JP6708278B2 - ポリエステル系ラベルおよび包装容器 - Google Patents

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Description

本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムが熱収縮した後のポリエステル系ラベルおよびこのラベルが被覆されている包装容器に関する。
近年、ガラス瓶またはプラスチックボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広範に利用されるようになってきており、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル容器飲料等の増加に伴って、使用量が増加している傾向にある。
これまではPETボトル被覆用熱収縮性ラベルとしては、厚みが40〜60μmの熱収縮性フィルムが用いられてきた(例えば特許文献1)。しかし、包装用に用いられる熱収縮性フィルムは、内容物を利用した後はただのゴミとなる。そこで、なるべくゴミを減らそうという環境意識の高まりを受け、フィルムメーカーも熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みを薄くする検討を行っている。
しかし、熱収縮性ラベルの厚みを薄くすると、当然熱収縮後のラベル(以下、単にラベルというときは熱収縮後のラベルを意味する)の厚みも薄くなるため、トラック輸送時にラベルが被覆された製品同士がぶつかり合い、ラベルの割れや裂け(いわゆるクラック)が生じることがあった。一般的な熱収縮性フィルムは、主収縮方向の引張破断強度が高いが、収縮方向に直交する方向の引張破断強度が低いため、厚みを薄くしたラベルでは、輸送時の揺れや振動、製品同士の接触でクラックが生じやすかったのである。
一方、特許文献2に記載の発明では、熱収縮性ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の両方向の引張破断強度を高くしており、厚みが薄いラベルでも強度があり、輸送時のクラック等の発生頻度は低いものと推測される。しかし、一般的な熱収縮性フィルムの製造方法と比較して、特許文献2の製造方法は非常に複雑であり、製造設備も大きくする必要があって、初期投資費用が高い等の問題があった。
特開2003−12831号公報 特許第5240387号公報
本発明は、上記事情に鑑み、厚みが薄く、強度が比較的低いフィルムを用いたラベルであっても、クラックの発生頻度の少ないラベルの提供を課題として掲げた。
上記課題を解決し得た本発明は、以下の(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とするポリエステル系ラベルである。
(1)ラベルの基材フィルムの厚みが8μm以上30μm以下
(2)ラベルを構成するポリエステルの極限粘度が0.60dl/g以上
(3)ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の引張破断強度が5MPa以上60MPa以下
(4)ラベルを構成する基材フィルムについて偏光ATR法で1340cm-1の吸光度と1410cm-1の吸光度を求めた場合、ラベル主収縮方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)と、ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)との差が0.2以上
(5)ラベルを構成する基材フィルムについて温度変調示差走査熱量計で可逆熱容量曲線を測定したときのTg前後の比熱容量差ΔCpが、0.2J/(g・℃)以上
(6)ラベルの鉛直方向の長さの最大値と最小値の差が3mm以下
ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の引張破断強度は、5MPa以上60MPa以下であることが好ましい。
ラベルを構成するポリエステルが、ポリエステルを構成するユニット100モル%中、プロパンジオール由来のユニットを5モル%以上15モル%以下有することが好ましい。
本発明には、上記ラベルを容器の外周の少なくとも一部に有する包装容器も含まれる。
本発明のラベルは、薄肉化の要請に対応でき、かつ、輸送時のクラックの発生も抑制できた。
本発明のラベルは、熱収縮性ポリエステル系フィルムの両端部を重ねて有機溶剤で接着することにより形成されたチューブ状の熱収縮性ポリエステル系ラベルを、PETボトルに被覆して熱収縮させた熱収縮後のラベルである。ここで、端部とは幅方向(長手方向に沿う方向)の端部を意味する。
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムには、ポリエステル1層のみからなるフィルムだけでなく、ポリエステル/ポリエステル以外の樹脂/ポリエステルといった積層構成(5層以上でもよい)のフィルムで、外側の層が共にポリエステルとなっている積層フィルムも含まれるものとする。
熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とすることが好ましい。強度や耐熱性に優れているからである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
本発明のポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
