JP5305718B2 - ゴルフボール - Google Patents

ゴルフボール Download PDF

Info

Publication number
JP5305718B2
JP5305718B2 JP2008110385A JP2008110385A JP5305718B2 JP 5305718 B2 JP5305718 B2 JP 5305718B2 JP 2008110385 A JP2008110385 A JP 2008110385A JP 2008110385 A JP2008110385 A JP 2008110385A JP 5305718 B2 JP5305718 B2 JP 5305718B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layered silicate
cover
golf ball
organic
ionomer resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008110385A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009254750A (ja
Inventor
俊之 多羅尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dunlop Sports Co Ltd
Original Assignee
Dunlop Sports Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dunlop Sports Co Ltd filed Critical Dunlop Sports Co Ltd
Priority to JP2008110385A priority Critical patent/JP5305718B2/ja
Priority to US12/422,505 priority patent/US8168712B2/en
Publication of JP2009254750A publication Critical patent/JP2009254750A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5305718B2 publication Critical patent/JP5305718B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B37/00Solid balls; Rigid hollow balls; Marbles
    • A63B37/12Special coverings, i.e. outer layer material
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B37/00Solid balls; Rigid hollow balls; Marbles
    • A63B37/0003Golf balls
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B37/00Solid balls; Rigid hollow balls; Marbles
    • A63B37/0003Golf balls
    • A63B37/0023Covers
    • A63B37/0024Materials other than ionomers or polyurethane
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B37/00Solid balls; Rigid hollow balls; Marbles
    • A63B37/0003Golf balls
    • A63B37/0023Covers
    • A63B37/0029Physical properties
    • A63B37/0031Hardness
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A63SPORTS; GAMES; AMUSEMENTS
    • A63BAPPARATUS FOR PHYSICAL TRAINING, GYMNASTICS, SWIMMING, CLIMBING, OR FENCING; BALL GAMES; TRAINING EQUIPMENT
    • A63B45/00Apparatus or methods for manufacturing balls

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、耐久性および反発性に優れたゴルフボールに関するものである。
ゴルフボールのカバーを構成する樹脂成分としては、反発性に優れることからアイオノマー樹脂が広く使用されている。このようなアイオノマー樹脂の反発性をさらに向上させるためには、高硬度および高剛性にすることが好ましいが、剛性や硬度が高いカバーは、打撃の繰返しによるクラックの発生などが生じやすく、耐久性が劣るなどの問題が指摘されている。
そこで、カバーを構成する樹脂成分に有機短繊維、ガラス、金属、粘土鉱物などの充填剤を配合して、カバーの特性を改善することが提案されている。例えば、特許文献1には、無機材料の粒子が反応し、実質的に均一に分散した構造をもつ重合体からなり、然も、前記粒子の各々が、約1μ以下の最大粒径で、そのような粒子の最小粒径よりも少なくとも1桁大きい最大粒径を有する、ナノ複合体材料を含有するゴルフボールが開示されている。特許文献2には、コアと、前記コアを取り巻く外層部を有するゴルフボールであって、前記外層部が、樹脂マトリックス中にカチオン処理された層状珪酸塩を含有する樹脂組成物からなるゴルフボールが開示されている。
特表2004−504900号公報 特開2006−43447号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載のゴルフボールは、耐久性および反発性の観点から検討の余地があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、耐久性および反発性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、アイオノマー樹脂と、有機化層状珪酸塩を含有し、前記有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmであることを特徴とする。
層状珪酸塩表面を有機化処理することにより、樹脂成分であるアイオノマー樹脂に対する層状珪酸塩の分散性を高めることができる。また、本発明では、カバー中の有機化層状珪酸塩を単葉化するのではなく、有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合する際や、カバーを成形する際に、有機化層状珪酸塩の層間距離の拡大量を調整して、カバー中の有機層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離を2.5nm〜15nmとなるように調整する。こうすることによって、有機化層状珪酸塩を単葉化した場合よりも、耐久性および反発性を向上することができる。
なお、カバー中の有機化層状珪酸塩の層間距離を上記の範囲に調整することによって、有機化層状珪酸塩を単葉化した場合よりも、耐久性および反発性が向上する理由は明らかではないが、有機化層状珪酸塩の層間距離を2.5nm〜15nmとすることにより、カバー中の有機化層状珪酸塩の層間にはアイオノマー樹脂が挟み込まれた状態となり、アイオノマー樹脂と有機化層状珪酸塩との相互作用が強くなって、有機化層状珪酸塩によるカバーの補強効果が強くなるためと考えられる。
前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg)は、0.5g/10min〜15g/10minであることが好ましい。
前記カバー中の有機化層状珪酸塩の含有量は、前記アイオノマー樹脂100質量部に対して0.01質量部〜10質量部とすることが好ましい。前記有機化層状珪酸塩としては、有機アンモニウムイオンで有機化処理された層状珪酸塩が好適である。
前記カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で、40〜80であることが好ましい。
本発明のゴルフボールの製造方法は、層状珪酸塩を有機陽イオンによって有機化処理して有機化層状珪酸塩を作製する有機化処理工程;得られた有機化層状珪酸塩、アイオノマー樹脂および添加剤を用いて、得られるカバーに含有される有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmとなるようにカバーを成形するカバー成形工程;を有することを特徴とする。前記製造方法を採用することにより、有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が2.5nm〜15nmであるカバーを容易に成形することができる。
本発明のゴルフボールの製造方法は、前記カバー成形工程前に、有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合して、層状珪酸塩の層間距離が2.0nm〜15nmのナノコンポジットを作製するナノコンポジット化工程を有することが好ましい。
前記ナノコンポジット化工程においては、二軸押出機を用いて、混合温度140℃〜220℃の混合条件で有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合することが好ましい。また、前記カバー成形工程においては、二軸押出機を用いて、混合温度140℃〜220℃の条件で、ナノコンポジットと添加剤との混合およびカバーの射出成形を行うことが好ましい。
本発明によれば、耐久性および反発性に優れたゴルフボールを得られる。
本発明のゴルフボールは、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、アイオノマー樹脂と、有機化層状珪酸塩を含有し、前記有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmであることを特徴とする。
前記カバー中の有機層化状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離は2.5nm以上であり、好ましくは2.6nm以上、より好ましくは2.7nm以上であって、15nm以下、好ましくは14.5nm以下、より好ましくは14.0nm以下である。カバー中の有機化層状珪酸塩の層間距離を2.5nm〜15nmとすることにより、有機化層状珪酸塩によるカバーの補強効果が強くなり、耐久性および反発性が向上する。なお、本願においてカバー中の有機化層状珪酸塩の層間距離とは、カバー用の組成物を用いて、カバー成形条件と同様の射出条件にてシート状に成形して、当該シート中の有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離であり、後述する測定方法により測定する。
ここで、本発明におけるX線回折で測定される層間距離とは、X線回折測定で得られるスペクトル中の1次ピークのピーク位置(θm)からブラッグの式(下記式(1))により算出される層間距離(d)の値をいう。

