて、該女性がミシン目に沿って破る。この動作において、手の爪先を入れてラベルを引き起して破る動作に入った時、その部分が伸びず、ミシン目の破れ動作に繋がらない場合は勿論、ミシン目に沿って破れだすが、途中でミシン目ラインからそれて、ミシン目でない部分が破れてしまう場合も×とし、いずれの場合もなく円滑に破れる場合を〇とする。
尚、ミシン目に関する測定におけるミシン目は、0.5mm:2.0mm(孔の長さ0.5mm、孔と孔の間隔2.0mm)のピッチで行った。
折径114mm、カット長110mmのラベルを、350mlの角型ペットボトルに被せ、長さ3.5m、温度85℃のスチームトンネルを通過時間7秒で収縮させる。
収縮後のラベルのシール部に異常がないものを○、剥がれ(層間剥離)が生じたものを×とする。
水を充填したペットボトルにラベルを装着包装し、1mの高さからコンクリート面に垂直落下させる。1本のボトルにつき、繰り返し落下させ、不具合(層間剥離)が生じるまでの落下回数により、10回以上落下させても層間剥離しないものを○、10回までに層間剥離したものを×とする。
(実施例1)
次ぎに前記得られた実質的無延伸の5層フィルムは、縦方向へ1.1倍、温度85℃でロ−ル延伸し、引き続き横方向へ5.5倍、温度90℃で10秒間で横延伸し、次いでテンター内にて弛緩率4.0%、温度は80℃で5秒間弛緩処理した。これにより熱収縮性積層フィルム1を得た。
(実施例2)
(実施例3)
(実施例4)
(実施例5)
(実施例6)
(比較例1)
(比較例2)
(比較例3)
(比較例4)
実施例と同様の樹脂、両外層(A)として(A−1)、接着層(B)として(B−1)、中間層(C)として(C−1)を用い、外層(A)15μm/接着層(B)1.0μm/中間層(C)13μm/接着層(B)1.0μm/外層(A)15μmで、総厚み45μmのフィルムを得た。その他は実施例1と同様にして、ペットボトル包装用ラベルを得た。結果は表―1に示す。
2、3・・非印刷部分
4a、4、5・・カット位置
6・・ミシン目
Claims (3)
- 下記樹脂組成物Aによる両外層(A)と、樹脂組成物Bによる接着層(B)と、樹脂組成物Cによる中間層(C)とが、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の順に積層された5層構成からなることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
<樹脂組成物A>
ポリエステル系共重合体からなる樹脂組成物。
<樹脂組成物B>
スチレンーブタジエン共重合体水素添加物の無水マレイン酸付加物からなる樹脂組成物。
<樹脂組成物C>
ポリスチレン系共重合体からなる樹脂組成物。 - 樹脂組成物Bがスチレン含量20〜80質量%、無水マレイン酸付加量0.8〜2.4質量%であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1又は2記載の熱収縮性積層フィルムからなるミシン目入り筒状ラベルが装着された容器。
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