また、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)をポリエステルに含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
ポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコールの他、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
これらの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)を用いることが好ましい。特に1,3−プロパンジオールを用いると、本発明の必須要件を満足するポリエステルが得やすくなる。
本発明で、1,3−プロパンジオールの使用が好ましいのは次のような理由による。一般に、熱収縮性ポリエステル系フィルムの長手方向の引張破断強度を高めるために縦延伸を行うと、通常は、長手方向の熱収縮率が高くなり、タテヒケ等の不具合を招く。ここで、タテヒケとは、ボトルに被覆して熱収縮したラベルの端縁が湾曲(例えば、上端縁なら下向きに湾曲し、下端縁なら上向きに湾曲する)して、不良な外観となることである。すなわち、ボトルの鉛直方向(高さ方向)のラベルの長さが短くなってしまう現象のことを意味する。そして、前記した特許文献2では、このような不具合を抑制するために、縦延伸後に中間熱処理を施したり、長手方向へのリラックス処理を、縦延伸後、中間熱処理時、最終熱処理時等に行う必要があり、このため、製造方法が複雑となっていた。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、ジオール成分として1,3−プロパンジオールを併用すると、縦延伸後の中間熱処理や長手方向へのリラックス処理を施さなくても、長手方向の熱収縮率が低く維持されることが見出されたのである。この理由は明確ではないが、1,3−プロパンジオールの直鎖構造が、ポリエステルを延伸する際に、分子配向における結晶構造の生成を抑制するためと考えられる。
ラベルを構成するポリエステルが、ポリエステルを構成するユニット100モル%中、プロパンジオール由来のユニットを5モル%以上15モル%以下有することが好ましい。5モル%より少ない場合、長手方向の熱収縮率が高くなり、ボトルに被覆して熱収縮した際にタテヒケ等の不具合を招くため好ましくない。好ましくは6モル%以上、より好ましくは8モル%以上、特に好ましくは10モル%以上である。プロパンジオール由来のユニットの上限は特に限定されないが、プロパンジオール由来のユニットを増やすと原料コストが高くなるため15モル%程度が好ましい。
また、ポリエステルは、全ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が17モル%以上、好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、特に好ましくは20モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、30モル%が好ましい。非晶成分量を上記範囲にすることにより、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調整したポリエステルが得られる。
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸を用いるのが好ましい。
なお、ポリエステルには、炭素数8個以上のジオール(例えば、オクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を含有させないことが好ましい。これらのジオール、または多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系ラベルでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。また、ポリエステルには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールをできるだけ含有させないことも好ましい。
本発明のラベルに用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
なお、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムには、ポリエステル系樹脂層を少なくとも1層有する積層型のポリエステルフィルムも含まれる。ポリエステル系樹脂層が2層以上積層されるときは、そのポリエステル系樹脂層は同じ組成のポリエステルであっても、異なる組成のポリエステルであってもよい。また、他の層として積層可能な層は、熱可塑性樹脂層であれば、特に限定されないが、価格や熱収縮特性から、ポリスチレン系樹脂層であることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンやα−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体からなる単独重合体、共重合体はもとより、スチレンやスチレン誘導体と共重合可能な単量体、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えばNa,K,Li,Mg,Ca,Zn,Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族不飽和カルボン酸やその誘導体との共重合体や、ブタジエン等とのブロック共重合体も使用することができる。中でも好ましいのは、ポリスチレン、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等である。なお、ポリスチレン系樹脂には、熱収縮開始温度を低くする目的や耐衝撃性を向上させる目的で、可塑化剤、相溶化剤等を配合することも可能である。