d:層間距離(nm)
θm:1次ピークのピーク位置(°)
λ:X線源の波長(nm)
すなわち、X線回折で測定される層間距離(d)が2.5nm〜15nmであるとは、換言すると、例えば、X線としてCuKα線(λ=0.15418nm)を用いて測定した場合、得られるX線スペクトル中の1次ピーク(θm)が、0.294°〜1.77°に位置しているということである。
前記カバーに用いられる有機化層状珪酸塩について説明する。前記有機化層状珪酸塩とは、層状珪酸塩がその結晶層間に本来有している金属陽イオンの一部または全部を、有機陽イオンに交換したものをいう。なお、以下の説明において、有機化されていない層状珪酸塩を単に「層状珪酸塩」といい、有機化処理された層状珪酸塩を「有機化層状珪酸塩」という。
前記層状珪酸塩としては、層状の構造を有する珪酸塩であれば特に限定されず、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイトなどのカオリナイト族の層状珪酸塩;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族の層状珪酸塩;2八面体型バーミキュライト、3八面体方バーミキュライトなどのバーミキュライト族、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライトなどの雲母族の層状珪酸塩;マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどの脆雲母族の層状珪酸塩;クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどの緑泥石族の層状珪酸塩などが挙げられる。これらの層状珪酸塩は、天然のものでも、合成のものでもいずれであっても良く、単独または2種以上の混合物として使用することができる。これらの中でも、本発明に用いられる層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族の層状珪酸塩;2八面体型バーミキュライト、3八面体方バーミキュライトなどのバーミキュライト族が好ましく、特にモンモリロナイトが好適である。
前記層状珪酸塩を構成する各層(一次粒子)は、厚さが10nm以下のナノサイズの微粒子であることが好ましく、その長さと幅はそれぞれ、1μm以下の平板な形状を有することが好ましい。前記層状珪酸塩の大きさは、特に限定されないが、1μm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
前記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、30meq/100g以上であることが好ましく、より好ましくは40meq/100g以上、さらに好ましくは50meq/100g以上であり、200meq/100g以下であることが好ましく、より好ましく180meq/100g以下、さらに好ましくは160meq/100g以下である。陽イオン交換容量が30meq/100g以上であれば、有機化処理を行う際に、有機陽イオンの交換を十分に行うことができ、層間距離を所望の間隔に拡大することができ、陽イオン交換容量が200meq/100g以下であれば、結晶層間の結合力が強すぎることがなく、容易に層間距離を拡大することができる。なお、陽イオン交換容量とは、単位質量当たりの層状珪酸塩が含有する交換性を有する陽イオンの量である。
層状珪酸塩の有機化処理に用いられる有機陽イオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオン、有機フォスフォニウムイオン、有機スルフォニウムイオンなどが挙げられる。
前記有機陽イオンの有する炭素鎖の炭素数は、3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、50以下が好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。有機陽イオンの有する炭素鎖の炭素数を3以上50以下とすることにより、有機化処理の際に層状珪酸塩の層間距離を所望の間隔に拡大することができる。なお、有機化層状珪酸塩の層間距離は、基本的に有機陽イオンの有する炭素鎖の長さによって決まるため、所望の層間距離に応じて有機陽イオンの炭素鎖の炭素数を適宜変更すればよい。
前記有機アンモニウムイオンとしては、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオンなどの1級アンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンなどの2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンなどの3級アンモニウムイオン;ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。前記有機フォスフォニウムイオンとしては、ステアリルフォスフォニウムイオンなどが挙げられる。前記有機スルフォニウムイオンとしては、ステアリルスルフォニウムイオンなどが挙げられる。これらの有機陽イオンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明で用いる有機陽イオンとしては、有機アンモニウムイオンが好ましく、より好ましくは1級アンモニウムイオンであり、特にステアリルアンモニウムイオンが好適である。
前記有機陽イオン源としては、前記有機陽イオンの塩を用いればよい。例えば、ステアリルアンモニウムを有機陽イオンとする場合には、ステアリルアミン塩酸塩を用いればよく、ジステアリルジメチルアンモニウムを有機陽イオンとする場合には、ジステアリルジメチルアミノクロライドを用いればよい。なお、有機化処理方法については後述する。
前記有機化層状珪酸塩中のイオン交換率は、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。有機化層状珪酸塩中のイオン交換率を50モル%以上とすることにより、アイオノマー樹脂に対する有機化層状珪酸塩の分散性を向上させることができる。ここで、有機化層状珪酸塩中のイオン交換率とは、有機化処理前の層状珪酸塩が含有する交換性を有する陽イオンのうち、どの程度の陽イオンが有機陽イオンに交換されたかという比率(百分率)である。
また、有機化処理された直後、すなわち、アイオノマー樹脂と混合される前の状態における、前記有機化層状珪酸塩の層間距離は1.5nm以上が好ましく、より好ましくは1.8nm以上、さらに好ましくは2.0nm以上であり、15nm以下が好ましく、より好ましくは14.5nm以下、さらに好ましくは14.0nm以下である。アイオノマー樹脂と混合前の有機化層状珪酸塩の層間距離が1.5nm以上であれば、有機化層状珪酸塩の層間にアイオノマー樹脂が入り込みやすくなる。そのため、アイオノマー樹脂と有機化層状珪酸塩とを、溶媒に溶かして混合するというような作業を必要とせず、単に押出機で混合するだけで、アイオノマー樹脂を有機層状珪酸塩の層間に挿入できるようになる。また、アイオノマー樹脂と混合前の有機化層状珪酸塩の層間距離が20nm以下であれば、アイオノマー樹脂と有機化層状珪酸塩とを混合する際に、有機層状珪酸塩が単葉化されることを抑制することができる。
前記カバーの樹脂成分として用いられるアイオノマー樹脂について説明する。
前記アイオノマー樹脂は、重合体が有する酸性基の少なくとも一部が金属イオンで中和された樹脂である。
前記アイオノマー樹脂としては、特に限定されず、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂;エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂;またはこれらの混合物を挙げることができる。前記アイオノマー樹脂としては、特に、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属中和物、または、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属中和物、およびこれらの混合物が好適である。
前記アイオノマー樹脂の酸含量は5質量%以上が好ましく、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、特に好ましくは8質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは26質量%以下である。酸含量を5質量%以上30質量%以下とすることにより、カバー用組成物の流動性を維持したままで、所望の硬さや剛性が得られる。ここで、酸含量とは、樹脂中の酸性基含有成分の含有量である。また、酸性基含有成分とは、分子中にカルボキシル基などの酸性基を有する単量体成分であり、例えば、α,β−不飽和カルボン酸などのカルボキシル基含有単量体成分をいう。
前記アイオノマー樹脂に用いられる中和金属(イオン)としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属(イオン);マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属(イオン);アルミニウムなどの3価の金属(イオン);錫、ジルコニウムなどのその他の金属(イオン)が挙げられる。これらの金属(イオン)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウム(イオン)が反発性、耐久性などから好ましく用いられる。
前記アイオノマー樹脂が含有する酸性基の中和度は、5モル%以上が好ましく、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、100モル%以下が好ましく、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下である。なお、アイオノマー樹脂中の酸性基の中和度は、下記式で求めることができる。
また、本発明で用いるアイオノマー樹脂は、中和金属として2種以上の金属(イオン)を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂に2種以上の金属(イオン)を含有させる態様としては、特に限定されるものでないが、例えば、(I)1種の重合体が有する酸性基を2種以上の金属(イオン)によって中和する態様;(II)それぞれ異なる金属(イオン)で中和された2種以上の重合体を混合する態様が挙げることができ、前記(II)の態様が好適である。
上記のように2種以上の中和金属を含有させる場合、中和金属の組合せは特に限定されない。例えば、2種の中和金属を併用する場合の組合せとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属(イオン)と、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属(イオン)とを併用することが好ましく、特に、ナトリウムと亜鉛を併用することが好適である。中和金属として、ナトリウムと亜鉛とを併用することにより、アイオノマー樹脂の反発性を向上させることができるため、ゴルフボールの反発性をより向上させることができる。
前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg)は、0.5g/10min以上が好ましく、より好ましくは1.5g/10min以上、さらに好ましくは2.0g/10min以上であり、15g/10min以下が好ましく、より好ましくは14g/10min以下、さらに好ましくは13g/10min以下である。前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイトが0.5g/10min以上であれば、アイオノマー樹脂と有機化層状珪酸塩とを溶融混合する際に、アイオノマー樹脂に対する有機化層状珪酸塩の分散性が良好となる。また、溶融混合時に有機化層状珪酸塩に過剰なせん断力がかかることがないため、有機化層状珪酸塩が単葉化してしまうことがない。また、メルトフローレイトが15g/10min以下であれば、アイオノマー樹脂と有機化層状珪酸塩とを溶融混合する際に、適度なせん断力が得られるため、容易にアイオノマー樹脂を有機層状珪酸塩の層間に挿入できる。
なお、本発明において、メルトフローレイト(190℃、2.16kg)とは、190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けたとき、直径2.09mmの穴から単位時間当たりに流出する樹脂の総質量であり、後述する測定方法により測定する。
前記アイオノマー樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは73以下、さらに好ましくは70以下である。アイオノマー樹脂の硬度を、ショアD硬度で40以上とすることにより、カバー用組成物が柔らかくなりすぎず、良好な反発性が得られる。また、アイオノマー樹脂の硬度を、ショアD硬度で75以下とすることにより、カバー用組成物が硬くなりすぎず、十分な耐久性が得られる。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1702(Zn)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミランAM7329(Zn)、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン6320(Mg)、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン9320W(Zn)など)」、「HPF 1000(Mg)、HPF 2000(Mg)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記カバーを形成するカバー用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂成分として、前記アイオノマー樹脂に加えて、他の樹脂成分を含有することができる。なお、本発明においては、カバー用組成物が、樹脂成分としてアイオノマー樹脂のみを含有する態様が好ましい。
前記他の樹脂成分としては、例えば、ポリウレタン樹脂や熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。前記ポリウレタン樹脂の具体例としては、例えば、BASFジャパン(株)から市販されている「エラストラン(登録商標)」などを挙げることができる。前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えばアルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」または三菱化学(株)から商品名「プリマロイ(登録商標)(例えば、「プリマロイA1500」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記カバー中の有機化層状珪酸塩の含有量は、アイオノマー樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。カバー中の有機化層状珪酸塩の含有量が、アイオノマー樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であれば、より高い耐久性向上効果および反発性向上効果が得られ、10質量部以下であれば、カバーが硬くなり過ぎず、耐久性がより良好となる。
前記カバー用組成物は、前記樹脂成分などの他、酸化チタンや青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、カバーを構成するアイオノマー樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で、40以上が好ましく、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、80以下が好ましく、より好ましくは75以下、さらに好ましくは70以下である。前記カバーのスラブ硬度を、ショアD硬度で40以上とすることにより、カバーが柔らかくなりすぎず、十分な反発性能が得られ、一方、80以下とすることにより、カバーが硬くなりすぎず、十分な耐久性が得られる。ここで、カバーのスラブ硬度とは、カバー用の組成物を用いて、カバー成形条件と同様の射出条件にてシート状に成形して、当該シートについて測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。
本発明のゴルフボールの製造方法について説明する。
本発明のゴルフボールの製造方法は、層状珪酸塩を有機陽イオンによって有機化処理して有機化層状珪酸塩を作製する有機化処理工程;得られた有機化層状珪酸塩、アイオノマー樹脂および添加剤を用いて、得られるカバーに含有される有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmとなるようにカバーを成形するカバー成形工程;を有することを特徴とする。また、本発明のゴルフボールの製造方法は、前記カバー成形工程前に、有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合して、層状珪酸塩の層間距離が2.0nm〜15nmのナノコンポジットを作製するナノコンポジット化工程を有することが好ましい。
なお、すでに有機化処理された有機層状珪酸塩(例えば、Laviosa Chimica Mineraria S.p.A.社から市販されている「Dellite(登録商標)43B」など)を用いる場合には、層状珪酸塩を有機陽イオンによって有機化処理して有機化層状珪酸塩を作製する工程は省略することができる。
有機化処理工程における、層状珪酸塩を有機陽イオンによって有機化処理して有機化層状珪酸塩を作製する方法は、層状珪酸塩と有機陽イオンとを接触させて、陽イオンの置換反応を行えばよい。前記陽イオン交換反応は、例えば、有機層状珪酸塩を分散媒に分散させたところへ、有機陽イオンを添加し、撹拌することで行うことができる。
前記層状珪酸塩を分散させる分散媒としては、例えば、水、N−メチルホルムアミド、ホルムアミドが挙げられる。前記分散媒に対する層状珪酸塩の分散は、機械的な撹拌によって行うことができ、その撹拌時間は1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上である。なお、層状珪酸塩の分散を促進するために、機械的な撹拌とともに空気吹き込みや超音波印加を併用してもよい。
前記陽イオン交換反応を行う際の分散液温度は50℃以上とすることが好ましく、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。また、反応時間は1時間以上とすることが好ましく、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上であり、20時間以下とすることが好ましく、より好ましくは18時間以下、さらに好ましくは15時間以下である。
反応後の有機化処理された層状珪酸塩を、吸引ろ過などによって反応液から濾取し、水やメタノール水溶液で十分に洗浄した後、乾燥することにより有機化層状珪酸塩が得られる。
ナノコンポジット化工程における有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合してナノコンポジットを作製する方法は、特に限定されるものではないが、二軸押出機を用いて混合する方法が好適である。
二軸押出機による有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂との混合条件としては、混合温度は140℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上であり、220℃以下が好ましく、より好ましくは210℃である。なお、混合温度は、投入口からダイまでを一定の温度としてもよいが、140℃〜220℃の範囲で温度勾配を設けてもよい。また、例えば、フルフライト式スクリュー(スクリュー径2cm)を用いる場合には、スクリューL/Dは25以上が好ましく、より好ましくは30以上である。スクリュー回転速度は50rpm以上が好ましく、より好ましくは60rpm以上であり、200rpm以下が好ましく、より好ましくは190rpm以下、さらに好ましくは120rpm以下である。
ナノコンポジット中の有機化層状珪酸塩の層間距離は2.0nm以上とすることが好ましく、より好ましくは2.2nm以上、さらに好ましくは2.5nm以上であり、15nm以下とすることが好ましく、より好ましくは14.5nm以下、さらに好ましくは14.0nm以下である。ナノコンポジット中の有機化層状珪酸塩の層間距離が2.0nm未満では、有機化層状珪酸塩の層間にアイオノマー樹脂が十分に挿入されておらず、耐久性が向上しないおそれがあり、15nmを超えると、有機化層状珪酸塩が剥離された状態に近くなり、有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂との相互作用が弱くなるため、耐久性が向上しないおそれがある。
カバー成形工程におけるナノコンポジットと添加剤とを混合し、カバーを射出成形する方法は、特に限定されるものではないが、二軸押出機を用いる方法が好適である。
二軸押出機によるナノコンポジットと添加剤との混合条件としては、混合温度は140℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上であり、220℃以下が好ましく、より好ましくは210℃である。なお、混合温度は、投入口からダイまでを一定の温度としてもよいが、140℃〜220℃の範囲で温度勾配を設けてもよい。また、例えば、フルフライト式スクリュー(スクリュー径2cm)を用いる場合には、スクリューL/Dは25以上が好ましく、より好ましくは30以上である。スクリュー回転速度は50rpm以上が好ましく、より好ましくは60rpm以上であり、200rpm以下が好ましく、より好ましくは190rpm以下、さらに好ましくは120rpmである。