ポリスチレン系樹脂には、熱可塑性樹脂および/またはゴム成分を添加することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アタクチック構造を有するポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン4、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
一方、ゴム成分としては、スチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体が好ましく、スチレンとゴム成分からそれぞれ一種以上を選んで共重合したランダム、ブロックまたはグラフト共重合体を挙げることができる。このようなゴム状共重合体としては、たとえばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、それらのブタジエン部分の一部あるいは全部を水素化したゴム、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、メタクリル酸メチル−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム等を挙げることができる。上記したスチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体は、スチレン単位を有するため、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂に対する分散性が良好であり、ポリスチレン系樹脂に対する可塑性改良効果が大きい。また、相溶性調整剤としては、上記したスチレン系化合物をその構成成分として含有するゴム状共重合体を好適に用いることができる。
一方、ゴム成分としては、他に、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリエーテル−エステルゴム、ポリエステル−エステルゴム等を用いることができる。
また、ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、10,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満のものは、フィルムの強度保持性や耐熱性が低下し易いので好ましくない。重量平均分子量の上限は特に限定されないが、150万を上回ると、延伸張力の増大に伴う破断の発生等が起きることがあるため、好ましくない。
ポリスチレン系樹脂は、各種メーカーにより、種々のグレードのものが市販されており、市販のものを使用してもよい。他の層は、1層であっても2層以上でも構わない。
次に、本発明のラベルの特性を説明する。本発明のラベルは、熱収縮性ポリエステル系フィルムが熱収縮したものである。熱収縮させる際には、通常、ボトルに熱収縮性ラベル(熱収縮前のラベル)を装着させた状態で熱収縮させる。本発明のラベルは、ラベルの基材フィルムの厚みが8μm以上30μm以下である。本発明は薄肉化ラベルを目的としているので、厚みはこの範囲でなければならない。ラベルの基材フィルムの厚みはより好ましくは、9μm以上28μm以下、さらに好ましくは10μm以上26μm以下であり、特に好ましくは20μm以下である。
本発明のラベルを構成するポリエステルの極限粘度は、0.58dl/g以上である。ラベルの極限粘度が0.58dl/g以上であれば、ラベルの引張破断伸度も高くなり、クラックの発生頻度が低くなる。より好ましくは、0.60dl/g以上、さらに好ましくは0.61dl/g以上である。極限粘度は高い方が好ましいが、あまりに高いとフィルム生産時に原料押出し機械等への負荷が高くなるので、0.9dl/gが上限である。
本発明のラベルの引張破断伸度は、主収縮方向および主収縮方向に対して直交する方向のいずれにおいても5%以上である。ラベルの引張破断伸度が高いと、クラックの発生頻度が低くなる。ラベルの主収縮方向の引張破断伸度は、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上である。引張破断伸度は高い方が好ましいが、熱収縮性ラベルを製造する際に溶剤アタックを受けやすくなったり、熱収縮性ラベルを長期保管するときに特性が変化し易くなったりすることを考慮すると、50%が上限である。なお、本発明のラベルは、熱収縮後のラベルであるが、まだ熱収縮する余力を有しており、例えばボトルに被覆されているラベルを剥がして、80℃程度の温水に浸漬すると、熱収縮する。したがって、このとき収縮した方向が主収縮方向であることがわかる。同様の理由から、ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の引張破断伸度は、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上である。
本発明のラベルは、ラベルを構成する基材フィルムについて偏光ATR法で1340cm-1と1410cm-1の吸光度を求めた場合、ラベル主収縮方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)と、ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)との差が0.2以上である。この差が0.2未満であると、タテヒケ等の外観不良を抑制するために、特許文献2に記載の煩雑な生産方法を実施せざるを得ない。前記の差は、より好ましくは0.22以上であり、さらに好ましくは0.24以上である。上記吸光度比は、分子配向のトランスコンフォメーション比率を表す。トランスコンフォメーションは分子鎖の絡み合い状態を表すものと考えられ、トランスコンフォメーション比率が高いと分子鎖の絡み合いの状態も高い。したがって、主収縮方向の吸光度比と、主収縮方向に対して直交する方向の吸光度比の差が小さいということは、長手方向の収縮率が幅方向の収縮率に近いことを意味する。なお、偏光ATR法とは、試料表面(数μm程度)の分子配向を解析する手法であるため、積層型のポリエステルフィルムにおいては、最外層のポリエステル層における吸光度比が上記の数値となる。なお、吸光度比の測定方法は後述する。また、ラベルを構成する基材フィルムとは、印刷層やその他の熱収縮性フィルム以外の層を除く意味である。
本発明のラベルは、ラベルを構成する基材フィルムについて温度変調示差走査熱量計で可逆熱容量曲線を測定したときのTg前後の比熱容量差ΔCp(可動非晶量に相当する)が0.2J/(g・℃)以上でなければならない。ラベル試料について、温度変調示差走査熱量計で可逆熱容量曲線を測定すると、Tgに相当する温度でベースラインがシフトする。シフト前後の値の差を比熱容量差ΔCpといい、これが可動非晶量に相当するとされている。可動非晶とは、Tg付近で分子鎖が動き出す非晶であり、Tgよりも高い温度にならなければ分子鎖が動ける状態とならない剛直非晶とは区別できる。この可動非晶の量が熱収縮率を左右することを本発明者らは見出している。そして、可動非晶を剛直非晶へと変化させないこと、あるいは剛直非晶の多くを可動非晶へ変化させることが、高熱収縮率で、長手方向に縮みにくいフィルムを得るために重要である。ΔCpが0.2J/(g・℃)よりも小さいと、可動非晶量が少ないため、熱収縮性ラベルにする際の溶剤アタックによる悪影響を受けやすく、また、熱収縮性ラベルにした後の長期保管によりラベルの劣化が大きいと考えられる。劣化が大きいと、熱収縮後のラベルが脆くなり、クラックが生じやすくなる。ΔCpは、0.23J/(g・℃)以上がより好ましく、0.26J(g・℃)以上がさらに好ましい。
本発明のラベルにおいては、ラベルの鉛直方向(高さ方向)の長さの最大値と最小値の差が3mm以下である。ラベルの長さとは、ボトルに被覆した状態のラベルであれば、鉛直方向の長さである。タテヒケを起こしていれば、ラベルの鉛直方向の長さの最大値と最小値の差が3mmを超えることがあり、外観不良を起こしていることを意味する。したがって、本発明のラベルでは、鉛直方向の長さの最大値と最小値の差を3mm以下とする。ラベルの鉛直方向の長さの最大値と最小値の差は2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
本発明のラベルにおいては、主収縮方向に対して直交する方向の引張破断強度は5MPa以上60MPa以下が好ましい。5MPaより小さいと、ラベルの強度不足でクラックが生じやすくなる。7MPa以上がより好ましく、9MPa以上が更に好ましい。引張破断強度は高い方が好ましいが、特許文献2に記載の煩雑な生産方法を実施せざるを得ないので、60MPaが上限である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により、延伸して熱処理することによって得ることができる。積層する場合は、複数の押し出し機やフィードブロック、マルチマニホールドを用いればよい。なお、ポリエステルは、前記した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用する。
具体的なフィルムおよびラベルの製造方法としては、原料チップをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜280℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のポリエステル原料をベント式押し出し機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。なお、押し出し時の温度は280℃を超えないようにする。溶融温度が高すぎると、ラベルとした際の極限粘度が低下し、クラックが生じやすくなるため好ましくない。押出し後は、急冷して未延伸フィルムを得る。なお、この「未延伸フィルム」には、フィルム送りのために必要な張力が作用したフィルムも含まれるものとする。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより、実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
この未延伸フィルムに対して延伸処理を行う。延伸処理は、上記キャスティングロール等による冷却後、連続して行ってもよいし、冷却後、一旦ロール状に巻き取って、その後行ってもよい。