カバー用組成物をコア上に直接射出成形してカバーを成形する際は、カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、上記ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、140℃〜220℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
本発明のゴルフボールにおいては、カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上であり、2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.8mm以下、さらに好ましくは1.6mm以下である。カバーの厚みを0.3mm以上とすることにより、本発明の効果が得られ耐久性が向上し、一方、2.0mm以下とすることにより、十分な反発性が得られる。
また、カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。さらに、カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが5μm以上、より好ましくは7μm以上、25μm以下、より好ましくは18μm以下であることが望ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が25μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
次に、本発明のゴルフボールのコアの好ましい態様について説明する。
本発明のゴルフボールのコアの構造としては、例えば、単層のコア、センターと前記センターを被覆する単層の中間層とからなるコア、センターと前記センターを被覆する複数もしくは複層の中間層とからなるコアなどを挙げることができる。また、コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する箇所が生じるからである。一方、センターの形状としては、球状が一般的であるが、球状センターの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状センターの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状センターの表面にセンターと一体的に突条を設ける態様、あるいは、球状センターの表面に突条の中間層を設ける態様などを挙げることができる。
前記突条は、例えば、球状センターを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状センター表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られる凹部を、複数の中間層、あるいは、それぞれの凹部を被覆するような単層の中間層によって充填するようにして、コアの形状を球形とするようにすることが好ましい。前記突条の断面形状は、特に限定されることなく、例えば、円弧状、あるいは、略円弧状(例えば、互いに交差あるいは直交する部分において切欠部を設けた形状)などを挙げることができる。
本発明のゴルフボールのコアまたはセンターには、従来公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を採用することができ、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、および、充填剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する箇所が生じるからである。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90%質量以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。0.2質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、3質量部を超えると、適切な硬さにするために、共架橋剤の使用量を増加する必要があり、反発性が不足気味になる。
前記共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、または、これらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、より好ましくは20質量部以上であって、50質量部以下、より好ましくは40質量部以下であることが望ましい。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために架橋開始剤の量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が50質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下するおそれがある。
コア用ゴム組成物に含有される充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であって、50質量部以下、より好ましくは35質量部以下であることが望ましい。充填剤の配合量が2質量部未満では、重量調整が難しくなり、50質量部を超えるとゴム成分の質量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、しゃく解剤などを適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドなどのモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドなどのテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドなどのペンタ置換体などが挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
前記老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成形条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
本発明のゴルフボールのコアの直径は、39.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは39.5mm以上、さらに好ましくは40.8mm以上であり、42.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは42.0mm以下、さらに好ましくは41.8mm以下である。コアの直径が39.0mm未満では、カバーが厚くなり過ぎて反発性が低下し、一方、コアの直径が42.2mmを超えると相対的にカバーが薄くなり過ぎて、カバーによる保護効果が十分に得られないからである。
また、前記コアは、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量が2.50mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.60mm以上、さらに好ましくは2.70mm以上であり、3.20mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.10mmであり、さらに好ましくは3.00mmである。コアの圧縮変形量が小さすぎると、コアが硬くなって打球感が低下する傾向があり、一方、圧縮変形量が大きすぎると、柔らかくなりすぎて打球感が重く感じられる場合がある。
本発明のゴルフボールのコアとして、表面硬度が中心硬度より大きいコアを使用することも好ましい態様である。例えば、多層コア構造とすることによって、容易にコアの表面硬度を中心硬度より大きくすることができる。コアの表面硬度と中心硬度との硬度差は、ショアD硬度で20以上であることが好ましく、さらに好ましくは25以上である。コアの表面硬度を中心硬度より大きくすることによって、打出角が高くなり、スピン量が低くなって、飛距離が向上する。また、コアの表面硬度と中心硬度とのショアD硬度差の上限は、特に限定されないが、40であることが好ましく、より好ましくは35である。硬度差が大きくなりすぎると、耐久性が低下する虞があるからである。
さらに、前記コアの中心硬度は、ショアD硬度で30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上であり、さらに好ましくは35以上である。コアの中心硬度がショアD硬度で30未満であると、軟らかくなりすぎて反発性が低下する場合がある。また、コアの中心硬度は、ショアD硬度で50以下であることが好ましく、より好ましくは48以下であり、さらに好ましくは45以下である。前記中心硬度がショアD硬度で50を超えると、硬くなり過ぎて、打球感が低下する傾向があるからである。本発明において、コアの中心硬度とは、コアを2等分に切断して、その切断面の中心点についてスプリング式硬度計ショアD型で測定した硬度を意味する。
本発明のゴルフボールのコアの表面硬度は、ショアD硬度で45以上であることが好ましく、より好ましくは50以上であり、さらに好ましくは55以上である。前記表面硬度が45より小さいと、軟らかくなり過ぎて、反発性が低下する場合がある。また、コアの表面硬度は、ショアD硬度で65以下であることが好ましく、より好ましくは62以下であり、さらに好ましくは60以下である。前記表面硬度がショアD硬度で65超であると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボールのコアは、PGAコンプレッションが、65以上であることが好ましく、より好ましくは70以上である。PGAコンプレッションが65未満であると、反発性が低下する。また、柔らかくなり過ぎて、打球感が重くなるからである。PGAコンプレッションの上限は、特に限定されるものではないが、115が好ましく、より好ましくは110である。PGAコンプレッションが115を超えると、硬くなりすぎて、打球感が低下するからである。
前記中間層を構成する材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂;ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、アイオノマー樹脂が好適である。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステルなどが用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性などから好ましく用いられる。
前記中間層には、上記樹脂成分に加えてさらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
本発明のゴルフボールの構造は、コアとカバーとを有するものであれば、特に限定されず、単層のコアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール、センターと前記センターを被覆する単層の中間層とからなるコアと前記コアを被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール、センターと前記センターを被覆する複数もしくは複層の中間層とからなるコアと前記コアを被覆するカバーとを有するマルチピースゴルフボール、或いは、糸巻きコアとカバーとを有する糸巻きゴルフボールであってもよい。いずれの場合であっても、本発明を好適に適用できるからである。これらの中でも、本発明は、単層のコアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボールに好適に適用できる。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボールの場合、コアとして糸巻きコアを用いれば良い。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)X線回折測定
X線回折装置(リガク社製、RINT2200V型)を用いて下記の測定条件にて、有機化層状珪酸塩、ナノコンポジットまたはカバー中の層状珪酸塩の層間距離を求めた。なお、カバー中の層状珪酸塩の層間距離は、各ゴルフボールのカバーを成形する組成物と同様のナノコンポジットと二酸化チタンを用いて、カバー成形条件と同様の射出条件にてシート状に成形して、当該シート中の有機化層状珪酸塩のX線回折で測定した。
測定条件
X線源:CuKα線(波長λ=0.15418nm)
印加電圧:40kV
印加電流:30mA
測定範囲:2θ=0.01°〜10°
取り込み幅:0.01°
計算式:2dsinθ=λ=0.15418nm(θ:ピークの角度(2θ)の半分の値)
(2)メルトフローレイト(MFR)(190℃、2.16kg)
MFRは、フローテスター(島津製作所製、島津フローテスターCFT−100C)を用いて、JIS K7210に準じて測定した。なお、測定は、測定温度190℃、荷重2.16kgの条件で行った。
(3)コア硬度(ショアD硬度)
ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、球状コアの表面部において測定したショアD硬度を球状コアの表面硬度とし、球状コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したショアD硬度を球状コアの中心硬度とした。
(4)圧縮変形量(mm)
球状コアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアが縮む量)を測定した。
(5)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用の組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(6)反発係数
各ゴルフボールに200gのアルミニウム製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。各ゴルフボールの反発係数は、ゴルフボールNo.1の反発係数を100として、各ゴルフボールについての反発係数を指数化した値で示した。
(7)耐久性
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットM/Cにメタルヘッド製#W1ドライバーを取り付け、各ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃して衝突板に衝突させた。これを繰り返して、ゴルフボールが壊れるまでの打撃回数を測定し4段階で評価した。
評価基準
◎: 壊れるまでの打撃回数が200以上。
○: 壊れるまでの打撃回数が150以上200未満。
△: 壊れるまでの打撃回数が100以上150未満。
×: 壊れるまでの打撃回数が100未満。
[有機化層状珪酸塩の作製]
製造例1
蒸留水1Lを80℃に加熱し、そこへモンモリロナイト(クニミネ工業社製、「クニピア(登録商標)F」、陽イオン交換容量115meq/100g、層間距離1nm)を20g入れて、3時間以上撹拌することにより十分に分散させた。前記分散液に、あらかじめ、ステアリルアミン(東京化成社製)を7.44gと12mol/L塩酸水溶液2.5mlを混合して調製したステアリルアミン塩酸塩水溶液を全て加え、80℃に加温しながら、1時間撹拌し、有機化処理を行った。
有機化処理後の反応液を吸引ろ過し、得られたろ過物を水で洗浄し、さらにメタノール水溶液(水:メタノール=1:1(質量比))で十分に洗浄した後、60℃において24時間乾燥して、ステアリルアンモニウム置換モンモリロナイト(以下、「C18」ということがある。)を26.1g得た。
前記C18について、X線回折測定を行ったところ、モンモリロナイトの層間距離は2nmであった。また、前記C18中のモンモリロナイト含有量は77質量%であり、イオン交換率は100モル%であった。
[ナノコンポジットの作製]
前記C18およびアイオノマー樹脂を、表1に示した配合で、二軸押出機(東洋製機社製、「2D25S」)によりミキシングして、ペレット状のナノコンポジットを調製した。なお、二軸押出機の仕様は、フルフライト式スクリュー(スクリュー径2cm、スクリューL/D=25)、スクリュー回転数70rpmで行った。混合温度は、投入口からダイまでの混合領域は、投入口から順に160℃、170℃、180℃と温度勾配を設け、ダイの温度を180℃とした。
得られた各ナノコンポジット中のモンモリロナイトの層間距離を測定した。結果を表1に示した。
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:2.8g/10min、ショアD硬度:65)
ハイミラン1557:三井デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:5.5g/10min、ショアD硬度:59)
ハイミラン1707:三井デュポンポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:0.9g/10min、ショアD硬度:65)
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:0.9g/10min、ショアD硬度:64)
ハイミランAM7318:三井デュポンポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:2.2g/10min、ショアD硬度:65)
ハイミラン1555:三井デュポンポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:10g/10min、ショアD硬度:60)
ハイミラン1702:三井デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(MFR:16g/10min、ショアD硬度:59)
ニュクレル1560:三井デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体(MFR:60g/10min、ショアD硬度:53)
有機化層状珪酸塩C18:ステアリルアンモニウム交換モンモリロナイト(モンモリロナイト含有量73質量%、層状珪酸塩の層間距離2.01nm)
層状珪酸塩Mon:クニミネ工業社製モンモリロナイト、「クニピア(登録商標)F」
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表2に示す配合のコア用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で160℃、13分間加熱プレスすることにより直径40.7mmの球状のコアを得た。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR18(ハイシスポリブタジエン(シス含有率96%以上))」
アクリル酸亜鉛:日本蒸留社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学製、「硫酸バリウムBD」
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製、「パークミル(登録商標)D」
(2)カバー用組成物の調製およびゴルフボール本体の作製
次に、上記で得たナノコンポジットと、二酸化チタンとを、二軸押出機(東洋製機社製、「2D25S」)によりミキシングして、コア上に直接射出成形することにより、前記コアを被覆するカバーを作製した。なお、二軸押出機の仕様は、フルフライト式スクリュー(スクリュー径2cm、スクリューL/D=25)、スクリュー回転数70rpmで行った。混合温度は、投入口からダイまでの混合領域は、投入口から順に160℃、170℃、180℃と温度勾配を設け、ダイの温度は表3に示す温度とした。また、二酸化チタンの添加量は、ナノコンポジット中の樹脂成分100質量部に対して、二酸化チタン4質量部となるように調整した。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mmのゴルフボールを得た。
得られたゴルフボールについて、耐久性および反発性について評価した結果を併せて表3に示した。
ゴルフボールNo.1〜9は、カバーが、アイオノマー樹脂と、有機化層状珪酸塩を含有し、前記有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmである場合であるが、いずれも、カバーが有機化層状珪酸塩を含まないゴルフボールNo.10よりも、反発性能および耐久性に優れるものであった。なお、ゴルフボールNo.7は、有機化層状珪酸塩の含有量が高めであるため、耐久性が若干劣ることがわかる。
ゴルフボールNo.11は、カバーが有機化処理されていない層状珪酸塩を含有する場合であるが、ゴルフボールNo.10に比べて耐久性が劣ることがわかる。
ゴルフボールNo.12は、カバー中の有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が15nm超の場合、すなわち、有機化層状珪酸塩が剥離された場合であるが、No.10に比べて耐久性が劣ることがわかる。なお、ゴルフボールNo.12において、有機化層状珪酸塩が剥離されたのは、用いたアイオノマー樹脂のメルトフローレイトが小さいため、ゴルフボールNo.1〜9と同様の温度条件で混合した場合でも混合時の樹脂粘度が高くなり、有機化層状珪酸塩に過剰なせん断力がかかったためと考えられる。
ゴルフボールNo.13は、カバー中の有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が2.5nm未満の場合であるが、ゴルフボールNo.10に比べて耐久性が劣ることがわかる。なお、ゴルフボールNo.12において、有機化層状珪酸塩の層間距離が2.5nm以上に拡張されなかったのは、ゴルフボールNo.12では用いたアイオノマー樹脂のメルトフローレイトが大きいため、ゴルフボールNo.1〜9と同様の温度条件で混合した場合でも混合時の樹脂粘度が低くなり、混合時に十分なせん断力が得られず、有機化層状珪酸塩の層間にアイオノマー樹脂が挿入されなかったためと考えられる。
本発明は、耐久性および反発性に優れたゴルフボールとして有用である。