主収縮方向がフィルム横(幅)方向であることが、生産効率上、実用的であるので、以下、主収縮方向を横方向とする場合の延伸法の例を示す。なお、主収縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場合も、下記方法における延伸方向を90゜変える等、通常の操作に準じて延伸することができる。
まず、上記で得られた未延伸フィルムを、必要によりロールで70〜100℃、好ましくは80〜90℃で加熱した後、1.1〜1.8倍の範囲で、ロールの速度差を用いて縦延伸を行う。得られた縦延伸後のフィルムは、必要により80〜120℃、好ましくは90〜110℃で予熱した後、横方向(押し出し方向に対して直交する方向)にテンター等で3.0倍以上、好ましくは3.5倍以上7倍以下に延伸する。延伸温度は、65℃以上100℃以下、好ましくは70℃以上95℃以下である。
また、横延伸後は、延伸温度より1℃〜30℃高い温度で、熱処理することが好ましい。熱処理は、延伸後のフィルムの緊張状態を緩和するために行われ、熱処理時の温度で熱収縮率の調整を行い、また自然収縮率を減少させるのにも効果がある。しかし熱処理の短所として、延伸後のフィルムを熱処理ゾーンで加熱するとボーイング現象が発生して幅方向の物性が悪くなる問題がある(参考文献:成型加工,4(5),312(1992))。これにより、本発明のラベルとなる熱収縮性ポリエステル系フィルムが得られる。
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムは公知の方法で、熱収縮性ラベルとすることができる。具体的には、所望幅に裁断した熱収縮性ポリエステル系フィルムに適当な印刷を施し、溶剤接着等によりフィルムの左右端部を重ね合わせて接合してチューブフィルムを製造する。このチューブフィルムを適切な長さに裁断し、チューブ状ラベルとする。接着用の有機溶剤としては、1,3−ジオキソランあるいはテトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。この他、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素やフェノール等のフェノール類あるいはこれらの混合物が使用できる。
上記ラベルに対し公知の方法によりミシン目を形成した後、PETボトルに被せ、当該PETボトルをベルトコンベアー等にのせて、スチームを吹きつけるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)、または熱風を吹きつけるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を通過させる。これらのトンネル通過時にラベルが熱収縮することにより、熱収縮後のラベルがPETボトル等のボトル容器に装着される。本発明のラベルは、この熱収縮後のラベルである。
包装対象物としては、飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該ラベルを約5〜70%程度熱収縮させて包装体に密着させる。包装対象物に被覆されるラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。なお、本発明には、本発明のラベルを容器の外周の少なくとも一部に有する包装容器も含まれる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムおよびラベルの物性の測定方法は、以下の通りである。
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
熱収縮性ポリエステル系フィルムを長手方向およびその直交方向(幅方向)に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、90℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、水中から引き出して、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。
熱収縮率(%)={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}
本実施例では、フィルムの最も収縮率の大きい方向(主収縮方向)は幅方向である。
[Tg前後の比熱容量差ΔCp]
温度変調示差走査熱量計(DSC、「Q100」;TA Instruments社製)を用い、サンプルとして、熱収縮性ポリエステル系フィルム、または熱収縮後のラベルをハーメチックアルミニウムパン内に10.0±0.2mg精秤し、MDSC(登録商標)ヒートオンリーモードで、平均昇温速度1.0℃/min、変調周期40秒で測定し、可逆熱容量曲線を得た。得られた熱容量曲線において、付属の解析ソフト(TA Instruments社製;TA Analysis)を用いて変曲点を求め、変曲点(ガラス転移点;Tg)前後の熱容量差を下記式に従って求め、可逆熱容量差ΔCp(J/(g・℃))とした。ここで、上記の変曲点とは、可逆熱容量曲線が凹凸のない理想的な曲線である場合に、可逆熱容量曲線を2回微分したときの値が0である点をいう。
可逆熱容量差ΔCp(J/(g・℃))=(Tgよりも高温側の熱容量)−(Tgよりも低温側の熱容量)
ここで、熱容量曲線において、Tgより高温側での熱容量曲線のベースラインの延長線を引く。Tg+5℃からTg+15℃の範囲の熱容量曲線のベースラインを、最小二乗法により直線フィッティングしたものを、前記Tgより高温側での熱容量曲線のベースラインの延長線とする。そして、変曲点(Tg)における接線との交点を求め、この交点におけるY軸(可逆熱容量)の値を読み取り、高温側の熱容量とする。次に、Tg−15℃からTg−5℃の範囲の熱容量曲線のベースライン、最小二乗法により直線フィッティングしたものを前記Tgより低温側の熱容量曲線のベースラインの延長線とする。そして、変曲点(Tg)における接線との交点を求め、この交点におけるY軸(可逆熱容量)の値を読み取り、低温側の熱容量とし、高温側の熱容量と低温側の熱容量の値の差を熱容量差ΔCp(J/(g・℃))とした。
熱収縮性ポリエステル系フィルム、または熱収縮後のラベルについて、1340cm-1と1410cm-1の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)を偏光ATR法で求めた。具体的には、FT−IR装置(「FTS 60A/896」、バリアン社製)を用いて、ATR法で測定波長領域(650〜4000cm-1)、積算回数128回、偏光をかけて赤外吸収スペクトルの吸収帯を利用して行った。得られた吸光度比から、下記式にしたがって差を求め、吸光度比の差とした。
吸光度比の差=ラベル主収縮方向の吸光度比−ラベル主収縮方向に対して直交する方向の吸光度比
[引張破断強度、伸度]
測定方向が140mm、測定方向と直交する方向が20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端をチャックで片側20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/minの条件にて引張試験を行い、引張破断時の強度(応力)を引張破断強度(MPa)、伸びを引張破断伸度(%)とした。
[極限粘度]
原料チップ0.1g、またはラベル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定した。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
ここで、ηsp:比粘度、t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オス
トワルド粘度計を用いたチップ(またはラベル)溶液の落下時間、C:チップ(またはラベル)溶液の濃度である。なお、実際の測定では、Huggins式においてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を算出した。
[熱収縮性ラベルの作製方法]
下記実施例および比較例で作製したフィルムロールを約242mm幅にスリットした上で、所定の長さに分割して巻き取ることによって小型のスリットロールを作製した。このスリットロールに、東洋インキ社製の草・金・白色のインキを用いて、ラベル用の印刷(3色印刷)を繰り返し施した。また、ラベル毎に、フィルムの長手方向にフィルム全長手方向に亘るミシン目(約1mm径の穴が約4mm間隔で並ぶミシン目)を約22mmの間隔で2本平行に形成した。熱収縮性フィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状の熱収縮性ラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作製した。その後、長手方向に210mmピッチでカットして熱収縮性ラベルとし、500mlの角型PETボトル(胴部は1辺55mmの断面正方形、ネック部の最小部は1辺25mmの断面正方形)にラベルを被せ、ゾーン温度80℃のFuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)内を、2.5秒で通過させることにより、ラベルを熱収縮させてボトルに装着した。なお、装着の際には、ネック部において1辺31mmの正方形部分がラベルの上端になるように調整した。
[ラベル(熱収縮後)のエージング]
ラベルの装着完了後のPETボトルを24本毎に段ボール箱に詰め、夏場の倉庫での保管を想定し、45℃の環境試験室で60日間保管した。
[ラベル(熱収縮後)の物性測定]
エージング後のPETボトル胴部に接していたラベルについて、各物性を測定した。また、実施例5においては、ラベル外側のポリエステル層についての物性を測定した。なお、印刷部は、メチルエチルケトンを布にしみこませ、この布で拭き取って除去した。
[ラベル(熱収縮後)の歪み]
収縮後の仕上がり性として、ラベルの歪み、すなわちタテヒケがないかを評価した。具体的には、ラベルの鉛直方向の長さを測定し、最大値と最小値の差が3mm以下であれば○、3mmを超えていれば×とした。
[クラック発生の有無]
上記のエージング後のPETボトルが詰まった段ボール箱を3箱トラックの荷台に載せ、合計48時間以上となるよう、トラックを走行させた。段ボール箱からPETボトルを取り出し、目視でラベルのクラックの有無を調査した。72本のPETボトルのうち、1本でもクラックが入っていた場合は×、クラックが全くない場合は○として評価した。
[ポリエステル原料の調製]
合成例1(ポリエステルの合成)