Claims (9)

  1. コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記カバーが、アイオノマー樹脂と、有機化層状珪酸塩を含有し、
    前記カバー中の前記有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmであることを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg)が、0.5g/10min〜15g/10minである請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記カバー中の有機化層状珪酸塩の含有量が、前記アイオノマー樹脂100質量部に対して0.01質量部〜10質量部である請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記有機化層状珪酸塩が、有機アンモニウムイオンで有機化処理された層状珪酸塩である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記カバーのスラブ硬度が、ショアD硬度で、40〜80である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 層状珪酸塩を有機陽イオンによって有機化処理して有機化層状珪酸塩を作製する有機化処理工程;得られた有機化層状珪酸塩、アイオノマー樹脂および添加剤を用いて、得られるカバーに含有される有機化層状珪酸塩のX線回折で測定される層間距離が、2.5nm〜15nmとなるようにカバーを成形するカバー成形工程;を有することを特徴とするゴルフボールの製造方法。
  7. 前記カバー成形工程前に、有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合して、層状珪酸塩の層間距離が2.0nm〜15nmのナノコンポジットを作製するナノコンポジット化工程を有する請求項6に記載のゴルフボールの製造方法。
  8. 前記ナノコンポジット化工程において、二軸押出機を用いて、混合温度140℃〜220℃の混合条件で有機化層状珪酸塩とアイオノマー樹脂とを混合する請求項7に記載のゴルフボールの製造方法。
  9. 前記カバー成形工程において、二軸押出機を用いて、混合温度140℃〜220℃の条件で、ナノコンポジットと添加剤との混合およびカバーの射出成形を行う請求項7または8に記載のゴルフボールの製造方法。
JP2008110385A 2008-04-21 2008-04-21 ゴルフボール Expired - Fee Related JP5305718B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008110385A JP5305718B2 (ja) 2008-04-21 2008-04-21 ゴルフボール
US12/422,505 US8168712B2 (en) 2008-04-21 2009-04-13 Golf ball

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008110385A JP5305718B2 (ja) 2008-04-21 2008-04-21 ゴルフボール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009254750A JP2009254750A (ja) 2009-11-05
JP5305718B2 true JP5305718B2 (ja) 2013-10-02

Family

ID=41201579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008110385A Expired - Fee Related JP5305718B2 (ja) 2008-04-21 2008-04-21 ゴルフボール

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8168712B2 (ja)
JP (1) JP5305718B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4909397B2 (ja) * 2009-10-29 2012-04-04 Sriスポーツ株式会社 ゴルフボールおよびゴルフボールの製造方法
JP6344899B2 (ja) * 2013-10-29 2018-06-20 住友ゴム工業株式会社 ゴルフボール用樹脂組成物およびこれを用いたゴルフボール
JP6344900B2 (ja) * 2013-10-29 2018-06-20 住友ゴム工業株式会社 ゴルフボール用樹脂組成物およびこれを用いたゴルフボール
JP6440590B2 (ja) 2015-07-31 2018-12-19 住友ゴム工業株式会社 ゴルフボール
JP6440593B2 (ja) 2015-08-07 2018-12-19 住友ゴム工業株式会社 ゴルフボール
US11132989B2 (en) * 2018-12-13 2021-09-28 Sonos, Inc. Networked microphone devices, systems, and methods of localized arbitration
US11752396B1 (en) 2020-02-19 2023-09-12 Topgolf Callaway Brands Corp. Method and system utilizing imaging analysis for golf balls
US11911666B1 (en) 2020-02-19 2024-02-27 Topgolf Callaway Brands Cor. Method and system utilizing imaging analysis for golf balls
US11911667B1 (en) 2020-02-19 2024-02-27 Topgolf Callaway Brands Corp. Method and system utilizing imaging analysis for golf balls
US11918863B1 (en) 2020-02-19 2024-03-05 Topgolf Callaway Brands Corp. Method and system utilizing imaging analysis for golf balls
US11058924B1 (en) 2020-02-19 2021-07-13 Callaway Golf Company Method and system utilizing imaging analysis for golf balls
US11318354B2 (en) 2020-05-27 2022-05-03 Callaway Golf Company Method and system for utilizing radio-opaque fillers in multiple layers of golf balls
US11185741B1 (en) 2020-05-27 2021-11-30 Callaway Golf Company Method and system for utilizing radio-opaque fillers in multiple layers of golf balls