エステル化反応缶に、57036質量部のテレフタル酸(TPA)、33244質量部のエチレングリコール(EG)、15733質量部のネオペンチルグリコール(NPG)、重縮合触媒として23.2質量部の三酸化アンチモン、5.0質量部の酢酸ナトリウム(アルカリ金属化合物)および46.1質量部のトリメチルホスフェート(リン化合物)を仕込み、0.25MPaに調圧し、220〜240℃で120分間撹拌することによりエステル化反応を行った。反応缶を常圧に復圧し、3.0質量部の酢酸コバルト・4水塩、および124.1質量部の酢酸マグネシウム・4水塩を加え、240℃で10分間撹拌した後、75分かけて1.33hPaまで減圧すると共に、280℃まで昇温した。280℃で溶融粘度が4500ポイズになるまで撹拌を継続(約70分間)した後、ストランド状で水中に吐出した。吐出物をストランドカッターで切断することにより、チップBを得た。チップBの極限粘度は0.75dl/gであった。
合成例2
合成例1と同様な方法により、表1に示した組成のチップA、Cを得た。表中、DEGはジエチレングリコール、PDは1,3−プロパンジオールの略記である。なお、チップAには、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して2,000ppmの割合で添加した。極限粘度は、チップAが0.75dl/g、チップCが0.92dl/gであった。
また、表2には、実施例5で用いた市販のポリスチレン系樹脂を示した。なお、「クリアレン」は電気化学工業社の登録商標、「タフプレン」は旭化成ケミカルズ社の登録商標である。
実施例1
<熱収縮性フィルムの製造方法>
上記したチップA、チップBおよびチップCを別個に予備乾燥し、表3に示したように、チップA20質量%、チップB70質量%およびチップC10質量%で混合して押出機に投入した。この混合樹脂を260℃で溶融させてTダイから押し出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに接触させて急冷することにより、厚さ121μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引き取り速度(金属ロールの回転速度)は約20m/minであった。また、未延伸フィルムのTgは73℃であった。
上記未延伸フィルムを縦延伸機へ導いた。縦延伸機の予熱ロール上でフィルム表面温度が85℃になるまで予熱し、ロールの速度差を用いて1.5倍に縦延伸した。縦延伸後は表面温度30℃のロールで冷却した。
得られた縦延伸後のフィルムをテンター(横延伸機)へ導いた。予熱工程の温度を100℃、延伸工程の温度を75℃とし、幅方向に4.5倍に延伸した。横延伸後のフィルムを88℃で8秒間、緊張状態で熱処理した。その後、冷却し、両縁部を裁断除去して幅800mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ18μmの延伸フィルムを所定の長さにわたって連続的に製造した。得られたフィルムと、得られたフィルムから作製し、熱収縮させてエージングした後のラベルの物性を上記した方法によって評価した。評価結果を表4に示した。クラックの発生がなく、良好なラベルであった。
実施例2
溶融温度を280℃に上げた以外は実施例1と同様にして、厚さ18μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示す。フィルムのときより、エージングによって極限粘度は若干低下したが、クラックの発生がなく、良好なラベルであった。
実施例3
チップA、チップBおよびチップCを、質量比30:60:10に変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ18μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示す。フィルムのときより、エージングによってTg前後の比熱容量差ΔCpは低下したが、クラックの発生がなく、良好なラベルであった。
実施例4
未延伸フィルムの厚みを60μmにした以外は実施例1と同様にして、厚さ9μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示す。クラックの発生がなく、良好なラベルであった。
実施例5
共押出法を利用して、コア層形成用樹脂、スキン層形成用樹脂、接着剤層形成用樹脂を別々の押出機(第一〜第三押出機)から溶融押出しし、ダイス(Tダイ)内で積層し、エアーナイフ法により、30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが121μmで、三種五層構成、すなわち、コア層の表裏両側に中間層(接着剤層)が積層され、それらの中間層の外側に、それぞれスキン層が積層された構成の未延伸フィルム(ポリスチレン系樹脂積層シート)を得た。未延伸フィルムの各層の形成方法(溶融押出までの工程)は、以下の通りである。なお、以下の説明においては、ポリスチレン系樹脂積層シートの表側から順に、第一層、第二層、第三層、第四層、第五層という(すなわち、第五層の表面は、金属ロール接触面である)。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。
・第一層、第五層(スキン層)の形成
上記したチップAとBを、それぞれブレンダー装置を用いて予備乾燥した後、その予備乾燥後のチップAを25質量部とチップBを65質量部とチップCを10質量部とをブレンダーにて混合させた後、第一押出機の直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に供給した。そして、供給されたチップA〜Cの混合物を、単軸式の第一押出機のTダイから260℃で溶融押出しした(コア層の表裏の外側に積層された中間層の外側に積層されるように溶融押出しした)。Tダイからの押出を安定させるために、押出機とTダイとの間にヘリカルタイプかつ並列タイプのギアポンプを介在させた。
・第二層、第四層(接着剤層)の形成
上記したチップDを、ブレンダー装置を用いて予備乾燥した後、その予備乾燥後のチップDを、第二押出機の直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に供給した。そして、供給されたチップDを、単軸式の第二押出機のTダイから溶融押出しした(コア層の表裏の外側に積層されるように溶融押出しした)。なお、第二押出機の温度は200℃に調整した。また、第一押出機による押出しと同様に、Tダイからの押出を安定させるために、押出機とTダイとの間にヘリカルタイプかつ並列タイプのギアポンプを介在させた。
・第三層(コア層)の形成
上記したチップE,F,Gを、それぞれ、ブレンダー装置を用いて予備乾燥した後、それらのチップE,F,Gを、混合ミキサー内へ、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給した。なお、チップEの供給量を43質量%とし、チップFの供給量を43質量%とし、チップGの供給量を14質量%とした。その後、混合ミキサー内で混合したチップE,F,Gの混合原料を、第三押出機の直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に供給した。そして、供給されたチップE,F,G(混合済みのもの)を、単軸式の第三押出機のTダイから溶融押出しした。なお、第三押出機の温度も200℃に調整した。また、第一押出機による押出しや第二押出機による押出しと同様に、Tダイからの押出を安定させるために、押出機とTダイとの間にヘリカルタイプかつ並列タイプのギアポンプを介在させた。
上記各押出機による樹脂の押出において、未延伸フィルムの形成における第一〜第三押出機の吐出量は、第一層/第二層/第三層/第四層/第五層の厚みが、33/3/49/3/33(総厚み121μm)となるように調整した。評価結果を表4に示す。クラックの発生もなく、良好なラベルであった。
比較例1
溶融温度を310℃に上げた以外は実施例1と同様にして、厚さ18μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示した。フィルムのときより、エージングによって長手方向の引張破断伸度、極限粘度、Tg前後の比熱容量差ΔCpが低下し、クラックが発生し、不適なラベルであった。
比較例2
チップAとチップBの質量比を30:70に変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ18μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示す。フィルムの長手方向の収縮率が高く、タテヒケが発生し、不適なラベルであった。
比較例3
チップA、チップBおよびチップCの質量比を5:80:15にした以外は実施例2と同様にして、厚さ18μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示す。エージングにより、極限粘度と引張破断伸度が低下し、クラックも発生して、不適なラベルであった。
比較例4
未延伸フィルムの厚みを27μmにした以外は実施例2と同様にして、厚さ4μmのフィルムを製造した。エージングにより極限粘度が若干低下しただけであったが、ラベルの厚みが薄いため、クラックが発生し、不適なラベルであった。
参考例1
未延伸フィルムの厚みを270μmにした以外は比較例1と同様にして、厚さ40μmのフィルムを製造した。評価結果を表4に示した。エージングにより極限粘度は低下したが、ラベルの厚みが厚いため、クラックの発生はなかった。
本発明のラベルは、薄肉化の要請に対応でき、かつ、輸送時のクラックの発生も抑制できているため、飲料用ボトルのラベル等として有用である。

Claims (3)

  1. 以下の(1)〜(6)の要件を満足することを特徴とするポリエステル系ラベル。
    (1)ラベルの基材フィルムの厚みが8μm以上30μm以下
    (2)ラベルを構成するポリエステルの極限粘度が0.60dl/g以上
    (3)ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の引張破断強度が5MPa以上60MPa以下
    (4)ラベルを構成する基材フィルムについて偏光ATR法で1340cm-1の吸光度と1410cm-1の吸光度を求めた場合、ラベル主収縮方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)と、ラベルの主収縮方向に対して直交する方向の吸光度比(1340cm-1/1410cm-1)との差が0.2以上
    (5)ラベルを構成する基材フィルムについて温度変調示差走査熱量計で可逆熱容量曲線を測定したときのTg前後の比熱容量差ΔCpが、0.2J/(g・℃)以上
    (6)ラベルの鉛直方向の長さの最大値と最小値の差が3mm以下
  2. ラベルを構成するポリエステルが、ポリエステルを構成するユニット100モル%中、プロパンジオール由来のユニットを5モル%以上15モル%以下有する請求項1に記載のポリエステル系ラベル。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のラベルを容器の外周の少なくとも一部に有することを特徴とする包装容器。
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