Family Cites Families (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6290614B1 (en) 1998-03-18 2001-09-18 Spalding Sports Worldwide, Inc. Golf ball which includes fast-chemical-reaction-produced component and method of making same
JPH08302068A (ja) 1995-05-02 1996-11-19 Showa Denko Kk 無機質フィラー分散複合体
US5692974A (en) 1995-06-07 1997-12-02 Acushnet Company Golf ball covers
JP3034810B2 (ja) 1995-11-02 2000-04-17 三菱化学株式会社 結晶性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
JPH09124836A (ja) 1995-11-02 1997-05-13 Mitsubishi Chem Corp 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
JP3691172B2 (ja) * 1996-03-21 2005-08-31 花王株式会社 有機変性層状珪酸塩及び永久帯電防止性樹脂組成物
CA2205294A1 (en) 1996-05-23 1997-11-23 Kao Corporation Method for producing superheavy oil emulsion fuel and fuel produced thereby
JPH10168305A (ja) 1996-12-12 1998-06-23 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ポリウレタン複合材料と、その製造方法
JP3356001B2 (ja) * 1997-05-26 2002-12-09 株式会社豊田中央研究所 樹脂複合材及びその製造方法
JPH11159667A (ja) * 1997-11-28 1999-06-15 Denso Corp ホース
GB2363726B (en) 1999-03-29 2003-07-23 Spalding Sports Worldwide Inc Golf ball which includes fast-chemical-reaction-produced component and method of making same
US6794447B1 (en) 2000-07-28 2004-09-21 Taylor Made Golf Co., Inc. Golf balls incorporating nanocomposite materials
JP3629420B2 (ja) 2000-08-24 2005-03-16 住友ゴム工業株式会社 ゴルフボール
US20050215718A1 (en) 2002-01-04 2005-09-29 Murali Rajagopalan Nanocomposite ethylene copolymer compositions for golf balls
US6630265B1 (en) 2002-08-13 2003-10-07 Hoku Scientific, Inc. Composite electrolyte for fuel cells
WO2004058874A1 (en) 2002-12-18 2004-07-15 Bridgestone Corporation Method for clay exfoliation, compositions therefore, and modified rubber contaiing same
WO2004056586A1 (en) * 2002-12-23 2004-07-08 Pirelli Pneumatici S.P.A. Tyre for two-wheeled vehicles
JP4030987B2 (ja) 2003-07-10 2008-01-09 アクシュネット カンパニー 多層ゴルフボール及び組成物
JP2005106859A (ja) 2003-09-26 2005-04-21 Nippon Shokubai Co Ltd 樹脂組成物、それを用いた感光性樹脂組成物及びフォトリソスペーサー用感光性樹脂組成物並びにその製造方法
JP4420688B2 (ja) * 2004-01-28 2010-02-24 積水化学工業株式会社 多層シート
US7066836B2 (en) * 2004-02-04 2006-06-27 Bridgestone Sports Co., Ltd. Golf ball
KR100542264B1 (ko) 2004-05-27 2006-01-11 한국과학기술원 고분자/점토 나노복합재료의 제조를 위한 사슬이 연장된유기화제의 제조방법
JP4417298B2 (ja) * 2004-07-09 2010-02-17 Sriスポーツ株式会社 ゴルフボール
US7294069B2 (en) 2004-07-09 2007-11-13 Sri Sports Limited Golf ball
US7326749B2 (en) * 2004-07-09 2008-02-05 Sri Sports Limited Golf ball
JP4455452B2 (ja) * 2004-09-01 2010-04-21 Sriスポーツ株式会社 ゴルフボール
US8193270B2 (en) 2004-12-14 2012-06-05 3M Innovative Properties Company Method of making composites and nanocomposites
JP2006346015A (ja) 2005-06-14 2006-12-28 Sri Sports Ltd ポリウレタンカバーを有するゴルフボール及びその製造方法
JP4527606B2 (ja) * 2005-06-14 2010-08-18 Sriスポーツ株式会社 アイオノマー樹脂カバーを有するゴルフボール
JP4382112B2 (ja) 2007-05-24 2009-12-09 Sriスポーツ株式会社 ゴルフボール及びその製造方法
JP5139099B2 (ja) * 2008-01-31 2013-02-06 英介 山田 ゴルフボール
JP4964921B2 (ja) 2009-06-29 2012-07-04 Sriスポーツ株式会社 ゴルフボール

Also Published As

Publication number Publication date
US20090264223A1 (en) 2009-10-22
US8168712B2 (en) 2012-05-01
JP2009254750A (ja) 2009-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5305718B2 (ja) ゴルフボール
JP5139099B2 (ja) ゴルフボール
JP5331544B2 (ja) ゴルフボール
JP4527606B2 (ja) アイオノマー樹脂カバーを有するゴルフボール
JP6053317B2 (ja) ゴルフボール
JP6344900B2 (ja) ゴルフボール用樹脂組成物およびこれを用いたゴルフボール
US9517386B2 (en) Golf ball resin composition and golf ball using the same
JP5473800B2 (ja) ゴルフボール中間層用樹脂組成物およびゴルフボール
JP4303711B2 (ja) ゴルフボール
JP6265660B2 (ja) ゴルフボール
JP6531467B2 (ja) ゴルフボール
JP6366387B2 (ja) ゴルフボール
JP5031063B2 (ja) ゴルフボール用樹脂組成物およびゴルフボール
JP4909397B2 (ja) ゴルフボールおよびゴルフボールの製造方法
JP6460638B2 (ja) ゴルフボール
JP5031021B2 (ja) ゴルフボール用材料およびゴルフボール
JP2011015763A (ja) ゴルフボール用樹脂組成物およびこれを用いたゴルフボール
JP5031064B2 (ja) ゴルフボール用樹脂組成物およびゴルフボール
JP7413772B2 (ja) ゴルフボール
US9808676B2 (en) Golf ball layers produced using crosslinked highly-neutralized polymer materials
JP2022184265A (ja) ゴルフボール
JP2023021031A (ja) ゴルフボール用ゴム組成物及びゴルフボール
JP2023091375A (ja) ゴルフボール
JP2005230454A (ja) ゴルフボール
JP2007054432A (ja) ゴルフボール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120321

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120517

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130131

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130625

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5305718

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees